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どんな些細な質問でもとことん丁寧に応えてくれる… そんな先生のもとで無事2人の女の子を授かりました
「治療期間は、自分の直感や本能に従って行動してきました」そう語るYTさん。この先生となら、どんな結果でも受け入れられる!そう思って治療を続けた結果、最高の結果を得ることができました。 自然な方法にこだわり続けステップアップへ踏ん切りがつかず5年の月日が流れる… YTさんがご主人と結婚したのは29歳の時。生理不順があり、子どもも早く欲しかったので、近所のクリニックへ早々に通い始めました。そこでタイミング法を試すもなかなか授かることができません。その後、引っ越しをきっかけに転院。一通りの検査を受けたものの、生理不順のほかには、特に悪い結果は出ませんでした。 ここで出会ったのが吉川先生。引きつづきタイミング法を続けるもうまくいかず、誰がみてもステップアップを勧められる段階に突入していました。しかし、極力自然な方法にこだわり続けて踏ん切りがつかないでいたYTさんに吉川先生はとことんつきあってくれたそうです。また、YTさんの質問に対して嫌な顔ひとつせず答えてくれる、たとえ答えがなくてもその答え方に心が救われる…そんな先生の応対に「いつもストレスを感じることなく帰宅できました」。しかしながら、すでにタイミング法を始めて5年の月日が流れていました。 先生の独立をきっかけにご主人に促され転院 そんな折に、吉川先生が独立されるとのニュース。「もしステップアップするなら、吉川先生のもとでなら納得できる」そう考えたYTさんは、ご主人のすすめもあり、先生のクリニックへと転院を決意します。「先生のクリニックは患者さんのデリケートな気持ちを汲むように、患者様同士が顔を合わせないですむように椅子が同じ方向に置かれていたり、おつりがすべて新札だったり、不妊カウンセラーの資格を持った方がなんでも聴いてくれる相談室があったり、定期的に『体外受精勉強会』を開催してくれたり、クリニックの外観も内装も病院らしさを感じないメルヘンチックな装いで、随所に先生のお人柄がにじみでるような、心づかいが行き届いた場所でした」。 ご主人の「何を最終目的にして治療を続けているのか…」との言葉に意を決して、いよいよ体外受精へと踏み切ったYTさん。初めての採卵で7個の卵子が採れました。最初の初期胚での移植は残念な結果でしたが、そこでの吉川先生の言葉を選んだ声がけにも心が救われました。また、ご主人の「落ち込んでいても結果は変わらないから、次のことを考えよう」そんな言葉も次へのステップを後押ししてくれたと言います。そして、2回目は凍結胚での移植…。結果は待ちに待った妊娠! 2012年5月にYTさんは無事、女の子を出産することができました。 2人目のトライも吉川先生のクリニックで 出産後、他県へ引越をしたYTさんでしたが2年後に2人目にトライ。「吉川先生のお顔を見るだけで気持ちがなごむから…」と2時間かけて、津田沼に通ったそうです。そして、最初の採卵時の凍結胚、移植2回目で妊娠。2015年3月に2人目の女の子が誕生しました。一度の採卵で治療は一区切りつけよう…と考えていたYTさんにとって最高の結果が待っていました。 「自分が感じたまま吉川先生についていったことで、今の家族があります。病院を卒業する時に先生がくれる“卒業証書”と卒業時のお腹のサイズのキューピーちゃんは今も私達の宝物です」。 From Doctor 治療を振り返って 津田沼IVFクリニック院長 吉川 守先生 YTさんと最初にお会いしましたのは、当時私が勤務していたクリニックでした。津田沼IVFクリニックを開業する際には、そちらのクリニックの患者様の引き抜きにならないように、私を主治医として認めてくださっていた患者様には本当に申し訳なく思いながらも、退職や開業のことを伝えないまま、ある日 急に去ることとなりました。 当クリニックは不妊症治療専門という診療の性格上、目立たぬことを患者様への最高の配慮として考え、開院時より本日まで人目につくような広告等は一切出さず、当時あったのは手作りのホームページだけ。そのため患者様はほとんど来ず・・・。患者さんの口コミと地域の先生方の紹介を頼みとしておりました。 そのような折、開院3ヵ月目にYTさんはご夫婦でいらしてくださったのです。嬉しかったです。行方不明状態の私を探し求めてくださったのです。再度私を主治医として、ご夫婦の人生をかけてご指名してくださったのです。 ご結婚後5年の経過、34歳というご年齢、前医で6回の人工授精不成功・・・。「なるべく自然な形で」というご希望、「体外受精はするにしてもチャレンジで1回だけ」というお考え。大変な難問に対し、新米開業医の私は悩みました。私やクリニックを心より信頼いただいているご夫婦の役に立ちたい・・・。 その月の排卵日に、かなり特殊な方法の人工授精を試みましたが残念な結果でした。すぐに顕微授精に取り組んでいただき、4個の胚で2人を授かり、他の2個は化学的妊娠でしたので、結局すべての胚が着床したようでした。 出産後にお送りいただきましたお手紙の一部です。私の宝物です。 第1子:『産声が聞こえた時には子・主人・私で号泣でした。主人の「よく頑張った」私「ありがとう」と何度もお互いに声をかけ合い感動の嵐!!!今まで支えて下さった全ての方に感謝しました。今もしています!!日々幸せをかみしめています。』 第2子:『心身共に手厚いサポートの中、落ち着いて出産を迎えることが出来ました。今は家族が一緒に過ごせる幸せをしみじみ感じながら日々過ごしています。』 黄色の卒業証書(現行はピンク)、大地震でダメージを受けた前のクリニック、3ケタの診察券番号(今は5ケタ)・・・今ではスタッフさえほとんど知らない開院当初のこと。 YTさんはずっと見守り、応援してくださいました。ありがとうございます。 私の目指す医療の実現であるクリニックへのご理解。とても励まされ、支えていただきました。 ありがとうございます。 YTさんも41歳。遠方へご転居され、通院も大変になりました。でも、もっともっと子供が欲しいと2度目の顕微授精に取り組まれました。YTさんのために1枚だけ最後の黄色の卒業証書をとっておきました。色あせぬ様、約6年間しっかりと保管しておきました。 最後の診療の際、不妊症治療終了という意味で、黄色の卒業証書をお渡ししました。喜んでいただけたように感じました。嬉しかったです。 10年もの間、私に大切な人生の一部を託していただき、本当にありがとうございました。 先生のご紹介 吉川 守 先生(津田沼IVFクリニック) 数々の病院の産婦人科で活躍後、平成22年「津田沼IVFクリニック」を開院。治療にあたっては「十分納得して検査や治療を受けてほしい」と質問や相談にも丁寧に対応。先生のお人柄に感銘する患者さんも多数。日本産科婦人科学会専門医。日本母体保護法指定医師。 ≫ 津田沼IVFクリニック どんな些細な質問でもとことん丁寧に応えてくれる... そんな先生のもとで無事2人の女の子を授かりました 「治療期間は、自分の直感や本能に従って行動してきました」そう語るYTさん。この先生となら、どんな結果でも受け入れられる!そう思って治療を続けた結果、最高の結果を得ることができました。 自然な方法にこだわり続けステップアップへ踏ん切りがつかず5年の月日が流れる… YTさんがご主人と結婚したのは29歳の時。生理不順があり、子どもも早く欲しかったので、近所のクリニックへ早々に通い始めました。そこでタイミング法を試すもなかなか授かることができません。その後、引っ越しをきっかけに転院。一通りの検査を受けたものの、生理不順のほかには、特に悪い結果は出ませんでした。 ここで出会ったのが吉川先生。引きつづきタイミング法を続けるもうまくいかず、誰がみてもステップアップを勧められる段階に突入していました。しかし、極力自然な方法にこだわり続けて踏ん切りがつかないでいたYTさんに吉川先生はとことんつきあってくれたそうです。また、YTさんの質問に対して嫌な顔ひとつせず答えてくれる、たとえ答えがなくてもその答え方に心が救われる…そんな先生の応対に「いつもストレスを感じることなく帰宅できました」。しかしながら、すでにタイミング法を始めて5年の月日が流れていました。 先生の独立をきっかけにご主人に促され転院 そんな折に、吉川先生が独立されるとのニュース。「もしステップアップするなら、吉川先生のもとでなら納得できる」そう考えたYTさんは、ご主人のすすめもあり、先生のクリニックへと転院を決意します。「先生のクリニックは患者さんのデリケートな気持ちを汲むように、患者様同士が顔を合わせないですむように椅子が同じ方向に置かれていたり、おつりがすべて新札だったり、不妊カウンセラーの資格を持った方がなんでも聴いてくれる相談室があったり、定期的に『体外受精勉強会』を開催してくれたり、クリニックの外観も内装も病院らしさを感じないメルヘンチックな装いで、随所に先生のお人柄がにじみでるような、心づかいが行き届いた場所でした」。 ご主人の「何を最終目的にして治療を続けているのか…」との言葉に意を決して、いよいよ体外受精へと踏み切ったYTさん。初めての採卵で7個の卵子が採れました。最初の初期胚での移植は残念な結果でしたが、そこでの吉川先生の言葉を選んだ声がけにも心が救われました。また、ご主人の「落ち込んでいても結果は変わらないから、次のことを考えよう」そんな言葉も次へのステップを後押ししてくれたと言います。そして、2回目は凍結胚での移植…。結果は待ちに待った妊娠! 2012年5月にYTさんは無事、女の子を出産することができました。 2人目のトライも吉川先生のクリニックで 出産後、他県へ引越をしたYTさんでしたが2年後に2人目にトライ。「吉川先生のお顔を見るだけで気持ちがなごむから…」と2時間かけて、津田沼に通ったそうです。そして、最初の採卵時の凍結胚、移植2回目で妊娠。2015年3月に2人目の女の子が誕生しました。一度の採卵で治療は一区切りつけよう…と考えていたYTさんにとって最高の結果が待っていました。 「自分が感じたまま吉川先生についていったことで、今の家族があります。病院を卒業する時に先生がくれる“卒業証書”と卒業時のお腹のサイズのキューピーちゃんは今も私達の宝物です」。 From Doctor 治療を振り返って 津田沼IVFクリニック院長 吉川 守先生 YTさんと最初にお会いしましたのは、当時私が勤務していたクリニックでした。津田沼IVFクリニックを開業する際には、そちらのクリニックの患者様の引き抜きにならないように、私を主治医として認めてくださっていた患者様には本当に申し訳なく思いながらも、退職や開業のことを伝えないまま、ある日 急に去ることとなりました。 当クリニックは不妊症治療専門という診療の性格上、目立たぬことを患者様への最高の配慮として考え、開院時より本日まで人目につくような広告等は一切出さず、当時あったのは手作りのホームページだけ。そのため患者様はほとんど来ず・・・。患者さんの口コミと地域の先生方の紹介を頼みとしておりました。 そのような折、開院3ヵ月目にYTさんはご夫婦でいらしてくださったのです。嬉しかったです。行方不明状態の私を探し求めてくださったのです。再度私を主治医として、ご夫婦の人生をかけてご指名してくださったのです。 ご結婚後5年の経過、34歳というご年齢、前医で6回の人工授精不成功・・・。「なるべく自然な形で」というご希望、「体外受精はするにしてもチャレンジで1回だけ」というお考え。大変な難問に対し、新米開業医の私は悩みました。私やクリニックを心より信頼いただいているご夫婦の役に立ちたい・・・。 その月の排卵日に、かなり特殊な方法の人工授精を試みましたが残念な結果でした。すぐに顕微授精に取り組んでいただき、4個の胚で2人を授かり、他の2個は化学的妊娠でしたので、結局すべての胚が着床したようでした。 出産後にお送りいただきましたお手紙の一部です。私の宝物です。 第1子:『産声が聞こえた時には子・主人・私で号泣でした。主人の「よく頑張った」私「ありがとう」と何度もお互いに声をかけ合い感動の嵐!!!今まで支えて下さった全ての方に感謝しました。今もしています!!日々幸せをかみしめています。』 第2子:『心身共に手厚いサポートの中、落ち着いて出産を迎えることが出来ました。今は家族が一緒に過ごせる幸せをしみじみ感じながら日々過ごしています。』 黄色の卒業証書(現行はピンク)、大地震でダメージを受けた前のクリニック、3ケタの診察券番号(今は5ケタ)・・・今ではスタッフさえほとんど知らない開院当初のこと。 YTさんはずっと見守り、応援してくださいました。ありがとうございます。 私の目指す医療の実現であるクリニックへのご理解。とても励まされ、支えていただきました。 ありがとうございます。 YTさんも41歳。遠方へご転居され、通院も大変になりました。でも、もっともっと子供が欲しいと2度目の顕微授精に取り組まれました。YTさんのために1枚だけ最後の黄色の卒業証書をとっておきました。色あせぬ様、約6年間しっかりと保管しておきました。 最後の診療の際、不妊症治療終了という意味で、黄色の卒業証書をお渡ししました。喜んでいただけたように感じました。嬉しかったです。 10年もの間、私に大切な人生の一部を託していただき、本当にありがとうございました。 先生のご紹介 吉川 守 先生(津田沼IVFクリニック) 数々の病院の産婦人科で活躍後、平成22年「津田沼IVFクリニック」を開院。治療にあたっては「十分納得して検査や治療を受けてほしい」と質問や相談にも丁寧に対応。先生のお人柄に感銘する患者さんも多数。日本産科婦人科学会専門医。日本母体保護法指定医師。 ≫ 津田沼IVFクリニック
2017.9.7
コラム 不妊治療
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妊娠前に知っておきたい 出生前診断でわかること
妊娠前に知っておきたい出生前診断でわかること 2017/9/6 種村 光代 先生(種村ウィメンズクリニック) 出生前診断を受ける前に知っておきたいこと 妊娠中の不安を解消し、生まれてくる赤ちゃんの健康を確認するために大きな役割を果たす「出生前診断」。 妊娠の初~中期に胎児の染色体異常や遺伝性疾患、先天性の異常などを調べる出生前診断ですが、いきなり胎児の疾患の確定診断を受けるのは一般的ではありません。そもそも、すべての病気を診断できるわけではありませんし、検査を受ければかならず健康な赤ちゃんが産めるわけでもありません。 まずは主治医に相談し、遺伝カウンセリングやスクリーニング検査を受け、その後、確定診断へと進むのが通常の流れ。 では、最初のスクリーニングではどんなことがわかるのか、確定診断にせまる出生前診断とは一体どんなものなのか、順を追って知っていきましょう。 超音波や母体の採血で調べるスクリーニング検査 スクリーニングの代表的な検査には、胎児の超音波検査や母体血清マーカー検査があります。 超音波スクリーニングは胎児ドックとも呼ばれ、超音波で確認できる、染色体異常を持つ胎児が示しやすい特徴、サイン(ソフトマーカーと呼びます)を捉えて、染色体の異常の確率を推定していく方法です。 妊娠11~13週の初期胎児ドックと、赤ちゃんの臓器のでき始めや目立つ外表奇形をチェックする18~20週頃の中期の胎児ドックがあります。初期では胎児の染色体異常を中心にスクリーニングしますが、中期では、赤ちゃんの推定体重や羊水量、胎盤や臍帯(さいたい)なども観察します。 母体血清マーカー検査は妊娠15週になってから受けることができ、妊婦さんの血清中の成分値を調べることで、赤ちゃんの染色体異常の確率を推定する検査。日本ではクアトロテストとトリプルマーカーの2つが主流です。 クアトロテストは21番染色体トリソミーのダウン症と18番トリソミー、トリプルマーカー検査では21番染色体トリソミーのダウン症の確率を調べます。また、これらの検査で無脳症や二分脊椎などの開放性神経管欠損といわれる疾患も推定されます。 このほか、妊婦健診で受けるトキソプラズマやサイトメガロウイルスなどの母児感染の抗体検査も、スクリーニングのひとつといえます。 また、まだ一般的ではありませんが、クアトロテストやトリプルマーカーとは別の、2種類の母体の血液成分と、初期胎児ドックの所見を組み合わせたオスカー検査というものもあります。 35歳以上の妊婦なら新型出生前検査も スクリーニングの検査はあくまでも病気の確率を推定するもので、当然、その検査結果は絶対ではありません。しかし、なかには非常に信頼度が高いといわれるものもあります。 それが、妊娠10~18週くらいに受けることができる、新型出生前検査(無侵襲的出生前遺伝学的検査:NIPT検査)です。 母体血漿中の胎児由来のDNAを利用して胎児の遺伝学的検査を行うもので、高齢の妊婦さんの赤ちゃんに多いとされる、21、18、13番の染色体異常を検査するもので、陰性的中率、つまり陰性を保証する精度が非常に高いといわれています。 これにより、新型出生前検査で21、18、13番の染色体異常はないだろうという結果が出れば、その3つに限ってはかなり安心と言えます。 ただ、逆に陽性であった場合には偽陽性は皆無ではないため、確定のためには羊水検査を受ける必要があります。なお、日本では現在この検査は臨床研究として実施されており、高齢妊娠などのリスクの高い妊婦さんのみを対象として、検査可能な施設も限定されています。 出生前診断のメインとなるのは羊水検査 スクリーニングでの結果を受けて、次に考えるのが、確定診断となるいわゆる出生前診断です。 出生前診断の中心となるのは羊水検査ですが、妊娠の早い時期に行われる絨毛検査、週数が進めば胎児のへその緒から採血をする臍帯血検査という方法もあります。 羊水検査とは、お腹から子宮内に細くて長い特殊な針を刺して羊水を採取し、羊水中の赤ちゃん由来の物質や細胞によって染色体や遺伝子異常、ウイルス感染の有無を調べる検査。羊水量が増える15週以降で可能となる検査ですが、結果が得られるまでに通常2〜3週間かかります。 絨毛検査は、超音波で胎盤のもととなる絨毛膜有毛部という部位の位置を確認しながら、膣から鉗子やカテーテルを挿入、もしくはお腹から専用の針を刺して絨毛を採取して、異常の有無を調べます。だいたい11~14週くらいに受ける検査です。 どちらも胎児の遺伝情報そのものを解析するため確定診断となりますが、全ての染色体や遺伝子の異常が見つかるわけではありません。なお、現在、日本国内では絨毛検査を受けることのできる施設は限られます。 出生前診断にはリスクがあることも知ろう 出生前診断は、母体に針などを刺して直接サンプルを採るため、検査精度は高いですが、同時に0.3%程度と低頻度ではありますが、流産や破水、子宮内感染が起きるリスクもあります。また、どこまで出生前診断を徹底しても、実際の出産後には私たちに予想の付かない疾患が見つかることがあるのも事実です。 出生前診断を受ける場合、そういったリスクやサポート情報をしっかり伝えてくれるクリニックを選択することはとても重要です。 また、検査結果によっては大きな選択を迫られることもあり得ます。スクリーニングも出生前診断も事前にしっかりとカウンセリングを受けて、パートナーと十分に話し合い、納得した上で検査を受けることをおすすめします。 検査結果が陽性・・・! 治療はできる? 染色体異常や遺伝性疾患は、必ずしも治療ができるわけではありません。 しかし、早期に発見することで、分娩施設を考え直したり、出生後のサポートや療育プログラムを早めに考えることができ、赤ちゃんの予後がよくなることが期待できます。 また、ウイルスなどの母子感染については疾患の種類によって、胎児の治療という選択肢がないわけではありません。 私たち医師も診断をするだけではなく、できるだけ治療やサポートができる方向での情報提供をすることが大切だと思っています。 お話を伺った先生のご紹介 種村 光代 先生(種村ウィメンズクリニック院長) 名古屋市立大学医学部医学科・名古屋市立大学大学院医学研究科卒業、医学博士号修得。名古屋市立大学産科婦人科講師、同臨床遺伝医療部副部長を経て、2008年に開業。胎児スクリーニング、羊水検査、胎児治療、遺伝カウンセリングの症例経験は、全国的にもトップレベルを誇る。 ≫ 種村ウィメンズクリニック 妊娠前に知っておきたい出生前診断でわかること 2017/9/6 種村 光代 先生(種村ウィメンズクリニック) 出生前診断を受ける前に知っておきたいこと 妊娠中の不安を解消し、生まれてくる赤ちゃんの健康を確認するために大きな役割を果たす「出生前診断」。 妊娠の初~中期に胎児の染色体異常や遺伝性疾患、先天性の異常などを調べる出生前診断ですが、いきなり胎児の疾患の確定診断を受けるのは一般的ではありません。そもそも、すべての病気を診断できるわけではありませんし、検査を受ければかならず健康な赤ちゃんが産めるわけでもありません。 まずは主治医に相談し、遺伝カウンセリングやスクリーニング検査を受け、その後、確定診断へと進むのが通常の流れ。 では、最初のスクリーニングではどんなことがわかるのか、確定診断にせまる出生前診断とは一体どんなものなのか、順を追って知っていきましょう。 超音波や母体の採血で調べるスクリーニング検査 スクリーニングの代表的な検査には、胎児の超音波検査や母体血清マーカー検査があります。 超音波スクリーニングは胎児ドックとも呼ばれ、超音波で確認できる、染色体異常を持つ胎児が示しやすい特徴、サイン(ソフトマーカーと呼びます)を捉えて、染色体の異常の確率を推定していく方法です。 妊娠11~13週の初期胎児ドックと、赤ちゃんの臓器のでき始めや目立つ外表奇形をチェックする18~20週頃の中期の胎児ドックがあります。初期では胎児の染色体異常を中心にスクリーニングしますが、中期では、赤ちゃんの推定体重や羊水量、胎盤や臍帯(さいたい)なども観察します。 母体血清マーカー検査は妊娠15週になってから受けることができ、妊婦さんの血清中の成分値を調べることで、赤ちゃんの染色体異常の確率を推定する検査。日本ではクアトロテストとトリプルマーカーの2つが主流です。 クアトロテストは21番染色体トリソミーのダウン症と18番トリソミー、トリプルマーカー検査では21番染色体トリソミーのダウン症の確率を調べます。また、これらの検査で無脳症や二分脊椎などの開放性神経管欠損といわれる疾患も推定されます。 このほか、妊婦健診で受けるトキソプラズマやサイトメガロウイルスなどの母児感染の抗体検査も、スクリーニングのひとつといえます。 また、まだ一般的ではありませんが、クアトロテストやトリプルマーカーとは別の、2種類の母体の血液成分と、初期胎児ドックの所見を組み合わせたオスカー検査というものもあります。 35歳以上の妊婦なら新型出生前検査も スクリーニングの検査はあくまでも病気の確率を推定するもので、当然、その検査結果は絶対ではありません。しかし、なかには非常に信頼度が高いといわれるものもあります。 それが、妊娠10~18週くらいに受けることができる、新型出生前検査(無侵襲的出生前遺伝学的検査:NIPT検査)です。 母体血漿中の胎児由来のDNAを利用して胎児の遺伝学的検査を行うもので、高齢の妊婦さんの赤ちゃんに多いとされる、21、18、13番の染色体異常を検査するもので、陰性的中率、つまり陰性を保証する精度が非常に高いといわれています。 これにより、新型出生前検査で21、18、13番の染色体異常はないだろうという結果が出れば、その3つに限ってはかなり安心と言えます。 ただ、逆に陽性であった場合には偽陽性は皆無ではないため、確定のためには羊水検査を受ける必要があります。なお、日本では現在この検査は臨床研究として実施されており、高齢妊娠などのリスクの高い妊婦さんのみを対象として、検査可能な施設も限定されています。 出生前診断のメインとなるのは羊水検査 スクリーニングでの結果を受けて、次に考えるのが、確定診断となるいわゆる出生前診断です。 出生前診断の中心となるのは羊水検査ですが、妊娠の早い時期に行われる絨毛検査、週数が進めば胎児のへその緒から採血をする臍帯血検査という方法もあります。 羊水検査とは、お腹から子宮内に細くて長い特殊な針を刺して羊水を採取し、羊水中の赤ちゃん由来の物質や細胞によって染色体や遺伝子異常、ウイルス感染の有無を調べる検査。羊水量が増える15週以降で可能となる検査ですが、結果が得られるまでに通常2〜3週間かかります。 絨毛検査は、超音波で胎盤のもととなる絨毛膜有毛部という部位の位置を確認しながら、膣から鉗子やカテーテルを挿入、もしくはお腹から専用の針を刺して絨毛を採取して、異常の有無を調べます。だいたい11~14週くらいに受ける検査です。 どちらも胎児の遺伝情報そのものを解析するため確定診断となりますが、全ての染色体や遺伝子の異常が見つかるわけではありません。なお、現在、日本国内では絨毛検査を受けることのできる施設は限られます。 出生前診断にはリスクがあることも知ろう 出生前診断は、母体に針などを刺して直接サンプルを採るため、検査精度は高いですが、同時に0.3%程度と低頻度ではありますが、流産や破水、子宮内感染が起きるリスクもあります。また、どこまで出生前診断を徹底しても、実際の出産後には私たちに予想の付かない疾患が見つかることがあるのも事実です。 出生前診断を受ける場合、そういったリスクやサポート情報をしっかり伝えてくれるクリニックを選択することはとても重要です。 また、検査結果によっては大きな選択を迫られることもあり得ます。スクリーニングも出生前診断も事前にしっかりとカウンセリングを受けて、パートナーと十分に話し合い、納得した上で検査を受けることをおすすめします。 検査結果が陽性・・・! 治療はできる? 染色体異常や遺伝性疾患は、必ずしも治療ができるわけではありません。 しかし、早期に発見することで、分娩施設を考え直したり、出生後のサポートや療育プログラムを早めに考えることができ、赤ちゃんの予後がよくなることが期待できます。 また、ウイルスなどの母子感染については疾患の種類によって、胎児の治療という選択肢がないわけではありません。 私たち医師も診断をするだけではなく、できるだけ治療やサポートができる方向での情報提供をすることが大切だと思っています。 お話を伺った先生のご紹介 種村 光代 先生(種村ウィメンズクリニック院長) 名古屋市立大学医学部医学科・名古屋市立大学大学院医学研究科卒業、医学博士号修得。名古屋市立大学産科婦人科講師、同臨床遺伝医療部副部長を経て、2008年に開業。胎児スクリーニング、羊水検査、胎児治療、遺伝カウンセリングの症例経験は、全国的にもトップレベルを誇る。 ≫ 種村ウィメンズクリニック
2017.9.6
インタビュー 妊娠・出産
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子宮卵管造影検査で痛みがひどかった方いらっしゃいますか?
子宮卵管造影検査で痛みがひどかった方いらっしゃいますか? 2017/9/04 中村 嘉宏(なかむらレディースクリニック 院長) 相談者:りこ(専業主婦 / 32歳) 今日、子宮卵管造影検査を受けてきました。 造影剤注入時の痛みがひどく途中で注入をやめ、撮影しました。 検査結果は、半分の量しか注入できなかったせいもあり、造影剤の広がりが少ししかなく、よく分かりませんでした。 先生には、痛みがひどかった事から、卵管の通りはやや悪いと言われました。 今後の治療は半年間はタイミング法でやりましょう。と先生に言われました。 ちゃんとした結果が出なかった事が残念です。 もっと痛みに耐えれば良かったと、ちょっと後悔しています。 でも本当に痛かった。 同じような経験がある方はいらっしゃいますか? その後どのような検査をしたかなど、教えて頂きたいです。 宜しくお願いします。 卵管造影検査について教えてください。 卵子と精子がであう卵管がきちんと開通しているか、ふさがっていないかを調べる検査です。この検査によって不妊治療の方針も変わるので、重要な検査です。 子宮の入り口から造影剤を子宮の中に注入していき、レントゲンで観察して造影剤が卵管の方まで流れて行って卵管からお腹の中に出ているかどうかを確認して卵管が開通しているかどうかを判断します。 この検査をするメリットはありますか。 子宮卵管造影検査でわかることはたくさんあります。卵管の閉塞・狭窄、卵管留水腫、卵管周囲の癒着などの卵管の異常や子宮腔の形や子宮の形態異常などもわかります。 また、この検査を受けることで、それまでの状態よりも卵管が通りやすくなるため、検査後の1~6ヶ月は妊娠しやすくなることが多いです。 検査で痛みを感じることは多いのでしょうか。 個人差はありますが、多いと思います。レントゲンで造影剤を注入するのには、ある程度の圧力が必要です。子宮を広げるような圧力がかかり痛みを生じます。 また、卵管の通りが悪かったり閉塞していたりすると余計に圧がかかるため、痛みも強くなります。 当院では、卵管の開通を調べるのに、超音波下子宮卵管造影を行っています。やわらかい管を入れて泡立った生理食塩水を子宮にゆっくりと注入していくので、子宮に圧がかからず痛みはほとんどありません。レントゲンを用いないため、被曝もしません。当院ではこちらが基本の検査です。 途中でやめることはあるのでしょうか。 痛みが強い場合は止めます。無理をするとよくありません。痛みは我慢できないけど卵管が開通しているか気になる場合は、「超音波下子宮卵管造影」で確認されることをお勧めします。 中村先生より まとめ 再度、卵管造影検査を受けようと思ったら、次の生理の直後から受けることができます。 前回の検査で痛みがひどかったことを医師に伝えてみてください。痛みの少ない超音波下子宮卵管造影検査にするか、相談されるとよいと思います。 [無料]気軽にご相談ください お話を伺った先生のご紹介 中村 嘉宏 先生(なかむらレディースクリニック) 大阪市立大学医学部卒業。 同大学院で山中伸弥教授(現CiRA所長)の指導で学位取得。大阪市立大学附属病院、住友病院、北摂総合病院産婦人科部長を経て、2013年より藤野婦人科クリニック勤務。2015年4月なかむらレディースクリニック開院。 ≫ なかむらレディースクリニック 子宮卵管造影検査で痛みがひどかった方いらっしゃいますか? 2017/9/04 中村 嘉宏(なかむらレディースクリニック 院長) 相談者:りこ(専業主婦 / 32歳) 今日、子宮卵管造影検査を受けてきました。 造影剤注入時の痛みがひどく途中で注入をやめ、撮影しました。 検査結果は、半分の量しか注入できなかったせいもあり、造影剤の広がりが少ししかなく、よく分かりませんでした。 先生には、痛みがひどかった事から、卵管の通りはやや悪いと言われました。 今後の治療は半年間はタイミング法でやりましょう。と先生に言われました。 ちゃんとした結果が出なかった事が残念です。 もっと痛みに耐えれば良かったと、ちょっと後悔しています。 でも本当に痛かった。 同じような経験がある方はいらっしゃいますか? その後どのような検査をしたかなど、教えて頂きたいです。 宜しくお願いします。 卵管造影検査について教えてください。 卵子と精子がであう卵管がきちんと開通しているか、ふさがっていないかを調べる検査です。この検査によって不妊治療の方針も変わるので、重要な検査です。 子宮の入り口から造影剤を子宮の中に注入していき、レントゲンで観察して造影剤が卵管の方まで流れて行って卵管からお腹の中に出ているかどうかを確認して卵管が開通しているかどうかを判断します。 この検査をするメリットはありますか。 子宮卵管造影検査でわかることはたくさんあります。卵管の閉塞・狭窄、卵管留水腫、卵管周囲の癒着などの卵管の異常や子宮腔の形や子宮の形態異常などもわかります。 また、この検査を受けることで、それまでの状態よりも卵管が通りやすくなるため、検査後の1~6ヶ月は妊娠しやすくなることが多いです。 検査で痛みを感じることは多いのでしょうか。 個人差はありますが、多いと思います。レントゲンで造影剤を注入するのには、ある程度の圧力が必要です。子宮を広げるような圧力がかかり痛みを生じます。 また、卵管の通りが悪かったり閉塞していたりすると余計に圧がかかるため、痛みも強くなります。 当院では、卵管の開通を調べるのに、超音波下子宮卵管造影を行っています。やわらかい管を入れて泡立った生理食塩水を子宮にゆっくりと注入していくので、子宮に圧がかからず痛みはほとんどありません。レントゲンを用いないため、被曝もしません。当院ではこちらが基本の検査です。 途中でやめることはあるのでしょうか。 痛みが強い場合は止めます。無理をするとよくありません。痛みは我慢できないけど卵管が開通しているか気になる場合は、「超音波下子宮卵管造影」で確認されることをお勧めします。 中村先生より まとめ 再度、卵管造影検査を受けようと思ったら、次の生理の直後から受けることができます。 前回の検査で痛みがひどかったことを医師に伝えてみてください。痛みの少ない超音波下子宮卵管造影検査にするか、相談されるとよいと思います。 [無料]気軽にご相談ください お話を伺った先生のご紹介 中村 嘉宏 先生(なかむらレディースクリニック) 大阪市立大学医学部卒業。 同大学院で山中伸弥教授(現CiRA所長)の指導で学位取得。大阪市立大学附属病院、住友病院、北摂総合病院産婦人科部長を経て、2013年より藤野婦人科クリニック勤務。2015年4月なかむらレディースクリニック開院。 ≫ なかむらレディースクリニック
2017.9.4
専門医Q&A 不妊治療
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腟錠を入れてのセックス
腟錠を入れてのセックス 2017/9/04 中村 嘉宏(なかむらレディースクリニック 院長) 相談者:しもんぬ(主婦 / 34歳) カンジタにかかり、今日腟錠を入れてもらいました。1週間持続するそうで、また1週間後に腟錠を入れるみたいです。先生からは、カンジダ中でも子作りや妊娠に影響ないとは言っていました。 排卵日が近いので、明日の夜にタイミングをとろうと思っているのですが、今日腟錠を入れた状態で、明日セックスをしても大丈夫でしょうか? 1週間効果が持続する、と聞いて少し気になっています。 明日、性行為してもいいか先生に聞ければ良かったんですが、忘れていて聞けませんでした…。 やはり今周期は見送らなくてはいけないのでしょうか?1周期も無駄にしたくないので、とても残念ですが…。どなたかアドバイスをお願いします。 そもそもカンジタとはどんな病気ですか? カンジダとは真菌類というカビの一種で、水虫の仲間と考えるといいでしょう。皮膚や口の中、腟など体の表面のどこにでもいます。普段は数が少ないので症状はでませんが、風邪をひいたり、疲労があるなどちょっとした体調の変化で増殖し症状がでます。また、抗生剤を内服し、腟内に最も多い常在菌である乳酸桿菌が減少した場合にも腟内で増殖します。 主な症状としては、外陰部のかゆみ、酒かすのように白くボロボロとした特有のおりものがあります。気になる症状があれば早めに受診しましょう。 治療法について教えてください。 カンジダの増殖をおさえる抗真菌薬の腟錠や、外陰部に塗る軟膏を処方します。ほとんどのケースは約1週間の投薬でよくなります。患部は洗いすぎないことが大切です。赤ちゃん用の石鹸など、刺激の少ないものを使いましょう。 腟錠を入れた状態でセックスをして大丈夫でしょうか。 腟錠はすぐに溶けるので大丈夫かとは思いますが、セックスをすると出てきてしまう可能性もあります。また、男性はカンジダにはなりにくいのですが、真性包茎の場合感染することもあるため、注意が必要です。 おすすめはしませんが、どうしてもタイミングを無駄にしたくないのであれば、症状が軽い場合にかぎり関係を結ぶのもいいと思います。 妊娠へのカンジダの影響はありますか? カンジダがあるから妊娠しにくい、ということはありません。安心してください。 中村先生より まとめ カンジタにかかっていても妊娠率に影響はないので、タイミングを無駄にしたくなければ症状が軽い場合に限りセックスをしてもいいと思います。男性の性器は外に出ているので、女性に比べてカンジダにかかりにくいと言えますが、女性の症状が重い場合は感染の可能性もあるのでやめておいたほうがいいですね。 [無料]気軽にご相談ください お話を伺った先生のご紹介 中村 嘉宏 先生(なかむらレディースクリニック) 大阪市立大学医学部卒業。 同大学院で山中伸弥教授(現CiRA所長)の指導で学位取得。大阪市立大学附属病院、住友病院、北摂総合病院産婦人科部長を経て、2013年より藤野婦人科クリニック勤務。2015年4月なかむらレディースクリニック開院。 ≫ なかむらレディースクリニック 腟錠を入れてのセックス 2017/9/04 中村 嘉宏(なかむらレディースクリニック 院長) 相談者:しもんぬ(主婦 / 34歳) カンジタにかかり、今日腟錠を入れてもらいました。1週間持続するそうで、また1週間後に腟錠を入れるみたいです。先生からは、カンジダ中でも子作りや妊娠に影響ないとは言っていました。 排卵日が近いので、明日の夜にタイミングをとろうと思っているのですが、今日腟錠を入れた状態で、明日セックスをしても大丈夫でしょうか? 1週間効果が持続する、と聞いて少し気になっています。 明日、性行為してもいいか先生に聞ければ良かったんですが、忘れていて聞けませんでした…。 やはり今周期は見送らなくてはいけないのでしょうか?1周期も無駄にしたくないので、とても残念ですが…。どなたかアドバイスをお願いします。 そもそもカンジタとはどんな病気ですか? カンジダとは真菌類というカビの一種で、水虫の仲間と考えるといいでしょう。皮膚や口の中、腟など体の表面のどこにでもいます。普段は数が少ないので症状はでませんが、風邪をひいたり、疲労があるなどちょっとした体調の変化で増殖し症状がでます。また、抗生剤を内服し、腟内に最も多い常在菌である乳酸桿菌が減少した場合にも腟内で増殖します。 主な症状としては、外陰部のかゆみ、酒かすのように白くボロボロとした特有のおりものがあります。気になる症状があれば早めに受診しましょう。 治療法について教えてください。 カンジダの増殖をおさえる抗真菌薬の腟錠や、外陰部に塗る軟膏を処方します。ほとんどのケースは約1週間の投薬でよくなります。患部は洗いすぎないことが大切です。赤ちゃん用の石鹸など、刺激の少ないものを使いましょう。 腟錠を入れた状態でセックスをして大丈夫でしょうか。 腟錠はすぐに溶けるので大丈夫かとは思いますが、セックスをすると出てきてしまう可能性もあります。また、男性はカンジダにはなりにくいのですが、真性包茎の場合感染することもあるため、注意が必要です。 おすすめはしませんが、どうしてもタイミングを無駄にしたくないのであれば、症状が軽い場合にかぎり関係を結ぶのもいいと思います。 妊娠へのカンジダの影響はありますか? カンジダがあるから妊娠しにくい、ということはありません。安心してください。 中村先生より まとめ カンジタにかかっていても妊娠率に影響はないので、タイミングを無駄にしたくなければ症状が軽い場合に限りセックスをしてもいいと思います。男性の性器は外に出ているので、女性に比べてカンジダにかかりにくいと言えますが、女性の症状が重い場合は感染の可能性もあるのでやめておいたほうがいいですね。 [無料]気軽にご相談ください お話を伺った先生のご紹介 中村 嘉宏 先生(なかむらレディースクリニック) 大阪市立大学医学部卒業。 同大学院で山中伸弥教授(現CiRA所長)の指導で学位取得。大阪市立大学附属病院、住友病院、北摂総合病院産婦人科部長を経て、2013年より藤野婦人科クリニック勤務。2015年4月なかむらレディースクリニック開院。 ≫ なかむらレディースクリニック
2017.9.4
インタビュー 不妊治療
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二度目の流産
なおなおさん(37歳)はじめまして。 質問お願いします。 今年2月に37歳で第2子を妊娠しましたが、心拍確認後9週目で心拍停止し稽留流産となりました。 数日後に掻爬手術を受けました。 それから生理を3回を見送り、幸いにも8月に再度妊娠しました。 しかし8週目でも胎芽も心拍も確認できず、稽留流産となりました。 数日後に掻爬手術の予定です。 医師からは二度連続の流産ということもあり不育症の診断も勧められましたが、第1子(現在4歳)を無事に出産しているので、流産の確率の問題で年齢的なこともありたまたま2回続いてしまったという事かもしれないとも言われました。 第1子の出産時、癒着胎盤で用手剥離の処置を受けましたが全てを取り出せず1ヶ月様子をみました。 2月の掻爬手術の際に麻酔が途中で切れ、暴れたためか子宮内に血の塊が残り様子をみることになりました。 そういう事も流産に影響しているのでしょうか? 今回不育症の検査を受けた方がよいのでしょうか? 今は不安と悲しみでどうして良いか分かりません。 ただ出来ることならもう1人産みたいと思っています。 宜しくお願いします。 田中 紀子 先生 (田村秀子婦人科医院) 京都府立医科大学医学部大学院修了。医学博士、産婦人科認定医。大学院と2年間のアメリカ留学で、子宮内膜症や生殖医療の研究に携わり、扇町ARTレディースクリニック勤務などを経て、2008年3月より「田村秀子婦人科医院」勤務。生殖医療の現場に長年携わった経験から、近年は女性の心と体の健康をサポートする女性医療への関心が高まり、学会、勉強会などに積極的に参加。 ≫ 田村秀子婦人科医院 2度の流産に対する悲しみはもちろんですが、「次も流産したらどうしよう?」「妊娠するのがこわい」といった次の妊娠への不安も大きいでしょうね。まずは、私たち医師や専門のスタッフがゆっくりお話を聞き、必要であれば検査を行い、不安を少しでも取り除いて差し上げることが大切だと思います。妊娠は心理的な要素も大きく、心の状態がホルモンバランスに影響します。不安が解消されると次の妊娠率が改善するという報告もあります。 なおなおさんがご心配されている、1人目の時の癒着胎盤やその後の流産の経過については、今回の流産には特に影響はありません。1人目は問題なく出産された後、このような流産が続く方は残念ながらおられます。一般的には、1人目を妊娠されたときより年齢も進んでいますので、流産のリスクもあがります。担当の先生がおっしゃるように、年齢と確立の問題かもしれません。なおなおさんは1人目を自然に生んでいらっしゃるので、不育症検査が本当に必要なのか困惑されているのでしょう。 ただ、流産が2度続いているので、私も念のために不育症検査を受けてみてもよいのでは、と思います。検査の結果、何も問題がなければよいですし、もし何か原因がみつかれば、それに対してなんらかの対策や治療ができる可能性もあります。結果がわかることで、少し気持ちの整理ができ、次の妊娠に向けて前向きになれるのではないでしょうか。
2017.9.2
専門医Q&A 女性の健康
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人工授精で出血したけれど、妊娠された方いらっしゃいますか?
人工授精で出血したけれど、妊娠された方いらっしゃいますか? 2017/9/01 中村 嘉宏(なかむらレディースクリニック 院長) 相談者:パンチ(会社員 / 34歳) はじめまして、通算6回目の人工授精を終えました。 今回を含めて、過去5回人工授精後、出血をしておりますが、人工授精で出血をすると妊娠率は低くなると前回知り、出血するなら、人工授精を続ける意味もないのかな、とも思っています。 実は、前回のとき初めて出血しなかったので、期待したのですが、撃沈。やっぱり、関係ないかなぁ~とも思いつつ、なるべく出血しないように期待して、昨日臨んだところ、やはり出血をしました。 最初の3回は、今とは別の病院で、そのときは生理3日目ぐらいの出血量で2~3日続いており、今の病院になって、生理終わりぐらいのちょろっとした茶色いおりものが1日の間に数回ある程度と明らかに減ったので、人工授精でもうまい下手があるんだな、と思っていましたが、妊娠率を左右するとまでわかっていませんでした。 出血理由を先生に確認したところ、管が入りにくく人よりは狭いので、すれて出血してしまう、とのこと。 過去に人工授精後に処置が理由で、出血したけれど妊娠された方いらっしゃいますか?また出血しにくくする方法があれば教えてください。 人工授精で出血しやすい方はいるのでしょうか? この方のように人工授精用の管(チューブ)が入りにくい場合、チューブが子宮の入り口の部分(頸管)にこすれて出血をしてしまう場合があります。また、チューブが子宮の内部の内膜にこすれて出血してしまうケースもあります。 主には、子宮の入り口の内膜手前の頸管をチューブが通るときに、こすれて出血していると考えられるので、問題はありません。 人工授精で出血すると妊娠率は低くなるのでしょうか? わたしの経験ではあまり関係ないと思います。 内膜が傷つくことで妊娠率が低くなる可能性は、考えられないわけではないですが、着床の頃には治っている可能性が高く、また内膜のほんの一部が傷つくだけなので心配される必要はありません。出血量もこのぐらいなら問題はありません。 出血が見られたけれど妊娠したという方はいますか? たくさんおられます。出血は全然珍しいことではないので、全く心配される必要はありません。 人工授精の処置後の過ごし方は? 普段と変わらず過ごしていただいて結構です。万が一急な腹痛や発熱があった場合は、すぐに受診してください。 中村先生より まとめ 人工授精ではチューブが入りにくい場合、子宮頸管にこすれて出血することがあります。 子宮の奥までチューブを入れるので、内膜から出血することもあります。人工授精後の出血は珍しいことではなく、書かれている程度の出血なら気にしなくて大丈夫です。出血したからといって妊娠率が低下するということはないので、安心してください。 [無料]気軽にご相談ください お話を伺った先生のご紹介 中村 嘉宏 先生(なかむらレディースクリニック) 大阪市立大学医学部卒業。 同大学院で山中伸弥教授(現CiRA所長)の指導で学位取得。大阪市立大学附属病院、住友病院、北摂総合病院産婦人科部長を経て、2013年より藤野婦人科クリニック勤務。2015年4月なかむらレディースクリニック開院。 ≫ なかむらレディースクリニック 人工授精で出血したけれど、妊娠された方いらっしゃいますか? 2017/9/01 中村 嘉宏(なかむらレディースクリニック 院長) 相談者:パンチ(会社員 / 34歳) はじめまして、通算6回目の人工授精を終えました。 今回を含めて、過去5回人工授精後、出血をしておりますが、人工授精で出血をすると妊娠率は低くなると前回知り、出血するなら、人工授精を続ける意味もないのかな、とも思っています。 実は、前回のとき初めて出血しなかったので、期待したのですが、撃沈。やっぱり、関係ないかなぁ~とも思いつつ、なるべく出血しないように期待して、昨日臨んだところ、やはり出血をしました。 最初の3回は、今とは別の病院で、そのときは生理3日目ぐらいの出血量で2~3日続いており、今の病院になって、生理終わりぐらいのちょろっとした茶色いおりものが1日の間に数回ある程度と明らかに減ったので、人工授精でもうまい下手があるんだな、と思っていましたが、妊娠率を左右するとまでわかっていませんでした。 出血理由を先生に確認したところ、管が入りにくく人よりは狭いので、すれて出血してしまう、とのこと。 過去に人工授精後に処置が理由で、出血したけれど妊娠された方いらっしゃいますか?また出血しにくくする方法があれば教えてください。 人工授精で出血しやすい方はいるのでしょうか? この方のように人工授精用の管(チューブ)が入りにくい場合、チューブが子宮の入り口の部分(頸管)にこすれて出血をしてしまう場合があります。また、チューブが子宮の内部の内膜にこすれて出血してしまうケースもあります。 主には、子宮の入り口の内膜手前の頸管をチューブが通るときに、こすれて出血していると考えられるので、問題はありません。 人工授精で出血すると妊娠率は低くなるのでしょうか? わたしの経験ではあまり関係ないと思います。 内膜が傷つくことで妊娠率が低くなる可能性は、考えられないわけではないですが、着床の頃には治っている可能性が高く、また内膜のほんの一部が傷つくだけなので心配される必要はありません。出血量もこのぐらいなら問題はありません。 出血が見られたけれど妊娠したという方はいますか? たくさんおられます。出血は全然珍しいことではないので、全く心配される必要はありません。 人工授精の処置後の過ごし方は? 普段と変わらず過ごしていただいて結構です。万が一急な腹痛や発熱があった場合は、すぐに受診してください。 中村先生より まとめ 人工授精ではチューブが入りにくい場合、子宮頸管にこすれて出血することがあります。 子宮の奥までチューブを入れるので、内膜から出血することもあります。人工授精後の出血は珍しいことではなく、書かれている程度の出血なら気にしなくて大丈夫です。出血したからといって妊娠率が低下するということはないので、安心してください。 [無料]気軽にご相談ください お話を伺った先生のご紹介 中村 嘉宏 先生(なかむらレディースクリニック) 大阪市立大学医学部卒業。 同大学院で山中伸弥教授(現CiRA所長)の指導で学位取得。大阪市立大学附属病院、住友病院、北摂総合病院産婦人科部長を経て、2013年より藤野婦人科クリニック勤務。2015年4月なかむらレディースクリニック開院。 ≫ なかむらレディースクリニック
2017.9.1
専門医Q&A 不妊治療
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誠心堂での妊活レポート−3
誠心堂での妊活レポート−3 前々回のコラムより、妊活体験レポートをお送りしております。今回は3人目をご紹介します。 ジネコで募集した中医学で妊活するモニターさんのうち、誠心堂では6か月間で5人中3人が妊娠するという快挙を遂げました。選出した5名はどの医療機関でも妊娠しなかった人たち。 残念ながら妊娠しなかった2人の方ですが、1人は子宮の手術をしている方、もう1人は年齢的なことで妊活をあきらめた方でした。 モニターとなって妊娠にこぎつけた3名のレポートを3回に分けてお届けしています。 最終回の3人目は41才のIさんです。彼女は習慣性流産があり、5年以上不妊治療を続けて体外受精も行ないましたが、いい結果は得られなかったのです。モニターとして誠心堂に来た時は、採卵しても空胞になってしまうほど卵巣機能が低下し、FSH(卵胞刺激ホルモン)値が30もある、かなり厳しい状況でした。 加えてIさんは物事の捉え方がネガティブで、「妊娠はしたいけど、できないと思っています」と自ら言い切るような性格です。 「それなら、どうしてモニターに応募したの?」と聞くと、「私、矛盾しているんです。だからぜんぜん妊娠できるような実感がないんです」と言う。それなのに妊娠しない不安から採卵を続けてしまうのです。卵巣機能を回復させるためにも採卵はしばらくお休みしたほうがいいとアドバイスしても、採卵を行って、そのたびにFSH値がグンと上がってしまうのです。 そこで最初に行ったのが三焦調整法の鍼です。するとFSH値が半分まで下がり、そのうち正常値になっていきました。下垂体のホルモンはでていても、それがうまく卵巣まで届かないとFSH値が上がります。ですから卵巣の血行をよくする治療をすれば数値は下がるのです。 Iさんは冷え性で痩せており、食も細い腎虚タイプだったので、内臓の血行も悪い。このようなタイプは採卵に伴う微少の出血でもダメージになることがあるのです。そういう状態を早めに回復してあげると、卵巣の血行もよくなりFSH値も正常になります。数値が正常になったから、もう少し時間を置いて卵巣を休めとこうといっても、すぐに採卵に行ってしまう……。 そんなことをくりかえしていましたが、治療から6か月後にはいい卵が3個採れて、体外受精で妊娠したのです。 しかし、結論から言うと、19週で早産してしまいました。というのも諸事情で妊娠12週で漢方薬の治療をやめてしまったのです。腎虚タイプは流産、早産しやすいので、治療の継続は不可欠なんです。とても残念なことです。年齢からいってももったいないことをしたと思います。 妊娠できたことに自信がついたのでしょうか、「もう一度チャンスをください」といって、現在、再度妊娠に挑戦中です。 中医学の素晴らしさ 皆さんは中医学をご存知ですか? 漢方薬や鍼灸治療・薬膳・気功など様々なコンテンツがありますね。特に治療に関わる場合、漢方薬と鍼灸のことを指します。日本では別々に治療するケースが多いのですが、本来の治療では組み合わせることがとても重要です。 1+1は2ではありません。中医学では漢方薬と鍼灸治療の組み合わせることで、とても素晴らしい効果を発揮しています。 漢方薬は患部に届いて初めて効果が出ます。だから、弱った臓器の血流を鍼灸で回復させる。 ぜひ、あなたに合った組み合わせ方法を中医学の誠心堂へご相談ください。 株式会社誠心堂薬局代表取締役 西野 裕一先生株式会社誠心堂薬局代表取締役。 薬剤師・鍼灸師。北里大学薬学部卒。東京医療福祉専門学校鍼灸科卒。中国漢方普及協会会長。日本中医学会評議員。漢方・鍼灸をはじめとする中医学の有用性を啓発・普及させる活動に尽力。著書多数。≫ 誠心堂薬局 関連コラム ≫ 誠心堂での妊活レポート−2 ≫ 誠心堂での妊活レポート−1 ≫ 更年期の尿モレは漢方薬と鍼灸で相談を ≫ 尿モレの情報は出産前に収集しておこう ≫ 三焦調整法で卵子の質を守る-2 ≫ 三焦調整法で卵子の質を守る-1 ≫ 生活養生で更年期を上手に乗り越えれば老化も緩やかに迎えられる <外部サイト>店舗で相談してみる→ 誠心堂薬局 http://www.seishin-do.co.jp/rd/ 誠心堂での妊活レポート−3 前々回のコラムより、妊活体験レポートをお送りしております。今回は3人目をご紹介します。 ジネコで募集した中医学で妊活するモニターさんのうち、誠心堂では6か月間で5人中3人が妊娠するという快挙を遂げました。選出した5名はどの医療機関でも妊娠しなかった人たち。 残念ながら妊娠しなかった2人の方ですが、1人は子宮の手術をしている方、もう1人は年齢的なことで妊活をあきらめた方でした。 モニターとなって妊娠にこぎつけた3名のレポートを3回に分けてお届けしています。 最終回の3人目は41才のIさんです。彼女は習慣性流産があり、5年以上不妊治療を続けて体外受精も行ないましたが、いい結果は得られなかったのです。モニターとして誠心堂に来た時は、採卵しても空胞になってしまうほど卵巣機能が低下し、FSH(卵胞刺激ホルモン)値が30もある、かなり厳しい状況でした。 加えてIさんは物事の捉え方がネガティブで、「妊娠はしたいけど、できないと思っています」と自ら言い切るような性格です。 「それなら、どうしてモニターに応募したの?」と聞くと、「私、矛盾しているんです。だからぜんぜん妊娠できるような実感がないんです」と言う。それなのに妊娠しない不安から採卵を続けてしまうのです。卵巣機能を回復させるためにも採卵はしばらくお休みしたほうがいいとアドバイスしても、採卵を行って、そのたびにFSH値がグンと上がってしまうのです。 そこで最初に行ったのが三焦調整法の鍼です。するとFSH値が半分まで下がり、そのうち正常値になっていきました。下垂体のホルモンはでていても、それがうまく卵巣まで届かないとFSH値が上がります。ですから卵巣の血行をよくする治療をすれば数値は下がるのです。 Iさんは冷え性で痩せており、食も細い腎虚タイプだったので、内臓の血行も悪い。このようなタイプは採卵に伴う微少の出血でもダメージになることがあるのです。そういう状態を早めに回復してあげると、卵巣の血行もよくなりFSH値も正常になります。数値が正常になったから、もう少し時間を置いて卵巣を休めようとこうといっても、すぐに採卵に行ってしまう……。 そんなことをくりかえしていましたが、治療から6か月後にはいい卵が3個採れて、体外受精で妊娠したのです。 しかし、結論から言うと、19週で早産してしまいました。というのも諸事情で妊娠12週で漢方薬の治療をやめてしまったのです。腎虚タイプは流産、早産しやすいので、治療の継続は不可欠なんです。とても残念なことです。年齢からいってももったいないことをしたと思います。 妊娠できたことに自信がついたのでしょうか、「もう一度チャンスをください」といって、現在、再度妊娠に挑戦中です。 中医学の素晴らしさ 皆さんは中医学をご存知ですか? 漢方薬や鍼灸治療・薬膳・気功など様々なコンテンツがありますね。特に治療に関わる場合、漢方薬と鍼灸のことを指します。日本では別々に治療するケースが多いのですが、本来の治療では組み合わせることがとても重要です。 1+1は2ではありません。中医学では漢方薬と鍼灸治療の組み合わせることで、とても素晴らしい効果を発揮しています。 漢方薬は患部に届いて初めて効果が出ます。だから、弱った臓器の血流を鍼灸で回復させる。 ぜひ、あなたに合った組み合わせ方法を中医学の誠心堂へご相談ください。 株式会社誠心堂薬局代表取締役 西野 裕一先生株式会社誠心堂薬局代表取締役。 薬剤師・鍼灸師。北里大学薬学部卒。東京医療福祉専門学校鍼灸科卒。中国漢方普及協会会長。日本中医学会評議員。漢方・鍼灸をはじめとする中医学の有用性を啓発・普及させる活動に尽力。著書多数。≫ 誠心堂薬局 関連コラム ≫ 誠心堂での妊活レポート−2 ≫ 誠心堂での妊活レポート−1 ≫ 更年期の尿モレは漢方薬と鍼灸で相談を ≫ 尿モレの情報は出産前に収集しておこう ≫ 三焦調整法で卵子の質を守る-2 ≫ 三焦調整法で卵子の質を守る-1 ≫ 生活養生で更年期を上手に乗り越えれば老化も緩やかに迎えられる <外部サイト>店舗で相談してみる→ 誠心堂薬局 http://www.seishin-do.co.jp/rd/
2017.8.29
コラム 不妊治療
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子育てに役立つ? 今こそ見直したい自然分娩のメリット
子育てに役立つ? 今こそ見直したい自然分娩のメリット 2017/8/28 北原 慶幸 先生(北原産婦人科) 日本でも欧米流の無痛分娩を望む妊婦さんが増えているようですが、それと並行して今、自然な形での出産も見直されつつあります。自然分娩のメリットや、実際に経験した人の感想などを、産科医として多くの実績がある北原産婦人科の北原慶幸先生に伺いました。 自然分娩で得られるメリットとは? 自然分娩は太古の昔から動物がやってきたことで、本来は多くの方が、普通にできることですが、実際に経験してみると「自分で産んだ」という実感が強く、感動する方が多いようですね。 1人目のお子さんを無痛分娩で出産した方は「全然痛くなかったわけじゃなくて、それはそれでしんどかったのだけれど、周りが動いてくれていつの間にか産まれてきて……」とおっしゃいます。人にやってもらったという感じで、「自分で産んだよ」という実感が得にくいようですね。 自然分娩の場合も、当院では陣痛が発来するところからスタッフがずっとつきっきりで妊婦さんをサポートしていくのですが、その励ましがあって乗り切り、最後は自分で産んだということをしっかり感じることができます。 無痛分娩とは? 不自然な分娩なのですか? 無痛分娩は硬膜外麻酔を使い、お産の痛みをなくして分娩する方法で、欧米では当たり前のように行われています。麻酔を入れると確かに痛みはとれますが、子宮の収縮力も落ちてしまうことがあり、人によっては陣痛が弱くなってしまうことがあるんですね。 そうなると陣痛促進剤を使わなくてはいけない。自然に陣痛が来るのではなく、誘発で計画的に陣痛を発来させることになります。 あらかじめ出産日と入院日を決めて、麻酔薬を入れて、促進剤で陣痛を発来させる――。医師の管理下において、赤ちゃんを生むまでのプロセスすべてを人為的にやっていかなくてはいけません。自然分娩と比べると、やはり人工的な分娩ということになると思います。 また、最後の段階で、赤ちゃんを押し出す力が弱くなる場合もあります。そうなると吸引分娩になってしまいます。吸引分娩になる確率は明らかに無痛分娩の人のほうが高いですね。 吸引分娩は医学的に分類すると、異常分娩に入ります。赤ちゃんを救うためにはやむを得ない手段ですが、僕は大人の都合で必要以上に促進剤を使ったり、異常分娩させるのは間違っているように思います。 無痛分娩は自然分娩から痛みをとるだけのものではなく、管理下に置かれた人為的な分娩の形で、リスクもあることを知っておいていただきたいと思います。ただし、麻酔と産科に習熟した医師が、充分な設備やマンパワーを整えて行えば、決して危険だと言うわけではありません。 自然妊娠にもリスクはありますか? 自然妊娠でもリスクがないとはいえません。たとえば、出てくる赤ちゃんの頭とママの骨盤の大きさが釣り合っていない「児頭骨盤不均衡(じとうこつばんふきんこう)」というケースがあります。 これは150cm以下の身長が低い人に多いんですね。ほとんどの方は6cmまでは子宮口が開き、赤ちゃんの頭が下がって来るのですが、そこでピタッと止まってしまい、陣痛促進剤を強くしてもそれ以上子宮口が開かないし、赤ちゃんが下がらないという場合があります。そうなると帝王切開を選択せざるを得ません。 当院では初産で身長が150cm以下の方は、事前に必ずレントゲンを撮って骨盤の状態を確認し、分娩時のリスクや対処法についてきちんとご説明するようにしています。 「立ち会い出産」でパパのスイッチが入る? 女性は妊娠して、自分のお腹の中に命があると実感したとたん、ママのスイッチが入ります。ところが男性は、超音波で赤ちゃんの画像を見ても「へぇ~」というくらいの感覚。その頃はどんなに女性がパートナーに父性を求めても無理なことで、強制すればケンカになってしまうだけです。 僕はパパのスイッチが入るのは9ヵ月後でいいと思っています。スイッチを強くオンにするには、ぜひパートナーの方も出産に立ち会っていただきたいですね。当院では全体の7割が立ち会い出産です。 立ち会い出産はお産を見に来ることではなく、妊婦が分娩室に入るまでパートナーの男性に仕事をしてもらうことだと思っています。 まだいきんではいけない時、ママに「ひっひっふ~」という呼吸をしてもらいますが、本人はつらいから途中で止まってしまう。止まってこわばったままでいると、子宮頸部裂傷や胎児回旋異常が起きて帝王切開になってしまう可能性も。そんな時、パパに「ひっひっふ~」と声を掛けてもらうようにしています。 二人で何時間も頑張って、その後、分娩室に入って赤ちゃんが無事に出てくるところを見る。当院ではパパにへその緒を切ってもらいますから、夫婦共同出産ということで、パパも感動してスイッチが入りますよね。つらい時間を頑張って乗り越えたお互いの姿を見て、ご夫婦の絆もいっそう強まります。 ただし、いきなり立ち会うとトラウマになってしまう男性もいるので、当院では立ち会いの前には必ず、ご夫婦一緒に両親学級に参加して講義を聴いてもらうようにしています。講義を聴いてやめる方もいるし、「迷いましたが、話を聞いて出産に立ち会うことを決めました。実際に体験できて良かったです」という方も。 家族の絆は出産後からではなく、出産時から生まれると思っています。ですから、お産の時にはパパはできるだけママの横にいて欲しいと思いますね。 お話を伺った先生のご紹介 北原産婦人科 北原 慶幸院長 1985年東京慈恵会医科大学卒業。日本産婦人科学会認定医。母体保護法指定医。同院では命の誕生は限りなく自然な状態で迎えられるべきだと考え、病院の都合で陣痛促進剤を使うことはなく、分娩も緊急を要する場合を除いて、できるだけ自然分娩ができるように心がけている。初めての自然分娩を考えている方は、ぜひ同院ホームページの「ひっひっふ~のーと」を参考に。体験者の貴重なメッセージが閲覧可能。 ≫ 北原産婦人科 子育てに役立つ? 今こそ見直したい自然分娩のメリット 2017/8/28 北原 慶幸 先生(北原産婦人科) 日本でも欧米流の無痛分娩を望む妊婦さんが増えているようですが、それと並行して今、自然な形での出産も見直されつつあります。自然分娩のメリットや、実際に経験した人の感想などを、産科医として多くの実績がある北原産婦人科の北原慶幸先生に伺いました。 自然分娩で得られるメリットとは? 自然分娩は太古の昔から動物がやってきたことで、本来は多くの方が、普通にできることですが、実際に経験してみると「自分で産んだ」という実感が強く、感動する方が多いようですね。 1人目のお子さんを無痛分娩で出産した方は「全然痛くなかったわけじゃなくて、それはそれでしんどかったのだけれど、周りが動いてくれていつの間にか産まれてきて……」とおっしゃいます。人にやってもらったという感じで、「自分で産んだよ」という実感が得にくいようですね。 自然分娩の場合も、当院では陣痛が発来するところからスタッフがずっとつきっきりで妊婦さんをサポートしていくのですが、その励ましがあって乗り切り、最後は自分で産んだということをしっかり感じることができます。 無痛分娩とは? 不自然な分娩なのですか? 無痛分娩は硬膜外麻酔を使い、お産の痛みをなくして分娩する方法で、欧米では当たり前のように行われています。麻酔を入れると確かに痛みはとれますが、子宮の収縮力も落ちてしまうことがあり、人によっては陣痛が弱くなってしまうことがあるんですね。 そうなると陣痛促進剤を使わなくてはいけない。自然に陣痛が来るのではなく、誘発で計画的に陣痛を発来させることになります。 あらかじめ出産日と入院日を決めて、麻酔薬を入れて、促進剤で陣痛を発来させる――。医師の管理下において、赤ちゃんを生むまでのプロセスすべてを人為的にやっていかなくてはいけません。自然分娩と比べると、やはり人工的な分娩ということになると思います。 また、最後の段階で、赤ちゃんを押し出す力が弱くなる場合もあります。そうなると吸引分娩になってしまいます。吸引分娩になる確率は明らかに無痛分娩の人のほうが高いですね。 吸引分娩は医学的に分類すると、異常分娩に入ります。赤ちゃんを救うためにはやむを得ない手段ですが、僕は大人の都合で必要以上に促進剤を使ったり、異常分娩させるのは間違っているように思います。 無痛分娩は自然分娩から痛みをとるだけのものではなく、管理下に置かれた人為的な分娩の形で、リスクもあることを知っておいていただきたいと思います。ただし、麻酔と産科に習熟した医師が、充分な設備やマンパワーを整えて行えば、決して危険だと言うわけではありません。 自然妊娠にもリスクはありますか? 自然妊娠でもリスクがないとはいえません。たとえば、出てくる赤ちゃんの頭とママの骨盤の大きさが釣り合っていない「児頭骨盤不均衡(じとうこつばんふきんこう)」というケースがあります。 これは150cm以下の身長が低い人に多いんですね。ほとんどの方は6cmまでは子宮口が開き、赤ちゃんの頭が下がって来るのですが、そこでピタッと止まってしまい、陣痛促進剤を強くしてもそれ以上子宮口が開かないし、赤ちゃんが下がらないという場合があります。そうなると帝王切開を選択せざるを得ません。 当院では初産で身長が150cm以下の方は、事前に必ずレントゲンを撮って骨盤の状態を確認し、分娩時のリスクや対処法についてきちんとご説明するようにしています。 「立ち会い出産」でパパのスイッチが入る? 女性は妊娠して、自分のお腹の中に命があると実感したとたん、ママのスイッチが入ります。ところが男性は、超音波で赤ちゃんの画像を見ても「へぇ~」というくらいの感覚。その頃はどんなに女性がパートナーに父性を求めても無理なことで、強制すればケンカになってしまうだけです。 僕はパパのスイッチが入るのは9ヵ月後でいいと思っています。スイッチを強くオンにするには、ぜひパートナーの方も出産に立ち会っていただきたいですね。当院では全体の7割が立ち会い出産です。 立ち会い出産はお産を見に来ることではなく、妊婦が分娩室に入るまでパートナーの男性に仕事をしてもらうことだと思っています。 まだいきんではいけない時、ママに「ひっひっふ~」という呼吸をしてもらいますが、本人はつらいから途中で止まってしまう。止まってこわばったままでいると、子宮頸部裂傷や胎児回旋異常が起きて帝王切開になってしまう可能性も。そんな時、パパに「ひっひっふ~」と声を掛けてもらうようにしています。 二人で何時間も頑張って、その後、分娩室に入って赤ちゃんが無事に出てくるところを見る。当院ではパパにへその緒を切ってもらいますから、夫婦共同出産ということで、パパも感動してスイッチが入りますよね。つらい時間を頑張って乗り越えたお互いの姿を見て、ご夫婦の絆もいっそう強まります。 ただし、いきなり立ち会うとトラウマになってしまう男性もいるので、当院では立ち会いの前には必ず、ご夫婦一緒に両親学級に参加して講義を聴いてもらうようにしています。講義を聴いてやめる方もいるし、「迷いましたが、話を聞いて出産に立ち会うことを決めました。実際に体験できて良かったです」という方も。 家族の絆は出産後からではなく、出産時から生まれると思っています。ですから、お産の時にはパパはできるだけママの横にいて欲しいと思いますね。 お話を伺った先生のご紹介 北原産婦人科 北原 慶幸院長 1985年東京慈恵会医科大学卒業。日本産婦人科学会認定医。母体保護法指定医。同院では命の誕生は限りなく自然な状態で迎えられるべきだと考え、病院の都合で陣痛促進剤を使うことはなく、分娩も緊急を要する場合を除いて、できるだけ自然分娩ができるように心がけている。初めての自然分娩を考えている方は、ぜひ同院ホームページの「ひっひっふ~のーと」を参考に。体験者の貴重なメッセージが閲覧可能。 ≫ 北原産婦人科
2017.8.28
インタビュー 妊娠・出産
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排卵のしくみと、排卵しない理由がわかりません
排卵のしくみと、排卵しない理由がわかりません 2017/8/25 清水 真弓 先生(はるねクリニック銀座) 相談者:ゆきさん(34歳) 二人目不妊のためタイミング治療中です。HMG注射を使い、21㎝に育った卵胞があります。医師から卵巣の腫れを心配して、自然排卵で様子を見ましょうと言われていて、排卵を待っているところです。しかし排卵検査薬は陰性のままで5日経ちました。もともとLHが低いため、一人目の妊娠の時はHCG注射を使いました。そこで質問です。排卵検査薬が陰性のままだと、排卵しないで卵胞はしぼみますか? 後日病院を受診しますが、治療のためにも、知っておくべき最低限の知識とアドバイスをいただけますか。よろしくお願いします。 自力で排卵できないハイポ・ハイポのケース 質問の内容から、2つの治療ケースが考えられます。 1つめは、HCG注射を使わないために排卵しなかったケース。2つめは、HMGの副作用を回避するために積極的な排卵惹起(トリガー)を取り止めたケースです。 ケース別に治療の概要とアドバイスについてご説明します。 まず1つめのケースですが、「一人目の妊娠時はLHが低くHCG注射を使った」という事実が正しければ、ゆきさんは低ゴナドトロピン性性腺機能低下症の可能性があります。何らかの理由で脳から卵巣に働きかけるホルモンと、卵巣のホルモンの両方が少ない状態のことを言い、私たちはハイポ・ハイポと呼んでいます。LHも0~1と低く、排卵にはHCG注射などで外からLH作用を補うことが絶対に必要です。点鼻薬による排卵惹起は作用が違うため、この体質には効果がありません。 このケースにゆきさんが当てはまるなら、HCG注射を使っていないため排卵検査薬が陰性のままというのは当然で、卵胞はしぼむ運命です。でもHCG注射を使えば、陽性になって通常は排卵しますので安心ください。 清水先生より アドバイス ご自身がハイポ・ハイポ体質だということを認識しておきましょう。HCG注射を打つと排卵検査薬は陽性になり、通常排卵がおきます。 またごくまれですが、患者さんの体質を見逃して、卵胞が育っても医師がHCG注射を忘れてしまうことがあります。マンツーマン(主治医制)のクリニックではまずありませんが、毎回医師がかわるクリニックでは可能性がゼロではありません。それを防ぐためにも、治療時には毎回医師に伝えるとよいですね。 HMGの副作用を回避するためキャンセル周期とする、もしくは排卵検査薬の反応が出終わっているケース 2つめは、点鼻薬や注射を含めて自力で排卵できるものの、あえて積極的な排卵惹起を取り止めるケースです。HMGは卵を育てるのが目的ですが、卵が複数育った場合、そのまま排卵させると双子や三つ子などのハイリスク妊娠となる可能性があります。 一般に、16mmの卵胞が4つ以上育った場合は、その周期は治療をキャンセルするのが一般的です。質問文に書いてある「自然排卵で様子を見ましょう」というのは、「キャンセル周期としましょう」とも読み取れます。 このケースにゆきさんが当てはまるなら、排卵検査薬を使っていたようなので、医師との間に誤解があったのかもしれません。 また、卵胞が21mmということは、排卵検査薬での反応がもう出終わっていた可能性も考えられます。その場合は、通常排卵していきますので、後日エコーで排卵確認を行うのが一般的です。 清水先生より アドバイス 患者さんの卵胞をほどよく育てるための薬剤の選択・調整は、ベテラン医師でも難しいのです。同じ患者さんでも周期ごとにコンディションが変わることがありますし、医師の腕が問われます。実績ある不妊の専門施設を訪れるのも一つの方法でしょう。 二人目不妊の治療はどうする? 二人目不妊の治療は、成功例を踏襲するのが原則です。一人目の時にHCG注射を使って妊娠したのでしたら、私もそこから治療を始めます。 私自身、たくさんの患者さんと接してきた経験から言えることなのですが、ハイポ・ハイポ体質の方は、自力で排卵できるケースに比べて、排卵さえすれば妊娠しやすい印象があります。ゆきさんは30代前半とお若いので、妊娠の可能性は十分にあります。頑張って治療を続けてください。 [無料]気軽にご相談ください お話を伺った先生のご紹介 清水 真弓 先生(はるねクリニック銀座) 信州大学医学部卒業。神戸大学医学部附属病院、東京女子医科大学病院、木場公園クリニック勤務を経て2016年10月より現職。医学博士。日本産科婦人科学会産婦人科専門医。日本生殖医療学会生殖医療専門医。日本抗加齢医学会専門医。 ≫ はるねクリニック銀座 排卵のしくみと、排卵しない理由がわかりません 2017/8/25 清水 真弓 先生(はるねクリニック銀座) 相談者:ゆきさん(34歳) 二人目不妊のためタイミング治療中です。HMG注射を使い、21㎝に育った卵胞があります。医師から卵巣の腫れを心配して、自然排卵で様子を見ましょうと言われていて、排卵を待っているところです。しかし排卵検査薬は陰性のままで5日経ちました。もともとLHが低いため、一人目の妊娠の時はHCG注射を使いました。そこで質問です。排卵検査薬が陰性のままだと、排卵しないで卵胞はしぼみますか? 後日病院を受診しますが、治療のためにも、知っておくべき最低限の知識とアドバイスをいただけますか。よろしくお願いします。 自力で排卵できないハイポ・ハイポのケース 質問の内容から、2つの治療ケースが考えられます。 1つめは、HCG注射を使わないために排卵しなかったケース。2つめは、HMGの副作用を回避するために積極的な排卵惹起(トリガー)を取り止めたケースです。 ケース別に治療の概要とアドバイスについてご説明します。 まず1つめのケースですが、「一人目の妊娠時はLHが低くHCG注射を使った」という事実が正しければ、ゆきさんは低ゴナドトロピン性性腺機能低下症の可能性があります。何らかの理由で脳から卵巣に働きかけるホルモンと、卵巣のホルモンの両方が少ない状態のことを言い、私たちはハイポ・ハイポと呼んでいます。LHも0~1と低く、排卵にはHCG注射などで外からLH作用を補うことが絶対に必要です。点鼻薬による排卵惹起は作用が違うため、この体質には効果がありません。 このケースにゆきさんが当てはまるなら、HCG注射を使っていないため排卵検査薬が陰性のままというのは当然で、卵胞はしぼむ運命です。でもHCG注射を使えば、陽性になって通常は排卵しますので安心ください。 清水先生より アドバイス ご自身がハイポ・ハイポ体質だということを認識しておきましょう。HCG注射を打つと排卵検査薬は陽性になり、通常排卵がおきます。 またごくまれですが、患者さんの体質を見逃して、卵胞が育っても医師がHCG注射を忘れてしまうことがあります。マンツーマン(主治医制)のクリニックではまずありませんが、毎回医師がかわるクリニックでは可能性がゼロではありません。それを防ぐためにも、治療時には毎回医師に伝えるとよいですね。 HMGの副作用を回避するためキャンセル周期とする、もしくは排卵検査薬の反応が出終わっているケース 2つめは、点鼻薬や注射を含めて自力で排卵できるものの、あえて積極的な排卵惹起を取り止めるケースです。HMGは卵を育てるのが目的ですが、卵が複数育った場合、そのまま排卵させると双子や三つ子などのハイリスク妊娠となる可能性があります。 一般に、16mmの卵胞が4つ以上育った場合は、その周期は治療をキャンセルするのが一般的です。質問文に書いてある「自然排卵で様子を見ましょう」というのは、「キャンセル周期としましょう」とも読み取れます。 このケースにゆきさんが当てはまるなら、排卵検査薬を使っていたようなので、医師との間に誤解があったのかもしれません。 また、卵胞が21mmということは、排卵検査薬での反応がもう出終わっていた可能性も考えられます。その場合は、通常排卵していきますので、後日エコーで排卵確認を行うのが一般的です。 清水先生より アドバイス 患者さんの卵胞をほどよく育てるための薬剤の選択・調整は、ベテラン医師でも難しいのです。同じ患者さんでも周期ごとにコンディションが変わることがありますし、医師の腕が問われます。実績ある不妊の専門施設を訪れるのも一つの方法でしょう。 二人目不妊の治療はどうする? 二人目不妊の治療は、成功例を踏襲するのが原則です。一人目の時にHCG注射を使って妊娠したのでしたら、私もそこから治療を始めます。 私自身、たくさんの患者さんと接してきた経験から言えることなのですが、ハイポ・ハイポ体質の方は、自力で排卵できるケースに比べて、排卵さえすれば妊娠しやすい印象があります。ゆきさんは30代前半とお若いので、妊娠の可能性は十分にあります。頑張って治療を続けてください。 [無料]気軽にご相談ください お話を伺った先生のご紹介 清水 真弓 先生(はるねクリニック銀座) 信州大学医学部卒業。神戸大学医学部附属病院、東京女子医科大学病院、木場公園クリニック勤務を経て2016年10月より現職。医学博士。日本産科婦人科学会産婦人科専門医。日本生殖医療学会生殖医療専門医。日本抗加齢医学会専門医。 ≫ はるねクリニック銀座
2017.8.25
コラム 不妊治療
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西洋医学・東洋医学、両方で アプローチする「妊娠しやすい身体づくり」
西洋医学・東洋医学、両方でアプローチする「妊娠しやすい身体づくり」 2017/8/25 神藤 慧玲 先生(御苑アンジェリカクリニック) 西洋、東洋医学、両面から見た「妊娠しにくい身体」 まず、西洋医学の面から、あらゆるライフスタイル、ファクターをお持ちの女性を調べたデータで、妊娠を妨げる要因と考えられているのは、「喫煙・肥満・痩せ・不十分な運動・アルコール過剰摂取・カフェイン過剰摂取・心理ストレス」です。これらの要因は、タイミング法から体外受精まですべての段階で言えることです。 一方、東洋医学の面からみると、人間の身体は陰、陽、中庸に分類されます。妊娠にふさわしい状態は中庸~陽であり、身体が陰に傾いていると妊娠しにくいと言えます。陰証の特徴には冷えや疲れやすさなどがありますが、時には月経不順や月経困難症、排卵障害などの原因ともなります。また、不妊症の方は精神的なストレスから、漢方で大事にしている「気血」が不調になることもあります。このような方には東洋医学的なアプローチをおすすめしています。 両方の良い面を取り入れて「妊娠しやすい身体」へ 当院の治療は、西洋医学と東洋医学の2本立てで妊娠しやすい身体づくりを目指していきます。まずはひと通りのホルモンチェックなどを受けていただいたうえで、西洋医学の観点から、たとえば排卵を促すなどの必要な治療をしていきます。 東洋医学の観点からは陰証であれば陽気を増やすように、気血が不足していればこれを補うなど、それぞれの体質に合った漢方薬を処方します。また当院では、質のいい卵を育てる、スムーズな排卵を促す、着床を助ける、という目的別の生薬(煎じ薬)も処方しており、これらは月経周期に合わせて使用します。 健康の基本は「食事、睡眠、排便」です。おいしく食事が摂れる、すっきり排便がある、ぐっすり眠ることができる、この3拍子がそろうことが大切です。さらに、疲れやすい、イライラしやすい、肩こり・腰痛といった不快な症状を減らすことは、ホルモンバランスの改善にもつながります。 東洋医学を取り入れるメリットとは 東洋医学を併用することで、身体の土台を調えることができると考えています。例えば、倦怠感や冷え、風邪をひきやすいといった不定愁訴は現代医学的にはあまり問題視されませんが、東洋医学では重要な所見です。これらを改善し、バランスのとれた状態(中庸)へ導くことで、その方本来の力が発揮できるようになります。 前身のクリニックでは、体外受精などの高度生殖医療も行っていました。そのなかで、西洋医学的には特に問題がみられないのに、なかなか妊娠に至らない例をたくさん見てきました。東洋医学的な視点を加えることで、そのような患者さんをサポートできるのではとの思いから、クリニックを新設しました。子どもを授かるという目的は同じでも、西洋医学と東洋医学ではアプローチが違うので、併用することで相乗効果が期待できるのです。 当院では、漢方薬の処方だけではなく、鍼灸治療にも力を入れています。妊娠したいと願う方だけではなく、思春期・結婚前から妊娠に適した身体づくりをしたい方や、更年期の悩みをもつ方への治療も行っています。 お話を伺った先生のご紹介 神藤 慧玲(しんとう えり)先生(御苑アンジェリカクリニック) 千葉大学医学部卒業。千葉県内および東京都内大学病院、東京山手メディカルセンター、慶愛クリニック、慶愛大木クリニック、北里研究所東洋医学研究所漢方外来陪席を経て、2017年1月御苑アンジェリカクリニックを開院。クリニックではアンチエイジング治療などにも精力的に取り組み、あらゆる年代の女性をサポートしている。 ≫ 御苑アンジェリカクリニック 西洋医学・東洋医学、両方でアプローチする「妊娠しやすい身体づくり」 2017/8/25 神藤 慧玲 先生(御苑アンジェリカクリニック) 西洋、東洋医学、両面から見た「妊娠しにくい身体」 まず、西洋医学の面から、あらゆるライフスタイル、ファクターをお持ちの女性を調べたデータで、妊娠を妨げる要因と考えられているのは、「喫煙・肥満・痩せ・不十分な運動・アルコール過剰摂取・カフェイン過剰摂取・心理ストレス」です。これらの要因は、タイミング法から体外受精まですべての段階で言えることです。 一方、東洋医学の面からみると、人間の身体は陰、陽、中庸に分類されます。妊娠にふさわしい状態は中庸~陽であり、身体が陰に傾いていると妊娠しにくいと言えます。陰証の特徴には冷えや疲れやすさなどがありますが、時には月経不順や月経困難症、排卵障害などの原因ともなります。また、不妊症の方は精神的なストレスから、漢方で大事にしている「気血」が不調になることもあります。このような方には東洋医学的なアプローチをおすすめしています。 両方の良い面を取り入れて「妊娠しやすい身体」へ 当院の治療は、西洋医学と東洋医学の2本立てで妊娠しやすい身体づくりを目指していきます。まずはひと通りのホルモンチェックなどを受けていただいたうえで、西洋医学の観点から、たとえば排卵を促すなどの必要な治療をしていきます。 東洋医学の観点からは陰証であれば陽気を増やすように、気血が不足していればこれを補うなど、それぞれの体質に合った漢方薬を処方します。また当院では、質のいい卵を育てる、スムーズな排卵を促す、着床を助ける、という目的別の生薬(煎じ薬)も処方しており、これらは月経周期に合わせて使用します。 健康の基本は「食事、睡眠、排便」です。おいしく食事が摂れる、すっきり排便がある、ぐっすり眠ることができる、この3拍子がそろうことが大切です。さらに、疲れやすい、イライラしやすい、肩こり・腰痛といった不快な症状を減らすことは、ホルモンバランスの改善にもつながります。 東洋医学を取り入れるメリットとは 東洋医学を併用することで、身体の土台を調えることができると考えています。例えば、倦怠感や冷え、風邪をひきやすいといった不定愁訴は現代医学的にはあまり問題視されませんが、東洋医学では重要な所見です。これらを改善し、バランスのとれた状態(中庸)へ導くことで、その方本来の力が発揮できるようになります。 前身のクリニックでは、体外受精などの高度生殖医療も行っていました。そのなかで、西洋医学的には特に問題がみられないのに、なかなか妊娠に至らない例をたくさん見てきました。東洋医学的な視点を加えることで、そのような患者さんをサポートできるのではとの思いから、クリニックを新設しました。子どもを授かるという目的は同じでも、西洋医学と東洋医学ではアプローチが違うので、併用することで相乗効果が期待できるのです。 当院では、漢方薬の処方だけではなく、鍼灸治療にも力を入れています。妊娠したいと願う方だけではなく、思春期・結婚前から妊娠に適した身体づくりをしたい方や、更年期の悩みをもつ方への治療も行っています。 お話を伺った先生のご紹介 神藤 慧玲(しんとう えり)先生(御苑アンジェリカクリニック) 千葉大学医学部卒業。千葉県内および東京都内大学病院、東京山手メディカルセンター、慶愛クリニック、慶愛大木クリニック、北里研究所東洋医学研究所漢方外来陪席を経て、2017年1月御苑アンジェリカクリニックを開院。クリニックではアンチエイジング治療などにも精力的に取り組み、あらゆる年代の女性をサポートしている。 ≫ 御苑アンジェリカクリニック
2017.8.25
インタビュー 女性の健康
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誠心堂での妊活レポート−2
誠心堂での妊活レポート−2 前回のコラムより、妊活レポートをお送りしており、今回は2人目の体験レポートをご紹介します。 ジネコで募集した中医学で妊活するモニターさんのうち、誠心堂では6か月間で5人中3人が妊娠するという快挙を遂げました。選出した5名はどの医療機関でも妊娠しなかった人たち。 残念ながら妊娠しなかった2人の方ですが、1人は子宮の手術をしている方、もう1人は年齢的なことで妊活をあきらめた方でした。 モニターとなって妊娠にこぎつけた3名のレポートを3回に分けてお届けしています。 2回目のレポートは35歳のEさん。結婚して7年間不妊治療をしていました。3回ほど体外受精も試みましたが、一度も妊娠にはいたりませんでした。なかなかいい卵が採れないと悩んでおり、こうなったら体質改善するしかないとモニターに応募したそうです。 「いい卵が採れるまで半年の時間がかかる」という最初に説明を信じてくれて、苦い漢方薬もがんばって服用し、鍼治療も耐えて、念願の6か月で妊娠しました。 EさんはBMI(Body Mass Index=肥満判定の国際基準。普通値は18.5〜24.9。それ以下はやせ、それ以上は肥満となる)が30近くあった肥満体形でした。肥満は着床障害をおこすので、まずは内臓脂肪を減らすために体重を10キロ落としてもらいました。 中医学でいえば、気虚痰湿タイプ。つまり、体を温める力、ホルモン分泌を一定に保つ力が弱い気虚と、体の中に不要なものが溜まってしまい必要なものが届きにくくなる痰湿の両方を持ち合わせているのです。ですから気を補って血行をよくして補腎を行うことと、痰湿をよくするために糖質制限をしながら食物繊維を多く摂って体重を落としてもらいました。 補腎と活血法も行いました。補腎とはホルモンの分泌を安定させることです。活血法とは漢方と鍼で子宮や卵巣の血流を上げる方法です。漢方は血液の粘度を下げ、鍼は血流を集める効果があります。補腎と活血法の二つで着床できるようにもっていきました。その間も人工授精は行っていましたが、なかなか結果はでなかった。そうこうしているうちに治療から6か月目になり、Eさんは「そろそろいい卵ができているのではないか」と期待をしながら、久しぶりに体外受精をしたら、みごとに着床したのです。妊娠中も太らないように月に一度来店し、順調に赤ちゃんも育っていきました。 漢方はその人をベストコンディションにもっていき、本来の体の力を発揮できるようにする薬です。ですから不妊で悩んでいる人が妊娠できるのはもちろんですが、太り過ぎの人はダイエットもできるし、痩せすぎの人は適正体重になることも可能なのです。ここが西洋医学と違う点で、漢方は全体の健康レベルをあげるという利点があります。 中医学の素晴らしさ 皆さんは中医学をご存知ですか? 漢方薬や鍼灸治療・薬膳・気功など様々なコンテンツがありますね。特に治療に関わる場合、漢方薬と鍼灸のことを指します。日本では別々に治療するケースが多いのですが、本来の治療では組み合わせることがとても重要です。 1+1は2ではありません。中医学では漢方薬と鍼灸治療の組み合わせることで、とても素晴らしい効果を発揮しています。 漢方薬は患部に届いて初めて効果が出ます。だから、弱った臓器の血流を鍼灸で回復させる。 ぜひ、あなたに合った組み合わせ方法を中医学の誠心堂へご相談ください。 株式会社誠心堂薬局代表取締役 西野 裕一先生株式会社誠心堂薬局代表取締役。 薬剤師・鍼灸師。北里大学薬学部卒。東京医療福祉専門学校鍼灸科卒。中国漢方普及協会会長。日本中医学会評議員。漢方・鍼灸をはじめとする中医学の有用性を啓発・普及させる活動に尽力。著書多数。≫ 誠心堂薬局 関連コラム ≫ 誠心堂での妊活レポート−1 ≫ 更年期の尿モレは漢方薬と鍼灸で相談を ≫ 尿モレの情報は出産前に収集しておこう ≫ 三焦調整法で卵子の質を守る-2 ≫ 三焦調整法で卵子の質を守る-1 ≫ 生活養生で更年期を上手に乗り越えれば老化も緩やかに迎えられる ≫ 更年期障害の治療効果をアップさせる「五志七情」という考え方 <外部サイト>店舗で相談してみる→ 誠心堂薬局 http://www.seishin-do.co.jp/rd/ 誠心堂での妊活レポート−2 前回のコラムより、妊活レポートをお送りしており、今回は2人目の体験レポートをご紹介します。 ジネコで募集した中医学で妊活するモニターさんのうち、誠心堂では6か月間で5人中3人が妊娠するという快挙を遂げました。選出した5名はどの医療機関でも妊娠しなかった人たち。 残念ながら妊娠しなかった2人の方ですが、1人は子宮の手術をしている方、もう1人は年齢的なことで妊活をあきらめた方でした。 モニターとなって妊娠にこぎつけた3名のレポートを3回に分けてお届けしています。 2回目のレポートは35歳のEさん。結婚して7年間不妊治療をしていました。3回ほど体外受精も試みましたが、一度も妊娠にはいたりませんでした。なかなかいい卵が採れないと悩んでおり、こうなったら体質改善するしかないとモニターに応募したそうです。 「いい卵が採れるまで半年の時間がかかる」という最初に説明を信じてくれて、苦い漢方薬もがんばって服用し、鍼治療も耐えて、念願の6か月で妊娠しました。 EさんはBMI(Body Mass Index=肥満判定の国際基準。普通値は18.5〜24.9。それ以下はやせ、それ以上は肥満となる)が30近くあった肥満体形でした。肥満は着床障害をおこすので、まずは内臓脂肪を減らすために体重を10キロ落としてもらいました。 中医学でいえば、気虚痰湿タイプ。つまり、体を温める力、ホルモン分泌を一定に保つ力が弱い気虚と、体の中に不要なものが溜まってしまい必要なものが届きにくくなる痰湿の両方を持ち合わせているのです。ですから気を補って血行をよくして補腎を行うことと、痰湿をよくするために糖質制限をしながら食物繊維を多く摂って体重を落としてもらいました。 補腎と活血法も行いました。補腎とはホルモンの分泌を安定させることです。活血法とは漢方と鍼で子宮や卵巣の血流を上げる方法です。漢方は血液の粘度を下げ、鍼は血流を集める効果があります。補腎と活血法の二つで着床できるようにもっていきました。その間も人工授精は行っていましたが、なかなか結果はでなかった。そうこうしているうちに治療から6か月目になり、Eさんは「そろそろいい卵ができているのではないか」と期待をしながら、久しぶりに体外受精をしたら、みごとに着床したのです。妊娠中も太らないように月に一度来店し、順調に赤ちゃんも育っていきました。 漢方はその人をベストコンディションにもっていき、本来の体の力を発揮できるようにする薬です。ですから不妊で悩んでいる人が妊娠できるのはもちろんですが、太り過ぎの人はダイエットもできるし、痩せすぎの人は適正体重になることも可能なのです。ここが西洋医学と違う点で、漢方は全体の健康レベルをあげるという利点があります。 中医学の素晴らしさ 皆さんは中医学をご存知ですか? 漢方薬や鍼灸治療・薬膳・気功など様々なコンテンツがありますね。特に治療に関わる場合、漢方薬と鍼灸のことを指します。日本では別々に治療するケースが多いのですが、本来の治療では組み合わせることがとても重要です。 1+1は2ではありません。中医学では漢方薬と鍼灸治療の組み合わせることで、とても素晴らしい効果を発揮しています。 漢方薬は患部に届いて初めて効果が出ます。だから、弱った臓器の血流を鍼灸で回復させる。 ぜひ、あなたに合った組み合わせ方法を中医学の誠心堂へご相談ください。 株式会社誠心堂薬局代表取締役 西野 裕一先生株式会社誠心堂薬局代表取締役。 薬剤師・鍼灸師。北里大学薬学部卒。東京医療福祉専門学校鍼灸科卒。中国漢方普及協会会長。日本中医学会評議員。漢方・鍼灸をはじめとする中医学の有用性を啓発・普及させる活動に尽力。著書多数。≫ 誠心堂薬局 関連コラム ≫ 誠心堂での妊活レポート−1 ≫ 更年期の尿モレは漢方薬と鍼灸で相談を ≫ 尿モレの情報は出産前に収集しておこう ≫ 三焦調整法で卵子の質を守る-2 ≫ 三焦調整法で卵子の質を守る-1 ≫ 生活養生で更年期を上手に乗り越えれば老化も緩やかに迎えられる ≫ 更年期障害の治療効果をアップさせる「五志七情」という考え方 <外部サイト>店舗で相談してみる→ 誠心堂薬局 http://www.seishin-do.co.jp/rd/
2017.8.24
コラム 不妊治療
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染色体異常なし
「夫婦で染色体異常なしと言う検査でもお互いの今持ってる卵子、精子に何か問題があるとかあり得るんですか?」
2017.8.23
専門医Q&A 女性の健康
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私たちにどう関係してくる? 日本生殖補助医療標準化機関 JISARTのこと、詳しく知りたい
JISARTは、子どもが欲しいと願うご夫婦に安心して、ご満足できる医療を受けていただくことを目的としています。今回は、今年6月に理事長に就任された 蔵本先生にお話を伺いました。
2017.8.22
コラム 不妊治療
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特別企画〈家族の未来を考える〉 不妊治療の原点から考える里親・養子縁組制度
不妊に悩む夫婦の年齢が年々上がっている今、新たな選択肢の一つとして注目されつつある里親・養子縁組制度。生殖医療の観点からセント・ルカ産婦人科の宇津宮隆史先生にお話を伺いました。
2017.8.22
コラム 不妊治療
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海外レポート 台湾の生殖医療の現状について
海外レポート 台湾の生殖医療の現状について 張 宏吉 先生(台湾台北宏孕(ホンジ)ARTクリニック) 東京から飛行機で約4時間。台湾は人気の観光地としてだけではなく工業や医療分野などの成長も著しく、なかでも卵子提供による生殖医療が盛んなのはご存じでしょうか。世界から多くのレシピエントが訪れる台湾の現状を台湾台北宏孕(ホンジ)ARTクリニック(台北市)の張宏吉院長にお聞きしました。 日本にはない生殖医療に関する法律が台湾にはあるそうですね。法律ができた経緯は? 1985年、台北市の台北榮民総合病院にて台湾初の体外受精治療により赤ちゃん(試験管ベビー)が誕生しました。当時、台湾には生殖医療に関する法律が制定されておらず、生殖医療に関する議題が注目を集めました。正式に制定されるまでに死後の精子採取、代理母、クローン人間など多くの議論になかなか決着がつきませんでしたが、2007年ついに「人工生殖法」として制定されました。 法律の内容について簡単に教えてください。 まず不妊治療を受けられるのは、法律的に婚姻関係にある夫婦に限ることが大前提です。また、ドナーからの提供卵子や精子を使う場合は血縁関係の確実な調査のため、四親等表などの資料とともに台湾の国民健康署(日本の厚生労働省の一部に相当)に申告する必要があります。さらに、ドナーの条件について年齢の下限と上限が定められており、過去に提供した卵子または精子でレシピエントが妊娠出産に至った場合は、二度とドナーとして他者に提供することはできません。 日本は不妊治療クリニックが約600施設あり、大学病院よりも個人医院が多い点が特徴です。台湾の施設の特徴は? 国民健康署が2017年の時点で許可している台湾の人工生殖機構は83軒、そのうち個人クリニックは32軒です。日本と違い、台湾の不妊治療センターは大型の病院がメインとなっているようです。 日本では不妊のカップルは6組に1組と言われています。台湾の現状は? 国民健康署の統計によると、台湾国内の不妊症は10~15%、つまり7~10組の夫婦のうち1組は不妊のカップルと言えます。台湾の出生率はこの数年1.1%台にとどまっており、少子化問題は大変深刻です。しかしこれは不妊に原因があるわけではなく、女性の大学進学率が高い台湾では高学歴を活かして豊かな暮らしを望む若者たちが多く、子育てより経済活動を重視する社会的傾向があるためです。 台湾と日本の不妊治療における違いはありますか? 台湾人はオープンな国民性ではありますが、人工授精の中でも「卵子提供」に関してはやはりできるだけ知られずにいたいと思う方も多いようで、国民性による意識の差はないかと思います。 ただ、治療内での大きな違いは日本では認められていない着床前診断(PGS検査)が可能だということです。アメリカでは必須検査ですが、台湾の場合は希望者に対して検査をします。日本からのレシピエントは希望される方が多いですね。 卵子の提供者の条件はありますか? ドナーになれるのは20~39歳の健康な女性、法律により定められた感染症や性病などの検査をクリアした方のみとなります。以前にエッグドナーとして卵子を提供したことがある人も、再度ドナーになれますが、その提供した卵子で赤ちゃんが生まれていないことが条件です。 卵子提供者の情報はどこまで知ることができますか。 レシピエントが知ることができるのは「ドナーの血液型」「人種」「肌の色」の三点のみです。当然、事前カウンセリングにより、夫婦の容姿になるべく近くなるよう慎重にドナーを選んでいます。 また、レシピエントとドナーはお互いを知り得ることはできません。生まれた子どももドナーも、互いを知る権利は認められていません。 卵子提供を希望される方はどのような方が多いですか。国別の割合は? レシピエントは高齢のため良質の卵子がつくれなくなった方や、既に閉経された方、早発閉経と診断された方、ターナー症候群など染色体異常をおもちの方、化学療法を受けたことにより卵巣機能を失った方など多岐にわたります。 当院では年間200組ほどにマッチングを行いますが、そのうち7割以上が日本人です。次に中国人、韓国人と続き、フィリピン人をメインとしたアジア系アメリカ人という状況です。最近はオーストラリアからの問い合わせも増えています。 海外で卵子提供を受けるうえでの注意点やメッセージをお願いします。 日本の方々が海外で卵子提供を受けるには、ほかにスペインやアメリカなどの国があります。費用も安く、アメリカより行き来がしやすいという理由で台湾にいらっしゃる方は年々増えています。しかし、説明会やカウンセリングに足を運ばれ、医師のもつ技術や相性を見極めることが一番重要だと思います。 過信は禁物。次のステップに踏み出す前に 医療の質や相性を見極め、話し合いを大切に。 費用も安く、地理的に近く、人種的にも身近な台湾。自分は抜けられないトンネルにいるのでは…と感じておられる方にこの「海外での卵子提供」は希望の光となるかもしれません。しかしそれがすべて日本と同じ医療レベルではないのも確かです。過信し、安易に即決するのではなく、多くの医療法の中での選択肢のひとつとして冷静に向き合うことが大切です。夫婦同士、また担当医と十分な検討を重ね「その先」を慎重に進んでいきましょう。 [無料]気軽にご相談ください お話を伺った先生のご紹介 張 宏吉 先生(台湾台北宏孕(ホンジ)ARTクリニック) 台湾大学医学部卒業。米国ニューヨーク大学で生殖医学と不妊症を研究。2012年の開院以来、卵子提供を受けた日本人の患者は300名を超え、生まれた赤ちゃんは100名に上ります。 ≫ 台湾台北宏孕(ホンジ)ARTクリニック 出典:女性のための健康生活マガジン jineko vol.35 2017 Autumn≫ 掲載記事一覧はこちら 海外レポート 台湾の生殖医療の現状について 張 宏吉 先生(台湾台北宏孕(ホンジ)ARTクリニック) 東京から飛行機で約4時間。台湾は人気の観光地としてだけではなく工業や医療分野などの成長も著しく、なかでも卵子提供による生殖医療が盛んなのはご存じでしょうか。世界から多くのレシピエントが訪れる台湾の現状を台湾台北宏孕(ホンジ)ARTクリニック(台北市)の張宏吉院長にお聞きしました。 日本にはない生殖医療に関する法律が台湾にはあるそうですね。法律ができた経緯は? 1985年、台北市の台北榮民総合病院にて台湾初の体外受精治療により赤ちゃん(試験管ベビー)が誕生しました。当時、台湾には生殖医療に関する法律が制定されておらず、生殖医療に関する議題が注目を集めました。正式に制定されるまでに死後の精子採取、代理母、クローン人間など多くの議論になかなか決着がつきませんでしたが、2007年ついに「人工生殖法」として制定されました。 法律の内容について簡単に教えてください。 まず不妊治療を受けられるのは、法律的に婚姻関係にある夫婦に限ることが大前提です。また、ドナーからの提供卵子や精子を使う場合は血縁関係の確実な調査のため、四親等表などの資料とともに台湾の国民健康署(日本の厚生労働省の一部に相当)に申告する必要があります。さらに、ドナーの条件について年齢の下限と上限が定められており、過去に提供した卵子または精子でレシピエントが妊娠出産に至った場合は、二度とドナーとして他者に提供することはできません。 日本は不妊治療クリニックが約600施設あり、大学病院よりも個人医院が多い点が特徴です。台湾の施設の特徴は? 国民健康署が2017年の時点で許可している台湾の人工生殖機構は83軒、そのうち個人クリニックは32軒です。日本と違い、台湾の不妊治療センターは大型の病院がメインとなっているようです。 日本では不妊のカップルは6組に1組と言われています。台湾の現状は? 国民健康署の統計によると、台湾国内の不妊症は10~15%、つまり7~10組の夫婦のうち1組は不妊のカップルと言えます。台湾の出生率はこの数年1.1%台にとどまっており、少子化問題は大変深刻です。しかしこれは不妊に原因があるわけではなく、女性の大学進学率が高い台湾では高学歴を活かして豊かな暮らしを望む若者たちが多く、子育てより経済活動を重視する社会的傾向があるためです。 台湾と日本の不妊治療における違いはありますか? 台湾人はオープンな国民性ではありますが、人工授精の中でも「卵子提供」に関してはやはりできるだけ知られずにいたいと思う方も多いようで、国民性による意識の差はないかと思います。 ただ、治療内での大きな違いは日本では認められていない着床前診断(PGS検査)が可能だということです。アメリカでは必須検査ですが、台湾の場合は希望者に対して検査をします。日本からのレシピエントは希望される方が多いですね。 卵子の提供者の条件はありますか? ドナーになれるのは20~39歳の健康な女性、法律により定められた感染症や性病などの検査をクリアした方のみとなります。以前にエッグドナーとして卵子を提供したことがある人も、再度ドナーになれますが、その提供した卵子で赤ちゃんが生まれていないことが条件です。 卵子提供者の情報はどこまで知ることができますか。 レシピエントが知ることができるのは「ドナーの血液型」「人種」「肌の色」の三点のみです。当然、事前カウンセリングにより、夫婦の容姿になるべく近くなるよう慎重にドナーを選んでいます。 また、レシピエントとドナーはお互いを知り得ることはできません。生まれた子どももドナーも、互いを知る権利は認められていません。 卵子提供を希望される方はどのような方が多いですか。国別の割合は? レシピエントは高齢のため良質の卵子がつくれなくなった方や、既に閉経された方、早発閉経と診断された方、ターナー症候群など染色体異常をおもちの方、化学療法を受けたことにより卵巣機能を失った方など多岐にわたります。 当院では年間200組ほどにマッチングを行いますが、そのうち7割以上が日本人です。次に中国人、韓国人と続き、フィリピン人をメインとしたアジア系アメリカ人という状況です。最近はオーストラリアからの問い合わせも増えています。 海外で卵子提供を受けるうえでの注意点やメッセージをお願いします。 日本の方々が海外で卵子提供を受けるには、ほかにスペインやアメリカなどの国があります。費用も安く、アメリカより行き来がしやすいという理由で台湾にいらっしゃる方は年々増えています。しかし、説明会やカウンセリングに足を運ばれ、医師のもつ技術や相性を見極めることが一番重要だと思います。 過信は禁物。次のステップに踏み出す前に 医療の質や相性を見極め、話し合いを大切に。 費用も安く、地理的に近く、人種的にも身近な台湾。自分は抜けられないトンネルにいるのでは…と感じておられる方にこの「海外での卵子提供」は希望の光となるかもしれません。しかしそれがすべて日本と同じ医療レベルではないのも確かです。過信し、安易に即決するのではなく、多くの医療法の中での選択肢のひとつとして冷静に向き合うことが大切です。夫婦同士、また担当医と十分な検討を重ね「その先」を慎重に進んでいきましょう。 [無料]気軽にご相談ください お話を伺った先生のご紹介 張 宏吉 先生(台湾台北宏孕(ホンジ)ARTクリニック) 台湾大学医学部卒業。米国ニューヨーク大学で生殖医学と不妊症を研究。2012年の開院以来、卵子提供を受けた日本人の患者は300名を超え、生まれた赤ちゃんは100名に上ります。 ≫ 台湾台北宏孕(ホンジ)ARTクリニック 出典:女性のための健康生活マガジン jineko vol.35 2017 Autumn≫ 掲載記事一覧はこちら
2017.8.22
コラム 不妊治療
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卵子の老化とは?その意味を知り、いかに向き合うのか
40代の不妊治療で知っておきたい「卵子の老化」。治療内容や選択肢として考えられることは? セントマザー産婦人科医院の田中温先生にお話を伺いました。
2017.8.22
コラム 不妊治療
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高齢での卵巣刺激と移植の時期について教えてください
体外受精など高度な不妊治療を受けることができても、条件はどんどん厳しくなってくる40代。どのような卵巣刺激法を選択して、いつ移植するのがベストなのか、臼井医院不妊治療センターの臼井彰先生にお話を伺いました。
2017.8.22
コラム 不妊治療
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40代で始める不妊治療。知っておきたいことと心構え
40代で始める不妊治療。知っておきたいことと心構え 福井 敬介 先生(福井ウィメンズクリニック) 結婚のタイミングや仕事の都合など、さまざまな理由で40代から不妊治療を始める人も少なくありません。一方で、40代から始める不妊治療には40代なりの知識があったほうがいいそうです。福井ウィメンズクリニックの福井先生にその心構えについてお聞きしました。 最初の心構えで大切なことは? 当クリニックでも40代から不妊治療を始める方は多いです。多くの方は、事前にある程度の知識を得てから来られますが、なかには「治療をすればいずれ妊娠できるだろう」とのんびり構えている方もいます。しかし、漫然と治療をすることはおすすめしません。40代からの不妊治療は、計画性とスピードが大切ですから。 私はまず最初に40代の不妊治療における現実を説明しています。全国平均と当クリニックにおける妊娠のデータをお見せすることで、皆さんの意識が変わることが多いですね。現実を知っていれば、いつまで治療を続けるか、治療はどの段階まで進むか、といった計画を立てて治療を始めることができます 不妊治療の後には高齢出産の現実も 高齢で妊娠するということは、高齢で出産するということですから、妊娠できても40代で出産することのリスクについても考えたうえで挑んでほしいと思います。当クリニックの場合は、不妊治療だけでなく産科もありますので、特にそのあたりも一緒に考えていきたいと思います。 一般的に35歳以上の出産は高齢出産と言われます。地域や規模によっては、高齢出産を断る病院もあるかもしれません。しかし、断られたからといって落ちこむ必要はありませんよ。高齢出産には妊娠高血圧症候群の発症率が上がるなど、さまざまな影響がありますし、妊娠後期に前置胎盤になる危険性もあります。前置胎盤になると帝王切開となり輸血などで母体への負担が大きくなります。また、流産や早産のリスクも高まります。 リスクに対応できる設備が整った病院ならいいのですが、対応できない病院もあります。そのあたりをわかったうえで断っているだけのことですから、逆にちゃんとしている病院といえるでしょう。ですから、高齢出産に対応できる設備の整った病院を探せばいいと思いますよ。 妊娠が目標ではない。出産後をイメージして 不妊治療をしていると、どうしても妊娠することが目標になってしまいます。ですが、妊娠したら高齢出産を乗り越えなければいけませんし、出産後には高齢育児が待っています。仕事と育児の両立や、子どもの将来など、出産後のこともイメージしながら不妊治療を進めるのが理想的ですね。また、リスクに怯えてばかりでも仕方ないので、できるだけいいコンディションを整えることも大切です。十分な睡眠や塩分を控えた食事などの生活習慣にも気をつけましょう。 福井先生より まとめ 漫然と治療を続けるのが一番よくないです。まずは現実を知り、早めのステップアップを考えましょう。 [無料]気軽にご相談ください お話を伺った先生のご紹介 福井 敬介 先生(福井ウィメンズクリニック) 1989年、日本大学医学部卒業。卒業と同時に愛媛大学産科婦人科に入局、愛媛大学大学院医学専攻科修了。2000年愛媛大学産科婦人科学助教授。2001年、「高度な生殖医療をより身近な医療として不妊カップルに提供したい」と、福井ウィメンズクリニックを開設する。夏号の取材でジムに通い始めたことを話されていた福井先生。その後、見事ダイエットに成功しました。「まずは3カ月と決めてジムに通いました。何事も期限を決めるのは大事なことですね」と先生。 ≫ 福井ウィメンズクリニック 出典:女性のための健康生活マガジン jineko vol.35 2017 Aummer≫ 掲載記事一覧はこちら 40代で始める不妊治療。知っておきたいことと心構え 福井 敬介 先生(福井ウィメンズクリニック) 結婚のタイミングや仕事の都合など、さまざまな理由で40代から不妊治療を始める人も少なくありません。一方で、40代から始める不妊治療には40代なりの知識があったほうがいいそうです。福井ウィメンズクリニックの福井先生にその心構えについてお聞きしました。 最初の心構えで大切なことは? 当クリニックでも40代から不妊治療を始める方は多いです。多くの方は、事前にある程度の知識を得てから来られますが、なかには「治療をすればいずれ妊娠できるだろう」とのんびり構えている方もいます。しかし、漫然と治療をすることはおすすめしません。40代からの不妊治療は、計画性とスピードが大切ですから。 私はまず最初に40代の不妊治療における現実を説明しています。全国平均と当クリニックにおける妊娠のデータをお見せすることで、皆さんの意識が変わることが多いですね。現実を知っていれば、いつまで治療を続けるか、治療はどの段階まで進むか、といった計画を立てて治療を始めることができます 不妊治療の後には高齢出産の現実も 高齢で妊娠するということは、高齢で出産するということですから、妊娠できても40代で出産することのリスクについても考えたうえで挑んでほしいと思います。当クリニックの場合は、不妊治療だけでなく産科もありますので、特にそのあたりも一緒に考えていきたいと思います。 一般的に35歳以上の出産は高齢出産と言われます。地域や規模によっては、高齢出産を断る病院もあるかもしれません。しかし、断られたからといって落ちこむ必要はありませんよ。高齢出産には妊娠高血圧症候群の発症率が上がるなど、さまざまな影響がありますし、妊娠後期に前置胎盤になる危険性もあります。前置胎盤になると帝王切開となり輸血などで母体への負担が大きくなります。また、流産や早産のリスクも高まります。 リスクに対応できる設備が整った病院ならいいのですが、対応できない病院もあります。そのあたりをわかったうえで断っているだけのことですから、逆にちゃんとしている病院といえるでしょう。ですから、高齢出産に対応できる設備の整った病院を探せばいいと思いますよ。 妊娠が目標ではない。出産後をイメージして 不妊治療をしていると、どうしても妊娠することが目標になってしまいます。ですが、妊娠したら高齢出産を乗り越えなければいけませんし、出産後には高齢育児が待っています。仕事と育児の両立や、子どもの将来など、出産後のこともイメージしながら不妊治療を進めるのが理想的ですね。また、リスクに怯えてばかりでも仕方ないので、できるだけいいコンディションを整えることも大切です。十分な睡眠や塩分を控えた食事などの生活習慣にも気をつけましょう。 福井先生より まとめ 漫然と治療を続けるのが一番よくないです。まずは現実を知り、早めのステップアップを考えましょう。 [無料]気軽にご相談ください お話を伺った先生のご紹介 福井 敬介 先生(福井ウィメンズクリニック) 1989年、日本大学医学部卒業。卒業と同時に愛媛大学産科婦人科に入局、愛媛大学大学院医学専攻科修了。2000年愛媛大学産科婦人科学助教授。2001年、「高度な生殖医療をより身近な医療として不妊カップルに提供したい」と、福井ウィメンズクリニックを開設する。夏号の取材でジムに通い始めたことを話されていた福井先生。その後、見事ダイエットに成功しました。「まずは3カ月と決めてジムに通いました。何事も期限を決めるのは大事なことですね」と先生。 ≫ 福井ウィメンズクリニック 出典:女性のための健康生活マガジン jineko vol.35 2017 Aummer≫ 掲載記事一覧はこちら
2017.8.22
コラム 不妊治療
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誠心堂での妊活レポート−1
誠心堂での妊活レポート−1 ジネコで募集した中医学で妊活するモニターさんのうち、誠心堂では6か月間で5人中3人が妊娠するという快挙を遂げました。選出した5名はどの医療機関でも妊娠しなかった人たち。 残念ながら妊娠しなかった2人の方ですが、1人は子宮の手術をしている方、もう1人は年齢的なことで妊活をあきらめた方でした。 モニターとなって妊娠にこぎつけた3名のレポートを3回に分けてお届けします。 最初の方は35才の女性Aさんです。2年半ほど病院の不妊治療を受け、5回の体外受精も行いましたが妊娠には結びつきませんでした。凍結していた卵がなくなってしまい、また一から採卵と言われ、いまの状態では再度採卵しても着床は難しいのではないか。だったら採卵よりも体質改善をしてみようということでモニターに応募。そのころお父様が大病なさり、父親が生きているうちに孫を産みたいと、妊娠したい気持ちが強くなっていたことも後押ししたとのことです。 妊娠したい気持ちが強ければ、いい卵が採れるわけではありません。いい卵ができるように彼女に必要なケアがあります。年齢が35才くらいなら、正しいケアをすればいい卵はいっぱいできます。これはどの女性にも言えるのですが、誠心堂では半年ほど時間をいただければ、30代なら必ずいい卵が採れることを経験と実績で確信しています。30代なら卵巣に残っている卵の数もあるので、卵巣への血流量を上げながら補腎を行えばいい卵が必ず育ちます。 体外受精は失敗していたので時間をかけて行う予定でした。漢方薬の治療を開始して1か月後にとりあえず人工授精をAさんは受けました。すると、その人工授精で妊娠したのです。治療から1か月という短期間での妊娠。「いままで体外受精をしてもだめだったのになぜ」と、驚きました。 老化してしまったものを元にもどすような魔法の漢方ありません。しかし、誠心堂の実績では卵巣にストックされている卵胞の中に、ダメージを受けていない、いい卵があるなら50才でも自然妊娠する人はいるということです。肉体的に40代の後半でもいい卵が残っている可能性はある。それが30代であれば卵巣に大きな婦人科疾患が無いかぎり、確実にあると思っています。 また、相方の男性も同じです。いい卵といい精子があれば、必ず妊娠する、そのお手伝いはできると確信しているのです。 妊娠中はお母様が糖尿病だったことから、本人の体重管理もしてもらったのですが、もともと甘いものが大好きだし、2年半かかってやっと赤ちゃんを授かったことで周りからお祝いに甘いものをいっぱいいただいて食べてしまったことから、妊娠30週で糖尿になって入院をしました。 幸い初期の段階だったので対処でき、40週で3400gの元気な女の子を出産しました。母子ともに元気で過ごしていらっしゃいます。 中医学の素晴らしさ 皆さんは中医学をご存知ですか? 漢方薬や鍼灸治療・薬膳・気功など様々なコンテンツがありますね。特に治療に関わる場合、漢方薬と鍼灸のことを指します。日本では別々に治療するケースが多いのですが、本来の治療では組み合わせることがとても重要です。 1+1は2ではありません。中医学では漢方薬と鍼灸治療の組み合わせることで、とても素晴らしい効果を発揮しています。 漢方薬は患部に届いて初めて効果が出ます。だから、弱った臓器の血流を鍼灸で回復させる。 ぜひ、あなたに合った組み合わせ方法を中医学の誠心堂へご相談ください。 株式会社誠心堂薬局代表取締役 西野 裕一先生株式会社誠心堂薬局代表取締役。 薬剤師・鍼灸師。北里大学薬学部卒。東京医療福祉専門学校鍼灸科卒。中国漢方普及協会会長。日本中医学会評議員。漢方・鍼灸をはじめとする中医学の有用性を啓発・普及させる活動に尽力。著書多数。≫ 誠心堂薬局 関連コラム ≫ 更年期の尿モレは漢方薬と鍼灸で相談を ≫ 尿モレの情報は出産前に収集しておこう ≫ 三焦調整法で卵子の質を守る-2 ≫ 三焦調整法で卵子の質を守る-1 ≫ 生活養生で更年期を上手に乗り越えれば老化も緩やかに迎えられる ≫ 更年期障害の治療効果をアップさせる「五志七情」という考え方 ≫ 西洋医学の治療法に抵抗がある人は中医学の漢方薬を試してみよう <外部サイト>店舗で相談してみる→ 誠心堂薬局 http://www.seishin-do.co.jp/rd/ 誠心堂での妊活レポート−1 ジネコで募集した中医学で妊活するモニターさんのうち、誠心堂では6か月間で5人中3人が妊娠するという快挙を遂げました。選出した5名はどの医療機関でも妊娠しなかった人たち。 残念ながら妊娠しなかった2人の方ですが、1人は子宮の手術をしている方、もう1人は年齢的なことで妊活をあきらめた方でした。 モニターとなって妊娠にこぎつけた3名のレポートを3回に分けてお届けします。 最初の方は35才の女性Aさんです。2年半ほど病院の不妊治療を受け、5回の体外受精も行いましたが妊娠には結びつきませんでした。凍結していた卵がなくなってしまい、また一から採卵と言われ、いまの状態では再度採卵しても着床は難しいのではないか。だったら採卵よりも体質改善をしてみようということでモニターに応募。そのころお父様が大病なさり、父親が生きているうちに孫を産みたいと、妊娠したい気持ちが強くなっていたことも後押ししたとのことです。 妊娠したい気持ちが強ければ、いい卵が採れるわけではありません。いい卵ができるように彼女に必要なケアがあります。年齢が35才くらいなら、正しいケアをすればいい卵はいっぱいできます。これはどの女性にも言えるのですが、誠心堂では半年ほど時間をいただければ、30代なら必ずいい卵が採れることを経験と実績で確信しています。30代なら卵巣に残っている卵の数もあるので、卵巣への血流量を上げながら補腎を行えばいい卵が必ず育ちます。 体外受精は失敗していたので時間をかけて行う予定でした。漢方薬の治療を開始して1か月後にとりあえず人工授精をAさんは受けました。すると、その人工授精で妊娠したのです。治療から1か月という短期間での妊娠。「いままで体外受精をしてもだめだったのになぜ」と、驚きました。 老化してしまったものを元にもどすような魔法の漢方ありません。しかし、誠心堂の実績では卵巣にストックされている卵胞の中に、ダメージを受けていない、いい卵があるなら50才でも自然妊娠する人はいるということです。肉体的に40代の後半でもいい卵が残っている可能性はある。それが30代であれば卵巣に大きな婦人科疾患が無いかぎり、確実にあると思っています。 また、相方の男性も同じです。いい卵といい精子があれば、必ず妊娠する、そのお手伝いはできると確信しているのです。 妊娠中はお母様が糖尿病だったことから、本人の体重管理もしてもらったのですが、もともと甘いものが大好きだし、2年半かかってやっと赤ちゃんを授かったことで周りからお祝いに甘いものをいっぱいいただいて食べてしまったことから、妊娠30週で糖尿になって入院をしました。 幸い初期の段階だったので対処でき、40週で3400gの元気な女の子を出産しました。母子ともに元気で過ごしていらっしゃいます。 中医学の素晴らしさ 皆さんは中医学をご存知ですか? 漢方薬や鍼灸治療・薬膳・気功など様々なコンテンツがありますね。特に治療に関わる場合、漢方薬と鍼灸のことを指します。日本では別々に治療するケースが多いのですが、本来の治療では組み合わせることがとても重要です。 1+1は2ではありません。中医学では漢方薬と鍼灸治療の組み合わせることで、とても素晴らしい効果を発揮しています。 漢方薬は患部に届いて初めて効果が出ます。だから、弱った臓器の血流を鍼灸で回復させる。 ぜひ、あなたに合った組み合わせ方法を中医学の誠心堂へご相談ください。 株式会社誠心堂薬局代表取締役 西野 裕一先生株式会社誠心堂薬局代表取締役。 薬剤師・鍼灸師。北里大学薬学部卒。東京医療福祉専門学校鍼灸科卒。中国漢方普及協会会長。日本中医学会評議員。漢方・鍼灸をはじめとする中医学の有用性を啓発・普及させる活動に尽力。著書多数。≫ 誠心堂薬局 関連コラム ≫ 更年期の尿モレは漢方薬と鍼灸で相談を ≫ 尿モレの情報は出産前に収集しておこう ≫ 三焦調整法で卵子の質を守る-2 ≫ 三焦調整法で卵子の質を守る-1 ≫ 生活養生で更年期を上手に乗り越えれば老化も緩やかに迎えられる ≫ 更年期障害の治療効果をアップさせる「五志七情」という考え方 ≫ 西洋医学の治療法に抵抗がある人は中医学の漢方薬を試してみよう <外部サイト>店舗で相談してみる→ 誠心堂薬局 http://www.seishin-do.co.jp/rd/
2017.8.21
コラム 不妊治療
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2017.6.18 ジネコ妊活セミナー in 大阪
2017年6月18日に行われたジネコ 妊活セミナーより 不妊治療全般について 2017年6月18日(日)、大阪梅田にて「ジネコ妊活セミナー」を開催しました。第1部では、医療法人オーク会の培養士 天野奈美子さんに「不妊治療全般」について、第2部では「最先端不妊治療の紹介」として、医療法人オーク会 医師 田口早桐先生にお話いただきました。今回は第1部の内容の第1弾をお届けします。 体外受精とその流れ 体外受精とその関連技術を総称して「生殖補助医療 assisted reproductive technology」、又は「高度生殖医療技術 advanced reproductive technology」と呼び、頭文字をとってART(アート)と略されることもあります。卵管が詰まっていたり、運動精子が極端に少なかったり、一般不妊治療を繰り返しても妊娠に至らないといった場合に適用されます。 タイミング法や人工授精といった一般不妊治療は卵子と精子が出会いやすくして受精する確率を上げるもので、受精以降のプロセスは自然妊娠と同じです。一方、体外受精は、卵子を採取して体外で受精させ、培養してある程度育ってきた受精卵を子宮に入れるという方法で、より高度な医学的介入を行います。 ①排卵誘発→採卵 月経が始まったらIVF周期開始です。一般的な方法では、月経1日目から自然排卵を抑制する点鼻薬を使い始め、月経3日目からは排卵誘発の注射、月経6日目からは卵胞計測を行います。排卵誘発の期間は卵巣の反応によって異なりますが、約10日前後です。 卵胞が20mm程度に発育した時点で、卵子の最終的な成熟を促すHCGの注射を打つと、約36時間後に排卵が起こります。その直前に採卵を行います。 採卵当日に精子も必要なので、ご自宅で取ってお持ちいただくか、院内で採取していただきます。 ②受精 一般体外受精の場合は、卵に精子を振りかけて一緒に培養する、媒精(コンベンショナル体外受精)という方法で受精させます。卵に精子を振りかけると、沢山の精子が一斉に卵に向かって泳いでいき、精子頭部からヒアルロニダーゼという酵素を出して卵の周りの顆粒膜細胞や透明帯を溶かします。最初に卵に到達した精子が卵の中に入ると、透明帯や卵細胞膜に変化が起って他の精子が入れなくなり、受精が成立します。 コンベンショナル体外受精では、運動精子の濃度が重要で、最適な精子濃度は、1mlあたり10万個です。培養液1ml中に運動精子濃度が10万個になるように精子濃度を調整して振りかけます。 ③培養・移植 細胞分裂(分割)を始めた受精卵を胚と呼びます。胚は3日目頃までは分割を繰り返し、割球の数は増え、割球の大きさは小さくなります。やがて割球どうしがくっついて境界が不明瞭なコンパクションという状態を経て、胚盤胞となります。胚盤胞は、栄養外胚葉という将来胎盤になる細胞の層と、内細胞塊という将来胎児になる細胞の塊に分かれており、その内側は空洞になっています。この空洞(胚盤胞腔)が、胚盤胞の発育に従って拡張し、その圧力により透明帯が破れてハッチングが起こります。初期胚からハッチングが起こるまでの間に移植を行い、残った胚は凍結しておきます。超音波で観察しながら子宮内膜を傷つけないようにチューブを通し、胚や胚盤胞を子宮に移植します。 ④胚の凍結保存 胚移植後、残った胚や胚盤胞は、-196℃の液体窒素に入れて半永久的に保存できます。 当院では超急速ガラス化保存法(Vitrification法)という方法で胚を凍結保存しています。ガラス化液に投入して約1分後、液体窒素で瞬時に凍結し、クライオトップという専用のプラスチックシートに乗せて、液体窒素タンクで保管します。1個ずつ手作業で凍結するため、非常に手間がかかり熟練の手技を要する作業ですが、胚へのダメージは殆どなく、融解後は100%に近い確率で元の状態に戻ります。一度凍結すると半永久的に同じ状態を保てるので、胚移植をされても妊娠されなかった場合や、第二子を希望される場合には融解して移植することができます。精子や、未受精卵子も同様に保存できます。 ⑤妊娠判定 採卵日から数えて14日目に尿および血液中のHCGにて妊娠判定を行います。 妊娠反応が陽性だった場合、順調にいくと1週間後に超音波で胎嚢が確認でき、妊娠が成立します。妊娠反応が陰性だった場合や、陽性でも胎嚢を認める前に妊娠が終了した場合は、融解胚移植やICSI、着床補助技術などの併用といった次の治療方針を決めていきます。 ⑥妊娠後のフォローアップ ARTでは採卵・移植後にホルモン剤を使っているため、ご懐妊後もしばらくの間はホルモン補充が必要になります。妊娠の維持に必要なホルモンが絨毛から十分に供給されるようになる妊娠9週までは定期的に健診を行い、少しずつ量を減らしながらホルモン剤の服用を続けます。 妊娠12週頃までは出血などが起こりやすい不安定な時期であるため1週間に1回、妊娠12~24週は4週間に1回、妊娠26週以降は2週間に1回のペースで妊娠経過を見ていきます。36週以降は分娩設備のある施設にご紹介します。当院は、24時間365日体制で緊急対応を行っており入院設備もあるので、安心して治療を受けていただけます。 天野奈美子さん (医療法人オーク会 胚培養士)胚培養士歴14年。培養室業務や患者様への説明をはじめ、培養士の育成、セミナー講師なども務めます。欧州生殖医学会やアメリカ生殖医学会などの海外の学会に参加して最新技術を取り入れ、自らも研究発表を積極的に行なっています。 ジネコ妊活セミナー 2017年6月18日に行われたジネコ 妊活セミナーより 不妊治療全般について 2017年6月18日(日)、大阪梅田にて「ジネコ妊活セミナー」を開催しました。第1部では、医療法人オーク会の培養士 天野奈美子さんに「不妊治療全般」について、第2部では「最先端不妊治療の紹介」として、医療法人オーク会 医師 田口早桐先生にお話いただきました。今回は第1部の内容の第1弾をお届けします。 体外受精とその流れ 体外受精とその関連技術を総称して「生殖補助医療 assisted reproductive technology」、又は「高度生殖医療技術 advanced reproductive technology」と呼び、頭文字をとってART(アート)と略されることもあります。卵管が詰まっていたり、運動精子が極端に少なかったり、一般不妊治療を繰り返しても妊娠に至らないといった場合に適用されます。 タイミング法や人工授精といった一般不妊治療は卵子と精子が出会いやすくして受精する確率を上げるもので、受精以降のプロセスは自然妊娠と同じです。一方、体外受精は、卵子を採取して体外で受精させ、培養してある程度育ってきた受精卵を子宮に入れるという方法で、より高度な医学的介入を行います。 ①排卵誘発→採卵 月経が始まったらIVF周期開始です。一般的な方法では、月経1日目から自然排卵を抑制する点鼻薬を使い始め、月経3日目からは排卵誘発の注射、月経6日目からは卵胞計測を行います。排卵誘発の期間は卵巣の反応によって異なりますが、約10日前後です。 卵胞が20mm程度に発育した時点で、卵子の最終的な成熟を促すHCGの注射を打つと、約36時間後に排卵が起こります。その直前に採卵を行います。 採卵当日に精子も必要なので、ご自宅で取ってお持ちいただくか、院内で採取していただきます。 ②受精 一般体外受精の場合は、卵に精子を振りかけて一緒に培養する、媒精(コンベンショナル体外受精)という方法で受精させます。卵に精子を振りかけると、沢山の精子が一斉に卵に向かって泳いでいき、精子頭部からヒアルロニダーゼという酵素を出して卵の周りの顆粒膜細胞や透明帯を溶かします。最初に卵に到達した精子が卵の中に入ると、透明帯や卵細胞膜に変化が起って他の精子が入れなくなり、受精が成立します。 コンベンショナル体外受精では、運動精子の濃度が重要で、最適な精子濃度は、1mlあたり10万個です。培養液1ml中に運動精子濃度が10万個になるように精子濃度を調整して振りかけます。 ③培養・移植 細胞分裂(分割)を始めた受精卵を胚と呼びます。胚は3日目頃までは分割を繰り返し、割球の数は増え、割球の大きさは小さくなります。やがて割球どうしがくっついて境界が不明瞭なコンパクションという状態を経て、胚盤胞となります。胚盤胞は、栄養外胚葉という将来胎盤になる細胞の層と、内細胞塊という将来胎児になる細胞の塊に分かれており、その内側は空洞になっています。この空洞(胚盤胞腔)が、胚盤胞の発育に従って拡張し、その圧力により透明帯が破れてハッチングが起こります。初期胚からハッチングが起こるまでの間に移植を行い、残った胚は凍結しておきます。超音波で観察しながら子宮内膜を傷つけないようにチューブを通し、胚や胚盤胞を子宮に移植します。 ④胚の凍結保存 胚移植後、残った胚や胚盤胞は、-196℃の液体窒素に入れて半永久的に保存できます。 当院では超急速ガラス化保存法(Vitrification法)という方法で胚を凍結保存しています。ガラス化液に投入して約1分後、液体窒素で瞬時に凍結し、クライオトップという専用のプラスチックシートに乗せて、液体窒素タンクで保管します。1個ずつ手作業で凍結するため、非常に手間がかかり熟練の手技を要する作業ですが、胚へのダメージは殆どなく、融解後は100%に近い確率で元の状態に戻ります。一度凍結すると半永久的に同じ状態を保てるので、胚移植をされても妊娠されなかった場合や、第二子を希望される場合には融解して移植することができます。精子や、未受精卵子も同様に保存できます。 ⑤妊娠判定 採卵日から数えて14日目に尿および血液中のHCGにて妊娠判定を行います。 妊娠反応が陽性だった場合、順調にいくと1週間後に超音波で胎嚢が確認でき、妊娠が成立します。妊娠反応が陰性だった場合や、陽性でも胎嚢を認める前に妊娠が終了した場合は、融解胚移植やICSI、着床補助技術などの併用といった次の治療方針を決めていきます。 ⑥妊娠後のフォローアップ ARTでは採卵・移植後にホルモン剤を使っているため、ご懐妊後もしばらくの間はホルモン補充が必要になります。妊娠の維持に必要なホルモンが絨毛から十分に供給されるようになる妊娠9週までは定期的に健診を行い、少しずつ量を減らしながらホルモン剤の服用を続けます。 妊娠12週頃までは出血などが起こりやすい不安定な時期であるため1週間に1回、妊娠12~24週は4週間に1回、妊娠26週以降は2週間に1回のペースで妊娠経過を見ていきます。36週以降は分娩設備のある施設にご紹介します。当院は、24時間365日体制で緊急対応を行っており入院設備もあるので、安心して治療を受けていただけます。 天野奈美子さん (医療法人オーク会 胚培養士)胚培養士歴14年。培養室業務や患者様への説明をはじめ、培養士の育成、セミナー講師なども務めます。欧州生殖医学会やアメリカ生殖医学会などの海外の学会に参加して最新技術を取り入れ、自らも研究発表を積極的に行なっています。 ジネコ妊活セミナー
2017.8.21
レポート 不妊治療