-
「おめでとうございます」のメッセージ
赤ちゃんエッセイ:「おめでとうございます」のメッセージ 画像:Shutterstock.com はじめての妊娠、そして出産。楽しみでもあり、不安も少し…。そんな初心者ママを応援したいとスキナベーブでは毎年、赤ちゃんエッセイコンテストを開催しています。エッセイには、先輩ママや専門家の方の体験談がいっぱい。元気になれるエッセイが、きっと見つかります。ジネコでは、これまでの受賞作品の中から素敵なエッセイをピックアップしてご紹介してまいります。 助産婦としてたくさんの赤ちゃんをとり上げてきて、一番最初にお母さんにいうことば。「おめでとうございます」このことばを口にする度、忘れられないことがあります。何年か前のその日、いつものように、私はある初産婦さんの出産に立ち合っていました。 赤ちゃんは産まれるまでに、回旋をしながら産まれてくるのですが、頭がすっかり出てくる第3回旋、肩が出やすいよう、身体ごと横に向く第4回旋、その時見えた赤ちゃんの顔は、ダウン症候群と呼ばれる顔にそっくりだったのです。(今のは、首の所で締まってて、ほっぺでギュッと圧迫されていたから、そう見えたんだ。ちゃんと産まれたら大丈夫。普通の赤ちゃんにちがいない)祈るような思いで、前在、後在の肩を出し、とり上げました。吸引し、啼泣したその子は、やはりダウン症候群と思われる顔でした。 私も側にいた医師も、とっさに息を呑んでやっと「○○さん、女の子ですよ」と声をかけることができたのでした。 その後医師がお母さんの処置をしている間私は計測中の赤ちゃんの側へ行ってみました。間違いない。猿線もある。今までダウン症候群の疑いのある子もいたけど、直接とり上げたのは初めて。どうしよう。どう対応したらいいのだろう。 赤ちゃんをお母さんの所へ、連れていく。気付かないだろうか。「かわいい。主人に似てるわ。目も、このお手々も」はしゃぐような彼女に、うなづきながら思った。まだ気付いていない。しかし、その後赤ちゃんが合併症の疑いもあり、NICUのある病院に赤ちゃんだけ運ばれることになり、医師から家族へ、家族から母親へと、病状とともに、ダウン症候群疑いということも、知らされてしまいました。 出産後、ホルモンの変調によるマタニティーブルーということばもあるようなこの時期に知らされてしまった彼女の苦しみはどれほど大きいものだったでしょう。 「私は若いのに、なぜ?」「ダウン症候群の子のことは、よく知ってる。出産後そうじゃないかと、こわかった。だから必死で、私や主人に似ている所を探そうとしたのに」「産まなければよかった」「あの子をかわいいと思う日がくるなんて考えられない」「障害のある子を産んだことのない、あなたになんかわかるはずがない」 その中で最も私をうちのめしたことばは、「あなたは私に『おめでとうございます』といってくれなかった!」 そうなのだ。あの日私は、このひとことを忘れた訳ではなかった。いうことができなかった。産まれない方が良いというわけではないが、これからこの母子を、どんな苦難や悲嘆が待ちうけているか。そう思うと、こわくていえなかった。 母親の鋭い直感で、彼女に悟られ、指摘されてしまったのです。彼女の態度は、悲しみを受容していく過程で最初に現れる当然の反応であると、理解はしていても、目の前で苦しんでいる彼女を見ながら「おめでとうございます」をいえなかった自分を責めていました。 彼女がそのまま退院してしまった後も、ずっと心の中で考え続けました。そんなことを考えていたある時「さっちゃんのまほうの手」という絵本と、四肢障害児を支える家族の会の活動を紹介する催しがあり、出かけてみました。そこで、たくさんのステキな笑顔に出合うことができました。この笑顔にたどりつくまで、皆苦しんだり悲しんだりしたんだろうけど、きっと乗りこえることができるんだ。母と子の力ってきっともっとすごいものなんだ。障害の種類も程度も違うけど、あの母子も絶対こんなステキな笑顔になれるにちがいない、そう信じることができました。 それから一年くらいたったでしょうか。彼女が娘さんを大事そうに抱いて病院に寄ってくれました。「こんなに大きくなりました」と笑顔で。かわいいふわふわの服を着た女の子は、私がおいでと手をさしのべても、母親である彼女にすがりつき、彼女も、宝もののように、ほっぺとほっぺをくっつけて、ステキな笑顔で笑ったのです。「この子のいない生活なんて、考えられない」といって。 だから私は、これからも、どんな赤ちゃんにも「おめでとうございます」ということができます。その子の人生のスタートを、祝福のことばで、迎えてあげたい。「産まれてきてよかったね。幸せになるんだよ」というメッセージも込めて。 提供:スキナベーブ 赤ちゃんエッセイコンテスト <!-- new media_line_me.LineButton({"pc":false,"lang":"ja","type":"e"}); // --> 赤ちゃんエッセイ:「おめでとうございます」のメッセージ 画像:Shutterstock.com はじめての妊娠、そして出産。楽しみでもあり、不安も少し…。そんな初心者ママを応援したいとスキナベーブでは毎年、赤ちゃんエッセイコンテストを開催しています。エッセイには、先輩ママや専門家の方の体験談がいっぱい。元気になれるエッセイが、きっと見つかります。ジネコでは、これまでの受賞作品の中から素敵なエッセイをピックアップしてご紹介してまいります。 助産婦としてたくさんの赤ちゃんをとり上げてきて、一番最初にお母さんにいうことば。「おめでとうございます」このことばを口にする度、忘れられないことがあります。何年か前のその日、いつものように、私はある初産婦さんの出産に立ち合っていました。 赤ちゃんは産まれるまでに、回旋をしながら産まれてくるのですが、頭がすっかり出てくる第3回旋、肩が出やすいよう、身体ごと横に向く第4回旋、その時見えた赤ちゃんの顔は、ダウン症候群と呼ばれる顔にそっくりだったのです。(今のは、首の所で締まってて、ほっぺでギュッと圧迫されていたから、そう見えたんだ。ちゃんと産まれたら大丈夫。普通の赤ちゃんにちがいない)祈るような思いで、前在、後在の肩を出し、とり上げました。吸引し、啼泣したその子は、やはりダウン症候群と思われる顔でした。 私も側にいた医師も、とっさに息を呑んでやっと「○○さん、女の子ですよ」と声をかけることができたのでした。 その後医師がお母さんの処置をしている間私は計測中の赤ちゃんの側へ行ってみました。間違いない。猿線もある。今までダウン症候群の疑いのある子もいたけど、直接とり上げたのは初めて。どうしよう。どう対応したらいいのだろう。 赤ちゃんをお母さんの所へ、連れていく。気付かないだろうか。「かわいい。主人に似てるわ。目も、このお手々も」はしゃぐような彼女に、うなづきながら思った。まだ気付いていない。しかし、その後赤ちゃんが合併症の疑いもあり、NICUのある病院に赤ちゃんだけ運ばれることになり、医師から家族へ、家族から母親へと、病状とともに、ダウン症候群疑いということも、知らされてしまいました。 出産後、ホルモンの変調によるマタニティーブルーということばもあるようなこの時期に知らされてしまった彼女の苦しみはどれほど大きいものだったでしょう。 「私は若いのに、なぜ?」「ダウン症候群の子のことは、よく知ってる。出産後そうじゃないかと、こわかった。だから必死で、私や主人に似ている所を探そうとしたのに」「産まなければよかった」「あの子をかわいいと思う日がくるなんて考えられない」「障害のある子を産んだことのない、あなたになんかわかるはずがない」 その中で最も私をうちのめしたことばは、「あなたは私に『おめでとうございます』といってくれなかった!」 そうなのだ。あの日私は、このひとことを忘れた訳ではなかった。いうことができなかった。産まれない方が良いというわけではないが、これからこの母子を、どんな苦難や悲嘆が待ちうけているか。そう思うと、こわくていえなかった。 母親の鋭い直感で、彼女に悟られ、指摘されてしまったのです。彼女の態度は、悲しみを受容していく過程で最初に現れる当然の反応であると、理解はしていても、目の前で苦しんでいる彼女を見ながら「おめでとうございます」をいえなかった自分を責めていました。 彼女がそのまま退院してしまった後も、ずっと心の中で考え続けました。そんなことを考えていたある時「さっちゃんのまほうの手」という絵本と、四肢障害児を支える家族の会の活動を紹介する催しがあり、出かけてみました。そこで、たくさんのステキな笑顔に出合うことができました。この笑顔にたどりつくまで、皆苦しんだり悲しんだりしたんだろうけど、きっと乗りこえることができるんだ。母と子の力ってきっともっとすごいものなんだ。障害の種類も程度も違うけど、あの母子も絶対こんなステキな笑顔になれるにちがいない、そう信じることができました。 それから一年くらいたったでしょうか。彼女が娘さんを大事そうに抱いて病院に寄ってくれました。「こんなに大きくなりました」と笑顔で。かわいいふわふわの服を着た女の子は、私がおいでと手をさしのべても、母親である彼女にすがりつき、彼女も、宝もののように、ほっぺとほっぺをくっつけて、ステキな笑顔で笑ったのです。「この子のいない生活なんて、考えられない」といって。 だから私は、これからも、どんな赤ちゃんにも「おめでとうございます」ということができます。その子の人生のスタートを、祝福のことばで、迎えてあげたい。「産まれてきてよかったね。幸せになるんだよ」というメッセージも込めて。 提供:スキナベーブ 赤ちゃんエッセイコンテスト <!-- new media_line_me.LineButton({"pc":false,"lang":"ja","type":"e"}); // -->
2014.12.18
コラム 妊娠・出産
-
サイトメガロウィルス感染 お風呂
「1月から子作り開始で、12月に初感染してしまったとしても、子作り前だから一切関係ないのですか?それとも潜伏していて、受精や着床の時あたりに胎児に感染!とかあるのでしょうか?」
2014.12.11
専門医Q&A 女性の健康
-
サイトメガロウィルス感染 お風呂
「たとえば、1月から子作り開始で、12月に初感染してしまったとしても、子作り前だから一切関係ないのですか?それとも潜伏していて、受精や着床の時あたりに胎児に感染!とかあるのでしょうか?」
2014.12.11
専門医Q&A 女性の健康
-
初顕微授精 採卵日が合っていたのか疑問です
やすきちさん(38歳)初めての顕微授精。 ショート法でD4より1日3回点鼻薬ブセレキュアとHMG150注射(病院が休みの日は自己注射ゴナールエフを1日75) 採卵36時間前にはHCG注射をし、点鼻薬はその時点で終了しました。 D11 卵胞16,5ミリと15ミリぐらい合わせて計3つ D14 卵胞20ミリ1つと15~16ミリ2つとサイズわからず1つで計4つ エストロゲン?(E2かな)が1,300 D16 採卵 2つしかとれず D20 受精せず終了 過熟だったとのこと。採卵してみないとわからないことなので・・と説明あり。 今回D16での採卵となったのですが、D14の時点でエストロゲン1300だったので成熟していたのでは?と疑問です。 採卵は、ある程度薬でタイミングを調整できると聞いたことがあるのですが・・・。 前回、自然排卵でのAMHをしたときも、 D14 14ミリで行いました(主人の精子が洗浄後3000といつもより良好) 14ミリで早すぎでは・・・と内心思ったのですが・・・。 先生も早いと思ったのかAMH後にHMG150を注射しました。 その際に同じ周期で2回目AMHを行いますか?と話があり2回目をD17にしたのですが、その時点では排卵していました(2回目精子洗浄後1,000) このときのAMHもタイミングが合っていないのでは?と疑問に思っています。 現在通っている病院は自宅から通いやすいので連日の注射の時は助かりました。また、顕微授精の料金は良心的です。 ですが、年齢的に急いでおり、やはり顕微授精などはある程度実績のある有名な病院に転院した方がいいのでは?と悩んでいます。 向田哲規 先生 (広島HARTクリニック) 院長 向田哲規 1960年6月25 広島県広島市中区生まれ 昭和35年生まれで修道高校卒業まで広島で育ち、太平洋の青い海にあこがれ高知医科大学に入学し、学業よりテニス部とヨット部の活動が中心であった健康的な学生生活を送り卒業の後、同医科大学産婦人科医局にて一般産婦人科のトレーニングを受けました。 不妊症治療に携わって得られる生き甲斐は、より良い治療法を習得しそれを難しい症例に用いて、赤ちゃん誕生という目標に到達する手助けができた瞬間であり、その経験が臨床医としての糧になっていると思います。 不妊症の原因および治療法は千差万別であるため最終的には御夫婦が納得した治療法にて組むべきであり、その為の説明を充分行うよう心がけておりますので、いつでも御相談ください。 ≫ 広島HARTクリニックまだ38歳ですし、ICSI法はよほどのことがない限り受精すると思われます。 また、通常のICSI法で受精しない場合、イオノフォア等の活性化処理が有効な場合もあります。 それらの点を十分考慮してくれる施設で受けるのも一つの考え方です
2014.12.10
専門医Q&A 女性の健康
-
次回は、採卵か胚盤胞移植どちらを優先か?
なおさん(40歳)結婚して1年が経つのを機に、10月から、不妊専門病院に通い始めました。元々、結婚が遅かったのと仕事が忙しかったのもあり、子づくりは、半ばあきらめていたのですが、仕事をやめることもあり、あきらめる前に、やれるだけやってみようと思ったのがきっかけです。検査の結果、主人の精液の濃度、運動率があまりよくないことや私の年齢的なことからも、顕微授精がよいだろうということになり、先月11月に初めて、アンタゴニスト法で採卵し、7個採卵でき、そのうちの5個の成熟卵子で顕微授精しました。(2個は、未熟卵子で顕微授精できず)。顕微授精した5個のうち、1個は受精確認できなかったのと1個は分裂停止となりましたが、1個を、3日目8分割の新鮮胚移植しました。(グレードは、わかりませんが、フラグメント0%の均一8分割と言われた)。また残りの2個は、5日目胚盤胞で凍結しました。(グレードは、4AB,4BC) 先日の妊娠判定では、陰性となり(着床せず)、今周期は、お休みして、次周期からまた治療を開始することになっています。 そこで、次周期には、凍結胚盤胞を移植するか、もしくは、採卵からして、卵子を少しでも、ストックすべきか迷っています。先生には、どちらもメリットデメリットがあるから、何とも言えないと言われています。私自身は、今回、着床しなかったというショックと年齢的なことからも、卵子を少しでも取っておきたいという気持ちになっています。なお、AMHは、4.34ng/mlで、年齢の割にはよいと言われましたが、やはり、卵子の質は、年齢に関係してくるので、正直、とても不安です。ぜひ、先生のご意見を聞かせて頂きたいです。よろしくお願いします。 向田哲規 先生 (広島HARTクリニック) 院長 向田哲規 1960年6月25 広島県広島市中区生まれ 昭和35年生まれで修道高校卒業まで広島で育ち、太平洋の青い海にあこがれ高知医科大学に入学し、学業よりテニス部とヨット部の活動が中心であった健康的な学生生活を送り卒業の後、同医科大学産婦人科医局にて一般産婦人科のトレーニングを受けました。 不妊症治療に携わって得られる生き甲斐は、より良い治療法を習得しそれを難しい症例に用いて、赤ちゃん誕生という目標に到達する手助けができた瞬間であり、その経験が臨床医としての糧になっていると思います。 不妊症の原因および治療法は千差万別であるため最終的には御夫婦が納得した治療法にて組むべきであり、その為の説明を充分行うよう心がけておりますので、いつでも御相談ください。 ≫ 広島HARTクリニック次回は採卵か移植かどちらを優先か? AMHが十分なので早期に今凍結保存されている胚盤胞を外因性ホルモン投与による内膜作成で妊娠に向けるので 良いと思います。 年齢によって採卵して、胚盤胞を増やすかどうかを判断すべきかもしれません。
2014.12.9
専門医Q&A 女性の健康
-
体外受精がうまくいかず悩んでいます
なからむさん(31歳)体外受精を行いました。ショート法の採卵により10個採取。1個(10分割胚フラグメント多め)は採卵周期に移植、残り3個胚盤胞、5個は分割胚で凍結。 1回目の採卵周期移植は陰性、2回目の胚盤胞移植も陰性でした。 3回目の移植をしようと生理後エストラーナテープで子宮内膜厚を厚くしている途中で(生理開始12日目)剥離出血。 ルトラールを飲んでで止血しようとしていますが、3日間現在まで血の量は変わっていません。 剥離出血はどのような原因が考えられるでしょうか。偶々?テープが体質に合わない?ストレスなどのホルモンバランスの乱れ?何か病気?? また2回目の移植では、採卵した中で見た目がより良い杯盤胞を移植(アシストハッチングあり)をしましたが、それでも陰性でした。 私は着床障害なのでしょうか。今後妊娠する可能性はあるのでしょうか。 さらに良い治療方法はありますか。 小さいころから近くで常に両親が喫煙する環境で育ってきました、不妊にはその影響があるのでしょうか。 今後転院も考えています。移植何回を目安に転院を考えた方がいいでしょうか。 向田哲規 先生 (広島HARTクリニック) 院長 向田哲規 1960年6月25 広島県広島市中区生まれ 昭和35年生まれで修道高校卒業まで広島で育ち、太平洋の青い海にあこがれ高知医科大学に入学し、学業よりテニス部とヨット部の活動が中心であった健康的な学生生活を送り卒業の後、同医科大学産婦人科医局にて一般産婦人科のトレーニングを受けました。 不妊症治療に携わって得られる生き甲斐は、より良い治療法を習得しそれを難しい症例に用いて、赤ちゃん誕生という目標に到達する手助けができた瞬間であり、その経験が臨床医としての糧になっていると思います。 不妊症の原因および治療法は千差万別であるため最終的には御夫婦が納得した治療法にて組むべきであり、その為の説明を充分行うよう心がけておりますので、いつでも御相談ください。 ≫ 広島HARTクリニック31歳でショート法による誘発で10個以上採卵できているので、 次はアンタコ゛ニスト法での誘発に 全胚培養し胚盤胞の段階まで発達させて、 ガラス化法で凍結保存し、十分な外因性ホルモン周期で移植するのが適切と思います。 それを積極的に行って結果を出している治療施設を探してみて セカンドオピニオンを聞くなど、変更してみるのも良いと思います。
2014.12.9
専門医Q&A 女性の健康
-
体外受精がうまくいかず悩んでいます
なからむさん(31歳)体外受精を行いました。ショート法の採卵により10個採取。1個(10分割胚フラグメント多め)は採卵周期に移植、残り3個胚盤胞、5個は分割胚で凍結。 1回目の採卵周期移植は陰性、2回目の胚盤胞移植も陰性でした。 3回目の移植をしようと生理後エストラーナテープで子宮内膜厚を厚くしている途中で(生理開始12日目)剥離出血。 ルトラールを飲んでで止血しようとしていますが、3日間現在まで血の量は変わっていません。 剥離出血はどのような原因が考えられるでしょうか。偶々?テープが体質に合わない?ストレスなどのホルモンバランスの乱れ?何か病気?? また2回目の移植では、採卵した中で見た目がより良い杯盤胞を移植(アシストハッチングあり)をしましたが、それでも陰性でした。 私は着床障害なのでしょうか。今後妊娠する可能性はあるのでしょうか。 さらに良い治療方法はありますか。 小さいころから近くで常に両親が喫煙する環境で育ってきました、不妊にはその影響があるのでしょうか。 今後転院も考えています。移植何回を目安に転院を考えた方がいいでしょうか。 福井敬介 先生 (福井ウィメンズクリニック) 1965年1月 山羊座/A型 1989年 愛媛大学産科婦人科入局 1995年 愛媛大学大学院医学専攻科卒 2000年 愛媛大学産科婦人科学 助教授 2001年 福井ウィメンズクリニック院長 現在に至る 日本生殖医学会生殖医療指導医 日本産科婦人科内視鏡学会技術認定医 母体保護法指定医 日本産科婦人科学会認定医 ◆専門分野: 体外受精、内視鏡手術、流産、生殖免疫学、子宮内膜症、環境ホルモン 1995年 精子の黄体ホルモン膜レセプターの機能解明 1996年 四国初の卵細胞質内精子注入法(顕微受精法)による出産に成功 1997年 精巣内精子活性化法を開発し無精子症患者の出産に成功(本邦初) 1998年 腹腔鏡下の卵管吻合による妊娠に成功(本邦初) 1999年 女性の腹水中にダイオキシンの存在を証明(内膜症と関連か?) 2000年 子宮内に着床・流産に関連する特殊リンパ球の存在と機能の解明(英国雑誌 mol Human Reproductionに掲載) ≫ 福井ウィメンズクリニックまず、剥離出血についてはホルモンレベルが関係するのでホルモンデータを確認しないとはっきりとした事は言えませんが、血中濃度がうまく上がっていなかったり逆に上がりすぎていたりといった原因が考えられます。 エストラーナテープだけを貼っていると、自分のホルモンが影響して不正出血を起こす場合があります。それを防ぐために、当クリニックの場合はGnRHアナログ(点鼻薬)を使うことが多いのですが、もし今後エストラーナテープを貼ることで出血が続くようなら、主治医の先生も点鼻薬を考えられるかもしれませんね。 また、着床障害かどうかはまだ胚盤胞移植が1回だけなので言い切れません。もう1回くらいトライして無理だった場合は検査を受けてみてください。次の方法としては、二段階移植を考えてみてもいいでしょう。 次に、喫煙の環境についてですが、ご本人が現在喫煙していればすぐに止めたほうがいいと思いますが、小さい頃の受動喫煙が現在まで影響しているかどうかはわかりません。最後に、なからむさんは、まだ移植を2回しかトライしていませんし、そのうち胚盤胞は1回だけですよね。胚盤胞が3つも残っていますから、その3つをトライしてみる価値は十分にあると思います。ご自分が考ているほど深刻な状況ではないと思いますので、せっかく育った胚盤胞を大切に、頑張ってください。
2014.12.9
専門医Q&A 女性の健康
-
ピルのヤーズ服用後について。
ぽむぽむぱいんさん(24歳)PCOのため婦人科に相談したところヤーズを処方されました。 ヤーズ服用し始めてから乗り物酔い?のようなものが酷くなり] 通学中の電車などで動悸や息切れ、冷や汗などが度々出で 自分ではパニック障害かなぁと考えています。 はじめうちは副作用があると聞いていたので、 なんとか耐えて1ヶ月 は飲み続けたのですが、症状はで続け、 友達とのお酒の場でもそのような症状が出始めてしまい、 やむなく中止した次第です。 中止後20日ほどたつのですが服用中よりはだいぶん軽減されたも のの 今でもたまに電車に乗ったりお酒を飲んだりすると パニック障害のようなものがでます。10分程度でおさまります。 ピルの服用前までそのような経験が一度もなかったので、とても嫌です。 このような障害はピルのホルモン作用がまだ身体にのこっているからでしょうか? それともまた違う問題で精神科とかにいったほうがいいのでしょうか? よろしくお願いします。 小林肇 先生 (東京フェリシアレディースクリニック) 院長 小林 肇 産婦人科専門医、医療安全学会評議員 日本医科大学卒業 ハーバード公衆衛生大学院修士課程卒業 ハーバード大学客員研究員 (ハーバード大学関連医療機関の 医療安全シミュレーショントレーニングを行う Center for Medical Simulationにてスタッフとして従事) 日本医科大学大学院で医療安全分野の研究にて博士号取得 医療分野以外ではグローバルコンサルティングファームである マッキンゼーアンドカンパニーで活躍、NTTドコモ子会社の 日本アルトマーク株式会社経営企画室長を経て、現在同社アドバイザー。 その他ベンチャー企業のアドバイザーを勤める。 ≫ 東京フェリシアレディースクリニックこんにちはぽむぽむぱいんさん。 ヤーズを服用されての症状ですが、頻度は低いですが、 動悸、息切れなどは、副作用として報告されています。 一般的には、服用を中止することで、ヤーズの効果はなくなりますので、 その後は徐々になくなると考えられます。 「パニック障害」という言葉がありますが、これまでに かかられたことがありますでしょうか。 ヤーズの効果とは直接の関係はないかとおもいますが、 この障害が何らかの機会で出てきた可能性もあります。 既に服用を中止されているとのことですので、 こちらを診断された心療内科か、精神科のクリニックで ご相談されてみるのはいかがでしょうか。 徐々にでも症状が軽くなると良いですね。 お大事にしてくださいね。
2014.12.1
専門医Q&A 女性の健康
-
排卵前後の卵胞の見え方について
「排卵済みでも黒い卵胞は見えるのでしょうか。診察時に質問すれば良かったのですが後からモヤモヤと気になってきてしまいました…」
2014.11.29
専門医Q&A 女性の健康
-
排卵前後の卵胞の見え方について
えっか1010さん(35歳)排卵前後の卵胞の見え方について教えてください。 排卵検査薬陽性が出て一週間後に、排卵済みかの確認のため婦人科に行って来ました。 エコー画像を見ると黒い丸い形をした物が見えたので 「あれ?卵胞がある 排卵してないのかな 」 と思っていたら、医師からは 「ちゃんと排卵してますね。」 と言われました。 排卵済みでも黒い卵胞は見えるのでしょうか。 診察時に質問すれば良かったのですが後からモヤモヤと気になってきてしまいました… 補足:排卵検査薬反応後の検診では、子宮は白くモヤがかかっているように見えました。 排卵検査薬反応前のエコーでは大きい卵胞は18ミリくらい、 反応後の検診ではエコーで黒く見えたものは14ミリくらいでした。 操 良 先生 (操レディスホスピタル) 大学で約8年間不妊専門外来を担当し、平成4年に岐阜県下初の体外受精の成功以来、500症例以上の体外受精・顕微授精に携わり、子宮筋腫・子宮内膜症の新薬の臨床治験の担当として多くの症例を手がける。 そこで女性ホルモンに関する研究成果が認められ、平成9年度に岐阜県医学研究奨励賞を、平成11年度の日本内分泌学会では産婦人科としてただ一人、研究奨励賞を受賞。平成26年 操レディスホスピタル 院長に就任。現在もなお高度不妊治療施設間の交流に尽力し、研究・治療の向上を図る。 昭和63年 岐阜大学医学部 卒業 昭和63年~平成13年 岐阜大学附属病院 産婦人科講師 体外受精を担当 不妊・内分泌外来を担当 平成13年 操レディスホスピタル 副院長に就任 平成26年 操レディスホスピタル 院長に就任 ≫ 操レディスホスピタル AMHが0.1未満ということで、左の卵巣を摘出していますし右の卵巣も手術をしているので、恐らく卵巣予備能がとても悪いのだと思います。排卵後に黒く丸い形の物が見えたということですが、排卵後の卵巣の中に出血の貯留が認められた場合、それが黒く見えるケースがあります。 排卵検査前の卵胞18㎜というのは、排卵期としてノーマルな大きさですね。それが排卵後のエコーでは縮小していたこと、それから「子宮は白くモヤがかかったように見え」とあるように高輝度になっていたということは、排卵とみなしていいかと思います。黄体化非破裂卵胞症候群の場合など排卵しきらない場合は、どちらかというと卵胞はさらに大きくなって次の周期も大きな状態で残ります。 えっか1010さんの場合は、たまたまこういう風に見えただけかと思います。タイミング指導を二周期受けているだけとのことなので、まだこれからですね。ただ、年齢が35歳でAMHも低いのでステップアップは早めに。結果が出なければ、2〜3クールをメドに次の治療にステップアップすることをおすすめします。
2014.11.29
専門医Q&A 女性の健康
-
生理予定日三日後に…
「数時間後もう一度確認すると今までのよりくっくりはっきり陽性反応がでてました。普段の生理と変わらず出血したにも関わらずまだ妊娠の可能性ありますか?」
2014.11.27
専門医Q&A 女性の健康
-
ソウハ手術
まるさん(34歳)二人目不妊で6回移植し1度科学的流産になった以外は陽性反応が出たことありません。 凍結胚盤胞移植AHAありグレードは全て4~6aaとか見た目では良い受精卵です。子宮鏡や着床に関しての検査は色々しましたが、得にひっかかりません。 2個移植かソウハ手術の方法もあると言われましたが2個移植はしたくないですし見た目ではキレイと言われている子宮でもソウハ手術をする事でどれだけの効果があるのか一人出産している事から悩んでいます。 このまま移植を繰り返しても意味はないんでしょうか。行き詰まっているので、宜しくお願いします 絹谷正之 先生 (医療法人 絹谷産婦人科) ■略歴■ 昭和51年 広島市立千田小学校卒業 昭和57年 修道高校卒業 平成元年 愛媛大学医学部卒業、医師国家試験合格 平成元年 広島大学医学部産科婦人科学教室入局 平成9年 山王病院リプロダクションセンター(東京)井上正人院長のもとで高度生殖補助医療研修、顕微授精修得 平成9年 広島大学医学部産科婦人科助手(体外受精部門担当) 平成11年 McGill大学医学部産婦人科(カナダ、モントリオール)、Toronto大学Toronto Centre for Advanced Reproductive Technology (TCART)(カナダ、トロント)、Diamond Institute(アメリカ、ニュージャージー)、Bourn Hall Clinic(イギリス、ケンブリッジ)にて高度生殖補助医療研修 平成12年3月 絹谷産婦人科副院長 平成12年6月 博士号(医学、広島大学)取得 平成14年5月 絹谷産婦人科院長 趣味 サイクリング、旅行、映画鑑賞 資格 日本生殖医学会認定生殖医療専門医 日本産科婦人科学会認定産婦人科専門医 母体保護法指定医 日本産科婦人科学会会員 日本生殖医学会会員 日本受精着床学会会員 日本IVF学会会員 日本哺乳動物卵子学会評議員 日本レーザーリプロダクション学会会員 アメリカ不妊学会(ASRM)会員 ヨーロッパ生殖学会(ESHRE)会員 広島県産婦人科医会常務理事 ≫ 医療法人 絹谷産婦人科胚のグレードは良好で、顕微授精をして受精をし、移植までいっている。しかも6回も胚盤胞移植をされていることから着床障害ではないでしょうか。今回はそれで移植する胚の「数」を増やそう、まずは2個にしてみようと提案されているのでしょう。これは妊娠の可能性を高める一つの方法だと思います。1個だと着床できないけれど、2個あればそれらが互いに協力しあって着床しやすくなるのではとの考え方があります。私の経験でも、1個を何回移植しても着床しなかった方に、2個移植した時に初めて着床することや、場合によっては双子になってしまうケースも多くあります。 ソウハ手術についてですが、まるさんは子宮鏡で子宮の中をきちんと確認されていて、異常がないといわれていますね。子宮内膜ポリープや粘膜下筋腫など明らかに着床を阻害するものはないのでしょうが、それでもソウハ手術をするかどうかは感染や穿孔のリスクを考えると難しい判断だと思います。ただ、昔からよく、「ひと掻きソウハ」といって子宮内を少し傷つけると妊娠しやすくなるといわれています。最近はあまり行われなくなってきましたが、黄体機能を調べるために排卵から1週間後くらいの時期に内膜組織を採取することがあるのですが、そうするとその周期に妊娠されることが割と多くあります。体外受精治療において、子宮鏡検査や内膜組織採取など子宮内膜に何らかの刺激を行うと、着床率が何も刺激しない場合の約2倍になったという報告もあります。どの程度のソウハ手術をされるのか分かりませんが、まるさんの場合も子宮内膜に刺激を与えることで着床の確率を上げようと考えられているのではないでしょうか。 まるさんの課題は、「胚の質」ではなく「着床」だと思いますので、双子の発生や感染、穿孔等のリスクをよく踏まえた上で、これらの方法にチャレンジしてみるのはよいかも知れませんね。
2014.11.19
専門医Q&A 女性の健康
-
排卵障害、軽度のPCOSです。 どうすれば排卵しますか? このまま人工授精をトライ?
相談者 かぐや0707さん(29歳)排卵障害で不妊治療をはじめて約半年。軽度のPCOSと診断されています。卵管造影検査など検査は一通り済ませ、排卵がうまく起こっていないことが原因だろうといわれています。AMHを測定したところ、3.2という数値で、同世代の女性より低いといわれました。ただ、いろいろ調べてみるとPCOSの人はそもそもAMHが高いと書いてありました。先生に聞くと「PCOSでもたまにAMHが低い人がいる」という的を得ない答えでした。タイミング周期を5回行っても妊娠に至らず、先日、クロミッド®の内服や排卵誘発剤の注射を3回行って人工授精をしたのに、排卵せず生理が来ました。どうすれば排卵するのでしょうか?このまま人工授精をトライする価値はあるのでしょうか? ジネコ:かぐや0707さんの現在の治療について、どうお考えでしょうか? 向田先生:まず、かぐや0707さんに対して、PCOSという診断がきちんとされているかどうか疑問ですね。本当に彼女がPCOSで排卵障害なのか、どういう理由で排卵障害なのか…。しかし、確定診断の有無にかかわらず、排卵障害を解決する方法はいろいろあります。初めはクロミッド®等の内服剤による治療で、生理初期に1錠5日間から始め、2錠~3錠に増やす場合があります。その後はFSH/hMGなどの、排卵誘発剤を投与します。注射による方法もさまざまな種類があります。患者さんに応じて、それらを組み合わせたりして治療を進め、排卵を誘発していく必要があります。ただそれを、どのような治療に向けて行うかで、一つの卵胞発育を目指すのか、複数の卵胞を発育させるのか、に違いがあります。タイミング法や、精子を子宮内に注入する人工授精の場合、複数(5個以上)を作ってしまうと多胎やOHSSになる危険性がありますが、体外受精の場合は採卵を行うので、複数(10個程度)を目標とします。だから、この場合も、多量の排卵誘発剤を使っていないので、きちんと排卵できていないのかもしれません。また、ある程度、卵胞が大きくなれば、自然に排卵するところ、結局排卵しなかったというケースもあります。かぐや0707さんが、「注射を3回したのに排卵しなかった」とありますが、3回の注射ではうまくいかなかったということでしょう。彼女のような患者さんは、当クリニックにも少なからずいらっしゃいます。一般的な不妊治療も行っている婦人科クリニックでは、タイミング法か人工授精が治療の中心ですので、基本的に1~2個の卵胞発育を目指します。このような目標設定だと、マイルドな誘発方法(数回投与のみ)定だと、マイルドな誘発方法(数回投与のみ)になり、十分卵胞が発育しない可能性があります。逆に、卵胞が複数個(3個以上)になると、通常排卵を起こすために投与するhCGという薬剤の投与量を中止するか、他の薬剤に変更するなどして対応したりする可能性もあるので、適切な排卵が起こらない場合もあります。 ジネコ:では、血液検査で排卵しなかったとありますが、これはどういうことでしょうか? 向田先生:一般的に、排卵前は卵胞ホルモンであるエストロゲンが分泌され、排卵後には黄体ホルモンであるプロゲステロンが分泌されますが、この方の場合は排卵が起こらなかったため、プロゲステロンが分泌されず、高温期にならなかったか、血液検査で低い値であったと思われます。排卵が起こらず、プロゲステロンが分泌されていない状態では、タイミングや人工授精を行っても妊娠する可能性はないと言わざるを得ません。 ジネコ:PCOSでAMHの値が低いという彼女ですが、どう思われますか? 向田先生:一般的には、PCOSの人はAMHの値が高いと報告されています。このため、この方の排卵障害はPCOSが原因ではなく、脳下垂体の機能不全によるものかもしれません。そのうえ、卵巣予備能力の指標であるAMHが同世代と比べて低くなっているので、29歳という年齢だけれども妊娠していないのかもしれません。 ジネコ:今後どのような治療を進めたらよいか、アドバイスいただけますか? 向田先生:PCOや脳下垂体機能不全など、排卵障害の原因はさまざまですが、クロミッド®やFSH/hMG剤を用いた適切な排卵誘発管理により、ほとんどの症例において、排卵を起こすことは可能です。しかし、連日の誘発剤投与では多数(5個以上)の卵胞が育ってしまい、タイミングや人工授精の際の目標である1~2個の卵胞発育に向けることが難しい場合が多々あり、その際は体外受精に向けるほうが適切と思われます。またこの方の場合は、既にタイミング、IUIなどを6周期行っても妊娠していないので、体外受精などの次のステップに向けるほうが、妊娠・出産に至る確率は、かなり高くなると思われます。また、排卵障害がある症例では、卵の質に問題がある場合も少なくなく、採卵し、受精後に分割した受精卵を確認することができる体外受精はその点でも有用です。当クリニックは、体外受精を治療法の中心として診療しているため、体外受精ばかりすすめると言われますが……。一般的に、挙児を希望して2年以内に9割近いご夫婦にお子さんができるので、タイミングや人工授精を1年試みて結果が出なければ、次のステップに進むかをご夫婦でしっかり考える必要があると思います。特に、AMHが年齢による平均値以下の症例で30歳以上の方が自然妊娠を待って1~2年過ごすということは、せっかくの治療機会を失う可能性もあります。そのうえ、体外受精などの治療を行ったとしてもお子さんができるに至る保証はなく、妊娠・出産するまで問題ないとは言えないのが現実です。そこで、不妊治療を考える際に最も重要なのは年齢であり、この方のように29歳で治療を開始し、すぐに妊娠したとしても、出産時は30歳、その子が小学校に入る時には36歳です。そして、2人目、3人目となると、さらに年齢が進むことになります。ですから、そのための一番確率の高い方法を、ある程度の段階で早めに試しては、というのが僕の考えです。排卵障害があり、AMHが低いということですから、今後ももっと厳しい状況になりうるということも、十分に考えられます。AMHが低い、排卵障害があるという状態から考えるに、早期に次のステップにいくほうがいいと思います。 向田 哲規 先生 高知医科大学卒業。同大学産婦人科医局に入り、不妊治療・体外受精を専門にするため、アメリカ・マイアミ大学生殖医療体外受精プログラムに在籍、1990年からNY・NJ州のダイヤモンド不妊センターに在籍後、1996年より広島HARTクリニックに勤務し、現在院長として、臨床に従事する。大学時代、テニス部、ヨット部に所属し、現在もテニスのレベル維持のため、身長171㎝、体重60㎏、ウエスト73㎝、体脂肪ひとケタ台をキープするためにジムトレーニングで余暇のほとんどを過ごしているのだそう。 相談者 かぐや0707さん(29歳)排卵障害で不妊治療をはじめて約半年。軽度のPCOSと診断されています。卵管造影検査など検査は一通り済ませ、排卵がうまく起こっていないことが原因だろうといわれています。AMHを測定したところ、3.2という数値で、同世代の女性より低いといわれました。ただ、いろいろ調べてみるとPCOSの人はそもそもAMHが高いと書いてありました。先生に聞くと「PCOSでもたまにAMHが低い人がいる」という的を得ない答えでした。タイミング周期を5回行っても妊娠に至らず、先日、クロミッド®の内服や排卵誘発剤の注射を3回行って人工授精をしたのに、排卵せず生理が来ました。どうすれば排卵するのでしょうか?このまま人工授精をトライする価値はあるのでしょうか? ジネコ:かぐや0707さんの現在の治療について、どうお考えでしょうか? 向田先生:まず、かぐや0707さんに対して、PCOSという診断がきちんとされているかどうか疑問ですね。本当に彼女がPCOSで排卵障害なのか、どういう理由で排卵障害なのか…。しかし、確定診断の有無にかかわらず、排卵障害を解決する方法はいろいろあります。初めはクロミッド®等の内服剤による治療で、生理初期に1錠5日間から始め、2錠~3錠に増やす場合があります。その後はFSH/hMGなどの、排卵誘発剤を投与します。注射による方法もさまざまな種類があります。患者さんに応じて、それらを組み合わせたりして治療を進め、排卵を誘発していく必要があります。ただそれを、どのような治療に向けて行うかで、一つの卵胞発育を目指すのか、複数の卵胞を発育させるのか、に違いがあります。タイミング法や、精子を子宮内に注入する人工授精の場合、複数(5個以上)を作ってしまうと多胎やOHSSになる危険性がありますが、体外受精の場合は採卵を行うので、複数(10個程度)を目標とします。だから、この場合も、多量の排卵誘発剤を使っていないので、きちんと排卵できていないのかもしれません。また、ある程度、卵胞が大きくなれば、自然に排卵するところ、結局排卵しなかったというケースもあります。かぐや0707さんが、「注射を3回したのに排卵しなかった」とありますが、3回の注射ではうまくいかなかったということでしょう。彼女のような患者さんは、当クリニックにも少なからずいらっしゃいます。一般的な不妊治療も行っている婦人科クリニックでは、タイミング法か人工授精が治療の中心ですので、基本的に1~2個の卵胞発育を目指します。このような目標設定だと、マイルドな誘発方法(数回投与のみ)定だと、マイルドな誘発方法(数回投与のみ)になり、十分卵胞が発育しない可能性があります。逆に、卵胞が複数個(3個以上)になると、通常排卵を起こすために投与するhCGという薬剤の投与量を中止するか、他の薬剤に変更するなどして対応したりする可能性もあるので、適切な排卵が起こらない場合もあります。 ジネコ:では、血液検査で排卵しなかったとありますが、これはどういうことでしょうか? 向田先生:一般的に、排卵前は卵胞ホルモンであるエストロゲンが分泌され、排卵後には黄体ホルモンであるプロゲステロンが分泌されますが、この方の場合は排卵が起こらなかったため、プロゲステロンが分泌されず、高温期にならなかったか、血液検査で低い値であったと思われます。排卵が起こらず、プロゲステロンが分泌されていない状態では、タイミングや人工授精を行っても妊娠する可能性はないと言わざるを得ません。 ジネコ:PCOSでAMHの値が低いという彼女ですが、どう思われますか? 向田先生:一般的には、PCOSの人はAMHの値が高いと報告されています。このため、この方の排卵障害はPCOSが原因ではなく、脳下垂体の機能不全によるものかもしれません。そのうえ、卵巣予備能力の指標であるAMHが同世代と比べて低くなっているので、29歳という年齢だけれども妊娠していないのかもしれません。 ジネコ:今後どのような治療を進めたらよいか、アドバイスいただけますか? 向田先生:PCOや脳下垂体機能不全など、排卵障害の原因はさまざまですが、クロミッド®やFSH/hMG剤を用いた適切な排卵誘発管理により、ほとんどの症例において、排卵を起こすことは可能です。しかし、連日の誘発剤投与では多数(5個以上)の卵胞が育ってしまい、タイミングや人工授精の際の目標である1~2個の卵胞発育に向けることが難しい場合が多々あり、その際は体外受精に向けるほうが適切と思われます。またこの方の場合は、既にタイミング、IUIなどを6周期行っても妊娠していないので、体外受精などの次のステップに向けるほうが、妊娠・出産に至る確率は、かなり高くなると思われます。また、排卵障害がある症例では、卵の質に問題がある場合も少なくなく、採卵し、受精後に分割した受精卵を確認することができる体外受精はその点でも有用です。当クリニックは、体外受精を治療法の中心として診療しているため、体外受精ばかりすすめると言われますが……。一般的に、挙児を希望して2年以内に9割近いご夫婦にお子さんができるので、タイミングや人工授精を1年試みて結果が出なければ、次のステップに進むかをご夫婦でしっかり考える必要があると思います。特に、AMHが年齢による平均値以下の症例で30歳以上の方が自然妊娠を待って1~2年過ごすということは、せっかくの治療機会を失う可能性もあります。そのうえ、体外受精などの治療を行ったとしてもお子さんができるに至る保証はなく、妊娠・出産するまで問題ないとは言えないのが現実です。そこで、不妊治療を考える際に最も重要なのは年齢であり、この方のように29歳で治療を開始し、すぐに妊娠したとしても、出産時は30歳、その子が小学校に入る時には36歳です。そして、2人目、3人目となると、さらに年齢が進むことになります。ですから、そのための一番確率の高い方法を、ある程度の段階で早めに試しては、というのが僕の考えです。排卵障害があり、AMHが低いということですから、今後ももっと厳しい状況になりうるということも、十分に考えられます。AMHが低い、排卵障害があるという状態から考えるに、早期に次のステップにいくほうがいいと思います。 向田 哲規 先生 高知医科大学卒業。同大学産婦人科医局に入り、不妊治療・体外受精を専門にするため、アメリカ・マイアミ大学生殖医療体外受精プログラムに在籍、1990年からNY・NJ州のダイヤモンド不妊センターに在籍後、1996年より広島HARTクリニックに勤務し、現在院長として、臨床に従事する。大学時代、テニス部、ヨット部に所属し、現在もテニスのレベル維持のため、身長171㎝、体重60㎏、ウエスト73㎝、体脂肪ひとケタ台をキープするためにジムトレーニングで余暇のほとんどを過ごしているのだそう。
2014.11.19
コラム 不妊治療
-
AIHで抗精子抗体が作られてしまうことについて。
ちゃんるぅさん(35歳)現在、タイミング療法で半年が経ちます。そろそろステップアップを考えており、主治医にAIHの相談をしたところ、抗精子抗体検査、フーナーテスト検査で共に問題なかったため、意味がないのではということでした。 むしろ私のような人がAIHを行うと抗精子抗体を作ってしまい、かえって妊娠しづらくなるとのことでした。 抗精子抗体を持たない人がAIHを行うと抗精子抗体を作ってしまうということは初耳で、その後自分なりに調べてみましたが、何も情報を見つけることが出来ませんでした。 本当にそうなのでしょうか? だとすれば、私のステップアップはいきなり体外受精になってしまいます。もし最近の論文などでこのようなことが発表されているとしたら、どうか教えて頂きたく存じます。通院先の先生のご説明ですが、「人工授精を何回も行うと抗精子抗体を作ってしまい……」と、いうのは正しいと思います。しかし、後半の「かえって妊娠しづらくなる」というのは間違った解釈なのでは? 人工授精では女性の体に精子という異物を入れていくわけですから、抗体ができてしまうというのは理にかなっています。しかし、不妊に関係するような抗体はほとんど作られることはありません。ですから、抗体がいくつかできたとしても妊娠しづらくなるということはないでしょう。 通常の流れでは人工授精を受ける前に抗精子抗体を調べることが多いと思います。もし検査を受けることなく体外受精に進んだ場合でも、事前に必ず調べます。しかし、調べても抗精子抗体が出る確率というのはすごく低いですね。抗精子抗体陽性の方の多くは、通常の体外受精で受精卵ができますので、最近では体外受精治療において抗精子抗体の検査は必要ないという意見も出ているほどです。ですから、妊娠について心配される必要はまったくないと思います。 では、人工授精に進むべきかどうかということですが、ちゃんるぅさんはヒューナーテストで異常がなかったとのこと。異常がないということは、男性の精子が中に入るということに関してはほとんど問題がないわけです。人工授精はヒューナーテストが異常な場合に効果的だと考えられています。あとは精子の数が少ないとか運動率が低い場合に、精液を濃縮・洗浄して注入することで、受精する状況を改善してあげる。そういう2つの目的がある治療ですね。 ヒューナーテスト、精液検査に問題ないのちゃんるぅさんの場合、精液を濃縮・洗浄して精子の状態を良くするという、多少のプラス効果はあるかもしれませんが、妊娠率が劇的に上がるということは考えにくいでしょう。 しかし、いきなり体外受精にステップアップすることに抵抗があるということでしたら、2~3周期くらい人工授精にトライして、心の準備をするというのも悪くないと思います。まだご年齢的には少し余裕があるので、ご夫婦でよく相談して決めていただきたいですね。
2014.11.11
専門医Q&A 女性の健康
-
AIHで抗精子抗体が作られてしまうことについて。
「抗精子抗体を持たない人がAIHを行うと抗精子抗体を作ってしまうということは初耳で、その後自分なりに調べてみましたが、何も情報を見つけることが出来ませんでした。本当にそうなのでしょうか?」
2014.11.11
専門医Q&A 女性の健康
-
移植卵
コイさん(32歳)スプリット法を行い、体外2個顕微4個を3個ずつの2本で前核期凍結してあります。融解して移植するときどちら由来の卵かわかりますか?教えていただけるのでしょうか? 向田哲規 先生 (広島HARTクリニック) 院長 向田哲規 1960年6月25 広島県広島市中区生まれ 昭和35年生まれで修道高校卒業まで広島で育ち、太平洋の青い海にあこがれ高知医科大学に入学し、学業よりテニス部とヨット部の活動が中心であった健康的な学生生活を送り卒業の後、同医科大学産婦人科医局にて一般産婦人科のトレーニングを受けました。 不妊症治療に携わって得られる生き甲斐は、より良い治療法を習得しそれを難しい症例に用いて、赤ちゃん誕生という目標に到達する手助けができた瞬間であり、その経験が臨床医としての糧になっていると思います。 不妊症の原因および治療法は千差万別であるため最終的には御夫婦が納得した治療法にて組むべきであり、その為の説明を充分行うよう心がけておりますので、いつでも御相談ください。 ≫ 広島HARTクリニック施設により違うと思いますが、それぞれを個別培養するのが通常なので、 由来やその他の情報はすべてわかるはずです。 遠慮なさらずに、担当の先生に尋ねてみてはいかがでしょうか。
2014.11.9
専門医Q&A 女性の健康
-
妊娠しない理由
「お腹の脂肪に赤ちゃんが押し潰されるということはあるのでしょうか?妊娠中毒症にならないように漢方の血圧を下げる薬を服用しています。」
2014.11.8
専門医Q&A 女性の健康
-
1PN凍結保存と移植周期
「卵胞の育ちを防ぐにはテープの枚数を増やしたりしたほうがよいのでしょうか?卵胞が小さければ移植可能でしょうか?教えてください。」
2014.11.7
専門医Q&A 女性の健康
-
排卵誘発剤について
さくらさん(35歳)自然周期では排卵するのに誘発剤を使用すると卵胞は育つのに排卵しません。医師には誘発剤が排卵を抑制する因子はないと言われました。次回、注射の単位を減らしてみるかと提案されましたが、セキソビットでも排卵しなくなるのに注射で排卵するようになるのか、誘発剤自体、自分の体に良い影響があるのか疑問です。これからどのように治療を進めていけばいいのでしょうか? 浅田義正 先生 (浅田レディース名古屋駅前クリニック) 医学博士 日本産科婦人科学会認定産婦人科専門医 日本生殖医学会認定生殖医療専門医 1982年 名古屋大学医学部卒業 1988年 名古屋大学医学部附属病院産婦人科医員として「不妊外来」および、「健康外来(更年期障害・ホルモン補充医療法)」の専門外来を担当 1992年 医学博士 1993年~1994年 米国最初の体外受精専門施設に留学し、主に顕微授精(卵細胞質内精子注入法:ICSI)の基礎的研究に従事 The Jones Institute For Reproductive Medicine, Eastern Virginia Medical School, Norfolk, Vairginia 1995年 名古屋大学医学部附属病院分院にてICSIによる治療開始。以後、辞職まで名古屋大学の顕微授精症例の全症例を自ら担当同年5月、精巣精子を用いたICSIによる妊娠例の日本初の報告 1998年 ナカジマクリニック不妊センター開設 2004年 浅田レディースクリニック(現浅田レディース勝川クリニック)開院 2010年 浅田レディース名古屋駅前クリニック開院 2018年 浅田レディース品川クリニック開院 【著作本】 「浅田レディースクリニック パーフェクトガイドブック」 初めての不妊治療クリニック選びに迷っている方や 当院の治療方針に興味をお持ちの方にお読み頂きたい本です。 ≫ 浅田レディース名古屋駅前クリニックまず、自然周期で本当に排卵しているかが疑問です。なぜならAMH6.44という数値からは多嚢胞性卵巣症候群の疑いがあり、多嚢胞性卵巣の人はもともとLUF(黄体化非破裂卵胞)が多く、生理はくるけれど排卵していないことが多いのです。 誘発剤が排卵を抑制することはないとのことですが、セキソビットでもクロミッドでも排卵を抑制する作用もあります。それらは、エストロゲンレセプターモジュレーターという卵胞ホルモンと似たような構造を持ち、それが卵胞ホルモンの受容体に作用して女性ホルモンが少ないと誤解を起こさせます。例えば18ミリくらいで排卵するといわれているような卵胞が、クロミフェンを使うと明らかに20ミリ以上になっても排卵しません。逆に我々はクロミフェンを使うと勝手に排卵する率が少ないので、安心して採卵ができるというメリットがあります。セキソビットも同様な性質があります。 ただ、同じ経口誘発剤でもレトロゾール(フェマーラ)という薬がありますが、これはアロマターゼ阻害剤で、卵巣でつくる女性ホルモンそのものを本当に低くしてFSHやLHが上がるため、クロミフェンやセキソビットと違って排卵を抑える作用はありません。 また、注射が排卵を抑える作用も全くありません。ですから注射の単位を減らすのは意味がないと思います。むしろクロミフェンを使う場合は自然に排卵がしにくいため、HCGを打つべきです。しかも、少し大きめになってからHCGを打った方がよく排卵します。さらに多嚢胞性卵巣症候群の場合はもともと卵が成熟しにくいので、普通の人よりもきちんと卵が成熟するのを待ってからHCGを打たなければいけません。 多嚢胞性卵巣症候群の場合は、確かに通常よりも排卵誘発にコツが必要です。クロミフェンかセキソビットがうまくいかないのであれば、レトロゾールを使ってみてはどうでしょうか。それで卵がたくさん育ちすぎるようであれば、FSHのペン型注射を50単位から打ち始めるとか。それで育たなければ50から75単位に上げてみてじっくり育てたほうが数が抑えられ、副作用も少なくなると思います。 排卵誘発剤で体に悪い影響は起こりません。クロミフェンやセキソビットも非常に有効な排卵誘発剤です。要するにその使い方の工夫が大切です。どんな誘発剤も合う合わないというよりも、卵の成長に合わせて微調整しながら使うことが大切です。
2014.10.23
専門医Q&A 女性の健康
-
排卵誘発剤について
さくらさん(35歳)自然周期では排卵するのに誘発剤を使用すると卵胞は育つのに排卵しません。医師には誘発剤が排卵を抑制する因子はないと言われました。次回、注射の単位を減らしてみるかと提案されましたが、セキソビットでも排卵しなくなるのに注射で排卵するようになるのか、誘発剤自体、自分の体に良い影響があるのか疑問です。これからどのように治療を進めていけばいいのでしょうか? 内田昭弘 先生 (内田クリニック) 妊娠は、たくさんの複雑な経過を経てやっとで成立します。この経過のなかで、どこか1つでも問題をかかえていると妊娠にはつながりません。ご夫妻がどんな問題のために妊娠につながらないのかを知ることは、治療をすすめる上で大事なポイントになります。 当院のスタッフは、それぞれが不妊のスペシャリストをめざして、研修、勉強を行っていますので、私だけでなく、誰にでも、何でも気軽に聞いてください。 出身:島根県松江市 出身大学:島根医科大学医学部 所属学会:日本産科婦人科学会、日本不妊学会 日本受精着床学会、日本更年期医学会 趣味:ゴルフ、熱帯魚(淡水魚、海水魚どちらも) ≫ 内田クリニックさくらさんはPCO(多嚢胞性卵巣)ぎみで、おそらくOHSSを防ぐために10月は点鼻薬を使われたとのこと。点鼻薬は効果がでにくい方もいるので排卵をしっかり促せない場合もありますが、8月にHCGを使ったのにも関わらず排卵しなかったというのは考えられないと思いますね。先生は何を持って「排卵しなかった」と判断されたのでしょうか。 卵胞のサイズは確認されているようですが、それだけではなく、卵子が育っている証拠をみるためには血液中のエストラジオールの値を調べることも重要です。エストラジオールの値が上がっていれば卵子の発育があり、その次の流れとしては排卵しかないはずなので。このあたりの見極めがしっかりできていたかどうかが問題だと思います。結論をいうと、「排卵誘発剤を使ったから排卵しなかった」ということはないと思いますね。 PCOの方はもともと排卵に障害があるので、卵胞をきちんと育てて排卵まで持っていくには少し工夫が必要になってきます。 10月の治療では、ゴナール75単位を5日間、50単位を3日間使っていますが、当院なら逆に50単位を5日間使って、卵胞の育ちが遅かったら少し増やしていく。多いところから減らしていっても育ったものは全部育つので。逆に少なければ育つものが限定されるので、あとから量を増やしてもそれほど卵胞の数は増えないはず。体への負担も減らすことができるようになると思います。 少し時間はかかると思いますが、うまくコントロールしていけばお薬できちんと卵胞が育ち、排卵も起こると思うので、希望を持って治療を続けていただきたいですね。
2014.10.23
専門医Q&A 女性の健康