-
結婚後、子どもができず不妊治療を開始。現在は、1歳の男の子のパパになったYさんのお話
結婚後、子どもができず不妊治療を開始。現在は、1歳の男の子のパパになったYさんのお話 「子どもをもつことに執着したい。」結婚後、子どもができず不妊治療を開始。現在は、1歳の男の子のパパというYさんにこれまでのお話を聞きました。 33歳で結婚。彼女は20代後半で子宮筋腫が見つかり、流産歴もあったので、結婚と同時に手術。手術後すぐに自然妊娠したものの、再び流産してしまい、不妊治療の専門クリニックと、不育症専門のクリニックにも通うことに。結局、出産にいたるまで、5つのクリニックをはしごする結果となりました。 5年間にわたる治療の過程でよく話し合ったのは、「僕たち、もしかしたら、子どもがいなくてもいいんじゃないか」ということ。途中で、それでもいいよねと、お互いにだんだん慰め合うような感じになってきて……。ある時、このままダラダラ治療を続けるのはよくないなと。欲しいものがあるのなら、もっと執着しなければ手に入らないんじゃないか?子どもを産むことにもっと執着しようと考えるようになりました。 結婚から4年経った37歳の時、自分も何か調べられることがあればと思い立ち、初めて起こした行動が、男性不妊外来の予約を取ること。通院していたクリニックに開設されていたので、軽い気持ちで受診したのですが、初診で医師にいきなり股間をつかまれ、「これですね」と、精索静脈瘤の診断をされたのには驚きました。 妻に子宮筋腫の治療歴や流産歴があったので、今までずっと子どもができないのは妻のほうに原因があるとばかり思っていたのです。なのに自分だったなんて! 正直かなりショック。でも、原因の一端が見えたことで、少しホッとしました。 そこからは最短距離だったと思います。精索静脈瘤の手術をしても、精液所見のデータがアップするまで一年以上かかると聞き、二人の年齢を考えると時間がもったいないと感じて、漢方薬やサプリメントで改善しながら、より妊娠率が高まる顕微授精を選択することにしました。理想は薬で精液のデータが回復し、自然妊娠できることでした。でも、正直、薬を飲みながら、毎週、精液検査のために通院するのはしんどかったですね。 一人で日曜日の朝、電車でクリニックまで行って、狭い部屋で採精しては検査を受けることの繰り返し。精液のデータって、朝と夜で違うし、家とクリニックでも違う。努力したからといって少しずつ右肩上がりによくなるものでもなく、だんだんつらくなってきました。一人でやる孤独な作業のやるせなさ、数字のプレッシャーもありました。今までの妻のつらさも、この時に少しわかったような。この時の男性不妊の先生のカウンセリングにはとても感謝しているんです。男性は少し尻を叩かれるくらいのほうがいい。先生に言われてタバコもやめました。 子どもが生まれて今、妻はとても幸せそうです。男の子で、もうすぐ1歳。手がかかって忙しいのも何だかうれしそうで、よっぽど欲しかったんだろうなって。子どもが欲しいという気持ちを確認しあい、二人で共有しながら取り組んだことが、よい結果につながったのかもしれませんね。一人目ができた瞬間に「二人目がほしい!」と思ったそうなので、その気持ちを絶やさないうちに次のことも二人で考えています。 ■ あわせて読みたい ■ 周りの人に支えられ、励まされながら… 7年間の治療を通して強くなった夫婦の絆。 京野先生の男性不妊講座:EDは治療で改善できる 無関心なのではなくて男性は不妊について知識不足 女性のための健康生活マガジン JINEKO 結婚後、子どもができず不妊治療を開始。現在は、1歳の男の子のパパになったYさんのお話 「子どもをもつことに執着したい。」結婚後、子どもができず不妊治療を開始。現在は、1歳の男の子のパパというYさんにこれまでのお話を聞きました。 33歳で結婚。彼女は20代後半で子宮筋腫が見つかり、流産歴もあったので、結婚と同時に手術。手術後すぐに自然妊娠したものの、再び流産してしまい、不妊治療の専門クリニックと、不育症専門のクリニックにも通うことに。結局、出産にいたるまで、5つのクリニックをはしごする結果となりました。 5年間にわたる治療の過程でよく話し合ったのは、「僕たち、もしかしたら、子どもがいなくてもいいんじゃないか」ということ。途中で、それでもいいよねと、お互いにだんだん慰め合うような感じになってきて……。ある時、このままダラダラ治療を続けるのはよくないなと。欲しいものがあるのなら、もっと執着しなければ手に入らないんじゃないか?子どもを産むことにもっと執着しようと考えるようになりました。 結婚から4年経った37歳の時、自分も何か調べられることがあればと思い立ち、初めて起こした行動が、男性不妊外来の予約を取ること。通院していたクリニックに開設されていたので、軽い気持ちで受診したのですが、初診で医師にいきなり股間をつかまれ、「これですね」と、精索静脈瘤の診断をされたのには驚きました。 妻に子宮筋腫の治療歴や流産歴があったので、今までずっと子どもができないのは妻のほうに原因があるとばかり思っていたのです。なのに自分だったなんて! 正直かなりショック。でも、原因の一端が見えたことで、少しホッとしました。 そこからは最短距離だったと思います。精索静脈瘤の手術をしても、精液所見のデータがアップするまで一年以上かかると聞き、二人の年齢を考えると時間がもったいないと感じて、漢方薬やサプリメントで改善しながら、より妊娠率が高まる顕微授精を選択することにしました。理想は薬で精液のデータが回復し、自然妊娠できることでした。でも、正直、薬を飲みながら、毎週、精液検査のために通院するのはしんどかったですね。 一人で日曜日の朝、電車でクリニックまで行って、狭い部屋で採精しては検査を受けることの繰り返し。精液のデータって、朝と夜で違うし、家とクリニックでも違う。努力したからといって少しずつ右肩上がりによくなるものでもなく、だんだんつらくなってきました。一人でやる孤独な作業のやるせなさ、数字のプレッシャーもありました。今までの妻のつらさも、この時に少しわかったような。この時の男性不妊の先生のカウンセリングにはとても感謝しているんです。男性は少し尻を叩かれるくらいのほうがいい。先生に言われてタバコもやめました。 子どもが生まれて今、妻はとても幸せそうです。男の子で、もうすぐ1歳。手がかかって忙しいのも何だかうれしそうで、よっぽど欲しかったんだろうなって。子どもが欲しいという気持ちを確認しあい、二人で共有しながら取り組んだことが、よい結果につながったのかもしれませんね。一人目ができた瞬間に「二人目がほしい!」と思ったそうなので、その気持ちを絶やさないうちに次のことも二人で考えています。 ■ あわせて読みたい ■ 周りの人に支えられ、励まされながら… 7年間の治療を通して強くなった夫婦の絆。 京野先生の男性不妊講座:EDは治療で改善できる 無関心なのではなくて男性は不妊について知識不足 女性のための健康生活マガジン JINEKO
2015.2.26
コラム 不妊治療
-
無関心なのではなくて男性は不妊について知識不足
無関心なのではなくて男性は不妊について知識不足 女性の体のことはなかなか理解しづらいと思いますが、ワンステップ踏み込んで、知る機会をもってもらいたい。決して解決策はいらない、話し相手になることが「支える」ことのスタートだと思いますよ。 無関心なのではなくて男性は不妊について知識不足 「夫が意見を言わないからわからない」という声を奥さんからお聞きすることがありますが、多くは「言わない」のではなく「言えない」のではないでしょうか。また、「夫と話し合ったことがない」などの声も聞きますが、これらはおそらく、不妊治療についてベースとなる知識がないというか、男性はそういう環境にないのかもしれません。たとえば男性が友人や親とか親しい人と不妊について、話をする機会はほとんどないですからね。知識が乏しくて、奥さんと同等に話ができるレベル・状態にないので、話し合いにならないのではないでしょうか。 さらに、「夫の関心がうすい」というのも、不妊治療そのものがほとんど女性が受けるものですし、妊娠するのも女性、そして産むのも女性です。だから僕が思うに、本当に関心がうすい場合もあるかもしれませんが、どう不妊治療に関わっていいのかわからないのだと思います。奥さんと一緒に病院に来ても、もともとの知識が少ないのでどう対応していいかわからないと思いますよ。僕も男だから、そう思います。特に、「月経がどうの、排卵が…」なんて言われてもねぇ。実際には関心を持ちたくても持てないんじゃないかな。 知識を得るにつれ、遠慮が出る。だからこそ、支えてあげよう まず、ご主人はそういう知識を得る機会があまりないでしょうから、当院が行っている「初診前説明会」でもいいし、書籍でもいいと思うので、とりあえず一歩踏み出して、知る努力をしてほしい。知らないと、いくら協力したいと思っていても、話し相手になりたくても難しいでしょうから。ただ実際に知ったとしても、検査を受けるとか治療を受けるのは、ほとんどが女性。ご主人は精液検査くらい。結局は自分が痛みのある検査をしたり、毎日服薬するわけではないので、「僕ががんばる」ということにはならないし、奥さんに遠慮して、黙ってしまうっていうのもあるでしょうね。こと妊娠においてはデリケートな部分でもあり、夫婦ともに互いが遠慮したりして、もどかしい思いをしてしまうのかもしれません。 では、子どもが欲しいという共通の目的・目標があるところで、男性に何ができるかといえば、僕が考えるに「支える」という役目を認識したらいいんじゃないかな。「しんどい、つらい」という思いに耳を傾け、代わりに産むことはできないのだから、夫婦二人がこのような共通認識を持てたらいいと思います。だから「支える」ためにもきちんと知識を得てほしいですね。 絹谷 正之先生 愛媛大学医学部卒業。広島大学医学部産科婦人科学教室入局。その後、東京の山王病院リプロダクションセンターにて高度生殖補助医療研修、顕微授精を修得。1999年にはカナダ、アメリカにて高度生殖補助医療研修を行う。2000年、絹谷産婦人科副院長、2002年より院長に。広島県産婦人科医会常務理事。ISO9001やJISART(日本生殖補助医療標準化機関)の認定を2010年~2011年に取得。今春から、多目的室で「初診前説明会」を開始。 ■ あわせて読みたい ■ 周りの人に支えられ、励まされながら… 7年間の治療を通して強くなった夫婦の絆。 京野先生の男性不妊講座:EDは治療で改善できる 結婚後、子どもができず不妊治療を開始。現在は、1歳の男の子のパパになったYさんのお話 絹谷産婦人科 女性のための健康生活マガジン JINEKO 無関心なのではなくて男性は不妊について知識不足 女性の体のことはなかなか理解しづらいと思いますが、ワンステップ踏み込んで、知る機会をもってもらいたい。決して解決策はいらない、話し相手になることが「支える」ことのスタートだと思いますよ。 無関心なのではなくて男性は不妊について知識不足 「夫が意見を言わないからわからない」という声を奥さんからお聞きすることがありますが、多くは「言わない」のではなく「言えない」のではないでしょうか。また、「夫と話し合ったことがない」などの声も聞きますが、これらはおそらく、不妊治療についてベースとなる知識がないというか、男性はそういう環境にないのかもしれません。たとえば男性が友人や親とか親しい人と不妊について、話をする機会はほとんどないですからね。知識が乏しくて、奥さんと同等に話ができるレベル・状態にないので、話し合いにならないのではないでしょうか。 さらに、「夫の関心がうすい」というのも、不妊治療そのものがほとんど女性が受けるものですし、妊娠するのも女性、そして産むのも女性です。だから僕が思うに、本当に関心がうすい場合もあるかもしれませんが、どう不妊治療に関わっていいのかわからないのだと思います。奥さんと一緒に病院に来ても、もともとの知識が少ないのでどう対応していいかわからないと思いますよ。僕も男だから、そう思います。特に、「月経がどうの、排卵が…」なんて言われてもねぇ。実際には関心を持ちたくても持てないんじゃないかな。 知識を得るにつれ、遠慮が出る。だからこそ、支えてあげよう まず、ご主人はそういう知識を得る機会があまりないでしょうから、当院が行っている「初診前説明会」でもいいし、書籍でもいいと思うので、とりあえず一歩踏み出して、知る努力をしてほしい。知らないと、いくら協力したいと思っていても、話し相手になりたくても難しいでしょうから。ただ実際に知ったとしても、検査を受けるとか治療を受けるのは、ほとんどが女性。ご主人は精液検査くらい。結局は自分が痛みのある検査をしたり、毎日服薬するわけではないので、「僕ががんばる」ということにはならないし、奥さんに遠慮して、黙ってしまうっていうのもあるでしょうね。こと妊娠においてはデリケートな部分でもあり、夫婦ともに互いが遠慮したりして、もどかしい思いをしてしまうのかもしれません。 では、子どもが欲しいという共通の目的・目標があるところで、男性に何ができるかといえば、僕が考えるに「支える」という役目を認識したらいいんじゃないかな。「しんどい、つらい」という思いに耳を傾け、代わりに産むことはできないのだから、夫婦二人がこのような共通認識を持てたらいいと思います。だから「支える」ためにもきちんと知識を得てほしいですね。 絹谷 正之先生 愛媛大学医学部卒業。広島大学医学部産科婦人科学教室入局。その後、東京の山王病院リプロダクションセンターにて高度生殖補助医療研修、顕微授精を修得。1999年にはカナダ、アメリカにて高度生殖補助医療研修を行う。2000年、絹谷産婦人科副院長、2002年より院長に。広島県産婦人科医会常務理事。ISO9001やJISART(日本生殖補助医療標準化機関)の認定を2010年~2011年に取得。今春から、多目的室で「初診前説明会」を開始。 ■ あわせて読みたい ■ 周りの人に支えられ、励まされながら… 7年間の治療を通して強くなった夫婦の絆。 京野先生の男性不妊講座:EDは治療で改善できる 結婚後、子どもができず不妊治療を開始。現在は、1歳の男の子のパパになったYさんのお話 絹谷産婦人科 女性のための健康生活マガジン JINEKO
2015.2.26
コラム 不妊治療
-
子宮内膜が厚くならない
「本当に内膜を厚くする方法はないのでしょうか?辛くて仕方ないです。仕事で子供をたくさん見るのでめちゃくちゃ悲しいです。」
2015.2.24
専門医Q&A 女性の健康
-
もみじの手が掴んだ市民権!
もみじの手が掴んだ市民権! 画像:Shutterstock.com はじめての妊娠、そして出産。楽しみでもあり、不安も少し…。そんな初心者ママを応援したいとスキナベーブでは毎年、赤ちゃんエッセイコンテストを開催しています。エッセイには、先輩ママや専門家の方の体験談がいっぱい。元気になれるエッセイが、きっと見つかります。ジネコでは、これまでの受賞作品の中から素敵なエッセイをピックアップしてご紹介してまいります。 私はある決意にいたるまで、輸入食品販売代理店の人事部に勤めていました。50名弱の中堅企業で人事と総務を兼任。在籍年数と『年の功』も手伝い、「産休制度」の作成と窓口役を任されることになりました。 (出産経験のないワタシが…) 最初は自信が持てませんでしたが、部では私以外はみな男性。ワンマン社長の手ほどきを受けながら、大綱を固めていくことになりました。 相談に訪れた一人目はAさんでしたが、産休ではなく「育児休業」に関するものでした。復職の確固たる約束もなく出産休暇を申し入れ、実力で復職したやり手の営業ウーマンです。仕事も順調に、家事・育児を旦那さんと協力しながらだったのですが、赤ちゃんと過ごす時間をもっと増やしたいとの理由から、育児休業を提案。私はもちろんOKでしたが、いい顔をしなかったのが社長でした。Aさんは営業のホープであり、社長は焦ったのかもしれません。結局、申請は通りませんでした。 「もったいないよぉ」 「またバリバリ働けばいいじゃない。これからのほうが、お金かかるのよ」 同僚の声を背に、彼女は「休業」ではなく退社の途を選びました。 しばらく産休制度を利用する社員はいなかったのですが、なんと私にその機会がやってきたのです。ふいに子宝に恵まれたアラフォーの私。 (ワタシ、第一号?) 「そりゃ、そうだよ。キミが作った制度をキミが実践する。絶好のモデルじゃないか」 数ヵ月後。大きな産声が私の胸に響きました。仕事に不満はなく、落ち着いたら職場復帰をと考えていたのですが、待ったをかけたのが三ヶ月ほど経ってから。 娘がアトピー性皮膚炎を発症してしまったのです。小さな体にジクジクした湿疹が侵入し、耳切れや太腿の付け根に生じる黄色い膿が痛々しくてたまりません。私に食物アレルギーなどはなく母乳で育てていたのですが、疾患を持たない人にも潜在的なアレルギー体質の可能性があると聞いて唖然ぼう然。実際に、私が摂取した食物が授乳を介して赤ちゃんの体に影響しているのではと医師から告げられた時は、ショックを受けました。前向きに捉えれば、親子というのは切っても切れない絆で結ばれている証でもありましょう。今後のことを考えるたびに、赤く腫れた手でかゆみから逃れるように、私の指をギュッと握りしめようとする娘。 と言われているようで、私は一年をかけて育児に専念しようと決意したのです。 その後、「育児休業」を申請する旨を社長に話したのですが、けんもほろろ。言外に(復職してもポジションはないぞ)の印象。 (後続のためにも育休を形骸化させてはならない) これは出産が与えた試練であり、逆に力をもらった気がしました。 一心同体となった心の声に励まされるように、実体験を基にした「育児休業制度」の企画書作成をスタート。ブログやSNSから様々な情報を漁り、壁に当たった時になぜか頭に浮かんだAさん。久しぶりに連絡してみると、彼女は別の会社の同じポジションで活躍していたのです。 「女性って、これまで勤めてた会社を退社したからって、なにも 社会から退くわけじゃないじゃないわよ。会社から離れて見え てくる社会っていっぱいあるのよね。出産で色々と経験したわ…」 パワーアップした彼女からさらなる勇気をもらい、企画書をまとめあげました。 題名は「育休に真の市民権を!」 社長もある程度納得してくれたのか、一年後に私は同じ部署に復職しました。ただ、人事・総務兼任ではなく、総務専任。母体と同様に、社会が目指すべき制度や価値観にも産みの苦しみがあるのですね。 帰宅すると、復職を祝ってくれるかのように、娘がもみじのような手でグーパーグーパーしてくれました。「育休」に勝ち負けはありません。私は出産によって母親になり、女としての力もついたように思います。 提供:スキナベーブ 赤ちゃんエッセイコンテスト <!-- new media_line_me.LineButton({"pc":false,"lang":"ja","type":"e"}); // --> もみじの手が掴んだ市民権! 画像:Shutterstock.com はじめての妊娠、そして出産。楽しみでもあり、不安も少し…。そんな初心者ママを応援したいとスキナベーブでは毎年、赤ちゃんエッセイコンテストを開催しています。エッセイには、先輩ママや専門家の方の体験談がいっぱい。元気になれるエッセイが、きっと見つかります。ジネコでは、これまでの受賞作品の中から素敵なエッセイをピックアップしてご紹介してまいります。 私はある決意にいたるまで、輸入食品販売代理店の人事部に勤めていました。50名弱の中堅企業で人事と総務を兼任。在籍年数と『年の功』も手伝い、「産休制度」の作成と窓口役を任されることになりました。 (出産経験のないワタシが…) 最初は自信が持てませんでしたが、部では私以外はみな男性。ワンマン社長の手ほどきを受けながら、大綱を固めていくことになりました。 相談に訪れた一人目はAさんでしたが、産休ではなく「育児休業」に関するものでした。復職の確固たる約束もなく出産休暇を申し入れ、実力で復職したやり手の営業ウーマンです。仕事も順調に、家事・育児を旦那さんと協力しながらだったのですが、赤ちゃんと過ごす時間をもっと増やしたいとの理由から、育児休業を提案。私はもちろんOKでしたが、いい顔をしなかったのが社長でした。Aさんは営業のホープであり、社長は焦ったのかもしれません。結局、申請は通りませんでした。 「もったいないよぉ」 「またバリバリ働けばいいじゃない。これからのほうが、お金かかるのよ」 同僚の声を背に、彼女は「休業」ではなく退社の途を選びました。 しばらく産休制度を利用する社員はいなかったのですが、なんと私にその機会がやってきたのです。ふいに子宝に恵まれたアラフォーの私。 (ワタシ、第一号?) 「そりゃ、そうだよ。キミが作った制度をキミが実践する。絶好のモデルじゃないか」 数ヵ月後。大きな産声が私の胸に響きました。仕事に不満はなく、落ち着いたら職場復帰をと考えていたのですが、待ったをかけたのが三ヶ月ほど経ってから。 娘がアトピー性皮膚炎を発症してしまったのです。小さな体にジクジクした湿疹が侵入し、耳切れや太腿の付け根に生じる黄色い膿が痛々しくてたまりません。私に食物アレルギーなどはなく母乳で育てていたのですが、疾患を持たない人にも潜在的なアレルギー体質の可能性があると聞いて唖然ぼう然。実際に、私が摂取した食物が授乳を介して赤ちゃんの体に影響しているのではと医師から告げられた時は、ショックを受けました。前向きに捉えれば、親子というのは切っても切れない絆で結ばれている証でもありましょう。今後のことを考えるたびに、赤く腫れた手でかゆみから逃れるように、私の指をギュッと握りしめようとする娘。 と言われているようで、私は一年をかけて育児に専念しようと決意したのです。 その後、「育児休業」を申請する旨を社長に話したのですが、けんもほろろ。言外に(復職してもポジションはないぞ)の印象。 (後続のためにも育休を形骸化させてはならない) これは出産が与えた試練であり、逆に力をもらった気がしました。 一心同体となった心の声に励まされるように、実体験を基にした「育児休業制度」の企画書作成をスタート。ブログやSNSから様々な情報を漁り、壁に当たった時になぜか頭に浮かんだAさん。久しぶりに連絡してみると、彼女は別の会社の同じポジションで活躍していたのです。 「女性って、これまで勤めてた会社を退社したからって、なにも 社会から退くわけじゃないじゃないわよ。会社から離れて見え てくる社会っていっぱいあるのよね。出産で色々と経験したわ…」 パワーアップした彼女からさらなる勇気をもらい、企画書をまとめあげました。 題名は「育休に真の市民権を!」 社長もある程度納得してくれたのか、一年後に私は同じ部署に復職しました。ただ、人事・総務兼任ではなく、総務専任。母体と同様に、社会が目指すべき制度や価値観にも産みの苦しみがあるのですね。 帰宅すると、復職を祝ってくれるかのように、娘がもみじのような手でグーパーグーパーしてくれました。「育休」に勝ち負けはありません。私は出産によって母親になり、女としての力もついたように思います。 提供:スキナベーブ 赤ちゃんエッセイコンテスト <!-- new media_line_me.LineButton({"pc":false,"lang":"ja","type":"e"}); // -->
2015.2.19
コラム 妊娠・出産
-
海外レポート:生殖補助医療の現状【スペイン編】
海外レポート:生殖補助医療の現状【スペイン編】 法整備がなかなか進まない日本を飛び出し、海外で治療する人も出てきた卵子提供。金銭や治療トラブルも多いと言われるのが現状です。そこで、法整備が進んでいるスペインのクリニック「Clinica EUGIN」に、卵子提供の実態を取材してみました。 まずは、クリニックの概要を教えてください 当院では、タイミング法、人工受精、体外受精など、スペインで法律によって許可されている全ての治療を行っています。中でも、当院の名前が世界に知られることとなったのは、HIVの患者様の精液を洗浄し、HIVウイルスを完全に除去した後、体外受精に成功したという、その確かな技術です。 卵子提供を伴う治療においても、ヨーロッパ全体で行われている治療の約10%を当院が担っており、とても国際的なクリニックです。スタッフは全部で200人以上、各言語を話すコーディネーターや専門のカウンセリングスタッフもいて、心理的なケアも万全。もちろん日本語が話せるコーディネーターもいます。 卵子を提供するドナーについて、どんな方々が登録されているのか教えてください さまざまな人種や国籍のドナーが登録していますが、スペインの法律では、卵子提供者は完全に匿名で自発的そして利他的であり、身体的特徴を最優先させたマッチングが義務付けられています。クリニックから卵子提供を受ける患者様にお教えできるのはドナーの年齢と血液型のみ。写真をお見せしたり、国籍をお教えすることも、禁じられています。 医学的には、胚移植を受ける女性と卵子を提供するドナーとの血液型が違ってもまったく問題ないのですが、日本をはじめとするいくつかの国では、血液型の一致をご希望される方が多く、その場合は、身体的特徴を最優先したうえで、同じ血液型のドナーを探すようにしています。 しかし、国籍や人種を指定してしまうと、逆に条件を狭めてしまうことになります。同じ日本人でもいろいろなお顔だち、身体的特徴がありますので、国籍や人種のしばりをなくし、お顔立ちや目の雰囲気、肌の色、髪の色、身長、体重などといった身体的特徴が純粋に似ている方、という探し方のほうが、より良いマッチングができると考えています。 もちろん、アジア系の患者様の場合には、アジア系やその近隣諸国からのマッチングが多くなります。ただし、たとえばアメリカや南米出身の方でも、ご先祖にアジア出身の方がいらっしゃって、患者様と身体的特徴がよく似ている、という場合は、そちらのほうをマッチングする場合があります。 日本から治療に行く場合のスケジュールは? 「キーワードで検索して見つけました」という方が多く、WEBサイトのコンタクトフォームからお問い合わせいただくのが最も多いファーストコンタクトの方法です。その後、何度かやりとりをして実際に卵子提供を受けるということになった場合、診察は初診と胚移植時の2回だけ。初診はスカイプを使っても行うことが可能です。スカイプでの初診をご希望される場合には、事前に必要な書類にすべてご記入いただき、郵送を。必要書類が揃った時点で、スカイプを設定し、初診を行います。その後、実際に来院していただき、ご主人の精子のサンプルをご提出後、胚移植を実施。凍結卵子を使用する場合など、もろもろ条件をクリアする必要はありますが、最短だと日本からの渡航は1回、滞在期間は3~5日間ぐらいですむことになります。 最後に、日本のみなさんにメッセージをください やはり、医師としてアドバイスしたいのは、卵子提供が必要になってしまう前に、妊娠できる環境を整えられること。もう少し早い段階で、妊娠について考えられることが当然ながら一番だと思います。 そのうえで、卵子提供がもしも必要になってしまった場合には、実績のあるクリニック、信頼できる専門の医師に相談を。クリニック選びは、法律が整備されている国か、実績のある卵子提供プログラムを備えているかなど、情報収集をしっかりされることが重要です。治療中に大きな心理的負担を感じる方もいらっしゃいますので、専門のカウンセラーがいるなども、いいクリニックの条件かと思います。 卵子提供を受けたからといって、特別なリスクが上がるということではありませんが、どうしても患者様の平均年齢が高くなりがちなので、その分、妊娠のリスクが高くなります。健康的な生活を送って、健康な状態でいらっしゃるというのも、大切なポイントだと思います。 Dr. Amelia Rodriguez 2000年にセビリア大学医学部を卒業後、臨床研修期間を経て2006年より生殖補助医療専門医として勤務。2010年よりEUGINクリニックの生殖補助医療専門医となり、スペイン語、英語、フランス語での診察を担当。現在は、当院医療責任者に就任。 Clinica EUGIN 293-295 - Travessera de les Corts, 322 (08029) Barcelona Tel:+34 93 322 11 22 mail(日本語):infojp@eugin.es HP:http://www.eugin.jp/ 海外レポート:生殖補助医療の現状【スペイン編】 法整備がなかなか進まない日本を飛び出し、海外で治療する人も出てきた卵子提供。金銭や治療トラブルも多いと言われるのが現状です。そこで、法整備が進んでいるスペインのクリニック「Clinica EUGIN」に、卵子提供の実態を取材してみました。 まずは、クリニックの概要を教えてください 当院では、タイミング法、人工受精、体外受精など、スペインで法律によって許可されている全ての治療を行っています。中でも、当院の名前が世界に知られることとなったのは、HIVの患者様の精液を洗浄し、HIVウイルスを完全に除去した後、体外受精に成功したという、その確かな技術です。 卵子提供を伴う治療においても、ヨーロッパ全体で行われている治療の約10%を当院が担っており、とても国際的なクリニックです。スタッフは全部で200人以上、各言語を話すコーディネーターや専門のカウンセリングスタッフもいて、心理的なケアも万全。もちろん日本語が話せるコーディネーターもいます。 卵子を提供するドナーについて、どんな方々が登録されているのか教えてください さまざまな人種や国籍のドナーが登録していますが、スペインの法律では、卵子提供者は完全に匿名で自発的そして利他的であり、身体的特徴を最優先させたマッチングが義務付けられています。クリニックから卵子提供を受ける患者様にお教えできるのはドナーの年齢と血液型のみ。写真をお見せしたり、国籍をお教えすることも、禁じられています。 医学的には、胚移植を受ける女性と卵子を提供するドナーとの血液型が違ってもまったく問題ないのですが、日本をはじめとするいくつかの国では、血液型の一致をご希望される方が多く、その場合は、身体的特徴を最優先したうえで、同じ血液型のドナーを探すようにしています。 しかし、国籍や人種を指定してしまうと、逆に条件を狭めてしまうことになります。同じ日本人でもいろいろなお顔だち、身体的特徴がありますので、国籍や人種のしばりをなくし、お顔立ちや目の雰囲気、肌の色、髪の色、身長、体重などといった身体的特徴が純粋に似ている方、という探し方のほうが、より良いマッチングができると考えています。 もちろん、アジア系の患者様の場合には、アジア系やその近隣諸国からのマッチングが多くなります。ただし、たとえばアメリカや南米出身の方でも、ご先祖にアジア出身の方がいらっしゃって、患者様と身体的特徴がよく似ている、という場合は、そちらのほうをマッチングする場合があります。 日本から治療に行く場合のスケジュールは? 「キーワードで検索して見つけました」という方が多く、WEBサイトのコンタクトフォームからお問い合わせいただくのが最も多いファーストコンタクトの方法です。その後、何度かやりとりをして実際に卵子提供を受けるということになった場合、診察は初診と胚移植時の2回だけ。初診はスカイプを使っても行うことが可能です。スカイプでの初診をご希望される場合には、事前に必要な書類にすべてご記入いただき、郵送を。必要書類が揃った時点で、スカイプを設定し、初診を行います。その後、実際に来院していただき、ご主人の精子のサンプルをご提出後、胚移植を実施。凍結卵子を使用する場合など、もろもろ条件をクリアする必要はありますが、最短だと日本からの渡航は1回、滞在期間は3~5日間ぐらいですむことになります。 最後に、日本のみなさんにメッセージをください やはり、医師としてアドバイスしたいのは、卵子提供が必要になってしまう前に、妊娠できる環境を整えられること。もう少し早い段階で、妊娠について考えられることが当然ながら一番だと思います。 そのうえで、卵子提供がもしも必要になってしまった場合には、実績のあるクリニック、信頼できる専門の医師に相談を。クリニック選びは、法律が整備されている国か、実績のある卵子提供プログラムを備えているかなど、情報収集をしっかりされることが重要です。治療中に大きな心理的負担を感じる方もいらっしゃいますので、専門のカウンセラーがいるなども、いいクリニックの条件かと思います。 卵子提供を受けたからといって、特別なリスクが上がるということではありませんが、どうしても患者様の平均年齢が高くなりがちなので、その分、妊娠のリスクが高くなります。健康的な生活を送って、健康な状態でいらっしゃるというのも、大切なポイントだと思います。 Dr. Amelia Rodriguez 2000年にセビリア大学医学部を卒業後、臨床研修期間を経て2006年より生殖補助医療専門医として勤務。2010年よりEUGINクリニックの生殖補助医療専門医となり、スペイン語、英語、フランス語での診察を担当。現在は、当院医療責任者に就任。 Clinica EUGIN 293-295 - Travessera de les Corts, 322 (08029) Barcelona Tel:+34 93 322 11 22 mail(日本語):infojp@eugin.es HP:http://www.eugin.jp/
2015.2.19
コラム 不妊治療
-
不妊治療と卵子提供、医師が語るその現状と課題(2)
セントマザー産婦人科医院の田中温先生とセント・ルカ産婦人科の宇津宮隆史先生に卵子提供のあり方や、進むべき方向性について、引き続き白熱した議論を交わしていただきました。
2015.2.18
コラム 不妊治療
-
不妊治療と卵子提供、医師が語るその現状と課題(1)
自身の卵子では妊娠に至らないという状況に直面した時に、卵子提供という選択肢はあるのか、そして、医療現場ではどのように考えられているのか、セントマザー産婦人科医院の田中温先生と、セント・ルカ産婦人科の宇津宮隆史先生にお話をお聞きしました。
2015.2.18
コラム 不妊治療
-
はじめてのママへ。大丈夫と伝えたい。
はじめてのママへ。大丈夫と伝えたい。 画像:Shutterstock.com はじめての妊娠、そして出産。楽しみでもあり、不安も少し…。そんな初心者ママを応援したいとスキナベーブでは毎年、赤ちゃんエッセイコンテストを開催しています。エッセイには、先輩ママや専門家の方の体験談がいっぱい。元気になれるエッセイが、きっと見つかります。ジネコでは、これまでの受賞作品の中から素敵なエッセイをピックアップしてご紹介してまいります。 当時の私は、疲れ切っていた。朝7時に家を出て、日付が変わる頃やっと帰宅する激務の夫。半年前に転勤ではじめてやって来た見知らぬ土地、実家は遠く友達もいない。家には私と赤ちゃんの2人だけ。そして赤ちゃんは、いつもいつも泣いていた…。 おっぱい、おむつ替え、おっぱい、おむつ替え、抱っこ、抱っこ、またおむつ。そうじ、洗濯、買い物、食事の支度。一人で何もかもをこなし、あっと言う間に夕方を迎えると、私の気持ちも太陽とともに暗く沈んでくる。 「沐浴させる時間だわ…」 テレビドラマやCMを見ていると、ベビーバスの中でキャッキャと楽しそうに笑う赤ちゃんと、その笑顔を見ながらニコニコと体を洗っているお母さんがよく出てくる。そんな映像を見るたび、私は思わず涙ぐんでしまう。 「どうしてうちの子は、お風呂を嫌がるの…」 暑いの?寒いの?怖いの?お水が嫌いなの?色々な事を考えながら、温度を変えたり向きを変えたり、せっけんのブランドまで変えてみた。それでも赤ちゃんの号泣がやむ気配はなく、毎日毎日、ひどく泣かれて自分も泣きながら小さいからだを洗っていた。苦しい。どうしたらいいのかわからない。出口が見えない…。お風呂から上がり、まだ泣きわめく赤ちゃんをタオルにくるんだまま、私はぼうぜんと床に座っていた。 するとインターホンが鳴った。私はぼうっとした頭のまま、玄関を開けた。マンション上階の方だった。 「ずいぶん泣いてるようだけど、」 不機嫌な顔で言われ、とっさに 「すみませんごめんなさい。うるさいですよねご迷惑ですよね。私が悪いんですごめんなさい」 一気にそう言ってしまうと、そのまま自分もまた声を上げて泣いてしまった。その方はいっけん怖そうなおばさまだったのだが、泣きじゃくる私を見てちょっと驚いた様子をし、次ににっこりとほほ笑んで、 「あらまあ、お母さんまでいっしょになって泣いてちゃだめじゃないのよ。ちょっと上がらせて、赤ちゃん久し振りだわ、抱っこさせて」 と言うと、ゆらゆら抱っこしてあやし始めた。 「まあまあ小さいお口でちゅねぇ、そんなに泣いたらママ困っちゃうわよお」 知らない人に抱っこされて一瞬きょとんとした赤ちゃんも、ゆらゆらが気持ちいいのかじきスヤスヤと眠ってしまった。私はおばさまに何度も頭を下げ、「すみません…」を繰り返すのみだった。すると、 「あんたさあ、そんなにあやまらなくってもいいのよ。赤んぼなんてね、どうしたって泣くときゃ泣くもんよ。あたしぐらいの年になると、赤んぼの泣き声なんて鳥がピーチク言ってるぐらいのもんだしさ。あ、そうか、あたしが文句言いに来たと思った。違うわよお。あんまり泣くからさあ、どっかケガでもしたのかと思ってねえ。おばさんヒマだからさ、ときどき家つれてらっしゃいよ。家の中じいさんしかいないし、赤ちゃんなんて大歓迎よ」 私はひたすら、泣いた。でも苦しい涙ではなく、安堵の涙。私は一人じゃない…。 それからはちょくちょくおばさまの家にお邪魔させてもらい、おじさまもとてもお優しい方で親切にしてもらった。 気が付くと、いつも泣きっぱなしだった赤ちゃんがよく笑うようになり、話しかければうれしそうに手足をばたつかせる。 そしてお風呂で泣く事もなくなっていた。 息子たちが高校生と大学生になった今、私は託児センターのような所で、ボランティアスタッフとして小さいお子さんをお預かりしています。今度は私が若いお母さんを助けてあげる番。それが私を救ってくれたおばさまへの、一番の恩返しになると信じています。 提供:スキナベーブ 赤ちゃんエッセイコンテスト ■ あわせて読みたい ■ 赤ちゃんの抱きグセ。抱っこのしすぎはダメって本当!? 水分補給は母乳だけじゃだめ?お白湯を赤ちゃんに飲ませるメリットとは!? 赤ちゃんを上手く寝かしつけるにはどうすれば? 女性のための健康生活マガジン JINEKO はじめてのママへ。大丈夫と伝えたい。 画像:Shutterstock.com はじめての妊娠、そして出産。楽しみでもあり、不安も少し…。そんな初心者ママを応援したいとスキナベーブでは毎年、赤ちゃんエッセイコンテストを開催しています。エッセイには、先輩ママや専門家の方の体験談がいっぱい。元気になれるエッセイが、きっと見つかります。ジネコでは、これまでの受賞作品の中から素敵なエッセイをピックアップしてご紹介してまいります。 当時の私は、疲れ切っていた。朝7時に家を出て、日付が変わる頃やっと帰宅する激務の夫。半年前に転勤ではじめてやって来た見知らぬ土地、実家は遠く友達もいない。家には私と赤ちゃんの2人だけ。そして赤ちゃんは、いつもいつも泣いていた…。 おっぱい、おむつ替え、おっぱい、おむつ替え、抱っこ、抱っこ、またおむつ。そうじ、洗濯、買い物、食事の支度。一人で何もかもをこなし、あっと言う間に夕方を迎えると、私の気持ちも太陽とともに暗く沈んでくる。 「沐浴させる時間だわ…」 テレビドラマやCMを見ていると、ベビーバスの中でキャッキャと楽しそうに笑う赤ちゃんと、その笑顔を見ながらニコニコと体を洗っているお母さんがよく出てくる。そんな映像を見るたび、私は思わず涙ぐんでしまう。 「どうしてうちの子は、お風呂を嫌がるの…」 暑いの?寒いの?怖いの?お水が嫌いなの?色々な事を考えながら、温度を変えたり向きを変えたり、せっけんのブランドまで変えてみた。それでも赤ちゃんの号泣がやむ気配はなく、毎日毎日、ひどく泣かれて自分も泣きながら小さいからだを洗っていた。苦しい。どうしたらいいのかわからない。出口が見えない…。お風呂から上がり、まだ泣きわめく赤ちゃんをタオルにくるんだまま、私はぼうぜんと床に座っていた。 するとインターホンが鳴った。私はぼうっとした頭のまま、玄関を開けた。マンション上階の方だった。 「ずいぶん泣いてるようだけど、」 不機嫌な顔で言われ、とっさに 「すみませんごめんなさい。うるさいですよねご迷惑ですよね。私が悪いんですごめんなさい」 一気にそう言ってしまうと、そのまま自分もまた声を上げて泣いてしまった。その方はいっけん怖そうなおばさまだったのだが、泣きじゃくる私を見てちょっと驚いた様子をし、次ににっこりとほほ笑んで、 「あらまあ、お母さんまでいっしょになって泣いてちゃだめじゃないのよ。ちょっと上がらせて、赤ちゃん久し振りだわ、抱っこさせて」 と言うと、ゆらゆら抱っこしてあやし始めた。 「まあまあ小さいお口でちゅねぇ、そんなに泣いたらママ困っちゃうわよお」 知らない人に抱っこされて一瞬きょとんとした赤ちゃんも、ゆらゆらが気持ちいいのかじきスヤスヤと眠ってしまった。私はおばさまに何度も頭を下げ、「すみません…」を繰り返すのみだった。すると、 「あんたさあ、そんなにあやまらなくってもいいのよ。赤んぼなんてね、どうしたって泣くときゃ泣くもんよ。あたしぐらいの年になると、赤んぼの泣き声なんて鳥がピーチク言ってるぐらいのもんだしさ。あ、そうか、あたしが文句言いに来たと思った。違うわよお。あんまり泣くからさあ、どっかケガでもしたのかと思ってねえ。おばさんヒマだからさ、ときどき家つれてらっしゃいよ。家の中じいさんしかいないし、赤ちゃんなんて大歓迎よ」 私はひたすら、泣いた。でも苦しい涙ではなく、安堵の涙。私は一人じゃない…。 それからはちょくちょくおばさまの家にお邪魔させてもらい、おじさまもとてもお優しい方で親切にしてもらった。 気が付くと、いつも泣きっぱなしだった赤ちゃんがよく笑うようになり、話しかければうれしそうに手足をばたつかせる。 そしてお風呂で泣く事もなくなっていた。 息子たちが高校生と大学生になった今、私は託児センターのような所で、ボランティアスタッフとして小さいお子さんをお預かりしています。今度は私が若いお母さんを助けてあげる番。それが私を救ってくれたおばさまへの、一番の恩返しになると信じています。 提供:スキナベーブ 赤ちゃんエッセイコンテスト ■ あわせて読みたい ■ 赤ちゃんの抱きグセ。抱っこのしすぎはダメって本当!? 水分補給は母乳だけじゃだめ?お白湯を赤ちゃんに飲ませるメリットとは!? 赤ちゃんを上手く寝かしつけるにはどうすれば? 女性のための健康生活マガジン JINEKO
2015.2.12
コラム 子育て・教育
-
切迫早産・早産とは(2)
切迫早産・早産とは?(2) 妊娠22週から36週までに生まれてしまう早産。体や機能が未成熟な状態で生まれると命の危険や、障害が残る可能性もあります。徴候を逃さず、未然に防ぎましょう。 Q:早産の予防策はありますか?(らんらんさん・28歳) 安静に過ごすことが一番大事。早産の徴候を見逃さないようにしましょう。 早期の発見と適切な処置で防ぐことが可能 子宮口が開きかけている、破水をしているなど、早産になりかかっている状態を切迫早産といいます。徴候に早く気づき、適切な治療を始めれば、防ぐことができます。妊娠後期の赤ちゃんはおなかの中でぐんぐん成熟していきます。1日でも長くおなかの中にいられれば、それだけ障害や合併症の危険を遠ざけることができるのです。 妊婦さんが自分で発見できる切迫早産の主な徴候は左の5つです。見逃さないように注意して過ごしましょう。 妊娠後期の診察では、内診や超音波で子宮口の開き具合や頸管の長さを測ります。子宮口は出産が近づくまで固く閉じているのが普通。それが開きかかっていれば早産が心配な状態です。子宮頸管無力症も内診や超音波検査で発見されることが多くなっています。異常がないと思っても、定期健診は必ず受診しましょう。 切迫早産の治療は安静と張り止めの薬 切迫早産と診断されたら、何よりも重要なのが安静にすること。状態によって自宅安静か入院安静を医師に指示されるので、従いましょう。子宮収縮の程度が軽く子宮口があまり開いていない場合は自宅安静、子宮収縮が強く子宮口が開き始めている状態では入院安静となります。 治療は、おなかの張りが強い場合は、子宮収縮抑制剤を点滴または内服で投与します。さらに切迫早産の原因がはっきりとわかっていれば、それに応じた治療や処置を行います。細菌による腟内感染が原因であれば、細菌を除去するために抗生物質を使用することもあります。 適切な治療を受け、安静をしっかり守り、少しでも長く、赤ちゃんをお母さんのおなかの中にとどめてあげましょう。 おなかの張り、下腹部痛 妊娠中期以降は、誰でもある程度子宮が収縮することがあります。横になっていても痛みや張りが収まらなかったり、周期的に起こるような時は要注意です。 出血 少量の出血でも、原因が子宮収縮である可能性もあります。心配ない場合もありますが、自己判断をせず、すぐに受診しましょう。 胎動が感じられない 胎動は赤ちゃんが元気な証拠。胎動を毎日確認し、動きが鈍い、ないと感じたら受診しましょう。ただし正期産に入り、赤ちゃんの頭が骨盤に下りてくると動きが少なくなります。この場合は心配いりません。 水が流れ出るような感じ 水が流れ出てくるような感じがしたら、破水が考えられます。早産につながる最も心配な症状です。破水すると子宮収縮を促すプロスタグラディンという物質が生成され、陣痛が始まります。横になって、すぐに病院に連絡しましょう。 おりものが増える、においがある 早産を引き起こす絨毛膜羊膜炎につながる腟炎を起こしていると、においのあるおりものが増えてきます。おかしいなと思ったら、診察を受けましょう。 全出産件数のうち、低出生体重児は9.6%。約10人に1人の割合で生まれています。年齢別では、19歳以下と、35歳以降で10%を超え、45歳以上では20%近くに。高齢出産では早産のリスクが高いと考えられます。 関連記事:《 切迫早産・早産とは(1) 》 切迫早産・早産とは?(2) 妊娠22週から36週までに生まれてしまう早産。体や機能が未成熟な状態で生まれると命の危険や、障害が残る可能性もあります。徴候を逃さず、未然に防ぎましょう。 Q:早産の予防策はありますか?(らんらんさん・28歳) 安静に過ごすことが一番大事。早産の徴候を見逃さないようにしましょう。 早期の発見と適切な処置で防ぐことが可能 子宮口が開きかけている、破水をしているなど、早産になりかかっている状態を切迫早産といいます。徴候に早く気づき、適切な治療を始めれば、防ぐことができます。妊娠後期の赤ちゃんはおなかの中でぐんぐん成熟していきます。1日でも長くおなかの中にいられれば、それだけ障害や合併症の危険を遠ざけることができるのです。 妊婦さんが自分で発見できる切迫早産の主な徴候は左の5つです。見逃さないように注意して過ごしましょう。 妊娠後期の診察では、内診や超音波で子宮口の開き具合や頸管の長さを測ります。子宮口は出産が近づくまで固く閉じているのが普通。それが開きかかっていれば早産が心配な状態です。子宮頸管無力症も内診や超音波検査で発見されることが多くなっています。異常がないと思っても、定期健診は必ず受診しましょう。 切迫早産の治療は安静と張り止めの薬 切迫早産と診断されたら、何よりも重要なのが安静にすること。状態によって自宅安静か入院安静を医師に指示されるので、従いましょう。子宮収縮の程度が軽く子宮口があまり開いていない場合は自宅安静、子宮収縮が強く子宮口が開き始めている状態では入院安静となります。 治療は、おなかの張りが強い場合は、子宮収縮抑制剤を点滴または内服で投与します。さらに切迫早産の原因がはっきりとわかっていれば、それに応じた治療や処置を行います。細菌による腟内感染が原因であれば、細菌を除去するために抗生物質を使用することもあります。 適切な治療を受け、安静をしっかり守り、少しでも長く、赤ちゃんをお母さんのおなかの中にとどめてあげましょう。 おなかの張り、下腹部痛 妊娠中期以降は、誰でもある程度子宮が収縮することがあります。横になっていても痛みや張りが収まらなかったり、周期的に起こるような時は要注意です。 出血 少量の出血でも、原因が子宮収縮である可能性もあります。心配ない場合もありますが、自己判断をせず、すぐに受診しましょう。 胎動が感じられない 胎動は赤ちゃんが元気な証拠。胎動を毎日確認し、動きが鈍い、ないと感じたら受診しましょう。ただし正期産に入り、赤ちゃんの頭が骨盤に下りてくると動きが少なくなります。この場合は心配いりません。 水が流れ出るような感じ 水が流れ出てくるような感じがしたら、破水が考えられます。早産につながる最も心配な症状です。破水すると子宮収縮を促すプロスタグラディンという物質が生成され、陣痛が始まります。横になって、すぐに病院に連絡しましょう。 おりものが増える、においがある 早産を引き起こす絨毛膜羊膜炎につながる腟炎を起こしていると、においのあるおりものが増えてきます。おかしいなと思ったら、診察を受けましょう。 全出産件数のうち、低出生体重児は9.6%。約10人に1人の割合で生まれています。年齢別では、19歳以下と、35歳以降で10%を超え、45歳以上では20%近くに。高齢出産では早産のリスクが高いと考えられます。 関連記事:《 切迫早産・早産とは(1) 》
2015.2.6
コラム 妊娠・出産
-
切迫早産・早産とは(1)
切迫早産・早産とは?(1) 妊娠22週から36週までに生まれてしまう早産。体や機能が未成熟な状態で生まれると命の危険や、障害が残る可能性もあります。徴候を逃さず、未然に防ぎましょう。 Q:妊娠31週で張り止めの薬を飲んでいます。早産になると赤ちゃんへの影響は?(アリスさん・29歳) 34週になれば体の機能がほぼ成熟します。安静を保ち、少しでも長くおなかの中にいさせてあげて。 早産の原因は子宮内感染や母体の体質 妊娠22週以降、正期産(妊娠37~41週まで)に入る前までの出産を早産といいます。早産は全妊娠の約5%に起こっていて、原因の多くは細菌による子宮内感染です。 腟から入った細菌がまず腟炎を起こし、だんだんと上に移動して子宮頸管に感染し、子宮口を開きやすい状態になります。さらに子宮内に入り、赤ちゃんや羊水を包む卵膜まで達すると、絨毛膜羊膜炎という感染症を引き起こします。そうなると子宮を収縮させ、卵膜を溶かし、破水して早産を引き起こします。 精液のなかには絨毛膜羊膜炎を引き起こす細菌が存在することもあるので、早産の疑いがある場合、性行為を控えたり、コンドームを使用するようにしましょう。また妊娠前から入り込んでいるクラミジアや大腸菌など、さまざまな菌が原因菌となります。絨毛膜羊膜炎を予防するには、子宮内に感染する前の、腟炎や頸管炎の段階で治療するのが効果的です。腟炎の兆候は、においのあるおりものや、微量の出血など。もしこんな症状があったら、早めに受診しましょう。 子宮内感染以外にも早産の原因はさまざまあります。子宮頸管無力症は子宮口が開きやすい体質をいい、状況により頸管を縛る手術をすることがあります。妊娠高血圧症候群や妊娠糖尿病、子宮筋腫や子宮奇形も早産の原因になります。そのほか、胎盤が子宮口をふさぐ前置胎盤や、分娩前に胎盤がはがれてしまう常位胎盤早期剥離では、出血を起こし、早産を引き起こします。 早産で生まれると障害や後遺症が残る可能性も 赤ちゃんがおなかの中で十分に育ち、出産後も問題なく生きていけるだろうとされている時期の目安が正期産(妊娠37~41週)。それに満たない時期での出産は、妊娠週数が早いほどリスクが大きくなります。30週未満では脳に障害を起こす危険があり、32週未満では呼吸器障害などの合併症の発生率が高くなっています。34~35週を過ぎれば肺の機能もほぼ完成し、体重は足りなくても、ほぼ成熟した状態になります。 早産で生まれても、新生児集中治療室(NICU)のある施設で迅速に適切な処置が受けられれば、赤ちゃんが命を落とす危険は少なくなりました。それでも、妊娠週数が早ければ、長期の入院が必要になります。専門の医師の管理のもと保育器の中で過ごさなければならず、生まれた赤ちゃんをすぐに抱くこともできません。赤ちゃんと一緒に退院し、親子で新しい生活を始めるためにも、早産を予防しましょう。 赤ちゃんの体重別の呼び方 ○低出生体重児…2500g未満 ○極低出生体重児…1500g未満 ○超低出生体重児…1000g未満 関連記事:《 切迫早産・早産とは(2) 》 切迫早産・早産とは?(1) 妊娠22週から36週までに生まれてしまう早産。体や機能が未成熟な状態で生まれると命の危険や、障害が残る可能性もあります。徴候を逃さず、未然に防ぎましょう。 Q:妊娠31週で張り止めの薬を飲んでいます。早産になると赤ちゃんへの影響は?(アリスさん・29歳) 34週になれば体の機能がほぼ成熟します。安静を保ち、少しでも長くおなかの中にいさせてあげて。 早産の原因は子宮内感染や母体の体質 妊娠22週以降、正期産(妊娠37~41週まで)に入る前までの出産を早産といいます。早産は全妊娠の約5%に起こっていて、原因の多くは細菌による子宮内感染です。 腟から入った細菌がまず腟炎を起こし、だんだんと上に移動して子宮頸管に感染し、子宮口を開きやすい状態になります。さらに子宮内に入り、赤ちゃんや羊水を包む卵膜まで達すると、絨毛膜羊膜炎という感染症を引き起こします。そうなると子宮を収縮させ、卵膜を溶かし、破水して早産を引き起こします。 精液のなかには絨毛膜羊膜炎を引き起こす細菌が存在することもあるので、早産の疑いがある場合、性行為を控えたり、コンドームを使用するようにしましょう。また妊娠前から入り込んでいるクラミジアや大腸菌など、さまざまな菌が原因菌となります。絨毛膜羊膜炎を予防するには、子宮内に感染する前の、腟炎や頸管炎の段階で治療するのが効果的です。腟炎の兆候は、においのあるおりものや、微量の出血など。もしこんな症状があったら、早めに受診しましょう。 子宮内感染以外にも早産の原因はさまざまあります。子宮頸管無力症は子宮口が開きやすい体質をいい、状況により頸管を縛る手術をすることがあります。妊娠高血圧症候群や妊娠糖尿病、子宮筋腫や子宮奇形も早産の原因になります。そのほか、胎盤が子宮口をふさぐ前置胎盤や、分娩前に胎盤がはがれてしまう常位胎盤早期剥離では、出血を起こし、早産を引き起こします。 早産で生まれると障害や後遺症が残る可能性も 赤ちゃんがおなかの中で十分に育ち、出産後も問題なく生きていけるだろうとされている時期の目安が正期産(妊娠37~41週)。それに満たない時期での出産は、妊娠週数が早いほどリスクが大きくなります。30週未満では脳に障害を起こす危険があり、32週未満では呼吸器障害などの合併症の発生率が高くなっています。34~35週を過ぎれば肺の機能もほぼ完成し、体重は足りなくても、ほぼ成熟した状態になります。 早産で生まれても、新生児集中治療室(NICU)のある施設で迅速に適切な処置が受けられれば、赤ちゃんが命を落とす危険は少なくなりました。それでも、妊娠週数が早ければ、長期の入院が必要になります。専門の医師の管理のもと保育器の中で過ごさなければならず、生まれた赤ちゃんをすぐに抱くこともできません。赤ちゃんと一緒に退院し、親子で新しい生活を始めるためにも、早産を予防しましょう。 赤ちゃんの体重別の呼び方 ○低出生体重児…2500g未満 ○極低出生体重児…1500g未満 ○超低出生体重児…1000g未満 関連記事:《 切迫早産・早産とは(2) 》
2015.2.6
コラム 妊娠・出産
-
変わらない顔
赤ちゃんエッセイ:変わらない顔 画像:Shutterstock.com はじめての妊娠、そして出産。楽しみでもあり、不安も少し…。そんな初心者ママを応援したいとスキナベーブでは毎年、赤ちゃんエッセイコンテストを開催しています。エッセイには、先輩ママや専門家の方の体験談がいっぱい。元気になれるエッセイが、きっと見つかります。ジネコでは、これまでの受賞作品の中から素敵なエッセイをピックアップしてご紹介してまいります。 顔は段々と変わっていく。産まれ立ては、お猿さんのような顔だし、この世を去る時は、シワクチャになっている。でも、変わらない顔を僕は知っている。 予定日の3週間前から、妻とお腹の赤ちゃんは実家に戻って、出産の日を待っていた。僕は仕事を終えて、クリスマスの日に彼女の実家へ到着した。一緒にお腹の中にいる赤ちゃんに話しかけながら、誕生を心待ちにしていた。 夜中の0時、部屋で寝てると、いつもと違う痛みがきたと妻が言い始めた。それは10分間隔でやってきた。「陣痛か?」僕も妻もよく分からない。救急車を呼んで病院に行こうと行ったが妻はまだ大丈夫だと言った。1時間経過してまだ痛がってるのでこれは陣痛だと思い、病院へ向かった。 病室に入って検査を受けたらやはり陣痛だった。だんだん間隔がせばまってきてくる陣痛。腰をさすり、手を握りながら、励ます自分。もうすぐ赤ちゃんに会える喜びでいっぱいだった。はやく会いたいよ。それから夜の間、妻は陣痛と戦いながら寝て、僕も励ましながら寝た。 朝に検査を受けると、問題が生じた。赤ちゃんの心拍数が突然落ちたりしていた。医者は真剣な顔で「もっと大きい病院に行ったほうが良い」と言った。その顔と言葉から問題の大きさが分かった。看護婦さんが救急車を呼び都市部の大きな病院に行くことになった。 大きな病院に到着した。至急検査が行われた。待機室で指をくわえ、歩いては座り、考えにふけってはまた立ち上がり、いてもたってもいられなかった。大丈夫かなぁ?不安でいっぱいだった。悲鳴が聞こえてくる。唇をかみ締めながら、「がんばれ!」と心の中で叫ぶ。 検査が終わった。赤ちゃんの心臓は異常があるかないか産んでみないと分からないという事だった。もし赤ちゃんに異常があったら手術だったけど、とりあえず自然分娩にする事になった。ちょっぴり胸をなでおろした。帝王切開よりやっぱお母さんが踏ん張って赤ちゃんと協力して産むのが良いなぁと思っていたから。 妻がふんばる。ふんばる。子宮はもう十分開いているのに赤ちゃんが降りてこない。だんだん赤ちゃんの心拍数が弱くなっていく。お医者さんはこのままじゃ赤ちゃんに危険があると言って帝王切開をしたほうが良いと言う。お医者さんは迅速に書類を書き終え、サインを迫る。子供が危険なら選択の余地はなかった。妻が「子供はもっと産めるんですか?」とたずねる。大丈夫だとお医者さんは言う。でも最悪の場合、子宮を取り除く可能性もあるという。妻の目から涙が溢れた。僕の目からも涙が溢れた。 妻は手術室へ、僕は待機室へ。父に電話した。母に電話した。姉から電話が来た。上司から電話が来た。沢山の人が励ましてくれた。一人一人の声を聞いただけで、涙が止まらなかった。待機室での2時間、涙で目がパンパンに腫れた。 手術は成功した。妻は麻酔のせいで眠そうにも痛そうにも見えた。「おめでとう。本当にありがとう」って言ったら、妻は精一杯、微笑んでくれた。赤ちゃんはどうなったんだろう。 はやる気持ちを抑えて、新生児室へ。そこで目に飛び込んできた赤ちゃんが僕の娘だった。できたてホヤホヤでフニャフニャだけど、何故か笑っていて、メチャクチャ可愛かった。心臓にもどこにも異常は見当たらないということだった。じーっと見ていると涙が出てきた。両親に早く見せたいなぁ。妻に早く見せたいなぁ。みんなに早く見せたいなぁ。僕もずっと見ていたい。 今、娘は3歳になり、幼稚園に通っている。娘の顔は、赤ちゃんの頃から少しずつ変わっているけど、笑った顔は不思議と初めて見た時の産まれたばっかの笑顔と変わっていない。時代も世界も変わっていく中で、この笑顔だけは変わらないで欲しい。そして、この笑顔で僕達だけでなく、沢山の人を笑顔に変えていって欲しい。 提供:スキナベーブ 赤ちゃんエッセイコンテスト <!-- new media_line_me.LineButton({"pc":false,"lang":"ja","type":"e"}); // --> 赤ちゃんエッセイ:変わらない顔 画像:Shutterstock.com はじめての妊娠、そして出産。楽しみでもあり、不安も少し…。そんな初心者ママを応援したいとスキナベーブでは毎年、赤ちゃんエッセイコンテストを開催しています。エッセイには、先輩ママや専門家の方の体験談がいっぱい。元気になれるエッセイが、きっと見つかります。ジネコでは、これまでの受賞作品の中から素敵なエッセイをピックアップしてご紹介してまいります。 顔は段々と変わっていく。産まれ立ては、お猿さんのような顔だし、この世を去る時は、シワクチャになっている。でも、変わらない顔を僕は知っている。 予定日の3週間前から、妻とお腹の赤ちゃんは実家に戻って、出産の日を待っていた。僕は仕事を終えて、クリスマスの日に彼女の実家へ到着した。一緒にお腹の中にいる赤ちゃんに話しかけながら、誕生を心待ちにしていた。 夜中の0時、部屋で寝てると、いつもと違う痛みがきたと妻が言い始めた。それは10分間隔でやってきた。「陣痛か?」僕も妻もよく分からない。救急車を呼んで病院に行こうと行ったが妻はまだ大丈夫だと言った。1時間経過してまだ痛がってるのでこれは陣痛だと思い、病院へ向かった。 病室に入って検査を受けたらやはり陣痛だった。だんだん間隔がせばまってきてくる陣痛。腰をさすり、手を握りながら、励ます自分。もうすぐ赤ちゃんに会える喜びでいっぱいだった。はやく会いたいよ。それから夜の間、妻は陣痛と戦いながら寝て、僕も励ましながら寝た。 朝に検査を受けると、問題が生じた。赤ちゃんの心拍数が突然落ちたりしていた。医者は真剣な顔で「もっと大きい病院に行ったほうが良い」と言った。その顔と言葉から問題の大きさが分かった。看護婦さんが救急車を呼び都市部の大きな病院に行くことになった。 大きな病院に到着した。至急検査が行われた。待機室で指をくわえ、歩いては座り、考えにふけってはまた立ち上がり、いてもたってもいられなかった。大丈夫かなぁ?不安でいっぱいだった。悲鳴が聞こえてくる。唇をかみ締めながら、「がんばれ!」と心の中で叫ぶ。 検査が終わった。赤ちゃんの心臓は異常があるかないか産んでみないと分からないという事だった。もし赤ちゃんに異常があったら手術だったけど、とりあえず自然分娩にする事になった。ちょっぴり胸をなでおろした。帝王切開よりやっぱお母さんが踏ん張って赤ちゃんと協力して産むのが良いなぁと思っていたから。 妻がふんばる。ふんばる。子宮はもう十分開いているのに赤ちゃんが降りてこない。だんだん赤ちゃんの心拍数が弱くなっていく。お医者さんはこのままじゃ赤ちゃんに危険があると言って帝王切開をしたほうが良いと言う。お医者さんは迅速に書類を書き終え、サインを迫る。子供が危険なら選択の余地はなかった。妻が「子供はもっと産めるんですか?」とたずねる。大丈夫だとお医者さんは言う。でも最悪の場合、子宮を取り除く可能性もあるという。妻の目から涙が溢れた。僕の目からも涙が溢れた。 妻は手術室へ、僕は待機室へ。父に電話した。母に電話した。姉から電話が来た。上司から電話が来た。沢山の人が励ましてくれた。一人一人の声を聞いただけで、涙が止まらなかった。待機室での2時間、涙で目がパンパンに腫れた。 手術は成功した。妻は麻酔のせいで眠そうにも痛そうにも見えた。「おめでとう。本当にありがとう」って言ったら、妻は精一杯、微笑んでくれた。赤ちゃんはどうなったんだろう。 はやる気持ちを抑えて、新生児室へ。そこで目に飛び込んできた赤ちゃんが僕の娘だった。できたてホヤホヤでフニャフニャだけど、何故か笑っていて、メチャクチャ可愛かった。心臓にもどこにも異常は見当たらないということだった。じーっと見ていると涙が出てきた。両親に早く見せたいなぁ。妻に早く見せたいなぁ。みんなに早く見せたいなぁ。僕もずっと見ていたい。 今、娘は3歳になり、幼稚園に通っている。娘の顔は、赤ちゃんの頃から少しずつ変わっているけど、笑った顔は不思議と初めて見た時の産まれたばっかの笑顔と変わっていない。時代も世界も変わっていく中で、この笑顔だけは変わらないで欲しい。そして、この笑顔で僕達だけでなく、沢山の人を笑顔に変えていって欲しい。 提供:スキナベーブ 赤ちゃんエッセイコンテスト <!-- new media_line_me.LineButton({"pc":false,"lang":"ja","type":"e"}); // -->
2015.2.6
コラム 妊娠・出産
-
切迫流産・流産とは(2)
切迫流産・流産とは(2) 6~7人に1人の割合で起こってしまう流産。そのなかにはお母さんの力では防ぐことができないものと、気をつけていれば防げるものがあります。 Q:妊娠16週の健診で切迫流産と診断され自宅療養中です。どのように過ごせばいいですか?(ななこさん・40歳) 状態により安静の度合いが変わります。やっていいこと、ダメなことを医師に確認しましょう。 切迫流産は流産とは違い安静で妊娠は継続することも 流産と同じような症状で、流産になりかけている状態が切迫流産です。今にも流産しそうな印象を受けますが、必ずしも危険度が高いということではありません。妊娠22週未満で、出血や下腹部痛はあるけれど、超音波検査で胎児の心拍が確認されている場合につく診断名です。 12週未満で、心拍が確認でき、子宮の出口である子宮頸管が閉じていれば、そのまま流産に進行することは少ないとされています。安静に過ごしていれば妊娠を継続することも可能ですが、自己判断は禁物です。必ず医師の指示に従いましょう。 12週以降の切迫流産は、母体側の問題が原因となっている場合が多く、注意が必要な状態です。原因に応じた治療を行い、流産を防ぐ処置を取らなくてはなりません。感染症があれば抗生物質、16週以降で張りがある場合は子宮収縮抑制剤など、原因に合わせた薬が処方されることもあります。 安静の度合いは症状によって異なります 切迫流産と診断されたら、一番の治療は安静にすること。状態によって安静の度合いは異なるので、医師の指示に従いましょう。 自宅安静を指示されたら、基本的に外出は禁止。働いている人は、仕事も休まなくてはなりません。掃除、洗濯、食事の支度などの家事はどの程度していいのか、入浴していいのかなど、日常生活について細かく医師に確認しておきましょう。家事などの許可が出た場合でも、基本は安静。ご主人にサポートしてもらい、長時間立っていることのないようにしましょう。絶対安静と言われた場合は、布団を敷いて、食事やトイレ以外は横になって休みます。 症状が重い場合は、入院安静となります。食事もベッド上でとり、基本的にずっと寝ていなければなりません。それほど重い症状ではないけれど、小さな子どもがいるなどの事情で、自宅でゆっくり休めないという場合は、入院をすすめられることもあります。この場合は売店への買い物やトイレなど、多少の動作は大丈夫でしょう。 ○ 流産を予防する日常生活のポイント 体を冷やさない とくに下半身を冷やさないように注意。冬はもちろん、夏場、エアコンの効いた部屋ではひざ掛けや靴下で冷えから守りましょう。 リラックスして過ごす ゆったりとした気持ちで毎日を過ごしましょう。ストレスをためないよう、音楽や散歩など、自分に合ったストレス解消法をみつけて。 疲れないようにする 仕事や家事を頑張るのも、無理をせず、ほどほどに。睡眠をたっぷりとって、疲れをためないようにしましょう。 流産の徴候を見逃さない 出血と下腹部痛が異変のサイン。おりものに混ざる程度の少量出血でも、心配な時はすぐに受診しましょう。 関連記事:《 切迫流産・流産とは(1) 》 切迫流産・流産とは(2) 6~7人に1人の割合で起こってしまう流産。そのなかにはお母さんの力では防ぐことができないものと、気をつけていれば防げるものがあります。 Q:妊娠16週の健診で切迫流産と診断され自宅療養中です。どのように過ごせばいいですか?(ななこさん・40歳) 状態により安静の度合いが変わります。やっていいこと、ダメなことを医師に確認しましょう。 切迫流産は流産とは違い安静で妊娠は継続することも 流産と同じような症状で、流産になりかけている状態が切迫流産です。今にも流産しそうな印象を受けますが、必ずしも危険度が高いということではありません。妊娠22週未満で、出血や下腹部痛はあるけれど、超音波検査で胎児の心拍が確認されている場合につく診断名です。 12週未満で、心拍が確認でき、子宮の出口である子宮頸管が閉じていれば、そのまま流産に進行することは少ないとされています。安静に過ごしていれば妊娠を継続することも可能ですが、自己判断は禁物です。必ず医師の指示に従いましょう。 12週以降の切迫流産は、母体側の問題が原因となっている場合が多く、注意が必要な状態です。原因に応じた治療を行い、流産を防ぐ処置を取らなくてはなりません。感染症があれば抗生物質、16週以降で張りがある場合は子宮収縮抑制剤など、原因に合わせた薬が処方されることもあります。 安静の度合いは症状によって異なります 切迫流産と診断されたら、一番の治療は安静にすること。状態によって安静の度合いは異なるので、医師の指示に従いましょう。 自宅安静を指示されたら、基本的に外出は禁止。働いている人は、仕事も休まなくてはなりません。掃除、洗濯、食事の支度などの家事はどの程度していいのか、入浴していいのかなど、日常生活について細かく医師に確認しておきましょう。家事などの許可が出た場合でも、基本は安静。ご主人にサポートしてもらい、長時間立っていることのないようにしましょう。絶対安静と言われた場合は、布団を敷いて、食事やトイレ以外は横になって休みます。 症状が重い場合は、入院安静となります。食事もベッド上でとり、基本的にずっと寝ていなければなりません。それほど重い症状ではないけれど、小さな子どもがいるなどの事情で、自宅でゆっくり休めないという場合は、入院をすすめられることもあります。この場合は売店への買い物やトイレなど、多少の動作は大丈夫でしょう。 ○ 流産を予防する日常生活のポイント 体を冷やさない とくに下半身を冷やさないように注意。冬はもちろん、夏場、エアコンの効いた部屋ではひざ掛けや靴下で冷えから守りましょう。 リラックスして過ごす ゆったりとした気持ちで毎日を過ごしましょう。ストレスをためないよう、音楽や散歩など、自分に合ったストレス解消法をみつけて。 疲れないようにする 仕事や家事を頑張るのも、無理をせず、ほどほどに。睡眠をたっぷりとって、疲れをためないようにしましょう。 流産の徴候を見逃さない 出血と下腹部痛が異変のサイン。おりものに混ざる程度の少量出血でも、心配な時はすぐに受診しましょう。 関連記事:《 切迫流産・流産とは(1) 》
2015.2.6
コラム 妊娠・出産
-
切迫流産・流産とは(1)
切迫流産・流産とは(1) 6~7人に1人の割合で起こってしまう流産。そのなかにはお母さんの力では防ぐことができないものと、気をつけていれば防げるものがあります。 Q:妊娠6週目。茶色いおりものが出てつわりの症状が消えました。もしかして流産?(にゃんころりさん・41歳) 流産のほとんどが12週までに起こります。おかしいと思ったらすぐ受診を。 初期流産のほとんどは胎児の染色体異常が原因 流産は、妊娠22週までにおなかの中で赤ちゃんが育たなくなり、妊娠を継続することができなくなることをいいます。全妊娠の12~15%、7~8人に1人の割合で起こり、決して珍しいことではありません。さらに高齢になるほど流産率は高くなり、40歳以上では30%以上、3~4人に1人という高い確率で、流産は起こってしまいます。 原因はいろいろありますが、12週までの初期に起こる流産の7~8割が、胎児の染色体異常と考えられています。流産は悲しいことですが、この時期の流産は母体側に原因はほとんどなく、防ぐ方法はありません。偶発的に起こる自然の摂理と考え、気持ちを切り替えるようにしましょう。 これに対し、12週以降に起こる後期流産は、母体側が抱える問題が原因で起こることが多くなります。子宮筋腫や子宮の奇形、子宮内感染や子宮口が自然に開いてしまう子宮頸管無力症などが主な原因です。いずれも原因となる病気に対して、治療や予防策をとっておけば、防げる可能性もあります。 出血、下腹部痛がサイン。流産は段階によって4種類 流産は、胎児が子宮内で死亡してから、体外に出てくるまでの段階により、稽留流産、進行流産、不全流産、完全流産の4種類に分けられます。 稽留流産は自覚症状がなく、妊娠6~8週頃の健診の時に、この頃に通常見ることのできる心拍が確認できないことでわかります。そのほかの流産は、出血やおなかの痛み、張りから始まることがほとんどです。いつもと違う気になる症状があった時は、すぐに受診しましょう。 残念ながら流産と診断された時は、完全流産以外は子宮の中の胎児や胎盤などを取り除く手術が必要になることも多いです。手術は静脈麻酔を使い、15~20分間眠っている間に終わります。術後はしばらく安静にし、その日のうちに帰宅できます。出血がしばらく続きますが、次第に減っていきます。月経が再開するころには、子宮も回復しています。2~3回の月経後、次の妊娠を考えても大丈夫でしょう。 ○ 流産の種類 完全流産 子宮内の胎児や胎盤がすべて出てしまった状態。出血や下腹部痛はしだいにおさまってきます。多くは内容物除去術が必要ありません。 不全流産 子宮内に胎盤の一部が残っている状態。出血や下腹部痛が続きます。残留物を取り除く処置が必要になることが多い。 進行流産 子宮口が開き、子宮収縮で胎児が出始めている状態。下腹部痛とかなりの出血が見られます。子宮内容物を早く取り除くことが必要です。 稽留流産 子宮内で胎児(胎芽)が死亡し、停滞している状態。自覚症状はなく、6~8週頃の健診時に心拍が確認できないことでわかります。子宮内容物を取り除くことが必要です。 関連記事:《 切迫流産・流産とは(2) 》 ■ あわせて読みたい ■ 切迫流産のなりやすさは、体質と関係ありますか? 初期流産の兆候について教えて下さい。 妊娠中に「切迫流産」と診断されたときの対処法とは? 女性のための健康生活マガジン JINEKO 切迫流産・流産とは(1) 6~7人に1人の割合で起こってしまう流産。そのなかにはお母さんの力では防ぐことができないものと、気をつけていれば防げるものがあります。 Q:妊娠6週目。茶色いおりものが出てつわりの症状が消えました。もしかして流産?(にゃんころりさん・41歳) 流産のほとんどが12週までに起こります。おかしいと思ったらすぐ受診を。 初期流産のほとんどは胎児の染色体異常が原因 流産は、妊娠22週までにおなかの中で赤ちゃんが育たなくなり、妊娠を継続することができなくなることをいいます。全妊娠の12~15%、7~8人に1人の割合で起こり、決して珍しいことではありません。さらに高齢になるほど流産率は高くなり、40歳以上では30%以上、3~4人に1人という高い確率で、流産は起こってしまいます。 原因はいろいろありますが、12週までの初期に起こる流産の7~8割が、胎児の染色体異常と考えられています。流産は悲しいことですが、この時期の流産は母体側に原因はほとんどなく、防ぐ方法はありません。偶発的に起こる自然の摂理と考え、気持ちを切り替えるようにしましょう。 これに対し、12週以降に起こる後期流産は、母体側が抱える問題が原因で起こることが多くなります。子宮筋腫や子宮の奇形、子宮内感染や子宮口が自然に開いてしまう子宮頸管無力症などが主な原因です。いずれも原因となる病気に対して、治療や予防策をとっておけば、防げる可能性もあります。 出血、下腹部痛がサイン。流産は段階によって4種類 流産は、胎児が子宮内で死亡してから、体外に出てくるまでの段階により、稽留流産、進行流産、不全流産、完全流産の4種類に分けられます。 稽留流産は自覚症状がなく、妊娠6~8週頃の健診の時に、この頃に通常見ることのできる心拍が確認できないことでわかります。そのほかの流産は、出血やおなかの痛み、張りから始まることがほとんどです。いつもと違う気になる症状があった時は、すぐに受診しましょう。 残念ながら流産と診断された時は、完全流産以外は子宮の中の胎児や胎盤などを取り除く手術が必要になることも多いです。手術は静脈麻酔を使い、15~20分間眠っている間に終わります。術後はしばらく安静にし、その日のうちに帰宅できます。出血がしばらく続きますが、次第に減っていきます。月経が再開するころには、子宮も回復しています。2~3回の月経後、次の妊娠を考えても大丈夫でしょう。 ○ 流産の種類 完全流産 子宮内の胎児や胎盤がすべて出てしまった状態。出血や下腹部痛はしだいにおさまってきます。多くは内容物除去術が必要ありません。 不全流産 子宮内に胎盤の一部が残っている状態。出血や下腹部痛が続きます。残留物を取り除く処置が必要になることが多い。 進行流産 子宮口が開き、子宮収縮で胎児が出始めている状態。下腹部痛とかなりの出血が見られます。子宮内容物を早く取り除くことが必要です。 稽留流産 子宮内で胎児(胎芽)が死亡し、停滞している状態。自覚症状はなく、6~8週頃の健診時に心拍が確認できないことでわかります。子宮内容物を取り除くことが必要です。 関連記事:《 切迫流産・流産とは(2) 》 ■ あわせて読みたい ■ 切迫流産のなりやすさは、体質と関係ありますか? 初期流産の兆候について教えて下さい。 妊娠中に「切迫流産」と診断されたときの対処法とは? 女性のための健康生活マガジン JINEKO
2015.2.5
コラム 妊娠・出産
-
排卵について
あやさん(24歳)不妊についてです。 一年半前から旦那と子作りをしていて出来ないので12月から病院に通っています。 検査結果は多嚢胞巣と高プロでした。 前回生理が来なかったので注射をして生理を起こして から(1月20日)クロミッドを二錠、五日間飲み、11日目に病院に行きホルモン検査をしたら数値が良いので明日排卵させます。と言われ、周期12日目にHCG5000を打ちました。 二日後に行くと、超音波検査をして、採血をし、排卵していないと言われました。 また二日後に行くと、超音波検査をして、採血をして、プロベラを渡されました。飲んで良いのか分からなかったのですが、1錠飲んでしまいました。 やはり排卵していないようで、また土曜日に行く予定です。 どうして排卵しないのか分からないような感じで病院からは何も説明がありません。 (元々そういう病院で、検査をして、数時間後に電話で検査結果と次回来院日を伝えるシステムです。なので先生とは超音波検査の時に会うだけです) なので、何もわかってないのでお聞きしたいのですが、HCGを打っても排卵しないものなんでしょうか? 説明はなかったのですが、超音波検査を見たときに、一回目が卵胞が17mmで二回目が卵胞が24mmでした。二つあってもうひとつが9mm。内膜?の厚さが4mmでした。これはどういう事を示してるのでしょうか? プロベラを間違って一錠飲んでしまったのですがなにか影響があるのでしょうか? HCGを打つ前日に、電話をくれる看護婦が、まさかこんなすぐ数値がよくなると思わなかった!よかった!みたいなことを言っていたのでかなり期待していた分、ショックです。もう排卵しないでしょうか? 向田哲規 先生 (広島HARTクリニック) 院長 向田哲規 1960年6月25 広島県広島市中区生まれ 昭和35年生まれで修道高校卒業まで広島で育ち、太平洋の青い海にあこがれ高知医科大学に入学し、学業よりテニス部とヨット部の活動が中心であった健康的な学生生活を送り卒業の後、同医科大学産婦人科医局にて一般産婦人科のトレーニングを受けました。 不妊症治療に携わって得られる生き甲斐は、より良い治療法を習得しそれを難しい症例に用いて、赤ちゃん誕生という目標に到達する手助けができた瞬間であり、その経験が臨床医としての糧になっていると思います。 不妊症の原因および治療法は千差万別であるため最終的には御夫婦が納得した治療法にて組むべきであり、その為の説明を充分行うよう心がけておりますので、いつでも御相談ください。 ≫ 広島HARTクリニック24歳ですが多嚢胞性卵巣状態で排卵しにくいのは決してまれなことではなくよく見受 けられることと思います。 しかし、適切な管理を受けている症例は意外と少ないのが現状です。hCG5000単位を投与されても排卵しにくいのは、PCOの病態のためと思われます。 またプロベラを内服するとプロゲステロン様物質が含まれているので、それで卵胞発育排卵というステップが止まる可能性がありますが、1錠ではあまり影響 がないとも考えられます。適切な排卵誘発管理と適切なタイミングでのhCGその他の薬剤での排卵誘導が必要ですし、それとは違い腹腔鏡で、卵巣表面を排卵しやすいように処置をする方法もあります。 色々なアプローチの説明を丁寧に行い、納得する治療が受けられる医療機関に行くのが適切と思われます。 不適切な治療はより深刻な状態に至ることも有りえます。 (どのような質問でも丁寧に回答してくれるドクターがいる施設が好ましいです。)
2015.2.5
専門医Q&A 女性の健康
-
妊娠中のリスク(3)~持病を抱えた妊娠~
妊娠中のリスク(3) ~持病を抱えた妊娠~ 妊娠期間をトラブルなく過ごし安全な出産をするためには、健康な体でいることが大切。気になる症状や病気などは早めに対処して、リスクを管理していくようにしましょう。 Q:妊娠してから病気があることがわかりました。無事に出産できますか? (チョコさん・30歳) 症状を悪化させないよう、かかりつけ医と産婦人科医の指示に従い生活を管理しましょう。 高血圧 生活を改善してリスクを回避 もともと高血圧の人は、妊娠20週以降に診断される妊娠高血圧症候群に移行することが多いので、妊娠初期から注意が必要です。高血圧のまま妊娠が進むと、常位胎盤早期剥離、早産、子宮内胎児発育不全の危険が出てきます。妊娠を継続して無事に出産するために、生活をしっかりと管理していきましょう。 血圧を上げないようにするには、塩分を控えたバランスの良い食事、休養、適度な運動を続けることが大切です。それでも血圧が上がってしまう場合には、降圧剤が処方されることがあります。 心臓病 必ず主治医と相談を 妊娠すると血液量が増えるため、心臓の負担が大きくなります。心疾患のある人は、必ず主治医に妊娠・出産が可能かどうかを確認しなければなりません。妊娠継続の許可が出た後は睡眠や休息を十分に取り、無理のない日常生活を送りましょう。妊娠8カ月頃、循環血液量はピークとなり、非妊娠時の1.5倍になります。 万一に備え、早い時期から入院することもあります。出産は急変にも対応できる高度な医療設備を備えた病院で、専門医と産科医連携のもとで進められます。 糖尿病 食事と運動で血糖値をコントロール 妊娠前から患っている糖尿病、妊娠中に診断された明らかな糖尿病は、妊娠糖尿病と区別して考えられます。 糖尿病合併妊娠の最も重篤な合併症は胎児の奇形です。巨大児、低出生体重児の可能性も高くなります。予防するには血糖値のコントロールが重要。食事と運動で体重を管理します。それでコントロールできない時はインスリン治療を行います。 腎臓病 妊娠高血圧症候群の発症に注意 妊娠は腎臓に大きな負担をかけます。腎臓を流れる血液量も、糸球体におけるろ過率も非妊娠時より30~50%増えます。慢性腎炎やネフローゼ症候群などの腎臓疾患がある人は、状態が安定していれば医師の管理のもと妊娠・出産が可能です。 腎臓病があると妊娠高血圧症候群を発症しやすくなるので、特に注意が必要です。食事をしっかり管理し、安静を保ちましょう。定期健診以外にも、めまい、頭痛、発熱、むくみなどが現れたら、すぐに受診しましょう。無理は絶対にしないことです。 甲状腺機能異常 妊娠中も治療を続けることが不可欠 甲状腺機能異常には、機能が亢進するものと低下するものがあります。甲状腺モルモンが過剰に分泌される亢進症は20~30代の女性に多く、バセドウ病があります。低下症は30~50代の女性に多く、橋本病があります。治療は、バセドウ病は抗甲状腺剤を、橋本病は甲状腺モルモン剤を投与します。いずれも妊娠中も治療を続けなくてはなりません。薬を自己判断でやめてしまうと、バセドウ病では早産や妊娠高血圧症候群、橋本病では早産、妊娠高血圧症候群、常位胎盤早期剥離の確率が高くなります。 膠原病 産科医、内科医と密接な連携を 膠原病は全身の血管や皮膚、関節などに炎症が見られる病気の総称。その中の全身性エリテマトーデス(SLE)は20~30代の女性に多く発症、関節リウマチは30~50代の女性に多く発症します。 状態が安定していて、重篤な臓器障害がなければ妊娠は可能です。しかし流産や早産となる確率が高いため、産科医、内科医と密接な連携を取り、厳重に管理していくことが重要です。治療を続けたにもかかわらず、症状が悪化した場合は、母体の治療が優先されます。 関連記事: 《 妊娠中のリスク(1)~妊娠が原因で起こる病気~ 》 妊娠中のリスク(3) ~持病を抱えた妊娠~ 妊娠期間をトラブルなく過ごし安全な出産をするためには、健康な体でいることが大切。気になる症状や病気などは早めに対処して、リスクを管理していくようにしましょう。 Q:妊娠してから病気があることがわかりました。無事に出産できますか? (チョコさん・30歳) 症状を悪化させないよう、かかりつけ医と産婦人科医の指示に従い生活を管理しましょう。 高血圧 生活を改善してリスクを回避 もともと高血圧の人は、妊娠20週以降に診断される妊娠高血圧症候群に移行することが多いので、妊娠初期から注意が必要です。高血圧のまま妊娠が進むと、常位胎盤早期剥離、早産、子宮内胎児発育不全の危険が出てきます。妊娠を継続して無事に出産するために、生活をしっかりと管理していきましょう。 血圧を上げないようにするには、塩分を控えたバランスの良い食事、休養、適度な運動を続けることが大切です。それでも血圧が上がってしまう場合には、降圧剤が処方されることがあります。 心臓病 必ず主治医と相談を 妊娠すると血液量が増えるため、心臓の負担が大きくなります。心疾患のある人は、必ず主治医に妊娠・出産が可能かどうかを確認しなければなりません。妊娠継続の許可が出た後は睡眠や休息を十分に取り、無理のない日常生活を送りましょう。妊娠8カ月頃、循環血液量はピークとなり、非妊娠時の1.5倍になります。 万一に備え、早い時期から入院することもあります。出産は急変にも対応できる高度な医療設備を備えた病院で、専門医と産科医連携のもとで進められます。 糖尿病 食事と運動で血糖値をコントロール 妊娠前から患っている糖尿病、妊娠中に診断された明らかな糖尿病は、妊娠糖尿病と区別して考えられます。 糖尿病合併妊娠の最も重篤な合併症は胎児の奇形です。巨大児、低出生体重児の可能性も高くなります。予防するには血糖値のコントロールが重要。食事と運動で体重を管理します。それでコントロールできない時はインスリン治療を行います。 腎臓病 妊娠高血圧症候群の発症に注意 妊娠は腎臓に大きな負担をかけます。腎臓を流れる血液量も、糸球体におけるろ過率も非妊娠時より30~50%増えます。慢性腎炎やネフローゼ症候群などの腎臓疾患がある人は、状態が安定していれば医師の管理のもと妊娠・出産が可能です。 腎臓病があると妊娠高血圧症候群を発症しやすくなるので、特に注意が必要です。食事をしっかり管理し、安静を保ちましょう。定期健診以外にも、めまい、頭痛、発熱、むくみなどが現れたら、すぐに受診しましょう。無理は絶対にしないことです。 甲状腺機能異常 妊娠中も治療を続けることが不可欠 甲状腺機能異常には、機能が亢進するものと低下するものがあります。甲状腺モルモンが過剰に分泌される亢進症は20~30代の女性に多く、バセドウ病があります。低下症は30~50代の女性に多く、橋本病があります。治療は、バセドウ病は抗甲状腺剤を、橋本病は甲状腺モルモン剤を投与します。いずれも妊娠中も治療を続けなくてはなりません。薬を自己判断でやめてしまうと、バセドウ病では早産や妊娠高血圧症候群、橋本病では早産、妊娠高血圧症候群、常位胎盤早期剥離の確率が高くなります。 膠原病 産科医、内科医と密接な連携を 膠原病は全身の血管や皮膚、関節などに炎症が見られる病気の総称。その中の全身性エリテマトーデス(SLE)は20~30代の女性に多く発症、関節リウマチは30~50代の女性に多く発症します。 状態が安定していて、重篤な臓器障害がなければ妊娠は可能です。しかし流産や早産となる確率が高いため、産科医、内科医と密接な連携を取り、厳重に管理していくことが重要です。治療を続けたにもかかわらず、症状が悪化した場合は、母体の治療が優先されます。 関連記事: 《 妊娠中のリスク(1)~妊娠が原因で起こる病気~ 》
2015.2.2
コラム 妊娠・出産
-
妊娠中のリスク(2) ~婦人科系疾患を抱えた妊娠~
妊娠中のリスク(2)~婦人科系疾患を抱えた妊娠~ 妊娠期間をトラブルなく過ごし安全な出産をするためには、健康な体でいることが大切。気になる症状や病気などは早めに対処して、リスクを管理していくようにしましょう。 子宮筋腫 Q:子宮筋腫があります。出産にどんな影響があるのでしょうか?(ポコさん・31歳) 筋腫の場所や大きさによって、治療や分娩の方針を決めていきます。 子宮筋腫は、子宮の筋肉にできる良性の腫瘍で、成人女性の30%に子宮筋腫があるといわれるほど、もっとも多い婦人科系疾患です。30~40代に多く、35歳を過ぎると発症率が高くなります。筋腫が小さいうちは自覚症状がないため、妊娠の検査ではじめて発見されることも多い病気です。 妊娠・出産への影響は、筋腫の場所と大きさによって違います。筋腫が大きくて胎児の発育が阻害されたり、周囲の臓器を圧迫すると腹痛などの原因になります。また筋腫が痛むと子宮収縮を促すことになり、流産や早産の原因になります。現在では妊娠中に手術を行うことは少なく、感染予防に注意しながら経過を観察します。 出産は、筋腫が産道をふさいでいなければ、経腟分娩が可能です。しかし微弱陣痛や分娩が長引くことが多くなり、帝王切開になる場合もあります。 卵巣腫瘍 9割が心配ない良性の卵巣のう腫 卵巣にできる腫瘍のうち、9割が良性の卵巣のう腫です。のう腫とは、液状の成分がたまって、こぶのように大きく腫れたものです。また妊娠初期に腫れが発見された場合、ルテインのう胞の可能性もあります。この場合は12週以降小さくなり、20週頃になくなります。 卵巣のう腫はほとんどの場合、妊娠、出産に影響がないので、経過観察になります。しかし、大きくなると卵巣を子宮や骨盤とつなぐ組織がねじれて茎捻転をおこし、激痛が襲います。そのため直径7cm以上の大きさのものは、手術をすることもあります。 腫瘍が良性か悪性かを判定するのは、妊娠中は困難です。MRI検査で悪性が強く疑われる場合、がんの進行や転移が懸念され、除去手術が検討されることもあります。 子宮内膜症 妊娠により症状が改善する病気 子宮内膜症とは、子宮内膜または子宮内膜に似た組織が子宮内腔以外の卵巣や卵管、腹膜などに発生してしまう病気です。毎月月経期になると、子宮内膜症がある場所でも内膜の剥離・出血があり、それが痛みとなって現れます。また毎月出血を繰り返すことで、その部位に炎症や癒着を起こし、月経時以外でも下腹部痛を感じることになります。 このように月経と関連がある病気なので、月経がない妊娠中は症状が改善します。また内膜が子宮の筋層内に入り込んだものは子宮腺筋症と呼ばれ、子宮筋腫とよく似た症状が現れます。大きくなることも筋腫と共通しているので、治療は筋腫に準じて考えられることが多いようです。 子宮がん 初期の子宮頸がんなら患部を切除 子宮がんには、子宮頸部にできる頸がんと、子宮内にできる体がんがあります。近年子宮体がんが急増し、頸がんと体がんの比率は約半々となっています。 子宮頸がんの原因の多くは、HPV(ヒトパピローマウイルス)の感染で、初交経験が早くパートナーの数が多いほど、また出産回数が多いほどかかりやすいとされています。妊娠中に診断される子宮頸がんの多くは上皮内がんです。治療はがんの進行度、妊娠週数によって異なりますが、初期の段階なら患部を切除することになります。 病気が発見された場合は、ご主人とよく話し合い、医師と相談をして、治療方針を決めましょう。ただし母体の命を守ることが最優先となります。 子宮奇形 流産・早産の原因になることも 子宮の内部が2つに分かれていたり、子宮の上部がくびれていたり、子宮が2つあったりと、さまざまな奇形パターンがあります。自覚症状はほとんどなく、日常生活にも支障はありません。しかし変形していることで子宮内の血流に障害が起こり、流産や早産になる心配があります。また子宮の形や胎盤の位置によっては、胎盤がはがれやすくなることもあります。出産時には難産になることもあり、帝王切開も検討されます。 乳がん 早期発見なら、妊娠も継続 乳がんは発見される時期と、進行度で治療方針が変わってきます。以前は妊娠の継続が母体に悪影響を及ぼすという理由で、赤ちゃんをあきらめなくてはなりませんでしたが、現在では腫瘍を切除し、妊娠を継続することが一般的です。 妊娠中は、胎児の発達に影響がない治療を行います。化学療法や放射線治療は行えないので、本格的な治療は出産後まで待つことになります。 関連記事: 《 妊娠中のリスク(3)~持病を抱えた妊娠~ 》 妊娠中のリスク(2)~婦人科系疾患を抱えた妊娠~ 妊娠期間をトラブルなく過ごし安全な出産をするためには、健康な体でいることが大切。気になる症状や病気などは早めに対処して、リスクを管理していくようにしましょう。 子宮筋腫 Q:子宮筋腫があります。出産にどんな影響があるのでしょうか?(ポコさん・31歳) 筋腫の場所や大きさによって、治療や分娩の方針を決めていきます。 子宮筋腫は、子宮の筋肉にできる良性の腫瘍で、成人女性の30%に子宮筋腫があるといわれるほど、もっとも多い婦人科系疾患です。30~40代に多く、35歳を過ぎると発症率が高くなります。筋腫が小さいうちは自覚症状がないため、妊娠の検査ではじめて発見されることも多い病気です。 妊娠・出産への影響は、筋腫の場所と大きさによって違います。筋腫が大きくて胎児の発育が阻害されたり、周囲の臓器を圧迫すると腹痛などの原因になります。また筋腫が痛むと子宮収縮を促すことになり、流産や早産の原因になります。現在では妊娠中に手術を行うことは少なく、感染予防に注意しながら経過を観察します。 出産は、筋腫が産道をふさいでいなければ、経腟分娩が可能です。しかし微弱陣痛や分娩が長引くことが多くなり、帝王切開になる場合もあります。 卵巣腫瘍 9割が心配ない良性の卵巣のう腫 卵巣にできる腫瘍のうち、9割が良性の卵巣のう腫です。のう腫とは、液状の成分がたまって、こぶのように大きく腫れたものです。また妊娠初期に腫れが発見された場合、ルテインのう胞の可能性もあります。この場合は12週以降小さくなり、20週頃になくなります。 卵巣のう腫はほとんどの場合、妊娠、出産に影響がないので、経過観察になります。しかし、大きくなると卵巣を子宮や骨盤とつなぐ組織がねじれて茎捻転をおこし、激痛が襲います。そのため直径7cm以上の大きさのものは、手術をすることもあります。 腫瘍が良性か悪性かを判定するのは、妊娠中は困難です。MRI検査で悪性が強く疑われる場合、がんの進行や転移が懸念され、除去手術が検討されることもあります。 子宮内膜症 妊娠により症状が改善する病気 子宮内膜症とは、子宮内膜または子宮内膜に似た組織が子宮内腔以外の卵巣や卵管、腹膜などに発生してしまう病気です。毎月月経期になると、子宮内膜症がある場所でも内膜の剥離・出血があり、それが痛みとなって現れます。また毎月出血を繰り返すことで、その部位に炎症や癒着を起こし、月経時以外でも下腹部痛を感じることになります。 このように月経と関連がある病気なので、月経がない妊娠中は症状が改善します。また内膜が子宮の筋層内に入り込んだものは子宮腺筋症と呼ばれ、子宮筋腫とよく似た症状が現れます。大きくなることも筋腫と共通しているので、治療は筋腫に準じて考えられることが多いようです。 子宮がん 初期の子宮頸がんなら患部を切除 子宮がんには、子宮頸部にできる頸がんと、子宮内にできる体がんがあります。近年子宮体がんが急増し、頸がんと体がんの比率は約半々となっています。 子宮頸がんの原因の多くは、HPV(ヒトパピローマウイルス)の感染で、初交経験が早くパートナーの数が多いほど、また出産回数が多いほどかかりやすいとされています。妊娠中に診断される子宮頸がんの多くは上皮内がんです。治療はがんの進行度、妊娠週数によって異なりますが、初期の段階なら患部を切除することになります。 病気が発見された場合は、ご主人とよく話し合い、医師と相談をして、治療方針を決めましょう。ただし母体の命を守ることが最優先となります。 子宮奇形 流産・早産の原因になることも 子宮の内部が2つに分かれていたり、子宮の上部がくびれていたり、子宮が2つあったりと、さまざまな奇形パターンがあります。自覚症状はほとんどなく、日常生活にも支障はありません。しかし変形していることで子宮内の血流に障害が起こり、流産や早産になる心配があります。また子宮の形や胎盤の位置によっては、胎盤がはがれやすくなることもあります。出産時には難産になることもあり、帝王切開も検討されます。 乳がん 早期発見なら、妊娠も継続 乳がんは発見される時期と、進行度で治療方針が変わってきます。以前は妊娠の継続が母体に悪影響を及ぼすという理由で、赤ちゃんをあきらめなくてはなりませんでしたが、現在では腫瘍を切除し、妊娠を継続することが一般的です。 妊娠中は、胎児の発達に影響がない治療を行います。化学療法や放射線治療は行えないので、本格的な治療は出産後まで待つことになります。 関連記事: 《 妊娠中のリスク(3)~持病を抱えた妊娠~ 》
2015.2.2
コラム 妊娠・出産
-
多嚢胞性卵巣症候群とメトホルミン
szbebeさん(36歳)ホルモン検査の結果、多嚢胞性卵巣症候群と診断を受け、 現在インスリン抵抗性の検査結果待ちです。 結果次第ですが、先生は糖尿病の薬でもあるメトホルミンの服用を 考えているとのことで、 排卵誘発剤の使用は考えていないと言われました。 海外在住で日本の治療方針や考え方とは違うのかもしれませんが、 年齢のこともあり、妊娠できるのか焦ります。 言葉の壁もあり、このような治療で問題ないのか、 日本の先生方の見解をご教示いただきたく、質問させていただきました。 ちなみに現在60日経ちましたが、生理がきません。。。 浅田義正 先生 (浅田レディース名古屋駅前クリニック) 医学博士 日本産科婦人科学会認定産婦人科専門医 日本生殖医学会認定生殖医療専門医 1982年 名古屋大学医学部卒業 1988年 名古屋大学医学部附属病院産婦人科医員として「不妊外来」および、「健康外来(更年期障害・ホルモン補充医療法)」の専門外来を担当 1992年 医学博士 1993年~1994年 米国最初の体外受精専門施設に留学し、主に顕微授精(卵細胞質内精子注入法:ICSI)の基礎的研究に従事 The Jones Institute For Reproductive Medicine, Eastern Virginia Medical School, Norfolk, Vairginia 1995年 名古屋大学医学部附属病院分院にてICSIによる治療開始。以後、辞職まで名古屋大学の顕微授精症例の全症例を自ら担当同年5月、精巣精子を用いたICSIによる妊娠例の日本初の報告 1998年 ナカジマクリニック不妊センター開設 2004年 浅田レディースクリニック(現浅田レディース勝川クリニック)開院 2010年 浅田レディース名古屋駅前クリニック開院 2018年 浅田レディース品川クリニック開院 【著作本】 「浅田レディースクリニック パーフェクトガイドブック」 初めての不妊治療クリニック選びに迷っている方や 当院の治療方針に興味をお持ちの方にお読み頂きたい本です。 ≫ 浅田レディース名古屋駅前クリニックまず、メトホルミンを多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)の人に処方するのは問題ないと思いますし、内服としてのファーストチョイスはメトホルミンです。むしろ、それ以上に効くPCOSの内服剤はないでしょう。 問題は、排卵誘発剤の使用を考えていないというところです。海外ではシュタイン・レーベンタール症候群といって、肥満や多毛などの体質的症状を兼ね備えている場合が多いため、ドクターは体質改善などで排卵もしやすくなると考えているのかもしれませんが、日本人の場合、そういった症状を備えた例は少ないです。 当然、排卵しなければ不妊治療も妊娠もできませんから、少なくともクロミフェンやアロマターゼ阻害剤であるレトロゾール(フェマーラ)を飲み始めるなど、排卵誘発剤は使うべきですし、むしろ積極的に排卵誘発すべきです。 なぜなら、卵は原始卵胞から育つのに約半年かかります。ホルモン依存になってからも2、3ヶ月ほどかかります。つまり、今月排卵するためには1、2ヶ月ほどホルモンに影響を受けて育っている卵、半年前からいえば4、5ヶ月育っている卵が必要なのです。そして、今月排卵がうまくいくということは、その前からの刺激によって来月再来月の卵も少しずつ押し上げられて成熟が進んでいるということでもあり、次の月もきちんと排卵する可能性があります。ですから排卵が1、2ヶ月うまくいかなかったとしても、排卵誘発を毎月きちんと続けていくことが重要です。 また、D21で測ったPRL278mIU/Lという数値が気になります。これは妊娠中と同じ、もしくはそれよりも高いレベルの数値です。プロラクチンは、妊娠中や授乳中になるべく排卵を抑えて、次の妊娠を防ぐような作用があるホルモンですので、少なくとも何十単位くらいの数値に下げないと多嚢胞性卵巣症候群でなくても排卵しづらいと思います。高プロラクチン血症も探ってみるべきだと思います。
2015.2.2
専門医Q&A 女性の健康
-
妊娠中のリスク(1)~妊娠が原因で起こる病気~
妊娠中のリスク(1) ~妊娠が原因で起こる病気~ 妊娠期間をトラブルなく過ごし安全な出産をするためには、健康な体でいることが大切。気になる症状や病気などは早めに対処して、リスクを管理していくようにしましょう。 妊娠高血圧症候群 Q:低血圧だったのに、妊娠してから高血圧になってしまい不安です。(ひとみさん・30歳) 妊娠することでかかる病気で最も多いのが、妊娠高血圧症候群です。 妊娠高血圧症候群は、妊娠によって血管に負荷がかかることで起こり、妊娠後期に起こりやすいといわれています。また年齢が高くなるほど、発症率が高くなることが分かっています。血管が異常収縮することで高血圧になり、腎臓への負担が大きくなることで尿たんぱくなどの症状が現れます。妊娠20週以降で高血圧と尿たんぱくの両方、または高血圧だけの場合でも妊娠高血圧症候群と診断されます。 妊娠高血圧症候群を発症すると、血管の異常収縮などで胎盤の血流が悪くなり、胎児に十分な栄養や酸素が届かなくなります。その結果、胎児の発育に遅れが出ることがあります。また母体も脳卒中を起こしたり、出血が止まりにくくなる場合もあります。常位胎盤早期剥離や早産の原因になることもあるので、厳重な管理が必要となります。 治療法は安静にすることと、食事の改善が中心です。重症の場合は降圧剤を服用したり、入院が必要となることもあります。母体と赤ちゃんの状態を管理し、病状によっては帝王切開で早めに赤ちゃんを出してあげる場合もあります。 体重を管理すること、うす味の食事を心がけること、適度に運動することなどが予防法としてあげられます。ストレスのない規則正しい生活を送ることも大切です。高血圧も腎機能の低下も軽度のうちは自覚症状がないため、妊婦健診をきちんと受けることがとても大事です。 妊娠糖尿病 Q:妊娠糖尿病と診断され、注意していても体重が増えてしまいます。(ひとみさん・30歳) 自分でコントロールできない場合は栄養士から指導を受けましょう。 糖尿病とは膵臓から分泌されるインスリンが不足し、血液中のブドウ糖がうまく利用できなくなって、尿中に糖が排出される病気です。この異常が妊娠したことで起こるのが妊娠糖尿病。妊娠中は胎盤から血液を通じて赤ちゃんにブドウ糖が送られます。より多くのブドウ糖を送るために、胎盤から出るホルモンの影響でインスリンの作用が抑制されるので、糖尿病のような状態になってしまうのです。妊娠糖尿病を発見するために、毎回妊婦健診で尿糖を検査します。基準値を超えた場合や、2回続けて陽性だった場合は、より詳しい検査に進みます。 母体が糖尿病にかかっていると、赤ちゃんが4㎏以上の巨大児になることが多く、奇形の原因となることもあります。生まれた赤ちゃんが糖代謝異常になるという心配も。また母体の血管が高血糖でダメージを受け、妊娠高血圧症候群を併発したり、羊水過多症になることもあります。妊娠が原因の病気なので、出産すれば治ることが多いのですが、近年の研究では、妊娠糖尿病にかかった人のうち40%以上の人が5年以内に糖尿病を発症するという報告があります。 塩分や糖分を控えた、薄味で低カロリー・高たんぱくの食事を心がけましょう。治療の場合は症状に応じて摂取カロリーを制限します。自分でできない時は栄養士に相談を。それでも血糖値が正常にならない場合はインスリン治療が行われます。予防も治療も、適度な運動が大事です。毎日の生活の中にウォーキングなどの軽い運動を取り入れましょう。またストレスを感じると血糖値を上げるホルモンが分泌されるので、自分に合った解消法を見つけて、穏やかな気持ちで過ごしましょう。 関連記事: 《 妊娠中のリスク(2)~婦人科系疾患を抱えた妊娠~ 》 ■ あわせて読みたい ■ 妊娠前には喫煙もしていました。お酒もよく飲んでいたのですが、子どもへの影響が心配です 薬を飲まずに妊娠中の風邪を治す方法は? つわりを軽くする食べ物はありますか? もしかして妊娠したかも!?妊娠初期の兆候をチェック 赤ちゃんに影響するかも!妊娠中に気をつけたい感染症 女性のための健康生活マガジン JINEKO 妊娠中のリスク(1) ~妊娠が原因で起こる病気~ 妊娠期間をトラブルなく過ごし安全な出産をするためには、健康な体でいることが大切。気になる症状や病気などは早めに対処して、リスクを管理していくようにしましょう。 妊娠高血圧症候群 Q:低血圧だったのに、妊娠してから高血圧になってしまい不安です。(ひとみさん・30歳) 妊娠することでかかる病気で最も多いのが、妊娠高血圧症候群です。 妊娠高血圧症候群は、妊娠によって血管に負荷がかかることで起こり、妊娠後期に起こりやすいといわれています。また年齢が高くなるほど、発症率が高くなることが分かっています。血管が異常収縮することで高血圧になり、腎臓への負担が大きくなることで尿たんぱくなどの症状が現れます。妊娠20週以降で高血圧と尿たんぱくの両方、または高血圧だけの場合でも妊娠高血圧症候群と診断されます。 妊娠高血圧症候群を発症すると、血管の異常収縮などで胎盤の血流が悪くなり、胎児に十分な栄養や酸素が届かなくなります。その結果、胎児の発育に遅れが出ることがあります。また母体も脳卒中を起こしたり、出血が止まりにくくなる場合もあります。常位胎盤早期剥離や早産の原因になることもあるので、厳重な管理が必要となります。 治療法は安静にすることと、食事の改善が中心です。重症の場合は降圧剤を服用したり、入院が必要となることもあります。母体と赤ちゃんの状態を管理し、病状によっては帝王切開で早めに赤ちゃんを出してあげる場合もあります。 体重を管理すること、うす味の食事を心がけること、適度に運動することなどが予防法としてあげられます。ストレスのない規則正しい生活を送ることも大切です。高血圧も腎機能の低下も軽度のうちは自覚症状がないため、妊婦健診をきちんと受けることがとても大事です。 妊娠糖尿病 Q:妊娠糖尿病と診断され、注意していても体重が増えてしまいます。(ひとみさん・30歳) 自分でコントロールできない場合は栄養士から指導を受けましょう。 糖尿病とは膵臓から分泌されるインスリンが不足し、血液中のブドウ糖がうまく利用できなくなって、尿中に糖が排出される病気です。この異常が妊娠したことで起こるのが妊娠糖尿病。妊娠中は胎盤から血液を通じて赤ちゃんにブドウ糖が送られます。より多くのブドウ糖を送るために、胎盤から出るホルモンの影響でインスリンの作用が抑制されるので、糖尿病のような状態になってしまうのです。妊娠糖尿病を発見するために、毎回妊婦健診で尿糖を検査します。基準値を超えた場合や、2回続けて陽性だった場合は、より詳しい検査に進みます。 母体が糖尿病にかかっていると、赤ちゃんが4㎏以上の巨大児になることが多く、奇形の原因となることもあります。生まれた赤ちゃんが糖代謝異常になるという心配も。また母体の血管が高血糖でダメージを受け、妊娠高血圧症候群を併発したり、羊水過多症になることもあります。妊娠が原因の病気なので、出産すれば治ることが多いのですが、近年の研究では、妊娠糖尿病にかかった人のうち40%以上の人が5年以内に糖尿病を発症するという報告があります。 塩分や糖分を控えた、薄味で低カロリー・高たんぱくの食事を心がけましょう。治療の場合は症状に応じて摂取カロリーを制限します。自分でできない時は栄養士に相談を。それでも血糖値が正常にならない場合はインスリン治療が行われます。予防も治療も、適度な運動が大事です。毎日の生活の中にウォーキングなどの軽い運動を取り入れましょう。またストレスを感じると血糖値を上げるホルモンが分泌されるので、自分に合った解消法を見つけて、穏やかな気持ちで過ごしましょう。 関連記事: 《 妊娠中のリスク(2)~婦人科系疾患を抱えた妊娠~ 》 ■ あわせて読みたい ■ 妊娠前には喫煙もしていました。お酒もよく飲んでいたのですが、子どもへの影響が心配です 薬を飲まずに妊娠中の風邪を治す方法は? つわりを軽くする食べ物はありますか? もしかして妊娠したかも!?妊娠初期の兆候をチェック 赤ちゃんに影響するかも!妊娠中に気をつけたい感染症 女性のための健康生活マガジン JINEKO
2015.2.2
コラム 妊娠・出産
-
妊娠中のトラブルもなく41歳で待望の赤ちゃんを出産
妊娠中のトラブルもなく41歳で待望の赤ちゃんを出産 バラバラだった基礎体温を漢方で整え、3カ月で不妊を克服。妊娠中は何事もあまり心配しすぎないように自然体で過ごし、41歳で待望のママになった由美さんのストーリーです。 漢方で長年の生理痛が改善すぐに待望の妊娠 由美さんは39歳の時、仕事関係で知り合ったご主人(35歳)と結婚。子どもはすぐにでも欲しい、年齢的に急がないと難しくなると思い、基礎体温を測り始めました。3~4カ月測ってみると、きれいな二相にはならず、バラバラなグラフに……。 「いつも相談にのってもらう、子どもが3人いる友人にそのことを話したら、漢方はどうかとすすめられたんです。不妊治療となると勇気がいるので、初めは気軽にできることからやってみようと、漢方薬局を訪れました。先生に『周期調節法を始めると基礎体温が整って、妊娠しやすい体にもっていってくれる』というお話をお聞きし、始めてみることにしました」 効果はすぐにあらわれました。それまで由美さんはずっと生理痛がひどく、市販の薬では効かないので、毎月婦人科に鎮痛剤をもらいに行っていました。それが漢方を飲み始めて1カ月で、鎮痛剤を飲まなくても日常生活を送れるくらいになったのです。 「漢方はお安いものではないので、初めはちょっと試して効果がなかったらやめようと思っていたんです。ところが最初の月で効果が出たので、びっくりしました。主人も私が毎月痛がっているのを知っていたので、驚いていましたね。それで頑張って続けてみることにしました」 冷え性だった体も、だんだんと温まってきている感じがわかりました。そして始めてから3カ月で、待望の赤ちゃんを授かります。 妊娠中は好きなことをしてストレスや不安がないように 結婚する前に仕事を辞めていた由美さんは、妊娠期間をゆったりと過ごしました。 「つわりがほとんどなかったので、食べられないものもなく、体は楽でした。だから毎日家のことをしたり、出産したあとのことを考えながら、妊婦さん向けの雑誌を読んだりして過ごしました。適度な運動がよいと聞いていたので、自宅近くの川沿いの遊歩道をウォーキング。毎日30~40分は歩いていました。リラックス法としては、お風呂が大好きなので、30分くらいの半身浴をしていました。体も温まりますし、毎日楽しみで(笑)」 そうしてストレスのない生活を心がけていても、初めての出産で不安なことはなかったのでしょうか? 「やはり流産の心配はしていました。でも普通に過ごしていて大丈夫だったので、私の中の不安はすぐになくなったのですが、私より主人のほうが心配していたかも。『やっとできたんだから、体冷やさないでね』と言っていました。あとは、周りの友人はみんなもう子どもが大きいので、わからないことや不安なことがあるとすぐに聞いていました。自分の中でモヤモヤをためることがなかったので、ありがたかったです」 赤ちゃんの名前は夫婦二人の思いをこめて 赤ちゃんの性別は、生まれてくるまであえて聞かないようにしようと、夫婦で決めていました。 「健康に生まれてくれればどちらでもいいと思っていました。誕生した時にわかる感動をとっておきたい気持ちもあり、教えてもらわないようにしていました」 だから名前は、男の子女の子、両方の候補を二人で考えていました。生まれたのが男の子だったので、つけた名前が『真那斗』ちゃん。 「“まな"というのはハワイ語で“奇跡"という意味です。“この子が生まれた奇跡に感謝して……"という意味でつけました。ハワイは新婚旅行で行った思い出の地でもあるんです」 パパも積極的に育児参加。二人で協力して育児中 ご主人は真那斗ちゃんがおなかにいる時から、由美さんと一緒によく話しかけていたそうです。生まれてくる前からパパとして接していたこともあるのか、育児にもとても協力的。 「お風呂は毎日パパが入れてくれます。おむつ替えもミルクもなんでもやってくれます。昨年末は子どもを主人がみていてくれたので、私はクリスマスケーキ作りの講習会に行かせてもらいました。育児で大変なこと? あるかな? 子ども中心の生活にはなりましたが、泣いて私たちを困らせることもないし、夜もよく寝てくれます。おっとりした子みたいですね(笑)」 ご主人の協力や理解もあり、由美さんは自然体で育児ができているようです。夫婦の愛情をいっぱい受けて、真那斗ちゃんはきっと、二人が望む通り元気で優しい子に育ってくれることでしょう。 <!-- new media_line_me.LineButton({"pc":false,"lang":"ja","type":"e"}); // --> 妊娠中のトラブルもなく41歳で待望の赤ちゃんを出産 バラバラだった基礎体温を漢方で整え、3カ月で不妊を克服。妊娠中は何事もあまり心配しすぎないように自然体で過ごし、41歳で待望のママになった由美さんのストーリーです。 漢方で長年の生理痛が改善すぐに待望の妊娠 由美さんは39歳の時、仕事関係で知り合ったご主人(35歳)と結婚。子どもはすぐにでも欲しい、年齢的に急がないと難しくなると思い、基礎体温を測り始めました。3~4カ月測ってみると、きれいな二相にはならず、バラバラなグラフに……。 「いつも相談にのってもらう、子どもが3人いる友人にそのことを話したら、漢方はどうかとすすめられたんです。不妊治療となると勇気がいるので、初めは気軽にできることからやってみようと、漢方薬局を訪れました。先生に『周期調節法を始めると基礎体温が整って、妊娠しやすい体にもっていってくれる』というお話をお聞きし、始めてみることにしました」 効果はすぐにあらわれました。それまで由美さんはずっと生理痛がひどく、市販の薬では効かないので、毎月婦人科に鎮痛剤をもらいに行っていました。それが漢方を飲み始めて1カ月で、鎮痛剤を飲まなくても日常生活を送れるくらいになったのです。 「漢方はお安いものではないので、初めはちょっと試して効果がなかったらやめようと思っていたんです。ところが最初の月で効果が出たので、びっくりしました。主人も私が毎月痛がっているのを知っていたので、驚いていましたね。それで頑張って続けてみることにしました」 冷え性だった体も、だんだんと温まってきている感じがわかりました。そして始めてから3カ月で、待望の赤ちゃんを授かります。 妊娠中は好きなことをしてストレスや不安がないように 結婚する前に仕事を辞めていた由美さんは、妊娠期間をゆったりと過ごしました。 「つわりがほとんどなかったので、食べられないものもなく、体は楽でした。だから毎日家のことをしたり、出産したあとのことを考えながら、妊婦さん向けの雑誌を読んだりして過ごしました。適度な運動がよいと聞いていたので、自宅近くの川沿いの遊歩道をウォーキング。毎日30~40分は歩いていました。リラックス法としては、お風呂が大好きなので、30分くらいの半身浴をしていました。体も温まりますし、毎日楽しみで(笑)」 そうしてストレスのない生活を心がけていても、初めての出産で不安なことはなかったのでしょうか? 「やはり流産の心配はしていました。でも普通に過ごしていて大丈夫だったので、私の中の不安はすぐになくなったのですが、私より主人のほうが心配していたかも。『やっとできたんだから、体冷やさないでね』と言っていました。あとは、周りの友人はみんなもう子どもが大きいので、わからないことや不安なことがあるとすぐに聞いていました。自分の中でモヤモヤをためることがなかったので、ありがたかったです」 赤ちゃんの名前は夫婦二人の思いをこめて 赤ちゃんの性別は、生まれてくるまであえて聞かないようにしようと、夫婦で決めていました。 「健康に生まれてくれればどちらでもいいと思っていました。誕生した時にわかる感動をとっておきたい気持ちもあり、教えてもらわないようにしていました」 だから名前は、男の子女の子、両方の候補を二人で考えていました。生まれたのが男の子だったので、つけた名前が『真那斗』ちゃん。 「“まな"というのはハワイ語で“奇跡"という意味です。“この子が生まれた奇跡に感謝して……"という意味でつけました。ハワイは新婚旅行で行った思い出の地でもあるんです」 パパも積極的に育児参加。二人で協力して育児中 ご主人は真那斗ちゃんがおなかにいる時から、由美さんと一緒によく話しかけていたそうです。生まれてくる前からパパとして接していたこともあるのか、育児にもとても協力的。 「お風呂は毎日パパが入れてくれます。おむつ替えもミルクもなんでもやってくれます。昨年末は子どもを主人がみていてくれたので、私はクリスマスケーキ作りの講習会に行かせてもらいました。育児で大変なこと? あるかな? 子ども中心の生活にはなりましたが、泣いて私たちを困らせることもないし、夜もよく寝てくれます。おっとりした子みたいですね(笑)」 ご主人の協力や理解もあり、由美さんは自然体で育児ができているようです。夫婦の愛情をいっぱい受けて、真那斗ちゃんはきっと、二人が望む通り元気で優しい子に育ってくれることでしょう。 <!-- new media_line_me.LineButton({"pc":false,"lang":"ja","type":"e"}); // -->
2015.1.30
コラム 妊娠・出産
-
2回の自然妊娠が初期流産したので流産しにくい体をつくりたいけどなにが効果的なの?
相談者 まるちゃん さん(32歳) 【不妊の原因:機能亢進症】 ○なんだか疲れやすい ○胃腸が弱い ○冷え性である ○月経前になると乳房や下腹部が張る ○ゲップやおならが出やすい ○血色が悪い ○爪がもろく割れやすい ○めまいや立ちくらみがよくある ○目がかすんだり疲れる ○顔にシミやクマが出やすい ○レバーのような経血の塊が出る ○顔色が青白い ○寒がりである ○とくにおなかや下半身が冷える ○冷たい飲み物・料理は苦手 ○体が重く、いつもだるい ○いつも眠い 漢方薬や鍼灸治療を月経周期に応じて使い分ける周期調節法がおすすめ 流産を繰り返すことは体に大きな負担となります。東洋医学では流産も「小さなお産」と古くから考えられ産後と同じような養生が必要です。まずはゆっくりと体を休ませ半年くらいは避妊しましょう。 流産を繰り返している人の場合は妊娠中の胎児を安定させ養う役割を高める漢方生薬がおすすめ 「乳房の張り」は妊娠前からですか?流産後からですか?プロラクチン(乳汁分泌ホルモン)が高いと思われますので断乳に使う「炒麦芽」が良さそうです。 流産しにくい丈夫なカラダづくりにおすすめの養生法は「バランスの良い食事」、「漢方」、「鍼灸」です。 月経期は古い子宮内膜をスムーズに排出させる活血薬と理気薬を使い、卵胞期は質の良い卵子と子宮内膜をつくる時期で補血薬と滋陰薬を併用。 排卵期は気と血のめぐりをスムーズにし高温期へ移行する時期で鍼灸治療を。 黄体期は子宮を温めながら受精卵を着床・養育できる環境を整えるため補陽・補腎薬を。 このように月経周期に合わせて漢方を使い分ける「周期調節法」は、近年高い成果が期待できる改善法として確立されています。 原始卵胞から卵胞が大きく成長し最終的に卵子が排卵されるまで4~6カ月かかるといわれております。あせらずじっくり時間をかけて養生しましょう 妊娠中に35歳以上でなければあまり漢方薬は使いませんが、流産を繰り返している方には漢方薬を続けることもおすすめします。妊娠中の胎児をしっかりと安定させるのは「腎じん」の役割。同時に飲食物をしっかり消化吸収して赤ちゃんを養う栄養を生み出す「脾ひ」の力も大切。漢方生薬には古くから安胎・養胎薬も多くありますのでご安心ください。 日ごろの食事を見直し旬の食材を使った手料理を中心に、赤い食材と黒い食材を積極的に食べる また漢方薬だけでなく日頃の食事も見直しましょう。 □なるべく旬の食材を使った手料理を中心に □生食(刺身・生野菜・生肉)偏食は避ける □カタカナ食(インスタント・レトルト・コンビニ・ファストフード)は避ける □冷飲・冷食はやめる(必ず常温以上のもの) □赤い食材と黒い食材を積極的に食べる日頃から意識することで諸々の症状は楽になりますよ。 西條 信義先生 日本不妊カウンセリング学会認定不妊カウンセラー・中国政府国際中医専門員A級。創業明治34年、新潟の老舗漢方薬局の四代目。併設された鍼灸院の院長でもある。新潟県内で唯一漢方処方と針灸治療をいっしょに提供。二人目不妊(男性不妊)の経験をもとに毎月妊活セミナーを開催中。13歳と5歳になる2児の父。 相談者 まるちゃん さん(32歳) 【不妊の原因:機能亢進症】 ○なんだか疲れやすい ○胃腸が弱い ○冷え性である ○月経前になると乳房や下腹部が張る ○ゲップやおならが出やすい ○血色が悪い ○爪がもろく割れやすい ○めまいや立ちくらみがよくある ○目がかすんだり疲れる ○顔にシミやクマが出やすい ○レバーのような経血の塊が出る ○顔色が青白い ○寒がりである ○とくにおなかや下半身が冷える ○冷たい飲み物・料理は苦手 ○体が重く、いつもだるい ○いつも眠い 漢方薬や鍼灸治療を月経周期に応じて使い分ける周期調節法がおすすめ 流産を繰り返すことは体に大きな負担となります。東洋医学では流産も「小さなお産」と古くから考えられ産後と同じような養生が必要です。まずはゆっくりと体を休ませ半年くらいは避妊しましょう。 流産を繰り返している人の場合は妊娠中の胎児を安定させ養う役割を高める漢方生薬がおすすめ 「乳房の張り」は妊娠前からですか?流産後からですか?プロラクチン(乳汁分泌ホルモン)が高いと思われますので断乳に使う「炒麦芽」が良さそうです。 流産しにくい丈夫なカラダづくりにおすすめの養生法は「バランスの良い食事」、「漢方」、「鍼灸」です。 月経期は古い子宮内膜をスムーズに排出させる活血薬と理気薬を使い、卵胞期は質の良い卵子と子宮内膜をつくる時期で補血薬と滋陰薬を併用。 排卵期は気と血のめぐりをスムーズにし高温期へ移行する時期で鍼灸治療を。 黄体期は子宮を温めながら受精卵を着床・養育できる環境を整えるため補陽・補腎薬を。 このように月経周期に合わせて漢方を使い分ける「周期調節法」は、近年高い成果が期待できる改善法として確立されています。 原始卵胞から卵胞が大きく成長し最終的に卵子が排卵されるまで4~6カ月かかるといわれております。あせらずじっくり時間をかけて養生しましょう 妊娠中に35歳以上でなければあまり漢方薬は使いませんが、流産を繰り返している方には漢方薬を続けることもおすすめします。妊娠中の胎児をしっかりと安定させるのは「腎じん」の役割。同時に飲食物をしっかり消化吸収して赤ちゃんを養う栄養を生み出す「脾ひ」の力も大切。漢方生薬には古くから安胎・養胎薬も多くありますのでご安心ください。 日ごろの食事を見直し旬の食材を使った手料理を中心に、赤い食材と黒い食材を積極的に食べる また漢方薬だけでなく日頃の食事も見直しましょう。 □なるべく旬の食材を使った手料理を中心に □生食(刺身・生野菜・生肉)偏食は避ける □カタカナ食(インスタント・レトルト・コンビニ・ファストフード)は避ける □冷飲・冷食はやめる(必ず常温以上のもの) □赤い食材と黒い食材を積極的に食べる日頃から意識することで諸々の症状は楽になりますよ。 西條 信義先生 日本不妊カウンセリング学会認定不妊カウンセラー・中国政府国際中医専門員A級。創業明治34年、新潟の老舗漢方薬局の四代目。併設された鍼灸院の院長でもある。新潟県内で唯一漢方処方と針灸治療をいっしょに提供。二人目不妊(男性不妊)の経験をもとに毎月妊活セミナーを開催中。13歳と5歳になる2児の父。
2015.1.29
コラム 妊活