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排卵誘発剤について
さくらさん(35歳)自然周期では排卵するのに誘発剤を使用すると卵胞は育つのに排卵しません。医師には誘発剤が排卵を抑制する因子はないと言われました。次回、注射の単位を減らしてみるかと提案されましたが、セキソビットでも排卵しなくなるのに注射で排卵するようになるのか、誘発剤自体、自分の体に良い影響があるのか疑問です。これからどのように治療を進めていけばいいのでしょうか? 俵史子 先生 (俵IVFクリニック) 当クリニックは不妊治療を専門としております。 開院以来、約3年間で1000組以上のお子様に恵まれないご夫婦に妊娠が成立し、当院を卒業されました。妊娠までの道のりは様々ですが、最後は皆様最高の笑顔で卒業されておられます。その喜びを共感させていただけることが、私達にとってもさらなる糧となり、生きがいとなっております。 当院での不妊治療の特徴は、「納得・理解して進む治療」そして「オーダーメードの治療」です。10年以上不妊症の患者様に携わり、多くの実績を重ねてきた経験から、妊娠に近づく第1歩は患者様と医療側の信頼関係だと確信しております。 妊娠したいという強い気持ちを持ち、私共を信じて治療を受けていただくことが、いい結果に繋がる近道と考えます。そのためには、日々の通院で疑問や不安を残さずに、十分納得しながら進まれる必要があります。当院では医師による診察の他、皆様の理解を深めていただくために十分な知識と経験を持ったスタッフがサポートをしております看護師や培養士等も医師と同じレベルで患者様に治療内容の説明や情報提供が行えるような体制を整えておりますので、ご安心してお気軽に声をかけて下さい。 オーダーメードの治療とは、画一的な治療にとどまらず個々に応じた治療を選択していくということです。原因、年齢、治療歴など、皆様それぞれに不妊治療を受けられる際の条件、背景は異なります。当然のことながら、その方に適した治療も異なるため、多くの治療法を熟知し適切に選択できることが不妊治療に携わる者として必要不可欠と考えます。 心や体への負担を最低限に抑えつつ、最大の効果が得られるようお一人おひとりにあった治療を選択していきたいと思っております。 初めて受診しようとされる方にとっては、不安や緊張の中でお越しいただくことも多いと思います。 前向きな気持ちで妊娠に向けた大きな一歩を踏み出していただくために、そして一人でも多くの方にお子様を授かっていただくために、私たちは全力で皆様をサポートすることをお約束いたします。 浜松医科大学臨床講師 日本産婦人科学会専門医 東海不妊内分泌研究会 世話人 東海ARTカンファレンス 世話人 静岡生殖医療研究会 世話人 ■所属学会 ・日本産科婦人科学会 ・日本生殖医学会 ・日本受精着床学会 ・日本哺乳動物卵子学会 ■経 歴 浜松医科大学医学部卒 平成8年~ 産婦人科・麻酔科研修後、産婦人科医として総合病院に勤務。 平成12年~ 静岡厚生病院 不妊治療担当。 平成15年~ 愛知県豊田市 竹内病院トヨタ不妊センター勤務。 平成16年~ 竹内病院トヨタ不妊センター所長に就任。 年間500~600件の体外受精・顕微授精に携わる。 平成19年9月 俵史子IVFクリニック開院 平成22年4月~ 国立大学法人 浜松医科大学 臨床講師に就任。 ≫ 俵IVFクリニックもともと月経周期がきちんとしている方に、あえて排卵誘発剤を積極的に使う必要はあるのでしょうか。たとえばクロミッドだと、黄体期のホルモン量が少ない場合は黄体機能不全の治療にもなりますので、そのような目的で使うのはいいのかなと思うのですが……。 通常は排卵誘発剤が排卵を抑制するということはほとんどありませんが、さくらさんの場合においては、卵胞発育に必要なホルモンが逆に抑え込まれてしまい、自力でうまく育たなくなってしまった可能性があります。誘発剤の使い過ぎ等は、卵胞が育たないだけでなくそれがうまく破裂しない(排卵しない)ということにつながる事も。 多くの方には問題がない薬でも、たまたまさくらさんにとって良くなかったということだとすると、ここでは無理しないで、自然の状態に戻してみるのはいかがでしょうか?ただし、主治医の先生は他に考えがあってのことかもしれません。しっかり確認されたほうがいいでしょう。 一方、薬の影響ではないということも考えられます。さくらさんはAMHの値が6.44と、年齢の割には少し高いようですから、多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)である可能性はどうでしょう。PCOSの人は、年齢とともに排卵障害の程度が進行してしまい、それまで排卵していた人がだんだんしなくなることもありますから、もしかしたら、さくらさんもそのような状態に入ってきてしまった可能性は考えられると思います。一度お薬をやめ、自力排卵するかしないか、現在の卵巣の状態を見極めてみてはいかがでしょうか。
2014.10.23
専門医Q&A 女性の健康
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高プロラクチン血症ですか?
かりんとうさん(31歳)生理2日目採血 プロラクチン 28.07ng/mlは高プロラクチン血症ですか?治療の必要な値ですか? 藤野祐司 先生 (なかむらレディースクリニック) 1979年 大阪市立大学医学部卒業 1985年 大阪市立大学医学部大学院医学研究科外科系修了 新千里病院(現済生会千里病院)産婦人科勤務 1988年 大阪市立大学医学部産科婦人科学教室助手 1989~1990年 UCLA(カリフォルニア大学ロサンゼルス校)留学 1993年 大阪市立大学医学部産科婦人科学教室講師 1997年 藤野婦人科クリニック院長・大阪市立大学医学部非常勤講師 医学博士 日本産科婦人科学会専門医 日本生殖医学会生殖医療指導医 日本産科婦人科学会会員・日本生殖医学会評議員・日本受精着床学会評議員 アメリカ生殖医学会会員・ヨーロッパヒト生殖医学会会員 ≫ なかむらレディースクリニック 言葉や医療制度の違いもあり、海外での不妊治療はやはり不安が多いこととお察しいたします。まず28.07ng/mlというプロラクチンの値について。こちらは正常範囲かと思います。ただしプロラクチンは一日の内で変動があるしいホルモンとして知られるので、もしかすると潜在的に高い状態があるのかもしれません。 一度、流産を経験されているようですし、生理不順や排卵が不規則な方のなかには、しばしば検査で潜在性高プロラクチン血症が見つかることがあります。乳汁分泌の自覚症状があるなど、疑わしい場合はTRH負荷テストという下垂体を刺激してプロラクチンの波をする検査をする必要があります。機会があれば受けてみられるといいでしょう。プロラクチンは排卵や卵胞の成熟を抑える作用があるため、不妊症の原因となります。それぞれの国の事情もあるので、もし心配なようでしたら一時帰国の際に検査だけでも受けておくとよいかもしれません。 治療薬としては、黄体補充にも使用するデュファストンがファーストチョイスかと思います。もっと強い膣座薬や注射薬などもありますが、デュファストンは体温上昇作用がないので、薬を服用しながらでも自力排卵の有無がわかりますし、妊娠しても使いやすい薬です。
2014.10.18
専門医Q&A 女性の健康
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hcg注射について教えてください
SEAさん(29歳)初めて質問させていただきます。 多嚢胞性卵巣症候群と診断され、最近不妊治療を開始致しました。 生理開始日から23日でようやく排卵しそうとのことで、排卵を確実にするためにhcg注射5,000単位を打ちました。 ホルモン剤の注射に抵抗があったため、自然妊娠がいいので打ちたくない旨を伝えたところ、「hcg注射を打っても、自然妊娠と同じ」と言われ、打ちました。 しかし、その後いろいろ調べると、hcg注射は卵子の質を落とす等と知り、注射したことを後悔しております。 そこでお伺いしたいのは、hcg注射は何ヵ月先までの卵子の発育に影響するのでしょうか? また、影響がなくなるまでは、避妊した方がいいのでしょうか? もし障害を持った子が産まれたらと不安になっております。 自然妊娠でも一定の割合で障害が出ることは存じておりますが、なるべくリスクを避けたいのです。 よろしくお願い致します。 操 良 先生 (操レディスホスピタル) 大学で約8年間不妊専門外来を担当し、平成4年に岐阜県下初の体外受精の成功以来、500症例以上の体外受精・顕微授精に携わり、子宮筋腫・子宮内膜症の新薬の臨床治験の担当として多くの症例を手がける。 そこで女性ホルモンに関する研究成果が認められ、平成9年度に岐阜県医学研究奨励賞を、平成11年度の日本内分泌学会では産婦人科としてただ一人、研究奨励賞を受賞。平成26年 操レディスホスピタル 院長に就任。現在もなお高度不妊治療施設間の交流に尽力し、研究・治療の向上を図る。 昭和63年 岐阜大学医学部 卒業 昭和63年~平成13年 岐阜大学附属病院 産婦人科講師 体外受精を担当 不妊・内分泌外来を担当 平成13年 操レディスホスピタル 副院長に就任 平成26年 操レディスホスピタル 院長に就任 ≫ 操レディスホスピタル hCG注射そのものが卵の質を落とすということは、基本的に考えにくいことです。hCG注射の半減期は約37時間、完全に消失するのは約6日間と言われています。つまり、1週間も体内に残りません。また、もともとhCG注射は妊娠中にも打てる流産予防薬のひとつであり、妊娠中の投与の制限はありません。ですから催奇形性は考えられません。 ただ、hCG注射を打って、排卵し損ねて遺残卵胞になった場合は、次の周期の排卵に影響が出てくることがありますので、この場合は遺残卵胞が消失するまで待つことになります。遺残卵胞は、2週間くらいで消える人もいれば、1ヶ月くらいかかる人もいますが、必ず消えますので、だいたい次の周期には影響はなくなります。 それでも注射に抵抗があるのであれば、点鼻薬のGnRHアナログを使って排卵を起こすことも可能です。点鼻薬ですと、hCG注射に比べて排卵時のLHサージの持続時間も短く、より自然に近い作用といえます。 多嚢胞性卵巣症候群で周期が長い場合は、排卵が起きていないことや、卵が大きくなり切らずに排卵してしまうことなどもありますので、排卵誘発剤できちんと卵胞を作ることは間違いではないと思います。ただ、あくまでも患者さんが理解して納得した上で治療を進めることが大切。自然でタイミングをという希望があるのであれば、まだ年齢も若いですし、あまり焦らず、お医者さんとよく話し合ってステップアップしていくのが良いと思いますよ。
2014.10.15
専門医Q&A 女性の健康
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野田聖子先生×吉村泰典先生『もう待っていられない!日本の少子化問題を考える』
-- 今年6月、厚生労働省から、2013年の合計特殊出生率(1人の女性が生涯に産むとされる子どもの人数)が、前年に比べて0・02ポイント高い1・43だったと発表がありました。2年連続の上昇ですが、これについてどう思われますか? 吉村先生●合計特殊出生率は2005年に1・26と過去最低を記録し、非常に危険な水準まで下がりました。それが徐々に1・43まで回復したのは前回の自民党政権の功績でもあると思っています。一時期、妊婦のたらい回し事件や未受診妊婦など、周産期医療について様々な問題が起こりました。 未受診とは、お金がないから妊婦健診に行けないということ。その時、僕は何度も厚生労働大臣にお願いに行って深刻さを訴えたら、妊婦健診を5回から14回に、都道府県によって違いはありますが、8~12万円ほど健診中にお金を出してくれることになったんです。さらに、出産育児一時金のアップも。当時38万円だった金額を4万円引き上げて42万円に。妊娠・分娩する時にお金がかからないということが未受診妊婦を減らし、少なからずとも合計特殊出生率の上昇につながっていったのではないかと思います。 野田先生●日本はちゃんと費用対効果というのを出しますよね。たとえば介護保険は世界に冠たるもので、高齢者に対しては相当社会保障で取り組んできました。それにより、日本の高齢者は超長寿になってきています。同じように、今度は子どもたちのためにしっかり費用を出す。やった分だけ必ず成果が出ると思います。 吉村先生●そうですね。それを早く実現していかなければいけません。実は合計特殊出生率は上昇しましたが、今、産んでくださる女性の数が少ないということから、子どもの出生数は前年より7400人減り、過去最少の102万9800人に。僕は勝手に2055年問題といっているんですが、2055年には日本の人口が9000万人を切る。人口が減るのはいいのですが、そのバランスが問題。65歳以上の人が全体の40%を超え、生まれてくる子どもの数は50万人を切ってしまう。4割の高齢者を支えていく社会なんて、世界のどの国を見てもありません。国としての存続さえ厳しくなると思います。 野田先生●ただ人口が減るのではなく、減ると同時に支える側と支えられる側のバランスが壊れてしまうのは大変なこと。そこがあまり議論されていないなという感じはしますね。子どもたちは成長して労働者になり、納税者になって必ず将来返してくれる。それを考えたら、国は借金をしてでも先行投資をすることが必要で、今すぐにでも始めないといけないと思います。 吉村先生●女性と子どものために費用をかけることはもちろんですが、女性が産みたいと思うような環境作りも大切だと思います。日本では女性は仕事との両立に悩まされて結婚や出産が遅れることが多いようですが、世界を見ると女性が活躍している国、つまり女性の高い就労率を示す国は出生率も高い傾向があるんです。女性の就業率が70%を超える北欧諸国は合計特殊出生率も2・0前後を示している。それだけ働く女性が子どもを産める環境が整っているのだと思います。 野田先生●実はアメリカは、日本では当たり前の産休や育休といった制度がありませんから、わが国のほうが先を行っている気がするのに、子どもを産む女性が少ない。日本は制度以前に、ほとんどの男性たちに「女性は働かないもの」という考えがまだ根強くあるようです。女性が働くことはオプションみたいなもので、ハードもソフトもまだ男性が中心。子どもを産み育てるための職場は依然として少ない気がします。少子化を食い止めるにはここもどんどん変えていかないと。「働く人は子どものいる人」という定義のもと、職場から公共機関まですべての施設に子どもがいられる空間を作る。最初にコストはかかると思いますが、女性が働き、子どもが増えることでそれ以上の収入が入ってくると思います。政治の中でもしっかり決断していく必要がありますね。 話題は変わりますが、厚生労働省は2016年度より不妊治療の公費助成に43歳未満という年齢制限を設けることになりました。これについてはどうお考えですか? 少子化対策に影響は出ないのでしょうか。 吉村先生●40歳以上になるとだいたい3分の1くらいの人が、43歳になると約半数の人が流産してしまう。赤ちゃんを連れて帰れる割合、生産率でいったら43歳で50人に1人、45歳だと100人に1人になってしまうんですね。助成回数も10回から6回に減りましたが、これは助成を受けて妊娠した人の9割以上は6回までで妊娠したというデータを受けてのこと。このような医学的判断などで年齢制限が提起されました。しかし、良い点もあり、1年に最大6回も助成を受けられるようになったんですね。これにより長期にわたって治療を続けるのではなく、短期決戦で治療に集中する方が増えてくるはずです。 この年齢制限は税金を有効に使っていくということだけではなく、妊娠の最良な適齢期を教えていくという意味もあります。40歳を超えた妊娠は非常にリスクが高く、できれば25~35歳の間に妊娠をしていただくという啓発でもあるんですね。 野田先生●恥ずかしながら、私も妊娠や出産に関しての正しい知識はほとんど持っていませんでした。40歳から不妊治療を始めて、息子に出会うまで体外受精を16回。もっと早く治療を始めていればと後悔しています。同じ思いをして欲しくないので、教育は大切だと思っています。実際に総務会長になった初仕事は、文部科学省へ小学校の保健体育の時間に「女性は適正な時期しか妊娠しない」と教えるべきだとかけあったことですから。 女性だけではなく、もちろん男性の教育も必要です。教育、そして職場や社会の環境作りなど、少子化問題に特化した拠点を政府に作り、10年間に限定して人・もの・お金を集中的に注いで対策するべきだと考えています。指をくわえて待っていたら産める人が産めなくなってしまう。各省庁や議員と連携して迅速に進めていきたいと思っています。 衆議院議員(自由民主党) 野田 聖子 先生 1960年、福岡県生まれ。上智大学卒業。岐阜県議を経て1993年に衆院議員初当選。自民党政権の下、郵政相、消費者相を歴任し、2012年12月から自民党総務会長を務める。40歳から16回にわたる体外受精を経験し、アメリカで卵子提供を受けて2011年に長男を出産。 産婦人科医 吉村 泰典 先生 慶應義塾大学医学部卒業。これまで数多くの不妊症治療や分娩を担当。2013年内閣官房参与に就任し、政府の少子化対策・子育て支援をサポート。自らも、女性と子どもの未来を考える「生命の環境研究所」を立ち上げ、SNSなどで積極的に情報を発信している。 -- 今年6月、厚生労働省から、2013年の合計特殊出生率(1人の女性が生涯に産むとされる子どもの人数)が、前年に比べて0・02ポイント高い1・43だったと発表がありました。2年連続の上昇ですが、これについてどう思われますか? 吉村先生●合計特殊出生率は2005年に1・26と過去最低を記録し、非常に危険な水準まで下がりました。それが徐々に1・43まで回復したのは前回の自民党政権の功績でもあると思っています。一時期、妊婦のたらい回し事件や未受診妊婦など、周産期医療について様々な問題が起こりました。 未受診とは、お金がないから妊婦健診に行けないということ。その時、僕は何度も厚生労働大臣にお願いに行って深刻さを訴えたら、妊婦健診を5回から14回に、都道府県によって違いはありますが、8~12万円ほど健診中にお金を出してくれることになったんです。さらに、出産育児一時金のアップも。当時38万円だった金額を4万円引き上げて42万円に。妊娠・分娩する時にお金がかからないということが未受診妊婦を減らし、少なからずとも合計特殊出生率の上昇につながっていったのではないかと思います。 野田先生●日本はちゃんと費用対効果というのを出しますよね。たとえば介護保険は世界に冠たるもので、高齢者に対しては相当社会保障で取り組んできました。それにより、日本の高齢者は超長寿になってきています。同じように、今度は子どもたちのためにしっかり費用を出す。やった分だけ必ず成果が出ると思います。 吉村先生●そうですね。それを早く実現していかなければいけません。実は合計特殊出生率は上昇しましたが、今、産んでくださる女性の数が少ないということから、子どもの出生数は前年より7400人減り、過去最少の102万9800人に。僕は勝手に2055年問題といっているんですが、2055年には日本の人口が9000万人を切る。人口が減るのはいいのですが、そのバランスが問題。65歳以上の人が全体の40%を超え、生まれてくる子どもの数は50万人を切ってしまう。4割の高齢者を支えていく社会なんて、世界のどの国を見てもありません。国としての存続さえ厳しくなると思います。 野田先生●ただ人口が減るのではなく、減ると同時に支える側と支えられる側のバランスが壊れてしまうのは大変なこと。そこがあまり議論されていないなという感じはしますね。子どもたちは成長して労働者になり、納税者になって必ず将来返してくれる。それを考えたら、国は借金をしてでも先行投資をすることが必要で、今すぐにでも始めないといけないと思います。 吉村先生●女性と子どものために費用をかけることはもちろんですが、女性が産みたいと思うような環境作りも大切だと思います。日本では女性は仕事との両立に悩まされて結婚や出産が遅れることが多いようですが、世界を見ると女性が活躍している国、つまり女性の高い就労率を示す国は出生率も高い傾向があるんです。女性の就業率が70%を超える北欧諸国は合計特殊出生率も2・0前後を示している。それだけ働く女性が子どもを産める環境が整っているのだと思います。 野田先生●実はアメリカは、日本では当たり前の産休や育休といった制度がありませんから、わが国のほうが先を行っている気がするのに、子どもを産む女性が少ない。日本は制度以前に、ほとんどの男性たちに「女性は働かないもの」という考えがまだ根強くあるようです。女性が働くことはオプションみたいなもので、ハードもソフトもまだ男性が中心。子どもを産み育てるための職場は依然として少ない気がします。少子化を食い止めるにはここもどんどん変えていかないと。「働く人は子どものいる人」という定義のもと、職場から公共機関まですべての施設に子どもがいられる空間を作る。最初にコストはかかると思いますが、女性が働き、子どもが増えることでそれ以上の収入が入ってくると思います。政治の中でもしっかり決断していく必要がありますね。 話題は変わりますが、厚生労働省は2016年度より不妊治療の公費助成に43歳未満という年齢制限を設けることになりました。これについてはどうお考えですか? 少子化対策に影響は出ないのでしょうか。 吉村先生●40歳以上になるとだいたい3分の1くらいの人が、43歳になると約半数の人が流産してしまう。赤ちゃんを連れて帰れる割合、生産率でいったら43歳で50人に1人、45歳だと100人に1人になってしまうんですね。助成回数も10回から6回に減りましたが、これは助成を受けて妊娠した人の9割以上は6回までで妊娠したというデータを受けてのこと。このような医学的判断などで年齢制限が提起されました。しかし、良い点もあり、1年に最大6回も助成を受けられるようになったんですね。これにより長期にわたって治療を続けるのではなく、短期決戦で治療に集中する方が増えてくるはずです。 この年齢制限は税金を有効に使っていくということだけではなく、妊娠の最良な適齢期を教えていくという意味もあります。40歳を超えた妊娠は非常にリスクが高く、できれば25~35歳の間に妊娠をしていただくという啓発でもあるんですね。 野田先生●恥ずかしながら、私も妊娠や出産に関しての正しい知識はほとんど持っていませんでした。40歳から不妊治療を始めて、息子に出会うまで体外受精を16回。もっと早く治療を始めていればと後悔しています。同じ思いをして欲しくないので、教育は大切だと思っています。実際に総務会長になった初仕事は、文部科学省へ小学校の保健体育の時間に「女性は適正な時期しか妊娠しない」と教えるべきだとかけあったことですから。 女性だけではなく、もちろん男性の教育も必要です。教育、そして職場や社会の環境作りなど、少子化問題に特化した拠点を政府に作り、10年間に限定して人・もの・お金を集中的に注いで対策するべきだと考えています。指をくわえて待っていたら産める人が産めなくなってしまう。各省庁や議員と連携して迅速に進めていきたいと思っています。 衆議院議員(自由民主党) 野田 聖子 先生 1960年、福岡県生まれ。上智大学卒業。岐阜県議を経て1993年に衆院議員初当選。自民党政権の下、郵政相、消費者相を歴任し、2012年12月から自民党総務会長を務める。40歳から16回にわたる体外受精を経験し、アメリカで卵子提供を受けて2011年に長男を出産。 産婦人科医 吉村 泰典 先生 慶應義塾大学医学部卒業。これまで数多くの不妊症治療や分娩を担当。2013年内閣官房参与に就任し、政府の少子化対策・子育て支援をサポート。自らも、女性と子どもの未来を考える「生命の環境研究所」を立ち上げ、SNSなどで積極的に情報を発信している。
2014.10.7
コラム 不妊治療
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着床障害です。
ゆきさん(37歳)精子の数が少ないため、顕微授精しかできないと言われています。数は少ないが質に問題はないと言われています。 6回移植をしていますが、着床しません。 新鮮胚移植・凍結胚移植行っています。 凍結胚移植では、自然周期・ホルモン補充周期行っています。 分割胚・桑実胚・胚盤胞それぞれ移植しています。 2個移植・SEET法・バイアスピリン服用・子宮に傷をつけて移植する方法を行いました。 凍結胚ではアシストハッチングも行っています。 採卵は4回、すべて無事採卵を行え、受精卵も作れています。 移植した胚も、 分割胚ならばグレード1。 胚盤胞も5AAや5BBなどで、 いつもきれいな良好胚と言われます。 着床障害を疑って血液検査をしましたが、何も問題ないと言われます。 血液もサラサラで、NK活性も基準値より下回っています。 子宮鏡検査も行いましたが、筋腫などなく、きれいな子宮だと言われました。 150センチで41キロ。 とくにやせすぎでも太りすぎでもないと思います。 平熱も36.7度。 基礎体温も36度台で2層に分かれており、問題ないと言われました。 とくに冷え症でもありません。 問題が何も見当たらないのでに、なぜ着床しないのでしょうか? やはり着床は神のみぞ知ることなのですか? 原因があれば、妊娠を諦めることも考えられます。 が、原因が見つからないので、あきらめることもできません。 年齢的にもあきらめることができませんし、 今やめたら、あと後後悔する気もします。 体外受精を行ったら、1度で妊娠した人もいると伺います。 実際はどうなのでしょうか? このほかに調べる項目はまだあるのでしょうか。 向田哲規 先生 (広島HARTクリニック) 院長 向田哲規 1960年6月25 広島県広島市中区生まれ 昭和35年生まれで修道高校卒業まで広島で育ち、太平洋の青い海にあこがれ高知医科大学に入学し、学業よりテニス部とヨット部の活動が中心であった健康的な学生生活を送り卒業の後、同医科大学産婦人科医局にて一般産婦人科のトレーニングを受けました。 不妊症治療に携わって得られる生き甲斐は、より良い治療法を習得しそれを難しい症例に用いて、赤ちゃん誕生という目標に到達する手助けができた瞬間であり、その経験が臨床医としての糧になっていると思います。 不妊症の原因および治療法は千差万別であるため最終的には御夫婦が納得した治療法にて組むべきであり、その為の説明を充分行うよう心がけておりますので、いつでも御相談ください。 ≫ 広島HARTクリニック形態良好な胚盤胞も得られて、いろいろなアプローチでの治療を 行っているので、違う施設でまったく違うコンセプトの元で治療を受けてみるのもひとつの選択肢です。 一度セカンドオピニオンを受けてみるのも良いかもしれません。
2014.10.3
専門医Q&A 女性の健康
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PCOSなのにDHEAを処方された。
「医者にテストストロンの件をもう一度確認してDHEA摂取をやめたほうが良いのでしょうか。」
2014.10.2
専門医Q&A 女性の健康
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ストレスなのでしょうか?
婦人科検診促進協会さん(13歳)皆さんから頂いた質問を、 婦人科検診促進協会が代わりに婦人科医の先生に聞いてきました。 【質問者;にしさん OL 20歳】 私は一年前からピルを飲んでいます。 今年から新社会人になったのでストレスでホルモンバランスが乱れたのか、生理が先月来てません。 妊娠かと思い、妊娠検査薬で検査をしましたが、妊娠はしていませんでした。 先月は生理が来る週の前の週にずっと不正出血をしていたので、その出血のせいで生理が来てないのだと思っていました。 今月もピルを飲み続けているのですが、生理ゾーンに来ても生理がまだ、来ていません。 半年前には産婦人科に行って検査をしてもらいましたが、異常はありませんでした。 自分的には半年前に産婦人科で検査をしてもらったので、この半年で病気になる心配はないだろうと思っています。 でも、このまま生理が来ない身体になり妊娠出来なくなるのは嫌です。 どうしたらいいでしょうか?教えて下さい。 塚田清二 先生 (水口病院) 院長 塚田清二(つかだせいじ) 医学博士 自治医科大学卒業 母体保護法指定医 細胞診専門医 新生児蘇生法インストラクター 新潟県立がんセンター新潟病院などを経て現職 産婦人科専門医 ≫ 水口病院ピルは女性ホルモンのお薬で、排卵が抑えられると同時に子宮内膜を萎縮させる作用があります。そのために不正性器出血や月経量が減少することはよくあることです。 また、内膜萎縮作用が強く出ると無月経となることもありますので、あなたに見られる症状は特別な異常ではありません。 ただし、ピルにはいくつかの種類がありますので、無月経であることに不安を感じられる場合は、ピルの種類を変えてみるのもひとつの方法かと思います。 また、ピルを内服中でも妊娠の可能性が全くないわけではありません。 月経が来ない場合には妊娠検査薬で妊娠のチェックをすることも大切です。 とくに飲み忘れなどがあった場合は妊娠する可能性が高まりますので要注意です。 あなたはきちんと検査をされていますので、よろしいかと思います。 また、不正性器出血は子宮癌など婦人科疾患の重要な症状のひとつですので、不正性器出血が認められる場合は当然ですが、認められない場合でもピルを内服中の方は、定期的に婦人科での診察・検査を受けることが大切です。 あなたの場合は半年前に検査をして異常がなかったということですので、まずは大丈夫かと思います。念のため、今一度ピルの処方を受けている婦人科を受診して、症状をお話した上で診察を受け、異常がないことを確認することをお勧めします。 またご希望であればピルの種類を変更してもらってはいかがでしょうか?
2014.9.29
専門医Q&A 女性の健康
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排卵不全、誘発剤への抗体
「エコーで自身の卵巣をみるたびに、大きさや数が少なくなっているのが私から見ても如実です。いつか採卵もできなくなると諦めるしかないのでしょうか?排卵誘発剤が効かない抗体というのは、どうにか治療法はありませんか?」
2014.9.25
専門医Q&A 女性の健康
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不妊治療について
あみさん(37歳)男性不妊につき、顕微受精をし始めた者です。 カウフマン療法を生理一日目から行っていますが、いつもは5日くらいで終わる生理が、10日たっても終わりません。 二種類のピルを21日ずつ飲み、その後の生理がきたら、ホルモン注射を行い採卵となる予定ですが、ピル服用最中に出血が止まらないままでも、採卵できるのでしょうか? 田中雄大 先生 (メディカルパーク湘南) メディカルパーク湘南は、産婦人科専門病院です。 最先端の不妊治療、熟練の内視鏡技術、最新鋭の医療機器。全てにおいて妥協を許さず、粋を極めた理想を追求しました。構想から足掛け7年、長くかかってしまいましたが、私が予てから目指していた理想の産婦人科医療が漸く実現します。 「メディカルパーク」という言葉には、この病院が、患者様の様々な要望に応え、皆さんが集う公園のような場所になればという思いが込められています。医療は常に変革しています。そして患者様のニーズも多様化し続けています。私たちはこの湘南の地から、新しい医療を発信して参ります。そして多くの患者さんに1つでも多くの幸せを運べるように、職員一同、全力で邁進して参ります。 メディカルパーク湘南が皆様に愛される病院になることを願って止みません。末永く、どうぞ宜しくお願い申し上げます。 【略歴】 1991年 慶應義塾志木高等学校卒業 1997年 慶應義塾大学医学部卒業 1997年 在沖縄アメリカ海軍病院インターン 1998年 慶應義塾大学医学部産婦人科学教室入局 2004年 慶應義塾大学医学部医学博士取得 2009年 聖マリアンナ医科大学非常勤講師就任 2011年 中国蘭州大学第2附属病院 名誉教授就任 【資格】 医学博士 日本産科婦人科学会 産婦人科専門医 日本産科婦人科内視鏡学会 技術認定医 日本外科内視鏡学会 技術認定医 母体保護指定医 日本生殖医学会 生殖医療専門医 【学会賞受賞】 2004年 第20回ヨーロッパ生殖医学学会 最優秀ポスター賞受賞 2005年 第57回日本産科婦人科学会学術講演会 グッドプレゼンテーション賞受賞 2007年 第49回日本産科婦人科内視鏡学会 最優秀ビデオ賞受賞 【著作本】 「最新 不妊治療・体外受精がわかる本」 大規模なアンケート調査から多くの方が悩まれている症状や治療に対する疑問に 最新情報を交えてお答えしています。 セカンドオピニオンブックとして、お守りのように持っていただきたい1冊です。 ( ジネコSHOPで発売中 http://bit.ly/1KtsKZo ) ≫ メディカルパーク湘南カウフマン療法は卵巣機能が悪い方にやることが多い方法です。 AMHで卵巣年齢が若いと言われているのに、カウフマン療法をやっていらっしゃる理由がわかりませんが、一言でいえば心配なさらなくても大丈夫です。 2種類のピルをしっかりと服用したのであれば、出血があろうが無かろうが、 採卵に向けてスタートしてもいいと思います。 生理の期間が長くても、もし逆に短かったとしても、自然ではなく、ピルを使って1回整えているので心配ありません。 もし出血があまり長く続くようでしたら、子宮内に粘膜下筋腫や内膜ポリープなどが あることも考えられますので、子宮鏡検査を受けてみてください。 あとは、出血量が多くなっている原因として、ホルモンのバランスが乱れている可能性も考えられます。 カウフマン療法をやって生理が来た時に採血をして、エストロゲン、LH、FSHのホルモンをチェエクしてもらったらいかがでしょうか。
2014.9.23
専門医Q&A 女性の健康
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不妊治療について
あみさん(37歳)男性不妊につき、顕微受精をし始めた者です。 カウフマン療法を生理一日目から行っていますが、いつもは5日くらいで終わる生理が、10日たっても終わりません。 二種類のピルを21日ずつ飲み、その後の生理がきたら、ホルモン注射を行い採卵となる予定ですが、ピル服用最中に出血が止まらないままでも、採卵できるのでしょうか? 吉田淳 先生 (木場公園クリニック) ≫ 木場公園クリニックピルを服用している最中に出血が止まらないということですね。ピルを飲んでいてうまくのらないときは、このような時もあります。 あみさんが服用されているピルが低用量ピルなのか、中用量ピルなのかわかりませんが、特に低用量ピルを使っていたら、あり得ることだと思います。ピルの効きがゆるかったということでしょう。強くは抑えなかったんですね。当院でもよくあることです。 ずっと飲んでいただいて、その後に実際に誘発が始まって出血が収まれば、採卵にはまったく問題はないと思います。もし気になるようでしたら、子宮内膜がどうなっているかをエコーで診ていただいてはどうでしょうか。
2014.9.23
専門医Q&A 女性の健康
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生理前の下腹部の張りについて
ラナンキュラスさん(31歳)今回初めて質問させていただきます。 よろしくお願い致します。 生理予定日1週間前くらいより基本的には夕食後下腹部がパンパンに張ります・・・。 時には張りが強すぎて階段の上りがかなり大変です。 生理前には夕飯をあまりたくさん食べないようにしてはいるのですが、ついうっかり食べ過ぎるとすごく張ります。 これは生理前症候群でしょうか? あまりにきついならば治療したほうが良いでしょうか? 夫婦で子供を望んでおります。子作りを始め1年が経過しますがなかなか授かりません。 生理前症候群と不妊はなにか関係ありますか? 卵巣腫瘍と子宮筋腫の既往をお持ちということで、この症状がどこから来ているのか気になるところではあります。これらの術後の経過についてはきちんと診ていただいているのでしょうか。 どちらも経過に問題なく、月経前緊張症候群から来ているとすれば、この方のような腹部の張りといった症状が出る場合もあります。消化器のほか、メンタルな状態への影響、痛みや出血など、月経前緊張症候群は多岐にわたる症状が出ることが多いですね。 症状の対処については、お腹が張ってつらいということであれば、ガスが溜まらないようなお薬の使用や便秘を改善するように食生活に気をつけるなど、基本的には対処療法ということになります。 不妊との関係ですが、もし子宮内膜症などによって腸が動いて苦しいということでしたら関連が考えられます。そうでなければ、直接影響することはないでしょう。気にされているのなら、どこからその張りが来ているのか、詳しく調べてみられてはどうでしょうか。
2014.9.22
専門医Q&A 女性の健康
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生理前の下腹部の張りについて
ラナンキュラスさん(31歳)今回初めて質問させていただきます。 よろしくお願い致します。 生理予定日1週間前くらいより基本的には夕食後下腹部がパンパンに張ります・・・。 時には張りが強すぎて階段の上りがかなり大変です。 生理前には夕飯をあまりたくさん食べないようにしてはいるのですが、ついうっかり食べ過ぎるとすごく張ります。 これは生理前症候群でしょうか? あまりにきついならば治療したほうが良いでしょうか? 夫婦で子供を望んでおります。子作りを始め1年が経過しますがなかなか授かりません。 生理前症候群と不妊はなにか関係ありますか? 古井憲司 先生 (クリニックママ) クリニックママでは1998年の開業以来、すべての方へ最適な医療を提供するという基本方針のもと、医療に従事してまいりました。私たちの考える最適な医療とは、ご本人の意思を尊重し、その立場に立って、安全で高度なオーダーメイドな医療を提供することです。 分かりやすく言えば、例えば分娩についてなら、それぞれの患者様における分娩のリスクを十分に説明し、そのリスクについての対処方法をご本人に説明し、理解していただいた上で治療を進めていくということです。そのために、最新の医療設備を整え、経験豊富な産婦人科医と助産師、看護師、その他のスタッフが協力し、医療技術の向上にも努めています。 また不妊症治療については、検査の種類、方法、その意義について十分ご本人様に説明し、その患者様に合ったオーダーメイドな治療を考え、そしてその治療について十分に時間をかけて患者様に説明し、同意を得てから治療に入りたいと考えています。さらに我々は、常に高い医療レベルを維持するために全国レベルの不妊症関連の学会で発表したり、国内外で論文を発表したりしています。 さらに我々は、出産についての不安、不妊や女性特有の疾患についての悩みなど、「からだ」だけでなく「こころ」のケアも大切にしたいと考えています。特に不妊症の治療については長時間を要することもあり、今後の治療方針や将来について不安を抱いている方、周囲の方からの期待や何気ない一言に傷ついてみえる方も多いのではないでしょうか。ご本人やご家族の中で、少しでもそうした不安がある場合は遠慮なくご相談ください。 すべての女性とその家族が豊かな人生を送ることができるよう、サポートさせていただけたらと思います。 経歴: S61年 医師国家試験合格 S61年 大垣市民病院にて初期研修 S62年 名古屋大学産婦人科学教室入局 S62年 岡崎市民病院に産婦人科医として勤務 H3年 名古屋大学付属病院に産婦人科医として勤務 H6年 名古屋大学付属病院の文部教官に就任 H6年 医学博士号取得 H7年 大垣市民病院の産婦人科医長に就任 H7年 西濃地区で始めて体外受精胚移植による妊娠に成功 H10年 クリニックママの院長に就任 認定資格: 日本産科婦人科学会 専門医 日本生殖医学会 生殖医療専門医 医学博士 論文名「Identification of Two Point Mutations in the Gene Coding Luteinizing Hormone (LH) β-Subunit, Associated with Immunologically Anomalous LH Variants」 所属学会: 日本産科婦人科学会 日本生殖医学会 日本受精着床学会 生殖バイオロジー東京シンポジウム世話人 東海ARTカンファレンス世話人 岐阜ARTセミナー世話人 日本レーザーリプロダクション学会評議員 岐阜県産婦人科医会評議員 ≫ クリニックママ 生理前症候群とは、医学的には月経前緊張症といいます。症状としては月経前に吐き気や腹痛、頭痛などが起こるのが一般的で、下腹部の張りも月経前緊張症のひとつです。治療法としては、今年から保険適用になった子宮内で持続的に黄体ホルモンを放出することによって月経量を軽減するミレーナという避妊リングや低用量ピルなどがありますが、いずれも妊娠したいのであれば使えません。漢方で対応することもありますが、どの程度効くかは個人差があります。 基本的には月経前緊張症がどうして起こるかは不明です。一方、既往歴を見る限り、卵巣腫瘍は子宮内膜症が原因である可能性が高いと思います。子宮内膜症がある人は、基本的に月経困難症になりやすいですし、内膜症が原因で月経前緊張症が起こる可能性もあります。また、2回の開腹手術によって、腹腔内に手術後の癒着を起こしている可能性もあり、それが下腹部膨満感の原因になっていることも考えられます。 このような場合、最も良い治療法は妊娠することです。GnRHアゴニストであるリュープリンやゾラデックスといった内膜症治療薬もありますが、注射をやめるとまた病勢は増悪し、閉経まで繰り返します。逆に妊娠すれば月経が止まり、内膜症の進行も抑えてくれます。月経前緊張症の治療よりも挙児希望があるのであれば、まず不妊治療を優先することをおすすめします。
2014.9.22
専門医Q&A 女性の健康
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生理前の下腹部の張りについて
「夫婦で子供を望んでおります。子作りを始め1年が経過しますがなかなか授かりません。生理前症候群と不妊はなにか関係ありますか?」
2014.9.22
専門医Q&A 女性の健康
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心配です
「この度、顕微受精をするための採卵をすることになり、プレマリンとナファレリールを処方されたのですが、ナファレリールの投与方法を勘違いしていて最初の1週間、朝に一回のみ使用していました」
2014.9.7
専門医Q&A 女性の健康
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妊娠と潜在性甲状腺機能低下症
「潜在性甲状腺機能低下症でも、妊娠が可能か聞きたくてご連絡しました。私は8月10日に初期流産をしました。胎芽も見えず、胎嚢の成長も止まり、自然流産でした。」
2014.8.23
専門医Q&A 女性の健康
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妊娠と潜在性甲状腺機能低下症
「次回は三ヶ月後に再検査と言われました。このまま何も治療せず、妊娠は可能なのでしょうか?流産が辛かったため、不安です。」
2014.8.23
専門医Q&A 女性の健康
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妊娠と潜在性甲状腺機能低下症
みちさん(28歳)潜在性甲状腺機能低下症でも、妊娠が可能か聞きたくてご連絡しました。 私は8月10日に初期流産をしました。胎芽も見えず、胎嚢の成長も止まり、自然流産でした。 それから、一週間後血液検査で潜在性甲状腺機能低下症の疑いがあると診断されました。TSHは5.2で、FT4は0.97です。 次回は三ヶ月後に再検査と言われました。 このまま何も治療せず、妊娠は可能なのでしょうか? 流産が辛かったため、不安です。 福田勝 先生 (福田ウイメンズクリニック) ●医師福田勝の信念は、不妊症に悩むご夫婦に元気な赤ちゃんが授かるように、現段階で最大限の医学的な成果を患者さんに提供することです。 ●研究の成果は多数の研究論文の形で発表しています。 ●最新の医療機器を設置し、最先端の治療法について日々研鑽を続けています。 ●プライベートクリニックの目的は、患者さんの負担を最少限にすることです。 身体的、精神的な負担はもちろん、時間と経済的な負担を軽減する努力を惜しみません。 ■院長プロフィール 昭和51年 順天堂大学医学部卒業 順天堂大学医学部大学院卒業 米国カリフォルニア大学産婦人科学教室留学 順天堂大学医学部産婦人科学教室講師 日本産科婦人科学会専門医 日本生殖医学会(旧日本不妊学会)生殖医療指導医 順天堂大学医学部産婦人科非常勤講師 東邦大学医学部産婦人科非常勤講師 ≫ 福田ウイメンズクリニックTSHは脳から分泌されるホルモン、FT4は甲状腺から分泌されるホルモンです。 FT4が少し低下してきたことを脳が認識すると、TSHというホルモンを出して甲状腺を刺激します。すると、甲状腺ホルモンの分泌量が増え、正常範囲に入ってきます。 TSHが少し高めになり、FT4が正常値である状態を「潜在性甲状腺機能低下症」と言います。 甲状腺機能は、流産を繰り返すと不育症検査として調べることがあります。 みちさんは流産1回目ですが、念のため調べたのでしょう。 TSHが高めといっても5.2という数値は軽症です。 この数値と流産は結びつかないと思います。 また一過性のことも多いので、3ヶ月後に再検査というのは通常の流れだと思います。 今の段階で治療の必要はないと思います。 心配なさらなくても大丈夫です。
2014.8.23
専門医Q&A 女性の健康
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男性不妊で2人目希望です
「移植後の中間判定はE2とP4を測りますが、これらの値で着床や妊娠の可能性はわからないのでしょうか?」
2014.8.19
専門医Q&A 女性の健康
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hmg注射後の半身浴
「もしかしたら注射後の半身浴はあまり良くないのかなと思ったのですが、どうなのでしょうか?血流を良くして卵の質を高めようと思って半身浴をしたのですが…」
2014.8.14
専門医Q&A 女性の健康
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卵巣の腫れについて
なしりんごさん(36歳)現在妊婦9週目で、右卵巣が7センチ腫れてます。6週目は4-5センチでした。心拍確認終えたところです。 妊娠によるものなのか違うのか、12週過ぎるまでは様子を見ようと言われています。 私自身は6週目の方が時々すごく下腹の痛い時がありましたが、今は殆ど感じないので、もう少ししたら軽い運動をしたいと思ってるのですが 卵巣の腫れは、安静にしていることで、改善に向かうものでしょうか? もしくは身体を動かすことによって、更に腫れることもあるのでしょうか? 自分なりに調べてみたのですがはっきりとした回答を見つけられなかったので 教えていただけないでしょうか。 宜しくお願いします。 俵史子 先生 (俵IVFクリニック) 当クリニックは不妊治療を専門としております。 開院以来、約3年間で1000組以上のお子様に恵まれないご夫婦に妊娠が成立し、当院を卒業されました。妊娠までの道のりは様々ですが、最後は皆様最高の笑顔で卒業されておられます。その喜びを共感させていただけることが、私達にとってもさらなる糧となり、生きがいとなっております。 当院での不妊治療の特徴は、「納得・理解して進む治療」そして「オーダーメードの治療」です。10年以上不妊症の患者様に携わり、多くの実績を重ねてきた経験から、妊娠に近づく第1歩は患者様と医療側の信頼関係だと確信しております。 妊娠したいという強い気持ちを持ち、私共を信じて治療を受けていただくことが、いい結果に繋がる近道と考えます。そのためには、日々の通院で疑問や不安を残さずに、十分納得しながら進まれる必要があります。当院では医師による診察の他、皆様の理解を深めていただくために十分な知識と経験を持ったスタッフがサポートをしております看護師や培養士等も医師と同じレベルで患者様に治療内容の説明や情報提供が行えるような体制を整えておりますので、ご安心してお気軽に声をかけて下さい。 オーダーメードの治療とは、画一的な治療にとどまらず個々に応じた治療を選択していくということです。原因、年齢、治療歴など、皆様それぞれに不妊治療を受けられる際の条件、背景は異なります。当然のことながら、その方に適した治療も異なるため、多くの治療法を熟知し適切に選択できることが不妊治療に携わる者として必要不可欠と考えます。 心や体への負担を最低限に抑えつつ、最大の効果が得られるようお一人おひとりにあった治療を選択していきたいと思っております。 初めて受診しようとされる方にとっては、不安や緊張の中でお越しいただくことも多いと思います。 前向きな気持ちで妊娠に向けた大きな一歩を踏み出していただくために、そして一人でも多くの方にお子様を授かっていただくために、私たちは全力で皆様をサポートすることをお約束いたします。 浜松医科大学臨床講師 日本産婦人科学会専門医 東海不妊内分泌研究会 世話人 東海ARTカンファレンス 世話人 静岡生殖医療研究会 世話人 ■所属学会 ・日本産科婦人科学会 ・日本生殖医学会 ・日本受精着床学会 ・日本哺乳動物卵子学会 ■経 歴 浜松医科大学医学部卒 平成8年~ 産婦人科・麻酔科研修後、産婦人科医として総合病院に勤務。 平成12年~ 静岡厚生病院 不妊治療担当。 平成15年~ 愛知県豊田市 竹内病院トヨタ不妊センター勤務。 平成16年~ 竹内病院トヨタ不妊センター所長に就任。 年間500~600件の体外受精・顕微授精に携わる。 平成19年9月 俵史子IVFクリニック開院 平成22年4月~ 国立大学法人 浜松医科大学 臨床講師に就任。 ≫ 俵IVFクリニックなしりんごさんはどのような不妊治療を受けて妊娠されたのでしょうか。タイミング法や人工授精など自然排卵の後の妊娠だとすると、妊娠黄体といって、妊娠したことで卵巣が刺激されて一時的に嚢腫を形成するということがあります。これは決して珍しいケースではなく、特別異常なことでもありません。 なしりんごさんもおそらく、この妊娠黄体であることが考えられますね。 妊娠黄体は自然に小さくなることが多いので、症状がなければ、担当医の先生がおっしゃるようにそのまま経過をみていくということでよいのではないでしょうか。 狭い骨盤内に大きな嚢腫があれば、腹膜などを刺激してお腹が痛くなることもあると思います。そのような時は無理をせず、安静にしておいたほうがいいでしょう。 痛みがない時は、ウォーキングなど軽い運動なら行っても問題はないと思います。お腹の中にダイレクトに振動が伝わるような激しい運動は避けたほうがいいですね。嚢腫が大きくなるということはありませんが、痛みを引き起こす原因になると思います。 運動をする時は、「これくらいなら大丈夫」という加減をご自身で見つけて行うといいですね。
2014.7.22
専門医Q&A 女性の健康