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漢方薬と生理についてお伺いします
エルさん(40歳)不妊治療歴6年、タイミング、AIH、IVFと治療を重ねてきました。昨年の4月からタンポポ茶を、加えて8月からエッキ錠という漢方薬も飲み始めました。 この影響かどうか分からないのですが、漢方薬を飲み初めてから生理がとても軽くなりすごく楽になったんです。 それまでの生理は、初日〜3日目くらいまでは出血量も多く、腹痛・腰痛・倦怠感などがあって当たり前で、ひどい時は寝込むこともあり、段々と出血も軽くなってはいくのですが、だいたい出血終了までは1週間くらいかかっていたんです。それが普通だと思っていました。 ところがここ数ヶ月は、生理がきてもほとんどそのような症状はなく、出血も3日くらいでほぼ落ち着くくらいに軽くなってきたんです。これは漢方薬の成果なんでしょうか? 辛かった生理期間が楽になったのはとても有難いことなんですが、あまりの変化になんだか落ち着かなくなり(まさか閉経が早まったのでは…)とさえ思うようになってしまいました。 私の考え過ぎであればいいのですが、他の方の生理がどの程度なのか比べようがない上に、医師からは何も指摘されないまま治療を進めてきていたので、今まで疑問にすら思いませんでした。 タンポポ茶もエッキ錠も医師からの指示ではなく薬局で購入してますが、そこの漢方医の薬剤師さんから勧められて飲み始めたものです。 まさか漢方薬が体に悪い影響を与えるとは考えにくいですが、こちらの書き込みの中で以前「漢方薬によって卵巣が疲弊している」等々見かけたので気になってしまって… そういえば、排卵日近くになるとよく出ていたオリモノも何だか少なくなっている気がします。 もしかしたら私には、これらの漢方薬が効き過ぎているのでしょうか?アドバイスお願い致します。 深谷幹子 先生 (深谷薬局養心堂) 湖北民族学院客員教授 妊娠授乳サポート薬剤師 妊娠しやすい体作りを全力でサポート 子宝に向って一緒に歩んでいきましょう。 女性特有の悩みについての相談にも乗っています。女性同士、わかりあえる事も多いかと思います。 ちょっとした事でも気になったら、気軽にメール又は電話でご相談下さい。 相談する気になった事で、もう大きな一歩を踏み出しています(^-^)/ ≫ 深谷薬局養心堂こんにちは お質問ありがとうございます。 生理がとても楽になったとの事。良かったですね。 生理痛というと、一般的には痛み止めを飲んで我慢するといった方法になりますが、漢方では、痛みが出やすい体の状態やバランスを体質から見て改善してくれます。 だから痛み止めが聞いている間だけ痛みが無くなるというのでは無く、痛み止めで痛みが抑えられているっていう痛みの止まり方では無く、痛みが不思議に無くなったという効き方をします。 不思議に感じられたかもしれないですね。 漢方はゆっくりでないと効かないって事ばかりでは無いです。漢方で、こんなに改善する事あるんですか?!いわれることもよくあります。 >、こちらの書き込みの中で以前「漢方薬によって卵巣が疲弊している」等々見かけたので気になってしまって… 漢方は、体質や今の状況(日頃の体調や、治療の進み具合、ホルモン剤、誘発剤の使用状況)に合わせたあなただけの漢方にしてこそ力を発揮出来ます。 極端な例ですが、例えば、体が冷えている人に、体を冷やす漢方を使ったら! 体に炎症のある人に体を温める漢方を使ったら! 体は返っておかしくなってしまいます。はさみの使いようと同じです。 漢方が正しい力を発揮する為には、、体質や状況についてきちんとカウンセリングをうけて合わせてもらうことが大切です。 オリモノは、体調、気候によっての影響もうけますので、 体質を見てもらってる薬剤師にご相談してみてください。
2011.1.19
専門医Q&A 漢方・鍼灸
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妊娠出来るのか、自信がなくなっています。。
うめまめさん(32歳)私は結婚して2年半、結婚当初から避妊はしていません。 主人も私も子供を強く望んでいますが、今まで一度も妊娠したことがありません。 不妊専門病院で1年、主人の転勤のため転院して産婦人科(近場に不妊専門病院がないので。)で半年強治療していますが、出来るだけ自然な形での妊娠を望んでいるので、今のところタイミング療法のみです。 主人には問題はないようで、私が問題みたいです。 左卵巣の外側に良性と思われるできものがあり、排卵がしづらいようです。右卵巣は問題なさそうですが、右卵管が詰まり気味で癒着もあるかもしれないといわれています。 周期は25日~27日で、左卵巣からの排卵のときは高温期が短くなりがちです。たぶん黄体化未破裂卵胞のことが多いのかもしれません。 現在は漢方薬局で煎じ薬を処方してもらって毎日飲んでいますが、高温期の体温が安定したかなと思っています。 でもタイミングをばっちり合わせた周期を何回も繰り返していますが一度も妊娠したことないことで、もう主人との子供を産むことが出来ないのではないかと思ってしまっています。 そういうストレスが一番良くないのは分かっていますが、これはしょうがないので割り切っています。 食べ物や運動をしたりお風呂でしっかり温めたりなどで妊娠しやすい体にと、負担にならない程度に続けているのですが…。本当に自信がなくなってきました。。 もう一度何が原因なのかをしっかり検査してもらったほうがいいのか、それともステップアップせざるを得ないのか、どうしたらいいのでしょうか…。。 取り留めのない質問で申し訳ありませんが、何かアドバイスやいい病院があったら教えてください。 ちなみに私は今大阪の羽曳野に住んでいます。 宜しくお願い致します。 藤野祐司 先生 (なかむらレディースクリニック) 1979年 大阪市立大学医学部卒業 1985年 大阪市立大学医学部大学院医学研究科外科系修了 新千里病院(現済生会千里病院)産婦人科勤務 1988年 大阪市立大学医学部産科婦人科学教室助手 1989~1990年 UCLA(カリフォルニア大学ロサンゼルス校)留学 1993年 大阪市立大学医学部産科婦人科学教室講師 1997年 藤野婦人科クリニック院長・大阪市立大学医学部非常勤講師 医学博士 日本産科婦人科学会専門医 日本生殖医学会生殖医療指導医 日本産科婦人科学会会員・日本生殖医学会評議員・日本受精着床学会評議員 アメリカ生殖医学会会員・ヨーロッパヒト生殖医学会会員 ≫ なかむらレディースクリニック子宮筋腫、左卵巣嚢腫があり、右卵管が通りにくいとのことですが、クラミジア抗体の検査をお受けになっていらっしゃいますでしょうか? クラミジア感染の既往による卵管癒着があるようでしたら、大きな原因となるかと思います。 検査がまだでしたら一度調べてみることをお勧めいたします。
2011.1.18
専門医Q&A 女性の健康
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鍼灸や骨盤矯正
ゆなさん(27歳)クロミッド→hcg→デュファストンでタイミングをとり始めてもうすぐ一年経ちます。 春から人工受精にステップアップする予定です。 元々、冷え症もあり以前接骨院に行った際、『骨盤が歪んでる(ずれてる?)』とも言われ体質改善のため鍼灸や骨盤矯正をしてみようかと思ってます。 そこでお聞きしたいのですが、この時期はやめた方がいいとかありますか? 例えば排卵期や生理中は避けた方がいいとか、どんな事でも構いませんので教えて下さい。 藤井徳治 先生 (一掌堂治療院) 一掌堂治療院のハリ治療の特色は、首を圧迫している筋肉を緩めるところにあります。ホットパックやアロマも使い、マッサージも取り入れた気持ちのいい治療です。 IVF補完鍼灸プログラムも導入して成果をあげているほか、古来より伝わる中条流のツボも使い、通院と自宅療法の両面から確かな実績を積み上げています。 スタッフは院長を除いて全員が女性で、はり灸・あんまマッサージ指圧の国家資格を有しています。15室の治療室はすべて個室ですから、安心して治療をお受けになることができます。 20人いるスタッフがいつでもご希望のご予約にお応えします ≫ 一掌堂治療院ゆなさん はじめまして 一掌堂治療院の藤井と申します。 私どものところは鍼灸院ですので、鍼灸治療についてお話させていただきます。 鍼灸治療に関しましてはこの時期は避けたほうがいいという時期はございません。安心していつでも治療をお受けいただけます。 鍼灸治療でいう体質改善は足りないものを足したり、余ったものを減らしたりする方法とは違い、本来あるべき姿に戻すことです。私たちの体は、意識しなくても本来の健康体を保つメカニズムがあります。自然治癒力、体の生態系などと言われます。 妊娠に関していえば、妊娠に必要なホルモンバランスを整えるメカニズムがあり、そのメカニズムが正常に機能すれば、必要なホルモンバランスが維持されて、妊娠に結びつくと考えられます。 妊娠に必要なホルモンであるエストロゲン、プロゲストロンは卵巣から分泌されますが、分泌のためには、脳の下垂体や視床下部から卵胞刺激ホルモンや黄体化ホルモンのコントロールを受けなければなりません。さらに、その卵胞刺激ホルモンや黄体化ホルモンの分泌は、下垂体や視床下部からのゴナドトロピン放出ホルモンや黄体化ホルモン放出ホルモンのコントロールを受けています。 ところが、PC操作や前かがみの仕事などで首の筋肉の緊張が続いて首が圧迫を受けると、首から上の部分での代謝に問題が生じて、ホルモンバランスが悪くなります。最近、不妊のために来院される患者さんには、そういうケースが増えています。 そこで、当院では、首が受けている圧迫を緩め、首から上の部分の代謝を正常に戻すことを主眼にした鍼灸治療を行っています。鍼灸院によって、さまざまなアプローチがあると思いますが、基本は、体の機能を「元に戻す」ということにあります。ゆなさんの場合、どこに問題があるか、ご検討いただき、適切な治療を行っておられる鍼灸院をお選びになるとよいと存じます。
2011.1.14
専門医Q&A 漢方・鍼灸
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鍼灸や骨盤矯正
ゆなさん(27歳)クロミッド→hcg→デュファストンでタイミングをとり始めてもうすぐ一年経ちます。 春から人工受精にステップアップする予定です。 元々、冷え症もあり以前接骨院に行った際、『骨盤が歪んでる(ずれてる?)』とも言われ体質改善のため鍼灸や骨盤矯正をしてみようかと思ってます。 そこでお聞きしたいのですが、この時期はやめた方がいいとかありますか? 例えば排卵期や生理中は避けた方がいいとか、どんな事でも構いませんので教えて下さい。 神薗克也 先生 (鍼灸治療室 翠明館) 当院に来院されている患者のうち9割以上は女性。しかも、その7割以上は不妊治療の方。一般に鍼灸治療は、腰痛や肩こりの治療と思われがちですが、実は、婦人科系や内科系の疾患にとても有効な治療方法なのですね。腰痛や肩こりで悩んでいる方と同じくらいに、婦人科系や内科系の症状で悩んでいる方は大勢います。内臓の不調からきている腰痛や肩こり、頭痛もありますので、そういう方には内臓の機能を整えないと、すっきりと治りません。特に、女性の場合は、ホルモンバランスによって多種多様な症状が現れます。 当院では、全身のアンバランスを整えていく治療をしていますので、体の様々な不調がすっきりとなくなっていきます。生理不順の延長線上に不妊症があり、さらにその延長線上に更年期障害があります。生理を整えることが、すなわち女性の健康を保つポイントなのですね。是非一度、体に優しい自然な治療方法の鍼灸治療をお試しください。 ≫ 鍼灸治療室 翠明館こんにちは、ゆなさん! 翠明館治療室の神薗といいます。 体質改善のために鍼灸を始めようと考えているようですね。 とても良いことだと思います。 冷え性とのことですが、確かに冷えがあると、血液の循環が悪くなり、 それに伴ってホルモンの循環も悪くなってしまいます。 結果的に、卵巣や子宮がうまく機能してくれなくなってしまうのですね。冷えは、女性の大敵です。 鍼灸を始めるうえで、特にこの時期を避けた方がいいというのはありませんが、当院では、生理の前半は、鍼をすることで血液循環が良くなり、出血がいつもより多くなる場合がありますので、貧血症状のある方は、なるべく避けた方が良いですよ、とお伝えしています。 もちろん、生理期間が短くて、経量も少ないという人の場合は、問題はありません。 それから、風邪を引いて、体温が38度以上ある場合や精神的に不安感があるとき、血圧が高い場合や低い場合など症状がある場合は避けてください。 妊娠が分かった場合でも、鍼灸治療は差し支えありません。流産の防止やつわり症状の改善、安定期以降は安産のためなどの効果があります。 初めて鍼治療をするときは、何かと不安感が付きまとうと思いますので、そういう場合は、はっきりと鍼灸師に伝えましょう。 鍼灸治療で体を整えて、一日でも早く良い結果を得ることを願っています。
2011.1.14
専門医Q&A 漢方・鍼灸
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鍼灸や骨盤矯正
ゆなさん(27歳)クロミッド→hcg→デュファストンでタイミングをとり始めてもうすぐ一年経ちます。 春から人工受精にステップアップする予定です。 元々、冷え症もあり以前接骨院に行った際、『骨盤が歪んでる(ずれてる?)』とも言われ体質改善のため鍼灸や骨盤矯正をしてみようかと思ってます。 そこでお聞きしたいのですが、この時期はやめた方がいいとかありますか? 例えば排卵期や生理中は避けた方がいいとか、どんな事でも構いませんので教えて下さい。 水野裕章 先生 (北斗鍼灸院) ~不妊治療、ベビ待ちでお悩みの方へ~ 専門病院だけで、なかなか成果が出ない方、専門病院には行ってはいないけど悩んでいる方、立ち止まっていないで当院に来て下さい。 2011年9月14日現在不妊治療の患者様の通因数は、70人を超えています。 西は浜松、東は富士方面からも来院されています。 県内では、おそらく鍼灸院として一番不妊治療の患者様が多いです。 当院の考えは、東洋医学にこだわらず西洋医学と上手に手を組み専門病院で治療を受けられている方は、その成果が十分に引き出せるような治療を提供し又、まだ専門病院へは行かれていない方の場合専門病院での診察、治療の必要性を少しずつ患者様にお伝えし検査だけでもちゃんとした病院でしてもらいその上で、患者様と一緒にどのような治療がベストかを考えながら治療をしていくと言う考えです。 その他、特に日常生活の改善にも力を入れています。 ≫ 北斗鍼灸院はじめまして北斗鍼灸院 院長の水野です。 腕のいい鍼灸師なら問題解決してくれますよ。 いつ骨盤矯正していいかというと別に妊娠してなければいつでも良いでしょうね。 だいたい、骨盤矯正は自分でくせを治さなければほとんど意味ないと私は思います。 それに、骨盤矯正しなくても妊娠は可能ですし、妊娠とはあまり関係ないというのが私の考えです。
2011.1.14
専門医Q&A 漢方・鍼灸
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アッシャーマン症候群
「最近、生理の量が少なくなったような気がするんですけど、また癒着してしまう事もあるんでしょうか。それと、弓状子宮だと妊娠は難しいでしょうか。」
2011.1.12
専門医Q&A 女性の健康
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流産後と筋腫
「筋腫があるのであと数カ月たってからまた婦人科に行って大きくなっていないか見てもらった方が良いでしょうか?」
2010.12.24
専門医Q&A 女性の健康
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いきなり体外受精から始めるしかないのでしょうか?
「普通40代ですとすぐに体外受精をすすめるものなのでしょうか?今のクリニックではそれ以外に選択肢はないと言われています。」
2010.12.23
専門医Q&A 女性の健康
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布ナプキンが教えてくれる私の体と向き合う大切さ
心理カウンセラー たんの ゆきさん ワークショップや個人カウンセラーで、さまざまな依存症や、不妊に悩むカウンセリングを実施。東京・自由が丘の陣内ウィメンズクリニックの専任心理カウンセラーでもあります。著書に「どうしても、ギャンブルをやめられなくなったら読む本」。 最近、生理の時、布ナプキンを使い始めている人が増えています。従来のナプキンにくらべ、肌ざわりがずっと優しい布ナプキン。 陣内ウィメンズクリニックの専任心理カウンセラーであり、ご自身でも布ナプキンを愛用している、たんの ゆきさんにお話を伺いました。 「あったかい!」布ナプキンの魅力 「生理痛やPMS(月経前症候群)に悩んでいる女性に、何か外からの働きかけができないか、と調べている時に布ナプキンに出会いました」 以来、ご自身でも6年間、布ナプキンの愛用者という、たんのさん。布ナプキンを初めて使った時、肌触りがとても柔らかいことと同時に、驚くほどの温かさを感じたそうです。 「あったかい、というのは私だけでなく、実際に布ナプキンを使っていらっしゃる多くの方が感じているようです」 実は、従来のナプキンには体を冷やしてしまう理由があるのです。月経血のモレを防ぐために、ナプキンには高分子吸収体が使われ、その機能はどんどん高まっています。けれど、水分が吸収されたままのナプキンは、いわば発熱時に使う冷却材のようなもの、冷たいナプキンが体に直接触れていれば、体も冷えてしまうはずです。 「気付かないうちに体を冷やしてしまっていたことを、布ナプキンが教えてくれました。生理痛や不妊の原因にもなりかねない冷えを解消したいと思っている方には、ぜひ布ナプキンを試してみてほしいです」 布ナプキンで否定感をなくし生理を楽しもう 「生理に対して、また女性という性に対して否定官が強いほど、生理痛などが重くなりやすい傾向があります」 その否定感を少しでも取り除くことに役立つのが布ナプキンという、たんのさん。柔らかで自然な素材だから、肌に対するストレスが軽減されます。さらに、布ナプキンにはかわいい柄がたくさんあるので、お気に入りを選ぶことで、生理時の気分も楽しく変わるのだそうです。使い捨てないという点で、エコに貢献しているというのも、生理の時の沈みがちが気持ちをを明るくしてくれます。 さて、女性の生理に関して、とても興味深いお話を、たんのさんに教えてもらいました。 それは、月経血のコントロールの話。昔の女性は体を上手に緩めたり、締めたりすることで、出したい時に出す、という月経血のコントロールができていたそうです。機能性の高いナプキンの登場で、その機能はすっかり忘れられていますが、自分でコントロールできれば、生理痛も軽減できるし、外出時のストレスもどれほど軽くなることか! 「布ナプキンを使うようになってから、少しずつ、そのコントロールができるようになっているのを感じるんです」 ストレスを感じさせない布ナプキンには、女性の体が持って生まれた機能を呼び覚ます作用も期待できます。 「モレの心配はありませんが、不安な方はいえにいる時や月経血の少ない生理期後半から使うのがおすすめす。初めのうちは、従来のナプキンの上に重ねて使っても、肌触りのよさや温かさを実感できますよ」 Jinekoおすすめ サニーデイズの布ナプキン4つの優しいトコロ 1 シンプルで使いやすい! ジネコがおすすめするのは、シンプルで使いやすいサイニーデイズの布ナプキン。ひし形タイプとプレーンタイプ、どちらもスナップボタン付きで、コレ一つで使えます。汚れた面を内側にして小さくたたむことができのも嬉しい。 2 機能的でモレも安心! 抜群の吸収力のネルとパイル素材を何枚も重ねた構造だから、モレの心配は不要。全面に防水シートが入っているタイプもあります。羽根付きだからズレも安心。内部でしっかり縫い合わせているので、洗濯しても大丈夫! 3 優しい肌触りが心地いい! 肌に触れる素材は、モダールとネルの2種類。モダールはほおずりしたくなるような、柔らかくなめらかな素材です。ネルは、細かい目の生地にさらにふんわり起毛加工がされいています。また、内部に入っているパイル素材が布ナプキンのふわふわ感を出しています。 4 楽しくなるような可愛さ! 生理の時の沈みがちな気分も、可愛いデザインのナプキンなら、着けていても嬉しい気分になれるはず。大人の女性が使いたくなるシンプル&ナチュラルなデザインを基本に、季節によって新しいデザインが登場します。 心理カウンセラー たんの ゆきさん ワークショップや個人カウンセラーで、さまざまな依存症や、不妊に悩むカウンセリングを実施。東京・自由が丘の陣内ウィメンズクリニックの専任心理カウンセラーでもあります。著書に「どうしても、ギャンブルをやめられなくなったら読む本」。 最近、生理の時、布ナプキンを使い始めている人が増えています。従来のナプキンにくらべ、肌ざわりがずっと優しい布ナプキン。 陣内ウィメンズクリニックの専任心理カウンセラーであり、ご自身でも布ナプキンを愛用している、たんの ゆきさんにお話を伺いました。 「あったかい!」布ナプキンの魅力 「生理痛やPMS(月経前症候群)に悩んでいる女性に、何か外からの働きかけができないか、と調べている時に布ナプキンに出会いました」 以来、ご自身でも6年間、布ナプキンの愛用者という、たんのさん。布ナプキンを初めて使った時、肌触りがとても柔らかいことと同時に、驚くほどの温かさを感じたそうです。 「あったかい、というのは私だけでなく、実際に布ナプキンを使っていらっしゃる多くの方が感じているようです」 実は、従来のナプキンには体を冷やしてしまう理由があるのです。月経血のモレを防ぐために、ナプキンには高分子吸収体が使われ、その機能はどんどん高まっています。けれど、水分が吸収されたままのナプキンは、いわば発熱時に使う冷却材のようなもの、冷たいナプキンが体に直接触れていれば、体も冷えてしまうはずです。 「気付かないうちに体を冷やしてしまっていたことを、布ナプキンが教えてくれました。生理痛や不妊の原因にもなりかねない冷えを解消したいと思っている方には、ぜひ布ナプキンを試してみてほしいです」 布ナプキンで否定感をなくし生理を楽しもう 「生理に対して、また女性という性に対して否定官が強いほど、生理痛などが重くなりやすい傾向があります」 その否定感を少しでも取り除くことに役立つのが布ナプキンという、たんのさん。柔らかで自然な素材だから、肌に対するストレスが軽減されます。さらに、布ナプキンにはかわいい柄がたくさんあるので、お気に入りを選ぶことで、生理時の気分も楽しく変わるのだそうです。使い捨てないという点で、エコに貢献しているというのも、生理の時の沈みがちが気持ちをを明るくしてくれます。 さて、女性の生理に関して、とても興味深いお話を、たんのさんに教えてもらいました。 それは、月経血のコントロールの話。昔の女性は体を上手に緩めたり、締めたりすることで、出したい時に出す、という月経血のコントロールができていたそうです。機能性の高いナプキンの登場で、その機能はすっかり忘れられていますが、自分でコントロールできれば、生理痛も軽減できるし、外出時のストレスもどれほど軽くなることか! 「布ナプキンを使うようになってから、少しずつ、そのコントロールができるようになっているのを感じるんです」 ストレスを感じさせない布ナプキンには、女性の体が持って生まれた機能を呼び覚ます作用も期待できます。 「モレの心配はありませんが、不安な方はいえにいる時や月経血の少ない生理期後半から使うのがおすすめす。初めのうちは、従来のナプキンの上に重ねて使っても、肌触りのよさや温かさを実感できますよ」 Jinekoおすすめ サニーデイズの布ナプキン4つの優しいトコロ 1 シンプルで使いやすい! ジネコがおすすめするのは、シンプルで使いやすいサイニーデイズの布ナプキン。ひし形タイプとプレーンタイプ、どちらもスナップボタン付きで、コレ一つで使えます。汚れた面を内側にして小さくたたむことができのも嬉しい。 2 機能的でモレも安心! 抜群の吸収力のネルとパイル素材を何枚も重ねた構造だから、モレの心配は不要。全面に防水シートが入っているタイプもあります。羽根付きだからズレも安心。内部でしっかり縫い合わせているので、洗濯しても大丈夫! 3 優しい肌触りが心地いい! 肌に触れる素材は、モダールとネルの2種類。モダールはほおずりしたくなるような、柔らかくなめらかな素材です。ネルは、細かい目の生地にさらにふんわり起毛加工がされいています。また、内部に入っているパイル素材が布ナプキンのふわふわ感を出しています。 4 楽しくなるような可愛さ! 生理の時の沈みがちな気分も、可愛いデザインのナプキンなら、着けていても嬉しい気分になれるはず。大人の女性が使いたくなるシンプル&ナチュラルなデザインを基本に、季節によって新しいデザインが登場します。
2010.12.21
コラム くらし
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野田聖子さんと民主党本部に聞いてみました2
野田聖子さんと民主党本部に聞いてみました1 ┃ 野田聖子さんと民主党本部に聞いてみました2 先ほど、少子化のなかでとおっしゃいましたが、さまざまな少子化対策のなかで、不妊治療はどのような位置にあると考えられますか。 野田●不妊治療というのは、医療や病気という枠の話ではないと考えています。日本という国は天然資源がなく、人的資源によって国の経営が成り立っています。ゆえに良質で、多数の人間の存在が重要になるわけです。不妊治療により生まれる子どもがどんどん増えれば、国が成長できると考えるべきです。ですから先ほどから申し上げてきたように、不妊治療の問題は、少子化対策の一つなのです。 今こそ、見直したい不妊治療への意識を 不妊治療を受けている当事者のみなさんにとって、思いを共有できる政治家がいること、そして精力的に活躍されていることはとても心強いと思います。ご自身の体験をふまえ、不妊治療はどうあるべきか、今後の展望をお聞かせください。 野田●民主党がマニフェストに不妊治療の問題を明記した時代だからこそ、不妊治療は、“進化”しなければいけないと思います。それは技術の問題だけではなく、治療を受ける当事者や私たちの意識の問題です。私は不妊治療のゴールは、不妊の人たちがたとえ自分が産めなくても、出会った子どもを実子として育てるというところまでいかれればと考えています。しかし一方でこの国の特徴として、血のつながりや家族制度を重んじるために、厳しい現実に直面している家族もたくさんいます。たとえば代理母を選んだ向井亜紀さんの子どもたちは実子とならず、私がもし卵子提供を受けて子どもを産めば、血のつながりがなくても実子となります。こうした課題も、民主党と協力しながら解決できればと思います。不妊治療とは血のつながりを残すためだけのものではなく、国の将来を支える人間を作る、大事な社会貢献なのだという意識に社会全体が“進化”すれば、もはや、不妊治療はネガティブなものではありません。今こそ、不妊治療をみんなで支える、明るさと環境が欲しい時代ですね。 民主党マニフェスト「不妊治療医療保険適用」どこまで進んでいるの? 『ジネコ』では民主党のマニフェスト「不妊治療医療保険適用」問題がどこまで進んでいるか、民主党事務局の厚生労働担当者にお聞きしたところ、「現在、不妊治療の保険適用については厚生労働省内で検討を進めており、『ジネコ』2010 年春号(3 月1日配本)で、改めて厚生労働省に確認してください」との返事をいただきました。主に医療改革を担当している厚生労働大臣政務官の足立信也参議院議員は、医学博士でもあります。民主党医療政策は、こちらをご覧下さい(http://www.dpj.or.jp/policy/koseirodou/pdf/090731medic.pdf [PDF])。『ジネコ』2010 年春号では引き続き「不妊治療医療保険適用」問題について取り組みます。乞う、ご期待ください。 野田聖子さんと民主党本部に聞いてみました1 ┃ 野田聖子さんと民主党本部に聞いてみました2 野田聖子さんと民主党本部に聞いてみました1 ┃ 野田聖子さんと民主党本部に聞いてみました2 先ほど、少子化のなかでとおっしゃいましたが、さまざまな少子化対策のなかで、不妊治療はどのような位置にあると考えられますか。 野田●不妊治療というのは、医療や病気という枠の話ではないと考えています。日本という国は天然資源がなく、人的資源によって国の経営が成り立っています。ゆえに良質で、多数の人間の存在が重要になるわけです。不妊治療により生まれる子どもがどんどん増えれば、国が成長できると考えるべきです。ですから先ほどから申し上げてきたように、不妊治療の問題は、少子化対策の一つなのです。 今こそ、見直したい不妊治療への意識を 不妊治療を受けている当事者のみなさんにとって、思いを共有できる政治家がいること、そして精力的に活躍されていることはとても心強いと思います。ご自身の体験をふまえ、不妊治療はどうあるべきか、今後の展望をお聞かせください。 野田●民主党がマニフェストに不妊治療の問題を明記した時代だからこそ、不妊治療は、“進化”しなければいけないと思います。それは技術の問題だけではなく、治療を受ける当事者や私たちの意識の問題です。私は不妊治療のゴールは、不妊の人たちがたとえ自分が産めなくても、出会った子どもを実子として育てるというところまでいかれればと考えています。しかし一方でこの国の特徴として、血のつながりや家族制度を重んじるために、厳しい現実に直面している家族もたくさんいます。たとえば代理母を選んだ向井亜紀さんの子どもたちは実子とならず、私がもし卵子提供を受けて子どもを産めば、血のつながりがなくても実子となります。こうした課題も、民主党と協力しながら解決できればと思います。不妊治療とは血のつながりを残すためだけのものではなく、国の将来を支える人間を作る、大事な社会貢献なのだという意識に社会全体が“進化”すれば、もはや、不妊治療はネガティブなものではありません。今こそ、不妊治療をみんなで支える、明るさと環境が欲しい時代ですね。 民主党マニフェスト「不妊治療医療保険適用」どこまで進んでいるの? 『ジネコ』では民主党のマニフェスト「不妊治療医療保険適用」問題がどこまで進んでいるか、民主党事務局の厚生労働担当者にお聞きしたところ、「現在、不妊治療の保険適用については厚生労働省内で検討を進めており、『ジネコ』2010 年春号(3 月1日配本)で、改めて厚生労働省に確認してください」との返事をいただきました。主に医療改革を担当している厚生労働大臣政務官の足立信也参議院議員は、医学博士でもあります。民主党医療政策は、こちらをご覧下さい(http://www.dpj.or.jp/policy/koseirodou/pdf/090731medic.pdf [PDF])。『ジネコ』2010 年春号では引き続き「不妊治療医療保険適用」問題について取り組みます。乞う、ご期待ください。 野田聖子さんと民主党本部に聞いてみました1 ┃ 野田聖子さんと民主党本部に聞いてみました2
2010.12.16
コラム くらし
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野田聖子さんと民主党本部に聞いてみました1
野田聖子さんと民主党本部に聞いてみました1 ┃ 野田聖子さんと民主党本部に聞いてみました2 「不妊治療は国の経営に関わる社会の大きな柱です」 不妊治療に初めて、保険適用を明言 民主党が政権与党になりました。ジネコ読者にとって今、最大の関心事が、民主党がマニフェストに掲げた、不妊治療への保険適用です。この保険適用について、どう思われますか。 野田●とても画期的なことだと思います。何と言っても、初めて公約の中に不妊治療が登場し、保険適用が明言化されたのですから。10年以上、少子化や不妊治療の問題に取り組んできた私にとって、党の枠を越えて、とてもうれしいことです。ようやくこれで、第一歩が踏み出せるという思いですね。これまで私費で払うしかなかった不妊治療の費用は、1回の体外受精で通常、約50万円かかると言われ、大きな負担を患者さんに強いるものでした。保険適用になれば3割の負担で済みますから、患者さんはかなり楽になります。しかし、残りの7割を不妊に関係のない人が払うことになります。私はこれまで、不妊治療の保険適用について自民党内で働きかけをしてきましたが、実現できなかった理由の一つは、膨大な財源が必要だからでした。これに対し私は、?少子化対策の一環として、取り上げたらどうでしょう?と申し上げてきました。保険という形で国民にご負担いただく金額と、子どもが生まれてからの経済効果を天秤にかけたら、経済効果のほうが高いのではないかと。つまり?中長期的に見れば、保険の安定につながりますよ?と言ってきました。とはいえ、不妊治療を受けている人が実際どれだけいるかわからない状況に加え、不妊というメカニズムすら明らかになっていない現状をみれば、保険適用には時間がかかるな、少しずつ保険の枠を増やしていくのがいいのかなとも考えています。 ジネコ読者の声を聞くと、保険適用について、もろ手を挙げての賛成だけではなく、不安の声もあります。 野田●それは、当然のことだと思います。不妊治療は、とてもデリケートなものです。保険適用により、精神的なプレッシャーがかかることも考えられます。例えば子どもがいなくてもいいと考えている夫婦を取り巻く環境が、治療を始めるようプレッシャーをかけてくることも想定されます。そして何より、ドクターのレベルの問題が心配です。初めに保険適用ありきだとすると、不適切な病院も参入してくるようになります。日本産婦人科学会に登録されている施設がすべて、不妊治療を行えるわけですから。現状では不妊治療を行う施設の基準もなく、また本当に技術のあるドクターなのか、把握ができていません。ですから初めに保険適用ありきではなく、まず必要なのは、日本の不妊治療の現場の調査や研究会を作り、根本的な問題を解決することではないかと考えています。私はこれまでの取り組みや経験から、不妊治療の医療制度は前進させなければいけない問題だと強く思っていますので、党派を越えて協力していきたいですね。 負担が軽くなることへのジネコ読者の期待は大きいです。しかし病院を選ぶ側の読者にとって、治療レベルや取り組みに不安もあります。 野田●私は今、アメリカの不妊治療を勉強しているのですが、アメリカでは体外受精を3、4回やっても妊娠が無理な場合、次に卵子提供に移るということが、システムとして確立されています。私自身の経験から言えば、体外受精を重ねることが、果たしていいことなのかという思いがあります。私もそうでしたが、毎回不安との葛藤で治療のつらさから、精神的なダメージを引き起こす人も多いと思います。不妊治療は、肉体的にも精神的にもつらい治療です。それでも、子どもが欲しいからそのつらさに耐えているわけで、患者さんのそうしたつらさを思うデリカシーが、私はこの問題に関わる側にとても大切だと思います。保険があるから、何十回も体外受精をするのがいいかどうか、このあたりも今後の議論になると思いますね。とにかく今、必要なのは法律ではないでしょうか。患者さんが安心して治療を受けられるためにも、信頼できる治療環境を整備するための法律が不可欠です。これは、保険適用の前にしなければいけないことだと思います。 保険適用よりも、助成金制度での解決を 経済的な理由で、不妊治療を断念せざるを得ない夫婦がたくさんいるのも現実です。多額の費用がかかる、現在の不妊治療についてどう思われますか。 野田●不妊治療というのは、たとえば、風邪を引けばこの薬というのとまったく訳が違う、オーダーメードです。それを考えると立て替え、つまり助成金を満額出す制度を提案したいですね。たとえば1人につき5回まで、国が満額出すとか。私は数多く体外受精を行いましたが、今思うとそんなにやるべきだったのかと思うことがあります。自分の体を痛めつけることでもありますから。でも止め時という判断が、一番難しいのも事実です。保険適用により、費用的に、誰でも何回でもできるようになると、本人たちの精神的ダメージが激しく、離婚するカップルが増える懸念もあります。だからこそ不妊治療について、段階的なシステムを確立する必要があるのではないでしょうか。今の日本では飛躍的な意見かもしれませんが、将来的には私は卵子提供までOK、それも不妊治療の制度の枠にいれていかれればと思っています。これは欧米ではすでに取り入れられている制度です。最終的には代理母という、不妊治療に段階的なシステムを確立できればとも考えています。本当に子どもが欲しい夫婦であれば、その選択も一つの可能性として考えていくべきことだと思います。喜ばしいことは民主党のマニフェストが実現し、不妊治療が保険適用になれば、不妊治療自体がオープンになりますから、社会的に位置づけられるというメリットはあります。これはお金だけの問題ではなく、大事なのは、不妊治療を受け入れる社会を作ることです。隠れてではなく、堂々と不妊治療を受けられる社会を目指したいですね。 野田聖子さんと民主党本部に聞いてみました1 ┃ 野田聖子さんと民主党本部に聞いてみました2野田聖子さんと民主党本部に聞いてみました1 ┃ 野田聖子さんと民主党本部に聞いてみました2 「不妊治療は国の経営に関わる社会の大きな柱です」 不妊治療に初めて、保険適用を明言 民主党が政権与党になりました。ジネコ読者にとって今、最大の関心事が、民主党がマニフェストに掲げた、不妊治療への保険適用です。この保険適用について、どう思われますか。 野田●とても画期的なことだと思います。何と言っても、初めて公約の中に不妊治療が登場し、保険適用が明言化されたのですから。10年以上、少子化や不妊治療の問題に取り組んできた私にとって、党の枠を越えて、とてもうれしいことです。ようやくこれで、第一歩が踏み出せるという思いですね。これまで私費で払うしかなかった不妊治療の費用は、1回の体外受精で通常、約50万円かかると言われ、大きな負担を患者さんに強いるものでした。保険適用になれば3割の負担で済みますから、患者さんはかなり楽になります。しかし、残りの7割を不妊に関係のない人が払うことになります。私はこれまで、不妊治療の保険適用について自民党内で働きかけをしてきましたが、実現できなかった理由の一つは、膨大な財源が必要だからでした。これに対し私は、?少子化対策の一環として、取り上げたらどうでしょう?と申し上げてきました。保険という形で国民にご負担いただく金額と、子どもが生まれてからの経済効果を天秤にかけたら、経済効果のほうが高いのではないかと。つまり?中長期的に見れば、保険の安定につながりますよ?と言ってきました。とはいえ、不妊治療を受けている人が実際どれだけいるかわからない状況に加え、不妊というメカニズムすら明らかになっていない現状をみれば、保険適用には時間がかかるな、少しずつ保険の枠を増やしていくのがいいのかなとも考えています。 ジネコ読者の声を聞くと、保険適用について、もろ手を挙げての賛成だけではなく、不安の声もあります。 野田●それは、当然のことだと思います。不妊治療は、とてもデリケートなものです。保険適用により、精神的なプレッシャーがかかることも考えられます。例えば子どもがいなくてもいいと考えている夫婦を取り巻く環境が、治療を始めるようプレッシャーをかけてくることも想定されます。そして何より、ドクターのレベルの問題が心配です。初めに保険適用ありきだとすると、不適切な病院も参入してくるようになります。日本産婦人科学会に登録されている施設がすべて、不妊治療を行えるわけですから。現状では不妊治療を行う施設の基準もなく、また本当に技術のあるドクターなのか、把握ができていません。ですから初めに保険適用ありきではなく、まず必要なのは、日本の不妊治療の現場の調査や研究会を作り、根本的な問題を解決することではないかと考えています。私はこれまでの取り組みや経験から、不妊治療の医療制度は前進させなければいけない問題だと強く思っていますので、党派を越えて協力していきたいですね。 負担が軽くなることへのジネコ読者の期待は大きいです。しかし病院を選ぶ側の読者にとって、治療レベルや取り組みに不安もあります。 野田●私は今、アメリカの不妊治療を勉強しているのですが、アメリカでは体外受精を3、4回やっても妊娠が無理な場合、次に卵子提供に移るということが、システムとして確立されています。私自身の経験から言えば、体外受精を重ねることが、果たしていいことなのかという思いがあります。私もそうでしたが、毎回不安との葛藤で治療のつらさから、精神的なダメージを引き起こす人も多いと思います。不妊治療は、肉体的にも精神的にもつらい治療です。それでも、子どもが欲しいからそのつらさに耐えているわけで、患者さんのそうしたつらさを思うデリカシーが、私はこの問題に関わる側にとても大切だと思います。保険があるから、何十回も体外受精をするのがいいかどうか、このあたりも今後の議論になると思いますね。とにかく今、必要なのは法律ではないでしょうか。患者さんが安心して治療を受けられるためにも、信頼できる治療環境を整備するための法律が不可欠です。これは、保険適用の前にしなければいけないことだと思います。 保険適用よりも、助成金制度での解決を 経済的な理由で、不妊治療を断念せざるを得ない夫婦がたくさんいるのも現実です。多額の費用がかかる、現在の不妊治療についてどう思われますか。 野田●不妊治療というのは、たとえば、風邪を引けばこの薬というのとまったく訳が違う、オーダーメードです。それを考えると立て替え、つまり助成金を満額出す制度を提案したいですね。たとえば1人につき5回まで、国が満額出すとか。私は数多く体外受精を行いましたが、今思うとそんなにやるべきだったのかと思うことがあります。自分の体を痛めつけることでもありますから。でも止め時という判断が、一番難しいのも事実です。保険適用により、費用的に、誰でも何回でもできるようになると、本人たちの精神的ダメージが激しく、離婚するカップルが増える懸念もあります。だからこそ不妊治療について、段階的なシステムを確立する必要があるのではないでしょうか。今の日本では飛躍的な意見かもしれませんが、将来的には私は卵子提供までOK、それも不妊治療の制度の枠にいれていかれればと思っています。これは欧米ではすでに取り入れられている制度です。最終的には代理母という、不妊治療に段階的なシステムを確立できればとも考えています。本当に子どもが欲しい夫婦であれば、その選択も一つの可能性として考えていくべきことだと思います。喜ばしいことは民主党のマニフェストが実現し、不妊治療が保険適用になれば、不妊治療自体がオープンになりますから、社会的に位置づけられるというメリットはあります。これはお金だけの問題ではなく、大事なのは、不妊治療を受け入れる社会を作ることです。隠れてではなく、堂々と不妊治療を受けられる社会を目指したいですね。 野田聖子さんと民主党本部に聞いてみました1 ┃ 野田聖子さんと民主党本部に聞いてみました2
2010.12.16
コラム くらし
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だしのおいしさを存分に味わう
知れば知るほど奥深い だし 本格派のだしのおいしさは、その味だけではありません。だしを取る過程から、ふわっと鼻先をくすぐる魅力的な香りに食欲もそそられます。香り豊かなだしを利かせたおすすめ料理を紹介します。 京風だしたまうどん だし本来のおいしさを味わうなら、おすすめは京風うどんです。こんぶとかつお節の合わせだしをベースに、薄く味付けしたうどんつゆは、香り豊かでだしの風味が際立ちます。 その京風うどんに、だしをたっぷり含んだ卵をからめた「だしたまうどん」は、つゆに卵に、だしのおいしさがダブルで味わえます。 一般的なかきたまうどんとはひと味違うので、ぜひお試し下さい。 レシピ ■材料(2 人分) こんぶとかつお節の合わせだし 3カップ 淡口しょうゆ 大さじ2 1/2 みりん 大さじ2 卵 2個 冷凍うどん(ゆでめんでも乾めんでもよい) 2玉 万能ねぎ 2本 ■作り方 1.ボウルに卵をときほぐし、万能ねぎは斜め切りにする。 2.だしを温め、淡口しょうゆとみりんで味をととのえる。 3.うどんは沸騰した湯に入れて温めて器に入れる。 4.だしを1カップほど別の鍋にとって火にかけて沸騰させ、卵をかき混ぜながら注ぎ入れ、菜箸で大きくゆっくりかき混ぜる。 5.器にだしを注ぎ、4の卵をのせて万能ねぎを散らす。お好みで七味や粉山椒をふって。 point “だしたま”は、必ずうどんの鍋とは別の鍋で作ります。煮立てただしに溶き卵を流し入れたら、菜箸でゆっくり5 回かき混ぜます。だし入りのスクランブルエッグを作るような感覚で混ぜて。 “だし”を利かせて、調味だれを作ろう! こんぶとかつお節の合わせだしを作って、寄せ鍋やしゃぷしゃぶに欠かせないポン酢や、湯豆腐のだししょうゆなど、調味たれを手作りしてみてはいかが。だしを加えると調味たれがまろやかに、奥深い味わいに変わります。 知れば知るほど奥深い だし 本格派のだしのおいしさは、その味だけではありません。だしを取る過程から、ふわっと鼻先をくすぐる魅力的な香りに食欲もそそられます。香り豊かなだしを利かせたおすすめ料理を紹介します。 京風だしたまうどん だし本来のおいしさを味わうなら、おすすめは京風うどんです。こんぶとかつお節の合わせだしをベースに、薄く味付けしたうどんつゆは、香り豊かでだしの風味が際立ちます。 その京風うどんに、だしをたっぷり含んだ卵をからめた「だしたまうどん」は、つゆに卵に、だしのおいしさがダブルで味わえます。 一般的なかきたまうどんとはひと味違うので、ぜひお試し下さい。 レシピ ■材料(2 人分) こんぶとかつお節の合わせだし 3 カップ 淡口しょうゆ 大さじ2 1/2 みりん 大さじ2 卵 2 個 冷凍うどん(ゆでめんでも乾めんでもよい) 2 玉 万能ねぎ 2 本 ■作り方 ボウルに卵をときほぐし、万能ねぎは斜め切りにする。 だしを温め、淡口しょうゆとみりんで味をととのえる。 うどんは沸騰した湯に入れて温めて器に入れる。 だしを1カップほど別の鍋にとって火にかけて沸騰させ、卵をかき混ぜながら注ぎ入れ、菜箸で大きくゆっくりかき混ぜる。 器にだしを注ぎ、4の卵をのせて万能ねぎを散らす。お好みで七味や粉山椒をふって。 point “だしたま”は、必ずうどんの鍋とは別の鍋で作ります。煮立てただしに溶き卵を流し入れたら、菜箸でゆっくり5 回かき混ぜます。だし入りのスクランブルエッグを作るような感覚で混ぜて。 “だし”を利かせて、調味だれを作ろう! こんぶとかつお節の合わせだしを作って、寄せ鍋やしゃぷしゃぶに欠かせないポン酢や、湯豆腐のだししょうゆなど、調味たれを手作りしてみてはいかが。だしを加えると調味たれがまろやかに、奥深い味わいに変わります。
2010.12.15
コラム くらし
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だし取りを極める
知れば知るほど奥深い だし 良質なだし素材を選んでも、 だしの取り方を間違えたら台なしです。 板前さんが〝命”と呼ぶ「だし取り」。 プロの技を紹介します。 こんぶとかつお節の合わせだし だしは地方によって好みが異なりますが、もっとも一般的に利用されるのが、こんぶとかつお節の合わせだしです。 こんぶのうまみ成分、グルタミン酸と、かつお節のうまみ成分、イノシン酸が合わさると、うまみがぐんと増えることから、インパクトのあるおいしさが引き出せます。 どんな料理にも利用できるので、家庭料理でもこのだしを基本にするのがおすすめです。こんぶもかつお節も、低い温度から加えること、そして強火で煮込まないことが、 うまみを引き出すポイントです。 こんぶは洗わずに乾いた布で軽く汚れを拭く。 point こんぶの表面の白い粉は、うまみ成分のグルタミン酸です。絶対に洗い流さないように! 早くやわらかくなるように、とこんぶに切り込みを入れる人がいますが、これはダメ。ぬめりが出やすくなってしまうので。鍋に入るサイズにカットしたら、そのまま使います。 鍋にこんぶを入れ、水を加えて弱火にかける。 沸騰する直前で。こんぶを取り出す。こんぶだしとして利用する場合は、ここでストップ。 point 70℃を超すと、こんぶのぬめりが出やすくなるので、必ず沸騰直前に取り出して。 こんぶを取り出したら、一度鍋を火からおろし、水1カップを注いでだし汁の温度を下げる。かつお節のみのだしを取る場合は、水を火にかけ、一度煮立てた後、合わせだしと同様に水を加えて湯温を下げる。 point かつお節も低めの温度からゆっくりうまみを抽出するのが基本。 火を止めた状態でかつお節を加える。 かつお節が自然に沈むまで待つ。 かつお節が沈んだら中火にかけ、一煮立ちさせる。 point ぐらぐらっと煮たった瞬間に、火を止めて。良質なかつお節ほど、沸騰させると風味が飛びやすくなります。 金ざるに一度ぬらして固く絞った布巾をかぶせ、7を流しこんで漉す。 プロの技 こんぶは低温の水に浸し、ゆっくり時間をかけてやわらかくすると、純粋なうまみ成分が抽出できます。プロの料理人は、前日の夜から水に浸し、使う際に火にかけ、沸騰する前にこんぶを取り出します。この方法だと、きれいに澄んだ、あっさりした味のだしが取れます。 いりこだし カタクチイワシを煮て干したものがいりこです。味、香りともに強いだしが取れ、関西方面で特に好まれるだしです。苦味やえぐみのもとになる頭とはらわたを 丁寧に取り除くと、おいしだしが摂れます。いりこは、背が黒く、腹との境がくっきりしたものが新鮮。腹が黄色くなっているのは、古くなって油焼けしたものです。 いりこは、頭を取り、腹を割って黒い部分を取り除く。黒い部分がはらわた。頭をちぎるときにそっと引き抜くと、同時にはらわたが取れることもある。 point 純粋なおいしさを引き出すためには、面倒でも頭とはらわたを取り除く作業をすることが大切。朝など時間のないときは、前の晩にこの作業をしておくのがおすすめです。 鍋にいりこを入れて水を加え、いりこが自然に沈むまで待つ。 鍋を中火にかけ、アクが浮いてきたら丁寧に取り除く。 沸騰してきたら、すぐに火を止める。みそ汁を作るときは、いりこを取り除き、再び火にかけて一度沸騰させ、弱火にしてからみそを加え、沸騰直前に火を止める。 point いりこだしの場合も、煮立てないことが大切です。煮立てるとえぐみが出やすくなり、魚臭くなってしまうので気をつけて。 プロの技 こんぶと同様、いりこも水だけでだしを取ることができます。これを水だしといい、澄んだ味わいのおいしいだしになります。前の晩から水に浸しておけば、朝の準備もラク。夏は冷蔵庫に入れて。 シイタケだし シイタケをはじめとするきのこ類には、うまみ成分のグアニル酸が含まれていますが、特にシイタケはその量が豊富です。だしを取るためだけに利用することは 少なく、干しシイタケを煮物などに利用するときに、戻した汁にこんぶやかつお節を加えてだしとして使います。独特の香りと風味は、料理に個性的な味わいを 添えてくれます。 ボウルに水を入れ、干しシイタケは洗わず、刷毛などで汚れを落として加える。小皿などを落としぶたにして、シイタケがちゃんと水に浸るようにする。 point シイタケは軸の部分にもちゃんとうまみ、風味があります。軸を取り除かないように。料理する際も、カサの部分とは違う食感が楽しめるので、ぜひ利用して。 ラップをして、冷蔵庫でひと晩ねかせる。使うときに、金ざるに一度ぬらして固く絞った布巾をかぶせ、だし汁を流し入れて漉す。 point シイタケだしは、特に温度を低くして、ゆっくりとうまみを抽出させます。室温ではなく、冷蔵庫に入れるのがおすすめ。 知れば知るほど奥深い だし 良質なだし素材を選んでも、 だしの取り方を間違えたら台なしです。 板前さんが〝命”と呼ぶ「だし取り」。 プロの技を紹介します。 こんぶとかつお節の合わせだし だしは地方によって好みが異なりますが、もっとも一般的に利用されるのが、こんぶとかつお節の合わせだしです。 こんぶのうまみ成分、グルタミン酸と、かつお節のうまみ成分、イノシン酸が合わさると、うまみがぐんと増えることから、インパクトのあるおいしさが引き出せます。 どんな料理にも利用できるので、家庭料理でもこのだしを基本にするのがおすすめです。こんぶもかつお節も、低い温度から加えること、そして強火で煮込まないことが、 うまみを引き出すポイントです。 こんぶは洗わずに乾いた布で軽く汚れを拭く。 point こんぶの表面の白い粉は、うまみ成分のグルタミン酸です。絶対に洗い流さないように! 早くやわらかくなるように、とこんぶに切り込みを入れる人がいますが、これはダメ。ぬめりが出やすくなってしまうので。鍋に入るサイズにカットしたら、そのまま使います。 鍋にこんぶを入れ、水を加えて弱火にかける。 沸騰する直前で。こんぶを取り出す。こんぶだしとして利用する場合は、ここでストップ。 point 70℃を超すと、こんぶのぬめりが出やすくなるので、必ず沸騰直前に取り出して。 こんぶを取り出したら、一度鍋を火からおろし、水1カップを注いでだし汁の温度を下げる。かつお節のみのだしを取る場合は、水を火にかけ、一度煮立てた後、合わせだしと同様に水を加えて湯温を下げる。 point かつお節も低めの温度からゆっくりうまみを抽出するのが基本。 火を止めた状態でかつお節を加える。 かつお節が自然に沈むまで待つ。 かつお節が沈んだら中火にかけ、一煮立ちさせる。 point ぐらぐらっと煮たった瞬間に、火を止めて。良質なかつお節ほど、沸騰させると風味が飛びやすくなります。 金ざるに一度ぬらして固く絞った布巾をかぶせ、7を流しこんで漉す。 プロの技 こんぶは低温の水に浸し、ゆっくり時間をかけてやわらかくすると、純粋なうまみ成分が抽出できます。プロの料理人は、前日の夜から水に浸し、使う際に火にかけ、沸騰する前にこんぶを取り出します。この方法だと、きれいに澄んだ、あっさりした味のだしが取れます。 いりこだし カタクチイワシを煮て干したものがいりこです。味、香りともに強いだしが取れ、関西方面で特に好まれるだしです。苦味やえぐみのもとになる頭とはらわたを 丁寧に取り除くと、おいしだしが摂れます。いりこは、背が黒く、腹との境がくっきりしたものが新鮮。腹が黄色くなっているのは、古くなって油焼けしたものです。 いりこは、頭を取り、腹を割って黒い部分を取り除く。黒い部分がはらわた。頭をちぎるときにそっと引き抜くと、同時にはらわたが取れることもある。 point 純粋なおいしさを引き出すためには、面倒でも頭とはらわたを取り除く作業をすることが大切。朝など時間のないときは、前の晩にこの作業をしておくのがおすすめです。 鍋にいりこを入れて水を加え、いりこが自然に沈むまで待つ。 鍋を中火にかけ、アクが浮いてきたら丁寧に取り除く。 沸騰してきたら、すぐに火を止める。みそ汁を作るときは、いりこを取り除き、再び火にかけて一度沸騰させ、弱火にしてからみそを加え、沸騰直前に火を止める。 point いりこだしの場合も、煮立てないことが大切です。煮立てるとえぐみが出やすくなり、魚臭くなってしまうので気をつけて。 プロの技 こんぶと同様、いりこも水だけでだしを取ることができます。これを水だしといい、澄んだ味わいのおいしいだしになります。前の晩から水に浸しておけば、朝の準備もラク。夏は冷蔵庫に入れて。 シイタケだし シイタケをはじめとするきのこ類には、うまみ成分のグアニル酸が含まれていますが、特にシイタケはその量が豊富です。だしを取るためだけに利用することは 少なく、干しシイタケを煮物などに利用するときに、戻した汁にこんぶやかつお節を加えてだしとして使います。独特の香りと風味は、料理に個性的な味わいを 添えてくれます。 ボウルに水を入れ、干しシイタケは洗わず、刷毛などで汚れを落として加える。小皿などを落としぶたにして、シイタケがちゃんと水に浸るようにする。 point シイタケは軸の部分にもちゃんとうまみ、風味があります。軸を取り除かないように。料理する際も、カサの部分とは違う食感が楽しめるので、ぜひ利用して。 ラップをして、冷蔵庫でひと晩ねかせる。使うときに、金ざるに一度ぬらして固く絞った布巾をかぶせ、だし汁を流し入れて漉す。 point シイタケだしは、特に温度を低くして、ゆっくりとうまみを抽出させます。室温ではなく、冷蔵庫に入れるのがおすすめ。
2010.12.13
コラム くらし
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知れば知るほど奥深い だし
知れば知るほど奥深い だし 和食の基本、ともいえる〝だし”。 実は〝だし”がおいしさの決め手だと、ご存じでしたか?板前さんが、丁寧に時間をかけてだしを取る、その理由を追求しました。 だしは日本が世界に誇れる食文化 人間が感じ取れる基本の味は、大きく 5つあります。甘み、塩味、酸み、苦み、そして最後の一つがうまみです。だしのおいしさとは、まさにこのうまみそのもの。日本人は昔からだしの味にこだわ り、繊細で、かつ力強い味わいを生み出すことで、野菜や豆腐、魚など、淡泊な素材のおいしさを引き出してきました。和食の基本、というよりももっと奥深 く、日本の食文化の根幹を支えているのがだしなのです。ちなみに、グルタミン酸やイノシン酸、グアニル酸といううまみ成分は、日本人によって発見されまし た。そのため、海外でも「umami」という日本語のまま、広く使われています。 だしのうまみは素材で変わる! だしの素材といえば、代表的なのは、こんぶ、かつお節、いりこ、干しシイタケの4つです。 それぞれうまみが微妙に異なるので、どの料理にどのだしが合うかを見極めるためにも、まずはだし素材の特徴を知っておくことが大切です。 だしのなかでも特に上品なうまみを持つのがかつお節です。かつお節に含まれるうまみの主成分はイノシン酸。それに20種類に及ぶアミノ酸が加わり、相乗効果でかつお節のうまみが生まれます。ちなみに魚の削り節だしには、鯖節やまぐろ節、マルソウダと呼ばれる宗田鰹を原料にした宗田節などがありますが、それぞれ強い個性を持つため、濃い味のそばつゆなどに使われます。香りの豊かさ、上品な味わいではかつお節が一番です。 かつお節と同じイノシン酸をうまみ成分に持つのが、いりこだしです。カタクチイワシの煮干しのことで、香ばしく、しっかりした味わいで、味噌など味の濃い調味料と合わせても、個性を発揮するため、よくみそ汁のだしに使われます。 あっさりとやさしい味わいが魅力なのがこんぶだしです。こんぶに含まれるうまみ成分はグルタミン酸。こんぶ100gの中に、グルタミン酸が2240mgも含まれています。おでんだしや鍋もののだし、炊き込みごはんなどによく使われます。 独特の味わいと香りを持つのが干しシイタケです。干しシイタケには、グアニル酸といううまみ成分がたっぷり含まれています。ほかのキノコ類にも含まれてい ますが、干しシイタケの含有量は圧倒的。強い個性を持つだしなので、逆に淡泊な素材と合わせて使うことが多いようです。お正月の煮しめやそうめんつゆなど によく利用されます。 相乗効果でだしのうまみは倍増! 「合わせだし」という言葉をよく耳にすると思います。合わせだしとは、だしの素材を複数利用したもの。とくにかつお節とこんぶを使った合わせだしが一般的です。この合わせだしには、すごい秘密が隠されているのです。かつお節に含まれるイノシン酸とこんぶに含まれるグルタミン酸を合わせると、うまみがぐっと増すことが研究の結果わかっています。 お母さんの母乳にはグルタミン酸がいっぱい! 生まれて初めてのうまみ成分との出合いは、なんと母乳なのです。母乳にはこんぶだしが持つうまみ成分、グルタミン酸が豊富に含まれています。生まれたばかりの赤ちゃんは、そのときすでに5つの基本味を識別できるのだそう。 生まれた直後からこんぶだしの味を堪能している赤ちゃん。その後も、本格的なだしを日常的に味わわせることで、まだ未熟である味覚がどんどん繊細に育ちます。離乳食にもだしを入れるのは、おいしさをより広く、深く感じとるレッスンとしても必須なのです。 だしが利いていれば味つけは薄くても満足 うまみ成分を豊富に含むだしを加えると、素材の味は奥深く、まろやかに感じられます。だしが素材そのもののおいしさまで引き出してくれるので、塩味や甘みなど、味つけが薄めでも、味覚的には十分おいしいと感じられます。塩分が気になる人は、だしを利かせて調理すれば、塩の使用を控えめにすることも可能。また、だしには深いコクがあるので、油脂の使用量が少なくても、インパクトのある味わいが得られます。だしを生かした和の料理をぜひ、健康維持のために役立てましょう。 知れば知るほど奥深い だし 和食の基本、ともいえる〝だし”。 実は〝だし”がおいしさの決め手だと、ご存じでしたか?板前さんが、丁寧に時間をかけてだしを取る、その理由を追求しました。 だしは日本が世界に誇れる食文化 人間が感じ取れる基本の味は、大きく 5つあります。甘み、塩味、酸み、苦み、そして最後の一つがうまみです。だしのおいしさとは、まさにこのうまみそのもの。日本人は昔からだしの味にこだわ り、繊細で、かつ力強い味わいを生み出すことで、野菜や豆腐、魚など、淡泊な素材のおいしさを引き出してきました。和食の基本、というよりももっと奥深 く、日本の食文化の根幹を支えているのがだしなのです。ちなみに、グルタミン酸やイノシン酸、グアニル酸といううまみ成分は、日本人によって発見されまし た。そのため、海外でも「umami」という日本語のまま、広く使われています。 だしのうまみは素材で変わる! だしの素材といえば、代表的なのは、こんぶ、かつお節、いりこ、干しシイタケの4つです。 それぞれうまみが微妙に異なるので、どの料理にどのだしが合うかを見極めるためにも、まずはだし素材の特徴を知っておくことが大切です。 だしのなかでも特に上品なうまみを持つのがかつお節です。かつお節に含まれるうまみの主成分はイノシン酸。それに20種類に及ぶアミノ酸が加わり、相乗効果でかつお節のうまみが生まれます。ちなみに魚の削り節だしには、鯖節やまぐろ節、マルソウダと呼ばれる宗田鰹を原料にした宗田節などがありますが、それぞれ強い個性を持つため、濃い味のそばつゆなどに使われます。香りの豊かさ、上品な味わいではかつお節が一番です。 かつお節と同じイノシン酸をうまみ成分に持つのが、いりこだしです。カタクチイワシの煮干しのことで、香ばしく、しっかりした味わいで、味噌など味の濃い調味料と合わせても、個性を発揮するため、よくみそ汁のだしに使われます。 あっさりとやさしい味わいが魅力なのがこんぶだしです。こんぶに含まれるうまみ成分はグルタミン酸。こんぶ100gの中に、グルタミン酸が2240mgも含まれています。おでんだしや鍋もののだし、炊き込みごはんなどによく使われます。 独特の味わいと香りを持つのが干しシイタケです。干しシイタケには、グアニル酸といううまみ成分がたっぷり含まれています。ほかのキノコ類にも含まれてい ますが、干しシイタケの含有量は圧倒的。強い個性を持つだしなので、逆に淡泊な素材と合わせて使うことが多いようです。お正月の煮しめやそうめんつゆなど によく利用されます。 相乗効果でだしのうまみは倍増! 「合わせだし」という言葉をよく耳にすると思います。合わせだしとは、だしの素材を複数利用したもの。とくにかつお節とこんぶを使った合わせだしが一般的です。この合わせだしには、すごい秘密が隠されているのです。かつお節に含まれるイノシン酸とこんぶに含まれるグルタミン酸を合わせると、うまみがぐっと増すことが研究の結果わかっています。 お母さんの母乳にはグルタミン酸がいっぱい! 生まれて初めてのうまみ成分との出合いは、なんと母乳なのです。母乳にはこんぶだしが持つうまみ成分、グルタミン酸が豊富に含まれています。生まれたばかりの赤ちゃんは、そのときすでに5つの基本味を識別できるのだそう。 生まれた直後からこんぶだしの味を堪能している赤ちゃん。その後も、本格的なだしを日常的に味わわせることで、まだ未熟である味覚がどんどん繊細に育ちます。離乳食にもだしを入れるのは、おいしさをより広く、深く感じとるレッスンとしても必須なのです。 だしが利いていれば味つけは薄くても満足 うまみ成分を豊富に含むだしを加えると、素材の味は奥深く、まろやかに感じられます。だしが素材そのもののおいしさまで引き出してくれるので、塩味や甘みなど、味つけが薄めでも、味覚的には十分おいしいと感じられます。塩分が気になる人は、だしを利かせて調理すれば、塩の使用を控えめにすることも可能。また、だしには深いコクがあるので、油脂の使用量が少なくても、インパクトのある味わいが得られます。だしを生かした和の料理をぜひ、健康維持のために役立てましょう。
2010.12.13
コラム くらし
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政党の方にお話をお聞きしました!
不妊治療と少子化対策について 政党の方にお話をお聞きしました! 民主党政権が掲げるマニフェストの一つに、不妊治療保険適用があります。 各政党が不妊治療や少子化対策についてどう考えているかは、『ジネコ』読者にとってはとても気になるところです。 そこで今回は4つの政党の方々にお話をお聞きしました。倶楽部ジネコでは、今後も他の党へも取材を続けていきます。 ゆとりある働き方、住まい方が可能な社会へ 子どもを産み、育んでよかったと思える社会を作るのが、政治の役目 自民党鴨下 一郎 さん 1949年生まれ。衆議院議員、医学博士。79年日本大学大学院医学研究科修了。81年より心療内科の開業医として心の病気の診療にあたる。93年衆議院議員選挙に日本新党より初当選。以降、当選6回。安倍改造内閣、福田内閣で環境大臣。現在、自民党政調会長代理。 民主党の子ども手当ですが、子どもに焦点を当てたという点で評価はできますが、5兆円もの巨額なお金を使って、効果があるのでしょうか。「2万6千円もらえるから、もう1人産もう」とは、おそらくならない。むしろ待機児童や職場環境、住環境など、他の要因を望む声がはるかに大きいのですから、少子化対策になっていないのでは。 景気対策といわれても、半分が貯金に回ってしまった場合は、世の中にお金が回らない。借金を増やして、最終的に今の子どもたちがツケを払うことになります。 これに対して自民党は、待機児童の解決、預かり保育の拡充などサービス面にかかる費用、給食費など学校の経費、医療費と子どもが健全に育つうえで必要な経費を、現物で支給しようという考えです。これなら100%子どもに行きますし、5兆円もの巨額なお金はいりません。 今、住宅ローンのキャピタル・ロスに苦しむサラリーマン家庭は疲弊するばかりで、子どもをつくろうという発想すら生まれません。通勤ラッシュに苦しむ9時~5時の働き方から、IT技術を生かした在宅勤務など、根本から働き方を変えていかないと。 ローン問題の解決を国がお手伝いし、週末は田舎に買った家で自然と暮らし、週に数日、出社するなど、ゆとりある住まい方ができる社会へ、発想を転換しないといけない。 子どもは3歳まで、安定的な養育者が必要です。そうした子育てが可能な社会にすることが、子育て支援であり、少子化対策。ゆとりある家庭を築き、子どもを産み、育んで、幸せだったと思える状況を作るのが、政治の役目だと思います。 不妊治療も技術だけにとらわれるのではなく、社会という視点は大事でしょう。保険適用は、どこまで給付するかの問題はありますが、広範に適用していけるよう、7月の参議院選挙のマニフェストで、重点項目として打ち出す方針でいます。 少子化対策の第一歩は女性の健康を社会でどう守るか 女性の性をきちんと位置づける社会があってこそ 社民党阿部 知子 さん 1948年生まれ。衆議院議員・小児科医。74年東京大学医学部卒業。小児科医として勤務後、99年、病院院長として管理者業務を経て、2000年衆議院議員選挙初当選。以後、当選3回。党政策審議会会長。 不妊治療を考える際、医療の技術に社会の仕組みが追いついているか、私はそこが一番の問題だと思います。そもそも日本において、女性の体=女性の一生の健康は、どのように受け止められているでしょうか。果たして、社会全体できちんと守る仕組みができているのかといえば、まだまだ心配なことばかりです。 まず第一に、社会が〝産む性〟としての女性の健康に、本来の意味の価値を置くことです。社会が女性の健康を守るという前提に立ったうえで、その具体的な表れとして、まず普通の出産を保険適用にするべきでしょう。 女性は出産のリスクから守られていなければいけないし、生まれた子どもたちも、もちろん守られていくべきだと思います。すべての女性と子どもに対して、国のきちんとした補償態勢とともに、総合的にサポートするケアシステムが確立されたうえで、不妊治療が行われるべきですし、不妊治療の保険適用が実施されるべきだと考えます。また、それはたとえば、万が一、障害児が産まれた場合にも同様です。その子を守ることが親の自己責任ではなく、障害のない子も障害のある子も、すべての子どもたちに「産まれてくれてありがとう」と誰もが言える社会にしていく必要もあると思います。 保険適用になれば技術レベルも上がるし、レセプトの開示が義務化されたので医療機関の質もチェックできる。こういう総合的な流れのなかで治療が進んでほしいと思います。 ただし妊娠だけが目的ではなく、いい出産をして、お母さんにも子どもにもいい人生を歩んでほしい。だからこそ、〝産めよ増やせよ=産む女〟でも、〝不妊=病気〟でもなく、出産が女性に、より健康に生きる素地を与え、子どもたちを受け入れる社会を作るという前提での、不妊治療であり、保険適用だと思います。 女性の性をきちんと位置づける社会、これは少子化対策にもいえることであり、まさに第一歩なのです。 国が基礎的なデータを収集体系的な法的措置を整えるべき 公明党松 あきら さん 1947年生まれ。参議院議員、元女優。66年宝塚歌劇団入団、78年花組男役トップスターに。82年宝塚退団後、女優として活動。95年参議院選挙で初当選、以後、3期当選。現在、公明党副代表、女性委員長。参院法務委員長。 公明党は結党以来、児童手当や出産育児一時金の創設・拡充、乳幼児医療費の無料化など、一貫して子育て支援に取り組んできました。児童手当は1972年に、全国的な署名運動により実現にこぎつけ、その後も財源のメドを立てたうえで政府と折衝し、拡充を重ねてきました。 民主党は今、子ども手当や高校無償化などに取り組んでいますが、政策的には無理が目立ちます。昨今の財政事情から考えれば、巨額な予算を充てるために、他に痛みが出てくることが懸念されます。 今年度、民主党が実施する子ども手当は、民主党がマニフェストに掲げたように「全額国費」で行うものではなく、中身は今年度限りの児童手当の拡充策なのです。ゆえに公明党は保育施設拡充等を条件に法案に賛成しましたが、それは現金給付だけでなく、病児保育や学童保育等を支援する環境整備が必要だったからです。民主党の少子化対策は、財源の問題や子育て支援の現場の視点が欠けており、私は不十分だと思います。 公明党は前回の衆院選でも「人を育む政治」として、少子化対策を大きな重点項目として、マニフェストの柱に位置づけてきました。不妊治療も、少子化対策の一環と、位置づけをしっかりすべきだと思います。 助成制度へ最初に道筋をつけたのは公明党です。他党に先駆けて取り組み、私も自らの経験をもとに、助成の必要性を国会で訴えました。代理母やAIDの問題など、産婦人科の医師まかせではなく、国が基礎的なデータを収集し、体系的な法的措置を整えるべきだと思います。 アメリカは国の規制がほとんどなく州ごとの規制で、基本的には自己責任とされています。欧州はなんらかの法規制をしている国が多く、データも整っています。しかし日本は欧米と文化的背景も違いますから、国民が共通に理解し、納得できる法的整備を確立すべきだと考えています。 自公政権で進んだ「医療崩壊」を立て直すことが急務 研究開発費の助成と保険適用の方向へ 国民新党じみ 庄三郎 さん 1945年生まれ。参議院議員、医学博士。70年九州大学医学部卒業。ハーバード大学講師、九大第1内科講師を経て、83年衆議院議員選挙で自民党より出馬、初当選。以後、7期22年連続当選。07年、国民新党より参議院議員選挙に出馬、当選。現在、国民新党幹事長。 今こそ、小泉「骨太改革」が何をもたらしたのか、きちんと再確認すべきです。小泉改革は「小さな政府を目指す」と言った。一見よさそうに聞こえますが、必要な歳出を出さないというのが、その本質でした。 閣議決定で、「社会保障費を5年間で1兆1千億円(毎年2200億円)削減」を決め、実行した結果、患者や高齢者の医療負担が苦しくなったと同時に、医療崩壊を招いたわけです。私は医者ですから、これがわかっていた。だから国民新党は2年前、総医療費の引き上げを公約に掲げたのです。民主党ですら、医療費の圧縮を公約していました。高齢化社会が進むのに、医療費が削減されたらどうなるか。 今、産婦人科の成り手はいないし、産科がどんどん減ってきているのはすべて、低医療費政策でやってきたツケ。勤務医の年収は抑えられ、超過勤務で体はボロボロ。燃え尽き症候群そのものです。 だからまず、医療費を先進国の平均並みにしましょう、つまり「医療費のGDP比を、OECD先進国並みに引き上げる」と、国民新党は一貫して言ってきたのです。 もちろん、政権が代わって「社会保障費の毎年2200億円の削減」は廃止しました。医療費の引き上げも、3党政策協議に明記させました。とにかく医療の全体をきちっと立て直さないと、産科だけ、不妊治療だけよくなることはあり得ません。 そのうえで不妊治療を考えるなら、まず研究助成費を増やし、治療の研究開発をしっかりやることと、不妊治療に医療保険を適用するということ。これは、医者として国会議員として、やらなければいけないことだと思っています。 保険適用にしないと、不妊治療自体が公のものにならず、後ろめたさを抱えた悶々としたものになるし、お金持ちしか治療にかかれないというのは正常な社会ではありません。ともあれ、急務は全体的な医療を立て直すことですね。 不妊治療と少子化対策について 政党の方にお話をお聞きしました! 民主党政権が掲げるマニフェストの一つに、不妊治療保険適用があります。 各政党が不妊治療や少子化対策についてどう考えているかは、『ジネコ』読者にとってはとても気になるところです。 そこで今回は4つの政党の方々にお話をお聞きしました。倶楽部ジネコでは、今後も他の党へも取材を続けていきます。 ゆとりある働き方、住まい方が可能な社会へ 子どもを産み、育んでよかったと思える社会を作るのが、政治の役目 自民党鴨下 一郎 さん 1949年生まれ。衆議院議員、医学博士。79年日本大学大学院医学研究科修了。81年より心療内科の開業医として心の病気の診療にあたる。93年衆議院議員選挙に日本新党より初当選。以降、当選6回。安倍改造内閣、福田内閣で環境大臣。現在、自民党政調会長代理。 民主党の子ども手当ですが、子どもに焦点を当てたという点で評価はできますが、5兆円もの巨額なお金を使って、効果があるのでしょうか。「2万6千円もらえるから、もう1人産もう」とは、おそらくならない。むしろ待機児童や職場環境、住環境など、他の要因を望む声がはるかに大きいのですから、少子化対策になっていないのでは。 景気対策といわれても、半分が貯金に回ってしまった場合は、世の中にお金が回らない。借金を増やして、最終的に今の子どもたちがツケを払うことになります。 これに対して自民党は、待機児童の解決、預かり保育の拡充などサービス面にかかる費用、給食費など学校の経費、医療費と子どもが健全に育つうえで必要な経費を、現物で支給しようという考えです。これなら100%子どもに行きますし、5兆円もの巨額なお金はいりません。 今、住宅ローンのキャピタル・ロスに苦しむサラリーマン家庭は疲弊するばかりで、子どもをつくろうという発想すら生まれません。通勤ラッシュに苦しむ9時~5時の働き方から、IT技術を生かした在宅勤務など、根本から働き方を変えていかないと。 ローン問題の解決を国がお手伝いし、週末は田舎に買った家で自然と暮らし、週に数日、出社するなど、ゆとりある住まい方ができる社会へ、発想を転換しないといけない。 子どもは3歳まで、安定的な養育者が必要です。そうした子育てが可能な社会にすることが、子育て支援であり、少子化対策。ゆとりある家庭を築き、子どもを産み、育んで、幸せだったと思える状況を作るのが、政治の役目だと思います。 不妊治療も技術だけにとらわれるのではなく、社会という視点は大事でしょう。保険適用は、どこまで給付するかの問題はありますが、広範に適用していけるよう、7月の参議院選挙のマニフェストで、重点項目として打ち出す方針でいます。 少子化対策の第一歩は女性の健康を社会でどう守るか 女性の性をきちんと位置づける社会があってこそ 社民党阿部 知子 さん 1948年生まれ。衆議院議員・小児科医。74年東京大学医学部卒業。小児科医として勤務後、99年、病院院長として管理者業務を経て、2000年衆議院議員選挙初当選。以後、当選3回。党政策審議会会長。 不妊治療を考える際、医療の技術に社会の仕組みが追いついているか、私はそこが一番の問題だと思います。そもそも日本において、女性の体=女性の一生の健康は、どのように受け止められているでしょうか。果たして、社会全体できちんと守る仕組みができているのかといえば、まだまだ心配なことばかりです。 まず第一に、社会が〝産む性〟としての女性の健康に、本来の意味の価値を置くことです。社会が女性の健康を守るという前提に立ったうえで、その具体的な表れとして、まず普通の出産を保険適用にするべきでしょう。 女性は出産のリスクから守られていなければいけないし、生まれた子どもたちも、もちろん守られていくべきだと思います。すべての女性と子どもに対して、国のきちんとした補償態勢とともに、総合的にサポートするケアシステムが確立されたうえで、不妊治療が行われるべきですし、不妊治療の保険適用が実施されるべきだと考えます。また、それはたとえば、万が一、障害児が産まれた場合にも同様です。その子を守ることが親の自己責任ではなく、障害のない子も障害のある子も、すべての子どもたちに「産まれてくれてありがとう」と誰もが言える社会にしていく必要もあると思います。 保険適用になれば技術レベルも上がるし、レセプトの開示が義務化されたので医療機関の質もチェックできる。こういう総合的な流れのなかで治療が進んでほしいと思います。 ただし妊娠だけが目的ではなく、いい出産をして、お母さんにも子どもにもいい人生を歩んでほしい。だからこそ、〝産めよ増やせよ=産む女〟でも、〝不妊=病気〟でもなく、出産が女性に、より健康に生きる素地を与え、子どもたちを受け入れる社会を作るという前提での、不妊治療であり、保険適用だと思います。 女性の性をきちんと位置づける社会、これは少子化対策にもいえることであり、まさに第一歩なのです。 国が基礎的なデータを収集体系的な法的措置を整えるべき 公明党松 あきら さん 1947年生まれ。参議院議員、元女優。66年宝塚歌劇団入団、78年花組男役トップスターに。82年宝塚退団後、女優として活動。95年参議院選挙で初当選、以後、3期当選。現在、公明党副代表、女性委員長。参院法務委員長。 公明党は結党以来、児童手当や出産育児一時金の創設・拡充、乳幼児医療費の無料化など、一貫して子育て支援に取り組んできました。児童手当は1972年に、全国的な署名運動により実現にこぎつけ、その後も財源のメドを立てたうえで政府と折衝し、拡充を重ねてきました。 民主党は今、子ども手当や高校無償化などに取り組んでいますが、政策的には無理が目立ちます。昨今の財政事情から考えれば、巨額な予算を充てるために、他に痛みが出てくることが懸念されます。 今年度、民主党が実施する子ども手当は、民主党がマニフェストに掲げたように「全額国費」で行うものではなく、中身は今年度限りの児童手当の拡充策なのです。ゆえに公明党は保育施設拡充等を条件に法案に賛成しましたが、それは現金給付だけでなく、病児保育や学童保育等を支援する環境整備が必要だったからです。民主党の少子化対策は、財源の問題や子育て支援の現場の視点が欠けており、私は不十分だと思います。 公明党は前回の衆院選でも「人を育む政治」として、少子化対策を大きな重点項目として、マニフェストの柱に位置づけてきました。不妊治療も、少子化対策の一環と、位置づけをしっかりすべきだと思います。 助成制度へ最初に道筋をつけたのは公明党です。他党に先駆けて取り組み、私も自らの経験をもとに、助成の必要性を国会で訴えました。代理母やAIDの問題など、産婦人科の医師まかせではなく、国が基礎的なデータを収集し、体系的な法的措置を整えるべきだと思います。 アメリカは国の規制がほとんどなく州ごとの規制で、基本的には自己責任とされています。欧州はなんらかの法規制をしている国が多く、データも整っています。しかし日本は欧米と文化的背景も違いますから、国民が共通に理解し、納得できる法的整備を確立すべきだと考えています。 自公政権で進んだ「医療崩壊」を立て直すことが急務 研究開発費の助成と保険適用の方向へ 国民新党じみ 庄三郎 さん 1945年生まれ。参議院議員、医学博士。70年九州大学医学部卒業。ハーバード大学講師、九大第1内科講師を経て、83年衆議院議員選挙で自民党より出馬、初当選。以後、7期22年連続当選。07年、国民新党より参議院議員選挙に出馬、当選。現在、国民新党幹事長。 今こそ、小泉「骨太改革」が何をもたらしたのか、きちんと再確認すべきです。小泉改革は「小さな政府を目指す」と言った。一見よさそうに聞こえますが、必要な歳出を出さないというのが、その本質でした。 閣議決定で、「社会保障費を5年間で1兆1千億円(毎年2200億円)削減」を決め、実行した結果、患者や高齢者の医療負担が苦しくなったと同時に、医療崩壊を招いたわけです。私は医者ですから、これがわかっていた。だから国民新党は2年前、総医療費の引き上げを公約に掲げたのです。民主党ですら、医療費の圧縮を公約していました。高齢化社会が進むのに、医療費が削減されたらどうなるか。 今、産婦人科の成り手はいないし、産科がどんどん減ってきているのはすべて、低医療費政策でやってきたツケ。勤務医の年収は抑えられ、超過勤務で体はボロボロ。燃え尽き症候群そのものです。 だからまず、医療費を先進国の平均並みにしましょう、つまり「医療費のGDP比を、OECD先進国並みに引き上げる」と、国民新党は一貫して言ってきたのです。 もちろん、政権が代わって「社会保障費の毎年2200億円の削減」は廃止しました。医療費の引き上げも、3党政策協議に明記させました。とにかく医療の全体をきちっと立て直さないと、産科だけ、不妊治療だけよくなることはあり得ません。 そのうえで不妊治療を考えるなら、まず研究助成費を増やし、治療の研究開発をしっかりやることと、不妊治療に医療保険を適用するということ。これは、医者として国会議員として、やらなければいけないことだと思っています。 保険適用にしないと、不妊治療自体が公のものにならず、後ろめたさを抱えた悶々としたものになるし、お金持ちしか治療にかかれないというのは正常な社会ではありません。ともあれ、急務は全体的な医療を立て直すことですね。
2010.12.13
コラム くらし
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不妊治療への融資制度と子育て支援計画を語る2
不妊治療への融資制度と子育て支援計画を語る1 ┃ 不妊治療への融資制度と子育て支援計画を語る2 『子育て支援は、子どもを望むすべての家庭のためのもの。』 子どもを望むすべての家庭のために 文京区では今年4月から、不妊治療への融資制度をスタートさせました。『ジネコ』読者にとって、これは大きな朗報です。 成澤:文京区では今年、「子育て支援計画」を策定したのですが、その目的に「子どもを望む、すべての家庭が、安心して子どもを産み、育て、子育てに喜びを感じることができること」と謳っています。つまり、キーワードは「子どもを望む、すべての家庭」なのです。私は「子育て支援策」とは、「子どもを望む、すべての家庭」にとってのものでなければならないと思っています。けっして、子どもが産まれた家庭だけに、子育て支援があるわけではありません。 不妊治療への融資制度も、「子どもを望む、すべての家庭」を支援していこうという発想に立てば、至極当然のことで、子育て支援という、一つの流れのなかにあります。もともと、私のマニフェストの中にも、「特定不妊治療の助成を充実していく」という項目は入っていたのですが、どのように実現していくか、そのやり方にはいろいろな手法があるわけで、国や都の助成制度に上乗せしていくのが、一番単純なやり方ですが、それだけではないんだろうなと、常に考えていました。 これは、全国の自治体では初めての、高額な費用がかかる不妊治療に対する融資制度となります。詳しい内容としては、体外受精など、一般的に30万円以上かかる不妊治療を区民が受ける場合、信用金庫を通じて、1回に50万円まで融資するというもの。所得制限はなく、最大で5回、計250万円まで融資を受けることができ、返済期間は5年で、利子の一部を文京区が負担するとのこと。 いろいろな手法のなかで、融資というやり方を選んだ理由を教えてください。 成澤:最初は、とくに不妊治療に限ったことではなく、医療に関わる、個人向けの生活支援の仕組みを作りたいという思いが私にはありまして、それが出発点になっています。 生活支援、という視点なのですね。 経済的な理由で諦めないでほしい 成澤:たとえば不妊治療だけでなく、承認前の抗がん剤や高度先進医療など、実際、この国には保険適用にならない医療がずいぶんあります。そして、その医療に関わる場面で、さまざまなコストが発生し、その個人的な負担の大きさが、当事者を圧迫しているのが現状です。 私は「お金の切れ目が子づくりの切れ目」になってはいけないと思いますし、がん治療の場合はそれこそ、お金の切れ目が命の切れ目になってはいけない。そこで、少なくとも、一時的に必要となる資金を、自治体がなんらかの形で、まかなうことができるような制度設計はできないのかと考えた、これがこの制度のスタートです。 たとえば中小企業には、銀行から融資を受けた際、「利子補給」という、利子の一部を区が肩代わりする制度があります。これを個人向けに転用できないかと考え、区内の信用金庫を中心に検討をお願いしたのです。 全国の自治体や国も対応すべき事業では 不妊治療には、国が定めた助成金制度もありますが。 成澤:国の助成金制度はありますが、これには所得制限と回数の制限があります。文京区に限っていえば、共働きの夫婦は、所得制限で対象外になる場合が多い。それでも子どもが欲しい、あるいは2人目、3人目が欲しいと思っている人たちは確実にいるはずで、そういう人たちに対して、裾野の広い制度ができないかと思ったのです。 信用金庫の検討の結果、高度先進医療は医療保険の対象と判断され、不妊治療に限って施行するという結論が出て、こうして今春、日本初の制度となりました。 不妊治療は、いまだ確立したガイドラインがなく、いろいろな問題もあります。その点はいかがですか。 成澤:あまり詳しくありませんが、技術的な水準がクリアでないなど、問題があることは聞いています。しかし、それは国の役割で、しっかり取り組んでほしいと思っています。 私たちは実際に治療を受けている人たちが、経済的な理由で子どもを断念することがないよう、生活を支援していきたいと考えています。 融資制度は4月1日からスタートされたということですが、実際の反応はいかがですか。 成澤:今日までで(4月21日現在)、5人の方が窓口に書類を取りに来られ、うち3人は近々申し込みをされるそうです。わずか1ヶ月間で、これだけの反応があるということは、全国の自治体や国や都道府県が、しっかり対応していく事業にしなければいけないのではと思いますね。区の予算としては、この制度にかかる金額は、今のところ、わずか100万円です。区が負担するのは利子の一部ですから、億単位のお金がかかるわけではありません。 皆さん、いろいろな悩みを抱えて治療を続けていらっしゃるでしょうから、せめて〝経済的な理由で諦めないで”というメッセージは、この事業にしっかり込めたという思いはあります。 不妊治療への融資制度と子育て支援計画を語る1 ┃ 不妊治療への融資制度と子育て支援計画を語る2 不妊治療への融資制度と子育て支援計画を語る1 ┃ 不妊治療への融資制度と子育て支援計画を語る2 『子育て支援は、子どもを望むすべての家庭のためのもの。』 子どもを望むすべての家庭のために 文京区では今年4月から、不妊治療への融資制度をスタートさせました。『ジネコ』読者にとって、これは大きな朗報です。 成澤:文京区では今年、「子育て支援計画」を策定したのですが、その目的に「子どもを望む、すべての家庭が、安心して子どもを産み、育て、子育てに喜びを感じることができること」と謳っています。つまり、キーワードは「子どもを望む、すべての家庭」なのです。私は「子育て支援策」とは、「子どもを望む、すべての家庭」にとってのものでなければならないと思っています。けっして、子どもが産まれた家庭だけに、子育て支援があるわけではありません。 不妊治療への融資制度も、「子どもを望む、すべての家庭」を支援していこうという発想に立てば、至極当然のことで、子育て支援という、一つの流れのなかにあります。もともと、私のマニフェストの中にも、「特定不妊治療の助成を充実していく」という項目は入っていたのですが、どのように実現していくか、そのやり方にはいろいろな手法があるわけで、国や都の助成制度に上乗せしていくのが、一番単純なやり方ですが、それだけではないんだろうなと、常に考えていました。 これは、全国の自治体では初めての、高額な費用がかかる不妊治療に対する融資制度となります。詳しい内容としては、体外受精など、一般的に30万円以上かかる不妊治療を区民が受ける場合、信用金庫を通じて、1回に50万円まで融資するというもの。所得制限はなく、最大で5回、計250万円まで融資を受けることができ、返済期間は5年で、利子の一部を文京区が負担するとのこと。 いろいろな手法のなかで、融資というやり方を選んだ理由を教えてください。 成澤:最初は、とくに不妊治療に限ったことではなく、医療に関わる、個人向けの生活支援の仕組みを作りたいという思いが私にはありまして、それが出発点になっています。 生活支援、という視点なのですね。 経済的な理由で諦めないでほしい 成澤:たとえば不妊治療だけでなく、承認前の抗がん剤や高度先進医療など、実際、この国には保険適用にならない医療がずいぶんあります。そして、その医療に関わる場面で、さまざまなコストが発生し、その個人的な負担の大きさが、当事者を圧迫しているのが現状です。 私は「お金の切れ目が子づくりの切れ目」になってはいけないと思いますし、がん治療の場合はそれこそ、お金の切れ目が命の切れ目になってはいけない。そこで、少なくとも、一時的に必要となる資金を、自治体がなんらかの形で、まかなうことができるような制度設計はできないのかと考えた、これがこの制度のスタートです。 たとえば中小企業には、銀行から融資を受けた際、「利子補給」という、利子の一部を区が肩代わりする制度があります。これを個人向けに転用できないかと考え、区内の信用金庫を中心に検討をお願いしたのです。 全国の自治体や国も対応すべき事業では 不妊治療には、国が定めた助成金制度もありますが。 成澤:国の助成金制度はありますが、これには所得制限と回数の制限があります。文京区に限っていえば、共働きの夫婦は、所得制限で対象外になる場合が多い。それでも子どもが欲しい、あるいは2人目、3人目が欲しいと思っている人たちは確実にいるはずで、そういう人たちに対して、裾野の広い制度ができないかと思ったのです。 信用金庫の検討の結果、高度先進医療は医療保険の対象と判断され、不妊治療に限って施行するという結論が出て、こうして今春、日本初の制度となりました。 不妊治療は、いまだ確立したガイドラインがなく、いろいろな問題もあります。その点はいかがですか。 成澤:あまり詳しくありませんが、技術的な水準がクリアでないなど、問題があることは聞いています。しかし、それは国の役割で、しっかり取り組んでほしいと思っています。 私たちは実際に治療を受けている人たちが、経済的な理由で子どもを断念することがないよう、生活を支援していきたいと考えています。 融資制度は4月1日からスタートされたということですが、実際の反応はいかがですか。 成澤:今日までで(4月21日現在)、5人の方が窓口に書類を取りに来られ、うち3人は近々申し込みをされるそうです。わずか1ヶ月間で、これだけの反応があるということは、全国の自治体や国や都道府県が、しっかり対応していく事業にしなければいけないのではと思いますね。区の予算としては、この制度にかかる金額は、今のところ、わずか100万円です。区が負担するのは利子の一部ですから、億単位のお金がかかるわけではありません。 皆さん、いろいろな悩みを抱えて治療を続けていらっしゃるでしょうから、せめて〝経済的な理由で諦めないで”というメッセージは、この事業にしっかり込めたという思いはあります。 不妊治療への融資制度と子育て支援計画を語る1 ┃ 不妊治療への融資制度と子育て支援計画を語る2
2010.12.13
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不妊治療への融資制度と子育て支援計画を語る1
不妊治療への融資制度と子育て支援計画を語る1 ┃ 不妊治療への融資制度と子育て支援計画を語る2 文京区長 成澤廣修 スペシャルインタビュー 今年1月、東京都文京区が不妊治療に対して、全国の自治体では初めてとなる融資制度を開始することを発表。 また4月には、文京区長が自治体の首長としては全国初の育児休暇を取得しました。そこで今回は、文京区長の成澤廣修さんにこれらの子育て支援計画について語っていただきました。 男性も積極的に育児休暇を 自治体の首長として全国初という、「育児休暇」取得。3月、このニュースに接したときは、喝さいを送りたい気分でした。公務に復帰されたばかりでお忙しい時期に、お会いできたことは、とても光栄です。まずは、育児休暇の感想を教えてください。 成澤廣修(なりさわ・ひろのぶ)1966年生まれ。文京区長。当時、全国最年少の25歳で文京区議会議員に初当選。文教委員長、議会運営委員長等を経て、第37代文京区議会議長に区議会最年少35歳で就任。その後、2007年文京区長に就任する。今年から明治大学特別招聘教授。 成澤:育児休暇といっても、わずか2週間弱ですから、一般企業にお勤めの方々の数ヶ月単位のものと比べれば、真似ごとにすぎないのかなとも思います。それでも、長男が2ヶ月という時期に、朝から夜まで一緒にいることの重さ、意義を実感しました。 抱っこしてほしいのか、おしめを替えてほしいのかなど、いろいろな表情があるんだなーと思いました。仕事人間で、朝に子どもと少しだけ触れ合って出掛け、夜は子どもが寝てから帰るというような生活に比べれば、格段に違いますね。そういう意味で、わずか2週間弱ではありましたが、有意義だったと思います。 区長など特別職の育児休暇は制度化されていないため、実質は自主的な休みとして取得されたとお聞きしました。また、男性の育児休暇取得がなかなか進まない状況で、「トップが休むことで、職員に取得を促したい」「妻の負担を軽減するとともに、職員に対し、仕事上、キャリア面でのロスはないということを伝えたい」という意図があったということですね。 育児は母親にとって、エンドレスの作業です。大変な時期に夫が手伝ってくれて、少しでも休息できるのは、どれほどの救いかと思います。 成澤: 本来なら、通常の育休期間である産後8週以内に取得できればよかったとは思います。母体のケアが大切といわれる時期ですから。ただ、その期間中は議会があり、私が抜けるわけにはいきませんでした。それで、少し後にはなってしまいましたが、私がサポートすることで、母体への影響を少しでも軽減することはできるだろうと。 また、なにより、子どもに精一杯の愛情を注ぐことができたのは本当によかったと思っています。 文京区では「男性職員の育児休暇取得促進要綱」を策定しました。23区でも例を見ない、画期的な取り組みの理由を教えてください。 成澤:基本は、子どもに精一杯愛情を注ぐことの大切さにあります。うちの区は、男性職員の育休取得がゼロなのです。この6月30日に改正育休法が施行になり、1人の子どもに父親と母親が両方とも、育休が取れるようになります。以前は母親が取ると、父親は取れない制度でしたから。この制度の先取りになった点でも、意義があると思いますね。 不妊治療への融資制度と子育て支援計画を語る1 ┃ 不妊治療への融資制度と子育て支援計画を語る2 不妊治療への融資制度と子育て支援計画を語る1 ┃ 不妊治療への融資制度と子育て支援計画を語る2 文京区長 成澤廣修 スペシャルインタビュー 今年1月、東京都文京区が不妊治療に対して、全国の自治体では初めてとなる融資制度を開始することを発表。 また4月には、文京区長が自治体の首長としては全国初の育児休暇を取得しました。そこで今回は、文京区長の成澤廣修さんにこれらの子育て支援計画について語っていただきました。 男性も積極的に育児休暇を 自治体の首長として全国初という、「育児休暇」取得。3月、このニュースに接したときは、喝さいを送りたい気分でした。公務に復帰されたばかりでお忙しい時期に、お会いできたことは、とても光栄です。まずは、育児休暇の感想を教えてください。 成澤廣修(なりさわ・ひろのぶ)1966年生まれ。文京区長。当時、全国最年少の25歳で文京区議会議員に初当選。文教委員長、議会運営委員長等を経て、第37代文京区議会議長に区議会最年少35歳で就任。その後、2007年文京区長に就任する。今年から明治大学特別招聘教授。 成澤:育児休暇といっても、わずか2週間弱ですから、一般企業にお勤めの方々の数ヶ月単位のものと比べれば、真似ごとにすぎないのかなとも思います。それでも、長男が2ヶ月という時期に、朝から夜まで一緒にいることの重さ、意義を実感しました。 抱っこしてほしいのか、おしめを替えてほしいのかなど、いろいろな表情があるんだなーと思いました。仕事人間で、朝に子どもと少しだけ触れ合って出掛け、夜は子どもが寝てから帰るというような生活に比べれば、格段に違いますね。そういう意味で、わずか2週間弱ではありましたが、有意義だったと思います。 区長など特別職の育児休暇は制度化されていないため、実質は自主的な休みとして取得されたとお聞きしました。また、男性の育児休暇取得がなかなか進まない状況で、「トップが休むことで、職員に取得を促したい」「妻の負担を軽減するとともに、職員に対し、仕事上、キャリア面でのロスはないということを伝えたい」という意図があったということですね。 育児は母親にとって、エンドレスの作業です。大変な時期に夫が手伝ってくれて、少しでも休息できるのは、どれほどの救いかと思います。 成澤: 本来なら、通常の育休期間である産後8週以内に取得できればよかったとは思います。母体のケアが大切といわれる時期ですから。ただ、その期間中は議会があり、私が抜けるわけにはいきませんでした。それで、少し後にはなってしまいましたが、私がサポートすることで、母体への影響を少しでも軽減することはできるだろうと。 また、なにより、子どもに精一杯の愛情を注ぐことができたのは本当によかったと思っています。 文京区では「男性職員の育児休暇取得促進要綱」を策定しました。23区でも例を見ない、画期的な取り組みの理由を教えてください。 成澤:基本は、子どもに精一杯愛情を注ぐことの大切さにあります。うちの区は、男性職員の育休取得がゼロなのです。この6月30日に改正育休法が施行になり、1人の子どもに父親と母親が両方とも、育休が取れるようになります。以前は母親が取ると、父親は取れない制度でしたから。この制度の先取りになった点でも、意義があると思いますね。 不妊治療への融資制度と子育て支援計画を語る1 ┃ 不妊治療への融資制度と子育て支援計画を語る2
2010.12.10
コラム くらし
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知っておきたい!日本の伝統&年末年始 伝統のおせち料理
年神様に捧げ、家族の繁栄を願う伝統のおせち料理 普段は日本食を食べることが少ないという人もお正月はやっぱりおせちを食べて過ごしたいもの。おせち料理には一つひとつ意味があり、1年を元気に過ごすための祈りが込められています。 おせちは年神様にお供えし、力をいただく節句料理 三が日に食べるおせち料理には、どんな意味があるのか、ご存じでしょうか?「おせち」という言葉は「お節句」が変化したもの。一年の節目となる日を節日といい、一月七日、三月三日、五月五日、七月七日、九月九日を五節句と呼びますが、「おせち」はこの節日に神前にささげる節句料理の総称でした。お正月は節日の中でも、一年の節目にあたる特におめでたい日として別格に扱われており、今では、おせち料理はお正月だけのものをさすようになりました。 おせちは年神様への供え物として作り、年が明けると家族全員でおろしていただきます。お雑煮も同じで、神様に供えた餅を神棚からおろし、それを野菜やお肉、魚などと食べます。みんなで食べることで神様の力をいただき、元気になると考えられてきました。お正月に使うお箸は柳箸で両細箸ですが、それは神様の口と自分の口が使うため。神様も一緒に食べているという考えからです。 一つひとつの意味を確認しながら食べよう お料理の中身には、縁起の良い意味や願いが込められています。家族が元気に過ごせますように。子孫が繁栄しますように。財産に恵まれますように。「一つひとつに込められた意味を言葉に出すことで、力が生まれてくるのだと思います」(岩下先生) おせち料理は、四段の重箱の中につめるのが正式な方法。一の重(一番上)には「祝い肴」といい、三種肴と呼ばれる黒豆、数の子、田作りを中心に並べます。二の重は「口取り」で、きんとん、蒲鉾、伊達巻など。三の重は「海の幸」で鯛、昆布巻き、海老など。そして四(与)の重は「山の幸」でれんこん、里芋、こんにゃくなどの煮物を入れます。「忙しくて作れないという人は、おせちを代表する三種肴だけでも用意するといいですね」(岩下先生) 黒は道教では邪除けの色。まめに元気で暮らせるようにという願い。 たくさん子どもができるように。数が多くて子孫繁栄に縁起が良い。 昔の田植えの肥料で五万米と書き、豊作を祈願。別名「田作り」。 牛蒡は土の中に生える。しっかりした土台と気持ち作りができるように。 黄金色の丸い小判を意味し、財産がたまるようにという願いをかけて。 日の出のようで新しい門出におめでたい。赤は魔除け、白は清浄を示す。 伊達=粋で人目につく、巻く=むつむで、進歩、教養、文化を表す。 たくさんの穴があることから、将来の見通しがよくなるようにという願い。 年神様に捧げ、家族の繁栄を願う伝統のおせち料理 普段は日本食を食べることが少ないという人もお正月はやっぱりおせちを食べて過ごしたいもの。おせち料理には一つひとつ意味があり、1年を元気に過ごすための祈りが込められています。 おせちは年神様にお供えし、力をいただく節句料理 三が日に食べるおせち料理には、どんな意味があるのか、ご存じでしょうか?「おせち」という言葉は「お節句」が変化したもの。一年の節目となる日を節日といい、一月七日、三月三日、五月五日、七月七日、九月九日を五節句と呼びますが、「おせち」はこの節日に神前にささげる節句料理の総称でした。お正月は節日の中でも、一年の節目にあたる特におめでたい日として別格に扱われており、今では、おせち料理はお正月だけのものをさすようになりました。 おせちは年神様への供え物として作り、年が明けると家族全員でおろしていただきます。お雑煮も同じで、神様に供えた餅を神棚からおろし、それを野菜やお肉、魚などと食べます。みんなで食べることで神様の力をいただき、元気になると考えられてきました。お正月に使うお箸は柳箸で両細箸ですが、それは神様の口と自分の口が使うため。神様も一緒に食べているという考えからです。 一つひとつの意味を確認しながら食べよう お料理の中身には、縁起の良い意味や願いが込められています。家族が元気に過ごせますように。子孫が繁栄しますように。財産に恵まれますように。「一つひとつに込められた意味を言葉に出すことで、力が生まれてくるのだと思います」(岩下先生) おせち料理は、四段の重箱の中につめるのが正式な方法。一の重(一番上)には「祝い肴」といい、三種肴と呼ばれる黒豆、数の子、田作りを中心に並べます。二の重は「口取り」で、きんとん、蒲鉾、伊達巻など。三の重は「海の幸」で鯛、昆布巻き、海老など。そして四(与)の重は「山の幸」でれんこん、里芋、こんにゃくなどの煮物を入れます。「忙しくて作れないという人は、おせちを代表する三種肴だけでも用意するといいですね」(岩下先生) 黒は道教では邪除けの色。まめに元気で暮らせるようにという願い。 たくさん子どもができるように。数が多くて子孫繁栄に縁起が良い。 昔の田植えの肥料で五万米と書き、豊作を祈願。別名「田作り」。 牛蒡は土の中に生える。しっかりした土台と気持ち作りができるように。 黄金色の丸い小判を意味し、財産がたまるようにという願いをかけて。 日の出のようで新しい門出におめでたい。赤は魔除け、白は清浄を示す。 伊達=粋で人目につく、巻く=むつむで、進歩、教養、文化を表す。 たくさんの穴があることから、将来の見通しがよくなるようにという願い。
2010.12.8
コラム くらし
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知っておきたい!日本の伝統&年末年始 お正月編
知っておきたい!日本の伝統& 年末年始 多くの伝統的な行事が忘れられていくなか、年末から年始にかけての行事は今も多くの人に受け継がれています。 でも意外と本来の意味や決まりは知られていないのでは?この機会に正しい知識とマナーを身につけましょう。 お正月編 「お正月は家族の心を一つにして 一年間頑張る力を蓄える行事です」 年神様をお迎えし、家族の健康と幸せを願う時 お正月は、もともとその年の新しい年神様をお迎えしてお祀りし、豊作を祈願する行事でした。今では豊作を祈願するという本来の意味はなくなりましたが、初詣に出かけたり、おせちやお雑煮を食べたりと、ほとんどの人が大切に守り続けている行事の一つとなっています。元日の朝、初日の出を拝むために出かける人もいますが、これはかつて初日の出とともに年神様が現れると信じられていたから。太陽を拝み、一年の幸福を祈念していたのです。年神様をお迎えする時、目印になるのが門松です。昔は他の常緑樹が使われていましたが、松は枝が上を向いて神様を待っているような形であることと、「松」=「待つ」をかけて松の木が使われるようになりました。「松がないと神様は降りてこられない、アンテナのようなもの。今は松が印刷された紙を貼るお家もあるようですが、ぜひ本物を飾りたいですね」(岩下先生) 鏡餅の飾りにはそれぞれ縁起のいい意味がある 正月飾りのなかでも華やかな鏡餅は、本来は神様のご神体です。私たち日本人はお米を食べて生きているので、そこに神様が宿ると考えられてきました。鏡餅の飾り方には意味があります。裏白は「夫婦円満」、ゆずり葉は「家系が続く」、昆布は「喜ぶ」、橙は「代々栄える」など。干し柿を飾る時は中心に6個、両端に2個ずつ飾ります。「外はニコニコ、中は睦まじく」という意味です。「日本人は“言霊”といって、言葉に魂があり、幸せを祈る言葉を口に出すことで、本当に幸せになると考えます。代々家が栄えるとか、幸せになるという、言葉の力をもらって1年を元気に過ごしていると思います。飾るだけでなく、言葉にすることが大事なのです」(岩下先生) 元気を蓄えてお正月明けからの活力に 元旦から一月七日までが「松の内」といい、年神様が家にいる期間です。門松やしめ縄などのお正月飾りは、一月七日にはずします。これを神社やお寺の境内に持ち寄って焼く行事がどんど焼き。多くは一月十五日に行われます。燃やす時の煙にのって、新年に訪れた年神様が天上に帰っていくといわれています。鏡餅を下げる鏡開きは一月十一日。昔から刃物ではなく、手や木槌で割ってお汁粉などにして食べます。こうしてお正月が終わり、普段の生活に戻っていきます。「年神様から元気をもらって、“今年も頑張るぞ”と仕事に向かう。お正月は年の初めにそういう気持ちになるための、家族の行事ですね。年末に大掃除して、年越しそばを食べて、新年になったらお祝いをして、おせちを食べて。みんなで一つのことをやり遂げたね、また明日から頑張ろうねという、心が一つになれる行事なのだと思います」(岩下先生) 迷いがちなお正月のマナーを解決! 「何となくやってきたけど、このやり方ってあっているの?」「どんな意味なの?」など今さら人に聞けないお正月のマナーについて、岩下先生が疑問にお答えします。 Q:お年玉は子どもに必ず渡すものなの? A:お年玉は、もともと年神様の魂をもらったその家の年長者が、下の者に分けるという意味のものです。年神様にお供えした餅をおろし、分け与えたのが始まりです。だから年少者や自分より地位の低い人に渡すもの。上司の家に行って、その家の子に渡すのはおかしいのです。お金ではなく、図書カードなどでもいいでしょう。 Q:お年賀やお年始回りの決まりはありますか? A:お歳暮とお年賀はセットになっていると考えましょう。お歳暮は1年の感謝の気持ちを伝え、お年賀は「今年もよろしく」のご挨拶。だからお年賀はお金をかけず、挨拶だけ行くのでもOK。お年始回りは昔は元旦に行っていたものですが、今は2日から松の内の7日までがいいでしょう。年内に訪問日を伝えておくといいですね。 Q:初詣はいつまでに行くべきですか? A:毎年、初詣の時期は有名神社が大賑わいとなりますが、まずは自分たちが住んでいる地域を守ってくれている氏神様にお参りをするのが基本。氏神様に「今年もよろしく」のご挨拶をしてから、遠くの有名神社にお参りするのがいいと思います。できれば三が日、遅くとも7日までにお参りしたいものです。 Q:お神酒をいただく時の作法は? A:お神酒は神様にお供えしたお酒のこと。お参りをすると、お神酒が振る舞われることがあります。これは「直会(なおらい)」といい、神様にお供えしてあった食べ物やお酒をいただき、神様の力を身に受けて神様の元気をいただくことです。いただく時は両手で盃を持って三口に分けていただき、軽く指で拭って戻します。 Q:七草がゆはなぜ食べるのですか? A:1月7日の朝に七草がゆを食べる風習があります。これを食べると、1年間病気にならず元気に過ごせるといわれています。もともとはお正月のご馳走で疲れた胃腸を休め、不足しがちな青菜を食べるためというのが始まり。「これで1年元気に過ごせるね」と言葉の魔法をかけながら食べましょう。 Q:神社での正しいお参りのしかたは? A:参道の中央は神様の通り道なので、端を歩きます。手水舎で左手→右手→口の順で清め、最後にひしゃくを縦にして柄の部分を洗います。神前に進んだら、鈴をならしてから賽銭を入れます。拝礼は「二礼二拍手一礼」。深く2回おじぎをし、拍手を2回してお祈り、最後に深いおじぎを1回します。 Q:2つお参りすると神様がケンカするって本当? A:しません。昔から日本にはかまどの神様、水の神様など神様がいっぱいいます。だから喧嘩はしません。家にお札を飾る時も、真ん中に天照大神、右が氏神様の神社のお札、左側が他の神社のお札というふうに飾ります。神社だけでなく、川崎大師や浅草寺など、お寺にお参りに行くのも問題ありません。 Q:出していない人から年賀状が届いたら? A:年賀状は新年のご挨拶。相手が挨拶してくれたら、挨拶を返すのは当たり前ですよね。出していない人から年賀状が届いた時はすぐに返事を書きましょう。先方に1月7日の松の内までに届くのであれば、年賀状として返信します。それ以降になるようなら、寒中見舞いとしてお返事を出しましょう。 知っておきたい!日本の伝統& 年末年始 多くの伝統的な行事が忘れられていくなか、年末から年始にかけての行事は今も多くの人に受け継がれています。 でも意外と本来の意味や決まりは知られていないのでは?この機会に正しい知識とマナーを身につけましょう。 お正月編 「お正月は家族の心を一つにして 一年間頑張る力を蓄える行事です」 年神様をお迎えし、家族の健康と幸せを願う時 お正月は、もともとその年の新しい年神様をお迎えしてお祀りし、豊作を祈願する行事でした。今では豊作を祈願するという本来の意味はなくなりましたが、初詣に出かけたり、おせちやお雑煮を食べたりと、ほとんどの人が大切に守り続けている行事の一つとなっています。元日の朝、初日の出を拝むために出かける人もいますが、これはかつて初日の出とともに年神様が現れると信じられていたから。太陽を拝み、一年の幸福を祈念していたのです。年神様をお迎えする時、目印になるのが門松です。昔は他の常緑樹が使われていましたが、松は枝が上を向いて神様を待っているような形であることと、「松」=「待つ」をかけて松の木が使われるようになりました。「松がないと神様は降りてこられない、アンテナのようなもの。今は松が印刷された紙を貼るお家もあるようですが、ぜひ本物を飾りたいですね」(岩下先生) 鏡餅の飾りにはそれぞれ縁起のいい意味がある 正月飾りのなかでも華やかな鏡餅は、本来は神様のご神体です。私たち日本人はお米を食べて生きているので、そこに神様が宿ると考えられてきました。鏡餅の飾り方には意味があります。裏白は「夫婦円満」、ゆずり葉は「家系が続く」、昆布は「喜ぶ」、橙は「代々栄える」など。干し柿を飾る時は中心に6個、両端に2個ずつ飾ります。「外はニコニコ、中は睦まじく」という意味です。「日本人は“言霊”といって、言葉に魂があり、幸せを祈る言葉を口に出すことで、本当に幸せになると考えます。代々家が栄えるとか、幸せになるという、言葉の力をもらって1年を元気に過ごしていると思います。飾るだけでなく、言葉にすることが大事なのです」(岩下先生) 元気を蓄えてお正月明けからの活力に 元旦から一月七日までが「松の内」といい、年神様が家にいる期間です。門松やしめ縄などのお正月飾りは、一月七日にはずします。これを神社やお寺の境内に持ち寄って焼く行事がどんど焼き。多くは一月十五日に行われます。燃やす時の煙にのって、新年に訪れた年神様が天上に帰っていくといわれています。鏡餅を下げる鏡開きは一月十一日。昔から刃物ではなく、手や木槌で割ってお汁粉などにして食べます。こうしてお正月が終わり、普段の生活に戻っていきます。「年神様から元気をもらって、“今年も頑張るぞ”と仕事に向かう。お正月は年の初めにそういう気持ちになるための、家族の行事ですね。年末に大掃除して、年越しそばを食べて、新年になったらお祝いをして、おせちを食べて。みんなで一つのことをやり遂げたね、また明日から頑張ろうねという、心が一つになれる行事なのだと思います」(岩下先生) 迷いがちなお正月のマナーを解決! 「何となくやってきたけど、このやり方ってあっているの?」「どんな意味なの?」など今さら人に聞けないお正月のマナーについて、岩下先生が疑問にお答えします。 Q:お年玉は子どもに必ず渡すものなの? A:お年玉は、もともと年神様の魂をもらったその家の年長者が、下の者に分けるという意味のものです。年神様にお供えした餅をおろし、分け与えたのが始まりです。だから年少者や自分より地位の低い人に渡すもの。上司の家に行って、その家の子に渡すのはおかしいのです。お金ではなく、図書カードなどでもいいでしょう。 Q:お年賀やお年始回りの決まりはありますか? A:お歳暮とお年賀はセットになっていると考えましょう。お歳暮は1年の感謝の気持ちを伝え、お年賀は「今年もよろしく」のご挨拶。だからお年賀はお金をかけず、挨拶だけ行くのでもOK。お年始回りは昔は元旦に行っていたものですが、今は2日から松の内の7日までがいいでしょう。年内に訪問日を伝えておくといいですね。 Q:初詣はいつまでに行くべきですか? A:毎年、初詣の時期は有名神社が大賑わいとなりますが、まずは自分たちが住んでいる地域を守ってくれている氏神様にお参りをするのが基本。氏神様に「今年もよろしく」のご挨拶をしてから、遠くの有名神社にお参りするのがいいと思います。できれば三が日、遅くとも7日までにお参りしたいものです。 Q:お神酒をいただく時の作法は? A:お神酒は神様にお供えしたお酒のこと。お参りをすると、お神酒が振る舞われることがあります。これは「直会(なおらい)」といい、神様にお供えしてあった食べ物やお酒をいただき、神様の力を身に受けて神様の元気をいただくことです。いただく時は両手で盃を持って三口に分けていただき、軽く指で拭って戻します。 Q:七草がゆはなぜ食べるのですか? A:1月7日の朝に七草がゆを食べる風習があります。これを食べると、1年間病気にならず元気に過ごせるといわれています。もともとはお正月のご馳走で疲れた胃腸を休め、不足しがちな青菜を食べるためというのが始まり。「これで1年元気に過ごせるね」と言葉の魔法をかけながら食べましょう。 Q:神社での正しいお参りのしかたは? A:参道の中央は神様の通り道なので、端を歩きます。手水舎で左手→右手→口の順で清め、最後にひしゃくを縦にして柄の部分を洗います。神前に進んだら、鈴をならしてから賽銭を入れます。拝礼は「二礼二拍手一礼」。深く2回おじぎをし、拍手を2回してお祈り、最後に深いおじぎを1回します。 Q:2つお参りすると神様がケンカするって本当? A:しません。昔から日本にはかまどの神様、水の神様など神様がいっぱいいます。だから喧嘩はしません。家にお札を飾る時も、真ん中に天照大神、右が氏神様の神社のお札、左側が他の神社のお札というふうに飾ります。神社だけでなく、川崎大師や浅草寺など、お寺にお参りに行くのも問題ありません。 Q:出していない人から年賀状が届いたら? A:年賀状は新年のご挨拶。相手が挨拶してくれたら、挨拶を返すのは当たり前ですよね。出していない人から年賀状が届いた時はすぐに返事を書きましょう。先方に1月7日の松の内までに届くのであれば、年賀状として返信します。それ以降になるようなら、寒中見舞いとしてお返事を出しましょう。
2010.12.8
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知っておきたい!日本の伝統&年末年始 年末編
知っておきたい!日本の伝統& 年末年始 多くの伝統的な行事が忘れられていくなか、年末から年始にかけての行事は今も多くの人に受け継がれています。 でも意外と本来の意味や決まりは知られていないのでは?この機会に正しい知識とマナーを身につけましょう。 年末編 年末は、新年に年神様を迎えるための準備の時期 私たち日本人は、年に回ご先祖様をお迎えしています。1回は仏教と結びついているお盆、そしてもう1回は神道と結びついているお正月です。ご先祖様を迎えるというのは、新しい年神様をお迎えするということ。年末は年神様をお迎えするための準備をする時期です。昔は12月13日から「お正月ことはじめ」といい、お正月の準備を始めていました。しかし最近はその前にクリスマスという大きなイベントがあるので、26日からが本格的な新年の準備期間になっています。年神様をお迎えするためにまずすること、それが大掃除です。家を掃除して、清めてきれいになったという証しがしめ飾りです。そして年神様が降りてくる時に目印にするのが門松。27、28日頃に飾るのが一般的です。 お歳暮は下から上の人へ一年間の感謝の気持ち お歳暮はご先祖様への感謝の気持ちが、親やお世話になった人に広がっていったものです。だからお歳暮は下のものから目上の方への贈り物です。気持ちですから背伸びをせず、身の丈に合った金額の物を贈ります。今は3000円くらいが目安でしょう。贈るものは、もともとはご先祖様へのお供えなので食べ物が多いのですが、その方の好きなものでOKです。またお正月に必要なものも喜ばれます。12月初めから20日頃に届けるのが一般的ですが、「12月半ば頃に『お正月に使っていただきたいと思い、30日に数の子をお送りします』と連絡しておいて贈るのもいい」と岩下先生はおっしゃいます。「受け取る方はお正月用に買わなくて済みますよね。ある日突然来るのもうれしいけど、予告があるのもワクワクしてうれしいものですよ」(岩下先生) 監修岩下宣子 先生現代礼法研究所代表兼マナーデザイナー。 全日本作法会の内田宗輝先生、小笠原流小笠原清信先生に師事し、マナーを学ぶ。 お茶の水女子大学の森下はるみ教授より動作学を学ぶ。 企業・学校での研修指導、講演、TV出演など幅広く活躍中。 『好感度がアップする美しいマナー』(幻冬舎)他、著書多数。 新しいものを一つ用意すると 新しい年に向けてけじめがつきます 12月は仕事も忙しいし、お歳暮を贈って、年賀状を書いて……。毎年、あっという間に年末が来てしまい、お正月の準備がままならないという人も多いのではないでしょうか?普段の掃除がやっとで、大掃除までとても手が回らないという人のために、岩下先生に掃除のポイントを教えていただきました。「忙しくてなかなか家中の大掃除ができない時は、お正月にみんなが集まる場所、リビングならリビングだけでもきれいにしておくといいですね。おせちを食べたり、おとそを飲んだり、お祝いする場所だけはきれいにしておきましょう」なかなかゆっくりしたおごそかな気持ちでお正月を迎えられないという人にもアドバイスをいただきました。「お正月に何か一つ、新しいものをおろすといいですよ。昔は1年間我慢して、お正月に全部新しいものに替えたものです。新しい年に新しいものというのは、新鮮な気持ちになります。靴下、歯ブラシ、下着、なにか新しいものを元旦の朝におろすと、けじめがつきます。形から入ることで心がともなってきますよ」 すぐにお悔やみの返事を出しましょう。年内に送れない場合は、1月8日~2月3日頃に寒中見舞いとして出します。また知らずに年賀状を出してしまった場合、すぐにお詫びの書状を出します。 カードをもらうのは「おはよう」の挨拶と一緒。すぐにハガキで「ありがとう」と伝えるか、電話で感想とともにお礼の気持ちを伝えるといいでしょう。自分がされたら嬉しいことを考えて、相手にもするようにしましょう。 お歳暮は日頃の感謝の気持ちをお礼として渡すものなので、基本的にお礼のお礼は不要です。いただいたら受け取ったことの報告を兼ねて、できるだけ早くお礼状を送りましょう。親しい方には電話でもいいでしょう。 年越し蕎麦は「細く長く生きられるように」という願いから。また金を扱う職人が、散らばった金を丸めたそば粉で集めたことから、「そばから金が入ってくる」ともいわれています。夕食にしても紅白を見ながらでもOK。 正月飾りは28日までにするのが習わし。29日は「苦松」「苦立て」といって嫌います。お餅もつきません。また31日は「一夜飾り(葬式の飾り)」といって、縁起が良くないとされています。 年賀状の正しい書き方 Q 宛名の「様」と「殿」はどう使い分ける? A 「殿」は鎌倉時代にできた歴史的に古い呼び方で、本来は建物を表すものでした。以前、官庁が郵便物に「殿」を使ったことで、上から下への呼び方として認識されるようになりましたが、今ではあまり使われなくなりました。年賀状は「様」を使いましょう。また恩師には、「先生」とするほうがいいでしょう。 Q 連名で出す時の「様」や、「御中」の使い方は? A 宛名を連名にする時は、必ずそれぞれに「様」をつけましょう。二人の名前の間に「様」を一つというのは絶対だめ。また勤務先に出す場合、「○○会社御中 □□様」と書く人がいますが、それは間違いです。「御中」は名前がわからない場合に使うものなので、「○○会社 □□様」でいいのです。 Q 冒頭の挨拶はどう書くのが正しい? A 「新年明けましておめでとう」と書く人が意外と多いですが、“明ける”は“終わる”という意味。「新年おめでとう」か「明けましておめでとう」が正しい使い方です。また「迎春」「新春」など二文字は軽いので、同じ年か年下の人に使います。目上の人には「謹賀新年」「恭賀新年」などを使いましょう。 知っておきたい!日本の伝統& 年末年始 多くの伝統的な行事が忘れられていくなか、年末から年始にかけての行事は今も多くの人に受け継がれています。 でも意外と本来の意味や決まりは知られていないのでは?この機会に正しい知識とマナーを身につけましょう。 年末編 年末は、新年に年神様を迎えるための準備の時期 私たち日本人は、年に回ご先祖様をお迎えしています。1回は仏教と結びついているお盆、そしてもう1回は神道と結びついているお正月です。ご先祖様を迎えるというのは、新しい年神様をお迎えするということ。年末は年神様をお迎えするための準備をする時期です。昔は12月13日から「お正月ことはじめ」といい、お正月の準備を始めていました。しかし最近はその前にクリスマスという大きなイベントがあるので、26日からが本格的な新年の準備期間になっています。年神様をお迎えするためにまずすること、それが大掃除です。家を掃除して、清めてきれいになったという証しがしめ飾りです。そして年神様が降りてくる時に目印にするのが門松。27、28日頃に飾るのが一般的です。 お歳暮は下から上の人へ一年間の感謝の気持ち お歳暮はご先祖様への感謝の気持ちが、親やお世話になった人に広がっていったものです。だからお歳暮は下のものから目上の方への贈り物です。気持ちですから背伸びをせず、身の丈に合った金額の物を贈ります。今は3000円くらいが目安でしょう。贈るものは、もともとはご先祖様へのお供えなので食べ物が多いのですが、その方の好きなものでOKです。またお正月に必要なものも喜ばれます。12月初めから20日頃に届けるのが一般的ですが、「12月半ば頃に『お正月に使っていただきたいと思い、30日に数の子をお送りします』と連絡しておいて贈るのもいい」と岩下先生はおっしゃいます。「受け取る方はお正月用に買わなくて済みますよね。ある日突然来るのもうれしいけど、予告があるのもワクワクしてうれしいものですよ」(岩下先生) 監修岩下宣子 先生現代礼法研究所代表兼マナーデザイナー。 全日本作法会の内田宗輝先生、小笠原流小笠原清信先生に師事し、マナーを学ぶ。 お茶の水女子大学の森下はるみ教授より動作学を学ぶ。 企業・学校での研修指導、講演、TV出演など幅広く活躍中。 『好感度がアップする美しいマナー』(幻冬舎)他、著書多数。 新しいものを一つ用意すると 新しい年に向けてけじめがつきます 12月は仕事も忙しいし、お歳暮を贈って、年賀状を書いて……。毎年、あっという間に年末が来てしまい、お正月の準備がままならないという人も多いのではないでしょうか?普段の掃除がやっとで、大掃除までとても手が回らないという人のために、岩下先生に掃除のポイントを教えていただきました。「忙しくてなかなか家中の大掃除ができない時は、お正月にみんなが集まる場所、リビングならリビングだけでもきれいにしておくといいですね。おせちを食べたり、おとそを飲んだり、お祝いする場所だけはきれいにしておきましょう」なかなかゆっくりしたおごそかな気持ちでお正月を迎えられないという人にもアドバイスをいただきました。「お正月に何か一つ、新しいものをおろすといいですよ。昔は1年間我慢して、お正月に全部新しいものに替えたものです。新しい年に新しいものというのは、新鮮な気持ちになります。靴下、歯ブラシ、下着、なにか新しいものを元旦の朝におろすと、けじめがつきます。形から入ることで心がともなってきますよ」 すぐにお悔やみの返事を出しましょう。年内に送れない場合は、1月8日~2月3日頃に寒中見舞いとして出します。また知らずに年賀状を出してしまった場合、すぐにお詫びの書状を出します。 カードをもらうのは「おはよう」の挨拶と一緒。すぐにハガキで「ありがとう」と伝えるか、電話で感想とともにお礼の気持ちを伝えるといいでしょう。自分がされたら嬉しいことを考えて、相手にもするようにしましょう。 お歳暮は日頃の感謝の気持ちをお礼として渡すものなので、基本的にお礼のお礼は不要です。いただいたら受け取ったことの報告を兼ねて、できるだけ早くお礼状を送りましょう。親しい方には電話でもいいでしょう。 年越し蕎麦は「細く長く生きられるように」という願いから。また金を扱う職人が、散らばった金を丸めたそば粉で集めたことから、「そばから金が入ってくる」ともいわれています。夕食にしても紅白を見ながらでもOK。 正月飾りは28日までにするのが習わし。29日は「苦松」「苦立て」といって嫌います。お餅もつきません。また31日は「一夜飾り(葬式の飾り)」といって、縁起が良くないとされています。 年賀状の正しい書き方 Q 宛名の「様」と「殿」はどう使い分ける? A 「殿」は鎌倉時代にできた歴史的に古い呼び方で、本来は建物を表すものでした。以前、官庁が郵便物に「殿」を使ったことで、上から下への呼び方として認識されるようになりましたが、今ではあまり使われなくなりました。年賀状は「様」を使いましょう。また恩師には、「先生」とするほうがいいでしょう。 Q 連名で出す時の「様」や、「御中」の使い方は? A 宛名を連名にする時は、必ずそれぞれに「様」をつけましょう。二人の名前の間に「様」を一つというのは絶対だめ。また勤務先に出す場合、「○○会社御中 □□様」と書く人がいますが、それは間違いです。「御中」は名前がわからない場合に使うものなので、「○○会社 □□様」でいいのです。 Q 冒頭の挨拶はどう書くのが正しい? A 「新年明けましておめでとう」と書く人が意外と多いですが、“明ける”は“終わる”という意味。「新年おめでとう」か「明けましておめでとう」が正しい使い方です。また「迎春」「新春」など二文字は軽いので、同じ年か年下の人に使います。目上の人には「謹賀新年」「恭賀新年」などを使いましょう。
2010.12.7
コラム くらし