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ドクターが解説 !!生殖医療用語「GnRHアナログ製剤」
難しい用語がいろいろと出てくる不妊治療の現場。治療でよく聞く用語だけど、あまり正確に知らないものも多いのでは?勘違いや思い込みを防ぐためにもしっかり確認しておきましょう。クリニックの先生に用語の解説をしていただきました。 HCG製剤 妊婦の尿から抽出・乾燥して得られた性腺刺激ホルモン製剤で、ヒト絨毛性性腺刺激ホルモンといわれます。下垂体から分泌されるLHと同じ働きをします。 つまりFSHとともに①卵胞を成熟させる、②排卵を誘発する、③黄体機能を促すとともに維持する、④プロゲステロンの合成を促進するなどの作用があります。 ARTにおける調節卵巣刺激法では、FSH製剤やヒト下垂体性性腺刺激ホルモン製剤(HMG製剤)で卵胞の発育・成熟を促したのち、排卵を誘発させるために使用されます。投与後24~36時間後に排卵が起きるとされています。ただし、HMG製剤とともに使用する場合には、血栓症や脳梗塞などを伴う重篤な卵巣過剰刺激症候群(OHSS)を起こすリスクがあります。 一方、黄体機能不全による不妊が疑われる場合に、黄体機能の維持・活性化を目的に、黄体ホルモンの補充として使われます。 赤坂レディースクリニック(東京都港区) 下川 理世 先生2000年慶応義塾大学医学部産婦人科入局。その後、静岡赤十字病院産婦人科、市川総合病院産婦人科リプロダクションセンター、湘南IVFクリニック(現メディカルパーク湘南)を経て、2016年4月、赤坂レディースクリニックを開業。婦人科診療から不妊治療まで総合的に行っている。 出典:女性のための健康生活マガジン jineko vol.34 2017 Summer≫ マガジンの記事がすべてご覧いただけます! ドクターが解説 !!生殖医療用語 一覧 難しい用語がいろいろと出てくる不妊治療の現場。治療でよく聞く用語だけど、あまり正確に知らないものも多いのでは?勘違いや思い込みを防ぐためにもしっかり確認しておきましょう。クリニックの先生に用語の解説をしていただきました。 HCG製剤 妊婦の尿から抽出・乾燥して得られた性腺刺激ホルモン製剤で、ヒト絨毛性性腺刺激ホルモンといわれます。下垂体から分泌されるLHと同じ働きをします。 つまりFSHとともに①卵胞を成熟させる、②排卵を誘発する、③黄体機能を促すとともに維持する、④プロゲステロンの合成を促進するなどの作用があります。 ARTにおける調節卵巣刺激法では、FSH製剤やヒト下垂体性性腺刺激ホルモン製剤(HMG製剤)で卵胞の発育・成熟を促したのち、排卵を誘発させるために使用されます。投与後24~36時間後に排卵が起きるとされています。ただし、HMG製剤とともに使用する場合には、血栓症や脳梗塞などを伴う重篤な卵巣過剰刺激症候群(OHSS)を起こすリスクがあります。 一方、黄体機能不全による不妊が疑われる場合に、黄体機能の維持・活性化を目的に、黄体ホルモンの補充として使われます。 赤坂レディースクリニック(東京都港区) 下川 理世 先生2000年慶応義塾大学医学部産婦人科入局。その後、静岡赤十字病院産婦人科、市川総合病院産婦人科リプロダクションセンター、湘南IVFクリニック(現メディカルパーク湘南)を経て、2016年4月、赤坂レディースクリニックを開業。婦人科診療から不妊治療まで総合的に行っている。 出典:女性のための健康生活マガジン jineko vol.34 2017 Summer≫ マガジンの記事がすべてご覧いただけます! ドクターが解説 !!生殖医療用語 一覧
2017.5.23
コラム 不妊治療
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ドクターが解説 !!生殖医療用語「GnRHアナログ製剤」
難しい用語がいろいろと出てくる不妊治療の現場。治療でよく聞く用語だけど、あまり正確に知らないものも多いのでは?勘違いや思い込みを防ぐためにもしっかり確認しておきましょう。クリニックの先生に用語の解説をしていただきました。
2017.5.23
コラム 不妊治療
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ドクターが解説 !!生殖医療用語「GnRHアゴニスト製剤」
難しい用語がいろいろと出てくる不妊治療の現場。治療でよく聞く用語だけど、あまり正確に知らないものも多いのでは?勘違いや思い込みを防ぐためにもしっかり確認しておきましょう。クリニックの先生に用語の解説をしていただきました。 GnRHアゴニスト製剤 視床下部から分泌される性腺刺激ホルモン(ゴナドトロピン)放出ホルモン(GnRH)に似た構造をもつ合成薬の1つで、点鼻薬と注射薬があります。脳下垂体にあるGnRHの受容体に結合し、作動薬として働きます。子宮内膜症の疼痛緩和や子宮筋腫の病変縮小を目的として、またARTにおける調節卵巣刺激の低刺激法で使われます。 体内でつくられるGnRHよりも受容体と結合する力が強く、作用も高まります。使用初期は受容体の数が増えLH、FSHも多く分泌されます。しかし長期の使用により受容体が減り、反応も弱まってLH、FSHの分泌が抑制するように働きます。そこで、調節卵巣刺激法において採卵前に排卵してしまうことを防ぐ、あるいは卵胞の発育をコントロールする目的で使われています。 点鼻薬を使用するロング法では早発排卵を抑制でき、たくさんの卵子を得られるのですが、多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)がある場合には卵巣過剰刺激症候群(OHSS)のリスクが高まります。 可世木病院(愛知県名古屋市) 可世木 成明 先生名古屋大学医学部卒業。同大大学院医学研究科博士課程を経て、名古屋大学医学部産科婦人科に入局。名古屋大学医学部助教授、岡崎市立病院産婦人科部長、名古屋第一赤十字病院産婦人科部長を歴任された後、1990年、名古屋市内に医療法人格医会可世木病院を初代院長の父上と共に開業。日本産婦人科医会名誉会員。 出典:女性のための健康生活マガジン jineko vol.34 2017 Summer≫ マガジンの記事がすべてご覧いただけます! ドクターが解説 !!生殖医療用語 一覧 難しい用語がいろいろと出てくる不妊治療の現場。治療でよく聞く用語だけど、あまり正確に知らないものも多いのでは?勘違いや思い込みを防ぐためにもしっかり確認しておきましょう。クリニックの先生に用語の解説をしていただきました。 GnRHアゴニスト製剤 視床下部から分泌される性腺刺激ホルモン(ゴナドトロピン)放出ホルモン(GnRH)に似た構造をもつ合成薬の1つで、点鼻薬と注射薬があります。脳下垂体にあるGnRHの受容体に結合し、作動薬として働きます。子宮内膜症の疼痛緩和や子宮筋腫の病変縮小を目的として、またARTにおける調節卵巣刺激の低刺激法で使われます。 体内でつくられるGnRHよりも受容体と結合する力が強く、作用も高まります。使用初期は受容体の数が増えLH、FSHも多く分泌されます。しかし長期の使用により受容体が減り、反応も弱まってLH、FSHの分泌が抑制するように働きます。そこで、調節卵巣刺激法において採卵前に排卵してしまうことを防ぐ、あるいは卵胞の発育をコントロールする目的で使われています。 点鼻薬を使用するロング法では早発排卵を抑制でき、たくさんの卵子を得られるのですが、多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)がある場合には卵巣過剰刺激症候群(OHSS)のリスクが高まります。 可世木病院(愛知県名古屋市) 可世木 成明 先生名古屋大学医学部卒業。同大大学院医学研究科博士課程を経て、名古屋大学医学部産科婦人科に入局。名古屋大学医学部助教授、岡崎市立病院産婦人科部長、名古屋第一赤十字病院産婦人科部長を歴任された後、1990年、名古屋市内に医療法人格医会可世木病院を初代院長の父上と共に開業。日本産婦人科医会名誉会員。 出典:女性のための健康生活マガジン jineko vol.34 2017 Summer≫ マガジンの記事がすべてご覧いただけます! ドクターが解説 !!生殖医療用語 一覧
2017.5.23
コラム 不妊治療
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ドクターが解説 !!生殖医療用語「FSH製剤」
難しい用語がいろいろと出てくる不妊治療の現場。治療でよく聞く用語だけど、あまり正確に知らないものも多いのでは?勘違いや思い込みを防ぐためにもしっかり確認しておきましょう。クリニックの先生に用語の解説をしていただきました。 FSH製剤 下垂体前葉から分泌される卵胞刺激ホルモン(FSH)と同じ作用を持ち、卵胞の発育・成熟を促す注射剤です。卵巣機能の低下による排卵障害に対して排卵誘発を行う場合や、体外受精において多くの卵胞を成熟させて採卵する場合に使用します。 この製剤は、内服薬による排卵誘発と異なり卵巣を直接刺激するので、強い排卵誘発力があります。一般不妊治療では多胎妊娠のリスクが通常より高まるため、低用量から投与を開始します。また、卵巣の腫れ、腹水・胸水の貯留などを生じる卵巣過剰刺激症候群のリスクがあり、適切な投与量の調節と超音波による卵巣のモニターが必要です。 この薬剤には、閉経後の女性の尿から精製された製剤と、遺伝子組み換え(リコンビナント)技術によって合成された製剤の2種類があります。「尿由来の製剤」に比べて「リコンビナント製剤」は不純物を含まず、品質が均一で効果が安定している利点があります。「リコンビナント製剤」には自己注射できるペンタイプがあり、通院の負担が減るという利点もありますが、費用負担が大きくなるのが欠点です。 IVFクリニックひろしま(広島県広島市) 滝口 修司 先生山口大学医学部卒業。山口大学大学院博士課程修了。山口大学医学部附属病院、正岡病院(広島市)などの勤務を経て、2012年より浅田レディースクリニックに勤務。2017年1月、ふるさと・広島の玄関口である広島駅前に「IVFクリニックひろしま」を新規開院。 出典:女性のための健康生活マガジン jineko vol.34 2017 Summer≫ マガジンの記事がすべてご覧いただけます! ドクターが解説 !!生殖医療用語 一覧 難しい用語がいろいろと出てくる不妊治療の現場。治療でよく聞く用語だけど、あまり正確に知らないものも多いのでは?勘違いや思い込みを防ぐためにもしっかり確認しておきましょう。クリニックの先生に用語の解説をしていただきました。 FSH製剤 下垂体前葉から分泌される卵胞刺激ホルモン(FSH)と同じ作用を持ち、卵胞の発育・成熟を促す注射剤です。卵巣機能の低下による排卵障害に対して排卵誘発を行う場合や、体外受精において多くの卵胞を成熟させて採卵する場合に使用します。 この製剤は、内服薬による排卵誘発と異なり卵巣を直接刺激するので、強い排卵誘発力があります。一般不妊治療では多胎妊娠のリスクが通常より高まるため、低用量から投与を開始します。また、卵巣の腫れ、腹水・胸水の貯留などを生じる卵巣過剰刺激症候群のリスクがあり、適切な投与量の調節と超音波による卵巣のモニターが必要です。 この薬剤には、閉経後の女性の尿から精製された製剤と、遺伝子組み換え(リコンビナント)技術によって合成された製剤の2種類があります。「尿由来の製剤」に比べて「リコンビナント製剤」は不純物を含まず、品質が均一で効果が安定している利点があります。「リコンビナント製剤」には自己注射できるペンタイプがあり、通院の負担が減るという利点もありますが、費用負担が大きくなるのが欠点です。 IVFクリニックひろしま(広島県広島市) 滝口 修司 先生山口大学医学部卒業。山口大学大学院博士課程修了。山口大学医学部附属病院、正岡病院(広島市)などの勤務を経て、2012年より浅田レディースクリニックに勤務。2017年1月、ふるさと・広島の玄関口である広島駅前に「IVFクリニックひろしま」を新規開院。 出典:女性のための健康生活マガジン jineko vol.34 2017 Summer≫ マガジンの記事がすべてご覧いただけます! ドクターが解説 !!生殖医療用語 一覧
2017.5.23
コラム 不妊治療
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胚も子宮内膜の状態もいいのに4回移植しても着床しません
胚も子宮内膜の状態もいいのに4回移植しても着床しません 北村 誠司 先生(荻窪病院 虹クリニック) 相談者:マーボナスさん(35歳) 凍結胚盤胞の移植について 3年前から不妊治療をスタート。これまでタイミング法、人工授精6回をした後、体外受精にステップアップしました。クロミッドⓇをベースにした低刺激で採卵4回、胚移植を4回試みましたが、着床していません。先生からは「胚も子宮内膜も良く、なぜ着床しないのかわからない」といわれました。治療の途中に腹腔鏡で卵管采の癒着剥離をして、その1年後に左卵巣に5.5㎝の腫瘤が発見されたのですが、先生は「影響ない」ということでした。では、何が原因なのでしょうか。今後どのようにすれば良いか、アドバイスをお願いします。 良好な胚を戻しても着床しない原因は、どんなことが考えられますか。やはり、卵巣腫瘤なども影響しているのでしょうか。 担当の先生がおっしゃったように、卵巣の腫瘤が原因ということは考えにくいと思います。今すぐ、腫瘤を取ったからといって、妊娠の可能性がすごく上がるということはないのでは。妊娠がしやすいかどうかということに関しては、チョコレート嚢腫ではない限り、特に急いで手を付ける必要はないのかなと思いますね。 通常、良好な胚盤胞を2、3回戻しても着床しない場合、まず免疫の異常が疑われるのではないでしょうか。女性の体は妊娠中はもちろん、着床する前から「受精卵を排除しない」という免疫のブロックがかかっています。それがうまく働かないと着床できないし、妊娠を継続することもできません。 もし、着床を阻害するような免疫異常があった場合、初期胚と胚盤胞を2回に分けて移植する二段階胚移植で妊娠される方もいらっしゃいます。この方法でどなたでも妊娠率が格段にアップするということはいえませんが、まだやっていないようでしたら、試してみる価値は十分あると思います。 また、これまで着床不全や不育症に関わる検査を受けていないようなら、やってみる必要があると思いますね。以前、受けて異常がなかったとしても、1、2年も経つと状況が変わることがあるので、現時点できちんと着床に関わる要素のチェックをしてみる。何か問題があれば、治療で改善できることもあります。 ほかに何かできることはありますか? この段階でできることは、大きく分けて2つあると思います。1つは前述したように検査などで原因になっているかもしれない要素を消去していくこと。もう1つはこれまでやっていない方法にトライしてみることです。 もし良好な胚盤胞が残っているのなら、戻し方を変えてみてはどうでしょうか。自然周期で戻していたら、今度はホルモン補充周期にして、着床しやすくなるかどうかみてみます。また、二段階移植を試す場合は、新たに卵子をつくることを考えなくてはならないかもしれません。その時にどんな方法をとったらいいのか。 マーボナスさんはこれまでほとんど低刺激で卵子をつくっていたようですね。もしかしたらもう少し刺激が強い方法のほうが合っている場合もあります。AMH(抗ミュラー管ホルモン)の検査をされていないようですが、きちんと数値を確認して、どんな卵巣刺激法がいいのか検討していくことも大切。 卵子が採れていて胚も良好、精子にも異常がないようですから、ご本人が頑張れるなら、対策はまだまだあると思います。希望をもって治療に臨んでいただきたいですね。 北村先生より まとめ ●免疫系の異常も考えられるのでまずは着床に関する検査を ●胚の戻し方や卵巣刺激法など、これまでと違う方法を試してみる [無料]気軽にご相談ください お話を伺った先生のご紹介 北村 誠司 先生(荻窪病院 虹クリニック) 慶應義塾大学医学部卒業。1989年からIVFおよび内視鏡手術に従事。子宮鏡下手術による胚移植の改善や、腹腔鏡下手術による子宮筋腫、内膜症の解消・改善を積極的に図ると同時に、妊娠困難症例に対しても新しい治療を取り入れて対応。本院(荻窪病院)泌尿器科の男性不妊専門医の協力により、TESE-ICSIや逆行性射精など、男性不妊の治療体制も整えている。昨秋は胃腸の調子が悪く、社会人になってから初めて長い期間禁酒生活を送ったとか。検査の結果はまったく異常なし。現在はすっかり回復して、お正月は毎年恒例のスキー合宿をしたそうです。 ≫ 荻窪病院 虹クリニック 出典:女性のための健康生活マガジン jineko vol.33 2017 Spring≫ 掲載記事一覧はこちら 胚も子宮内膜の状態もいいのに4回移植しても着床しません 北村 誠司 先生(荻窪病院 虹クリニック) 相談者:マーボナスさん(35歳) 凍結胚盤胞の移植について 3年前から不妊治療をスタート。これまでタイミング法、人工授精6回をした後、体外受精にステップアップしました。クロミッドⓇをベースにした低刺激で採卵4回、胚移植を4回試みましたが、着床していません。先生からは「胚も子宮内膜も良く、なぜ着床しないのかわからない」といわれました。治療の途中に腹腔鏡で卵管采の癒着剥離をして、その1年後に左卵巣に5.5㎝の腫瘤が発見されたのですが、先生は「影響ない」ということでした。では、何が原因なのでしょうか。今後どのようにすれば良いか、アドバイスをお願いします。 良好な胚を戻しても着床しない原因は、どんなことが考えられますか。やはり、卵巣腫瘤なども影響しているのでしょうか。 担当の先生がおっしゃったように、卵巣の腫瘤が原因ということは考えにくいと思います。今すぐ、腫瘤を取ったからといって、妊娠の可能性がすごく上がるということはないのでは。妊娠がしやすいかどうかということに関しては、チョコレート嚢腫ではない限り、特に急いで手を付ける必要はないのかなと思いますね。 通常、良好な胚盤胞を2、3回戻しても着床しない場合、まず免疫の異常が疑われるのではないでしょうか。女性の体は妊娠中はもちろん、着床する前から「受精卵を排除しない」という免疫のブロックがかかっています。それがうまく働かないと着床できないし、妊娠を継続することもできません。 もし、着床を阻害するような免疫異常があった場合、初期胚と胚盤胞を2回に分けて移植する二段階胚移植で妊娠される方もいらっしゃいます。この方法でどなたでも妊娠率が格段にアップするということはいえませんが、まだやっていないようでしたら、試してみる価値は十分あると思います。 また、これまで着床不全や不育症に関わる検査を受けていないようなら、やってみる必要があると思いますね。以前、受けて異常がなかったとしても、1、2年も経つと状況が変わることがあるので、現時点できちんと着床に関わる要素のチェックをしてみる。何か問題があれば、治療で改善できることもあります。 ほかに何かできることはありますか? この段階でできることは、大きく分けて2つあると思います。1つは前述したように検査などで原因になっているかもしれない要素を消去していくこと。もう1つはこれまでやっていない方法にトライしてみることです。 もし良好な胚盤胞が残っているのなら、戻し方を変えてみてはどうでしょうか。自然周期で戻していたら、今度はホルモン補充周期にして、着床しやすくなるかどうかみてみます。また、二段階移植を試す場合は、新たに卵子をつくることを考えなくてはならないかもしれません。その時にどんな方法をとったらいいのか。 マーボナスさんはこれまでほとんど低刺激で卵子をつくっていたようですね。もしかしたらもう少し刺激が強い方法のほうが合っている場合もあります。AMH(抗ミュラー管ホルモン)の検査をされていないようですが、きちんと数値を確認して、どんな卵巣刺激法がいいのか検討していくことも大切。 卵子が採れていて胚も良好、精子にも異常がないようですから、ご本人が頑張れるなら、対策はまだまだあると思います。希望をもって治療に臨んでいただきたいですね。 北村先生より まとめ ●免疫系の異常も考えられるのでまずは着床に関する検査を ●胚の戻し方や卵巣刺激法など、これまでと違う方法を試してみる [無料]気軽にご相談ください お話を伺った先生のご紹介 北村 誠司 先生(荻窪病院 虹クリニック) 慶應義塾大学医学部卒業。1989年からIVFおよび内視鏡手術に従事。子宮鏡下手術による胚移植の改善や、腹腔鏡下手術による子宮筋腫、内膜症の解消・改善を積極的に図ると同時に、妊娠困難症例に対しても新しい治療を取り入れて対応。本院(荻窪病院)泌尿器科の男性不妊専門医の協力により、TESE-ICSIや逆行性射精など、男性不妊の治療体制も整えている。昨秋は胃腸の調子が悪く、社会人になってから初めて長い期間禁酒生活を送ったとか。検査の結果はまったく異常なし。現在はすっかり回復して、お正月は毎年恒例のスキー合宿をしたそうです。 ≫ 荻窪病院 虹クリニック 出典:女性のための健康生活マガジン jineko vol.33 2017 Spring≫ 掲載記事一覧はこちら
2017.5.23
コラム 不妊治療
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補腎薬と鍼が更年期の治療に相乗効果をもたらす
補腎薬と鍼が更年期の治療に相乗効果をもたらす 前回のコラムでお伝えした、誠心堂の更年期の予防・治療法は、腎精の衰えに漢方の補腎薬を用いるのに加えて、血液の巡りをよくすること。「虚すれば補す」という考えに「巡らす」ことをプラスした、誠心堂オリジナルの治療法は大きな成果をあげています。 では、なぜ血液を巡らせることが大切なのでしょう。それは加齢によって腎(女性の場合、卵巣や子宮)の機能が低下すると腎が萎縮することに注目したからです。これは不妊治療にも関係していますが、原始卵胞は35歳から急速に減っていきます。これは、卵巣は使わない器官ということで血流が低下するためにおこるのです。 身体の血液量は決まっていますから、どこを優先して血液を送るかといえば、脳や心臓、肝臓など、命に直接関係する器官です。命に直接関係しない腎(卵巣や子宮)などは二の次となり、血流量が下がって器官は退化、つまり萎縮していきます。 筋トレなどで鍛えられる骨格筋は運動で血流を増やせますが、子宮や卵巣は平滑筋であり、自分の意志では鍛えられないので血流も増やせません。 薬は効かせたいところに届くことで、はじめて効果がでます。すでに更年期で補腎薬を服用している人が、あまり効果を感じないのは血流量の低下が原因かもしれません。 では、どのように腎の血流量をあげたらいいのでしょうか。 鍼には血流を調整する効果があります。例えば肩こりには肩のこっている部分に鍼を打つと肩の血流がよくなり肩こりが楽になります。腎の場合、直接鍼は打てないので、腎に効く経絡(つぼ)を使って間接的に血流を調整します。また、更年期によく効くツボもありますから、そこにも鍼を打ちます。例えば頭皮鍼は鎮静効果があるので、更年期の不眠症が改善されます。 誠心堂の更年期治療は漢方の補腎薬で腎の急激な衰えを緩和し鍼治療で漢方薬を腎に届きやすくします。このダブル治療がより高い効果をもたらすのです。 更年期は誰もが通過する人生の節目です。だからこそ、その過ごし方が老後に大きく影響すると言っても過言ではないでしょう。とは言っても、更年期障害は全ての人におこるわけではありません。神経質になりすぎず、自分の体に合ったケアを行えば、その後も元気に歳を重ねることができるのです。もちろんそれは更年期障害がある方も同じです。 中医学の素晴らしさ 皆さんは中医学をご存知ですか? 漢方薬や鍼灸治療・薬膳・気功など様々なコンテンツがありますね。特に治療に関わる場合、漢方薬と鍼灸のことを指します。日本では別々に治療するケースが多いのですが、本来の治療では組み合わせることがとても重要です。 1+1は2ではありません。中医学では漢方薬と鍼灸治療の組み合わせることで、とても素晴らしい効果を発揮しています。 漢方薬は患部に届いて初めて効果が出ます。だから、弱った臓器の血流を鍼灸で回復させる。 ぜひ、あなたに合った組み合わせ方法を中医学の誠心堂へご相談ください。 株式会社誠心堂薬局代表取締役 西野 裕一先生株式会社誠心堂薬局代表取締役。 薬剤師・鍼灸師。北里大学薬学部卒。東京医療福祉専門学校鍼灸科卒。中国漢方普及協会会長。日本中医学会評議員。漢方・鍼灸をはじめとする中医学の有用性を啓発・普及させる活動に尽力。著書多数。≫ 誠心堂薬局 関連コラム ≫ 食事や生活養生で更年期を穏やかに過ごす~その2 ≫ 食事や生活養生で更年期を穏やかに過ごす ≫ 更年期は出産の次に大切な人生のターニングポイント ≫ 三焦の理論と症状に合わせた不妊のための鍼灸治療 ≫ 中医学の鍼灸治療による妊活の効果とは ≫ 男性不妊を改善する日常生活とは ≫ 晩婚化は女性不妊だけでなく男性不妊の原因にもなる <外部サイト>店舗で相談してみる→ 誠心堂薬局 http://www.seishin-do.co.jp/rd/ 補腎薬と鍼が更年期の治療に相乗効果をもたらす 前回のコラムでお伝えした、誠心堂の更年期の予防・治療法は、腎精の衰えに漢方の補腎薬を用いるのに加えて、血液の巡りをよくすること。「虚すれば補す」という考えに「巡らす」ことをプラスした、誠心堂オリジナルの治療法は大きな成果をあげています。 では、なぜ血液を巡らせることが大切なのでしょう。それは加齢によって腎(女性の場合、卵巣や子宮)の機能が低下すると腎が萎縮することに注目したからです。これは不妊治療にも関係していますが、原始卵胞は35歳から急速に減っていきます。これは、卵巣は使わない器官ということで血流が低下するためにおこるのです。 身体の血液量は決まっていますから、どこを優先して血液を送るかといえば、脳や心臓、肝臓など、命に直接関係する器官です。命に直接関係しない腎(卵巣や子宮)などは二の次となり、血流量が下がって器官は退化、つまり萎縮していきます。 筋トレなどで鍛えられる骨格筋は運動で血流を増やせますが、子宮や卵巣は平滑筋であり、自分の意志では鍛えられないので血流も増やせません。 薬は効かせたいところに届くことで、はじめて効果がでます。すでに更年期で補腎薬を服用している人が、あまり効果を感じないのは血流量の低下が原因かもしれません。 では、どのように腎の血流量をあげたらいいのでしょうか。 鍼には血流を調整する効果があります。例えば肩こりには肩のこっている部分に鍼を打つと肩の血流がよくなり肩こりが楽になります。腎の場合、直接鍼は打てないので、腎に効く経絡(つぼ)を使って間接的に血流を調整します。また、更年期によく効くツボもありますから、そこにも鍼を打ちます。例えば頭皮鍼は鎮静効果があるので、更年期の不眠症が改善されます。 誠心堂の更年期治療は漢方の補腎薬で腎の急激な衰えを緩和し鍼治療で漢方薬を腎に届きやすくします。このダブル治療がより高い効果をもたらすのです。 更年期は誰もが通過する人生の節目です。だからこそ、その過ごし方が老後に大きく影響すると言っても過言ではないでしょう。とは言っても、更年期障害は全ての人におこるわけではありません。神経質になりすぎず、自分の体に合ったケアを行えば、その後も元気に歳を重ねることができるのです。もちろんそれは更年期障害がある方も同じです。 中医学の素晴らしさ 皆さんは中医学をご存知ですか? 漢方薬や鍼灸治療・薬膳・気功など様々なコンテンツがありますね。特に治療に関わる場合、漢方薬と鍼灸のことを指します。日本では別々に治療するケースが多いのですが、本来の治療では組み合わせることがとても重要です。 1+1は2ではありません。中医学では漢方薬と鍼灸治療の組み合わせることで、とても素晴らしい効果を発揮しています。 漢方薬は患部に届いて初めて効果が出ます。だから、弱った臓器の血流を鍼灸で回復させる。 ぜひ、あなたに合った組み合わせ方法を中医学の誠心堂へご相談ください。 株式会社誠心堂薬局代表取締役 西野 裕一先生株式会社誠心堂薬局代表取締役。 薬剤師・鍼灸師。北里大学薬学部卒。東京医療福祉専門学校鍼灸科卒。中国漢方普及協会会長。日本中医学会評議員。漢方・鍼灸をはじめとする中医学の有用性を啓発・普及させる活動に尽力。著書多数。≫ 誠心堂薬局 関連コラム ≫ 食事や生活養生で更年期を穏やかに過ごす~その2 ≫ 食事や生活養生で更年期を穏やかに過ごす ≫ 更年期は出産の次に大切な人生のターニングポイント ≫ 三焦の理論と症状に合わせた不妊のための鍼灸治療 ≫ 中医学の鍼灸治療による妊活の効果とは ≫ 男性不妊を改善する日常生活とは ≫ 晩婚化は女性不妊だけでなく男性不妊の原因にもなる <外部サイト>店舗で相談してみる→ 誠心堂薬局 http://www.seishin-do.co.jp/rd/
2017.5.22
コラム 女性の健康
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子宮内膜症があっても 自然妊娠できる?
子宮内膜症があっても自然妊娠できる? 2017/5/22 中村 嘉宏(なかむらレディースクリニック 院長) 相談者:たぬぽんさん(主婦 / ?歳) 3年前に子宮内膜症(チョコレート嚢胞6cm)と診断され、ずーっと頑張っていますが、その兆候なし…。同じ病院で3回も担当医が変わり、今回引っ越しで転院するので4人目となりますが、3人目の先生に「あなたの場合、体外受精が手っ取り早いでしょう」と言われ、かなりショックを受けました。 調べてみると30代前半なら受精率も高いようですが、35歳以降になるとかなり妊娠の確率が落ちてくるんですよね?夫からは「(自然妊娠の)可能性があるならそっちがいい」と言われるけど、年齢的にあんまりリミットないような…。体外受精はお金もかかるし、可能性があるのなら自然妊娠がいいなぁとも思うし、でもこのまま妊娠できなかったら…と思うと焦ってしまいます。 妊娠しやすい食べ物や飲み物を試したり、ジンクスの物を部屋に置いたりしましたが、有名なKクリニックの先生の著書の中には、妊娠しやすい食べ物や運動療法はあてにならない。ただ精子と卵子が出会わないだけ…と書かれていました。 とにかく…生理が来るたび落ち込んでいます。だから、子宮内膜症で自然妊娠した方から、励ましてもらえたら、また前向きに頑張れるかな?/div> 子宮内膜症があっても自然妊娠は可能でしょうか? この方はショックを受けられたようですが、3人目の先生がおっしゃる通り、体外受精が一番いいと思います。30代半ばの方と推察しますが、この年齢で6cmの嚢胞の手術をすれば卵巣機能はかなり低下します。痛みなどの症状がきつい場合や、悪性が疑われる場合でなければ、手術より体外受精を優先します。 自然妊娠をご希望とのことですが、自然妊娠の可能性は低いと思います。チョコレート嚢腫が6cmくらいあれば、卵管が癒着し、卵子をピックアップできない可能性が高いと思います。3年前から一般不妊治療をして妊娠しないのはそのためです。まして30代半ばになれば、年々妊娠率は低下しますし、内膜症も進行します。厳しいようですが手段を選んでいる場合ではないと思います。たしかに体外受精は費用がかかるイメージがありますが、助成制度を活用すれば、それほどの負担にならずにすみます。 自然妊娠への思いが強い方のようです。 この方も認識されている通り、35歳以降の妊娠率はどんどん低下する一方です。また、 Kクリニックの先生がおっしゃる「妊娠しやすい食べ物や運動療法はあてにならない」というのも本当だと思います。例えばザクロを食べても食べなくても、子宝の湯に浸かっても浸からなくても、精子と卵子がただ出会って受精し着床すれば妊娠は成立する。とてもシンプルなお話です。 また、自然妊娠の可能性が低いのに、同じような境遇で妊娠できた人に励ましてもらい前向きになれたとしても、それでこの方が自然妊娠できるわけではありません。人の身体には個人差があり、また、子宮内膜症の程度も人それぞれです。 相談内容を拝見すると、この方がショックを受けた最大の原因は、体外受精に対する心理的な抵抗でしょう。この抵抗を克服して、一刻も早く体外受精に進んでいただきたいと思います。きっと道はひらけます。 中村先生より まとめ チョコレート嚢胞は、進行すれば癒着や破裂、卵巣がんの可能性があり、30代半ばの手術では卵巣機能の低下も。 さらに35歳以降は妊娠率も低下する一方ですから、早めの体外受精をおすすめします。助成金制度も上手に活用しましょう。 [無料]気軽にご相談ください お話を伺った先生のご紹介 中村 嘉宏 先生(なかむらレディースクリニック) 大阪市立大学医学部卒業。 同大学院で山中伸弥教授(現CiRA所長)の指導で学位取得。大阪市立大学附属病院、住友病院、北摂総合病院産婦人科部長を経て、2013年より藤野婦人科クリニック勤務。2015年4月なかむらレディースクリニック開院。 ≫ なかむらレディースクリニック 子宮内膜症があっても自然妊娠できる? 2017/5/22 中村 嘉宏(なかむらレディースクリニック 院長) 相談者:たぬぽんさん(主婦 / ?歳) 3年前に子宮内膜症(チョコレート嚢胞6cm)と診断され、ずーっと頑張っていますが、その兆候なし…。同じ病院で3回も担当医が変わり、今回引っ越しで転院するので4人目となりますが、3人目の先生に「あなたの場合、体外受精が手っ取り早いでしょう」と言われ、かなりショックを受けました。 調べてみると30代前半なら受精率も高いようですが、35歳以降になるとかなり妊娠の確率が落ちてくるんですよね?夫からは「(自然妊娠の)可能性があるならそっちがいい」と言われるけど、年齢的にあんまりリミットないような…。体外受精はお金もかかるし、可能性があるのなら自然妊娠がいいなぁとも思うし、でもこのまま妊娠できなかったら…と思うと焦ってしまいます。 妊娠しやすい食べ物や飲み物を試したり、ジンクスの物を部屋に置いたりしましたが、有名なKクリニックの先生の著書の中には、妊娠しやすい食べ物や運動療法はあてにならない。ただ精子と卵子が出会わないだけ…と書かれていました。 とにかく…生理が来るたび落ち込んでいます。だから、子宮内膜症で自然妊娠した方から、励ましてもらえたら、また前向きに頑張れるかな?/div> 子宮内膜症があっても自然妊娠は可能でしょうか? この方はショックを受けられたようですが、3人目の先生がおっしゃる通り、体外受精が一番いいと思います。30代半ばの方と推察しますが、この年齢で6cmの嚢胞の手術をすれば卵巣機能はかなり低下します。痛みなどの症状がきつい場合や、悪性が疑われる場合でなければ、手術より体外受精を優先します。 自然妊娠をご希望とのことですが、自然妊娠の可能性は低いと思います。チョコレート嚢腫が6cmくらいあれば、卵管が癒着し、卵子をピックアップできない可能性が高いと思います。3年前から一般不妊治療をして妊娠しないのはそのためです。まして30代半ばになれば、年々妊娠率は低下しますし、内膜症も進行します。厳しいようですが手段を選んでいる場合ではないと思います。たしかに体外受精は費用がかかるイメージがありますが、助成制度を活用すれば、それほどの負担にならずにすみます。 自然妊娠への思いが強い方のようです。 この方も認識されている通り、35歳以降の妊娠率はどんどん低下する一方です。また、 Kクリニックの先生がおっしゃる「妊娠しやすい食べ物や運動療法はあてにならない」というのも本当だと思います。例えばザクロを食べても食べなくても、子宝の湯に浸かっても浸からなくても、精子と卵子がただ出会って受精し着床すれば妊娠は成立する。とてもシンプルなお話です。 また、自然妊娠の可能性が低いのに、同じような境遇で妊娠できた人に励ましてもらい前向きになれたとしても、それでこの方が自然妊娠できるわけではありません。人の身体には個人差があり、また、子宮内膜症の程度も人それぞれです。 相談内容を拝見すると、この方がショックを受けた最大の原因は、体外受精に対する心理的な抵抗でしょう。この抵抗を克服して、一刻も早く体外受精に進んでいただきたいと思います。きっと道はひらけます。 中村先生より まとめ チョコレート嚢胞は、進行すれば癒着や破裂、卵巣がんの可能性があり、30代半ばの手術では卵巣機能の低下も。 さらに35歳以降は妊娠率も低下する一方ですから、早めの体外受精をおすすめします。助成金制度も上手に活用しましょう。 [無料]気軽にご相談ください お話を伺った先生のご紹介 中村 嘉宏 先生(なかむらレディースクリニック) 大阪市立大学医学部卒業。 同大学院で山中伸弥教授(現CiRA所長)の指導で学位取得。大阪市立大学附属病院、住友病院、北摂総合病院産婦人科部長を経て、2013年より藤野婦人科クリニック勤務。2015年4月なかむらレディースクリニック開院。 ≫ なかむらレディースクリニック
2017.5.22
専門医Q&A 不妊治療
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【ジネコ厳選】話題の人気妊活ブログ Part7
妊活中の女性に人気の妊活ブログ。その理由は、本音で語る彼女たちの姿にあります。そんな彼女たちの真の声に、多くの女性が共感しコミュニティも活発化。人気が高いブログを紹介します。
2017.5.22
コラム 不妊治療
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みんなの広場 【テーマ】ケチと節約の境界線は?
【テーマ】ケチと節約の境界線は? ケチと節約の境界線はどこだと思いますか?さかなさん(主婦 / 39歳)私は年々節約、倹約に力を入れるようになっていますが、あんまり外ではケチだと思われたくないなぁと思うんです。昨日は薬局の安売りの日で、うちが安い質の悪いトイレットペーパー、激安のお風呂洗剤や重曹などを買っているのに対して、ばったり会った友人は高級なフワフワのトイレットペーパーに、ノンシリコンのすごい高いシャンプーなど、使ってみたいけど躊躇するものを買っていました。私はちょっとケチケチになってますでしょうか。 たまにはご褒美も必要 ケチは使うべき所でもお金を惜しみ周りを不快にする人。節約は我慢や努力をして無駄をなくすことだと思います。私は習い事など子どもの教育や家族旅行や良い食材には惜しまずお金を使います。でも消耗品などレベルを下げても困らない物は節約します。収入も各家庭で違いますしどこを節約するかは人それぞれだと思いますが、自分が納得できない節約ばかりだと卑屈になってしまうと思いますし、たまにはちょっとしたご褒美は必要だと思います。まささん(主婦/ 34歳 ) ケチと倹約家の違い 普段は節約していても、困っている人のためには、気持ちよくお金を出せる人は、倹約家。困っている人がいても、お金がもったいないから、といって、見て見ぬふりをするのがケチ。年取った両親のために、お金を出せるのが倹約家。お金がかかるから、といって、年老いた両親を見捨てるのがケチ。体を壊してまで、食費を節約するのがケチ。必要な所には、きちんとお金を使える人が倹約家。なんのために、お金を貯めているのか、目標がはっきりしているのが、倹約家。目標なく、銀行口座に残高が増えるのを目を細めてよろこんでいる人がケチ。 匿名さん(主婦/ 年齢秘密 ) 周りに不快感を与えるのは…… 周りの人に不快感を与えるかどうかで見極めたらいいと思います。「トイレットペーパーみたいな消耗品にお金かけるなんて馬鹿馬鹿しい!使えればどれもいっしょよね〜。」なんて言えばケチな人、という印象になりますが、自分の考えとしてご家庭内でやるなら全然問題ないですよ。 私の知人で一緒にランチをした時に「本当はハンバーグ食べたいけど、高いから違うのにしよ。コーヒー200円かぁ…じゃ、水でいいや。このデザート、これで400円? 家で作れば○○円でできるのに〜!」ということをべらべら言う人がいて、本当に気分が悪かったです。周りの人に不快感を与える人は倹約家ではなくケチだと思います。 ありんさん(主婦/41歳 ) 亡き姑から学んだこと 今は亡き姑が倹約家でした。普段は質素な生活をしてました。ですが、冠婚葬祭や各種お祝いごとなどには惜しみなくお金を出しました。慶事は特に。おめでたいことでケチったり、出し渋ることはいけないよと。確かにそうだなと思い、見習うようにしました。お金は使い方が大事なんですね。 らんこさん(主婦/ 33歳 ) おもしろエピソード満載!あなたも「(駄)の広場」に投稿しよう! 投稿してみる! (駄)の広場はこちら 【テーマ】ケチと節約の境界線は? ケチと節約の境界線はどこだと思いますか?さかなさん(主婦 / 39歳)私は年々節約、倹約に力を入れるようになっていますが、あんまり外ではケチだと思われたくないなぁと思うんです。昨日は薬局の安売りの日で、うちが安い質の悪いトイレットペーパー、激安のお風呂洗剤や重曹などを買っているのに対して、ばったり会った友人は高級なフワフワのトイレットペーパーに、ノンシリコンのすごい高いシャンプーなど、使ってみたいけど躊躇するものを買っていました。私はちょっとケチケチになってますでしょうか。 たまにはご褒美も必要 ケチは使うべき所でもお金を惜しみ周りを不快にする人。節約は我慢や努力をして無駄をなくすことだと思います。私は習い事など子どもの教育や家族旅行や良い食材には惜しまずお金を使います。でも消耗品などレベルを下げても困らない物は節約します。収入も各家庭で違いますしどこを節約するかは人それぞれだと思いますが、自分が納得できない節約ばかりだと卑屈になってしまうと思いますし、たまにはちょっとしたご褒美は必要だと思います。まささん(主婦/ 34歳 ) ケチと倹約家の違い 普段は節約していても、困っている人のためには、気持ちよくお金を出せる人は、倹約家。困っている人がいても、お金がもったいないから、といって、見て見ぬふりをするのがケチ。年取った両親のために、お金を出せるのが倹約家。お金がかかるから、といって、年老いた両親を見捨てるのがケチ。体を壊してまで、食費を節約するのがケチ。必要な所には、きちんとお金を使える人が倹約家。なんのために、お金を貯めているのか、目標がはっきりしているのが、倹約家。目標なく、銀行口座に残高が増えるのを目を細めてよろこんでいる人がケチ。 匿名さん(主婦/ 年齢秘密 ) 周りに不快感を与えるのは…… 周りの人に不快感を与えるかどうかで見極めたらいいと思います。「トイレットペーパーみたいな消耗品にお金かけるなんて馬鹿馬鹿しい!使えればどれもいっしょよね〜。」なんて言えばケチな人、という印象になりますが、自分の考えとしてご家庭内でやるなら全然問題ないですよ。 私の知人で一緒にランチをした時に「本当はハンバーグ食べたいけど、高いから違うのにしよ。コーヒー200円かぁ…じゃ、水でいいや。このデザート、これで400円? 家で作れば○○円でできるのに〜!」ということをべらべら言う人がいて、本当に気分が悪かったです。周りの人に不快感を与える人は倹約家ではなくケチだと思います。 ありんさん(主婦/41歳 ) 亡き姑から学んだこと 今は亡き姑が倹約家でした。普段は質素な生活をしてました。ですが、冠婚葬祭や各種お祝いごとなどには惜しみなくお金を出しました。慶事は特に。おめでたいことでケチったり、出し渋ることはいけないよと。確かにそうだなと思い、見習うようにしました。お金は使い方が大事なんですね。 らんこさん(主婦/ 33歳 ) おもしろエピソード満載!あなたも「(駄)の広場」に投稿しよう! 投稿してみる! (駄)の広場はこちら
2017.5.22
コラム くらし
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みんなの声 【テーマ】日本は男女、どちらに有利?
【テーマ】日本は男女、どちらに有利? 男尊女卑?女尊男卑?男女平等ですか?さん(会社員 / 28歳)現代日本は女、男どちらに有利なのでしょうか?? 女性専用車、図書館の女性専用席、レディースデー、強姦罪・痴漢という名称、トイレが外から丸見え、災害避難所では対応を後回しにされる、タイタニック号を先に降りる権利…。実生活的には女性のほうが有利で男性が少し差別されているような気がします。皆さんの意見を聞かせてください! 男性と女性は違うから メンズデーもあるし女性専用って男性から女性への痴漢が多いから作られてるものではないの? 変な話、男性に痴漢する女性も多かったら作られると思いますよ。図書館の席も。 トイレは見えるの嫌だという男性もいますけど、平気でできる人もいるわけです。いくらなんでも男性と女性を一緒にしてはならないと思いますよ。男性のほうが有利でしょということもたくさんあるじゃないですか。 メイさん(主婦/ 35歳 ) 女性のほうが優遇されてるかも 確かにいまの時代、女のほうが優遇されてるかも! 一部の不逞な男が痴漢などやるからって、男性全体を犯罪予備軍にするのは不公平ですね。図書館なんて税金でできてるし、今の人は差別を区別とか商業にかまけて正当化する人が多いかも! ちなみに私の彼も、不公平だーってよく言ってました!一緒に高速バスに乗る時、女性専用席2席しか空いてなくて、それも最終バスで、彼だけ東京に泊まったことがあります(東京から2時間程度の地方に住んでいます)。その時、猛烈に私も嫌気がさしました。 MYPNさん(会社員/ 27歳 ) 彼氏にストレスが… 夫の姓にほとんどなってしまうとか、嫁ぐという表現に女性差別を感じることもありますが、確かに男性が不利な所はかなりありますね。最近はそれが顕著になってきたのかも。彼氏がそれで小さなストレスをためていってるので気の毒です。 にいなさん(会社員/ 29歳 ) 夫の実家で妻が動くのが当たり前? 私の会社は「女性が働きやすい環境」を掲げていて、雑誌にも時々取り上げられていますが、結婚や妊娠の報告をすると「仕事は続けるの?」と聞かれます。男性社員にはそんなこと聞かないので、まだまだ女性は結婚や妊娠したら専業主婦に、という考えなんだと思います。私の会社でこうなので、ほかの会社はもっと酷いのでは? と思いますよ。 プライベートでも、夫の実家では「妻が動くのが当たり前」という人が多いですよね。妻の実家では「夫はお客様」なのに。全体的に見ると日本はまだまだ男尊女卑だと思います。 とくめーさん(会社員/ 38歳 ) 男女平等にするべき タイタニック、さすがに今はないですよね(笑)。先日大阪から九州へのフェリーに乗った時、事故時は婦女、子どもを優先しますと注意事項に書かれていたのであながち間違いではないかも…。体力の弱い男性はどうするのだろう…。自分の彼がその対象からあぶれたらそれほど悲しいことはないかなと思います。 東日本大震災ではトイレが女性専用になったり優先的に毛布や布団、食料などが供給されたようです。これも、たとえば自分の旦那だったら…と考えるとやはり平等にするべきかと思います。 私は女ですが、あまりジェンダー意識がないものですから。 無知ですいませんさん(会社員/ 27歳 ) おもしろエピソード満載!あなたも「(駄)の広場」に投稿しよう! 投稿してみる! (駄)の広場はこちら 【テーマ】日本は男女、どちらに有利? 男尊女卑?女尊男卑?男女平等ですか?さん(会社員 / 28歳)現代日本は女、男どちらに有利なのでしょうか?? 女性専用車、図書館の女性専用席、レディースデー、強姦罪・痴漢という名称、トイレが外から丸見え、災害避難所では対応を後回しにされる、タイタニック号を先に降りる権利…。実生活的には女性のほうが有利で男性が少し差別されているような気がします。皆さんの意見を聞かせてください! 男性と女性は違うから メンズデーもあるし女性専用って男性から女性への痴漢が多いから作られてるものではないの? 変な話、男性に痴漢する女性も多かったら作られると思いますよ。図書館の席も。 トイレは見えるの嫌だという男性もいますけど、平気でできる人もいるわけです。いくらなんでも男性と女性を一緒にしてはならないと思いますよ。男性のほうが有利でしょということもたくさんあるじゃないですか。 メイさん(主婦/ 35歳 ) 女性のほうが優遇されてるかも 確かにいまの時代、女のほうが優遇されてるかも! 一部の不逞な男が痴漢などやるからって、男性全体を犯罪予備軍にするのは不公平ですね。図書館なんて税金でできてるし、今の人は差別を区別とか商業にかまけて正当化する人が多いかも! ちなみに私の彼も、不公平だーってよく言ってました!一緒に高速バスに乗る時、女性専用席2席しか空いてなくて、それも最終バスで、彼だけ東京に泊まったことがあります(東京から2時間程度の地方に住んでいます)。その時、猛烈に私も嫌気がさしました。 MYPNさん(会社員/ 27歳 ) 彼氏にストレスが… 夫の姓にほとんどなってしまうとか、嫁ぐという表現に女性差別を感じることもありますが、確かに男性が不利な所はかなりありますね。最近はそれが顕著になってきたのかも。彼氏がそれで小さなストレスをためていってるので気の毒です。 にいなさん(会社員/ 29歳 ) 夫の実家で妻が動くのが当たり前? 私の会社は「女性が働きやすい環境」を掲げていて、雑誌にも時々取り上げられていますが、結婚や妊娠の報告をすると「仕事は続けるの?」と聞かれます。男性社員にはそんなこと聞かないので、まだまだ女性は結婚や妊娠したら専業主婦に、という考えなんだと思います。私の会社でこうなので、ほかの会社はもっと酷いのでは? と思いますよ。 プライベートでも、夫の実家では「妻が動くのが当たり前」という人が多いですよね。妻の実家では「夫はお客様」なのに。全体的に見ると日本はまだまだ男尊女卑だと思います。 とくめーさん(会社員/ 38歳 ) 男女平等にするべき タイタニック、さすがに今はないですよね(笑)。先日大阪から九州へのフェリーに乗った時、事故時は婦女、子どもを優先しますと注意事項に書かれていたのであながち間違いではないかも…。体力の弱い男性はどうするのだろう…。自分の彼がその対象からあぶれたらそれほど悲しいことはないかなと思います。 東日本大震災ではトイレが女性専用になったり優先的に毛布や布団、食料などが供給されたようです。これも、たとえば自分の旦那だったら…と考えるとやはり平等にするべきかと思います。 私は女ですが、あまりジェンダー意識がないものですから。 無知ですいませんさん(会社員/ 27歳 ) おもしろエピソード満載!あなたも「(駄)の広場」に投稿しよう! 投稿してみる! (駄)の広場はこちら
2017.5.22
コラム くらし
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一度は諦めかけていた妊娠… 奇跡の出会いが奇跡の妊娠へ。
一度は諦めかけていた妊娠…奇跡の出会いが奇跡の妊娠へ。重度の無月経だった私を自然妊娠へ導いてくれた先生との「絆」 まるで何かの糸でつながっていたかのような、まいさんと美馬レディースクリニックの美馬先生との出会い。年齢は若いものの、重度の無月経、不妊治療との闘いの末、まいさんは無事に男の子のママになりました。 就職して過労勤務が続き、日に日にたまるストレス…ある日突然、無月経に 新卒で、大手の証券会社に就職したというまいさん。配属されたのは新規開拓営業部。朝は4時起き、勤務が終わるのは22時ごろという毎日。体が悲鳴を上げるのに時間はかかりませんでした。 「たまっていた疲労とストレスで今まで普通にきていた生理が突然止まってしまったんです」 高校生の時の同級生だった今のご主人は、そんなまいさんの姿を見て何とかしてあげたい、とすぐに結婚を申し込んだそう。お互い22歳という若さでの結婚でした。まいさんも、定時で帰宅できる受付の仕事へと転職。妊娠のことはまだ考えず、まず体調を戻すことから始めました。 ゆっくり生活ができるようになったころ、ご主人の東京転勤が決まり、ご夫婦は上京することになります。 行きつけのレストランで紹介された美馬先生との出会い 東京でも受付の仕事を続けていたまいさん。上京して約2年、変わらず無月経は続いていました。30歳までには赤ちゃんが欲しいという想い、不妊治療を始めたら苦労するかもしれないという不安、そしてご主人のご両親への負い目…さまざまな気持ちが交錯していましたが、2011年、近所で評判の良かったクリニックで治療を始めることに。 このころ自分の体にも良いものを…とまいさんが時々訪れていたのがマクロビオティックのレストラン。レストランのママに自分の体調のことをたまたま話していたら、同じお客様だった美馬先生を紹介されたのだそうです。 「ちょうど先生がゆっくり過ごされていた時期で、何かあったらメールして、と気軽に言ってくださったんです」 近所のクリニックでは、タイミング療法からすぐに人工授精にステップアップするも結果は出ません。まいさんは、クリニックで出された診断について、今思えばたわいもない悩みなどを美馬先生にメールで相談していたそうです。 「先生はいつも必ずお返事をくださって、前向きになる言葉をかけてくださいました」 その後、まいさんはクリニックで体外受精の提案を受けますが、ご主人がこの時初めて納得しなかったといいます。 「そこまでして赤ちゃんが欲しいの? 主人はそんなスタンスでしたが、赤ちゃんが欲しい私は少しずつ少しずつ説得するしかありませんでした。不妊治療のセミナーに参加したり、話し合いをしたり…。初めての夫婦の危機だったかもしれません」 そんな時にひと役買って出てくれたのが、意外にもご主人のお母様でした。まいさんが自分の体調と治療についてお母様に報告し、ご主人の力を借りたいことを伝えたところ、お母様もご主人を説得してくれたのだそう。やっといい流れになり、ご主人が協力してくれたものの、着床には至りませんでした。 先生に導かれるように転院し最後は先生が開院した美馬レディースクリニックへ まいさんが体外受精を終えたころ、先生があるクリニックに着任されたとの報告が。すぐに転院を決意したそうです。 この時、AMHの数値は年相応だったものの、卵胞刺激ホルモン、黄体形成ホルモンなどの数値が限りなくゼロに近い状態でした。先生を信じて転院したものの、かなり厳しい状況でのスタートでした。このクリニックでは、一度顕微授精にチャレンジをしたものの、妊娠には至りませんでした。その後、先生がご自身のクリニックを開院されるとのことで、まいさんも先生のクリニックに転院することになります。 2013年10月美馬先生が「美馬レディースクリニック」を開院。美馬先生の治療方針は“卵巣を守るやさしい不妊治療”。まずは卵巣のアンチエイジングを行い、自然妊娠を目指すというものです。転院したまいさんに先生は「まず無月経から治しましょう」と提案。まいさんも悪い方へ悪い方へ傾いていた気持ちを一度リセットし「しばらくは妊娠しなくちゃいけないと考えることをやめたんです」といいます。 治療は、カウフマン療法で月経がちゃんとくるようにすること、あとはサプリメントで栄養を補ったり、体を温めるようにした程度だったそうです。 美馬先生のもとで治療を始めて約2年経過した2015年11月、まいさんに約10年ぶりの生理が。最初は不正出血かと思ったくらい突然訪れたのだそうです。そして年が明けて2月、せっかくきていた生理がまた止まってしまったけれど、いつもと体調が違う…と思ったら、なんとそれは一度は諦めかけた“妊娠”だったそう。 「あんなに痛い不妊治療をしたのに、自然に妊娠するなんて! まさかまさかの妊娠に主人も本当にあっけにとられているくらいでした」 つらかった不妊治療のあとはご褒美のように順調な妊娠生活と出産へ 実は気分転換に海外旅行を計画していたまいさんご夫妻でしたが「先生にここを逃したら次のチャンスはないかもしれませんよ、と言われ、私も次は流産するのでは…? という不安があったのでもちろんキャンセルをしました」。さまざまな不安がありましたが、出産は美馬先生の後輩の先生がいる産院へ。「信頼してきた先生の紹介だから絶対安心できると思って。美馬レディースクリニックを卒業する時は、寂しさもあり複雑でしたが、妊娠中はトラブルもなく、産院の先生も本当に良くしてくださり、いいお産ができました」。 32歳の妊娠、出産。一般の不妊治療としては若い年齢でしたが、若いがゆえに周りには言い出しにくく、自分の症状を一言で語るには難しく、身内以外に話すこともできなかったまいさん。「先生と出会えたことがすべてだと思います。先生と偶然にも出会えたこと、息子が五体満足に生まれてきてくれたことに本当に感謝したいと思います」。 From Doctor 治療を振り返って 「自然妊娠ができたのは真面目な生活態度によるもの」 前のクリニックで受精卵を見たときに正直言って「これは良くないな」と思いました。ホルモン数値は低かったものの、AMHの数値は悪くなかったので、私のクリニックに来てからはカウフマン療法で生理がくることを脳に認識させ、自律神経を安定させ、ホルモンが卵巣に働かせるようにすることから治療を始めました。彼女自身もマクロビオティックの食事に興味をもったり、体調を戻すことに真面目に取り組んだことで、自律神経が安定し、妊娠スイッチが入ったのだと思います。 また彼女には「多嚢胞性卵巣症候群」もありました。おそらく10代のころから発症していて気がつかないままで、そしてある日突然生理が止まってしまったのでしょう。 このような状態で妊娠されたのは私の経験からも非常に珍しいケースで、セミナーなどでもまいさんの例を挙げて皆さんの励みにしてもらっています。 先生のご紹介 美馬 博史 先生(美馬レディースクリニック) 東京慈恵会医科大学医学部卒。同大学付属病院産婦人科、美馬産婦人科院長を経て現職。妊孕性(妊娠する力)を守る力を訴え、体にやさしいホルモン治療、カウンセリング療法、抗酸化食事療法等を積極的に啓蒙。 ≫ 美馬レディースクリニック 出典:女性のための健康生活マガジン jineko vol.34 2017 Summer≫ 掲載記事一覧はこちら 一度は諦めかけていた妊娠…奇跡の出会いが奇跡の妊娠へ。重度の無月経だった私を自然妊娠へ導いてくれた先生との「絆」 まるで何かの糸でつながっていたかのような、まいさんと美馬レディースクリニックの美馬先生との出会い。年齢は若いものの、重度の無月経、不妊治療との闘いの末、まいさんは無事に男の子のママになりました。 就職して過労勤務が続き、日に日にたまるストレス…ある日突然、無月経に 新卒で、大手の証券会社に就職したというまいさん。配属されたのは新規開拓営業部。朝は4時起き、勤務が終わるのは22時ごろという毎日。体が悲鳴を上げるのに時間はかかりませんでした。 「たまっていた疲労とストレスで今まで普通にきていた生理が突然止まってしまったんです」 高校生の時の同級生だった今のご主人は、そんなまいさんの姿を見て何とかしてあげたい、とすぐに結婚を申し込んだそう。お互い22歳という若さでの結婚でした。まいさんも、定時で帰宅できる受付の仕事へと転職。妊娠のことはまだ考えず、まず体調を戻すことから始めました。 ゆっくり生活ができるようになったころ、ご主人の東京転勤が決まり、ご夫婦は上京することになります。 行きつけのレストランで紹介された美馬先生との出会い 東京でも受付の仕事を続けていたまいさん。上京して約2年、変わらず無月経は続いていました。30歳までには赤ちゃんが欲しいという想い、不妊治療を始めたら苦労するかもしれないという不安、そしてご主人のご両親への負い目…さまざまな気持ちが交錯していましたが、2011年、近所で評判の良かったクリニックで治療を始めることに。 このころ自分の体にも良いものを…とまいさんが時々訪れていたのがマクロビオティックのレストラン。レストランのママに自分の体調のことをたまたま話していたら、同じお客様だった美馬先生を紹介されたのだそうです。 「ちょうど先生がゆっくり過ごされていた時期で、何かあったらメールして、と気軽に言ってくださったんです」 近所のクリニックでは、タイミング療法からすぐに人工授精にステップアップするも結果は出ません。まいさんは、クリニックで出された診断について、今思えばたわいもない悩みなどを美馬先生にメールで相談していたそうです。 「先生はいつも必ずお返事をくださって、前向きになる言葉をかけてくださいました」 その後、まいさんはクリニックで体外受精の提案を受けますが、ご主人がこの時初めて納得しなかったといいます。 「そこまでして赤ちゃんが欲しいの? 主人はそんなスタンスでしたが、赤ちゃんが欲しい私は少しずつ少しずつ説得するしかありませんでした。不妊治療のセミナーに参加したり、話し合いをしたり…。初めての夫婦の危機だったかもしれません」 そんな時にひと役買って出てくれたのが、意外にもご主人のお母様でした。まいさんが自分の体調と治療についてお母様に報告し、ご主人の力を借りたいことを伝えたところ、お母様もご主人を説得してくれたのだそう。やっといい流れになり、ご主人が協力してくれたものの、着床には至りませんでした。 先生に導かれるように転院し最後は先生が開院した美馬レディースクリニックへ まいさんが体外受精を終えたころ、先生があるクリニックに着任されたとの報告が。すぐに転院を決意したそうです。 この時、AMHの数値は年相応だったものの、卵胞刺激ホルモン、黄体形成ホルモンなどの数値が限りなくゼロに近い状態でした。先生を信じて転院したものの、かなり厳しい状況でのスタートでした。このクリニックでは、一度顕微授精にチャレンジをしたものの、妊娠には至りませんでした。その後、先生がご自身のクリニックを開院されるとのことで、まいさんも先生のクリニックに転院することになります。 2013年10月美馬先生が「美馬レディースクリニック」を開院。美馬先生の治療方針は“卵巣を守るやさしい不妊治療”。まずは卵巣のアンチエイジングを行い、自然妊娠を目指すというものです。転院したまいさんに先生は「まず無月経から治しましょう」と提案。まいさんも悪い方へ悪い方へ傾いていた気持ちを一度リセットし「しばらくは妊娠しなくちゃいけないと考えることをやめたんです」といいます。 治療は、カウフマン療法で月経がちゃんとくるようにすること、あとはサプリメントで栄養を補ったり、体を温めるようにした程度だったそうです。 美馬先生のもとで治療を始めて約2年経過した2015年11月、まいさんに約10年ぶりの生理が。最初は不正出血かと思ったくらい突然訪れたのだそうです。そして年が明けて2月、せっかくきていた生理がまた止まってしまったけれど、いつもと体調が違う…と思ったら、なんとそれは一度は諦めかけた“妊娠”だったそう。 「あんなに痛い不妊治療をしたのに、自然に妊娠するなんて! まさかまさかの妊娠に主人も本当にあっけにとられているくらいでした」 つらかった不妊治療のあとはご褒美のように順調な妊娠生活と出産へ 実は気分転換に海外旅行を計画していたまいさんご夫妻でしたが「先生にここを逃したら次のチャンスはないかもしれませんよ、と言われ、私も次は流産するのでは…? という不安があったのでもちろんキャンセルをしました」。さまざまな不安がありましたが、出産は美馬先生の後輩の先生がいる産院へ。「信頼してきた先生の紹介だから絶対安心できると思って。美馬レディースクリニックを卒業する時は、寂しさもあり複雑でしたが、妊娠中はトラブルもなく、産院の先生も本当に良くしてくださり、いいお産ができました」。 32歳の妊娠、出産。一般の不妊治療としては若い年齢でしたが、若いがゆえに周りには言い出しにくく、自分の症状を一言で語るには難しく、身内以外に話すこともできなかったまいさん。「先生と出会えたことがすべてだと思います。先生と偶然にも出会えたこと、息子が五体満足に生まれてきてくれたことに本当に感謝したいと思います」。 From Doctor 治療を振り返って 「自然妊娠ができたのは真面目な生活態度によるもの」 前のクリニックで受精卵を見たときに正直言って「これは良くないな」と思いました。ホルモン数値は低かったものの、AMHの数値は悪くなかったので、私のクリニックに来てからはカウフマン療法で生理がくることを脳に認識させ、自律神経を安定させ、ホルモンが卵巣に働かせるようにすることから治療を始めました。彼女自身もマクロビオティックの食事に興味をもったり、体調を戻すことに真面目に取り組んだことで、自律神経が安定し、妊娠スイッチが入ったのだと思います。 また彼女には「多嚢胞性卵巣症候群」もありました。おそらく10代のころから発症していて気がつかないままで、そしてある日突然生理が止まってしまったのでしょう。 このような状態で妊娠されたのは私の経験からも非常に珍しいケースで、セミナーなどでもまいさんの例を挙げて皆さんの励みにしてもらっています。 先生のご紹介 美馬 博史 先生(美馬レディースクリニック) 東京慈恵会医科大学医学部卒。同大学付属病院産婦人科、美馬産婦人科院長を経て現職。妊孕性(妊娠する力)を守る力を訴え、体にやさしいホルモン治療、カウンセリング療法、抗酸化食事療法等を積極的に啓蒙。 ≫ 美馬レディースクリニック 出典:女性のための健康生活マガジン jineko vol.34 2017 Summer≫ 掲載記事一覧はこちら
2017.5.22
コラム 不妊治療
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情熱のカルテ レディースクリニック北浜 奥 裕嗣 先生
治療の限界を感じ体外受精を学ぶため米国へ ――先生が産婦人科医になるまでのきっかけやこれまでの道のりを教えてください。 「和歌山県で安土桃山時代から代々医療にたずさわる家系の長男に生まれました。曽祖父の時代からは産婦人科を営み、父や母が医師として働く姿を身近に感じて育ちましたので、子どもながらに自分も医学部に入り、産婦人科医になるんだという想いは漠然とありましたね。成長過程では決められたレールを歩むことに抵抗した時期もありましたが、いま思えば医師をめざすのは自然のなりゆきでした。 産婦人科医になって1年後に大学院に入り、生殖医療とは直接関係のない生化学分野で、女性の更年期障害や加齢にかかわる過酸化脂質について研究。学位を取得後、総合大雄会病院、蒲郡市民病院の勤務医として、分娩や手術など一般産科の治療に携わるようになりました」 ――その後、アメリカに留学されたのですね。 「勤務先の病院では人工授精までおこなっていたのですが、これだけでは治療に限界があると感じるようになりました。だからこそ、なんとか最先端である体外受精に直接かかわり、勉強をしたいという思いが強くなった。それがきっかけでしたね。 ちょうどその頃、大学院で同じ研究所だった浅田義正先生(浅田レディースクリニック理事長)や、向田哲規先生(広島HARTクリニック院長)がアメリカで先端の生殖医療を学んで続々と帰国されました。そこでお二人に相談したところ、それぞれの先生のご尽力により、1998年に向田先生の留学先であった米国・ニュージャージー州にある不妊専門クリニック「Diamond Institute for Infertility and Menopause」で体外受精を学ぶ機会を得ました。 アメリカでは、おもに体外受精には欠かせないエンブリオロジスト(胚培養士)の仕事を学びました。そこでお世話になったアメリカのボスはDr.エミーニとバーケンフェルド。日本人と勤勉な気質が似ているユダヤ系の彼らのもとでの研修はとても有意義でした。なかでも強く印象に残っているのが『ブラッドミーティング』。たとえば日本では、刺激周期中は患者様に通常3〜4回通院していただくのが一般的ですが、研修先では患者様に毎日通院してもらい採血します。そして毎日の採血データをみながら自己注射の量を微調整するなど、その臨床のあり方に驚きました。さらに私のような研修医や看護師が立場に関係なくミーティングに参加することができて、いいアイデアは積極的に採用してもらえるオープンな環境もモチベーションのアップにつながりました。そんな臨床のあり方や、体外受精の基礎を学んだこの3年間がなければ、いまの私はなかったと思います」 一人ひとりに一貫した治療を届けるため開業医の道に ――帰国後はIVF大阪・IVFなんばクリニックで副院長として勤務された後、現在のクリニックを開業されました。開業医の道を選んだ理由もお聞かせください。 「IVF大阪・IVFなんばクリニックに勤務していた時は、理事長の森本義晴先生には、日本の最先端の生殖医療の現場で、たくさんの症例を経験させていただいてとても感謝しています。振り返ってみると、不妊治療医としての人生はいい出会いに恵まれた結果だと思います。 また、この頃にはアメリカで体外受精を学ぶことを反対していた産婦人科医の父が、漢方薬や人工授精では手立てが難しい患者様を私に紹介してくれるようになりました。そういう意味では父も私を認めてくれていたのかなと思い、うれしかったですね。 最後まで勤務医か開業医かという選択で迷いましたが、2010年に実家のある和歌山ではなく、体外受精を必要とされる患者様が通院しやすい大阪に開院しました。大病院では排卵誘発、採卵、胚移植など治療内容によって、一人の患者様を担当する医師がそれぞれ異なります。私には一人ひとりの患者様を最後まで一貫して診たいという想いがありました。やはり開業医の家系で育ったことが大きかったのかもしれません」 結果が出ない患者様にも最後まで力を尽くしたい ――開院されて7年目を迎えますが、日々どんな想いで治療に臨まれていますか。また今後についてお聞かせください。 「当院では、少人数の医師が一般不妊治療から体外受精まで一貫して行うことで、クオリティの高い医療を提供したいと考えています。そのためには最新情報にアンテナを張り、自己研鑽していくこと。さらに、アメリカで学んだ経験や検証法をベースに、排卵誘発から培養液の選択、培養室の温度管理に至るまで、結果が出ない方の治療検証を繰り返し、一人でも多くの患者様が赤ちゃんを授かれるよう力を尽くしていきたいです。生殖医療の技術は進んでいますので、ある程度早い年齢でお越しいただいた方は、かなり高い確率でいい結果が出ています。しかし、現代の医療でも残念ながら結果が出ない方もいらっしゃいます。私の想いは、当院を選んで治療を受けていただいたけれども結果が出なかった、そのような患者様にも、『ここで治療を受けて良かった』と納得して卒業していただくことです。アメリカでの経験を活かしてオープンな環境とチームワークを大切にしながら、つねに最良の治療を届けていきたいと思っています」 (左)体外受精の説明会も定期的に開催しているサロンのような待合室。 (中央)臨床心理士によるカウンセリングでご夫婦の心身をサポート。 (右)採卵後の卵子をスピーディーに検卵できるよう集約した採卵室、培養室、リカバリールーム。 お話を伺った先生のご紹介 奥 裕嗣 先生(レディースクリニック北浜) 1992年愛知医科大学大学院修了。蒲郡市民病院勤務の後、アメリカに留学。Diamond Institute for Infertility and Menopauseにて体外受精、顕微授精等、最先端の生殖医療技術を学ぶ。帰国後、IVF大阪クリニック勤務、IVFなんばクリニック副院長を経て、2010年レディースクリニック北浜を開院。医学博士、日本産婦人科学会専門医、日本生殖医学会生殖医療専門医。採卵室と壁一枚で仕切られた培養室には、採卵後の卵子をスピーディーに検卵できる特注のパスボックスを設置。採卵後の卵子の温度変化にも配慮したアイデアは、胚培養士の資格を持つ先生ならではの発想です。 出典:女性のための健康生活マガジン jineko vol.34 2017 Summer≫ 掲載記事一覧はこちら 治療の限界を感じ体外受精を学ぶため米国へ ――先生が産婦人科医になるまでのきっかけやこれまでの道のりを教えてください。 「和歌山県で安土桃山時代から代々医療にたずさわる家系の長男に生まれました。曽祖父の時代からは産婦人科を営み、父や母が医師として働く姿を身近に感じて育ちましたので、子どもながらに自分も医学部に入り、産婦人科医になるんだという想いは漠然とありましたね。成長過程では決められたレールを歩むことに抵抗した時期もありましたが、いま思えば医師をめざすのは自然のなりゆきでした。 産婦人科医になって1年後に大学院に入り、生殖医療とは直接関係のない生化学分野で、女性の更年期障害や加齢にかかわる過酸化脂質について研究。学位を取得後、総合大雄会病院、蒲郡市民病院の勤務医として、分娩や手術など一般産科の治療に携わるようになりました」 ――その後、アメリカに留学されたのですね。 「勤務先の病院では人工授精までおこなっていたのですが、これだけでは治療に限界があると感じるようになりました。だからこそ、なんとか最先端である体外受精に直接かかわり、勉強をしたいという思いが強くなった。それがきっかけでしたね。 ちょうどその頃、大学院で同じ研究所だった浅田義正先生(浅田レディースクリニック理事長)や、向田哲規先生(広島HARTクリニック院長)がアメリカで先端の生殖医療を学んで続々と帰国されました。そこでお二人に相談したところ、それぞれの先生のご尽力により、1998年に向田先生の留学先であった米国・ニュージャージー州にある不妊専門クリニック「Diamond Institute for Infertility and Menopause」で体外受精を学ぶ機会を得ました。 アメリカでは、おもに体外受精には欠かせないエンブリオロジスト(胚培養士)の仕事を学びました。そこでお世話になったアメリカのボスはDr.エミーニとバーケンフェルド。日本人と勤勉な気質が似ているユダヤ系の彼らのもとでの研修はとても有意義でした。なかでも強く印象に残っているのが『ブラッドミーティング』。たとえば日本では、刺激周期中は患者様に通常3〜4回通院していただくのが一般的ですが、研修先では患者様に毎日通院してもらい採血します。そして毎日の採血データをみながら自己注射の量を微調整するなど、その臨床のあり方に驚きました。さらに私のような研修医や看護師が立場に関係なくミーティングに参加することができて、いいアイデアは積極的に採用してもらえるオープンな環境もモチベーションのアップにつながりました。そんな臨床のあり方や、体外受精の基礎を学んだこの3年間がなければ、いまの私はなかったと思います」 一人ひとりに一貫した治療を届けるため開業医の道に ――帰国後はIVF大阪・IVFなんばクリニックで副院長として勤務された後、現在のクリニックを開業されました。開業医の道を選んだ理由もお聞かせください。 「IVF大阪・IVFなんばクリニックに勤務していた時は、理事長の森本義晴先生には、日本の最先端の生殖医療の現場で、たくさんの症例を経験させていただいてとても感謝しています。振り返ってみると、不妊治療医としての人生はいい出会いに恵まれた結果だと思います。 また、この頃にはアメリカで体外受精を学ぶことを反対していた産婦人科医の父が、漢方薬や人工授精では手立てが難しい患者様を私に紹介してくれるようになりました。そういう意味では父も私を認めてくれていたのかなと思い、うれしかったですね。 最後まで勤務医か開業医かという選択で迷いましたが、2010年に実家のある和歌山ではなく、体外受精を必要とされる患者様が通院しやすい大阪に開院しました。大病院では排卵誘発、採卵、胚移植など治療内容によって、一人の患者様を担当する医師がそれぞれ異なります。私には一人ひとりの患者様を最後まで一貫して診たいという想いがありました。やはり開業医の家系で育ったことが大きかったのかもしれません」 結果が出ない患者様にも最後まで力を尽くしたい ――開院されて7年目を迎えますが、日々どんな想いで治療に臨まれていますか。また今後についてお聞かせください。 「当院では、少人数の医師が一般不妊治療から体外受精まで一貫して行うことで、クオリティの高い医療を提供したいと考えています。そのためには最新情報にアンテナを張り、自己研鑽していくこと。さらに、アメリカで学んだ経験や検証法をベースに、排卵誘発から培養液の選択、培養室の温度管理に至るまで、結果が出ない方の治療検証を繰り返し、一人でも多くの患者様が赤ちゃんを授かれるよう力を尽くしていきたいです。生殖医療の技術は進んでいますので、ある程度早い年齢でお越しいただいた方は、かなり高い確率でいい結果が出ています。しかし、現代の医療でも残念ながら結果が出ない方もいらっしゃいます。私の想いは、当院を選んで治療を受けていただいたけれども結果が出なかった、そのような患者様にも、『ここで治療を受けて良かった』と納得して卒業していただくことです。アメリカでの経験を活かしてオープンな環境とチームワークを大切にしながら、つねに最良の治療を届けていきたいと思っています」 (左)体外受精の説明会も定期的に開催しているサロンのような待合室。 (中央)臨床心理士によるカウンセリングでご夫婦の心身をサポート。 (右)採卵後の卵子をスピーディーに検卵できるよう集約した採卵室、培養室、リカバリールーム。 お話を伺った先生のご紹介 奥 裕嗣 先生(レディースクリニック北浜) 1992年愛知医科大学大学院修了。蒲郡市民病院勤務の後、アメリカに留学。Diamond Institute for Infertility and Menopauseにて体外受精、顕微授精等、最先端の生殖医療技術を学ぶ。帰国後、IVF大阪クリニック勤務、IVFなんばクリニック副院長を経て、2010年レディースクリニック北浜を開院。医学博士、日本産婦人科学会専門医、日本生殖医学会生殖医療専門医。採卵室と壁一枚で仕切られた培養室には、採卵後の卵子をスピーディーに検卵できる特注のパスボックスを設置。採卵後の卵子の温度変化にも配慮したアイデアは、胚培養士の資格を持つ先生ならではの発想です。 出典:女性のための健康生活マガジン jineko vol.34 2017 Summer≫ 掲載記事一覧はこちら
2017.5.21
コラム 不妊治療
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高齢妊娠・出産ではどのような点に注意が必要ですか?
高齢になるほど増えるとされる、妊娠・出産のリスクには、どのようなものがあるのでしょうか? また、その対処法は? かしわざき産婦人科の柏崎祐士先生に伺いました。
2017.5.21
コラム 不妊治療
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子宮のトラブル治療すべき? 妊娠を優先すべき?
40代に多くみられる子宮のトラブルにはどんなものがあるのでしょうか。また、治療と妊娠、どちらを優先すべきなのか、いくたウィメンズクリニックの生田克夫先生にお話を伺いました。
2017.5.21
コラム 不妊治療
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40代の治療の選択と心構えについて教えて
40代の治療の選択と心構えについて教えて 中村 嘉宏 先生(なかむらレディースクリニック) 30代と40代の不妊治療では、治療内容やスピードに大きな違いがあるといいます。ステップアップの目安、排卵誘発法の選択、治療に取り組むための心構えなど、なかむらレディースクリニックの中村先生にお話を伺いました。 40代の妊娠率、出産率とステップアップのタイミング 当院で体外受精をうけておられる患者様の平均年齢は40・2歳で高齢化が顕著になっています。30代と40代では妊娠率が大きく異なり、40代でも40歳と43歳では妊娠率に明らかな差があります。その理由として、加齢による卵子の質の低下、卵子の残り数が少なくなることで起こる卵巣機能の低下が挙げられます。一般的には30歳から緩やかに妊娠率は低下し、35歳からは一年ごとに妊娠率が低下します。40歳からはさらに急速に妊娠率が低下します。また、妊娠が成立しても35歳からは流産率が上昇し、40代ではさらに加速していきます。 つまり、40歳になると妊娠率が急速に低下し、また、せっかく妊娠しても流産率が上昇しますので、赤ちゃんが生まれる確率(出産率)はさらに低下してきます。当院での胚移植1回あたりの出産率は、30歳前半で32・9%、30代後半で23%、40歳で16%、43歳で9.1%です。40歳と43歳でも明らかな差が出ています。40代では、それこそ数カ月で出産率が低下するので、ステップアップを急いでいく必要があります。 そこでステップアップの目安についてお話しします。タイミング療法からスタートされるのであれば、次の治療にステップアップする目安となるタイミング療法の回数は4回です。超音波検査とホルモン検査を組み合わせてきちんとタイミングをとると、タイミング療法で妊娠された方の80%以上が4回までで妊娠されているからです。 その次のステップとして人工授精が考えられますが、40代であれば注意が必要です。人工授精は子宮内に濃縮した精子を注入する治療で、受精の場である卵管の端にまでに到達する精子が少ないと考えられる方に適した治療法です。つまり、ヒューナーテストが陰性で子宮の中に精子が侵入しにくい方や精子が少しだけ少ない方には有効な方法です。逆にいいますと特に原因のない40代の方では、タイミング療法と人工授精では、妊娠率が大きくは変わらないことになります。ヒューナーテストや精液検査に異常がない場合は人工授精をとばして直接体外受精を選択する方が妊娠への近道といえるでしょう。 一人ひとりで異なる排卵誘発法の見きわめ方とは? 体外受精に伴う排卵誘発法には、大きく2つの方法があります。お薬を全く使わない、あるいはクロミッド®などの飲み薬と最低限の排卵誘発剤の注射を用いる「自然周期法」と、排卵誘発剤を10日程度連続で使用する「刺激周期法」です。当院では、AMHやFSHの値を参考にしながら、できるだけ自然に近く体にやさしい自然周期法を中心に行っています。40代では刺激周期法のように強い刺激を行っても卵巣が思うように反応せず、採卵できる卵子がそれほど増えないという傾向があります。 つまり、自然周期法と刺激周期法で採卵できる卵子の数があまり変わらない場合も多いのです。当院の自然周期法では、主にクロミッドⓇを用いていますが、ホルモンの状態によっては、飲み薬を変えています。例えば、卵巣機能が低下し、FSHが上昇している場合は、クロミッド®だけでは反応性が低下します。 プレマリンというエストロゲンのお薬を併用し、FSHの値を調整して、卵巣の反応性を高めて誘発を行います。プレマリンを用いる目安はFSHが20 mIU / ml以上の場合です。また、FSHが上昇している場合で、AMHが0.5 ng/ ml以下の場合は、卵巣の中の卵子の残り数が極端に少なくなっており、数カ月で閉経してしまう可能性もあります。その場合は、ある程度採卵を優先して行い、受精卵を複数個凍結保存しておく方がよいでしょう。閉経してもホルモンを補充すれば、胚移植は可能です。 また、採卵できても、変性卵の割合が多い場合やクロミッド®で結果が出ないなど卵の質の低下が考えられる場合はフェマーラ®などのアロマターゼ阻害剤に変更する場合もあります。卵胞内のホルモン環境が変わるため、採卵した卵の質が向上する可能性があります。 外見の若さや加齢対策は妊娠力に影響するの? 必ずしも外見の若さや気持ちと卵巣機能や卵子の加齢は一致しません。もちろん個人差がありますが、やはりどの方も40代になると卵子の質や排卵誘発剤に対する反応性が下がり、妊娠率も低下します。 そんななかで結果が出ず、治療がうまくいかないと感じて「体質改善をしてから体外受精を受けます」という方もいらっしゃいます。40代では体質改善の効果にも限りがありますし、その間に卵子や卵巣の加齢は加速度的に進行するので、体質改善のために治療を遅らせることはデメリットの方がはるかに大きくなります。患者様によっては妊娠したい前向きな気持ちを否定されたように感じるかもしれませんが、当院ではありのままの事実をお伝えしたいと思っています。 私は日本、米国それぞれの抗加齢医学会認定医を取得しています。その上で断言できるのですが、卵子の加齢を食い止める方法はありません。生活習慣を変えても、どんなお薬を使ったとしても卵子の加齢は時間の経過とともに進行します。ただ治療を急いでいくことが妊娠への一番の近道です。 治療自体は思うにまかせないことも多く、体外受精をしたから必ず妊娠できるとは限らないのですが、自然の妊娠率と体外受精の妊娠率を比較すれば体外受精の方がはるかに高いのは明らかです。なるべく回り道せずに早めに、根気よく体外受精を受けられることをお勧めします。 最初に書きましたが、43歳での胚移植あたりの出産率は約9%です。低い数字に思えますが、回数を重ねることで累積の妊娠率は高まります。理論上は、5回胚移植すれば、50%近い出産率になります。諦めてしまう必要はありません。 40代になってくると治療のタイムリミットが近づいてきますし、数カ月ごとに妊娠力は低下します。是非ともこの事実を知ってもらって最善を尽くて欲しいと思っています。きっと道はひらけてくれるはずです。 中村先生より まとめ 年齢と治療にリミットがある現実と向き合い早めに体外受精を選択することも必要です。 [無料]気軽にご相談ください お話を伺った先生のご紹介 中村 嘉宏 先生(なかむらレディースクリニック) 大阪市立大学医学部卒業。同大学院で山中伸弥教授(現CiRA所長)の指導で学位取得。大阪市立大学附属病院、住友病院、北摂総合病院産婦人科部長を経て、2013年より藤野婦人科クリニック勤務。2015年4月なかむらレディースクリニック開院。寺院関係者向けの雑誌などマニアックな本に目がないという先生の書庫には、ユニークなタイトルの本がびっしり。最近「断捨離」をはじめたそうですが、書評サイトなどで面白そうな本を見つけては購入するので、本の山が増えていく一方なのだとか。 ≫ なかむらレディースクリニック 出典:女性のための健康生活マガジン jineko vol.34 2017 Summer≫ 掲載記事一覧はこちら 40代の治療の選択と心構えについて教えて 中村 嘉宏 先生(なかむらレディースクリニック) 30代と40代の不妊治療では、治療内容やスピードに大きな違いがあるといいます。ステップアップの目安、排卵誘発法の選択、治療に取り組むための心構えなど、なかむらレディースクリニックの中村先生にお話を伺いました。 40代の妊娠率、出産率とステップアップのタイミング 当院で体外受精をうけておられる患者様の平均年齢は40・2歳で高齢化が顕著になっています。30代と40代では妊娠率が大きく異なり、40代でも40歳と43歳では妊娠率に明らかな差があります。その理由として、加齢による卵子の質の低下、卵子の残り数が少なくなることで起こる卵巣機能の低下が挙げられます。一般的には30歳から緩やかに妊娠率は低下し、35歳からは一年ごとに妊娠率が低下します。40歳からはさらに急速に妊娠率が低下します。また、妊娠が成立しても35歳からは流産率が上昇し、40代ではさらに加速していきます。 つまり、40歳になると妊娠率が急速に低下し、また、せっかく妊娠しても流産率が上昇しますので、赤ちゃんが生まれる確率(出産率)はさらに低下してきます。当院での胚移植1回あたりの出産率は、30歳前半で32・9%、30代後半で23%、40歳で16%、43歳で9.1%です。40歳と43歳でも明らかな差が出ています。40代では、それこそ数カ月で出産率が低下するので、ステップアップを急いでいく必要があります。 そこでステップアップの目安についてお話しします。タイミング療法からスタートされるのであれば、次の治療にステップアップする目安となるタイミング療法の回数は4回です。超音波検査とホルモン検査を組み合わせてきちんとタイミングをとると、タイミング療法で妊娠された方の80%以上が4回までで妊娠されているからです。 その次のステップとして人工授精が考えられますが、40代であれば注意が必要です。人工授精は子宮内に濃縮した精子を注入する治療で、受精の場である卵管の端にまでに到達する精子が少ないと考えられる方に適した治療法です。つまり、ヒューナーテストが陰性で子宮の中に精子が侵入しにくい方や精子が少しだけ少ない方には有効な方法です。逆にいいますと特に原因のない40代の方では、タイミング療法と人工授精では、妊娠率が大きくは変わらないことになります。ヒューナーテストや精液検査に異常がない場合は人工授精をとばして直接体外受精を選択する方が妊娠への近道といえるでしょう。 一人ひとりで異なる排卵誘発法の見きわめ方とは? 体外受精に伴う排卵誘発法には、大きく2つの方法があります。お薬を全く使わない、あるいはクロミッド®などの飲み薬と最低限の排卵誘発剤の注射を用いる「自然周期法」と、排卵誘発剤を10日程度連続で使用する「刺激周期法」です。当院では、AMHやFSHの値を参考にしながら、できるだけ自然に近く体にやさしい自然周期法を中心に行っています。40代では刺激周期法のように強い刺激を行っても卵巣が思うように反応せず、採卵できる卵子がそれほど増えないという傾向があります。 つまり、自然周期法と刺激周期法で採卵できる卵子の数があまり変わらない場合も多いのです。当院の自然周期法では、主にクロミッドⓇを用いていますが、ホルモンの状態によっては、飲み薬を変えています。例えば、卵巣機能が低下し、FSHが上昇している場合は、クロミッド®だけでは反応性が低下します。 プレマリンというエストロゲンのお薬を併用し、FSHの値を調整して、卵巣の反応性を高めて誘発を行います。プレマリンを用いる目安はFSHが20 mIU / ml以上の場合です。また、FSHが上昇している場合で、AMHが0.5 ng/ ml以下の場合は、卵巣の中の卵子の残り数が極端に少なくなっており、数カ月で閉経してしまう可能性もあります。その場合は、ある程度採卵を優先して行い、受精卵を複数個凍結保存しておく方がよいでしょう。閉経してもホルモンを補充すれば、胚移植は可能です。 また、採卵できても、変性卵の割合が多い場合やクロミッド®で結果が出ないなど卵の質の低下が考えられる場合はフェマーラ®などのアロマターゼ阻害剤に変更する場合もあります。卵胞内のホルモン環境が変わるため、採卵した卵の質が向上する可能性があります。 外見の若さや加齢対策は妊娠力に影響するの? 必ずしも外見の若さや気持ちと卵巣機能や卵子の加齢は一致しません。もちろん個人差がありますが、やはりどの方も40代になると卵子の質や排卵誘発剤に対する反応性が下がり、妊娠率も低下します。 そんななかで結果が出ず、治療がうまくいかないと感じて「体質改善をしてから体外受精を受けます」という方もいらっしゃいます。40代では体質改善の効果にも限りがありますし、その間に卵子や卵巣の加齢は加速度的に進行するので、体質改善のために治療を遅らせることはデメリットの方がはるかに大きくなります。患者様によっては妊娠したい前向きな気持ちを否定されたように感じるかもしれませんが、当院ではありのままの事実をお伝えしたいと思っています。 私は日本、米国それぞれの抗加齢医学会認定医を取得しています。その上で断言できるのですが、卵子の加齢を食い止める方法はありません。生活習慣を変えても、どんなお薬を使ったとしても卵子の加齢は時間の経過とともに進行します。ただ治療を急いでいくことが妊娠への一番の近道です。 治療自体は思うにまかせないことも多く、体外受精をしたから必ず妊娠できるとは限らないのですが、自然の妊娠率と体外受精の妊娠率を比較すれば体外受精の方がはるかに高いのは明らかです。なるべく回り道せずに早めに、根気よく体外受精を受けられることをお勧めします。 最初に書きましたが、43歳での胚移植あたりの出産率は約9%です。低い数字に思えますが、回数を重ねることで累積の妊娠率は高まります。理論上は、5回胚移植すれば、50%近い出産率になります。諦めてしまう必要はありません。 40代になってくると治療のタイムリミットが近づいてきますし、数カ月ごとに妊娠力は低下します。是非ともこの事実を知ってもらって最善を尽くて欲しいと思っています。きっと道はひらけてくれるはずです。 中村先生より まとめ 年齢と治療にリミットがある現実と向き合い早めに体外受精を選択することも必要です。 [無料]気軽にご相談ください お話を伺った先生のご紹介 中村 嘉宏 先生(なかむらレディースクリニック) 大阪市立大学医学部卒業。同大学院で山中伸弥教授(現CiRA所長)の指導で学位取得。大阪市立大学附属病院、住友病院、北摂総合病院産婦人科部長を経て、2013年より藤野婦人科クリニック勤務。2015年4月なかむらレディースクリニック開院。寺院関係者向けの雑誌などマニアックな本に目がないという先生の書庫には、ユニークなタイトルの本がびっしり。最近「断捨離」をはじめたそうですが、書評サイトなどで面白そうな本を見つけては購入するので、本の山が増えていく一方なのだとか。 ≫ なかむらレディースクリニック 出典:女性のための健康生活マガジン jineko vol.34 2017 Summer≫ 掲載記事一覧はこちら
2017.5.21
コラム 不妊治療
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卵管癒着で5回の体外受精。 次回の採卵までにできることは?
「体外受精の目安は3回と聞きましたが、諦めきれない気持ちが強く、何かできることはないか考える日々です。」
2017.5.21
コラム 不妊治療
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卵子が増えず、育ちも悪い。 AMH値が高いのが原因?
「今月から体外受精の採卵周期を始めました。ショート法による刺激で今D11ですが、なかなか刺激に反応せず、卵子が増えないし、育ちません。」
2017.5.21
コラム 不妊治療
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どんな時でも「ありがとう」を。暗示に負けない、輝く心をって
どんな時でも「ありがとう」を。暗示に負けない、輝く心をって 代表取締役 岩本初恵さん(株式会社 愛しとーと) 会うと誰もがファンになる、そんな「ひまわりのような女性」。すべての女性が女性らしくいられるよう、いつも明るい太陽に向かい、ポジティブな道を模索し続ける。己の信念を決して曲げないその強さと輝きに、私たちが前向きに生きるヒントがありました。 コラーゲンを中心とした多彩な美容健康食品で知られ、国内外で人気の「愛しとーと」。しかしこの会社における一番の人気は「社長」だと多くの人が口を揃えます。「愛しとーと!」のセリフとスラリとした美脚が話題のCMでおなじみの岩本初恵さん。実は、2人のお子様の「かあちゃん」であり、6人の孫の「おばあちゃん」の顔もおもちです。昨日は長崎、明日は熊本、来週は韓国、とパワフルに走り続ける岩本さんに「女性の生き方」について伺いました。 心を病んで見つけた光人生にマイナスなことなどない 「若い頃からとにかく働いていました。寝る時間がもったいないといいながら朝から晩まで、家族のために。その無理が重なってしまったんですね。今はこんなに健康ですが、その頃は自律神経失調症で薬漬けになってしまって」 今の輝きからは考えられない岩本さんの告白。医者に暗示をかけられ、薬がどんどん増え、ネガティブになりながらも、岩本さんはふと幼少期に聞き続けたお父様の言葉を思い出しました。障がいをもちながら、漁師として家族のために汗を流していた父。 「障がいがあっても関係なか。人生にマイナスなことなんかなかぞ」 その時の岩本さんにとってそれはまるで啓示だったそう。何があろうといつも前向き、自分の力を信じて一生懸命に生きていた父にできたことが、若い自分にできないわけがないと、塞ぎ込みがちだった自分を奮い立たせました。 「自分の周囲や家族にありがとうの気持ちを忘れず、くよくよしそうになったら父の言葉を思い出す。自分を信じていたら徐々に薬が減り、いつの間にか治っていたんです」 この経験から、自分だけでなくもっと多くの人に健康や幸せを届けたい、笑顔にしたいと始めたことが今の会社の設立に繋がりました。「愛しとーと」(北部九州の方言で「愛している」)という個性ある社名も、岩本さんが届けたい「愛と感謝」をそのまま表しています。 肉親も社員も分け隔てなし。みんなの「かあちゃん」 強い信念とカリスマ性をもつ岩本さん。しかし、社員に仕事を「教えた」ことは一度もなく、新入社員の面接すら部下に一任。社員を信じ、任せるところは任せ、現場など自分の目で確かめたいところへは軽々と飛び回る毎日。「社長室にこもって仕事をしたこともないんじゃないかな、現場ばっかり出てますから」と岩本さんは笑います。 「私はみんなのかあちゃん。我が子も社員も関係ないし扱いも同じ。会社を設立した時、社員の子どもも自分の孫と同じように“育てよう”と決めました」 約300人の社員のうち7割が女性、しかも産休取得した女性社員のほぼ100%が会社に復帰。社内には無料のキッズルームが完備されており、無料の社員食堂は岩本社長が考案したヘルシーメニューがずらり。そこには社員がイキイキと働くための「母心」が詰まっています。 「感謝や愛情を注ぐのは血を分けた子や家族だけじゃない。社員はもう私の身内です。私のように考えるのは難しいことではないと思います。心のもちかた次第で私はその社員の親に、家族になれる。なんて素晴らしいことでしょう」 職業柄多くの女性と接し、不妊で悩む女性たちも見てきた岩本さん。 「子どもができないつらさで殻に閉じこもりがちになるのは、私も病気の経験者だからよくわかります。でも、できないできないと暗示をかけているのは、案外自分自身かもしれません」と言います。 「前向きになりたい、でも気持ちがうまく切り替えられないという人は、まず食べるものから変えてほしい。私は食事の基本である“だし”を大切にしています。商品にもレストランにも社員食堂にもそのだしを基本に考えています。こういった製品開発だけでなく、会社を興すヒントはすべて父の言葉にありました。父は『この海には財産が詰まっとるぞ。命は海がつくる』と言い続けていましたから。実際、私の娘婿は食べ物で人生が変わりました」 本社会議室に飾られていた可愛いウェルカムボード。本誌取材チームが訪れた時、手作りの旗などをもった社員の皆さんが、大きな声援と笑顔で迎えてくださいました。 「どう生きるか」を考える。暗示を解き放つのは自分 「この人と一緒になりたい」。そう言って岩本さんの娘さんが連れてきた相手は当時ある大きな病と闘病中で、再発率80%といわれていたそうです。死ぬかもしれない、未来がないかもしれない、もう働けないかもしれない…。そんな相手でも岩本さんは「あなたが選んだ人なら間違いない。結婚しなさい」と即決。家族全員での闘病が始まりました。 まずは「いままで食生活について何も気にしていなかった」という娘婿の食生活を一変させることからスタート。品質の確かな素材や発酵食品、手作りの食事を基本に、医者の暗示にかからないよういつも前向きに「治る」と自分を信じ続けるよう、考え方も変えていくよう家族で働きかけました。 「もう20年になりますが、再発もなく今も元気ですよ。食もそうですが、自身で『自分は病人ではない』と前向きに考え、『どう生きるか』を強く思い、いまある命に『感謝』し続けたことが、彼をより強くしたんじゃないかな。子どももできないといわれていたのに、今では6人の子に恵まれました。」と岩本さん。感謝——。岩本さんのお話の中で何度も出てくる言葉です。 「この世に生を受けた以上、私たちには役割があります。他者を思いやる、他者に貢献する、それが“ありがとう”。だって、自分だけ幸せになっても仕方ないでしょう」。しかしそんな気持ちになれない時、具体的にどうすればいいのかとお聞きすると「簡単です。笑顔を作りましょう」とのこと。 「幸せになりたい、と悩むのはおかしい。自分が生きているだけでも親に周囲に感謝しなければならないのに反対のことをしている。だから笑顔! 他人を羨ましく思っても、心の底でそう思っていなくても『おめでとう』を言いましょう。それが綺麗事であっても、そんなことすらできない心の余裕のない人間に、いったい他に何ができるというんでしょう」 厳しいけれど愛に溢れた言葉。食と笑顔、まず自分ができることからやってほしいという「かあちゃん」からのまっすぐな思いです。 「もし赤ちゃんがいない人生だったとしても、他者を思い、感謝する心をもち続けていれば、血の繋がりに関係なく心も人生も必ず満たされると思います」 Special Interview 代表取締役 岩本初恵さん(株式会社 愛しとーと) 佐賀県唐津市出身。コラーゲンを中心とした美容健康商品を開発・販売する「株式会社 愛しとーと」代表取締役。経営者の傍ら、コメンテーターとしてのテレビ出演ほか、ラジオの人気パーソナリティーとして活躍。ボランティア活動も精力的に行っており、少年院や刑務所などでの更正生活を送った犯罪者の社会復帰の支援に尽力し、天皇陛下より紺綬褒章を授与。唐津大使、福岡県更生保護協会理事、福岡県就労支援事業者機構理事、春日警察協議会協議会委員など兼任。 出典:女性のための健康生活マガジン jineko vol.34 2017 Summer≫ 掲載記事一覧はこちら どんな時でも「ありがとう」を。暗示に負けない、輝く心をって 代表取締役 岩本初恵さん(株式会社 愛しとーと) 会うと誰もがファンになる、そんな「ひまわりのような女性」。すべての女性が女性らしくいられるよう、いつも明るい太陽に向かい、ポジティブな道を模索し続ける。己の信念を決して曲げないその強さと輝きに、私たちが前向きに生きるヒントがありました。 コラーゲンを中心とした多彩な美容健康食品で知られ、国内外で人気の「愛しとーと」。しかしこの会社における一番の人気は「社長」だと多くの人が口を揃えます。「愛しとーと!」のセリフとスラリとした美脚が話題のCMでおなじみの岩本初恵さん。実は、2人のお子様の「かあちゃん」であり、6人の孫の「おばあちゃん」の顔もおもちです。昨日は長崎、明日は熊本、来週は韓国、とパワフルに走り続ける岩本さんに「女性の生き方」について伺いました。 心を病んで見つけた光人生にマイナスなことなどない 「若い頃からとにかく働いていました。寝る時間がもったいないといいながら朝から晩まで、家族のために。その無理が重なってしまったんですね。今はこんなに健康ですが、その頃は自律神経失調症で薬漬けになってしまって」 今の輝きからは考えられない岩本さんの告白。医者に暗示をかけられ、薬がどんどん増え、ネガティブになりながらも、岩本さんはふと幼少期に聞き続けたお父様の言葉を思い出しました。障がいをもちながら、漁師として家族のために汗を流していた父。 「障がいがあっても関係なか。人生にマイナスなことなんかなかぞ」 その時の岩本さんにとってそれはまるで啓示だったそう。何があろうといつも前向き、自分の力を信じて一生懸命に生きていた父にできたことが、若い自分にできないわけがないと、塞ぎ込みがちだった自分を奮い立たせました。 「自分の周囲や家族にありがとうの気持ちを忘れず、くよくよしそうになったら父の言葉を思い出す。自分を信じていたら徐々に薬が減り、いつの間にか治っていたんです」 この経験から、自分だけでなくもっと多くの人に健康や幸せを届けたい、笑顔にしたいと始めたことが今の会社の設立に繋がりました。「愛しとーと」(北部九州の方言で「愛している」)という個性ある社名も、岩本さんが届けたい「愛と感謝」をそのまま表しています。 肉親も社員も分け隔てなし。みんなの「かあちゃん」 強い信念とカリスマ性をもつ岩本さん。しかし、社員に仕事を「教えた」ことは一度もなく、新入社員の面接すら部下に一任。社員を信じ、任せるところは任せ、現場など自分の目で確かめたいところへは軽々と飛び回る毎日。「社長室にこもって仕事をしたこともないんじゃないかな、現場ばっかり出てますから」と岩本さんは笑います。 「私はみんなのかあちゃん。我が子も社員も関係ないし扱いも同じ。会社を設立した時、社員の子どもも自分の孫と同じように“育てよう”と決めました」 約300人の社員のうち7割が女性、しかも産休取得した女性社員のほぼ100%が会社に復帰。社内には無料のキッズルームが完備されており、無料の社員食堂は岩本社長が考案したヘルシーメニューがずらり。そこには社員がイキイキと働くための「母心」が詰まっています。 「感謝や愛情を注ぐのは血を分けた子や家族だけじゃない。社員はもう私の身内です。私のように考えるのは難しいことではないと思います。心のもちかた次第で私はその社員の親に、家族になれる。なんて素晴らしいことでしょう」 職業柄多くの女性と接し、不妊で悩む女性たちも見てきた岩本さん。 「子どもができないつらさで殻に閉じこもりがちになるのは、私も病気の経験者だからよくわかります。でも、できないできないと暗示をかけているのは、案外自分自身かもしれません」と言います。 「前向きになりたい、でも気持ちがうまく切り替えられないという人は、まず食べるものから変えてほしい。私は食事の基本である“だし”を大切にしています。商品にもレストランにも社員食堂にもそのだしを基本に考えています。こういった製品開発だけでなく、会社を興すヒントはすべて父の言葉にありました。父は『この海には財産が詰まっとるぞ。命は海がつくる』と言い続けていましたから。実際、私の娘婿は食べ物で人生が変わりました」 本社会議室に飾られていた可愛いウェルカムボード。本誌取材チームが訪れた時、手作りの旗などをもった社員の皆さんが、大きな声援と笑顔で迎えてくださいました。 「どう生きるか」を考える。暗示を解き放つのは自分 「この人と一緒になりたい」。そう言って岩本さんの娘さんが連れてきた相手は当時ある大きな病と闘病中で、再発率80%といわれていたそうです。死ぬかもしれない、未来がないかもしれない、もう働けないかもしれない…。そんな相手でも岩本さんは「あなたが選んだ人なら間違いない。結婚しなさい」と即決。家族全員での闘病が始まりました。 まずは「いままで食生活について何も気にしていなかった」という娘婿の食生活を一変させることからスタート。品質の確かな素材や発酵食品、手作りの食事を基本に、医者の暗示にかからないよういつも前向きに「治る」と自分を信じ続けるよう、考え方も変えていくよう家族で働きかけました。 「もう20年になりますが、再発もなく今も元気ですよ。食もそうですが、自身で『自分は病人ではない』と前向きに考え、『どう生きるか』を強く思い、いまある命に『感謝』し続けたことが、彼をより強くしたんじゃないかな。子どももできないといわれていたのに、今では6人の子に恵まれました。」と岩本さん。感謝——。岩本さんのお話の中で何度も出てくる言葉です。 「この世に生を受けた以上、私たちには役割があります。他者を思いやる、他者に貢献する、それが“ありがとう”。だって、自分だけ幸せになっても仕方ないでしょう」。しかしそんな気持ちになれない時、具体的にどうすればいいのかとお聞きすると「簡単です。笑顔を作りましょう」とのこと。 「幸せになりたい、と悩むのはおかしい。自分が生きているだけでも親に周囲に感謝しなければならないのに反対のことをしている。だから笑顔! 他人を羨ましく思っても、心の底でそう思っていなくても『おめでとう』を言いましょう。それが綺麗事であっても、そんなことすらできない心の余裕のない人間に、いったい他に何ができるというんでしょう」 厳しいけれど愛に溢れた言葉。食と笑顔、まず自分ができることからやってほしいという「かあちゃん」からのまっすぐな思いです。 「もし赤ちゃんがいない人生だったとしても、他者を思い、感謝する心をもち続けていれば、血の繋がりに関係なく心も人生も必ず満たされると思います」 Special Interview 代表取締役 岩本初恵さん(株式会社 愛しとーと) 佐賀県唐津市出身。コラーゲンを中心とした美容健康商品を開発・販売する「株式会社 愛しとーと」代表取締役。経営者の傍ら、コメンテーターとしてのテレビ出演ほか、ラジオの人気パーソナリティーとして活躍。ボランティア活動も精力的に行っており、少年院や刑務所などでの更正生活を送った犯罪者の社会復帰の支援に尽力し、天皇陛下より紺綬褒章を授与。唐津大使、福岡県更生保護協会理事、福岡県就労支援事業者機構理事、春日警察協議会協議会委員など兼任。 出典:女性のための健康生活マガジン jineko vol.34 2017 Summer≫ 掲載記事一覧はこちら
2017.5.21
コラム くらし
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AMHが低く、FSHは高め。卵胞も1つしか育っていません
AMHが低く、FSHは高め。卵胞も1つしか育っていません 岡 親弘 先生(東京HARTクリニック) 相談者:ゆうこさん(34歳) 低AMH、高FSH、片側卵管閉塞です 34歳でタイミング法で半年間治療し、今月から体外受精を始めることにしたのですが、その際にAMH値が1.0ng/mlしかないことを知りました。アンタゴニスト法で治療することをすすめられ、毎日注射と内服薬を飲んでいたのですが、卵胞が1つしか育っておらず、FSH値も29mIU/mlあり、採卵中止となりました。ネットで調べると普通の人は卵胞が20個とかできていて、採卵もそのくらいの数が採れるというのを見てショックを受けています。先生に聞いたら「毎回1つのこともあるけれどやるしかない」とのことでした。私は体外受精でも妊娠することは難しいのでしょうか。とても自分が情けなく、悲しくてたまらないです。 34歳でAMHが1.0 ng/mlしかないということですが、その数値でも妊娠の可能性はありますか? AMH(抗ミュラー管ホルモン)は卵巣に残っている原始卵胞の数を知る目安になると考えられています。34歳で1.0 ng/mlは確かに低めの数値ですが、年齢的にはまだお若いので、出てくる卵子にはいいものがあると思います。44歳で1.0 ng/mlだったら採れる卵子が少なくなってくるのに加え、採卵できても染色体異常などが増えてくるので、妊娠・出産率は下がってしまうかもしれません。しかし、34歳なら質のいい卵子がちゃんと採れるはず。工夫して採っていけば、0.5 ng/mlでも何とかなるはずです。 では、AMH低値については心配ないということですね。 少し気になるのは卵胞が1個しか育っていなかったり、FSHが29 mIU/mlまで上がったということです。34歳でAMHが1.0 ng/mlあったら、そこまでの状況にはなりにくいと思うんですね。 もしかしたら背景に子宮内膜症などの病気があるのかもしれません。たとえばチョコレート嚢腫があると血流が悪くなるので、刺激をしてもなかなか反応しなかったり、卵胞が増えてもそれは炎症性のもので、中に良い卵子が入っていなかったり、空っぽだったりというケースが増えてきます。そのへんの検査はされているのでしょうか。 背景に何もなければゆうこさんに合った治療を行えば妊娠・出産の可能性はあるので、悲観することはないと思います。 では、どのような方法で進めていけばいいのでしょうか。 AMHが1.0 ng/mlだったら、7個くらい採卵していくのが目安になってくるでしょう。まず、月経が始まってから2~3日目にエコーで前胞状卵胞が何個見えるか確認します。5個以上見えたら、その時に注射を打って育てていく。 できるだけ卵子の数を確保したいということなら、Duo Stimulationという方法もあります(当院ホームページ参照)。採卵から5日後くらいにまた卵胞が育ちやすい時期が来るので、そこからまた刺激を始めれば1回目と同じようにいくつか卵子が採れるはずです。たとえば6個×2回で12個確保できれば、妊娠のチャンスはぐんと上がりますよね。 また、FSH値が高い周期は反応が悪い周期だと考えてください。29 mIU/mlもあるのにクロミッド®を飲んだら、さらにFSH値が40、50と上がってしまうので、刺激は行わず、タイミング法や人工授精で臨んだほうがいいでしょう。あせって無理をしてしまうと、逆に卵胞はうまく育ってくれません。 体外受精はまだ1回目とのこと。ゆうこさんのようなケースは1周期で結果を出すのは難しいかもしれませんが、半年程度のスパンでみて、いい周期を見つけて採卵すれば、妊娠のチャンスは十分あると思います。お一人ひとり条件は違うので、ネットの情報に振り回されず、前向きに今後の治療に臨んでいただきたいと思います。 岡先生より まとめ ●卵巣の機能が低い場合、背景に子宮内膜症が隠れていることも。 ●前胞状卵胞が5個以上見えた時にうまく刺激していけば、チャンスは十分あります。 [無料]気軽にご相談ください お話を伺った先生のご紹介 岡 親弘 先生(東京HARTクリニック) 慶應義塾大学医学部卒業。その後、同大学産婦人科に入局。不妊症・不育症の研究治療を行い、「ローズレディースクリニック等々力」院長を経て、2000年に不妊症専門クリニック「東京HARTクリニック」を開院。2005年アメリカ生殖医学会にて、ヒト胚盤胞のガラス化保存法とASの有効性についてHARTグループとして発表し、日本人で初めて表彰される。いきつけの居酒屋では、若い世代の人とも積極的に交流を持つという岡先生。その時に黙ってスマホをいじっているカップルを見ると、「もっとお互い目を合わせて語り合えばいいのに」と不思議に思うとか。 ≫ 東京HARTクリニック 出典:女性のための健康生活マガジン jineko vol.34 2017 Summer≫ 掲載記事一覧はこちら AMHが低く、FSHは高め。卵胞も1つしか育っていません 岡 親弘 先生(東京HARTクリニック) 相談者:ゆうこさん(34歳) 低AMH、高FSH、片側卵管閉塞です 34歳でタイミング法で半年間治療し、今月から体外受精を始めることにしたのですが、その際にAMH値が1.0ng/mlしかないことを知りました。アンタゴニスト法で治療することをすすめられ、毎日注射と内服薬を飲んでいたのですが、卵胞が1つしか育っておらず、FSH値も29mIU/mlあり、採卵中止となりました。ネットで調べると普通の人は卵胞が20個とかできていて、採卵もそのくらいの数が採れるというのを見てショックを受けています。先生に聞いたら「毎回1つのこともあるけれどやるしかない」とのことでした。私は体外受精でも妊娠することは難しいのでしょうか。とても自分が情けなく、悲しくてたまらないです。 34歳でAMHが1.0 ng/mlしかないということですが、その数値でも妊娠の可能性はありますか? AMH(抗ミュラー管ホルモン)は卵巣に残っている原始卵胞の数を知る目安になると考えられています。34歳で1.0 ng/mlは確かに低めの数値ですが、年齢的にはまだお若いので、出てくる卵子にはいいものがあると思います。44歳で1.0 ng/mlだったら採れる卵子が少なくなってくるのに加え、採卵できても染色体異常などが増えてくるので、妊娠・出産率は下がってしまうかもしれません。しかし、34歳なら質のいい卵子がちゃんと採れるはず。工夫して採っていけば、0.5 ng/mlでも何とかなるはずです。 では、AMH低値については心配ないということですね。 少し気になるのは卵胞が1個しか育っていなかったり、FSHが29 mIU/mlまで上がったということです。34歳でAMHが1.0 ng/mlあったら、そこまでの状況にはなりにくいと思うんですね。 もしかしたら背景に子宮内膜症などの病気があるのかもしれません。たとえばチョコレート嚢腫があると血流が悪くなるので、刺激をしてもなかなか反応しなかったり、卵胞が増えてもそれは炎症性のもので、中に良い卵子が入っていなかったり、空っぽだったりというケースが増えてきます。そのへんの検査はされているのでしょうか。 背景に何もなければゆうこさんに合った治療を行えば妊娠・出産の可能性はあるので、悲観することはないと思います。 では、どのような方法で進めていけばいいのでしょうか。 AMHが1.0 ng/mlだったら、7個くらい採卵していくのが目安になってくるでしょう。まず、月経が始まってから2~3日目にエコーで前胞状卵胞が何個見えるか確認します。5個以上見えたら、その時に注射を打って育てていく。 できるだけ卵子の数を確保したいということなら、Duo Stimulationという方法もあります(当院ホームページ参照)。採卵から5日後くらいにまた卵胞が育ちやすい時期が来るので、そこからまた刺激を始めれば1回目と同じようにいくつか卵子が採れるはずです。たとえば6個×2回で12個確保できれば、妊娠のチャンスはぐんと上がりますよね。 また、FSH値が高い周期は反応が悪い周期だと考えてください。29 mIU/mlもあるのにクロミッド®を飲んだら、さらにFSH値が40、50と上がってしまうので、刺激は行わず、タイミング法や人工授精で臨んだほうがいいでしょう。あせって無理をしてしまうと、逆に卵胞はうまく育ってくれません。 体外受精はまだ1回目とのこと。ゆうこさんのようなケースは1周期で結果を出すのは難しいかもしれませんが、半年程度のスパンでみて、いい周期を見つけて採卵すれば、妊娠のチャンスは十分あると思います。お一人ひとり条件は違うので、ネットの情報に振り回されず、前向きに今後の治療に臨んでいただきたいと思います。 岡先生より まとめ ●卵巣の機能が低い場合、背景に子宮内膜症が隠れていることも。 ●前胞状卵胞が5個以上見えた時にうまく刺激していけば、チャンスは十分あります。 [無料]気軽にご相談ください お話を伺った先生のご紹介 岡 親弘 先生(東京HARTクリニック) 慶應義塾大学医学部卒業。その後、同大学産婦人科に入局。不妊症・不育症の研究治療を行い、「ローズレディースクリニック等々力」院長を経て、2000年に不妊症専門クリニック「東京HARTクリニック」を開院。2005年アメリカ生殖医学会にて、ヒト胚盤胞のガラス化保存法とASの有効性についてHARTグループとして発表し、日本人で初めて表彰される。いきつけの居酒屋では、若い世代の人とも積極的に交流を持つという岡先生。その時に黙ってスマホをいじっているカップルを見ると、「もっとお互い目を合わせて語り合えばいいのに」と不思議に思うとか。 ≫ 東京HARTクリニック 出典:女性のための健康生活マガジン jineko vol.34 2017 Summer≫ 掲載記事一覧はこちら
2017.5.21
コラム 不妊治療
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卵巣嚢腫の手術と不妊治療、40歳の年齢ならどちらが先?
卵巣嚢腫の手術と不妊治療、40歳の年齢ならどちらが先? 永井 泰 先生(永井マザーズホスピタル) 相談者:りすさん(40歳) 嚢腫の治療が優先か、妊活が優先か 海外在住で、妊活を始めて6カ月。数年前から右卵巣に卵巣嚢腫があり、昨年11月に一時帰国して診察したら、約450㎜でした。別の施設でも診てもらったら「あなたは妊活できる体ではない。すぐに大学病院で卵巣嚢腫の治療をしなさい」と強くいわれました。悩みましたが、生活があるため居住国へ戻って、当帰芍薬散などを飲みながら自己流のタイミングを試しています。現在ビザの関係で保険証がなく、居住国での治療は数カ月は難しい状況。私は日本で体外受精を受けたいと考えていますが、夫は体外受精の話になると不機嫌になり、とても同意を得られそうにありません。現状の妊活を続けるか、嚢腫の治療をしてから再開するか、どのような形がベストなのでしょうか。 卵巣嚢腫の大きさが4.5㎝の場合、そのままにしておかず、摘出したほうがいいのでしょうか。 かなり大きいと思います。4㎝以上であれば、不妊であってもなくても、妊娠・出産を考えているなら摘出したほうがいいでしょう。それは、妊娠すると茎捻転を引き起こす可能性が高いからです。腫瘍のため卵巣の体積が増え激しい運動や体位変換、腸の動きなどで子宮や骨盤とつながっている靭帯がねじれてしまうんですね。嚢腫が3㎝以下の場合だったら、ねじれることはほとんどありません。 茎捻転は妊娠中期に起こり、激痛を引き起こします。緊急手術になると流産や早産になることもあるので、安全な形で赤ちゃんを産むために、嚢腫が大きい方は事前に取り除いておくことが必要ですね。 では、りすさんもすぐに手術をしたほうがいいですか? 35歳前の方だったら、不妊治療より卵巣嚢腫の治療を優先することをおすすめすると思います。しかし、卵子の老化が進んできている40歳以降の方だったら、先に不妊治療をしたほうがいいでしょう。 りすさんの嚢腫はどのような種類なのでしょうか。奇形腫だったらそれほど影響はありませんが、子宮内膜症を伴うチョコレート嚢腫だった場合、術後は卵巣機能がさらに低下してしまいます。そのようなことを考えても、まずは不妊治療を優先したいですね。 それもこれまで半年やって結果が出なかったタイミング法ではなく、妊娠率の高い体外受精にステップアップして、早めに受精卵を確保しておいたほうがいいと思います。今の状態だと、ちゃんと卵子が採れるのか、受精卵ができるのかどうかもわかりませんから、一度トライして、確かめてみることも必要だと思いますね。 年齢別の体外受精の妊娠率統計を見ると、40歳で胚を6個もっていると、生児獲得率がだいたい63%、41歳だと54%程度となっています。そうすると、採卵して、少なくとも5個前後の凍結胚を確保しておけば、妊娠の可能性が見えて、気持ち的にも安心するのではないでしょうか。 胚を凍結してから、卵巣嚢腫の治療にかかるということですね。 卵巣嚢腫は開腹手術ではなく、腹腔鏡を使って処置できるので、患者さんの負担は比較的軽く、3〜7日で退院できます。術後3~6カ月で妊娠可能な状態になり、それから移植ということになります。40歳でも移植はそれほど急がなくていいので、半年近く待っても問題はないでしょう。 このような流れが最適だと思いますが、心配なのがご主人の同意が得られるかということ。不妊治療はご夫婦の気持ちを一つにして臨むことが大切です。診察時にご主人も同席して医師の説明を受ける、もしくはIVF説明会などに参加して、妊娠や体外受精に関してご夫婦で共通の認識をもちましょう。治療を始める前に、まずはその部分をクリアすることが重要だと思います。 永井先生より まとめ ●4㎝以上の嚢腫があると妊娠中期に茎捻転を起こしやすく、流産や早産の危険性も ●40歳という年齢なら、体外受精で採卵、胚凍結→卵巣嚢腫の治療→胚移植の流れで [無料]気軽にご相談ください お話を伺った先生のご紹介 永井 泰 先生(永井マザーズホスピタル) 東京医科大学医学部卒業。産婦人科・麻酔科認定医。1989年、埼玉県三郷市に開院。さらに環境を整え、より良い医療を提供するために、2015年に診療所から病院へ改組。産科、婦人科をはじめ、不妊治療、形成・美容外科、小児科と、女性が生涯関わる総合的な医療を、温かく、優しい環境の中で提供。卓球が趣味という永井先生。取材当日はちょうど練習の日。仕事のあと、本館1階のスタジオで卓球好きのスタッフと汗を流すそうです。華麗なラケットさばきで、速く正確に続くラリーにびっくり! かなりの腕前です。 ≫ 永井マザーズホスピタル 出典:女性のための健康生活マガジン jineko vol.34 2017 Summer≫ 掲載記事一覧はこちら 卵巣嚢腫の手術と不妊治療、40歳の年齢ならどちらが先? 永井 泰 先生(永井マザーズホスピタル) 相談者:りすさん(40歳) 嚢腫の治療が優先か、妊活が優先か 海外在住で、妊活を始めて6カ月。数年前から右卵巣に卵巣嚢腫があり、昨年11月に一時帰国して診察したら、約450㎜でした。別の施設でも診てもらったら「あなたは妊活できる体ではない。すぐに大学病院で卵巣嚢腫の治療をしなさい」と強くいわれました。悩みましたが、生活があるため居住国へ戻って、当帰芍薬散などを飲みながら自己流のタイミングを試しています。現在ビザの関係で保険証がなく、居住国での治療は数カ月は難しい状況。私は日本で体外受精を受けたいと考えていますが、夫は体外受精の話になると不機嫌になり、とても同意を得られそうにありません。現状の妊活を続けるか、嚢腫の治療をしてから再開するか、どのような形がベストなのでしょうか。 卵巣嚢腫の大きさが4.5㎝の場合、そのままにしておかず、摘出したほうがいいのでしょうか。 かなり大きいと思います。4㎝以上であれば、不妊であってもなくても、妊娠・出産を考えているなら摘出したほうがいいでしょう。それは、妊娠すると茎捻転を引き起こす可能性が高いからです。腫瘍のため卵巣の体積が増え激しい運動や体位変換、腸の動きなどで子宮や骨盤とつながっている靭帯がねじれてしまうんですね。嚢腫が3㎝以下の場合だったら、ねじれることはほとんどありません。 茎捻転は妊娠中期に起こり、激痛を引き起こします。緊急手術になると流産や早産になることもあるので、安全な形で赤ちゃんを産むために、嚢腫が大きい方は事前に取り除いておくことが必要ですね。 では、りすさんもすぐに手術をしたほうがいいですか? 35歳前の方だったら、不妊治療より卵巣嚢腫の治療を優先することをおすすめすると思います。しかし、卵子の老化が進んできている40歳以降の方だったら、先に不妊治療をしたほうがいいでしょう。 りすさんの嚢腫はどのような種類なのでしょうか。奇形腫だったらそれほど影響はありませんが、子宮内膜症を伴うチョコレート嚢腫だった場合、術後は卵巣機能がさらに低下してしまいます。そのようなことを考えても、まずは不妊治療を優先したいですね。 それもこれまで半年やって結果が出なかったタイミング法ではなく、妊娠率の高い体外受精にステップアップして、早めに受精卵を確保しておいたほうがいいと思います。今の状態だと、ちゃんと卵子が採れるのか、受精卵ができるのかどうかもわかりませんから、一度トライして、確かめてみることも必要だと思いますね。 年齢別の体外受精の妊娠率統計を見ると、40歳で胚を6個もっていると、生児獲得率がだいたい63%、41歳だと54%程度となっています。そうすると、採卵して、少なくとも5個前後の凍結胚を確保しておけば、妊娠の可能性が見えて、気持ち的にも安心するのではないでしょうか。 胚を凍結してから、卵巣嚢腫の治療にかかるということですね。 卵巣嚢腫は開腹手術ではなく、腹腔鏡を使って処置できるので、患者さんの負担は比較的軽く、3〜7日で退院できます。術後3~6カ月で妊娠可能な状態になり、それから移植ということになります。40歳でも移植はそれほど急がなくていいので、半年近く待っても問題はないでしょう。 このような流れが最適だと思いますが、心配なのがご主人の同意が得られるかということ。不妊治療はご夫婦の気持ちを一つにして臨むことが大切です。診察時にご主人も同席して医師の説明を受ける、もしくはIVF説明会などに参加して、妊娠や体外受精に関してご夫婦で共通の認識をもちましょう。治療を始める前に、まずはその部分をクリアすることが重要だと思います。 永井先生より まとめ ●4㎝以上の嚢腫があると妊娠中期に茎捻転を起こしやすく、流産や早産の危険性も ●40歳という年齢なら、体外受精で採卵、胚凍結→卵巣嚢腫の治療→胚移植の流れで [無料]気軽にご相談ください お話を伺った先生のご紹介 永井 泰 先生(永井マザーズホスピタル) 東京医科大学医学部卒業。産婦人科・麻酔科認定医。1989年、埼玉県三郷市に開院。さらに環境を整え、より良い医療を提供するために、2015年に診療所から病院へ改組。産科、婦人科をはじめ、不妊治療、形成・美容外科、小児科と、女性が生涯関わる総合的な医療を、温かく、優しい環境の中で提供。卓球が趣味という永井先生。取材当日はちょうど練習の日。仕事のあと、本館1階のスタジオで卓球好きのスタッフと汗を流すそうです。華麗なラケットさばきで、速く正確に続くラリーにびっくり! かなりの腕前です。 ≫ 永井マザーズホスピタル 出典:女性のための健康生活マガジン jineko vol.34 2017 Summer≫ 掲載記事一覧はこちら
2017.5.21
コラム 不妊治療