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基礎体温が低くても妊娠できる?
基礎体温が低くても妊娠できる? 2017/4/3 中村 嘉宏(なかむらレディースクリニック 院長) 相談者:基礎体温さん(主婦 / 30歳) 質問させてください。 私は妊娠希望で基礎体温を毎日つけているのですが、低温期はだいたい36.0〜36.3で、高温期は36.3〜36.7ぐらいなんです。しかも排卵日から4〜5日目で体温がやっと高温って感じです。周期も長く35〜39日だったりして、排卵日も定まらず、排卵検査薬を使ったり、病院にも通ったりもしています。 自分でも知識を得ようと調べたりしてみたのですが、とにかく基礎体温が低めだし妊娠しにくいのかなって・・・。(T_T) 基礎体温低めで妊娠されている方がいらっしゃると気持ちが少し楽になれそうで・・・。色々教えて下さい。お願いします。 基礎体温からわかることを教えてください。 基礎体温は体のリズムを知るためのもので、妊娠を希望される女性はもちろん気になると思います。基礎体温は単に数字でみていくのではなく、グラフにしてみることをおすすめします。最近は基礎体温を入れるだけでグラフにしてくれるアプリもあります。グラフで客観的にみると、排卵の時期や高温期が長いかどうかなど大まかなトレンドが見えてきます。ネットや本で紹介されている見本と同じ形にならなくても心配いりません。形は人それぞれです。この方の場合、体温は低めですが正常範囲です。高温期も平均で0.3℃上がっていれば問題ありません。 基礎体温が低い人は妊娠しにくいのでしょうか。 「基礎体温が低い=妊娠しにくい」というわけではないと思います。もともと体温が低い方もいます。排卵後に体温が上昇するのは排卵後に分泌されるプロゲステロンホルモンの作用です。このホルモンが脳にある体温を調節する部位に働きかけ、基礎体温を上昇させます。プロゲステロンホルモンに対する感受性の違いにより体温の上昇が早い人、遅い人がでてきます。感受性は個性なので妊娠のしやすさには関係しません。それでも気になるようであれば、冷えを改善する治療をされてはいかがでしょうか。たとえば、体を温める作用がある「当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)」などの漢方薬を服用することで体調がよくなることもあります。 基礎体温が気になる方はとても多いようです。 日々の数値の上下に一喜一憂してしまいがちですが、細かいことは気にせず、大まかなトレンドをとらえることが大切です。どうしても基礎体温が気になる方は、それがストレスになり、治療がうまくいかなくなる可能性もありますからしばらく計測をお休みしてみましょうと提案しています。排卵日にタイミングを合わせるには、超音波と血液検査で排卵日を予測するのが一番確実です。通院されているのであれば、必ずしも基礎体温は必要ありません。 中村先生より まとめ 基礎体温が低い=妊娠しにくいわけではありません。基礎体温は人それぞれですので細かいことは気にせず、大まかなトレンドをみるためのものと考えましょう。タイミングを合わせるには、超音波と血液検査で排卵日を予測するのがもっとも確実です。 [無料]気軽にご相談ください お話を伺った先生のご紹介 中村 嘉宏 先生(なかむらレディースクリニック) 大阪市立大学医学部卒業。 同大学院で山中伸弥教授(現CiRA所長)の指導で学位取得。大阪市立大学附属病院、住友病院、北摂総合病院産婦人科部長を経て、2013年より藤野婦人科クリニック勤務。2015年4月なかむらレディースクリニック開院。 ≫ なかむらレディースクリニック 基礎体温が低くても妊娠できる? 2017/4/3 中村 嘉宏(なかむらレディースクリニック 院長) 相談者:基礎体温さん(主婦 / 30歳) 質問させてください。 私は妊娠希望で基礎体温を毎日つけているのですが、低温期はだいたい36.0〜36.3で、高温期は36.3〜36.7ぐらいなんです。しかも排卵日から4〜5日目で体温がやっと高温って感じです。周期も長く35〜39日だったりして、排卵日も定まらず、排卵検査薬を使ったり、病院にも通ったりもしています。 自分でも知識を得ようと調べたりしてみたのですが、とにかく基礎体温が低めだし妊娠しにくいのかなって・・・。(T_T) 基礎体温低めで妊娠されている方がいらっしゃると気持ちが少し楽になれそうで・・・。色々教えて下さい。お願いします。 基礎体温からわかることを教えてください。 基礎体温は体のリズムを知るためのもので、妊娠を希望される女性はもちろん気になると思います。基礎体温は単に数字でみていくのではなく、グラフにしてみることをおすすめします。最近は基礎体温を入れるだけでグラフにしてくれるアプリもあります。グラフで客観的にみると、排卵の時期や高温期が長いかどうかなど大まかなトレンドが見えてきます。ネットや本で紹介されている見本と同じ形にならなくても心配いりません。形は人それぞれです。この方の場合、体温は低めですが正常範囲です。高温期も平均で0.3℃上がっていれば問題ありません。 基礎体温が低い人は妊娠しにくいのでしょうか。 「基礎体温が低い=妊娠しにくい」というわけではないと思います。もともと体温が低い方もいます。排卵後に体温が上昇するのは排卵後に分泌されるプロゲステロンホルモンの作用です。このホルモンが脳にある体温を調節する部位に働きかけ、基礎体温を上昇させます。プロゲステロンホルモンに対する感受性の違いにより体温の上昇が早い人、遅い人がでてきます。感受性は個性なので妊娠のしやすさには関係しません。それでも気になるようであれば、冷えを改善する治療をされてはいかがでしょうか。たとえば、体を温める作用がある「当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)」などの漢方薬を服用することで体調がよくなることもあります。 基礎体温が気になる方はとても多いようです。 日々の数値の上下に一喜一憂してしまいがちですが、細かいことは気にせず、大まかなトレンドをとらえることが大切です。どうしても基礎体温が気になる方は、それがストレスになり、治療がうまくいかなくなる可能性もありますからしばらく計測をお休みしてみましょうと提案しています。排卵日にタイミングを合わせるには、超音波と血液検査で排卵日を予測するのが一番確実です。通院されているのであれば、必ずしも基礎体温は必要ありません。 中村先生より まとめ 基礎体温が低い=妊娠しにくいわけではありません。基礎体温は人それぞれですので細かいことは気にせず、大まかなトレンドをみるためのものと考えましょう。タイミングを合わせるには、超音波と血液検査で排卵日を予測するのがもっとも確実です。 [無料]気軽にご相談ください お話を伺った先生のご紹介 中村 嘉宏 先生(なかむらレディースクリニック) 大阪市立大学医学部卒業。 同大学院で山中伸弥教授(現CiRA所長)の指導で学位取得。大阪市立大学附属病院、住友病院、北摂総合病院産婦人科部長を経て、2013年より藤野婦人科クリニック勤務。2015年4月なかむらレディースクリニック開院。 ≫ なかむらレディースクリニック
2017.4.3
コラム 不妊治療
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もう一度確認しよう。妊娠のメカニズムと着床のこと
体外受精で胚移植を行って妊娠しなければ、着床障害の可能性も。そこで、妊娠成立のメカニズムと着床障害の原因や治療法などをセントマザー産婦人科医院の田中先生にお聞きしました。
2017.4.3
コラム 不妊治療
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腰痛が続いたら婦人科の病気かも!?妊娠への影響は?【これって婦人病のサイン!?】
腰痛が続いたら婦人科の病気かも!?妊娠への影響は?【これって婦人病のサイン!?】 2017/4/3 品川寿弥(都立大レディースクリニック) 日常生活で感じるちょっとした症状から、婦人科系の病気の可能性を探る〈これって婦人病のサイン!?〉のコーナー。腰痛の原因はいろいろありますが、長引くようなら、子宮筋腫を疑ったほうがいいかもしれません。 今回は、子宮筋腫の原因や妊娠への影響について、都立レディースクリニックの品川寿弥先生にお聞きしました。 女性の腰痛は婦人科疾患が原因かも!? 女性は男性に比べて筋肉がつきにくいこともあり、ずっと座りっぱなしだったり、ハイヒールなどかかとの高い靴を履いたりすることによって無理な姿勢が続き、腰痛になる場合があります。 ただ、女性の場合、そうした腰部の筋肉疲労による腰痛のほかに、「子宮筋腫」「子宮内膜症」といった婦人科系疾患が腰痛の原因となっているケースもあります。 特に、じっとしていても痛みがある、生理時に強い痛みがあるという人は要注意。子宮筋腫、子宮内膜症などを疑ったほうがいいでしょう。 4人に1人は子宮筋腫。命を脅かす病気ではないけれど… 子宮筋腫は良性の腫瘍で、それ自体が命を脅かすものではありません。1㎝程度の小さなものを含めれば、4人に1人は筋腫を子宮内にもっているのではないかと言われています。1㎝未満の大きさであれば、2年に一回の検診で対処していけば問題ないでしょう。 ただし、放置してしまうと稀に10㎏を超える大きさになってしまうこともあります。こういった大きな筋腫や急速に増大する子宮にはごくまれに子宮肉腫など(悪性)が含まれていることもあります。 ●3つの子宮筋腫の特徴(できる部位や大きさ) また、筋腫は下記3つにわけられ、できる部位や大きさによって症状が異なります。 粘膜下筋腫…子宮の内側にでき、不正出血や不妊症の原因になる 筋層内筋腫…子宮の筋肉の中にできる。小さいものでは症状は現れないが、大きくなると不正出血や流産・早産の原因となる 漿膜下筋腫…子宮の外側にでき、大きくなるまで症状が乏しい 腰痛以外の子宮筋腫の主な症状 子宮筋腫の症状は、腰痛以外に次のようなものがあります。 ・過多月経 ・月経痛(生理痛) ・過多月経にともなう貧血 その他、月経以外の不正出血、頻尿、また、前述したように筋腫ができた場所によってまちまちですが、子宮の内側の場合は月経量が多くなり、逆に外側の場合は相当大きくなっても症状は強く出ません。 子宮筋腫は不妊、流産の原因に いずれにしても、筋腫は不妊や流産の原因になり得ます。筋腫ができてしまうと局所的に血液循環が悪くなり、受精卵が着床しづらくなってしまいます。だから、妊娠しづらくなりますし、いったん着床しても流産してしまうこともあるのです。 筋腫は外来の一般的な診察と超音波を使えば、簡単に診断できます。ただし、大きな筋腫や手術が考えられる場合は、MRI検査を追加検査することもあります。 治療法は症状と大きさ、年齢、今後の妊娠希望で異なる 治療法には、手術と薬物療法があります。 ●手術の場合 手術は、子宮全体を摘出する方法(子宮全摘術)と、筋腫だけを取る手術(筋腫核出術)があります。根治を考えると全摘術が良いのですが、将来、子どもがほしい、子宮は残したいという人の場合には筋腫核出術を行います。 ただし、筋腫だけを摘出する筋腫核出術の場合、次のようなリスクが考えられます。 ・手術の際、出血が多くなる ・術後の腸管と癒着、ならびに腸閉塞 ・筋腫の再発 ・分娩の際は帝王切開になる可能性 また、筋腫は複数個できることが多いので、手術しても数年後、取り残した小さな筋腫が大きくなっていることもあります。腹腔鏡(ふっくうきょう)を使ってこれらの手術に臨む病院も増えていますが、筋腫の大きさ、できた場所によってはそれが難しい場合もあります。 ●薬物療法の場合 薬の療法では、薬によって一時的に女性ホルモンの分泌を抑え閉経状態にする偽閉経療法(GnRH-A)が行われます。 使われる薬には、毎日の点鼻薬(鼻からスプレー)と、四週間に1回の注射薬の二種類があります。 女性ホルモンの分泌を抑える偽閉経療法の場合、一時的に更年期の症状が出ます。また治療は半年しか実施できません。しかも、治療を中止すると徐々に筋腫が元の大きさに戻ってしまいます。 ですから、実際には、手術前に筋腫を小さくするために一時的に使用するか、血液量を減らす目的で使用される場合が多いです。 ライフプランに応じたテーラーメイド治療 子宮筋腫に限らず、医師は患者さんの (1)発現した場所 (2)症状 (3)年齢 (4)今後の出産希望 に合わせて治療をいたします。まさに治療もテーラーメイドの時代。ですから、まずは子どもを産みたいのかどうか、産みたいなら、今後のライフプランとしてどの時期に産みたいのかなどをお話しいただくようにしています。 品川先生より まとめ 女性の腰痛は、子宮疾患など婦人科疾患との関連性がある場合が少なくありません。子宮疾患の放置は不妊にも繋がるリスクをはらみます。特に生理時に腰のあたりが重い、つらいという時は婦人科に相談してください。 [無料]気軽にご相談ください お話を伺った先生のご紹介 品川寿弥先生(都立大レディースクリニック) 東京都出身。埼玉医科大学医学部卒。 聖路加国際病院産婦人科、日本医科大学付属病院産婦人科を経て、2003年横浜赤十字病院産婦人科副部長、05年日本医科大学付属病院産婦人科医局長、非常勤講師。12年より都立墨東病院産婦人科部長、14年より都立広尾病院産婦人科部長。16年9月、都立レディースクリニックを開業。地域のかかりつけ医として生理に関する悩みから更年期障害まで幅広く診療。最新の医療器材を揃えながらも清潔であたたかいクリニックを目指している。 腰痛が続いたら婦人科の病気かも!?妊娠への影響は?【これって婦人病のサイン!?】 2017/4/3 品川寿弥(都立大レディースクリニック) 日常生活で感じるちょっとした症状から、婦人科系の病気の可能性を探る〈これって婦人病のサイン!?〉のコーナー。腰痛の原因はいろいろありますが、長引くようなら、子宮筋腫を疑ったほうがいいかもしれません。 今回は、子宮筋腫の原因や妊娠への影響について、都立レディースクリニックの品川寿弥先生にお聞きしました。 女性の腰痛は婦人科疾患が原因かも!? 女性は男性に比べて筋肉がつきにくいこともあり、ずっと座りっぱなしだったり、ハイヒールなどかかとの高い靴を履いたりすることによって無理な姿勢が続き、腰痛になる場合があります。 ただ、女性の場合、そうした腰部の筋肉疲労による腰痛のほかに、「子宮筋腫」「子宮内膜症」といった婦人科系疾患が腰痛の原因となっているケースもあります。 特に、じっとしていても痛みがある、生理時に強い痛みがあるという人は要注意。子宮筋腫、子宮内膜症などを疑ったほうがいいでしょう。 4人に1人は子宮筋腫。命を脅かす病気ではないけれど… 子宮筋腫は良性の腫瘍で、それ自体が命を脅かすものではありません。1㎝程度の小さなものを含めれば、4人に1人は筋腫を子宮内にもっているのではないかと言われています。1㎝未満の大きさであれば、2年に一回の検診で対処していけば問題ないでしょう。 ただし、放置してしまうと稀に10㎏を超える大きさになってしまうこともあります。こういった大きな筋腫や急速に増大する子宮にはごくまれに子宮肉腫など(悪性)が含まれていることもあります。 ●3つの子宮筋腫の特徴(できる部位や大きさ) また、筋腫は下記3つにわけられ、できる部位や大きさによって症状が異なります。 粘膜下筋腫…子宮の内側にでき、不正出血や不妊症の原因になる 筋層内筋腫…子宮の筋肉の中にできる。小さいものでは症状は現れないが、大きくなると不正出血や流産・早産の原因となる 漿膜下筋腫…子宮の外側にでき、大きくなるまで症状が乏しい 腰痛以外の子宮筋腫の主な症状 子宮筋腫の症状は、腰痛以外に次のようなものがあります。 ・過多月経 ・月経痛(生理痛) ・過多月経にともなう貧血 その他、月経以外の不正出血、頻尿、また、前述したように筋腫ができた場所によってまちまちですが、子宮の内側の場合は月経量が多くなり、逆に外側の場合は相当大きくなっても症状は強く出ません。 子宮筋腫は不妊、流産の原因に いずれにしても、筋腫は不妊や流産の原因になり得ます。筋腫ができてしまうと局所的に血液循環が悪くなり、受精卵が着床しづらくなってしまいます。だから、妊娠しづらくなりますし、いったん着床しても流産してしまうこともあるのです。 筋腫は外来の一般的な診察と超音波を使えば、簡単に診断できます。ただし、大きな筋腫や手術が考えられる場合は、MRI検査を追加検査することもあります。 治療法は症状と大きさ、年齢、今後の妊娠希望で異なる 治療法には、手術と薬物療法があります。 ●手術の場合 手術は、子宮全体を摘出する方法(子宮全摘術)と、筋腫だけを取る手術(筋腫核出術)があります。根治を考えると全摘術が良いのですが、将来、子どもがほしい、子宮は残したいという人の場合には筋腫核出術を行います。 ただし、筋腫だけを摘出する筋腫核出術の場合、次のようなリスクが考えられます。 ・手術の際、出血が多くなる ・術後の腸管と癒着、ならびに腸閉塞 ・筋腫の再発 ・分娩の際は帝王切開になる可能性 また、筋腫は複数個できることが多いので、手術しても数年後、取り残した小さな筋腫が大きくなっていることもあります。腹腔鏡(ふっくうきょう)を使ってこれらの手術に臨む病院も増えていますが、筋腫の大きさ、できた場所によってはそれが難しい場合もあります。 ●薬物療法の場合 薬の療法では、薬によって一時的に女性ホルモンの分泌を抑え閉経状態にする偽閉経療法(GnRH-A)が行われます。 使われる薬には、毎日の点鼻薬(鼻からスプレー)と、四週間に1回の注射薬の二種類があります。 女性ホルモンの分泌を抑える偽閉経療法の場合、一時的に更年期の症状が出ます。また治療は半年しか実施できません。しかも、治療を中止すると徐々に筋腫が元の大きさに戻ってしまいます。 ですから、実際には、手術前に筋腫を小さくするために一時的に使用するか、血液量を減らす目的で使用される場合が多いです。 ライフプランに応じたテーラーメイド治療 子宮筋腫に限らず、医師は患者さんの (1)発現した場所 (2)症状 (3)年齢 (4)今後の出産希望 に合わせて治療をいたします。まさに治療もテーラーメイドの時代。ですから、まずは子どもを産みたいのかどうか、産みたいなら、今後のライフプランとしてどの時期に産みたいのかなどをお話しいただくようにしています。 品川先生より まとめ 女性の腰痛は、子宮疾患など婦人科疾患との関連性がある場合が少なくありません。子宮疾患の放置は不妊にも繋がるリスクをはらみます。特に生理時に腰のあたりが重い、つらいという時は婦人科に相談してください。 [無料]気軽にご相談ください お話を伺った先生のご紹介 品川寿弥先生(都立大レディースクリニック) 東京都出身。埼玉医科大学医学部卒。 聖路加国際病院産婦人科、日本医科大学付属病院産婦人科を経て、2003年横浜赤十字病院産婦人科副部長、05年日本医科大学付属病院産婦人科医局長、非常勤講師。12年より都立墨東病院産婦人科部長、14年より都立広尾病院産婦人科部長。16年9月、都立レディースクリニックを開業。地域のかかりつけ医として生理に関する悩みから更年期障害まで幅広く診療。最新の医療器材を揃えながらも清潔であたたかいクリニックを目指している。
2017.4.3
コラム くらし
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30代後半の自然妊娠には鍼治療と生活習慣の見直しを
30代後半の自然妊娠には鍼治療と生活習慣の見直しを 35歳を境に妊娠率は一段と低下します。染色体の異常も増え、流産する確立も高くなります。加齢と共に卵子が老化することは、避けては通れないものですから、自然妊娠が難しくなるのはしょうがないことだといえるでしょう。しかし、同じ年齢でも、夫婦共に身体の状態を良くしておき、生殖機能を高めておけば、妊娠・出産のチャンスは増えるのです。 睡眠の質が悪かったり、ストレスが多かったり、運動不足、消化不良などがあると、子宮環境、卵巣機能、造精機能が低下し、ホルモンバランスが乱れがちになります。これらが不妊の原因となり、年齢的なことに加えて、より一層妊娠を難しくするといえます。 このような状況下で、鍼治療は身体機能の向上に効果的です。併せて生活習慣の見直しをすること、補助としてサプリメントで不足しがちな成分を摂取することで妊娠する確率を高くするとされています。 自然妊娠が難しいと判断された場合、夫婦の器質的な疾患の有無を検討すると良いでしょう。 女性は卵管の癒着・閉塞がないかどうかを調べます。その間に鍼治療で子宮環境・卵巣機能を向上させ、癒着など起こしにくい身体の状態をキープして妊娠を目指します。 もう一つは甲状腺炎がないかを調べましょう。亢進症・低下症はいずれも女性ホルモンに大きく影響するので、服薬し数値を安定させながら、鍼治療によりホルモンのバランスを整えていくことで妊娠率を上げ、流産しづらい身体の状態にしていきます。 男性の不妊検査も重要です。これは精子の質が着床・流産の原因になるケースもあるからです。男性も鍼治療で身体の調子を整え、精子の質を向上していきます。 このような器質的な疾患がない、機能的原因不明の不妊の場合は、鍼治療で血流を良くし、ホルモンの機能や働きよくして、子宮環境・卵巣機能・造精機能の向上を図りながら妊孕力をつけていきます。 30代での出産と40代での出産では、身体の状況も気持ちも大きく違います。自然妊娠を望まれるのでしたら、夫婦で共に支えあい十分に会話をして、生活習慣など改善できる点を見直し、鍼治療を受けながら妊娠に臨んでみてはいかがでしょうか。 東京アンジュ治療院 川﨑有香 先生新しい命を育むチカラは本来皆さまに備わっていて、 鍼治療はその手助けになるものです。 不妊治療は「出口のないトンネル」と言われます。 高度生殖医療を受けてもなかなか妊娠せず、精神的・肉体的に、そして時間的・経済的にも大変苦労されている方が多くいらっしゃいます。 私達は、何よりも患者様の心に寄り添う治療を心がけ、スタッフ一丸となって研鑽しあい、治療技術の向上に努めております。 妊娠・出産に向けた体質改善を、医学的データに基づいた確かな治療でサポートいたします。 「鍼治療に興味はあったけれど、迷っているうちにお時間が経ってしまった。もっと早く来ていれば・・・」そんなお声も耳にします。 どうか思い切って一歩踏み出してみて下さい。 皆様が「トンネルから抜け出す」お手伝いをさせていただければ幸いです。 中医学の先生に師事、鍼灸を取得。 2011年不妊に特化した治療院にて鍼灸治療に従事。 2016年、東京アンジュ治療院、院長就任。 <外部サイト>店舗で相談してみる→ 東京アンジュ治療院 http://www.tokyo-ange.com/dr-infomation/ 30代後半の自然妊娠には鍼治療と生活習慣の見直しを 35歳を境に妊娠率は一段と低下します。染色体の異常も増え、流産する確立も高くなります。加齢と共に卵子が老化することは、避けては通れないものですから、自然妊娠が難しくなるのはしょうがないことだといえるでしょう。しかし、同じ年齢でも、夫婦共に身体の状態を良くしておき、生殖機能を高めておけば、妊娠・出産のチャンスは増えるのです。 睡眠の質が悪かったり、ストレスが多かったり、運動不足、消化不良などがあると、子宮環境、卵巣機能、造精機能が低下し、ホルモンバランスが乱れがちになります。これらが不妊の原因となり、年齢的なことに加えて、より一層妊娠を難しくするといえます。 このような状況下で、鍼治療は身体機能の向上に効果的です。併せて生活習慣の見直しをすること、補助としてサプリメントで不足しがちな成分を摂取することで妊娠する確率を高くするとされています。 自然妊娠が難しいと判断された場合、夫婦の器質的な疾患の有無を検討すると良いでしょう。 女性は卵管の癒着・閉塞がないかどうかを調べます。その間に鍼治療で子宮環境・卵巣機能を向上させ、癒着など起こしにくい身体の状態をキープして妊娠を目指します。 もう一つは甲状腺炎がないかを調べましょう。亢進症・低下症はいずれも女性ホルモンに大きく影響するので、服薬し数値を安定させながら、鍼治療によりホルモンのバランスを整えていくことで妊娠率を上げ、流産しづらい身体の状態にしていきます。 男性の不妊検査も重要です。これは精子の質が着床・流産の原因になるケースもあるからです。男性も鍼治療で身体の調子を整え、精子の質を向上していきます。 このような器質的な疾患がない、機能的原因不明の不妊の場合は、鍼治療で血流を良くし、ホルモンの機能や働きよくして、子宮環境・卵巣機能・造精機能の向上を図りながら妊孕力をつけていきます。 30代での出産と40代での出産では、身体の状況も気持ちも大きく違います。自然妊娠を望まれるのでしたら、夫婦で共に支えあい十分に会話をして、生活習慣など改善できる点を見直し、鍼治療を受けながら妊娠に臨んでみてはいかがでしょうか。 東京アンジュ治療院 川﨑有香 先生新しい命を育むチカラは本来皆さまに備わっていて、 鍼治療はその手助けになるものです。 不妊治療は「出口のないトンネル」と言われます。 高度生殖医療を受けてもなかなか妊娠せず、精神的・肉体的に、そして時間的・経済的にも大変苦労されている方が多くいらっしゃいます。 私達は、何よりも患者様の心に寄り添う治療を心がけ、スタッフ一丸となって研鑽しあい、治療技術の向上に努めております。 妊娠・出産に向けた体質改善を、医学的データに基づいた確かな治療でサポートいたします。 「鍼治療に興味はあったけれど、迷っているうちにお時間が経ってしまった。もっと早く来ていれば・・・」そんなお声も耳にします。 どうか思い切って一歩踏み出してみて下さい。 皆様が「トンネルから抜け出す」お手伝いをさせていただければ幸いです。 中医学の先生に師事、鍼灸を取得。 2011年不妊に特化した治療院にて鍼灸治療に従事。 2016年、東京アンジュ治療院、院長就任。 <外部サイト>店舗で相談してみる→ 東京アンジュ治療院 http://www.tokyo-ange.com/dr-infomation/
2017.4.1
コラム 不妊治療
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新米ママが気になる胎児の心音について
妊娠がわかり、いよいよ妊娠期間がスタートすると、通常何も問題がない場合、病院での定期検診は月に一度になります。次回の検診まで1カ月も間があると、特に新米ママは、お腹の赤ちゃんが元気かどうかとても気になってしまいますね。今は自宅でも手軽に胎児の心音を聞くことができる超音波心音計が市販されていますので、そんな時に役立ててみてはいかがでしょうか? 自分で家庭用心音計を使って胎児の心音を確認する際に、知っておきたいことについて、リプロダクションクリニックの松林秀彦先生にお話をお聞きしました。 胎児の心拍が聞こえるのは、病院の超音波で6〜8週目、家庭用心音計なら12週頃から。 着床後、胎児の体が形成されていく過程で、心臓は一番最初にできる器官です。胎児の心拍は早い方で妊娠6週くらい。ほとんどの方が8週目頃までに確認できます。それはあくまでも病院の超音波装置によってのことなので、家庭用の超音波心音計の場合、12週頃からになるでしょう。以前ブログにも書いたことのある「エンジェルサウンズ」という商品などは、家庭用の超音波心音計の一つです。 胎児は子宮の中で、頭を下にして体育座りのように足を抱えた姿勢になっています。12週頃の胎児の心臓の位置は恥骨の少し上あたりです。その後少しずつ上に上がっていき、左右のどちら側か(胎児の背中のある方)にずれていきます。胎動を感じる時期になったら、お腹を蹴っているのは胎児の手足なので、その反対側の背中側の方で聞こえます。妊娠後期になっても、おへその位置より上になることはまずありません。臨月になり出産の準備が始まると、逆に下のほうに降りてきます。ただし、逆子の場合はまた違ってきます。胎児の背中が、左右のどちら側になっているのか、また、逆子の場合の心臓の位置などは、病院での検診の時に聞こえる位置を参考にしたり、先生に確認するとよいでしょう。その際マジックなどで印を付けておくと、自宅でも探しやすいかもしれません。 胎児の心拍数は1分間に140〜180で、大人の2倍の速さ。 12週以降の胎児の心拍数は大人の約2倍。1分間に140〜180くらいの速さです。自分の拍動のリズムよりずっと速いのですぐにわかると思います。その速さは臨月までほとんど変わりません。心音の大きさや強さも、お腹の中にいる間はずっと同じです。心音が聞こえにくかったり音が小さかったりするのは、お腹の中での赤ちゃんのポジションによるものなので、聞こえていれば、以前より音が弱くなっているなどというような心配をすることはありません。リズムが不規則だったり、音がつっかえたりするのも、よくあることです。また、超音波の特性として、間に空気が入ると伝わりにくくなり、水分の中だと通りやすくなるので、センサーと肌との接触面にジェルなどを塗ると聞こえやすくなります。 ママの安心感や、リラックスした幸せな気持ちは、胎児にもいい影響が。 胎児の心拍心音からわかることは、生きている、とうことそれだけです。それでも、定期検診の間が空いて不安な時や、不妊治療に取り組んでこられてようやく授かった方などにも、エンジェルサウンズのようなものを利用して、自分で赤ちゃんの心音を聞いて安心したり、幸せな気持ちになったりするのはとてもいいことだと思います。ママが心配したり落ち込んだりすると、子宮が収縮してしまうということがわかっています。ママがいつも安心してリラックスした気持ちでいることが、お腹の赤ちゃんにもいい影響を及ぼしてくれることでしょう。 お話を伺った先生のご紹介 松林秀彦 (リプロダクションクリニック統括院長) 医学博士。慶應義塾大学医学部卒業。慶應義塾大学など3つの大学病院と不妊専門医療機関を経て、設備・知識・人すべてを兼ね備えた不妊センターとして、「リプロダクションクリニック」を大阪と東京に開設。29年間を通じ一貫して、不妊症、不育症の診療・研究に携わる。 妊娠がわかり、いよいよ妊娠期間がスタートすると、通常何も問題がない場合、病院での定期検診は月に一度になります。次回の検診まで1カ月も間があると、特に新米ママは、お腹の赤ちゃんが元気かどうかとても気になってしまいますね。今は自宅でも手軽に胎児の心音を聞くことができる超音波心音計が市販されていますので、そんな時に役立ててみてはいかがでしょうか? 自分で家庭用心音計を使って胎児の心音を確認する際に、知っておきたいことについて、リプロダクションクリニックの松林秀彦先生にお話をお聞きしました。 胎児の心拍が聞こえるのは、病院の超音波で6〜8週目、家庭用心音計なら12週頃から。 着床後、胎児の体が形成されていく過程で、心臓は一番最初にできる器官です。胎児の心拍は早い方で妊娠6週くらい。ほとんどの方が8週目頃までに確認できます。それはあくまでも病院の超音波装置によってのことなので、家庭用の超音波心音計の場合、12週頃からになるでしょう。以前ブログにも書いたことのある「エンジェルサウンズ」という商品などは、家庭用の超音波心音計の一つです。 胎児は子宮の中で、頭を下にして体育座りのように足を抱えた姿勢になっています。12週頃の胎児の心臓の位置は恥骨の少し上あたりです。その後少しずつ上に上がっていき、左右のどちら側か(胎児の背中のある方)にずれていきます。胎動を感じる時期になったら、お腹を蹴っているのは胎児の手足なので、その反対側の背中側の方で聞こえます。妊娠後期になっても、おへその位置より上になることはまずありません。臨月になり出産の準備が始まると、逆に下のほうに降りてきます。ただし、逆子の場合はまた違ってきます。胎児の背中が、左右のどちら側になっているのか、また、逆子の場合の心臓の位置などは、病院での検診の時に聞こえる位置を参考にしたり、先生に確認するとよいでしょう。その際マジックなどで印を付けておくと、自宅でも探しやすいかもしれません。 胎児の心拍数は1分間に140〜180で、大人の2倍の速さ。 12週以降の胎児の心拍数は大人の約2倍。1分間に140〜180くらいの速さです。自分の拍動のリズムよりずっと速いのですぐにわかると思います。その速さは臨月までほとんど変わりません。心音の大きさや強さも、お腹の中にいる間はずっと同じです。心音が聞こえにくかったり音が小さかったりするのは、お腹の中での赤ちゃんのポジションによるものなので、聞こえていれば、以前より音が弱くなっているなどというような心配をすることはありません。リズムが不規則だったり、音がつっかえたりするのも、よくあることです。また、超音波の特性として、間に空気が入ると伝わりにくくなり、水分の中だと通りやすくなるので、センサーと肌との接触面にジェルなどを塗ると聞こえやすくなります。 ママの安心感や、リラックスした幸せな気持ちは、胎児にもいい影響が。 胎児の心拍心音からわかることは、生きている、とうことそれだけです。それでも、定期検診の間が空いて不安な時や、不妊治療に取り組んでこられてようやく授かった方などにも、エンジェルサウンズのようなものを利用して、自分で赤ちゃんの心音を聞いて安心したり、幸せな気持ちになったりするのはとてもいいことだと思います。ママが心配したり落ち込んだりすると、子宮が収縮してしまうということがわかっています。ママがいつも安心してリラックスした気持ちでいることが、お腹の赤ちゃんにもいい影響を及ぼしてくれることでしょう。 お話を伺った先生のご紹介 松林秀彦 (リプロダクションクリニック統括院長) 医学博士。慶應義塾大学医学部卒業。慶應義塾大学など3つの大学病院と不妊専門医療機関を経て、設備・知識・人すべてを兼ね備えた不妊センターとして、「リプロダクションクリニック」を大阪と東京に開設。29年間を通じ一貫して、不妊症、不育症の診療・研究に携わる。
2017.4.1
コラム 妊娠・出産
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良い睡眠をとると妊娠力が上がるってホント?
良い睡眠をとると妊娠力が上がるってホント? 佐藤 雄一 先生(産科婦人科 舘出張 佐藤病院) 健康を維持するために食事とともに大切なのが睡眠だといわれています。不妊と睡眠は関係があるのか、どんな眠りが妊娠力を上げるのか、佐藤病院の佐藤雄一先生に伺いました。 睡眠不足になると排卵や卵子の質に影響が出ることも 食べることと同様に睡眠は私たちの毎日の生活に欠かせないものであり、人生の3分の1は眠ることに費やされています。 1970年代頃、日本人の平均睡眠時間は1日8時間程度だったのですが、最近はスマートフォンやパソコンなどの情報端末に触れている時間が長くなったせいか、7時間くらいと約1時間も短くなっています。 生活スタイルの変化に加え、仕事に家事や子育てなど多忙な日々を送る人も多いと思いますが、一般的には週に約50時間、1日分に換算するとだいたい7時間と少し、睡眠時間を確保できればいいといわれているんですね。 女性の場合、美容のためにもそれくらいはしっかり眠りたいものですが、実は統計的には男性より女性のほうが「眠れない」と感じる人が多いというデータがあります。妊娠初期には日中に眠気を感じていたのに、妊娠中期から後期にかけては眠れなくなったり、産後の育児で睡眠のペースが乱れたり……。ホルモンのバランスが変わる月経前や更年期にも睡眠に障害を来すことがあります。 では、睡眠を十分にとれていないと、どのような弊害が出るのでしょうか。睡眠時間が週40時間を切ってくると、仕事や家事に集中できないなど日中のパフォーマンスが下がることはもちろん、妊活中の人は妊娠にも間接的に良くない影響が出る可能性があります。 睡眠には“メラトニン”というホルモンが深くかかわっており、このホルモンは夜になって暗くなると脳から分泌されて、体に「眠りなさい」と信号を送り、朝になって明るくなるとその分泌が止まるんですね。 毎日きちんと寝ないで明るい所で起きていると分泌が悪くなり、睡眠のサイクルがさらに狂ってしまいます。また、睡眠だけでなく、このホルモンは妊娠の時にも必要だといわれています。活性酸素、いわゆる体がさびるのを抑制する抗酸化作用があることが知られており、その働きで卵子を保護したり、質を改善するという研究報告も。メラトニンのサプリメントを使用したら、妊娠率が向上したというケースもあるようです。 このようなことを考えると、夜はしっかり眠り、朝すっきり目覚めるという生活を送ることが、妊娠への早道にもなるといえるのではないでしょうか。 また、睡眠不足になると自律神経のバランスが崩れ、生理不順や高血圧、糖尿病などを引き起こすと考えられています。レプチンやグレリンなど食欲を調節するようなホルモンのバランスもおかしくなって、食欲が出すぎて肥満につながってしまうことも。「寝ないとやせる」といっている人もいますが、逆に寝ないと太ってしまうんですね。生理不順や糖尿病、肥満は排卵障害など、卵巣機能を低下させる原因にもなるので、睡眠不足は妊娠にとって決していい影響は与えないといえます。 週49時間を目標に不足分は昼寝や寝だめで補ってもOK 日頃睡眠不足だったり、「眠れない」という場合、どのように改善していったらいいか、ご説明していきましょう。 前述したように1日7時間の睡眠をとれれば理想ですが、毎日という形で考えると難しい人もいるかもしれないので、まずは週単位で睡眠時間を考えて調整するようにします。前日睡眠がしっかりとれなくて、次の日に眠気を感じるようなら、昼間に少し寝たり、週末に寝だめをしても構いません。眠れる時に不足分を補い、帳尻を合わせて週50時間くらいにするということですね。 ただし、夜の睡眠に支障が出ないように昼寝は午後3時までの時間に30分くらいまで。週末の寝だめは昼に寝るのではなく、夜の就寝時間を早めるなど、いつものサイクルや体内時計を大きく崩さないことがポイントです。 よく「質の良い睡眠をとろう」といわれていますが、どのような睡眠が良質なのかはっきりいえません。いびきをかく人や寝汗をかく人は睡眠が浅いといわれていますが、翌日、日中に強い眠気が出ないようであれば、それほど大きな問題はないと思います。 「午後10時から午前2時の間は眠っていたほうがいい」という説がありますが、これは細胞の新陳代謝や成長を促す成長ホルモンが、この時間帯に多く分泌されるからではないでしょうか。確かに、夜、太陽が沈んでから眠りにつき、朝、太陽の光で目覚めるという規則正しい体内リズムができている人は分泌が活発になるかもしれませんが、昼間寝ることが多い不規則な生活をしている人は当てはまらないでしょう。仕事内容などにより難しい人もいるかもしれませんが、卵子の発育などにもかかわるので、できればこの時間は眠るようにするのが理想だと思います。 良い睡眠をとるために気をつけたいことの一つとして、就寝前に体内の温度を上げすぎないということがあります。熱いお風呂に入ったり、寝る前に運動をする、食事や飲酒も体内の温度を上げるので避けること。寝つきが悪くなってしまうので、これらはできれば就寝3時間前までに済ませましょう。 また、喫煙やカフェインの入ったコーヒーやお茶などの刺激物も寝つきを妨げます。何か口にするなら牛乳がおすすめ。牛乳に含まれているトリプトファンというたんぱく質が分解されるとメラトニンになるので、適量を摂るといいかもしれません。 その睡眠ホルモンであるメラトニンの分泌を妨げてしまうのが光。寝る3時間前までにスマートフォンやパソコンの使用をやめて、寝室の電気やテレビは消して暗い状態で休むようにしましょう。 もう一つ、しっかり眠るためのコツとして、日中適度な運動をすることがおすすめです。 肉体がほどよく疲れることは自然な眠りを誘うし、精神的なストレスの解消にもなります。ピリピリ緊張した気持ちがリセットされることで、心地良い眠りにつけるようになると思います。 佐藤先生より 良い睡眠をとるためのポイント! ●就寝前の熱いお風呂や激しい運動、食事、飲酒は避けること ●スマホやパソコンなどの光を浴びず、寝室は暗くする ●適度な運動でストレスを解消して、1日を気持ちよくリセット! [無料]気軽にご相談ください お話を伺った先生のご紹介 佐藤 雄一 先生(産科婦人科 舘出張 佐藤病院) 医学博士・産婦人科専門医・日本産科婦人科内視鏡学会技術認定医・日本生殖医学会生殖医療専門医。佐藤病院院長・高崎ARTクリニック理事長を務める。専門分野だけでなく、栄養学や抗加齢医学などの知識も深く、患者さんにも積極的に生活習慣の改善を指導。 ≫ 産科婦人科 舘出張 佐藤病院 出典:女性のための健康生活マガジン jineko vol.33 2017 Spring≫ 掲載記事一覧はこちら 良い睡眠をとると妊娠力が上がるってホント? 佐藤 雄一 先生(産科婦人科 舘出張 佐藤病院) 健康を維持するために食事とともに大切なのが睡眠だといわれています。不妊と睡眠は関係があるのか、どんな眠りが妊娠力を上げるのか、佐藤病院の佐藤雄一先生に伺いました。 睡眠不足になると排卵や卵子の質に影響が出ることも 食べることと同様に睡眠は私たちの毎日の生活に欠かせないものであり、人生の3分の1は眠ることに費やされています。 1970年代頃、日本人の平均睡眠時間は1日8時間程度だったのですが、最近はスマートフォンやパソコンなどの情報端末に触れている時間が長くなったせいか、7時間くらいと約1時間も短くなっています。 生活スタイルの変化に加え、仕事に家事や子育てなど多忙な日々を送る人も多いと思いますが、一般的には週に約50時間、1日分に換算するとだいたい7時間と少し、睡眠時間を確保できればいいといわれているんですね。 女性の場合、美容のためにもそれくらいはしっかり眠りたいものですが、実は統計的には男性より女性のほうが「眠れない」と感じる人が多いというデータがあります。妊娠初期には日中に眠気を感じていたのに、妊娠中期から後期にかけては眠れなくなったり、産後の育児で睡眠のペースが乱れたり……。ホルモンのバランスが変わる月経前や更年期にも睡眠に障害を来すことがあります。 では、睡眠を十分にとれていないと、どのような弊害が出るのでしょうか。睡眠時間が週40時間を切ってくると、仕事や家事に集中できないなど日中のパフォーマンスが下がることはもちろん、妊活中の人は妊娠にも間接的に良くない影響が出る可能性があります。 睡眠には“メラトニン”というホルモンが深くかかわっており、このホルモンは夜になって暗くなると脳から分泌されて、体に「眠りなさい」と信号を送り、朝になって明るくなるとその分泌が止まるんですね。 毎日きちんと寝ないで明るい所で起きていると分泌が悪くなり、睡眠のサイクルがさらに狂ってしまいます。また、睡眠だけでなく、このホルモンは妊娠の時にも必要だといわれています。活性酸素、いわゆる体がさびるのを抑制する抗酸化作用があることが知られており、その働きで卵子を保護したり、質を改善するという研究報告も。メラトニンのサプリメントを使用したら、妊娠率が向上したというケースもあるようです。 このようなことを考えると、夜はしっかり眠り、朝すっきり目覚めるという生活を送ることが、妊娠への早道にもなるといえるのではないでしょうか。 また、睡眠不足になると自律神経のバランスが崩れ、生理不順や高血圧、糖尿病などを引き起こすと考えられています。レプチンやグレリンなど食欲を調節するようなホルモンのバランスもおかしくなって、食欲が出すぎて肥満につながってしまうことも。「寝ないとやせる」といっている人もいますが、逆に寝ないと太ってしまうんですね。生理不順や糖尿病、肥満は排卵障害など、卵巣機能を低下させる原因にもなるので、睡眠不足は妊娠にとって決していい影響は与えないといえます。 週49時間を目標に不足分は昼寝や寝だめで補ってもOK 日頃睡眠不足だったり、「眠れない」という場合、どのように改善していったらいいか、ご説明していきましょう。 前述したように1日7時間の睡眠をとれれば理想ですが、毎日という形で考えると難しい人もいるかもしれないので、まずは週単位で睡眠時間を考えて調整するようにします。前日睡眠がしっかりとれなくて、次の日に眠気を感じるようなら、昼間に少し寝たり、週末に寝だめをしても構いません。眠れる時に不足分を補い、帳尻を合わせて週50時間くらいにするということですね。 ただし、夜の睡眠に支障が出ないように昼寝は午後3時までの時間に30分くらいまで。週末の寝だめは昼に寝るのではなく、夜の就寝時間を早めるなど、いつものサイクルや体内時計を大きく崩さないことがポイントです。 よく「質の良い睡眠をとろう」といわれていますが、どのような睡眠が良質なのかはっきりいえません。いびきをかく人や寝汗をかく人は睡眠が浅いといわれていますが、翌日、日中に強い眠気が出ないようであれば、それほど大きな問題はないと思います。 「午後10時から午前2時の間は眠っていたほうがいい」という説がありますが、これは細胞の新陳代謝や成長を促す成長ホルモンが、この時間帯に多く分泌されるからではないでしょうか。確かに、夜、太陽が沈んでから眠りにつき、朝、太陽の光で目覚めるという規則正しい体内リズムができている人は分泌が活発になるかもしれませんが、昼間寝ることが多い不規則な生活をしている人は当てはまらないでしょう。仕事内容などにより難しい人もいるかもしれませんが、卵子の発育などにもかかわるので、できればこの時間は眠るようにするのが理想だと思います。 良い睡眠をとるために気をつけたいことの一つとして、就寝前に体内の温度を上げすぎないということがあります。熱いお風呂に入ったり、寝る前に運動をする、食事や飲酒も体内の温度を上げるので避けること。寝つきが悪くなってしまうので、これらはできれば就寝3時間前までに済ませましょう。 また、喫煙やカフェインの入ったコーヒーやお茶などの刺激物も寝つきを妨げます。何か口にするなら牛乳がおすすめ。牛乳に含まれているトリプトファンというたんぱく質が分解されるとメラトニンになるので、適量を摂るといいかもしれません。 その睡眠ホルモンであるメラトニンの分泌を妨げてしまうのが光。寝る3時間前までにスマートフォンやパソコンの使用をやめて、寝室の電気やテレビは消して暗い状態で休むようにしましょう。 もう一つ、しっかり眠るためのコツとして、日中適度な運動をすることがおすすめです。 肉体がほどよく疲れることは自然な眠りを誘うし、精神的なストレスの解消にもなります。ピリピリ緊張した気持ちがリセットされることで、心地良い眠りにつけるようになると思います。 佐藤先生より 良い睡眠をとるためのポイント! ●就寝前の熱いお風呂や激しい運動、食事、飲酒は避けること ●スマホやパソコンなどの光を浴びず、寝室は暗くする ●適度な運動でストレスを解消して、1日を気持ちよくリセット! [無料]気軽にご相談ください お話を伺った先生のご紹介 佐藤 雄一 先生(産科婦人科 舘出張 佐藤病院) 医学博士・産婦人科専門医・日本産科婦人科内視鏡学会技術認定医・日本生殖医学会生殖医療専門医。佐藤病院院長・高崎ARTクリニック理事長を務める。専門分野だけでなく、栄養学や抗加齢医学などの知識も深く、患者さんにも積極的に生活習慣の改善を指導。 ≫ 産科婦人科 舘出張 佐藤病院 出典:女性のための健康生活マガジン jineko vol.33 2017 Spring≫ 掲載記事一覧はこちら
2017.4.1
コラム 不妊治療
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二人目不妊には育児ストレスを解消することが肝要
二人目不妊には育児ストレスを解消することが肝要 二人目不妊は様々な要因により起こるといわれています。 環境状況でいうならば、仕事に復帰したくても預ける場所を見つけられない、見つけられたとしても収入に見合わない金額を預ける場所に支払わなくてはいけない。育児に悩んだり、不安になったとき、赤ちゃんの世話を頼める家族や知人が身近にいないため、必要以上に孤独感を感じてしまう。この時、頼りになるのは夫ですが、仕事や付き合いで帰宅時間が遅い。家事、育児には無関心。話題の「イクメン」とは程遠い・・。など、生活におけるフラストレーションは多く存在します。 このような状況に置かれた新米ママは一人で悩んで精神的にも肉体的にも大変疲労してしまい、ホルモンのバランスや体調を崩してしまうことは想像に難くありません。 結果、妊娠しづらい状況になってしまうという場合も考えられるでしょう。 悩まれたら、まずは育児相談室や不妊専門の治療院などでカウンセリングを受けるなど、積極的に利用できる施設を活用しましょう。また、頼れる場所や人がいればできるだけ頼ってください。周囲に甘えることも時には必要です。 二人目不妊には一人目の育児のストレスや負担を解消することが肝要ですから、自分だけですべてを抱え込まないように心がけましょう。 東京アンジュ治療院 川﨑有香 先生新しい命を育むチカラは本来皆さまに備わっていて、 鍼治療はその手助けになるものです。 不妊治療は「出口のないトンネル」と言われます。 高度生殖医療を受けてもなかなか妊娠せず、精神的・肉体的に、そして時間的・経済的にも大変苦労されている方が多くいらっしゃいます。 私達は、何よりも患者様の心に寄り添う治療を心がけ、スタッフ一丸となって研鑽しあい、治療技術の向上に努めております。 妊娠・出産に向けた体質改善を、医学的データに基づいた確かな治療でサポートいたします。 「鍼治療に興味はあったけれど、迷っているうちにお時間が経ってしまった。もっと早く来ていれば・・・」そんなお声も耳にします。 どうか思い切って一歩踏み出してみて下さい。 皆様が「トンネルから抜け出す」お手伝いをさせていただければ幸いです。 中医学の先生に師事、鍼灸を取得。 2011年不妊に特化した治療院にて鍼灸治療に従事。 2016年、東京アンジュ治療院、院長就任。 <外部サイト>店舗で相談してみる→ 東京アンジュ治療院 http://www.tokyo-ange.com/dr-infomation/ 二人目不妊には育児ストレスを解消することが肝要 二人目不妊は様々な要因により起こるといわれています。 環境状況でいうならば、仕事に復帰したくても預ける場所を見つけられない、見つけられたとしても収入に見合わない金額を預ける場所に支払わなくてはいけない。育児に悩んだり、不安になったとき、赤ちゃんの世話を頼める家族や知人が身近にいないため、必要以上に孤独感を感じてしまう。この時、頼りになるのは夫ですが、仕事や付き合いで帰宅時間が遅い。家事、育児には無関心。話題の「イクメン」とは程遠い・・。など、生活におけるフラストレーションは多く存在します。 このような状況に置かれた新米ママは一人で悩んで精神的にも肉体的にも大変疲労してしまい、ホルモンのバランスや体調を崩してしまうことは想像に難くありません。 結果、妊娠しづらい状況になってしまうという場合も考えられるでしょう。 悩まれたら、まずは育児相談室や不妊専門の治療院などでカウンセリングを受けるなど、積極的に利用できる施設を活用しましょう。また、頼れる場所や人がいればできるだけ頼ってください。周囲に甘えることも時には必要です。 二人目不妊には一人目の育児のストレスや負担を解消することが肝要ですから、自分だけですべてを抱え込まないように心がけましょう。 東京アンジュ治療院 川﨑有香 先生新しい命を育むチカラは本来皆さまに備わっていて、 鍼治療はその手助けになるものです。 不妊治療は「出口のないトンネル」と言われます。 高度生殖医療を受けてもなかなか妊娠せず、精神的・肉体的に、そして時間的・経済的にも大変苦労されている方が多くいらっしゃいます。 私達は、何よりも患者様の心に寄り添う治療を心がけ、スタッフ一丸となって研鑽しあい、治療技術の向上に努めております。 妊娠・出産に向けた体質改善を、医学的データに基づいた確かな治療でサポートいたします。 「鍼治療に興味はあったけれど、迷っているうちにお時間が経ってしまった。もっと早く来ていれば・・・」そんなお声も耳にします。 どうか思い切って一歩踏み出してみて下さい。 皆様が「トンネルから抜け出す」お手伝いをさせていただければ幸いです。 中医学の先生に師事、鍼灸を取得。 2011年不妊に特化した治療院にて鍼灸治療に従事。 2016年、東京アンジュ治療院、院長就任。 <外部サイト>店舗で相談してみる→ 東京アンジュ治療院 http://www.tokyo-ange.com/dr-infomation/
2017.4.1
コラム 不妊治療
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食事や生活養生で更年期を穏やかに過ごす~その2
食事や生活養生で更年期を穏やかに過ごす~その2 7の倍数で腎が変化し、加齢とともに腎精が枯渇していくと腎そのものの陰陽のバランスが失われ、「陰虚」や「陽虚」といった状態が起こると中医学では考えます。つまり陰や陽が変調になるということですが、この陰と陽とは何かを最初に説明しておきましょう。 中医学ではすべての物事を陰陽に分けて捉えます。これを「陰陽論」と言います。陰と陽にはそれぞれ役割があり、そのどちらが欠けてもバランスを失った状態になってしまうと考えるのです。 例えば「地」は陰、「天」は陽、「女性」は陰、「男性」は陽というように、陰と陽はどちらが欠けてもこの世の万物は成り立たないのです。食べ物も「野菜」は陰、「肉・魚」は陽に分けられますから、やはりバランスが大切になります。 そして、女性の体内にも陰と陽が存在します。「エストロゲン(卵胞ホルモン)」が陰で「プロゲステロン(黄体ホルモン)」が陽と言えます。この陰陽のバランスが均等に保たれていることで月経周期が保たれているわけです。では、この体内の陰陽のバランスが崩れると、どのような不調を引き起こすのでしょうか。 まず「陰虚」ですが、陰虚とは体内の水分が不足している状態のことです。体に潤いがなくなり、よけいな熱が生じ、のぼせやすくなります。頭のふらつきやのぼせ、ホットフラッシュ、イライラ、耳鳴り、口の乾燥、血圧上昇などの症状が現れます。また、体が興奮状態、特に夜にそれが現れるため、不眠にもなります。このような不調は更年期でよく言われる症状です。 一方「陽虚」とは体エネルギーが不足した状態のことです。冷え、めまい、頻尿、動悸、肥満、疲れやすいなどの症状が現れます。 もちろん、陰陽がどちらも減っている「陰陽両虚」という状態もあります。 このような症状を改善するために、腎精の加齢による衰えを穏やかにする漢方の補腎薬を処方することが中医学の一般的な治療法です。補腎薬では主に動物性漢方薬(鹿の角、亀の甲羅など)が用いられます。動物の中には精が貯えられており、衰えた腎精を補うことに一番適した補腎薬と考えられます。 漢方薬の効果を最大限引き出すために鍼灸によって内臓の血流をコントロールする治療法があります。更年期で一番重要なことは、内臓の働きを衰えさせないことです。そのために漢方薬と鍼灸の併用は不可欠と言えます。 株式会社誠心堂薬局代表取締役 西野 裕一先生株式会社誠心堂薬局代表取締役。 薬剤師・鍼灸師。北里大学薬学部卒。東京医療福祉専門学校鍼灸科卒。中国漢方普及協会会長。日本中医学会評議員。漢方・鍼灸をはじめとする中医学の有用性を啓発・普及させる活動に尽力。著書多数。≫ 誠心堂薬局 関連コラム ≫ 食事や生活養生で更年期を穏やかに過ごす ≫ 更年期は出産の次に大切な人生のターニングポイント ≫ 三焦の理論と症状に合わせた不妊のための鍼灸治療 ≫ 中医学の鍼灸治療による妊活の効果とは ≫ 男性不妊を改善する日常生活とは ≫ 晩婚化は女性不妊だけでなく男性不妊の原因にもなる ≫ 三因制宜(さんいんせいぎ)という考え方で適切な治療を選ぶ <外部サイト>店舗で相談してみる→ 誠心堂薬局 http://www.seishin-do.co.jp/rd/ 食事や生活養生で更年期を穏やかに過ごす~その2 7の倍数で腎が変化し、加齢とともに腎精が枯渇していくと腎そのものの陰陽のバランスが失われ、「陰虚」や「陽虚」といった状態が起こると中医学では考えます。つまり陰や陽が変調になるということですが、この陰と陽とは何かを最初に説明しておきましょう。 中医学ではすべての物事を陰陽に分けて捉えます。これを「陰陽論」と言います。陰と陽にはそれぞれ役割があり、そのどちらが欠けてもバランスを失った状態になってしまうと考えるのです。 例えば「地」は陰、「天」は陽、「女性」は陰、「男性」は陽というように、陰と陽はどちらが欠けてもこの世の万物は成り立たないのです。食べ物も「野菜」は陰、「肉・魚」は陽に分けられますから、やはりバランスが大切になります。 そして、女性の体内にも陰と陽が存在します。「エストロゲン(卵胞ホルモン)」が陰で「プロゲステロン(黄体ホルモン)」が陽と言えます。この陰陽のバランスが均等に保たれていることで月経周期が保たれているわけです。では、この体内の陰陽のバランスが崩れると、どのような不調を引き起こすのでしょうか。 まず「陰虚」ですが、陰虚とは体内の水分が不足している状態のことです。体に潤いがなくなり、よけいな熱が生じ、のぼせやすくなります。頭のふらつきやのぼせ、ホットフラッシュ、イライラ、耳鳴り、口の乾燥、血圧上昇などの症状が現れます。また、体が興奮状態、特に夜にそれが現れるため、不眠にもなります。このような不調は更年期でよく言われる症状です。 一方「陽虚」とは体エネルギーが不足した状態のことです。冷え、めまい、頻尿、動悸、肥満、疲れやすいなどの症状が現れます。 もちろん、陰陽がどちらも減っている「陰陽両虚」という状態もあります。 このような症状を改善するために、腎精の加齢による衰えを穏やかにする漢方の補腎薬を処方することが中医学の一般的な治療法です。補腎薬では主に動物性漢方薬(鹿の角、亀の甲羅など)が用いられます。動物の中には精が貯えられており、衰えた腎精を補うことに一番適した補腎薬と考えられます。 漢方薬の効果を最大限引き出すために鍼灸によって内臓の血流をコントロールする治療法があります。更年期で一番重要なことは、内臓の働きを衰えさせないことです。そのために漢方薬と鍼灸の併用は不可欠と言えます。 株式会社誠心堂薬局代表取締役 西野 裕一先生株式会社誠心堂薬局代表取締役。 薬剤師・鍼灸師。北里大学薬学部卒。東京医療福祉専門学校鍼灸科卒。中国漢方普及協会会長。日本中医学会評議員。漢方・鍼灸をはじめとする中医学の有用性を啓発・普及させる活動に尽力。著書多数。≫ 誠心堂薬局 関連コラム ≫ 食事や生活養生で更年期を穏やかに過ごす ≫ 更年期は出産の次に大切な人生のターニングポイント ≫ 三焦の理論と症状に合わせた不妊のための鍼灸治療 ≫ 中医学の鍼灸治療による妊活の効果とは ≫ 男性不妊を改善する日常生活とは ≫ 晩婚化は女性不妊だけでなく男性不妊の原因にもなる ≫ 三因制宜(さんいんせいぎ)という考え方で適切な治療を選ぶ <外部サイト>店舗で相談してみる→ 誠心堂薬局 http://www.seishin-do.co.jp/rd/
2017.3.30
コラム 女性の健康
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初めての人もこれを読めば安心! 徳岡先生の不妊治療AtoZ (1)
不妊の原因がわからないといわれた時、女性の年齢によって治療方法は変わってくるのでしょうか。妊娠に近づくための年代による治療法の違いと理由について、とくおかレディースクリニックの徳岡晋先生に詳しくお聞きしました。
2017.3.28
コラム 不妊治療
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幸せになる脳はスキンシップで育つ! ~後編~
幸せになる脳はスキンシップで育つ!~後編~ 皮膚と脳の関係に詳しい桜美林大学の山口創先生に、スキンシップの大切さをお聞きしご紹介するコラム。前編では肌と肌が触れ合うことで“オキシトシン”というホルモンが脳から分泌され、心が穏やかになり人の気持ちがわかるようになることや、赤ちゃんの時にたくさん触れ合うことで、 オキシトシンが分泌しやすい脳が作られるというお話をお伺いしてきました。 後編では、成長に合わせた子どもとの触れ合い方について、引き続き老舗抱っこひもメーカー・ラッキー工業社長の樋口博之氏とともにお聞きしていきます。 山口創先生 プロフィール桜美林大学リベラルアーツ学群 教授。早稲田大学大学院 人間科学科研究科 博士課程修了。専攻は臨床心理学・身体心理学。早稲田大学人間総合研究センター助手、聖徳大学人文学部専任講師を経て現職。博士(人間科学)。臨床発達心理士。『子供の「脳」は肌にある (光文社新書)』『脳と体にいいことずくめのベビーマッサージ (PHPビジュアル実用BOOKS)』など著書多数。 ●1歳半を過ぎたら、子どもの求めに応じたスキンシップを 樋口氏:赤ちゃんの時はたくさん抱っこをしてあげるとよいということでしたが、子どもが大きくなってきたら、触れ合い方は変えていったほうがいいのでしょうか。 山口先生:1歳半を過ぎるころから、子どもは外の世界に興味を持ち始めます。親から少し離れて冒険をしようとします。この頃のスキンシップは子どもの興味や動きを妨げないよう、求めてきた時に抱っこしてあげるようにするといいですね。 しばらく抱きしめてあげると、子どもはそれで安心感を得て満足し、また一人で探索行動に出かけることができます。そして人の気持ちの理解できるようになります。求めてくるときには、何歳になっても抱きしめてあげてください。 樋口氏:リクエストがない限りは自由にさせてあげたほうがいいということですね。肌と肌が触れ合うことで自分が安心感を得られるだけでなく、人にも優しくなれるなら、幼稚園や保育園で「触れ合いタイム」とかを作ったらいいですね。 山口先生:スウェーデンでは手で相手の手や背中にやさしく触れる“タクティールケア”というマッサージを保育園全体でやっているんですよ。スウェーデンではオキシトシンも全員が知っているくらい有名な物質なんです。私もこれから日本でもこうした取り組みをしていこうと思っています。 ●思春期も大人になっても、触れ合うことは大切 樋口氏:海外では子どもが大きくなって、大人になってもハグしていますが、日本ではそういう習慣がないし、成長とともに触れるのも難しくなっていきます。女性同士は中学生や高校生でも手をつないだりしていますが、男性はできないですしね。 山口先生:思春期の頃になると、反抗的になる子もいて、なかなか親にスキンシップを求めてこなくなります。特に男の子だと自分から触れてくることもなくなります。ちょっとしたきっかけや手段があればいいですよね。 例えば、勉強を頑張っている子どもの頭をマッサージしてあげる、部活で頑張った子の手足をマッサージしてあげる、などです。「疲れたからお願い」と自分の肩を子どもにもんでもらうのもいいですね。 インドでは大人になるまでお母さんが息子の頭をアーユルベーダでマッサージしてあげるそうです。だからすごく親子の関係もいいし、インド人は頭脳も明晰ですよね。 樋口氏:大きくなってからも、触れ合うことで心を通い合わせることができるということなんですね。 素晴らしいですね。 山口先生:成長に合わせて触れ合い方を変え、ずっとスキンシップを続けていけるといいですね。 ≫ 積極的におんぶをして赤ちゃんの可能性を広げましょう。 ≫ 歩育に最適♪肩のこらない抱っこひも「POLBAN」 ≫ 世界中で愛される日本製スリング「おしりSUPPORI」 ≫ ラッキーベイビーストア(楽天市場店) 自由ヶ丘店のご案内より多くのパパ・ママに正しい抱っこひもの使い方や、知育につながるおんぶひもをひろげたいという思いでOPENした自由ヶ丘店も、早6ヵ月が過ぎました。連日多くの方にご利用いただきありがとうございます。 ラッキー工業 (日本で一番長い歴史をもつ抱っこひも・おんんぶひもメーカー)ラッキー工業は創業以来82年の間、パパ・ママと赤ちゃんを見つめ続け、時代に必要とされる抱っこひもやおんぶひもを提供してきました。単に赤ちゃんを移動するためだけの道具ではなく、赤ちゃんの成長を育むアイテムとして、実に4000万人以上の方に使ってきていただいた実績があります。 子育て中のパパ・ママ、おじいちゃんおばあちゃん、そしてもちろん主役である赤ちゃん、みんなに幸せになってもらいたいという願いから、保育士をはじめ育児の専門家ととともに、すぐに役立つ子育てコラムを12回シリーズでお届けします。 次回は「あなたが今使っている『抱っこひも』。ちゃんと使えていますか?」です。お楽しみに! ≫ 会社ページ http://www.lucky-baby.co.jp/#≫ 楽天ページ http://www.rakuten.ne.jp/gold/luckybabygoods/≫ facebookページ https://www.facebook.com/luckykogyo/自由ヶ丘店OPEN!自由ヶ丘駅から徒歩5分。20種類以上の抱っこひも・おんぶひもの試着、相談ができるメーカー直営専門店。保育士資格保有者やわらべうたの先生など、多岐にわたる専門スタッフがお待ちいたしています。≫ ショップ http://item.rakuten.co.jp/luckybabygoods/c/0000000275/ 幸せになる脳はスキンシップで育つ!~後編~ 皮膚と脳の関係に詳しい桜美林大学の山口創先生に、スキンシップの大切さをお聞きしご紹介するコラム。前編では肌と肌が触れ合うことで“オキシトシン”というホルモンが脳から分泌され、心が穏やかになり人の気持ちがわかるようになることや、赤ちゃんの時にたくさん触れ合うことで、 オキシトシンが分泌しやすい脳が作られるというお話をお伺いしてきました。 後編では、成長に合わせた子どもとの触れ合い方について、引き続き老舗抱っこひもメーカー・ラッキー工業社長の樋口博之氏とともにお聞きしていきます。 山口創先生 プロフィール桜美林大学リベラルアーツ学群 教授。早稲田大学大学院 人間科学科研究科 博士課程修了。専攻は臨床心理学・身体心理学。早稲田大学人間総合研究センター助手、聖徳大学人文学部専任講師を経て現職。博士(人間科学)。臨床発達心理士。『子供の「脳」は肌にある (光文社新書)』『脳と体にいいことずくめのベビーマッサージ (PHPビジュアル実用BOOKS)』など著書多数。 ●1歳半を過ぎたら、子どもの求めに応じたスキンシップを 樋口氏:赤ちゃんの時はたくさん抱っこをしてあげるとよいということでしたが、子どもが大きくなってきたら、触れ合い方は変えていったほうがいいのでしょうか。 山口先生:1歳半を過ぎるころから、子どもは外の世界に興味を持ち始めます。親から少し離れて冒険をしようとします。この頃のスキンシップは子どもの興味や動きを妨げないよう、求めてきた時に抱っこしてあげるようにするといいですね。 しばらく抱きしめてあげると、子どもはそれで安心感を得て満足し、また一人で探索行動に出かけることができます。そして人の気持ちの理解できるようになります。求めてくるときには、何歳になっても抱きしめてあげてください。 樋口氏:リクエストがない限りは自由にさせてあげたほうがいいということですね。肌と肌が触れ合うことで自分が安心感を得られるだけでなく、人にも優しくなれるなら、幼稚園や保育園で「触れ合いタイム」とかを作ったらいいですね。 山口先生:スウェーデンでは手で相手の手や背中にやさしく触れる“タクティールケア”というマッサージを保育園全体でやっているんですよ。スウェーデンではオキシトシンも全員が知っているくらい有名な物質なんです。私もこれから日本でもこうした取り組みをしていこうと思っています。 ●思春期も大人になっても、触れ合うことは大切 樋口氏:海外では子どもが大きくなって、大人になってもハグしていますが、日本ではそういう習慣がないし、成長とともに触れるのも難しくなっていきます。女性同士は中学生や高校生でも手をつないだりしていますが、男性はできないですしね。 山口先生:思春期の頃になると、反抗的になる子もいて、なかなか親にスキンシップを求めてこなくなります。特に男の子だと自分から触れてくることもなくなります。ちょっとしたきっかけや手段があればいいですよね。 例えば、勉強を頑張っている子どもの頭をマッサージしてあげる、部活で頑張った子の手足をマッサージしてあげる、などです。「疲れたからお願い」と自分の肩を子どもにもんでもらうのもいいですね。 インドでは大人になるまでお母さんが息子の頭をアーユルベーダでマッサージしてあげるそうです。だからすごく親子の関係もいいし、インド人は頭脳も明晰ですよね。 樋口氏:大きくなってからも、触れ合うことで心を通い合わせることができるということなんですね。 素晴らしいですね。 山口先生:成長に合わせて触れ合い方を変え、ずっとスキンシップを続けていけるといいですね。 ≫ 積極的におんぶをして赤ちゃんの可能性を広げましょう。 ≫ 歩育に最適♪肩のこらない抱っこひも「POLBAN」 ≫ 世界中で愛される日本製スリング「おしりSUPPORI」 ≫ ラッキーベイビーストア(楽天市場店) 自由ヶ丘店のご案内より多くのパパ・ママに正しい抱っこひもの使い方や、知育につながるおんぶひもをひろげたいという思いでOPENした自由ヶ丘店も、早6ヵ月が過ぎました。連日多くの方にご利用いただきありがとうございます。 ラッキー工業 (日本で一番長い歴史をもつ抱っこひも・おんんぶひもメーカー)ラッキー工業は創業以来82年の間、パパ・ママと赤ちゃんを見つめ続け、時代に必要とされる抱っこひもやおんぶひもを提供してきました。単に赤ちゃんを移動するためだけの道具ではなく、赤ちゃんの成長を育むアイテムとして、実に4000万人以上の方に使ってきていただいた実績があります。 子育て中のパパ・ママ、おじいちゃんおばあちゃん、そしてもちろん主役である赤ちゃん、みんなに幸せになってもらいたいという願いから、保育士をはじめ育児の専門家ととともに、すぐに役立つ子育てコラムを12回シリーズでお届けします。 次回は「あなたが今使っている『抱っこひも』。ちゃんと使えていますか?」です。お楽しみに! ≫ 会社ページ http://www.lucky-baby.co.jp/#≫ 楽天ページ http://www.rakuten.ne.jp/gold/luckybabygoods/≫ facebookページ https://www.facebook.com/luckykogyo/自由ヶ丘店OPEN!自由ヶ丘駅から徒歩5分。20種類以上の抱っこひも・おんぶひもの試着、相談ができるメーカー直営専門店。保育士資格保有者やわらべうたの先生など、多岐にわたる専門スタッフがお待ちいたしています。≫ ショップ http://item.rakuten.co.jp/luckybabygoods/c/0000000275/
2017.3.27
コラム 子育て・教育
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精液検査結果の急激な悪化について
短期間で急激な悪化だった為、何か原因があると思うのですが考えられる原因は何でしょうか?処方された薬が合わなかったのか、市販の亜鉛サプリを飲み始めたのが駄目だったのかが当方の心当たりです。
2017.3.27
専門医Q&A 女性の健康
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病院治療と漢方薬の併用で元気に出産を
病院治療と漢方薬の併用で元気に出産を 「赤ちゃんが欲しい!」という患者さんの願いを、漢方薬で長年支え続けてきましたが、最近とくに感じるのは患者さんの不妊に関する知識が豊富だということです。それだけ不妊に悩んでいる方が増えているということにもなりますが、みなさん不妊治療についてよく勉強されていますし、さまざまな医療機関を回って漢方にたどり着いた方が目につきます。 患者さんの年齢は30代後半〜40代半ばと晩婚化の現状を反映しています。不妊症の患者さんが増加している一因に晩婚化があることは確かなことです。どうしても35歳を過ぎると自然妊娠する人は減ってきてしまいますから、積極的な妊活は不可欠になってしまいます。結婚した途端、タイムリミットが近いからとすぐに妊娠を望み、体外受精を行う方が少なくありません。 しかし、西洋医学の不妊治療は大きな効果はありますが、性急さを求めるあまり、体に負担をかけることも多々あります。一方、漢方薬の治療は土壌を育てる、つまり、本人が持っている本来の能力を引き出す治療ですので、両方の治療を取り入れることで相乗効果が期待できます。 畑の作物も毎年収穫し続けていると畑がやせていき、実りが落ちていきます。しかし、1年収穫して1年は休む畑は美味しい作物を収穫できるように、その方の症状に応じた漢方薬を最低3か月服用して体質を改善しておけば、体外受精の成功率も高くなる傾向が見られます。体外受精がうまくいっても、赤ちゃんが育たず、流産や死産になる人が多くみられるのですが、漢方薬を服用し続けると予防することができます。 漢方薬で子宮の血液循環を良くしておくことで、子宮環境が整い不育症や流産を防ぐことができますし、病院の治療で出てしまう、副作用や不快な症状も漢方薬でサポートすることができます。 ゴールは体外受精の成功ではなく、母子ともに元気で出産できることです。そのためにも病院の治療を考えている方、これから治療を行う予定がある方は、漢方薬の併用をおすすめします。 漢方の健伸堂薬局 古村 恵利子先生大手製薬企業、病院と西洋の医療に携わる中、自身の婦人科疾患・皮膚疾患で東洋医学と出会い、東洋医学のすばらしさ、必要性を痛感。それを機に、漢方の道を目指しました。 漢方薬はからだ全体のバランスを整えて本来あるべき体質に戻すものです。 ●「治病求本」原因をみつけ体質改善 ●「心身一如」健康な心が健康なからだを作る このことをいつも念頭において相談を心がけています。 体や心の不安などお悩みがございましたら、お気軽にご相談ください。 ・薬剤師・鍼灸師・不妊カウンセラー <外部サイト>店舗で相談してみる→ 漢方の健伸堂薬局 http://www.kanpou.info// 病院治療と漢方薬の併用で元気に出産を 「赤ちゃんが欲しい!」という患者さんの願いを、漢方薬で長年支え続けてきましたが、最近とくに感じるのは患者さんの不妊に関する知識が豊富だということです。それだけ不妊に悩んでいる方が増えているということにもなりますが、みなさん不妊治療についてよく勉強されていますし、さまざまな医療機関を回って漢方にたどり着いた方が目につきます。 患者さんの年齢は30代後半〜40代半ばと晩婚化の現状を反映しています。不妊症の患者さんが増加している一因に晩婚化があることは確かなことです。どうしても35歳を過ぎると自然妊娠する人は減ってきてしまいますから、積極的な妊活は不可欠になってしまいます。結婚した途端、タイムリミットが近いからとすぐに妊娠を望み、体外受精を行う方が少なくありません。 しかし、西洋医学の不妊治療は大きな効果はありますが、性急さを求めるあまり、体に負担をかけることも多々あります。一方、漢方薬の治療は土壌を育てる、つまり、本人が持っている本来の能力を引き出す治療ですので、両方の治療を取り入れることで相乗効果が期待できます。 畑の作物も毎年収穫し続けていると畑がやせていき、実りが落ちていきます。しかし、1年収穫して1年は休む畑は美味しい作物を収穫できるように、その方の症状に応じた漢方薬を最低3か月服用して体質を改善しておけば、体外受精の成功率も高くなる傾向が見られます。体外受精がうまくいっても、赤ちゃんが育たず、流産や死産になる人が多くみられるのですが、漢方薬を服用し続けると予防することができます。 漢方薬で子宮の血液循環を良くしておくことで、子宮環境が整い不育症や流産を防ぐことができますし、病院の治療で出てしまう、副作用や不快な症状も漢方薬でサポートすることができます。 ゴールは体外受精の成功ではなく、母子ともに元気で出産できることです。そのためにも病院の治療を考えている方、これから治療を行う予定がある方は、漢方薬の併用をおすすめします。 漢方の健伸堂薬局 古村 恵利子先生大手製薬企業、病院と西洋の医療に携わる中、自身の婦人科疾患・皮膚疾患で東洋医学と出会い、東洋医学のすばらしさ、必要性を痛感。それを機に、漢方の道を目指しました。 漢方薬はからだ全体のバランスを整えて本来あるべき体質に戻すものです。 ●「治病求本」原因をみつけ体質改善 ●「心身一如」健康な心が健康なからだを作る このことをいつも念頭において相談を心がけています。 体や心の不安などお悩みがございましたら、お気軽にご相談ください。 ・薬剤師・鍼灸師・不妊カウンセラー <外部サイト>店舗で相談してみる→ 漢方の健伸堂薬局 http://www.kanpou.info//
2017.3.27
コラム 不妊治療
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秋山芳晃先生のセルフメンテナンス・チェック
健康的な体で、元気な赤ちゃんを産むためには今から何をしておけばいいのでしょうか。妊娠する前に知っておくこと・やっておくことを秋山レディースクリニックの秋山芳晃先生に教えていただきました。
2017.3.26
コラム 不妊治療
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食事や生活養生で更年期を穏やかに過ごす
食事や生活養生で更年期を穏やかに過ごす 前回、西洋医学では女性ホルモンであるエストロゲンの低下が卵巣機能の衰えであるということをベースに更年期を考え、中医学では腎の「陰陽」の失調により「腎精」が枯渇していくのが更年期と考えるという話をしました。さらに、「陰」は例えるとガソリンで「陽」はエネルギーのことで、「腎精」とは生命エネルギーのことだということもお伝えしました。 今回はまず「腎精」についてもう少し詳しくお話ししましょう。「腎精」は7の倍数で変化することはご存知だと思いますが、この変化には個人差があります。つまり同じ年齢でも若々しく見える人もいれば、老けて見える人もいるのは「腎精」が関与しているからなのです。 「精」とは生命活動を維持するための基本物質で、親から受け継ぐ「先天の精」と、飲食や生活養生から得る「後天の精」があります。先天の精は腎に蓄えられており、後天の精は「脾」「肺」から生まれます。つまり、生まれながらに「精」が不足している人でも、後の生活養生や飲食でリカバリーが可能なのです。また、加齢による「腎精」の枯渇の速度も食事や生活養生で緩やかにすることができるのです。 腎がしっかりして精が十分にある人は、若々しく身体も元気。老化による不快な症状も現れにくく、更年期や老後も穏やかに過ごすことができます。 一方、 腎が弱く精が不足していると、更年期障害を始めとする老化の症状、不妊、冷え、免疫力の低下などさまざまな不調が起こりやすくなります。 次に「陰陽の失調」ですが、これは陰陽のバランスがアンバランスになるパターンと、陰陽どちらもが低下するパターンがあると考えます。中医学でいう「陰」と「陽」とは例えると「ガソリン」と「エネルギー」だと説明しましたが、健康体の人の場合、この陰陽のバランスが取れている状態なのです。つまり、陰が不足している「陰虚」や、その逆で陽が不足している「陽虚」だと体調不良の原因になります。更年期になるとこの陰陽のバランスの調節ができなくなるため、さまざまな不調が起こるのです。この不調によって社会不適応傾向が強まるのが更年期障害です。 では、「陰虚」や「陽虚」になると、とのような症状が現れるのでしょうか。その具体的な治療法、さらに予防法はあるのでしょうか。中医学と更年期のお話は次回にも続けてお話していきます。 株式会社誠心堂薬局代表取締役 西野 裕一先生株式会社誠心堂薬局代表取締役。 薬剤師・鍼灸師。北里大学薬学部卒。東京医療福祉専門学校鍼灸科卒。中国漢方普及協会会長。日本中医学会評議員。漢方・鍼灸をはじめとする中医学の有用性を啓発・普及させる活動に尽力。著書多数。≫ 誠心堂薬局 関連コラム ≫ 更年期は出産の次に大切な人生のターニングポイント ≫ 三焦の理論と症状に合わせた不妊のための鍼灸治療 ≫ 中医学の鍼灸治療による妊活の効果とは ≫ 男性不妊を改善する日常生活とは ≫ 晩婚化は女性不妊だけでなく男性不妊の原因にもなる ≫ 三因制宜(さんいんせいぎ)という考え方で適切な治療を選ぶ ≫ 血液を体全体に分布させる「誠心堂式 三焦調整法」で子宮・卵巣の機能回復を <外部サイト>店舗で相談してみる→ 誠心堂薬局 http://www.seishin-do.co.jp/rd/ 食事や生活養生で更年期を穏やかに過ごす 前回、西洋医学では女性ホルモンであるエストロゲンの低下が卵巣機能の衰えであるということをベースに更年期を考え、中医学では腎の「陰陽」の失調により「腎精」が枯渇していくのが更年期と考えるという話をしました。さらに、「陰」は例えるとガソリンで「陽」はエネルギーのことで、「腎精」とは生命エネルギーのことだということもお伝えしました。 今回はまず「腎精」についてもう少し詳しくお話ししましょう。「腎精」は7の倍数で変化することはご存知だと思いますが、この変化には個人差があります。つまり同じ年齢でも若々しく見える人もいれば、老けて見える人もいるのは「腎精」が関与しているからなのです。 「精」とは生命活動を維持するための基本物質で、親から受け継ぐ「先天の精」と、飲食や生活養生から得る「後天の精」があります。先天の精は腎に蓄えられており、後天の精は「脾」「肺」から生まれます。つまり、生まれながらに「精」が不足している人でも、後の生活養生や飲食でリカバリーが可能なのです。また、加齢による「腎精」の枯渇の速度も食事や生活養生で緩やかにすることができるのです。 腎がしっかりして精が十分にある人は、若々しく身体も元気。老化による不快な症状も現れにくく、更年期や老後も穏やかに過ごすことができます。 一方、 腎が弱く精が不足していると、更年期障害を始めとする老化の症状、不妊、冷え、免疫力の低下などさまざまな不調が起こりやすくなります。 次に「陰陽の失調」ですが、これは陰陽のバランスがアンバランスになるパターンと、陰陽どちらもが低下するパターンがあると考えます。中医学でいう「陰」と「陽」とは例えると「ガソリン」と「エネルギー」だと説明しましたが、健康体の人の場合、この陰陽のバランスが取れている状態なのです。つまり、陰が不足している「陰虚」や、その逆で陽が不足している「陽虚」だと体調不良の原因になります。更年期になるとこの陰陽のバランスの調節ができなくなるため、さまざまな不調が起こるのです。この不調によって社会不適応傾向が強まるのが更年期障害です。 では、「陰虚」や「陽虚」になると、とのような症状が現れるのでしょうか。その具体的な治療法、さらに予防法はあるのでしょうか。中医学と更年期のお話は次回にも続けてお話していきます。 株式会社誠心堂薬局代表取締役 西野 裕一先生株式会社誠心堂薬局代表取締役。 薬剤師・鍼灸師。北里大学薬学部卒。東京医療福祉専門学校鍼灸科卒。中国漢方普及協会会長。日本中医学会評議員。漢方・鍼灸をはじめとする中医学の有用性を啓発・普及させる活動に尽力。著書多数。≫ 誠心堂薬局 関連コラム ≫ 更年期は出産の次に大切な人生のターニングポイント ≫ 三焦の理論と症状に合わせた不妊のための鍼灸治療 ≫ 中医学の鍼灸治療による妊活の効果とは ≫ 男性不妊を改善する日常生活とは ≫ 晩婚化は女性不妊だけでなく男性不妊の原因にもなる ≫ 三因制宜(さんいんせいぎ)という考え方で適切な治療を選ぶ ≫ 血液を体全体に分布させる「誠心堂式 三焦調整法」で子宮・卵巣の機能回復を <外部サイト>店舗で相談してみる→ 誠心堂薬局 http://www.seishin-do.co.jp/rd/
2017.3.24
コラム 女性の健康
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3回の流産、不育症の疑いを乗り越え2児のママに——。
特に体に問題がない不妊治療との闘い。「情報に振り回されない」「考え過ぎない」 とにかく前へ進むのみ、でした。 ネットのあふれる情報や、根拠のない噂……。長い不妊治療の間にはいろいろな情報に振り回されがち。すずさんは「信頼できる人」「前向きな情報」だけを頼りに2人のお子さんを授かることができました。 仕事も生活も充実。だけど子どもができない… 2歳の可愛い女の子と「こんにちは!」とさわやかに迎えてくれたすずさん。7年にも及ぶ治療を乗り越えたとは思えないほど若々しい2児のママです。 同じ職場のご主人と結婚したのはすずさん29歳、ご主人27歳の時。仕事も充実し、まだ20代だったため「子どもはゆっくり、少し遊んでから…」と軽く考えていました。 結婚から1年が経ち「そろそろ考えようかな」となんとなく考えながらもさらに1年が経過。「よく2年を過ぎたら“不妊”を疑ってもいいっていうじゃないですか。でも、不妊治療なんてまったく他人ごとで何の知識もなくて。ただ、たまたま近所に産婦人科があったので気軽な気持ちで行ってみたんです」。 不妊治療専門のクリニックではなかったので、そこではタイミング法を試すだけでさらに数カ月が経過。すずさんの気持ちは少し焦りはじめます。「通える範囲の2つの不妊治療専門クリニックで迷ったのですが『とくおかレディースクリニック』のホームページを見て、とても温かさを感じて、思い切って行こうと決めました」。すずさんが32歳になる直前のことでした。そこから長い闘いが続くとは、まるで疑いもせずに…。 繰り返す流産、不妊症の疑い…。どうして? とくおかレディースクリニックを初めて訪れたのは、土曜日に開催される「不妊治療勉強会」でした。「自分より若い方もいて、先生の説明もとても良かったので決心がつきました」。その後、初めてひと通りの検査を受けましたが、特に異常はありませんでした。「その時も通えば赤ちゃんってすぐにできるものだと気軽に考えていたんですよね」とすずさん。人工授精を数回試みますが、すべて結果は陰性。先生にステップアップをすすめられます。 「私が体外受精をスタートするなんて…としばらくショックでソファに座りこんでしまいました。費用のこと、治療にとられる時間、仕事との両立…いろんなことが頭を巡りましたが、スタッフの方も優しく、主人も体外受精を前向きに考えてくれたので、チャレンジしてみようと思ったんです」。 ステップアップするにあたり、仕事を休む日があることなどは、事前に直属の上司と後輩に話しておきました。そして、初めての採卵。20個採卵したなかで、グレードの良い3つの卵子を移植することになりました。初めての移植、そして判定日。「実はこの時もまだ楽観的で。ここまですれば妊娠できるだろうって思っていました」。採尿、採血をし1時間待機。培養士さんの『残念な結果となりましたが…』の言葉に気が遠くなったといいます。さらに2回目の移植も陰性。そして、3回目の移植…ついに待ちに待った妊娠反応が! このまま順調にいくことを願っていたすずさんでしたが、ある週末トイレで突然出血してしまいます。「血が全く止まらなくて、血の気が引く思いでした。すぐに先生に電話をして診察してもらったら『心拍が確認できない…残念でした』と言われて…。内診台で処置をしている間、涙がとめどなく流れて止まりませんでした」。そんなすずさんといっしょに泣いて励ましてくれたのがクリニックの不妊カウンセラーさんでした。「このクリニック、なんて温かいんだろうって、救われる想いでした」。 信じられる前向きなことだけを見つめて… その後、事務長先生に誘われて、クリニック主催の「茶話会」に参加したすずさん。そこで出会ったのは、自分と同じように妊娠を望み、目標に向けて頑張っている女性たち。「お互いの悩みを語り合い、『頑張ろうね』と励まし合いました。今思えば、私が治療を乗り越えられたのはこの茶話会に参加したことなのかもしれません」。 2回目の採卵でも同じく3個の卵子を選びグレードの良い順に移植。1回目の移植でまた、妊娠の判定が出ましたが、再びある週末、腹痛に。「クリニックが休診だったのですが、痛みに耐えられず大きな病院に行くと、『心拍が確認できません』と…。あまりに機械的な冷たい医師の言葉と淡々と進む処置に心底悲しくなりました」。その後、とくおかレディースクリニックに報告に行くと、先生から「絶対大丈夫だから。頑張りましょう」という心強い言葉が。クリニックの温かさが身に染みたといいます。 何とか気持ちをリフレッシュしてさらに採卵。その後待ち受けていたのは、なんと3回目の流産…。もしかして『不育症』では…? という疑いで別の病院で検査。しかしながら、不育症とは診断されませんでした。 最初の治療から数年が経過し、すずさんは体に問題がないのに妊娠できないのはどうして? とひたすらネットを検索したり、良くない症例を見てしまったり…と気持ちも後ろ向きに。そんな時出会った、事務長先生の「Espoir」という著書とブログ。「事務長先生のブログは気持ちが前向きになるようなお話ばかりで。ここから余計な情報は自分のなかで切り捨て、事務長先生の本とブログだけを見ていこうと決めたんです」。 ようやくクリニックを卒業する日が… 再チャレンジに向けて前へ進んだすずさん。4回目の採卵の胚盤胞を移植…そしてまた妊娠の判定結果。「このころは妊娠しても不安がつきまとうばかりだったのですが…。なんとか3カ月過ぎクリニックを卒業する日がきたんです!」。気丈なすずさんは、治療のこともご両親に話さず、妊娠が確定してはじめてご両親に話したのだとか。途中切迫流産で自宅安静の時期もありましたが、2011年12月、すずさんはついに男の子のママになりました。 そして1年4カ月後、2人目のチャレンジで再びクリニックへ。保存していた凍結胚で移植をするも陰性。さらに採卵をして「もう、一人授かったしこれで諦めよう、って思った時に妊娠! 先生には『粘り勝ちだね』って言われました(笑)」。こうしてすずさんは2児のママになることができました。 お子さん2人で7年に及ぶ治療期間を振り返り「とにかく気持ちの温かい先生と病院に恵まれたことがモチベーションにつながりました。子育ては治療期間以上に大変なこともありますが、しばらくはこの時間を楽しみたいと思っています」。 出典:女性のための健康生活マガジン jineko vol.33 2017 Spring≫ 掲載記事一覧はこちら 特に体に問題がない不妊治療との闘い。「情報に振り回されない」「考え過ぎない」 とにかく前へ進むのみ、でした。 ネットのあふれる情報や、根拠のない噂……。長い不妊治療の間にはいろいろな情報に振り回されがち。すずさんは「信頼できる人」「前向きな情報」だけを頼りに2人のお子さんを授かることができました。 仕事も生活も充実。だけど子どもができない… 2歳の可愛い女の子と「こんにちは!」とさわやかに迎えてくれたすずさん。7年にも及ぶ治療を乗り越えたとは思えないほど若々しい2児のママです。 同じ職場のご主人と結婚したのはすずさん29歳、ご主人27歳の時。仕事も充実し、まだ20代だったため「子どもはゆっくり、少し遊んでから…」と軽く考えていました。 結婚から1年が経ち「そろそろ考えようかな」となんとなく考えながらもさらに1年が経過。「よく2年を過ぎたら“不妊”を疑ってもいいっていうじゃないですか。でも、不妊治療なんてまったく他人ごとで何の知識もなくて。ただ、たまたま近所に産婦人科があったので気軽な気持ちで行ってみたんです」。 不妊治療専門のクリニックではなかったので、そこではタイミング法を試すだけでさらに数カ月が経過。すずさんの気持ちは少し焦りはじめます。「通える範囲の2つの不妊治療専門クリニックで迷ったのですが『とくおかレディースクリニック』のホームページを見て、とても温かさを感じて、思い切って行こうと決めました」。すずさんが32歳になる直前のことでした。そこから長い闘いが続くとは、まるで疑いもせずに…。 繰り返す流産、不妊症の疑い…。どうして? とくおかレディースクリニックを初めて訪れたのは、土曜日に開催される「不妊治療勉強会」でした。「自分より若い方もいて、先生の説明もとても良かったので決心がつきました」。その後、初めてひと通りの検査を受けましたが、特に異常はありませんでした。「その時も通えば赤ちゃんってすぐにできるものだと気軽に考えていたんですよね」とすずさん。人工授精を数回試みますが、すべて結果は陰性。先生にステップアップをすすめられます。 「私が体外受精をスタートするなんて…としばらくショックでソファに座りこんでしまいました。費用のこと、治療にとられる時間、仕事との両立…いろんなことが頭を巡りましたが、スタッフの方も優しく、主人も体外受精を前向きに考えてくれたので、チャレンジしてみようと思ったんです」。 ステップアップするにあたり、仕事を休む日があることなどは、事前に直属の上司と後輩に話しておきました。そして、初めての採卵。20個採卵したなかで、グレードの良い3つの卵子を移植することになりました。初めての移植、そして判定日。「実はこの時もまだ楽観的で。ここまですれば妊娠できるだろうって思っていました」。採尿、採血をし1時間待機。培養士さんの『残念な結果となりましたが…』の言葉に気が遠くなったといいます。さらに2回目の移植も陰性。そして、3回目の移植…ついに待ちに待った妊娠反応が! このまま順調にいくことを願っていたすずさんでしたが、ある週末トイレで突然出血してしまいます。「血が全く止まらなくて、血の気が引く思いでした。すぐに先生に電話をして診察してもらったら『心拍が確認できない…残念でした』と言われて…。内診台で処置をしている間、涙がとめどなく流れて止まりませんでした」。そんなすずさんといっしょに泣いて励ましてくれたのがクリニックの不妊カウンセラーさんでした。「このクリニック、なんて温かいんだろうって、救われる想いでした」。 信じられる前向きなことだけを見つめて… その後、事務長先生に誘われて、クリニック主催の「茶話会」に参加したすずさん。そこで出会ったのは、自分と同じように妊娠を望み、目標に向けて頑張っている女性たち。「お互いの悩みを語り合い、『頑張ろうね』と励まし合いました。今思えば、私が治療を乗り越えられたのはこの茶話会に参加したことなのかもしれません」。 2回目の採卵でも同じく3個の卵子を選びグレードの良い順に移植。1回目の移植でまた、妊娠の判定が出ましたが、再びある週末、腹痛に。「クリニックが休診だったのですが、痛みに耐えられず大きな病院に行くと、『心拍が確認できません』と…。あまりに機械的な冷たい医師の言葉と淡々と進む処置に心底悲しくなりました」。その後、とくおかレディースクリニックに報告に行くと、先生から「絶対大丈夫だから。頑張りましょう」という心強い言葉が。クリニックの温かさが身に染みたといいます。 何とか気持ちをリフレッシュしてさらに採卵。その後待ち受けていたのは、なんと3回目の流産…。もしかして『不育症』では…? という疑いで別の病院で検査。しかしながら、不育症とは診断されませんでした。 最初の治療から数年が経過し、すずさんは体に問題がないのに妊娠できないのはどうして? とひたすらネットを検索したり、良くない症例を見てしまったり…と気持ちも後ろ向きに。そんな時出会った、事務長先生の「Espoir」という著書とブログ。「事務長先生のブログは気持ちが前向きになるようなお話ばかりで。ここから余計な情報は自分のなかで切り捨て、事務長先生の本とブログだけを見ていこうと決めたんです」。 ようやくクリニックを卒業する日が… 再チャレンジに向けて前へ進んだすずさん。4回目の採卵の胚盤胞を移植…そしてまた妊娠の判定結果。「このころは妊娠しても不安がつきまとうばかりだったのですが…。なんとか3カ月過ぎクリニックを卒業する日がきたんです!」。気丈なすずさんは、治療のこともご両親に話さず、妊娠が確定してはじめてご両親に話したのだとか。途中切迫流産で自宅安静の時期もありましたが、2011年12月、すずさんはついに男の子のママになりました。 そして1年4カ月後、2人目のチャレンジで再びクリニックへ。保存していた凍結胚で移植をするも陰性。さらに採卵をして「もう、一人授かったしこれで諦めよう、って思った時に妊娠! 先生には『粘り勝ちだね』って言われました(笑)」。こうしてすずさんは2児のママになることができました。 お子さん2人で7年に及ぶ治療期間を振り返り「とにかく気持ちの温かい先生と病院に恵まれたことがモチベーションにつながりました。子育ては治療期間以上に大変なこともありますが、しばらくはこの時間を楽しみたいと思っています」。 出典:女性のための健康生活マガジン jineko vol.33 2017 Spring≫ 掲載記事一覧はこちら
2017.3.24
コラム 不妊治療
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子育てをしたい人がいる、子育てが難しい人もいる——。
里親制度は、“子どもの幸せ”のためのもの。それでも、里親にも“育てる喜び”がある。お互いを思いやる気持ちは、親心も育ててくれる。 「産まなくても、子育てはできる!」 そう気づいたTさんは、養育家庭の里親に。子どもを育てる毎日には、新たな発見も多く日々の暮らしに彩りが加わったとも。 実の子ではないけれど、“育てる”と決めた日 Tさん(49歳)と同じ歳のご主人とのご夫婦が、Pちゃんと暮らし始めてから4年の歳月が経ちました。当時2歳だったPちゃんも、今春には小学1年生。ランドセルも用意し、ひらがなやカタカナも書けるようになり、漢字にも興味をもち始めました。一緒に過ごす日々、思い出が増えるごとに家族の絆が深まっていくのは、どの家庭も同じ。Tさんご夫婦とPちゃんも、誰の目からも、仲の良い普通の親子にしか見えません。 「乳児院には今でも折を見て訪れています。乳児院は彼女のルーツであり、乳児院の皆さんに大切に育てていただいたことも覚えていてもらいたいです。2歳でうちに来たこと、産んでくれたお母さんがいること、真実告知の絵本もあり、折に触れ読んでいます。まだ幼稚園年長ですが、いろいろと“何か”を感じている様子です。今後も彼女の状況や年齢に合わせて伝えていこうと思います」とTさん。 「いっぱいいっぱい愛して、いっぱいいっぱい楽しもう」と決めた日から、4年。真実と真摯に向き合いながらも、Pちゃんとともに毎日を楽しく過ごしています。 “育ての親”も親は親。子を愛する気持ちは同じ Tさんがご結婚されたのは36歳の時。共通の友人を介して出逢い、2年の交際期間を経て結ばれました。当時Tさんのお仕事は保育士で、日々忙しく、子づくりには積極的にはなれませんでした。 その後クラス担任ではなく、フリー保育士としてのシフトになり、子どものことを考えるように。でも、この時すでにTさんは39歳。産婦人科に通い、治療に専念するため職場を退職し、不妊治療専門のクリニックに4年通いましたが、赤ちゃんを授かることはありませんでした。 まさに出口のないトンネルをさまよっていた時、「映画の試写会のチケットがたまたま当たりました。映画は、行き場のない女の子を遠縁の若者が引き取って育てるというストーリーで、鑑賞したその帰りの道すがら、一緒に行った主人が、“血がつながってない子どもを育てるのって、どう思う?”と言ったのです。主人は私が治療のたびに落ち込んでいる姿を見ていて、以前から考えていて“このタイミングだ”と私に話したのだそうです。目からウロコでした。“そうか、産まなくても、子育てはできる!”と、そう気づかされたのです。その日の夜中はずっと、インターネットで検索し続けました」と、Tさんは振り返ります。 その日を境に不妊治療にまったく未練はなくなり、Tさんの気持ちはすっかり“里子”に向いていました。家族や友人にも相談しましたが、反対する人は誰一人いませんでした。むしろ、「あなたらしいわ!」と、背中を押してくれたといいます。 子どもの“幸せ”が優先。巣立ち、を手伝いたい 子どもを迎えるにあたっては、戸籍上も実子とできる特別養子縁組と、単なる里親として子どもを“預かる”養育家庭と、東京都の制度では2つの入り口があります。児童相談所で研修を受ける前の段階で、どちらかを選択しなければなりません。 養育家庭を選んだ場合、2年ごとの更新となります(※他道府県では5年の場合も)。もしもその間に、実親が心変わりして再び子育てを望み、なおかつ子育て可能な環境に改善されたと児童相談所が判断した場合には、預かっていた子どもは、実親の元に帰ることになります。 里親制度は、あくまでも子どもの幸せのためにある制度で、里親の“親になりたい”との気持ちを満たす制度ではない─。それが原則で、「実の親元にお返ししなくてはならない時がくるかもしれない」という事実が、実際に起こり得るのです。育てた子どもを手放さずに済む特別養子縁組を希望する夫婦もいるなか、なぜTさんはあえて養育家庭を選ばれたのでしょうか。 「保育士として、福祉の仕事にもかかわったことがあり、親の事情で悲しい思いをする子どもたちも、つらい状況で子育てされているお母さん方も、多く目にしてきました。不妊治療の病院の待合室で、何度となくテレビのワイドショーで虐待により亡くなってしまった赤ちゃんのニュースを見ては悲しく、切ない気持ちになってました。保育士として、小学生への巣立ちをお手伝いしてきましたが、これからは、私たちの家庭から社会へ巣立たせるお手伝いをしていきたいと思っています」と、Tさんは言います。 “普通”であること、その幸せを体感して! 「Pちゃんは2歳でうちに来ましたが、紹介されたのは1歳10カ月の時。毎日のように乳児院に通い、交流を深めました」 最初は怪訝な顔でTさん夫妻を見ていたPちゃんも、やがて打ち解け、良好な関係に。今ではTさん夫妻との生活のなか、元気で明るく、ちょっとおてんばな女の子に成長しました。年齢を重ねていくと自然に「“なんで産んでくれたママとは一緒にいられないの? なんで今のお母さんは私を迎えに来てくれたの?”と、質問してくることも。しかし、自分のルーツについて考えること、そしてそれを口に出せることが今のPちゃんにとっても大切なのです。これから小学校で“生い立ちの授業”や“1/2成人式”で考える機会もでてくると思いますが、私たち夫婦や児童相談所の職員の方々、先輩里親さん、幼稚園の先生方、乳児院の皆さん…Pちゃんは、たくさんの目に見守られています。もし彼女がとまどった時、迷った時には全力でサポートしてあげたいと思っています」。 仲良くなるにつれて、変わったのはPちゃんだけではありませんでした。 「夫の変化にはビックリ! こんなに子煩悩とは思いませんでしたし、Pちゃんと一緒の時のデレデレとした顔といったら(笑)。こんな顔するんだ、とちょっと発見でした」とも。 Pちゃんが片づけ忘れたビーズを掃除機で吸い込んでしまってカラカラと鳴り、「あらあら」といいながら、掃除をしながらもなんだか楽しくて笑ってしまいます。遊園地に行っても、Pちゃんの笑顔を通してみる景色は、今まで夫婦や友達と遊びに行った時とはまったく違って見えたり、と日常はより鮮やかに変化しました。 「Pちゃんと一緒にいるだけで、可愛い、愛おしいという気持ちが自然に湧いてきます。今は、たくさん愛してたくさん抱きしめて、精いっぱいのことをしてあげたいという気持ちです。この先に何があるかわからないけれど、本当の親子でもいろいろあると思います。たとえ困難が待ち受けていたとしても、子どもと暮らす日々の素晴らしさを教えてくれたPちゃんに感謝しながら、毎日楽しく暮らしていきたいです。でも、最近プチ反抗期なんですけどね(笑)」とTさん。 出典:女性のための健康生活マガジン jineko vol.33 2017 Spring≫ 掲載記事一覧はこちら 里親制度は、“子どもの幸せ”のためのもの。それでも、里親にも“育てる喜び”がある。お互いを思いやる気持ちは、親心も育ててくれる。 「産まなくても、子育てはできる!」 そう気づいたTさんは、養育家庭の里親に。子どもを育てる毎日には、新たな発見も多く日々の暮らしに彩りが加わったとも。 実の子ではないけれど、“育てる”と決めた日 Tさん(49歳)と同じ歳のご主人とのご夫婦が、Pちゃんと暮らし始めてから4年の歳月が経ちました。当時2歳だったPちゃんも、今春には小学1年生。ランドセルも用意し、ひらがなやカタカナも書けるようになり、漢字にも興味をもち始めました。一緒に過ごす日々、思い出が増えるごとに家族の絆が深まっていくのは、どの家庭も同じ。Tさんご夫婦とPちゃんも、誰の目からも、仲の良い普通の親子にしか見えません。 「乳児院には今でも折を見て訪れています。乳児院は彼女のルーツであり、乳児院の皆さんに大切に育てていただいたことも覚えていてもらいたいです。2歳でうちに来たこと、産んでくれたお母さんがいること、真実告知の絵本もあり、折に触れ読んでいます。まだ幼稚園年長ですが、いろいろと“何か”を感じている様子です。今後も彼女の状況や年齢に合わせて伝えていこうと思います」とTさん。 「いっぱいいっぱい愛して、いっぱいいっぱい楽しもう」と決めた日から、4年。真実と真摯に向き合いながらも、Pちゃんとともに毎日を楽しく過ごしています。 “育ての親”も親は親。子を愛する気持ちは同じ Tさんがご結婚されたのは36歳の時。共通の友人を介して出逢い、2年の交際期間を経て結ばれました。当時Tさんのお仕事は保育士で、日々忙しく、子づくりには積極的にはなれませんでした。 その後クラス担任ではなく、フリー保育士としてのシフトになり、子どものことを考えるように。でも、この時すでにTさんは39歳。産婦人科に通い、治療に専念するため職場を退職し、不妊治療専門のクリニックに4年通いましたが、赤ちゃんを授かることはありませんでした。 まさに出口のないトンネルをさまよっていた時、「映画の試写会のチケットがたまたま当たりました。映画は、行き場のない女の子を遠縁の若者が引き取って育てるというストーリーで、鑑賞したその帰りの道すがら、一緒に行った主人が、“血がつながってない子どもを育てるのって、どう思う?”と言ったのです。主人は私が治療のたびに落ち込んでいる姿を見ていて、以前から考えていて“このタイミングだ”と私に話したのだそうです。目からウロコでした。“そうか、産まなくても、子育てはできる!”と、そう気づかされたのです。その日の夜中はずっと、インターネットで検索し続けました」と、Tさんは振り返ります。 その日を境に不妊治療にまったく未練はなくなり、Tさんの気持ちはすっかり“里子”に向いていました。家族や友人にも相談しましたが、反対する人は誰一人いませんでした。むしろ、「あなたらしいわ!」と、背中を押してくれたといいます。 子どもの“幸せ”が優先。巣立ち、を手伝いたい 子どもを迎えるにあたっては、戸籍上も実子とできる特別養子縁組と、単なる里親として子どもを“預かる”養育家庭と、東京都の制度では2つの入り口があります。児童相談所で研修を受ける前の段階で、どちらかを選択しなければなりません。 養育家庭を選んだ場合、2年ごとの更新となります(※他道府県では5年の場合も)。もしもその間に、実親が心変わりして再び子育てを望み、なおかつ子育て可能な環境に改善されたと児童相談所が判断した場合には、預かっていた子どもは、実親の元に帰ることになります。 里親制度は、あくまでも子どもの幸せのためにある制度で、里親の“親になりたい”との気持ちを満たす制度ではない─。それが原則で、「実の親元にお返ししなくてはならない時がくるかもしれない」という事実が、実際に起こり得るのです。育てた子どもを手放さずに済む特別養子縁組を希望する夫婦もいるなか、なぜTさんはあえて養育家庭を選ばれたのでしょうか。 「保育士として、福祉の仕事にもかかわったことがあり、親の事情で悲しい思いをする子どもたちも、つらい状況で子育てされているお母さん方も、多く目にしてきました。不妊治療の病院の待合室で、何度となくテレビのワイドショーで虐待により亡くなってしまった赤ちゃんのニュースを見ては悲しく、切ない気持ちになってました。保育士として、小学生への巣立ちをお手伝いしてきましたが、これからは、私たちの家庭から社会へ巣立たせるお手伝いをしていきたいと思っています」と、Tさんは言います。 “普通”であること、その幸せを体感して! 「Pちゃんは2歳でうちに来ましたが、紹介されたのは1歳10カ月の時。毎日のように乳児院に通い、交流を深めました」 最初は怪訝な顔でTさん夫妻を見ていたPちゃんも、やがて打ち解け、良好な関係に。今ではTさん夫妻との生活のなか、元気で明るく、ちょっとおてんばな女の子に成長しました。年齢を重ねていくと自然に「“なんで産んでくれたママとは一緒にいられないの? なんで今のお母さんは私を迎えに来てくれたの?”と、質問してくることも。しかし、自分のルーツについて考えること、そしてそれを口に出せることが今のPちゃんにとっても大切なのです。これから小学校で“生い立ちの授業”や“1/2成人式”で考える機会もでてくると思いますが、私たち夫婦や児童相談所の職員の方々、先輩里親さん、幼稚園の先生方、乳児院の皆さん…Pちゃんは、たくさんの目に見守られています。もし彼女がとまどった時、迷った時には全力でサポートしてあげたいと思っています」。 仲良くなるにつれて、変わったのはPちゃんだけではありませんでした。 「夫の変化にはビックリ! こんなに子煩悩とは思いませんでしたし、Pちゃんと一緒の時のデレデレとした顔といったら(笑)。こんな顔するんだ、とちょっと発見でした」とも。 Pちゃんが片づけ忘れたビーズを掃除機で吸い込んでしまってカラカラと鳴り、「あらあら」といいながら、掃除をしながらもなんだか楽しくて笑ってしまいます。遊園地に行っても、Pちゃんの笑顔を通してみる景色は、今まで夫婦や友達と遊びに行った時とはまったく違って見えたり、と日常はより鮮やかに変化しました。 「Pちゃんと一緒にいるだけで、可愛い、愛おしいという気持ちが自然に湧いてきます。今は、たくさん愛してたくさん抱きしめて、精いっぱいのことをしてあげたいという気持ちです。この先に何があるかわからないけれど、本当の親子でもいろいろあると思います。たとえ困難が待ち受けていたとしても、子どもと暮らす日々の素晴らしさを教えてくれたPちゃんに感謝しながら、毎日楽しく暮らしていきたいです。でも、最近プチ反抗期なんですけどね(笑)」とTさん。 出典:女性のための健康生活マガジン jineko vol.33 2017 Spring≫ 掲載記事一覧はこちら
2017.3.22
コラム 不妊治療
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流産や不妊を克服し、44歳で4人のママへ。
不妊を乗り越え、子宝に恵まれたのは、食事を一から見直した体質改善のおかげ。いま悩んでいる人に「食」の大切さを伝えたい。 25歳で流産し、その後もつらい不妊を経験した理華さん。「自分の身体は、自分が食べたものでできている」この気づきをきっかけに、栄養学を勉強して体質改善。3人のお子さんを自然妊娠し、44歳で4人目を妊娠中です。 流産後に不妊治療 6年間子どもに恵まれず 「私の体験をジネコの読者にお伝えしたくて」と、ジネコに連絡をくださった讃岐理華さん(44歳)。お話をうかがってみると、すでに3人のお子さんのママであり、取材時翌月にはなんと4人目を出産予定とのこと。 もともと看護師をしていた理華さんがご主人と出会い、結婚したのは25歳の時。すぐに妊娠したものの、夜勤明けの検診で赤ちゃんの心拍がすでに止まっていることが発覚。気づかないうちに赤ちゃんの成長が止まる繋留流産でした。しかし、「結婚したら、子どもを」という思いが強かった理華さんは、失意のどん底でもあきらめませんでした。すぐに医療機関で治療を始めます。「ほんの少しでも妊娠を経験したことで、ますます赤ちゃんが欲しいと思うようになりました。焦る気持ちが強かったと思います」 さっそくタイミング、人工授精を試みますが妊娠の兆候はありません。実は、20代から下垂体腺腫による高プロラクチン血症があり、腺腫を切除した後も排卵障害が続いていました。そこで、片道2時間以上かかる不妊治療専門病院に転院し、体外受精にステップアップします。しかし、「当時は、一度に卵子3つまで戻すことができたのですが、1回に採卵できるのはよくてグレードの低い卵子1個。先生に卵子が3つできるまで待ちましょうと言われるものの、いい卵子は育ちませんでした」。治療をスタートして5年間、子宝に恵まれることはありませんでした。一人っ子の理華さんは「両親に孫を抱かせてあげたい」というプレッシャーも重なり、「治療中は子どもができないことにイライラし、とにかくマイナス志向でした。運転中に前列の車のガラスに貼られた『赤ちゃんが乗っています』のステッカーを目にするだけでも落ち込みました」と振り返ります。 自分が食べたもので 自分の身体はできている つらい不妊治療から5年が経った頃、理華さんはあることに気づきます。「看護師として勉強してきた私にとって医学は絶対的でした。病院にかかれば、子どもは絶対に授かれると信じていたので、先生に言われるまま薬を飲み、注射を打ち、治療を行ってきました。それでも妊娠できないのはなぜなんだろう? そんなことを考えていたら、そもそも自分の身体は自分が食べたものできているんだって、気づいたんです。もしかしたら食べるものを変えることで、身体が変わるかもしれないと思いました」 こうして新たなチャレンジがはじまります。まずは、栄養学を独学で勉強し、食事の方法を一から見直すことにしました。仕事で疲れて食事をつくるのが面倒な日も、スーパーの便利なお惣菜に頼るのをやめ、できるだけ安心・安全な食材を選んですべて手づくり。さらに、それまでカレーやハンバーグなど洋食中心だったメニューを和食に変え、「まごわやさしい」品目を意識して摂り入れるようにしました。この食事を続けるうちに少しずつ気持ちが明るくなり、「私は妊娠できる」と前向きな気持ちになれたといいます。すると1年後にまさかの自然妊娠。2年後に2人目、3人目をさらに3年後に授かり、30代で3人のお子さんに恵まれました。 「離婚」と「再婚」 そして44歳で妊娠 その後、理華さんはご主人と離婚。3人のお子さんを引き取り、シングルマザーとして再出発します。もともと夫婦で経営していた鍼灸院のオーナーとして一家を支えながらの子育て…。そんな多忙な毎日でも、会社の業績を上げてきた理華さん。新たに鍼灸院を立ち上げるため、打ち合わせに出かけた会社で今のご主人に出会います。「ふたりとも同い歳でバツイチ。すぐに意気投合しました(笑)」。子どもが好きなご主人に、理華さんの3人のお子さんも自然になつき、昨年5月にめでたく再婚します。 3人のお孫さんを気づかう理華さんのご両親の強い希望もあり、今のご主人との子どもは考えないつもりでしたが、「彼には子どもがいないし、お義母様にも孫がいないので、できることなら彼の子どもを産んであげたいと密かに思っていました」。ずっと続けてきた体質改善で3人の子どもを自然妊娠した自負はあるものの、確実に妊娠率が低下していく40代…。まずは、独身生活で外食が多かったご主人の食事を見直すことからはじめ、理華さんも体を温める食品選びや代謝を上げる水分摂取、入浴など、これまでの習慣をより丁寧におこないました。すると44歳で自然妊娠! 「食事で体質が変化してくるのは、およそ3カ月後といわれています。夫の体質が変わり始めた、まさにそのタイミングでした」。ただ、彼女のご両親には妊娠4カ月まで打ち明けられず…。「両親との約束を破ってしまったうえに、これ以上心配をかけたくなかったので、羊水検査をして赤ちゃんの健康を確認してからきちんと報告しました。いまは3人の子どもと一緒に、赤ちゃんの誕生を楽しみにしてくれています」 自分の経験を伝え 妊活中の人に勇気を 「戸籍上は44歳。でも心と体は20代」と、ほがらかに笑う理華さん。44歳の妊娠を機に、彼女の鍼灸院を訪れる不妊で悩む患者さんに大きな勇気を与えています。自身の経験と食事による体質改善を患者さんに伝えることで、「44歳でも自然妊娠できたのだから、きっと私も妊娠できると前向きな気持ちになってもらえたら嬉しいですね」 理華さんが妊活中のジネコ読者に伝えたいこと。それは「自分の身体は自分が食べたものでできているということです。すごく当たり前のことなんですが、実際に体づくりにふさわしい食事ができている人は少ない気がします。最近は共働きのご家庭も多いので、便利な食品に頼りたくなる気持ちはとてもよくわかります。でも、食材選びから見直して、一から食事を手作りすることで、妊娠できる身体に変われることを知ってほしい」。仕事と子育てに忙しい理華さん自身も、たとえ就寝が遅くても必ず朝5時に起床し、5つのお弁当を手作りしているそう。「体は急に変わらないので、小さなことをひとつずつ継続することが体づくりにつながると思っています」 これからも「自分が体験してきたことを、たくさんの人に伝えたい」という理華さん。先日、無事に自然分娩で元気な赤ちゃんを出産されたとの報告がありました! 出典:女性のための健康生活マガジン jineko vol.33 2017 Spring≫ 掲載記事一覧はこちら 不妊を乗り越え、子宝に恵まれたのは、食事を一から見直した体質改善のおかげ。いま悩んでいる人に「食」の大切さを伝えたい。 25歳で流産し、その後もつらい不妊を経験した理華さん。「自分の身体は、自分が食べたものでできている」この気づきをきっかけに、栄養学を勉強して体質改善。3人のお子さんを自然妊娠し、44歳で4人目を妊娠中です。 流産後に不妊治療 6年間子どもに恵まれず 「私の体験をジネコの読者にお伝えしたくて」と、ジネコに連絡をくださった讃岐理華さん(44歳)。お話をうかがってみると、すでに3人のお子さんのママであり、取材時翌月にはなんと4人目を出産予定とのこと。 もともと看護師をしていた理華さんがご主人と出会い、結婚したのは25歳の時。すぐに妊娠したものの、夜勤明けの検診で赤ちゃんの心拍がすでに止まっていることが発覚。気づかないうちに赤ちゃんの成長が止まる繋留流産でした。しかし、「結婚したら、子どもを」という思いが強かった理華さんは、失意のどん底でもあきらめませんでした。すぐに医療機関で治療を始めます。「ほんの少しでも妊娠を経験したことで、ますます赤ちゃんが欲しいと思うようになりました。焦る気持ちが強かったと思います」 さっそくタイミング、人工授精を試みますが妊娠の兆候はありません。実は、20代から下垂体腺腫による高プロラクチン血症があり、腺腫を切除した後も排卵障害が続いていました。そこで、片道2時間以上かかる不妊治療専門病院に転院し、体外受精にステップアップします。しかし、「当時は、一度に卵子3つまで戻すことができたのですが、1回に採卵できるのはよくてグレードの低い卵子1個。先生に卵子が3つできるまで待ちましょうと言われるものの、いい卵子は育ちませんでした」。治療をスタートして5年間、子宝に恵まれることはありませんでした。一人っ子の理華さんは「両親に孫を抱かせてあげたい」というプレッシャーも重なり、「治療中は子どもができないことにイライラし、とにかくマイナス志向でした。運転中に前列の車のガラスに貼られた『赤ちゃんが乗っています』のステッカーを目にするだけでも落ち込みました」と振り返ります。 自分が食べたもので 自分の身体はできている つらい不妊治療から5年が経った頃、理華さんはあることに気づきます。「看護師として勉強してきた私にとって医学は絶対的でした。病院にかかれば、子どもは絶対に授かれると信じていたので、先生に言われるまま薬を飲み、注射を打ち、治療を行ってきました。それでも妊娠できないのはなぜなんだろう? そんなことを考えていたら、そもそも自分の身体は自分が食べたものできているんだって、気づいたんです。もしかしたら食べるものを変えることで、身体が変わるかもしれないと思いました」 こうして新たなチャレンジがはじまります。まずは、栄養学を独学で勉強し、食事の方法を一から見直すことにしました。仕事で疲れて食事をつくるのが面倒な日も、スーパーの便利なお惣菜に頼るのをやめ、できるだけ安心・安全な食材を選んですべて手づくり。さらに、それまでカレーやハンバーグなど洋食中心だったメニューを和食に変え、「まごわやさしい」品目を意識して摂り入れるようにしました。この食事を続けるうちに少しずつ気持ちが明るくなり、「私は妊娠できる」と前向きな気持ちになれたといいます。すると1年後にまさかの自然妊娠。2年後に2人目、3人目をさらに3年後に授かり、30代で3人のお子さんに恵まれました。 「離婚」と「再婚」 そして44歳で妊娠 その後、理華さんはご主人と離婚。3人のお子さんを引き取り、シングルマザーとして再出発します。もともと夫婦で経営していた鍼灸院のオーナーとして一家を支えながらの子育て…。そんな多忙な毎日でも、会社の業績を上げてきた理華さん。新たに鍼灸院を立ち上げるため、打ち合わせに出かけた会社で今のご主人に出会います。「ふたりとも同い歳でバツイチ。すぐに意気投合しました(笑)」。子どもが好きなご主人に、理華さんの3人のお子さんも自然になつき、昨年5月にめでたく再婚します。 3人のお孫さんを気づかう理華さんのご両親の強い希望もあり、今のご主人との子どもは考えないつもりでしたが、「彼には子どもがいないし、お義母様にも孫がいないので、できることなら彼の子どもを産んであげたいと密かに思っていました」。ずっと続けてきた体質改善で3人の子どもを自然妊娠した自負はあるものの、確実に妊娠率が低下していく40代…。まずは、独身生活で外食が多かったご主人の食事を見直すことからはじめ、理華さんも体を温める食品選びや代謝を上げる水分摂取、入浴など、これまでの習慣をより丁寧におこないました。すると44歳で自然妊娠! 「食事で体質が変化してくるのは、およそ3カ月後といわれています。夫の体質が変わり始めた、まさにそのタイミングでした」。ただ、彼女のご両親には妊娠4カ月まで打ち明けられず…。「両親との約束を破ってしまったうえに、これ以上心配をかけたくなかったので、羊水検査をして赤ちゃんの健康を確認してからきちんと報告しました。いまは3人の子どもと一緒に、赤ちゃんの誕生を楽しみにしてくれています」 自分の経験を伝え 妊活中の人に勇気を 「戸籍上は44歳。でも心と体は20代」と、ほがらかに笑う理華さん。44歳の妊娠を機に、彼女の鍼灸院を訪れる不妊で悩む患者さんに大きな勇気を与えています。自身の経験と食事による体質改善を患者さんに伝えることで、「44歳でも自然妊娠できたのだから、きっと私も妊娠できると前向きな気持ちになってもらえたら嬉しいですね」 理華さんが妊活中のジネコ読者に伝えたいこと。それは「自分の身体は自分が食べたものでできているということです。すごく当たり前のことなんですが、実際に体づくりにふさわしい食事ができている人は少ない気がします。最近は共働きのご家庭も多いので、便利な食品に頼りたくなる気持ちはとてもよくわかります。でも、食材選びから見直して、一から食事を手作りすることで、妊娠できる身体に変われることを知ってほしい」。仕事と子育てに忙しい理華さん自身も、たとえ就寝が遅くても必ず朝5時に起床し、5つのお弁当を手作りしているそう。「体は急に変わらないので、小さなことをひとつずつ継続することが体づくりにつながると思っています」 これからも「自分が体験してきたことを、たくさんの人に伝えたい」という理華さん。先日、無事に自然分娩で元気な赤ちゃんを出産されたとの報告がありました! 出典:女性のための健康生活マガジン jineko vol.33 2017 Spring≫ 掲載記事一覧はこちら
2017.3.20
コラム 不妊治療
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幸せになる脳はスキンシップで育つ! ~前編~
幸せになる脳はスキンシップで育つ!~前編~ 「赤ちゃんとのスキンシップは大切」、「たくさん抱っこしてあげるといい」などと、よく耳にすると思いますが、実はそういわれるのには科学的な根拠があったのです。幼少期にたくさん触れ合うことで、赤ちゃんは大人になってもずっと心穏やかで、ストレスにも強くいられるのだとか。 皮膚と脳の関係について、老舗抱っこひもメーカー・ラッキー工業社長の樋口博之氏とともに 桜美林大学の山口創先生に詳しく教えていただきました。 山口創先生 プロフィール桜美林大学リベラルアーツ学群 教授。早稲田大学大学院 人間科学科研究科 博士課程修了。専攻は臨床心理学・身体心理学。早稲田大学人間総合研究センター助手、聖徳大学人文学部専任講師を経て現職。博士(人間科学)。臨床発達心理士。『子供の「脳」は肌にある (光文社新書)』『脳と体にいいことずくめのベビーマッサージ (PHPビジュアル実用BOOKS)』など著書多数。 ●スキンシップによって分泌される、愛情ホルモン「オキシトシン」 樋口氏:日本では戦後、アメリカの識者の影響から「赤ちゃんはあまり抱かずに育てたほうがよい」という指導を日本政府がしてきました。それが今は、アメリカでもヨーロッパでも「たくさん抱いてください」といっています。いつからそうなったのでしょうか。 山口先生:1970~80年頃には変わってきたと思います。日本は江戸時代位からずっと触れる育児をやってきました。ですからその変化には抵抗はなかったと思いますね。 樋口氏:抱っこしてあげること、触れ合うことにはどのような効果があるのですか? 山口先生:人は触れ合うことによって「オキシトシン」というホルモンが脳の視床下部で作られます。オキシトシンは心を安定させ、信頼感を高める作用があり、別名「愛情ホルモン」とも呼ばれています。赤ちゃんは抱っこされることでオキシトシンが出て、ママを信頼し、幸せな気持ちになるのです。 また、オキシトシンが分泌されると、人の感情が読み取りやすくなります。赤ちゃんと触れ合うことでママのほうもオキシトシンが分泌されて、赤ちゃんの気持ちがわかり育児がしやすくなるという効果もあります。 生まれてから1年半くらいまでの間は、人を信頼し、愛おしいと感じる“愛着”を形成するとても大事な時期。この時期は特に、オキシトシンがたくさん出るように、赤ちゃんをいっぱい抱っこしてあげるといいですね。 ●「オキシトシン」の出やすい脳を子どもの頃に作ってあげよう 樋口氏:なかには赤ちゃんを抱くのが苦痛というお母さんもいると思います。最低どのくらい抱っこしてあげればよい、などの基準はありますか? 山口先生:スキンシップが大事だといっても、1日中ずっと抱っこしていなければいけないというわけではありません。オキシトシンは触れ合っていると10分くらいで増えてきます。効果は1時間くらい続きますので、1時間おきに10分しっかり触れ合いができれば大丈夫です。 その時におんぶをしてあげるのもおすすめです。おんぶは抱っこより重心の位置が安定して疲れにくいですし、肌と肌の触れ合いという観点でも密着度が高く、敏感なお母さんは背中で子どもの体調を感じ取れるとおっしゃいますね。 樋口氏:赤ちゃんのどこを触ってあげるといいというのはありますか? 山口先生:どこが効果的かという研究はないのですが、触れて気持ち良さを感じる神経というのはあり、その神経の密度は腕と顔に多くあります。 オキシトシンは肌と肌の触れ合いで最も出やすくなります。赤ちゃんの時にオキシトシンがよく出るようにしておくと、神経の配列がそのように作られ、大人になってもずっと心穏やかに人を信頼でき、ストレスにも強くいられるようになります。 ぜひたくさん触れてあげてもらいたいですね。 後編へ続く ≫ 積極的におんぶをして赤ちゃんの可能性を広げましょう。 ≫ 歩育に最適♪肩のこらない抱っこひも「POLBAN」 ≫ 世界中で愛される日本製スリング「おしりSUPPORI」 ≫ ラッキーベイビーストア(楽天市場店) 自由ヶ丘店のご案内より多くのパパ・ママに正しい抱っこひもの使い方や、知育につながるおんぶひもをひろげたいという思いでOPENした自由ヶ丘店も、早6ヵ月が過ぎました。連日多くの方にご利用いただきありがとうございます。 ラッキー工業 (日本で一番長い歴史をもつ抱っこひも・おんんぶひもメーカー)ラッキー工業は創業以来82年の間、パパ・ママと赤ちゃんを見つめ続け、時代に必要とされる抱っこひもやおんぶひもを提供してきました。単に赤ちゃんを移動するためだけの道具ではなく、赤ちゃんの成長を育むアイテムとして、実に4000万人以上の方に使ってきていただいた実績があります。 子育て中のパパ・ママ、おじいちゃんおばあちゃん、そしてもちろん主役である赤ちゃん、みんなに幸せになってもらいたいという願いから、保育士をはじめ育児の専門家ととともに、すぐに役立つ子育てコラムを12回シリーズでお届けします。 次回は「あなたが今使っている『抱っこひも』。ちゃんと使えていますか?」です。お楽しみに! ≫ 会社ページ http://www.lucky-baby.co.jp/#≫ 楽天ページ http://www.rakuten.ne.jp/gold/luckybabygoods/≫ facebookページ https://www.facebook.com/luckykogyo/自由ヶ丘店OPEN!自由ヶ丘駅から徒歩5分。20種類以上の抱っこひも・おんぶひもの試着、相談ができるメーカー直営専門店。保育士資格保有者やわらべうたの先生など、多岐にわたる専門スタッフがお待ちいたしています。≫ ショップ http://item.rakuten.co.jp/luckybabygoods/c/0000000275/ 幸せになる脳はスキンシップで育つ!~前編~ 「赤ちゃんとのスキンシップは大切」、「たくさん抱っこしてあげるといい」などと、よく耳にすると思いますが、実はそういわれるのには科学的な根拠があったのです。幼少期にたくさん触れ合うことで、赤ちゃんは大人になってもずっと心穏やかで、ストレスにも強くいられるのだとか。 皮膚と脳の関係について、老舗抱っこひもメーカー・ラッキー工業社長の樋口博之氏とともに 桜美林大学の山口創先生に詳しく教えていただきました。 山口創先生 プロフィール桜美林大学リベラルアーツ学群 教授。早稲田大学大学院 人間科学科研究科 博士課程修了。専攻は臨床心理学・身体心理学。早稲田大学人間総合研究センター助手、聖徳大学人文学部専任講師を経て現職。博士(人間科学)。臨床発達心理士。『子供の「脳」は肌にある (光文社新書)』『脳と体にいいことずくめのベビーマッサージ (PHPビジュアル実用BOOKS)』など著書多数。 ●スキンシップによって分泌される、愛情ホルモン「オキシトシン」 樋口氏:日本では戦後、アメリカの識者の影響から「赤ちゃんはあまり抱かずに育てたほうがよい」という指導を日本政府がしてきました。それが今は、アメリカでもヨーロッパでも「たくさん抱いてください」といっています。いつからそうなったのでしょうか。 山口先生:1970~80年頃には変わってきたと思います。日本は江戸時代位からずっと触れる育児をやってきました。ですからその変化には抵抗はなかったと思いますね。 樋口氏:抱っこしてあげること、触れ合うことにはどのような効果があるのですか? 山口先生:人は触れ合うことによって「オキシトシン」というホルモンが脳の視床下部で作られます。オキシトシンは心を安定させ、信頼感を高める作用があり、別名「愛情ホルモン」とも呼ばれています。赤ちゃんは抱っこされることでオキシトシンが出て、ママを信頼し、幸せな気持ちになるのです。 また、オキシトシンが分泌されると、人の感情が読み取りやすくなります。赤ちゃんと触れ合うことでママのほうもオキシトシンが分泌されて、赤ちゃんの気持ちがわかり育児がしやすくなるという効果もあります。 生まれてから1年半くらいまでの間は、人を信頼し、愛おしいと感じる“愛着”を形成するとても大事な時期。この時期は特に、オキシトシンがたくさん出るように、赤ちゃんをいっぱい抱っこしてあげるといいですね。 ●「オキシトシン」の出やすい脳を子どもの頃に作ってあげよう 樋口氏:なかには赤ちゃんを抱くのが苦痛というお母さんもいると思います。最低どのくらい抱っこしてあげればよい、などの基準はありますか? 山口先生:スキンシップが大事だといっても、1日中ずっと抱っこしていなければいけないというわけではありません。オキシトシンは触れ合っていると10分くらいで増えてきます。効果は1時間くらい続きますので、1時間おきに10分しっかり触れ合いができれば大丈夫です。 その時におんぶをしてあげるのもおすすめです。おんぶは抱っこより重心の位置が安定して疲れにくいですし、肌と肌の触れ合いという観点でも密着度が高く、敏感なお母さんは背中で子どもの体調を感じ取れるとおっしゃいますね。 樋口氏:赤ちゃんのどこを触ってあげるといいというのはありますか? 山口先生:どこが効果的かという研究はないのですが、触れて気持ち良さを感じる神経というのはあり、その神経の密度は腕と顔に多くあります。 オキシトシンは肌と肌の触れ合いで最も出やすくなります。赤ちゃんの時にオキシトシンがよく出るようにしておくと、神経の配列がそのように作られ、大人になってもずっと心穏やかに人を信頼でき、ストレスにも強くいられるようになります。 ぜひたくさん触れてあげてもらいたいですね。 後編へ続く ≫ 積極的におんぶをして赤ちゃんの可能性を広げましょう。 ≫ 歩育に最適♪肩のこらない抱っこひも「POLBAN」 ≫ 世界中で愛される日本製スリング「おしりSUPPORI」 ≫ ラッキーベイビーストア(楽天市場店) 自由ヶ丘店のご案内より多くのパパ・ママに正しい抱っこひもの使い方や、知育につながるおんぶひもをひろげたいという思いでOPENした自由ヶ丘店も、早6ヵ月が過ぎました。連日多くの方にご利用いただきありがとうございます。 ラッキー工業 (日本で一番長い歴史をもつ抱っこひも・おんんぶひもメーカー)ラッキー工業は創業以来82年の間、パパ・ママと赤ちゃんを見つめ続け、時代に必要とされる抱っこひもやおんぶひもを提供してきました。単に赤ちゃんを移動するためだけの道具ではなく、赤ちゃんの成長を育むアイテムとして、実に4000万人以上の方に使ってきていただいた実績があります。 子育て中のパパ・ママ、おじいちゃんおばあちゃん、そしてもちろん主役である赤ちゃん、みんなに幸せになってもらいたいという願いから、保育士をはじめ育児の専門家ととともに、すぐに役立つ子育てコラムを12回シリーズでお届けします。 次回は「あなたが今使っている『抱っこひも』。ちゃんと使えていますか?」です。お楽しみに! ≫ 会社ページ http://www.lucky-baby.co.jp/#≫ 楽天ページ http://www.rakuten.ne.jp/gold/luckybabygoods/≫ facebookページ https://www.facebook.com/luckykogyo/自由ヶ丘店OPEN!自由ヶ丘駅から徒歩5分。20種類以上の抱っこひも・おんぶひもの試着、相談ができるメーカー直営専門店。保育士資格保有者やわらべうたの先生など、多岐にわたる専門スタッフがお待ちいたしています。≫ ショップ http://item.rakuten.co.jp/luckybabygoods/c/0000000275/
2017.3.20
コラム 子育て・教育
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妊娠中の風邪と胎児への影響は?薬の服用や予防法、対処法
妊娠中の風邪と胎児への影響は?薬の服用や予防法、対処法 2017/3/17 池下育子(いけした女性クリニック銀座) 妊娠中は免疫力が低下しているため、普段にくらべても風邪をひきやすくなっています。「風邪っぽいかも」と感じたら、妊娠前はとりあえず市販の風邪薬を飲んで様子をみていたものの、妊娠中は、お腹の赤ちゃんへの影響が気になりますよね。 今回は、いけした女性クリニック銀座の池下育子先生に、妊娠中の風邪や、薬との付き合い方について話をお聞きしました。 ▼ もくじ 風邪をひいても、自分の判断で薬を服用しないで 妊娠初期は特に要注意の薬がある 抗ウイルス剤、抗生物質も警戒して まとめ 風邪をひいても、自分の判断で薬を服用しないで 妊娠中、もし風邪をひいてしまったらどうすればいいのでしょうか。 微熱程度であれば、自宅で安静に。症状がひどくならない限りは自然治癒に頼りましょう。 たんぱく質・カルシウム・ミネラル・ビタミンCといった栄養素を積極的に摂取したり、ぬれマスクをして過ごすことで、比較的はやく回復する場合もあります。 それでも、 咳がとまらない 鼻水が出る 頭痛がする 高熱 といった症状が続くようであれば、かかりつけの産科を受診しましょう。 くれぐれも手もちの咳止め、鎮痛剤、風邪薬を自身の勝手な判断で服用するのだけはやめてください。赤ちゃんへの影響もありますし、薬の飲み合わせがよくないものもあるからです。 妊娠中は特に用心して、市販薬も含め一つひとつ薬の成分を医師に確認してから服用することをおすすめします。 妊娠初期は特に要注意の薬がある 妊娠中の薬の服用で気をつけたいのは、服用時期と薬の種類です。 ●服用時期 特に妊娠初期は、赤ちゃんの大事な臓器が形成される時期であり、薬の影響を受けやすい時期でもあります。一部の薬の服用によって奇形が発現する可能性もあります。 ●薬の種類 薬の種類で言えば、解熱剤と咳止めが要注意です。 バファリンやロキソニン、ボルタレンといった市販の解熱鎮痛剤を妊娠28週目以降に服用すると、赤ちゃんの心臓血管に影響することがあります。 38.5℃以上の高熱が続き、赤ちゃんの心拍もドキドキしてきている時には解熱剤を使う場合もあります。病院では、妊娠中にも使える解熱鎮痛剤を処方するようにしています。 また、熱を下げる薬がその人にとって危険な場合は、抗菌剤を出して咳から肺炎にならないよう対処をすることもあります。 咳止めの中には、腸の蠕動(ぜんどう)運動を抑える作用をもつものもあり、服用することで便秘になってしまう場合があります。その時に便秘薬を飲んでしまうと、ふたたび活発に動き出した腸が子宮を刺激し、切迫流産などを引き起こしてしまうケースもみられます。 医師は常に風邪の症状と赤ちゃんへの弊害とを天秤にかけて薬を処方しています。ですから、安心・安全のためにも、病院で処方してもらった薬を服用するようにしましょう。 抗ウイルス剤、抗生物質も警戒して ほかにも、クラミジアなどの治療で抗菌剤として使われるテトラサイクリン系抗生物質が、赤ちゃんの歯の発育に影響を及ぼす場合があると言われています。妊娠中は絶対避けたいものがあるので気をつけてください。 妊娠中の風邪予防は徹底する 妊娠中に薬の服用をせずに済ませるためには、風邪をひかないよう日頃から予防を徹底するのが一番です。次のことを心がけてください。 ●帰宅したら手洗い、うがいを励行する 手洗いとうがいをあなどってはいけません。これだけでかなりのウイルスを体内にもち込まずに済みます。 ●バランスのとれた食事と十分な睡眠を 特に、つわりがはじまると食欲も落ちてしまいがちですが、高タンパク、ミネラル、カルシウム、ビタミンCをしっかり摂取しましょう。また、しっかり眠ることも大事です。 ●できるだけ人混みに入らない 外出時、どうしても人混みを歩かなければならない時はぬれマスクを着用してください。病原菌は鼻とのどから入ってくると言われています。ここを保湿するだけでもだいぶ違うはずです。 池下先生より まとめ 特に妊娠初期の方にはお薬を処方したくないというのが本音です。なので、まずはうがい・手洗いで風邪予防に努め、それでも風邪をひいてしまったら医者に相談してください。それが一番です。 [無料]気軽にご相談ください お話を伺った先生のご紹介 池下育子先生(いけした女性クリニック銀座) 青森県出身。帝京大学医学部卒 帝京大学麻酔学教室助手、国立小児病院麻酔科、都立築地産院産婦人科勤務。同病院医長を経て1992年池下レディースクリニック銀座開業。会社や人間関係などのストレスで悩む女性たちに本音でアドバイス。また、女性、心身のトラブル全般に積極的に取り組む。12年、医院名をいけした女性クリニック銀座へ改称。『はじめての子宮がん検診』『妊活 いますぐはじめたい6つの習慣』など、女性の病気、妊娠にまつわる著書多数。 妊娠中の風邪と胎児への影響は?薬の服用や予防法、対処法 2017/3/17 池下育子(いけした女性クリニック銀座) 妊娠中は免疫力が低下しているため、普段にくらべても風邪をひきやすくなっています。「風邪っぽいかも」と感じたら、妊娠前はとりあえず市販の風邪薬を飲んで様子をみていたものの、妊娠中は、お腹の赤ちゃんへの影響が気になりますよね。 今回は、いけした女性クリニック銀座の池下育子先生に、妊娠中の風邪や、薬との付き合い方について話をお聞きしました。 ▼ もくじ 風邪をひいても、自分の判断で薬を服用しないで 妊娠初期は特に要注意の薬がある 抗ウイルス剤、抗生物質も警戒して まとめ 風邪をひいても、自分の判断で薬を服用しないで 妊娠中、もし風邪をひいてしまったらどうすればいいのでしょうか。 微熱程度であれば、自宅で安静に。症状がひどくならない限りは自然治癒に頼りましょう。 たんぱく質・カルシウム・ミネラル・ビタミンCといった栄養素を積極的に摂取したり、ぬれマスクをして過ごすことで、比較的はやく回復する場合もあります。 それでも、 咳がとまらない 鼻水が出る 頭痛がする 高熱 といった症状が続くようであれば、かかりつけの産科を受診しましょう。 くれぐれも手もちの咳止め、鎮痛剤、風邪薬を自身の勝手な判断で服用するのだけはやめてください。赤ちゃんへの影響もありますし、薬の飲み合わせがよくないものもあるからです。 妊娠中は特に用心して、市販薬も含め一つひとつ薬の成分を医師に確認してから服用することをおすすめします。 妊娠初期は特に要注意の薬がある 妊娠中の薬の服用で気をつけたいのは、服用時期と薬の種類です。 ●服用時期 特に妊娠初期は、赤ちゃんの大事な臓器が形成される時期であり、薬の影響を受けやすい時期でもあります。一部の薬の服用によって奇形が発現する可能性もあります。 ●薬の種類 薬の種類で言えば、解熱剤と咳止めが要注意です。 バファリンやロキソニン、ボルタレンといった市販の解熱鎮痛剤を妊娠28週目以降に服用すると、赤ちゃんの心臓血管に影響することがあります。 38.5℃以上の高熱が続き、赤ちゃんの心拍もドキドキしてきている時には解熱剤を使う場合もあります。病院では、妊娠中にも使える解熱鎮痛剤を処方するようにしています。 また、熱を下げる薬がその人にとって危険な場合は、抗菌剤を出して咳から肺炎にならないよう対処をすることもあります。 咳止めの中には、腸の蠕動(ぜんどう)運動を抑える作用をもつものもあり、服用することで便秘になってしまう場合があります。その時に便秘薬を飲んでしまうと、ふたたび活発に動き出した腸が子宮を刺激し、切迫流産などを引き起こしてしまうケースもみられます。 医師は常に風邪の症状と赤ちゃんへの弊害とを天秤にかけて薬を処方しています。ですから、安心・安全のためにも、病院で処方してもらった薬を服用するようにしましょう。 抗ウイルス剤、抗生物質も警戒して ほかにも、クラミジアなどの治療で抗菌剤として使われるテトラサイクリン系抗生物質が、赤ちゃんの歯の発育に影響を及ぼす場合があると言われています。妊娠中は絶対避けたいものがあるので気をつけてください。 妊娠中の風邪予防は徹底する 妊娠中に薬の服用をせずに済ませるためには、風邪をひかないよう日頃から予防を徹底するのが一番です。次のことを心がけてください。 ●帰宅したら手洗い、うがいを励行する 手洗いとうがいをあなどってはいけません。これだけでかなりのウイルスを体内にもち込まずに済みます。 ●バランスのとれた食事と十分な睡眠を 特に、つわりがはじまると食欲も落ちてしまいがちですが、高タンパク、ミネラル、カルシウム、ビタミンCをしっかり摂取しましょう。また、しっかり眠ることも大事です。 ●できるだけ人混みに入らない 外出時、どうしても人混みを歩かなければならない時はぬれマスクを着用してください。病原菌は鼻とのどから入ってくると言われています。ここを保湿するだけでもだいぶ違うはずです。 池下先生より まとめ 特に妊娠初期の方にはお薬を処方したくないというのが本音です。なので、まずはうがい・手洗いで風邪予防に努め、それでも風邪をひいてしまったら医者に相談してください。それが一番です。 [無料]気軽にご相談ください お話を伺った先生のご紹介 池下育子先生(いけした女性クリニック銀座) 青森県出身。帝京大学医学部卒 帝京大学麻酔学教室助手、国立小児病院麻酔科、都立築地産院産婦人科勤務。同病院医長を経て1992年池下レディースクリニック銀座開業。会社や人間関係などのストレスで悩む女性たちに本音でアドバイス。また、女性、心身のトラブル全般に積極的に取り組む。12年、医院名をいけした女性クリニック銀座へ改称。『はじめての子宮がん検診』『妊活 いますぐはじめたい6つの習慣』など、女性の病気、妊娠にまつわる著書多数。
2017.3.17
インタビュー 妊娠・出産
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卵巣機能を改善する鍼灸について
卵巣機能を改善する鍼灸について AMH検査でわかるのは卵子の在庫の目安 卵巣予備機能を計測するAMH検査をご存知でしょうか。AMHとはアンチミューラリアンホルモンの略ですが、このアンチミューラリアンホルモンは発育過程にある卵胞から分泌されるホルモンです。このホルモンの数値を計ることにより、原始卵胞から発育する前胞状卵胞数を予測することができるのです。 つまり、卵巣内にどれくらい卵の数が残っているか、また、卵巣の予備能がどれほどかを反映すると考えられています。統計学的にAMHは、35歳~37歳を境に急激に低下すると言われていますが、じつはかなり個人差があります。 また、AMHの数値のみからは妊娠のしやすさや卵の質はわかりません。数値が表すのはあくまでも卵子の在庫の目安です。ですから卵が順調に育つかどうかはAMHではなく、年齢に相関します。 生活習慣が卵巣機能の個人差をつくる 卵子の老化は実年齢に比例するため、同じAMHの値であっても、年齢が高くなればなるほど薬への反応は悪くなり、生産率(子供が生まれてくる確率)も低くなります。 AMHの数値に個人差があるのは、卵胞発育を制御している遺伝子発現に由来するものと考えられています。その発現因子は遺伝的因子、環境的因子、生活習慣因子などさまざまであると考えられていますが、現代女性の生活習慣の変化が大きいのではないかと思います。現代の女性の卵巣機能は長年の不摂生や悪い生活習慣が個人差の大きな原因である可能性は高いと感じています。 鍼灸で血流を改善すれば卵巣機能も改善する 卵子は大量の栄養供給を必要とします。その証拠に卵巣は濃密な微小血管で満たされています。大量の血液を必要とするため、卵巣は腹大動脈から分岐する卵巣動脈と子宮動脈から分枝する2本の卵巣枝によって供給を受けています。卵巣機能を改善するには、卵巣への血流を改善することが大切です。その血流を改善するのに最も適しているのが鍼灸だと言えるでしょう。 しかし、それには的確な鍼灸手技とテクニックが必要です。鍼灸師の間でも意外と知られていないのが奇経の働きです。卵巣機能にもっとも影響があるのは8つある奇経の一つであり任脈です。卵胞から分泌されるエストロゲン(卵胞ホルモン)に関連しています。奇経は十二正経を調整する役割を果たしており、奇経を調整することにより鍼灸の効き目は断然違ってきます。 卵巣機能の改善ですぐできることは、夜更かし、偏食、暴飲暴食、薄着と言った生活習慣の見直しです。それと並行して受けてほしいのが、卵巣への血流を良くする適切な鍼灸治療です。 アキュラ鍼灸院 徐大兼 先生 代々鍼灸師を営む家系の4代目として生まれる。大学卒業後、鍼灸の勉強を継続しつつ、健康食品、不動産、IT企業など、様々な企業経験を経て2002年にアキュラ鍼灸院を開業。世界で既に数千人の医師が実践する非常に画期的な頭皮鍼療法と伝統的治療を組み合わせた独自の治療法によって多くの難治症例の治療に成功。現在は不妊治療の分野にて養生・食育をベースに、オリジナルサプリメントの開発にも取り組んでいる。また、不妊鍼灸ネットワークを設立するなど、不妊鍼灸の啓蒙活動を積極的に行っている。著書に『カラダを温めれば不妊は治る!』があるほか、生活総合情報サイト「All About」にて不妊鍼灸ガイドを務める。 鍼灸師 日本不妊カウンセリング学会 認定 不妊カウンセラー 按摩マッサージ指圧師・柔道整復師 <外部サイト>店舗で相談してみる→ アキュラ鍼灸院 http://www.acuraclinic.com/j/ 卵巣機能を改善する鍼灸について AMH検査でわかるのは卵子の在庫の目安 卵巣予備機能を計測するAMH検査をご存知でしょうか。AMHとはアンチミューラリアンホルモンの略ですが、このアンチミューラリアンホルモンは発育過程にある卵胞から分泌されるホルモンです。このホルモンの数値を計ることにより、原始卵胞から発育する前胞状卵胞数を予測することができるのです。 つまり、卵巣内にどれくらい卵の数が残っているか、また、卵巣の予備能がどれほどかを反映すると考えられています。統計学的にAMHは、35歳~37歳を境に急激に低下すると言われていますが、じつはかなり個人差があります。 また、AMHの数値のみからは妊娠のしやすさや卵の質はわかりません。数値が表すのはあくまでも卵子の在庫の目安です。ですから卵が順調に育つかどうかはAMHではなく、年齢に相関します。 生活習慣が卵巣機能の個人差をつくる 卵子の老化は実年齢に比例するため、同じAMHの値であっても、年齢が高くなればなるほど薬への反応は悪くなり、生産率(子供が生まれてくる確率)も低くなります。 AMHの数値に個人差があるのは、卵胞発育を制御している遺伝子発現に由来するものと考えられています。その発現因子は遺伝的因子、環境的因子、生活習慣因子などさまざまであると考えられていますが、現代女性の生活習慣の変化が大きいのではないかと思います。現代の女性の卵巣機能は長年の不摂生や悪い生活習慣が個人差の大きな原因である可能性は高いと感じています。 鍼灸で血流を改善すれば卵巣機能も改善する 卵子は大量の栄養供給を必要とします。その証拠に卵巣は濃密な微小血管で満たされています。大量の血液を必要とするため、卵巣は腹大動脈から分岐する卵巣動脈と子宮動脈から分枝する2本の卵巣枝によって供給を受けています。卵巣機能を改善するには、卵巣への血流を改善することが大切です。その血流を改善するのに最も適しているのが鍼灸だと言えるでしょう。 しかし、それには的確な鍼灸手技とテクニックが必要です。鍼灸師の間でも意外と知られていないのが奇経の働きです。卵巣機能にもっとも影響があるのは8つある奇経の一つであり任脈です。卵胞から分泌されるエストロゲン(卵胞ホルモン)に関連しています。奇経は十二正経を調整する役割を果たしており、奇経を調整することにより鍼灸の効き目は断然違ってきます。 卵巣機能の改善ですぐできることは、夜更かし、偏食、暴飲暴食、薄着と言った生活習慣の見直しです。それと並行して受けてほしいのが、卵巣への血流を良くする適切な鍼灸治療です。 アキュラ鍼灸院 徐大兼 先生 代々鍼灸師を営む家系の4代目として生まれる。大学卒業後、鍼灸の勉強を継続しつつ、健康食品、不動産、IT企業など、様々な企業経験を経て2002年にアキュラ鍼灸院を開業。世界で既に数千人の医師が実践する非常に画期的な頭皮鍼療法と伝統的治療を組み合わせた独自の治療法によって多くの難治症例の治療に成功。現在は不妊治療の分野にて養生・食育をベースに、オリジナルサプリメントの開発にも取り組んでいる。また、不妊鍼灸ネットワークを設立するなど、不妊鍼灸の啓蒙活動を積極的に行っている。著書に『カラダを温めれば不妊は治る!』があるほか、生活総合情報サイト「All About」にて不妊鍼灸ガイドを務める。 鍼灸師 日本不妊カウンセリング学会 認定 不妊カウンセラー 按摩マッサージ指圧師・柔道整復師 <外部サイト>店舗で相談してみる→ アキュラ鍼灸院 http://www.acuraclinic.com/j/
2017.3.16
コラム 不妊治療