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そもそも冷えの原因は?もしかしたら「みかけの冷え」かも ⁉ 原因を知って正しく対策しよう
冷えと腸の働きは密接な関係があります。生活習慣や食事を見直して腸を整えましょう 冷えの原因は体質からくるもの、生活習慣からくるものなどいろいろあり、正しく対策しないとかえって悪化させてしまう場合もあるのです。産婦人科の漢方専門医である頼建守先生に詳しくお聞きしました。 頼 建守(らい けんしゅ)先生漢方医療頼クリニック院長。東京医科歯科大学老人病内科臨床准教授・非常勤講師。藤門会会長。はらメデイカルクリニック漢方外来を担当。治療効果を高めるためには生活習慣の歪みを是正することが大事と考え、指導をあわせて行っている。 冷えは一種の表現形原因を探ることが大切 漢方では「肝・心・脾(胃)・肺・腎」という五臓の考え方があります。「腎」は親からもらった先天の気、「脾・肺」は飲食・生活習慣や生活環境からくる後天の気、「心・肝」は調節の気で、自律神経とも考えられています。ここでは冷えのタイプをこの三つに沿って考えましょう。 まず一つ目は先天の腎気が弱い「熱を作る機能が低い」タイプ。エネルギーのレベルが低く、熱を作ることができない、本当の冷え性といえます。このタイプは体を温める食材などを摂って芯を温めると症状が改善します。 二つ目は、食べ過ぎや飲み過ぎのため「腸の中に熱を持っている」のに冷えを感じているタイプ。これは「みかけの冷え」といっていいでしょう。食べてストレス解消しようとしたり、お酒を飲んで発散しようする人、また三食の配分は夕食に比重を大きくおいた人が多いです。本来は、体と同じように夜は内臓も休めないといけません。しかし夜たくさん食べると胃腸は働かなければならなくなり、休めない内臓は熱を作ります。実は腸の中に熱を持たせると、一つの表現形として冷えを感じる場合があるのです。手のひらや足の裏に汗をかく人がいますが、漢方の考えではこの2カ所は自分の胃腸を表している場所です。腸の中の熱を外に逃がしたいため、手のひらや足の裏に汗をかくのです。不妊治療をうけていてもなかなか妊娠できない方は、実はこのタイプが多いです。 三つ目は「熱を運ぶ機能が失調した」タイプ。自律神経の調整がうまくいかなくなっている場合です。二つ目のタイプとも関係してきますが、腸の環境が悪いと自律神経の調整がうまくいかなくなることがあります。このタイプは周囲の人間関係や夜更かし、不摂生など生活習慣と関係している場合が多いです。 不妊治療をする際にも自分の冷えタイプを理解して 冷えていると妊娠しにくいといいますが、それは本当に体の芯が冷えている「熱を作る機能が低い」タイプのこと。体力がなく、食欲もなくてあまり食べられないこのタイプは、生姜や山椒などを多く摂って体を温めれ ば治療がうまくいくことが多いです。 「腸に熱を持っている」タイプの人は食べ過ぎないで、腸の中に熱を作らないことが大事です。特に甘いもの、果物、揚げ物、炭水化物、乳製品も熱を持っているので、できるだけ夕食には控えるようにしましょう。三食の配分は4:4:2と夕食の比重を減らすのが理想的。生姜や山椒は料理に使う程度は問題ありませんが、摂り過ぎに気をつけて。また夜更かしや、人と衝突して怒ったり悩んだりすると腸に熱がこもりやすくなるので注意を。 「熱を運ぶ機能が失調した」タイプ、つまり自律神経の調整がうまくいっていない人は生活習慣を整えることが一番大事です。腸の環境は免疫機能、自律神経の調整にかなり関わっています。間食や夜食が多いと、腸も仕事が容量オーバーになります。職場や家庭では、些細なことで怒ったり悩みすぎないように。また自律神経の調整には寝る時間が大切。人の体の中には経絡という気の流れみちがあり、夜11時から3時までは寝ないと神経が高ぶってしまうのです。早寝、早起きを心がけ、自律神経を整えましょう。 外から温めるのはどのタイプの人でもOK お風呂やよもぎ蒸し、腹巻きなど物理的に外から体を温めるのは、どのタイプの人にもいいことです。靴下も5本指ソックスはいいですね。足の指1本1本が全部包まれているから、汗を吸収して冷えてしまうことがありません。表面に熱を与えすぎるサウナや、四季の変化を無視したホットヨーガは考えものです。人間の体も春夏秋冬の自然のリズムに合わせましょう。夏に冷房が利いた部屋にこもったり、冬に暖かい部屋で冷たいビールを飲むというのは控えたいものです。 それからもう一つ大事なのは、水を摂り過ぎないこと。人間は二足歩行だから重力の関係で重いものは下に行きます。水は骨盤や足に溜まりやすくなります。水をたくさん飲むといいという話に医学的根拠はありません。飲み過ぎないでくださいね。 出典:女性のための健康生活マガジン jineko vol.31 2016 Winter≫ こちらからマガジンの記事がすべてご覧いただけます! 冷えと腸の働きは密接な関係があります。生活習慣や食事を見直して腸を整えましょう 冷えの原因は体質からくるもの、生活習慣からくるものなどいろいろあり、正しく対策しないとかえって悪化させてしまう場合もあるのです。産婦人科の漢方専門医である頼建守先生に詳しくお聞きしました。 頼 建守(らい けんしゅ)先生漢方医療頼クリニック院長。東京医科歯科大学老人病内科臨床准教授・非常勤講師。藤門会会長。はらメデイカルクリニック漢方外来を担当。治療効果を高めるためには生活習慣の歪みを是正することが大事と考え、指導をあわせて行っている。 冷えは一種の表現形原因を探ることが大切 漢方では「肝・心・脾(胃)・肺・腎」という五臓の考え方があります。「腎」は親からもらった先天の気、「脾・肺」は飲食・生活習慣や生活環境からくる後天の気、「心・肝」は調節の気で、自律神経とも考えられています。ここでは冷えのタイプをこの三つに沿って考えましょう。 まず一つ目は先天の腎気が弱い「熱を作る機能が低い」タイプ。エネルギーのレベルが低く、熱を作ることができない、本当の冷え性といえます。このタイプは体を温める食材などを摂って芯を温めると症状が改善します。 二つ目は、食べ過ぎや飲み過ぎのため「腸の中に熱を持っている」のに冷えを感じているタイプ。これは「みかけの冷え」といっていいでしょう。食べてストレス解消しようとしたり、お酒を飲んで発散しようする人、また三食の配分は夕食に比重を大きくおいた人が多いです。本来は、体と同じように夜は内臓も休めないといけません。しかし夜たくさん食べると胃腸は働かなければならなくなり、休めない内臓は熱を作ります。実は腸の中に熱を持たせると、一つの表現形として冷えを感じる場合があるのです。手のひらや足の裏に汗をかく人がいますが、漢方の考えではこの2カ所は自分の胃腸を表している場所です。腸の中の熱を外に逃がしたいため、手のひらや足の裏に汗をかくのです。不妊治療をうけていてもなかなか妊娠できない方は、実はこのタイプが多いです。 三つ目は「熱を運ぶ機能が失調した」タイプ。自律神経の調整がうまくいかなくなっている場合です。二つ目のタイプとも関係してきますが、腸の環境が悪いと自律神経の調整がうまくいかなくなることがあります。このタイプは周囲の人間関係や夜更かし、不摂生など生活習慣と関係している場合が多いです。 不妊治療をする際にも自分の冷えタイプを理解して 冷えていると妊娠しにくいといいますが、それは本当に体の芯が冷えている「熱を作る機能が低い」タイプのこと。体力がなく、食欲もなくてあまり食べられないこのタイプは、生姜や山椒などを多く摂って体を温めれ ば治療がうまくいくことが多いです。 「腸に熱を持っている」タイプの人は食べ過ぎないで、腸の中に熱を作らないことが大事です。特に甘いもの、果物、揚げ物、炭水化物、乳製品も熱を持っているので、できるだけ夕食には控えるようにしましょう。三食の配分は4:4:2と夕食の比重を減らすのが理想的。生姜や山椒は料理に使う程度は問題ありませんが、摂り過ぎに気をつけて。また夜更かしや、人と衝突して怒ったり悩んだりすると腸に熱がこもりやすくなるので注意を。 「熱を運ぶ機能が失調した」タイプ、つまり自律神経の調整がうまくいっていない人は生活習慣を整えることが一番大事です。腸の環境は免疫機能、自律神経の調整にかなり関わっています。間食や夜食が多いと、腸も仕事が容量オーバーになります。職場や家庭では、些細なことで怒ったり悩みすぎないように。また自律神経の調整には寝る時間が大切。人の体の中には経絡という気の流れみちがあり、夜11時から3時までは寝ないと神経が高ぶってしまうのです。早寝、早起きを心がけ、自律神経を整えましょう。 外から温めるのはどのタイプの人でもOK お風呂やよもぎ蒸し、腹巻きなど物理的に外から体を温めるのは、どのタイプの人にもいいことです。靴下も5本指ソックスはいいですね。足の指1本1本が全部包まれているから、汗を吸収して冷えてしまうことがありません。表面に熱を与えすぎるサウナや、四季の変化を無視したホットヨーガは考えものです。人間の体も春夏秋冬の自然のリズムに合わせましょう。夏に冷房が利いた部屋にこもったり、冬に暖かい部屋で冷たいビールを飲むというのは控えたいものです。 それからもう一つ大事なのは、水を摂り過ぎないこと。人間は二足歩行だから重力の関係で重いものは下に行きます。水は骨盤や足に溜まりやすくなります。水をたくさん飲むといいという話に医学的根拠はありません。飲み過ぎないでくださいね。 出典:女性のための健康生活マガジン jineko vol.31 2016 Winter≫ こちらからマガジンの記事がすべてご覧いただけます!
2016.12.20
コラム 不妊治療
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みんなはどうやって寒さをしのいでる?「冷え性」対策で冬を乗り切る!
いよいよ冬の到来。ジネコ読者の皆さんでも「冷え性」に悩む人がとても多いようです。冷えの対策皆さんはどうしているのか、ジネコ読者、プロの意見を聞いて今年の冬を乗り切ってください! お悩み 〜Trouble〜 ●くろまめさん(会社員/ 39 歳) 移植に向けて、体調を整えています。秋だというのに、会社ではいまだ冷房…。パソコン業務なので、座っていることが多く下半身が冷たくなってしまいます。 ●カーミーさん(パート/ 30 歳) 体外受精に向けてパートとして働きだしました。事務の仕事なのですが、事務所に暖房が入らず、冷え性の私にはとてもつらいです。 ●そらさん(会社員/ 32 歳) 重い冷え性です。靴下二重ばき、腹巻き、カイロ、ウォーキングなど努力しているのですが、冬の移植後の冷え対策はどうしたらいいのか知りたいです。 ●雅さん(主婦/ 32 歳) 2 人目不妊です。そろそろ2 人目を考えているのですが、時間がなくて冷え性対策ができていません。半身浴に入る余裕もなく、何か良いものを知りたいです。 ●さくらんぼさん(35 歳/主婦) 「お腹の冷え」が気になります。生理痛があり、血塊が出ることも。腹巻きをしたりしていますが、お腹をさわるととても冷たく温まっているように感じません。 対策 〜Countermeasure〜 ●けろっぴさん(会社員/年齢秘密) 会社での冷えってつらいですよね。私は会社で机の足元に置ける小型の温風ヒーターを購入しました。物にもよりますが、安いものなら数千円で購入できますよ! ●ハルさん(主婦/ 20 歳) 私が気をつけていることは、冷たい飲み物を控える、暖かい靴下を履く、毎日味噌汁に生姜を入れる、半身浴をするなど。新陳代謝を高めるといいみたいですね。 ●やわらさん(会社員/ 29 歳) 移植後の冷え、気になりますがこれは神のみぞ知るですね…。たまごちゃんの生命力を信じて、自分ではひざ掛けを常備したりしています。 ●しづさん(主婦/ 33 歳) 黄体機能不全で2 人目不妊で治療していました。冷え性対策にしていたことは骨盤体操とツボ押し。不思議と治療休憩中に自然に妊娠しました。 出典:女性のための健康生活マガジン jineko vol.31 2016 Winter≫ こちらからマガジンの記事がすべてご覧いただけます! いよいよ冬の到来。ジネコ読者の皆さんでも「冷え性」に悩む人がとても多いようです。冷えの対策皆さんはどうしているのか、ジネコ読者、プロの意見を聞いて今年の冬を乗り切ってください! お悩み 〜Trouble〜 ●くろまめさん(会社員/ 39 歳) 移植に向けて、体調を整えています。秋だというのに、会社ではいまだ冷房…。パソコン業務なので、座っていることが多く下半身が冷たくなってしまいます。 ●カーミーさん(パート/ 30 歳) 体外受精に向けてパートとして働きだしました。事務の仕事なのですが、事務所に暖房が入らず、冷え性の私にはとてもつらいです。 ●そらさん(会社員/ 32 歳) 重い冷え性です。靴下二重ばき、腹巻き、カイロ、ウォーキングなど努力しているのですが、冬の移植後の冷え対策はどうしたらいいのか知りたいです。 ●雅さん(主婦/ 32 歳) 2 人目不妊です。そろそろ2 人目を考えているのですが、時間がなくて冷え性対策ができていません。半身浴に入る余裕もなく、何か良いものを知りたいです。 ●さくらんぼさん(35 歳/主婦) 「お腹の冷え」が気になります。生理痛があり、血塊が出ることも。腹巻きをしたりしていますが、お腹をさわるととても冷たく温まっているように感じません。 対策 〜Countermeasure〜 ●けろっぴさん(会社員/年齢秘密) 会社での冷えってつらいですよね。私は会社で机の足元に置ける小型の温風ヒーターを購入しました。物にもよりますが、安いものなら数千円で購入できますよ! ●ハルさん(主婦/ 20 歳) 私が気をつけていることは、冷たい飲み物を控える、暖かい靴下を履く、毎日味噌汁に生姜を入れる、半身浴をするなど。新陳代謝を高めるといいみたいですね。 ●やわらさん(会社員/ 29 歳) 移植後の冷え、気になりますがこれは神のみぞ知るですね…。たまごちゃんの生命力を信じて、自分ではひざ掛けを常備したりしています。 ●しづさん(主婦/ 33 歳) 黄体機能不全で2 人目不妊で治療していました。冷え性対策にしていたことは骨盤体操とツボ押し。不思議と治療休憩中に自然に妊娠しました。 出典:女性のための健康生活マガジン jineko vol.31 2016 Winter≫ こちらからマガジンの記事がすべてご覧いただけます!
2016.12.20
コラム 不妊治療
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Dr.浅田の不妊治療ガイド <後編>
不妊治療の基本はステップアップ。そのスピードや期間を調整する指針が「年齢、AMH、人生設計の3 要素」と、前編でお話された浅田レディースクリニックの浅田先生。後編ではさらに具体的な治療ガイドをご紹介します。 AMH値が低い場合妊娠率に一番差が出るのは実は30代半ば 代前半まででAMHが通常値であれば、普通にステップアップすればいいと思います。特に、20代から30代前半までならAMH値が少々低くても、患者さんがステップアップをゆっくり進めたいと言えば、それでも構わないと思います。ある程度の卵子があるうちは自然排卵しますし、若い人の場合、結果的に妊娠できないということはあまり想定していません。 しかし、30代半ばから後半でAMH値が低い場合、やはり早めのステップアップを考えるべきですし、最終的には体外受精に進むケースも増えます。 日本産科婦人科学会からもデータが出ていますが、20代と40代は、調節卵巣刺激でも低刺激でも妊娠率の成績は実はあまり変わりません。20代は少ししか卵子が採れなくても確率がいいから差が少なく、40代になるとどちらにしろ低いという意味で差は少なくなります。ところが30代、特に30代半ばくらいは一番大きな差があり、それぞれに合った治療法をきちんと選択していく必要があります。 当院の人工授精の目安は35歳まででだいたい5回まで、38歳で3回、40歳以上になると1~2回。これは、年齢が高くなるに従い、体内で受精卵ができる確率が低くなるゆえのマキシマムな期間ですが、条件が悪ければもっと早く進めることも考えます。 40代になったら、そこの確率の低さは体外受精でカバーして、受精卵をとにかくつくり、その受精卵が育つ確率だけにするべきだとも思います。それでも、染色体異常ほか細胞分裂がうまくいかなくなるなど、卵子の老化による要素もじわじわと増えてきて、受精卵の育つ確率は低くなり、結果的に若い人に比べると妊娠率が下がって流産率が上昇します。 さらに、40代の卵子は体外培養のストレスにより弱いので、余計なダメージを与えることを避けるため、胚盤胞培養にもこだわらないというのも当院の方針です。 前編でも述べましたが、当院では受精卵はすべて凍結します。これは高齢になるほど成熟卵と内膜の時期のずれが大きくなり、それも妊娠率を下げる要因となるためです。特にクロミフェンを使うと子宮内膜が薄くなるなど着床条件も悪くなることが多く、凍結融解胚移植で内膜調整したほうが常に妊娠率は高いです。2人目、3人目を考えているのでしたらなおさら、少しでも若い時の卵子を残しておくことをおすすめします。 多嚢胞性卵巣症候群はちょうどいい時期にしっかり採卵することが大事 AMH値が高いと多嚢胞性卵巣症候群が疑われますが、これは一概に悪いことではありません。 AMHすなわちアンチミュラーリアンホルモンには、原始卵胞から育つ卵子の成長を抑制する作用があるため、卵子が少しずつ育ってくるせいなのか、AMH値が高い場合、高齢でも卵子が多く残っている人が多くいます。その分、普通に体外受精ができますし、卵子が多い方は妊娠には有利になります。 また、AMHは卵子が育ってくる最後の成熟の過程も抑制するため、多嚢胞性卵巣症候群の人には中途半端に育った卵子が卵巣内にたくさんあります。そういった卵子は長い間、体内にとどまっていたせいか質が悪いなどと今まで言われていました。 実際、新鮮胚移植の時には、ある程度の数を採卵した時点で妊娠率が反転します。これは何が原因かというと、1個ずつの卵子が黄体ホルモンを少しずつ出すため、たくさん卵子があるとその総和として、子宮内膜が黄体ホルモンに多くさらされて、子宮内膜のほうが時間的に早く進んだ形になり、受精卵が遅れて、結果、着床率が落ちるということが真実だとわかってきました。 今は、卵子の数が多ければ凍結するクリニックが多いですが、卵巣過剰刺激症候群を危惧して早め早めに採卵しがちです。そうすると未成熟卵の割合が増えますし、少しでいいからと中途半端な数を採るとその分、妊娠率が落ちます。 しかし、ちょうどいい時期にきちんと採卵し、凍結融解胚移植を行えば、その数に見合っただけの妊娠率は出ますし、アンタゴニスト法で、最後にHCGではなくてアゴニスト製剤で排卵させれば、ほとんど卵巣過剰刺激症候群の心配もありません。むしろ一生に一回の採卵で十分、兄弟分以上の卵子が採れます。 多嚢胞性卵巣症候群は、卵子の成長率が悪いとか、胚盤胞到達率も落ちるとか散々悪く言われていましたが、今やそんな話は大嘘です。多嚢胞性卵巣症候群の人こそ、クリニックの実力が問われるケースとも言えますね。 Doctor's Advice! ● 30代半ば以降でAMH 値が低ければ 早めのステップアップを ● 多嚢胞性卵巣症候群は治療次第で むしろ高い妊娠率が望める 浅田レディースクリニック 浅田 義正先生名古屋大学医学部卒業。1993年、米国初の体外受精専門施設に留学し、主に顕微授精を研究。帰国後、日本初の精巣精子を用いた顕微授精による妊娠例を報告。2004年、浅田レディースクリニック開院。2006年、生殖医療専門医認定。2010年、浅田レディース名古屋駅前クリニック開院。≫ 浅田レディースクリニック 出典:女性のための健康生活マガジン jineko vol.32 2016 Winter≫ 掲載記事一覧はこちら 不妊治療の基本はステップアップ。そのスピードや期間を調整する指針が「年齢、AMH、人生設計の3 要素」と、前編でお話された浅田レディースクリニックの浅田先生。後編ではさらに具体的な治療ガイドをご紹介します。 AMH値が低い場合妊娠率に一番差が出るのは実は30代半ば 代前半まででAMHが通常値であれば、普通にステップアップすればいいと思います。特に、20代から30代前半までならAMH値が少々低くても、患者さんがステップアップをゆっくり進めたいと言えば、それでも構わないと思います。ある程度の卵子があるうちは自然排卵しますし、若い人の場合、結果的に妊娠できないということはあまり想定していません。 しかし、30代半ばから後半でAMH値が低い場合、やはり早めのステップアップを考えるべきですし、最終的には体外受精に進むケースも増えます。 日本産科婦人科学会からもデータが出ていますが、20代と40代は、調節卵巣刺激でも低刺激でも妊娠率の成績は実はあまり変わりません。20代は少ししか卵子が採れなくても確率がいいから差が少なく、40代になるとどちらにしろ低いという意味で差は少なくなります。ところが30代、特に30代半ばくらいは一番大きな差があり、それぞれに合った治療法をきちんと選択していく必要があります。 当院の人工授精の目安は35歳まででだいたい5回まで、38歳で3回、40歳以上になると1~2回。これは、年齢が高くなるに従い、体内で受精卵ができる確率が低くなるゆえのマキシマムな期間ですが、条件が悪ければもっと早く進めることも考えます。 40代になったら、そこの確率の低さは体外受精でカバーして、受精卵をとにかくつくり、その受精卵が育つ確率だけにするべきだとも思います。それでも、染色体異常ほか細胞分裂がうまくいかなくなるなど、卵子の老化による要素もじわじわと増えてきて、受精卵の育つ確率は低くなり、結果的に若い人に比べると妊娠率が下がって流産率が上昇します。 さらに、40代の卵子は体外培養のストレスにより弱いので、余計なダメージを与えることを避けるため、胚盤胞培養にもこだわらないというのも当院の方針です。 前編でも述べましたが、当院では受精卵はすべて凍結します。これは高齢になるほど成熟卵と内膜の時期のずれが大きくなり、それも妊娠率を下げる要因となるためです。特にクロミフェンを使うと子宮内膜が薄くなるなど着床条件も悪くなることが多く、凍結融解胚移植で内膜調整したほうが常に妊娠率は高いです。2人目、3人目を考えているのでしたらなおさら、少しでも若い時の卵子を残しておくことをおすすめします。 多嚢胞性卵巣症候群はちょうどいい時期にしっかり採卵することが大事 AMH値が高いと多嚢胞性卵巣症候群が疑われますが、これは一概に悪いことではありません。 AMHすなわちアンチミュラーリアンホルモンには、原始卵胞から育つ卵子の成長を抑制する作用があるため、卵子が少しずつ育ってくるせいなのか、AMH値が高い場合、高齢でも卵子が多く残っている人が多くいます。その分、普通に体外受精ができますし、卵子が多い方は妊娠には有利になります。 また、AMHは卵子が育ってくる最後の成熟の過程も抑制するため、多嚢胞性卵巣症候群の人には中途半端に育った卵子が卵巣内にたくさんあります。そういった卵子は長い間、体内にとどまっていたせいか質が悪いなどと今まで言われていました。 実際、新鮮胚移植の時には、ある程度の数を採卵した時点で妊娠率が反転します。これは何が原因かというと、1個ずつの卵子が黄体ホルモンを少しずつ出すため、たくさん卵子があるとその総和として、子宮内膜が黄体ホルモンに多くさらされて、子宮内膜のほうが時間的に早く進んだ形になり、受精卵が遅れて、結果、着床率が落ちるということが真実だとわかってきました。 今は、卵子の数が多ければ凍結するクリニックが多いですが、卵巣過剰刺激症候群を危惧して早め早めに採卵しがちです。そうすると未成熟卵の割合が増えますし、少しでいいからと中途半端な数を採るとその分、妊娠率が落ちます。 しかし、ちょうどいい時期にきちんと採卵し、凍結融解胚移植を行えば、その数に見合っただけの妊娠率は出ますし、アンタゴニスト法で、最後にHCGではなくてアゴニスト製剤で排卵させれば、ほとんど卵巣過剰刺激症候群の心配もありません。むしろ一生に一回の採卵で十分、兄弟分以上の卵子が採れます。 多嚢胞性卵巣症候群は、卵子の成長率が悪いとか、胚盤胞到達率も落ちるとか散々悪く言われていましたが、今やそんな話は大嘘です。多嚢胞性卵巣症候群の人こそ、クリニックの実力が問われるケースとも言えますね。 Doctor's Advice! ● 30代半ば以降でAMH 値が低ければ 早めのステップアップを ● 多嚢胞性卵巣症候群は治療次第で むしろ高い妊娠率が望める 浅田レディースクリニック 浅田 義正先生名古屋大学医学部卒業。1993年、米国初の体外受精専門施設に留学し、主に顕微授精を研究。帰国後、日本初の精巣精子を用いた顕微授精による妊娠例を報告。2004年、浅田レディースクリニック開院。2006年、生殖医療専門医認定。2010年、浅田レディース名古屋駅前クリニック開院。≫ 浅田レディースクリニック 出典:女性のための健康生活マガジン jineko vol.32 2016 Winter≫ 掲載記事一覧はこちら
2016.12.19
コラム 不妊治療
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漢方薬で身体を立て直すことで卵子が元気になりホルモンの分泌も十分になる
漢方薬で身体を立て直すことで卵子が元気になりホルモンの分泌も十分になる 東洋医学的に卵巣の働きが悪いというのは、卵胞の発育やホルモン分泌の役割を担う、「腎」の力の不足が考えられます。 「腎」とは水分代謝の臓器である腎臓だけではなく、内分泌つまりホルモン分泌や生殖活動を行う役割もあると東洋医学では考えます。 「腎」の力のことを「腎精」というのですが、「精」とは体力や生命力や力強さを意味します。つまり、「腎精」の充実は、若々しい身体の維持、つまり卵巣機能の衰退を遅れさせたり、卵子の状態も安定し、ホルモン分泌も十分になるのです。 漢方薬の材料として用いる生薬には、それぞれアプローチする身体の部位があります。その中で「腎」にアプローチする生薬を中心に配合をしたものが「補腎薬」です。「補腎」とは冒頭に説明した「腎精」を養うことです。ですから、妊活の場合の「補腎薬」は、生殖機能の働きをよくしたり、ホルモンの分泌を盛んにすることができます。 西洋医学の不妊治療ではホルモン量が足りない場合、不足分を補充しますが、東洋医学では本来備わっている卵巣機能を活発にすることで、必要なホルモン量が分泌できる状態にもっていくことをめざします。 そのためには「補腎薬」も必要ですが、併せて生活養生も欠かせません。アンバランスな食事、ストレス、睡眠不足や不規則な生活などは要注意です。 当薬局にいらっしゃる方には、食事に気を遣われている方も多いのですが、食材の特性とその方の体質が合っていないケースもみられます。たとえば冷え性の方が、便秘解消のためにお腹を冷やす性質をも持ったヨーグルトやプルーンなどを毎日摂って冷えを助長しているなどです。 また、仕事のストレスで体調を崩したり、日常生活やご主人に対する不満から気分がすぐれない方も見受けられます。加えて十分な睡眠は妊活に限らず、美容・老化・免疫などはもちろん、体力を回復させるためにも不可欠です。シンデレラタイムといわれるPM10時~AM2時はしっかりと眠って「腎」を養ってください。 漢方薬の役割は、本来備わっている機能を最大限に発揮できるように、体調を整えて元気になる、消耗が大きい体力を補う、機能の働きを妨げる要因を排除することにあります。 「漢方薬で卵子の質が良くなる」というのは、漢方薬が直接卵子の状態を良くするというよりも、加齢を含めたさまざまな負荷により、良質の卵子をつくることができなくなっていた身体を漢方薬で立て直すことにより、結果として卵子の質が良くなるということだと私は考えています。 また最近気になるのは、夫婦関係がいまひとつ妊娠に向かっていない状況についてのご相談が増えていることです。理屈で割り切れないお互いの調和が取れれば充実感が得られ、心と身体のバランスも良くなり、それが結果としてホルモン分泌を良くするのではないかと思うのです。 疲れとストレスを抱えながら忙しく妊活し過ぎている方には、ぜひとも大切な命が宿るご自分の身体を大切にしていただきたいのです。そして赤ちゃんを授かる余裕と温かい気持ちでお過ごしいただきたいと願っています。 ご自身が疲れているのに卵だけは元気ということはないのです。心身が元気であってこそ卵も元気になるのです。 漢方薬の一陽館薬局 かしたに 陽子 先生女性のための漢方相談専門薬局として、相談スタッフ7名は全員女性。 不妊症・月経不調など女性特有の心身のトラブルについて相談が多く寄せられます。 輝く女性の笑顔のために一陽館薬局だからできること、女性だからこそ分かり合えることがあります。 おひとりお一人お悩みの症状も生まれ持った体質も生活環境も異なるわけですから漢方相談は個別相談が基本であり、その相談自体からオーダーメイドであることは当然のことであるという考えに立ってしっかりとお客さまに寄り添い、サポートしています。 <外部サイト>店舗で相談してみる→ 漢方薬の一陽館薬局 http://www.ichiyokan.jp 漢方薬で身体を立て直すことで卵子が元気になりホルモンの分泌も十分になる 東洋医学的に卵巣の働きが悪いというのは、卵胞の発育やホルモン分泌の役割を担う、「腎」の力の不足が考えられます。 「腎」とは水分代謝の臓器である腎臓だけではなく、内分泌つまりホルモン分泌や生殖活動を行う役割もあると東洋医学では考えます。 「腎」の力のことを「腎精」というのですが、「精」とは体力や生命力や力強さを意味します。つまり、「腎精」の充実は、若々しい身体の維持、つまり卵巣機能の衰退を遅れさせたり、卵子の状態も安定し、ホルモン分泌も十分になるのです。 漢方薬の材料として用いる生薬には、それぞれアプローチする身体の部位があります。その中で「腎」にアプローチする生薬を中心に配合をしたものが「補腎薬」です。「補腎」とは冒頭に説明した「腎精」を養うことです。ですから、妊活の場合の「補腎薬」は、生殖機能の働きをよくしたり、ホルモンの分泌を盛んにすることができます。 西洋医学の不妊治療ではホルモン量が足りない場合、不足分を補充しますが、東洋医学では本来備わっている卵巣機能を活発にすることで、必要なホルモン量が分泌できる状態にもっていくことをめざします。 そのためには「補腎薬」も必要ですが、併せて生活養生も欠かせません。アンバランスな食事、ストレス、睡眠不足や不規則な生活などは要注意です。 当薬局にいらっしゃる方には、食事に気を遣われている方も多いのですが、食材の特性とその方の体質が合っていないケースもみられます。たとえば冷え性の方が、便秘解消のためにお腹を冷やす性質をも持ったヨーグルトやプルーンなどを毎日摂って冷えを助長しているなどです。 また、仕事のストレスで体調を崩したり、日常生活やご主人に対する不満から気分がすぐれない方も見受けられます。加えて十分な睡眠は妊活に限らず、美容・老化・免疫などはもちろん、体力を回復させるためにも不可欠です。シンデレラタイムといわれるPM10時~AM2時はしっかりと眠って「腎」を養ってください。 漢方薬の役割は、本来備わっている機能を最大限に発揮できるように、体調を整えて元気になる、消耗が大きい体力を補う、機能の働きを妨げる要因を排除することにあります。 「漢方薬で卵子の質が良くなる」というのは、漢方薬が直接卵子の状態を良くするというよりも、加齢を含めたさまざまな負荷により、良質の卵子をつくることができなくなっていた身体を漢方薬で立て直すことにより、結果として卵子の質が良くなるということだと私は考えています。 また最近気になるのは、夫婦関係がいまひとつ妊娠に向かっていない状況についてのご相談が増えていることです。理屈で割り切れないお互いの調和が取れれば充実感が得られ、心と身体のバランスも良くなり、それが結果としてホルモン分泌を良くするのではないかと思うのです。 疲れとストレスを抱えながら忙しく妊活し過ぎている方には、ぜひとも大切な命が宿るご自分の身体を大切にしていただきたいのです。そして赤ちゃんを授かる余裕と温かい気持ちでお過ごしいただきたいと願っています。 ご自身が疲れているのに卵だけは元気ということはないのです。心身が元気であってこそ卵も元気になるのです。 漢方薬の一陽館薬局 かしたに 陽子 先生女性のための漢方相談専門薬局として、相談スタッフ7名は全員女性。 不妊症・月経不調など女性特有の心身のトラブルについて相談が多く寄せられます。 輝く女性の笑顔のために一陽館薬局だからできること、女性だからこそ分かり合えることがあります。 おひとりお一人お悩みの症状も生まれ持った体質も生活環境も異なるわけですから漢方相談は個別相談が基本であり、その相談自体からオーダーメイドであることは当然のことであるという考えに立ってしっかりとお客さまに寄り添い、サポートしています。 <外部サイト>店舗で相談してみる→ 漢方薬の一陽館薬局 http://www.ichiyokan.jp
2016.12.16
コラム 不妊治療
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46 歳で妊娠、 47 歳で出産。 10 年に及ぶ治療を乗り越えられたのは 寄り添ってくれる先生がいたから
46歳で妊娠、47歳で出産。10年に及ぶ治療を乗り越えられたのは寄り添ってくれる先生がいたから 「体外受精の回数をある時から数えるのをやめました」 そう語る白雪さん。少しの可能性を信じて、前へ前へと進み続けた白雪さんには、常に患者に寄り添って治療を進めるドクターのサポートがあったのです。 37 歳で始めた不妊治療。迷いはなく体外受精を決意 現在2歳半になる女の子のママである白雪さん。50歳手前とは思えないほどテキパキとしたキャリアウーマンです。 白雪さんとご主人との出会いは学生のころ。卒業してからお付き合いが始まったものの結婚には特にこだわらず30代半ばを迎えた時、ご両親の勧めで入籍をしました。もともと子どもが欲しいと思っていた白雪さんは、入籍を機会に本格的に子づくりをスタートしましたが、半年間妊娠に至らず、近所の婦人科を訪れました。そこでのタイミング法でも結果が出ず、卵管37歳で始めた不妊治療。迷いはなく体外受精を決意通水検査を受けたところ、両方の卵管が詰まっていることが判明。「そこで先生に『赤ちゃんが欲しいのなら、体外受精しか妊娠への道はないですよ』と言われ、迷うことなく不妊治療専門のクリニックを紹介してもらいました」 繰り返す体外受精にとことん付き合ってくれる先生との出会い 不妊治療へ積極的に歩み出した白雪さんですが、ご両親からは少し反対があったといいます。「両親は不妊治療なんて怖いから…、と言っていましたが年齢や体のリスクを説明し、納得してもらいました」。 保坂先生に出会ったのは、不妊治療専門クリニックに通い始めてしばらく経ってからのこと。「とっても気さくな先生で…患者との間にまったく壁がないんですよ。正直びっくりしたくらいです。その時点ですでに相当な数の体外受精を繰り返していた私に、『もう回数をカウントするのはやめましょう。数えてもネガティブにしかならないからね』とアドバイスしてくれたのも保坂先生。その時からスパッと回数を数えることをやめました」。 たび重なる体外受精を経て2010年、ようやく「妊娠」の判定が! 半信半疑だったものの、赤ちゃんの心拍が確認でき「これはいける!」と確信したのもつかの間、突然、流産してしまいます。この時白雪さん、44歳。「自分のなかでなんとなく45歳がタイムリミットだと思っていたので…この時ばかりは本当に焦ったし、落ち込んでしまいました」。 しかし、まだかろうじて卵子が採れているという事実、可能性があるならそれにかけてみたい! そう思った白雪さんはもう一度立ち上がろうと決意します。そんな時、保坂先生が独立することを知ります。「保坂先生は、絶対に『それは無理』とは言いません。私の意志を尊重して、とことん付き合ってくださいました。もし、私の妊活が終わるとしたら、保坂先生のもとで終わりたい…そう思ったから先生のクリニックに転院することを決めました」。 子宮筋腫の手術を経てようやく願いが叶った! 保坂先生のクリニックに転院後、しばらくして白雪さんは子宮筋腫の手術を受けることに。不妊治療を始めてすぐに行った、卵管水腫の手術の時に見つかった筋腫。そのころは、特に不妊治療に影響はなし、と診断されていましたが、数年経過してソフトボール大になっていたのです。タイムロスになるとも考えられた手術でしたが、保坂先生の勧めなら、と白雪さんは迷うことなく手術を決意。 この時点で45歳になっていた白雪さん、すでに不妊治療は9年近くにもなっていました。その長い治療期間を支えていたものは、「仕事」でした。「仕事がとにかく好きなので、落ち込んだ時もリフレッシュしたい時も、仕事に打ち込むことで気分転換ができていました。小さな会社なので、不妊治療をしていることはすぐに社長に話をしました。病院に行かなくてはならない時間のロスは、自分で帳尻を合わさなければなりませんでしたが、仕事を辞めてしまったら気持ちのバランスが取れなくなってしまいますから」 時には仕事を仕上げるため、不規則な生活になりながらも、保坂先生のもとでさらに治療を続けていた2013年のこと。42歳の時に採卵した最後の凍結卵(しかもグレードが低いもの)胚移植をしたあと、今までにはない出血が続きます。「これはダメだ…と思いクリニックに電話をしましたが、判定日まで待ってください、と言われ、半ば諦めてその日を待ちました」。気が重いまま迎えた判定日。白雪さんは、まさかの「妊娠」の報告を受けることに! 「え?? 嘘ですよね?」。最初に出たのはこんな言葉。とにかく「びっくり」の一言でした。 超高齢・超ハイリスク。そんな壁も見事にクリアし無事に女の子を出産 46歳でとうとう、今度こそ授かった命。嬉しい反面、その後も続く出血に悩まされ、怖くてなかなか保坂先生のもとを離れられず、クリニックに通い続けた白雪さん。そんな時にも先生は「大丈夫だから」と心強い言葉をかけ続けてくれたといいます。そして1カ月が経過して、ようやく産院へ転院。 「体外受精の痛みに比べたらつわりなんて、たいしたことはなかったです。でも、産院では“超高齢・超ハイリスク”といわれ、どんな子どもが生まれてくるのか、不安は尽きませんでした」 そして2014年2月、白雪さんは無事3164gの元気な女の子を出産。最後、帝王切開になったものの、母子ともに本当に健康なお産でした。 慌ただしく月日は流れ、今は育児と仕事に追われる日々の白雪さん。約10年に及ぶ不妊治療を継続できたのは、「私に寄り添ってくれる先生がいたことと、ルーティンワークのようになってしまう不妊治療のなか、私の場合は仕事という“逃げ道”があったことで、前へ進ませてくれたんだと思います。治療中の方は、ぜひ一日も早い採卵をおすすめしたいです」 from ドクター 治療を振り返って(三軒茶屋ウィメンズクリニック 保坂 猛 先生) 「白雪さんの強い信念に応えたい」 励まし、励まされた不妊治療 もともと決して早いとはいえない不妊治療のスタートだった白雪さん。なかなか妊娠に至らなかったのは、やはり年齢による卵質不良、そしてだんだん大きくなった子宮筋腫にありました。以前は全摘が普通とされていた子宮筋腫の手術ですが、今では不妊治療に向けてトライできるように子宮を残すことがスタンダードとなっています。白雪さんの場合、当時45 歳という年齢だったこと、そこで生じるタイムロスを考えると相当手術を迷いましたが、彼女の諦めない姿勢に、より良い方向を目指して手術を勧めました。それが最良の結果になり、白雪さんにとって価値ある治療であったことを嬉しく思っています。当クリニックではさまざまな年齢、体のトラブルを抱えて不妊治療に臨む方が数多くいらっしゃいますが、患者さんの「赤ちゃんが欲しい」という希望がついえない限り、何とか治療をサポートしていきたい、そう考えています。 他のユーザーストーリーも読む ■ あわせて読みたい ■ 子宮頸がんの疑い、男性更年期障害、家族の介護と別れ…数々の壁を乗り越え授かった待望の命 卵巣手術から体外受精へ。夫婦で乗り越えた不妊治療 信頼できる医師や仲間たちに支えられて これが最後と決めた挑戦は、“卵子提供”という選択肢でした。 メディカルパーク湘南 女性のための健康生活マガジン JINEKO 専門家に相談してみる 46歳で妊娠、47歳で出産。10年に及ぶ治療を乗り越えられたのは寄り添ってくれる先生がいたから 「体外受精の回数をある時から数えるのをやめました」 そう語る白雪さん。少しの可能性を信じて、前へ前へと進み続けた白雪さんには、常に患者に寄り添って治療を進めるドクターのサポートがあったのです。 37 歳で始めた不妊治療。迷いはなく体外受精を決意 現在2歳半になる女の子のママである白雪さん。50歳手前とは思えないほどテキパキとしたキャリアウーマンです。 白雪さんとご主人との出会いは学生のころ。卒業してからお付き合いが始まったものの結婚には特にこだわらず30代半ばを迎えた時、ご両親の勧めで入籍をしました。もともと子どもが欲しいと思っていた白雪さんは、入籍を機会に本格的に子づくりをスタートしましたが、半年間妊娠に至らず、近所の婦人科を訪れました。そこでのタイミング法でも結果が出ず、卵管37歳で始めた不妊治療。迷いはなく体外受精を決意通水検査を受けたところ、両方の卵管が詰まっていることが判明。「そこで先生に『赤ちゃんが欲しいのなら、体外受精しか妊娠への道はないですよ』と言われ、迷うことなく不妊治療専門のクリニックを紹介してもらいました」 繰り返す体外受精にとことん付き合ってくれる先生との出会い 不妊治療へ積極的に歩み出した白雪さんですが、ご両親からは少し反対があったといいます。「両親は不妊治療なんて怖いから…、と言っていましたが年齢や体のリスクを説明し、納得してもらいました」。 保坂先生に出会ったのは、不妊治療専門クリニックに通い始めてしばらく経ってからのこと。「とっても気さくな先生で…患者との間にまったく壁がないんですよ。正直びっくりしたくらいです。その時点ですでに相当な数の体外受精を繰り返していた私に、『もう回数をカウントするのはやめましょう。数えてもネガティブにしかならないからね』とアドバイスしてくれたのも保坂先生。その時からスパッと回数を数えることをやめました」。 たび重なる体外受精を経て2010年、ようやく「妊娠」の判定が! 半信半疑だったものの、赤ちゃんの心拍が確認でき「これはいける!」と確信したのもつかの間、突然、流産してしまいます。この時白雪さん、44歳。「自分のなかでなんとなく45歳がタイムリミットだと思っていたので…この時ばかりは本当に焦ったし、落ち込んでしまいました」。 しかし、まだかろうじて卵子が採れているという事実、可能性があるならそれにかけてみたい! そう思った白雪さんはもう一度立ち上がろうと決意します。そんな時、保坂先生が独立することを知ります。「保坂先生は、絶対に『それは無理』とは言いません。私の意志を尊重して、とことん付き合ってくださいました。もし、私の妊活が終わるとしたら、保坂先生のもとで終わりたい…そう思ったから先生のクリニックに転院することを決めました」。 子宮筋腫の手術を経てようやく願いが叶った! 保坂先生のクリニックに転院後、しばらくして白雪さんは子宮筋腫の手術を受けることに。不妊治療を始めてすぐに行った、卵管水腫の手術の時に見つかった筋腫。そのころは、特に不妊治療に影響はなし、と診断されていましたが、数年経過してソフトボール大になっていたのです。タイムロスになるとも考えられた手術でしたが、保坂先生の勧めなら、と白雪さんは迷うことなく手術を決意。 この時点で45歳になっていた白雪さん、すでに不妊治療は9年近くにもなっていました。その長い治療期間を支えていたものは、「仕事」でした。「仕事がとにかく好きなので、落ち込んだ時もリフレッシュしたい時も、仕事に打ち込むことで気分転換ができていました。小さな会社なので、不妊治療をしていることはすぐに社長に話をしました。病院に行かなくてはならない時間のロスは、自分で帳尻を合わさなければなりませんでしたが、仕事を辞めてしまったら気持ちのバランスが取れなくなってしまいますから」 時には仕事を仕上げるため、不規則な生活になりながらも、保坂先生のもとでさらに治療を続けていた2013年のこと。42歳の時に採卵した最後の凍結卵(しかもグレードが低いもの)胚移植をしたあと、今までにはない出血が続きます。「これはダメだ…と思いクリニックに電話をしましたが、判定日まで待ってください、と言われ、半ば諦めてその日を待ちました」。気が重いまま迎えた判定日。白雪さんは、まさかの「妊娠」の報告を受けることに! 「え?? 嘘ですよね?」。最初に出たのはこんな言葉。とにかく「びっくり」の一言でした。 超高齢・超ハイリスク。そんな壁も見事にクリアし無事に女の子を出産 46歳でとうとう、今度こそ授かった命。嬉しい反面、その後も続く出血に悩まされ、怖くてなかなか保坂先生のもとを離れられず、クリニックに通い続けた白雪さん。そんな時にも先生は「大丈夫だから」と心強い言葉をかけ続けてくれたといいます。そして1カ月が経過して、ようやく産院へ転院。 「体外受精の痛みに比べたらつわりなんて、たいしたことはなかったです。でも、産院では“超高齢・超ハイリスク”といわれ、どんな子どもが生まれてくるのか、不安は尽きませんでした」 そして2014年2月、白雪さんは無事3164gの元気な女の子を出産。最後、帝王切開になったものの、母子ともに本当に健康なお産でした。 慌ただしく月日は流れ、今は育児と仕事に追われる日々の白雪さん。約10年に及ぶ不妊治療を継続できたのは、「私に寄り添ってくれる先生がいたことと、ルーティンワークのようになってしまう不妊治療のなか、私の場合は仕事という“逃げ道”があったことで、前へ進ませてくれたんだと思います。治療中の方は、ぜひ一日も早い採卵をおすすめしたいです」 from ドクター 治療を振り返って(三軒茶屋ウィメンズクリニック 保坂 猛 先生) 「白雪さんの強い信念に応えたい」 励まし、励まされた不妊治療 もともと決して早いとはいえない不妊治療のスタートだった白雪さん。なかなか妊娠に至らなかったのは、やはり年齢による卵質不良、そしてだんだん大きくなった子宮筋腫にありました。以前は全摘が普通とされていた子宮筋腫の手術ですが、今では不妊治療に向けてトライできるように子宮を残すことがスタンダードとなっています。白雪さんの場合、当時45 歳という年齢だったこと、そこで生じるタイムロスを考えると相当手術を迷いましたが、彼女の諦めない姿勢に、より良い方向を目指して手術を勧めました。それが最良の結果になり、白雪さんにとって価値ある治療であったことを嬉しく思っています。当クリニックではさまざまな年齢、体のトラブルを抱えて不妊治療に臨む方が数多くいらっしゃいますが、患者さんの「赤ちゃんが欲しい」という希望がついえない限り、何とか治療をサポートしていきたい、そう考えています。 他のユーザーストーリーも読む ■ あわせて読みたい ■ 子宮頸がんの疑い、男性更年期障害、家族の介護と別れ…数々の壁を乗り越え授かった待望の命 卵巣手術から体外受精へ。夫婦で乗り越えた不妊治療 信頼できる医師や仲間たちに支えられて これが最後と決めた挑戦は、“卵子提供”という選択肢でした。 メディカルパーク湘南 女性のための健康生活マガジン JINEKO 専門家に相談してみる
2016.12.15
コラム 不妊治療
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PCOS、片側卵管閉塞を乗り越えて
PCOS、片側卵管閉塞を乗り越えてがん闘病中の父に見せたかった赤ちゃん。 できることは何でも積極的にトライして無事に授かることができました。 思春期の頃から重い排卵障害、多嚢胞性卵巣症候群を抱えながら、不妊治療を続けた優佳さん(34歳)。 病と闘う父に早く孫を見せたい一心で前向きに治療に向き合い、今春、元気な男の子を授かりました。 「不妊になるかも……」という不安が現実に 実は、「自分は不妊になるんじゃないかな」という不安は若い時から何となく感じていました。思春期の頃からずっと生理が不順で、高校生の時は半年に1回しか生理がこない状態。さすがにおかしいなと思って婦人科を受診したら、先生から「あなたは女性ホルモンが極端に少ない」といわれたんです。ホルモン注射で生理を起こして1~2カ月に1回くらいのペースで生理がくるようになったのですが、その頃はまだ学生だったので、不安はありながらもすごく深刻なこととはとらえていませんでした。 社会人になってからも相変わらず生理は不順ぎみで、毎月ちゃんとくることはなかったのですが、病院に通うことなく、何年か経って30歳の時に結婚しました。子づくりについてはまだそれほどあせらなくていいかなという年齢だったのですが、その頃、父が進行性のがんを患っていたので、すぐに子どもをつくって元気なうちに孫を見せたいと思うようになったんです。 主人も同じ考えをもってくれて、頑張ろうと思っていた矢先、生理の出血が止まらなくなってしまって……。その時、10代の頃から頭の中にあった“不妊になるかも”という不安が一気に大きくなりました。 近所の産婦人科を受診したら、生理はあるのにまったく排卵していないことが判明。排卵障害ということで、排卵誘発剤を服用しながらタイミング療法で不妊治療を開始しました。4~5カ月続けても成果はなく、より詳しい原因を知ろうと、別の病院で不妊に関する検査を受けることに。そこで出た結果は、PCOS(多嚢胞性卵巣症候群)だったということ。さらに卵管が片方閉塞しているのもわかりました。 治療法が合わずに転院を決意 自分でもいろいろ調べて、私のようなケースではこのまま人工授精に進んでも妊娠する確率は低いと思い、人工授精を飛ばして次は体外受精に踏み切ろうと決断しました。 不妊への不安は確実なものとなり、治療は長引くと覚悟していたので、本格的に治療をするならちゃんとした施設で受けようと考え、いろいろ調べた結果、有名な不妊治療専門クリニックを選んで予約しました。 1回目は排卵誘発剤のクロミッドⓇを飲んで自然周期で採卵。1個卵子が採れて移植しましたが、結果は出ませんでした。その頃、父の病状が悪くなって亡くなるという悲しい出来事もあり、治療をしばらく中断。父に孫の顔を見せるという目的がなくなり落ち込んでいたのですが、年齢はもう32歳に近づいていたので、何とか気持ちを切り替えて、2カ月後に2回目の採卵をして1個できた凍結胚盤胞を移植しましたが、これもダメ。その翌月、すぐに3回目の採卵に挑戦したのですが、採れた卵子は胚盤胞にすらなりませんでした。 3回の採卵、2回の移植を終えた後、このままでいいのかなと疑問に思って夫婦で話し合ったら、主人も「自然周期で採卵する今の方法は合わないのかもしれない。別の方法で治療してくれる病院を探してみよう」という考えでした。 1回の採卵で胚盤胞になり、妊娠、そして出産へ 地元の大学病院へ転院を決めましたが、これまでの治療による体への負担や父の死など、いろいろなことに疲れ果てていたので、心身を癒やすためにも転院前から不妊専門の鍼治療もスタート。その鍼灸院に置いてあった『ジネコ』を目にして、そこで初めて“グリスリン”というサプリメントの存在を知りました。院長先生からも「グリスリンというサプリは、あなたのようなPCOSの人にいい効果をもたらすこともあるようですよ」とすすめられて……。 薬ではないので確実に効果が出るとは限らないと思いますが、その頃私は、鍼治療もそうですが、“自分にできることは何でもやってみよう。たとえ赤ちゃんができなくても、そのほうが絶対に後悔しない”と思っていたんです。だからサプリメントでも積極的に試してみようと考えて、すぐに取り寄せて飲み始めました。 体調が整ってから大学病院での治療が始まりましたが、そこでの治療は高い刺激でたくさん卵子を採るという方針です。飲み薬に注射もプラスして採れた卵子の数は20個。そのうち胚盤胞になったのが6個と、確率は決していいとはいえませんが、1個だけまずまずグレードの良い胚盤胞があり、移植をしたら無事妊娠、出産まで至ることができました。妊娠中に一度出血をして、安静期間もありましたが、今年の春、元気な男の子が生まれて、今はすくすく育ってくれています。 前向きな気持ちと周りの協力と理解が大切! 最初の施設では採卵できても妊娠につながることはなく、後半は胚盤胞にすらならなかったのに、次の病院では1回の採卵でちゃんと胚盤胞になって妊娠することもできました。グリスリンは2~3カ月間飲んで、特に体調の変化は感じませんでしたが、結果をみるとやはり卵子の質に何らかの良い影響を与えてくれたのではないかと思っています。もちろんそれだけではなく、鍼や不妊治療のやり方を変えたのも良かったかもしれません。亡くなった父も天国から応援してくれていたのでしょう。 若い頃から生理不順や排卵障害があり、何となく「将来自分は不妊になるのでは」と思っていましたが、それが現実になってしまいました。父の病気がなかったら、不妊治療がもっと遅れて、もしかしたら子どもを授かれなかったかもしれません。 治療中はつらいことや落ち込むこともありましたが、「もうダメ」ではなく、「まだ何かできることがあるかも」と、治療プラスアルファのところを自分で積極的に探していったのがいい結果に結びついていったと思います。前向きな気持ちで進めたのは、夫の理解と協力のおかげです。今は、亡くなった父、主人、違う方向からのアプローチをすすめてくれた鍼灸の先生など、多くの人に感謝しています。 出典:女性のための健康生活マガジン jineko vol.31 2016 Winter≫ こちらからマガジンの記事がすべてご覧いただけます! 他のユーザーストーリーも読む PCOS、片側卵管閉塞を乗り越えてがん闘病中の父に見せたかった赤ちゃん。 できることは何でも積極的にトライして無事に授かることができました。 思春期の頃から重い排卵障害、多嚢胞性卵巣症候群を抱えながら、不妊治療を続けた優佳さん(34歳)。 病と闘う父に早く孫を見せたい一心で前向きに治療に向き合い、今春、元気な男の子を授かりました。 「不妊になるかも……」という不安が現実に 実は、「自分は不妊になるんじゃないかな」という不安は若い時から何となく感じていました。思春期の頃からずっと生理が不順で、高校生の時は半年に1回しか生理がこない状態。さすがにおかしいなと思って婦人科を受診したら、先生から「あなたは女性ホルモンが極端に少ない」といわれたんです。ホルモン注射で生理を起こして1~2カ月に1回くらいのペースで生理がくるようになったのですが、その頃はまだ学生だったので、不安はありながらもすごく深刻なこととはとらえていませんでした。 社会人になってからも相変わらず生理は不順ぎみで、毎月ちゃんとくることはなかったのですが、病院に通うことなく、何年か経って30歳の時に結婚しました。子づくりについてはまだそれほどあせらなくていいかなという年齢だったのですが、その頃、父が進行性のがんを患っていたので、すぐに子どもをつくって元気なうちに孫を見せたいと思うようになったんです。 主人も同じ考えをもってくれて、頑張ろうと思っていた矢先、生理の出血が止まらなくなってしまって……。その時、10代の頃から頭の中にあった“不妊になるかも”という不安が一気に大きくなりました。 近所の産婦人科を受診したら、生理はあるのにまったく排卵していないことが判明。排卵障害ということで、排卵誘発剤を服用しながらタイミング療法で不妊治療を開始しました。4~5カ月続けても成果はなく、より詳しい原因を知ろうと、別の病院で不妊に関する検査を受けることに。そこで出た結果は、PCOS(多嚢胞性卵巣症候群)だったということ。さらに卵管が片方閉塞しているのもわかりました。 治療法が合わずに転院を決意 自分でもいろいろ調べて、私のようなケースではこのまま人工授精に進んでも妊娠する確率は低いと思い、人工授精を飛ばして次は体外受精に踏み切ろうと決断しました。 不妊への不安は確実なものとなり、治療は長引くと覚悟していたので、本格的に治療をするならちゃんとした施設で受けようと考え、いろいろ調べた結果、有名な不妊治療専門クリニックを選んで予約しました。 1回目は排卵誘発剤のクロミッドⓇを飲んで自然周期で採卵。1個卵子が採れて移植しましたが、結果は出ませんでした。その頃、父の病状が悪くなって亡くなるという悲しい出来事もあり、治療をしばらく中断。父に孫の顔を見せるという目的がなくなり落ち込んでいたのですが、年齢はもう32歳に近づいていたので、何とか気持ちを切り替えて、2カ月後に2回目の採卵をして1個できた凍結胚盤胞を移植しましたが、これもダメ。その翌月、すぐに3回目の採卵に挑戦したのですが、採れた卵子は胚盤胞にすらなりませんでした。 3回の採卵、2回の移植を終えた後、このままでいいのかなと疑問に思って夫婦で話し合ったら、主人も「自然周期で採卵する今の方法は合わないのかもしれない。別の方法で治療してくれる病院を探してみよう」という考えでした。 1回の採卵で胚盤胞になり、妊娠、そして出産へ 地元の大学病院へ転院を決めましたが、これまでの治療による体への負担や父の死など、いろいろなことに疲れ果てていたので、心身を癒やすためにも転院前から不妊専門の鍼治療もスタート。その鍼灸院に置いてあった『ジネコ』を目にして、そこで初めて“グリスリン”というサプリメントの存在を知りました。院長先生からも「グリスリンというサプリは、あなたのようなPCOSの人にいい効果をもたらすこともあるようですよ」とすすめられて……。 薬ではないので確実に効果が出るとは限らないと思いますが、その頃私は、鍼治療もそうですが、“自分にできることは何でもやってみよう。たとえ赤ちゃんができなくても、そのほうが絶対に後悔しない”と思っていたんです。だからサプリメントでも積極的に試してみようと考えて、すぐに取り寄せて飲み始めました。 体調が整ってから大学病院での治療が始まりましたが、そこでの治療は高い刺激でたくさん卵子を採るという方針です。飲み薬に注射もプラスして採れた卵子の数は20個。そのうち胚盤胞になったのが6個と、確率は決していいとはいえませんが、1個だけまずまずグレードの良い胚盤胞があり、移植をしたら無事妊娠、出産まで至ることができました。妊娠中に一度出血をして、安静期間もありましたが、今年の春、元気な男の子が生まれて、今はすくすく育ってくれています。 前向きな気持ちと周りの協力と理解が大切! 最初の施設では採卵できても妊娠につながることはなく、後半は胚盤胞にすらならなかったのに、次の病院では1回の採卵でちゃんと胚盤胞になって妊娠することもできました。グリスリンは2~3カ月間飲んで、特に体調の変化は感じませんでしたが、結果をみるとやはり卵子の質に何らかの良い影響を与えてくれたのではないかと思っています。もちろんそれだけではなく、鍼や不妊治療のやり方を変えたのも良かったかもしれません。亡くなった父も天国から応援してくれていたのでしょう。 若い頃から生理不順や排卵障害があり、何となく「将来自分は不妊になるのでは」と思っていましたが、それが現実になってしまいました。父の病気がなかったら、不妊治療がもっと遅れて、もしかしたら子どもを授かれなかったかもしれません。 治療中はつらいことや落ち込むこともありましたが、「もうダメ」ではなく、「まだ何かできることがあるかも」と、治療プラスアルファのところを自分で積極的に探していったのがいい結果に結びついていったと思います。前向きな気持ちで進めたのは、夫の理解と協力のおかげです。今は、亡くなった父、主人、違う方向からのアプローチをすすめてくれた鍼灸の先生など、多くの人に感謝しています。 出典:女性のための健康生活マガジン jineko vol.31 2016 Winter≫ こちらからマガジンの記事がすべてご覧いただけます! 他のユーザーストーリーも読む 【人気コラム】ユーザーストーリー~あなたに伝えたいメッセージ~ 【人気コラム】田村秀子先生の心の玉手箱 【役立つ】不妊についてもっと知ろう!不妊とは? 【おすすめ】フリーマガジン「ジネコ」各号記事一覧
2016.12.15
コラム 不妊治療
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仕事も好き。子どもも欲しい。それって欲ばり !?
仕事も好き。子どもも欲しい。それって欲ばり!? 妻、母親、キャリアウーマンできるなら、すべてを上手にこなしたい。だから、会社に“現状”を知ってほしかった。 キャリアウーマンとして、忙しく働きながらの不妊治療。 二人目なんて「もっと大変」とわかっているけれど、でも、凍結保存した胚も、大切な“命の種”だから。「産みたい」。その気持ちが、会社を動かしました。 凍結胚も“我が子”大変でも、産みたい! 「できるなら、もう一人産みたい!」と決意され、保存していた凍結胚を移植したばかりのシゲリカさん(45歳)。現在は育児休暇中ですが、実は金融会社にお勤めのキャリアウーマンです。2歳になる息子さんは、仕事をこなしながらの不妊治療で授かり、今回は子育てをしながらの不妊治療。二人目のお子さんを授かっても、仕事は辞めずに続けたいと思っています。 しかし、現実的には会社は実績重視の男社会。「当時は、不妊治療のための通院時間を確保することすら困難を極めました」と、シゲリカさんは振り返ります。不妊治療や子育てをしながらでも、女性がキャリアを積み重ね、働き続けるためにはどうするべきか。シゲリカさんならずとも、仕事をもつ女性にとっては大きな課題といえそうです。 仕事のキャリアも妊活も、どちらも大切だけれど…… シゲリカさんは、知人の紹介で6歳年上のご主人と出会い、2011年3月に39歳でご結婚。一緒に過ごす時間が心地好く、お付き合いを始めた時からお互いにすでに結婚を意識していたので、「“子どもはすぐに欲しい。仕事も続けたい。両立したいので子育てには協力してもらわないと”と、率直に申し出ました。今思うと、ちょっと高飛車でしたかね」と笑うシゲリカさんですが、年齢を考えれば当然。理解あるご主人は快諾され、新婚生活とともに妊活がスタートします。 病院には通わず、自己流でタイミング法を試すと、なんとご結婚された月にすぐ妊娠。ところが喜びもつかの間、流産という残念な結果に。「天国から地獄へ突き落された気分でした。39歳の現実を思い知らされ、“簡単には授からないかもしれない”と思い、勉強も兼ねて近所の婦人科に通うことにしました」 しかし、当時は妻でありながらも、多忙を極めるキャリアウーマンでもありました。「“その日は出張なので来られません。その日は重要な会議があるので無理”と、通院すらままなりませんでした。 すると、担当医は“あなたは今、何をしにここに来ているの? 仕事も大切だろうけれど、優先順位をちゃんとつけないと後悔することにもなりかねませんよ”と、優しい口調ではありましたがズバリと言われ、ドキリとしたことを今でもよく覚えています」と、シゲリカさん。この日から、心を入れ替えたとも。 まずは、声を上げること。環境を変える勇気が必要! それからしばらくしても妊娠の兆候はなく、担当医に不妊専門クリニックを紹介されます。それが、とくおかレディースクリニックでした。「転院をすすめられ、“婦人科ではもうどうしようもない、高度な生殖医療が私には必要なのだ”と瞬時に思いました。転院先は人気の不妊専門クリニックですから、予約も取りづらく、これまでのような生半可な気持ちで通院するわけにはいかないとも思い、仕事との両立をどうするべきかを必死で考えました」とシゲリカさんは振り返ります。 仕事は辞めたくない、でも赤ちゃんを産むなら年齢的に今しかない。そのジレンマの中で悩んだ末に、シゲリカさんは思い切った行動に出ます。不妊治療の詳しい内容、通院スケジュールなどを細かくまとめて書類として提出し、出張や残業のない部署への移動を願い出たのです。 「直属の上司だけでなく、さらに上にも掛け合っていただく必要がありました。そのため、書類にしました」とシゲリカさん。育児休暇などの福利はしっかりした会社ですが、不妊治療のための優遇措置は前例がなく、会社に大きな一石を投じる結果となりました。 女性社員でも、有能なら会社側は手放さない! 会社側も、すぐには決断できませんでした。一度不妊治療のための優遇措置を認めてしまうと、後に続く女性社員がいるのも明らかで、部署の移動を希望する女性が増える懸念もあったのでしょう。 しかし、最終的には、会社側はシゲリカさんの要望をのみ、出張や残業がなく、比較的時間の融通の利く部署への移動を認めました。シゲリカさんが嘆願した時から、約半年後のことでした。 会社側の上層部で、どんな議論がされたのかはわかりませんが、“有能な女性社員を不妊治療などで失うのは、社の損出にもつながる”と、英断したのではないでしょうか。会社の方針を揺るがすのは、容易なことではありません。しかし、思い切って一石を投じなければ何も変わらなかったでしょう。シゲリカさんの勇気ある行動は、働きながら不妊治療をする女性にとって大きな励みとなりそうです。 高齢、多忙…という事実それでも母になりたい しかし、通院しやすい部署に移ってからも、不妊治療は思うようにはいきませんでした。とくおかレディースクリニックに転院されてからはすぐにARTを希望し、採卵は5回。その間、子宮外妊娠があり、腹腔鏡下で左卵管の切除手術もご経験されました。 それでも諦めずに治療を続け、転院から約2年後に妊娠。その後も、切迫流産の危険もあって4カ月も入院されるなどの局面を乗り越え、42歳で男の子を出産されました。 「クリニックの勉強会に夫婦で出席し、年齢や時間的なことを考慮したうえで最初からARTを希望しました。勉強会にも一緒に行き、あらゆる面で支えてくれた主人、理解してくれた会社にも感謝しています」と、シゲリカさん。 働きながらの治療・妊娠・子育て。つらく困難な体験も多くありましたが、それでも、第二子を望む理由は? 「夫も一人っ子ですし、もういいかなとは思いますが、まだ凍結胚が残っているので」 ご主人も、「胚凍結保存を更新し続けていたので、いずれは“第二子を”と言い出すとわかっていました。妻はすべてにベストを尽くす人。そこにも惚れたので、私は協力するのみ」と満面の笑顔──。 はい、ごちそうさまです! 出典:女性のための健康生活マガジン jineko vol.31 2016 Winter≫ こちらからマガジンの記事がすべてご覧いただけます! 他のユーザーストーリーも読む 仕事も好き。子どもも欲しい。それって欲ばり!? 妻、母親、キャリアウーマンできるなら、すべてを上手にこなしたい。だから、会社に“現状”を知ってほしかった。 キャリアウーマンとして、忙しく働きながらの不妊治療。 二人目なんて「もっと大変」とわかっているけれど、でも、凍結保存した胚も、大切な“命の種”だから。「産みたい」。その気持ちが、会社を動かしました。 凍結胚も“我が子”大変でも、産みたい! 「できるなら、もう一人産みたい!」と決意され、保存していた凍結胚を移植したばかりのシゲリカさん(45歳)。現在は育児休暇中ですが、実は金融会社にお勤めのキャリアウーマンです。2歳になる息子さんは、仕事をこなしながらの不妊治療で授かり、今回は子育てをしながらの不妊治療。二人目のお子さんを授かっても、仕事は辞めずに続けたいと思っています。 しかし、現実的には会社は実績重視の男社会。「当時は、不妊治療のための通院時間を確保することすら困難を極めました」と、シゲリカさんは振り返ります。不妊治療や子育てをしながらでも、女性がキャリアを積み重ね、働き続けるためにはどうするべきか。シゲリカさんならずとも、仕事をもつ女性にとっては大きな課題といえそうです。 仕事のキャリアも妊活も、どちらも大切だけれど…… シゲリカさんは、知人の紹介で6歳年上のご主人と出会い、2011年3月に39歳でご結婚。一緒に過ごす時間が心地好く、お付き合いを始めた時からお互いにすでに結婚を意識していたので、「“子どもはすぐに欲しい。仕事も続けたい。両立したいので子育てには協力してもらわないと”と、率直に申し出ました。今思うと、ちょっと高飛車でしたかね」と笑うシゲリカさんですが、年齢を考えれば当然。理解あるご主人は快諾され、新婚生活とともに妊活がスタートします。 病院には通わず、自己流でタイミング法を試すと、なんとご結婚された月にすぐ妊娠。ところが喜びもつかの間、流産という残念な結果に。「天国から地獄へ突き落された気分でした。39歳の現実を思い知らされ、“簡単には授からないかもしれない”と思い、勉強も兼ねて近所の婦人科に通うことにしました」 しかし、当時は妻でありながらも、多忙を極めるキャリアウーマンでもありました。「“その日は出張なので来られません。その日は重要な会議があるので無理”と、通院すらままなりませんでした。 すると、担当医は“あなたは今、何をしにここに来ているの? 仕事も大切だろうけれど、優先順位をちゃんとつけないと後悔することにもなりかねませんよ”と、優しい口調ではありましたがズバリと言われ、ドキリとしたことを今でもよく覚えています」と、シゲリカさん。この日から、心を入れ替えたとも。 まずは、声を上げること。環境を変える勇気が必要! それからしばらくしても妊娠の兆候はなく、担当医に不妊専門クリニックを紹介されます。それが、とくおかレディースクリニックでした。「転院をすすめられ、“婦人科ではもうどうしようもない、高度な生殖医療が私には必要なのだ”と瞬時に思いました。転院先は人気の不妊専門クリニックですから、予約も取りづらく、これまでのような生半可な気持ちで通院するわけにはいかないとも思い、仕事との両立をどうするべきかを必死で考えました」とシゲリカさんは振り返ります。 仕事は辞めたくない、でも赤ちゃんを産むなら年齢的に今しかない。そのジレンマの中で悩んだ末に、シゲリカさんは思い切った行動に出ます。不妊治療の詳しい内容、通院スケジュールなどを細かくまとめて書類として提出し、出張や残業のない部署への移動を願い出たのです。 「直属の上司だけでなく、さらに上にも掛け合っていただく必要がありました。そのため、書類にしました」とシゲリカさん。育児休暇などの福利はしっかりした会社ですが、不妊治療のための優遇措置は前例がなく、会社に大きな一石を投じる結果となりました。 女性社員でも、有能なら会社側は手放さない! 会社側も、すぐには決断できませんでした。一度不妊治療のための優遇措置を認めてしまうと、後に続く女性社員がいるのも明らかで、部署の移動を希望する女性が増える懸念もあったのでしょう。 しかし、最終的には、会社側はシゲリカさんの要望をのみ、出張や残業がなく、比較的時間の融通の利く部署への移動を認めました。シゲリカさんが嘆願した時から、約半年後のことでした。 会社側の上層部で、どんな議論がされたのかはわかりませんが、“有能な女性社員を不妊治療などで失うのは、社の損出にもつながる”と、英断したのではないでしょうか。会社の方針を揺るがすのは、容易なことではありません。しかし、思い切って一石を投じなければ何も変わらなかったでしょう。シゲリカさんの勇気ある行動は、働きながら不妊治療をする女性にとって大きな励みとなりそうです。 高齢、多忙…という事実それでも母になりたい しかし、通院しやすい部署に移ってからも、不妊治療は思うようにはいきませんでした。とくおかレディースクリニックに転院されてからはすぐにARTを希望し、採卵は5回。その間、子宮外妊娠があり、腹腔鏡下で左卵管の切除手術もご経験されました。 それでも諦めずに治療を続け、転院から約2年後に妊娠。その後も、切迫流産の危険もあって4カ月も入院されるなどの局面を乗り越え、42歳で男の子を出産されました。 「クリニックの勉強会に夫婦で出席し、年齢や時間的なことを考慮したうえで最初からARTを希望しました。勉強会にも一緒に行き、あらゆる面で支えてくれた主人、理解してくれた会社にも感謝しています」と、シゲリカさん。 働きながらの治療・妊娠・子育て。つらく困難な体験も多くありましたが、それでも、第二子を望む理由は? 「夫も一人っ子ですし、もういいかなとは思いますが、まだ凍結胚が残っているので」 ご主人も、「胚凍結保存を更新し続けていたので、いずれは“第二子を”と言い出すとわかっていました。妻はすべてにベストを尽くす人。そこにも惚れたので、私は協力するのみ」と満面の笑顔──。 はい、ごちそうさまです! 出典:女性のための健康生活マガジン jineko vol.31 2016 Winter≫ こちらからマガジンの記事がすべてご覧いただけます! 他のユーザーストーリーも読む 【人気コラム】ユーザーストーリー~あなたに伝えたいメッセージ~ 【人気コラム】田村秀子先生の心の玉手箱 【役立つ】不妊についてもっと知ろう!不妊とは? 【おすすめ】フリーマガジン「ジネコ」各号記事一覧
2016.12.15
コラム 不妊治療
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男性不妊を改善する日常生活とは
男性不妊を改善する日常生活とは 前回は晩婚化が男性不妊の原因にもなっていることをお話ししましたが、そのほかにはどのようなことが原因としてあげられるでしょう。 男性不妊の9割が元気な精子をつくりだすことができない「造精機能障害」です。造精機能障害の種類は以下の3つです。 1 無精子症 精巣の中で精子がつくられているにもかかわらず、精子の通り道がふさがれていることから受精が成立しない「閉塞性無精子症」と、精子自体が存在しない「非閉塞性無精子症」があります。 2 乏精子症 精子はつくられていますが、極端に数が少ない状態です。基準を少しだけ下回る程度でしたら、タイミング法が成功するケースもあります。精子がほとんど見当たらない場合は、人工授精や体外受精を行う必要があります。 3 精子無力症 精子の数に問題はないのですが、質が悪く、あまり元気ではない状態です。卵子の元にたどり着くには十分な運動能力がある精子が必要です。 子の元にたどり着くには十分な運動能力がある精子が必要です。 3つの種類のうち、乏精子症や精子無力症はストレスの影響が大きいことがあります。ですから精子の数も体調によってムラがあることも多いのです。このような症状は、鹿角膠・亀板膠などの動物性補腎薬が有効である場合があります。錠剤や丸剤などの製剤もあり手軽に服用することができます。多くの場合2~3か月で効果が出ることが多いようです。 また、日常生活も影響しますので、以下のようなことに気をつけてください。 食事の改善 1日のカロリー摂取を調整します。とくに肥満傾向にある方は炭水化物を控えるようにしましょう。暴飲暴食や逆に食事を抜くことは避けます。ビタミンC、D、E、亜鉛、カルシウムを十分摂るようにします。 下半身を圧迫しない 下着やジーパンなどで下半身を圧迫しないようにします。下半身を締め付けると血液の循環が悪くなります。また、精子の発育を阻害する可能性もあります。 禁煙 たばこは精子の数、運動量ともに減少します。さらには奇形精子の量が増え、受精能力の低下につながります。 そのほか、大量のアルコール摂取、大量のカフェイン摂取はNG。バイクや自転車に長時間乗るのもよくありません。さらに電磁波に気をつけてください。ラップトップのパソコンを膝の上に乗せて作業するなどもってのほかです。 そして、一番大切なのは規則正しい生活習慣です。睡眠は夜12時までに就寝し最低でも6時間半はとるようにしましょう。 株式会社誠心堂薬局代表取締役 西野 裕一先生株式会社誠心堂薬局代表取締役。 薬剤師・鍼灸師。北里大学薬学部卒。東京医療福祉専門学校鍼灸科卒。中国漢方普及協会会長。日本中医学会評議員。漢方・鍼灸をはじめとする中医学の有用性を啓発・普及させる活動に尽力。著書多数。≫ 誠心堂薬局 関連コラム ≫ 晩婚化は女性不妊だけでなく男性不妊の原因にもなる ≫ 三因制宜(さんいんせいぎ)という考え方で適切な治療を選ぶ ≫ 血液を体全体に分布させる「誠心堂式 三焦調整法」で子宮・卵巣の機能回復を ≫ さまざまなことから生じる不妊の原因 ≫ 西洋医学と中医学が結合した不妊治療法 ≫ 月経周期に合わせたそれぞれの漢方薬を服用する ≫ 周期調節法で問われるのは基礎体温のリズムと卵子の質 <外部サイト>店舗で相談してみる→ 誠心堂薬局 http://www.seishin-do.co.jp/rd/ 男性不妊を改善する日常生活とは 前回は晩婚化が男性不妊の原因にもなっていることをお話ししましたが、そのほかにはどのようなことが原因としてあげられるでしょう。 男性不妊の9割が元気な精子をつくりだすことができない「造精機能障害」です。造精機能障害の種類は以下の3つです。 1 無精子症 精巣の中で精子がつくられているにもかかわらず、精子の通り道がふさがれていることから受精が成立しない「閉塞性無精子症」と、精子自体が存在しない「非閉塞性無精子症」があります。 2 乏精子症 精子はつくられていますが、極端に数が少ない状態です。基準を少しだけ下回る程度でしたら、タイミング法が成功するケースもあります。精子がほとんど見当たらない場合は、人工授精や体外受精を行う必要があります。 3 精子無力症 精子の数に問題はないのですが、質が悪く、あまり元気ではない状態です。卵子の元にたどり着くには十分な運動能力がある精子が必要です。 子の元にたどり着くには十分な運動能力がある精子が必要です。 3つの種類のうち、乏精子症や精子無力症はストレスの影響が大きいことがあります。ですから精子の数も体調によってムラがあることも多いのです。このような症状は、鹿角膠・亀板膠などの動物性補腎薬が有効である場合があります。錠剤や丸剤などの製剤もあり手軽に服用することができます。多くの場合2~3か月で効果が出ることが多いようです。 また、日常生活も影響しますので、以下のようなことに気をつけてください。 食事の改善 1日のカロリー摂取を調整します。とくに肥満傾向にある方は炭水化物を控えるようにしましょう。暴飲暴食や逆に食事を抜くことは避けます。ビタミンC、D、E、亜鉛、カルシウムを十分摂るようにします。 下半身を圧迫しない 下着やジーパンなどで下半身を圧迫しないようにします。下半身を締め付けると血液の循環が悪くなります。また、精子の発育を阻害する可能性もあります。 禁煙 たばこは精子の数、運動量ともに減少します。さらには奇形精子の量が増え、受精能力の低下につながります。 そのほか、大量のアルコール摂取、大量のカフェイン摂取はNG。バイクや自転車に長時間乗るのもよくありません。さらに電磁波に気をつけてください。ラップトップのパソコンを膝の上に乗せて作業するなどもってのほかです。 そして、一番大切なのは規則正しい生活習慣です。睡眠は夜12時までに就寝し最低でも6時間半はとるようにしましょう。 株式会社誠心堂薬局代表取締役 西野 裕一先生株式会社誠心堂薬局代表取締役。 薬剤師・鍼灸師。北里大学薬学部卒。東京医療福祉専門学校鍼灸科卒。中国漢方普及協会会長。日本中医学会評議員。漢方・鍼灸をはじめとする中医学の有用性を啓発・普及させる活動に尽力。著書多数。≫ 誠心堂薬局 関連コラム ≫ 晩婚化は女性不妊だけでなく男性不妊の原因にもなる ≫ 三因制宜(さんいんせいぎ)という考え方で適切な治療を選ぶ ≫ 血液を体全体に分布させる「誠心堂式 三焦調整法」で子宮・卵巣の機能回復を ≫ さまざまなことから生じる不妊の原因 ≫ 西洋医学と中医学が結合した不妊治療法 ≫ 月経周期に合わせたそれぞれの漢方薬を服用する ≫ 周期調節法で問われるのは基礎体温のリズムと卵子の質 <外部サイト>店舗で相談してみる→ 誠心堂薬局 http://www.seishin-do.co.jp/rd/
2016.12.14
コラム 不妊治療
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卵子の真実
2016年9月16日に行われたジネコ 妊活セミナーより 「卵の真実」 30歳の人は卵子も30年老化している 今は男女平等の時代ですが、赤ちゃんをつくるということに関しては、男女は平等ではありません。それぞれ役割分担が異なり、お互いの役割を尊重した上で同権でありたいという風に考えます。では、男と女はどこが違うか。一番大きな違いは卵巣と精巣という生殖器の働きや特徴だといえます。これをしっかり理解することで、様々なことがその本質からきちんと見えてくるでしょう。 精巣は精子をつくるところ。では、卵巣はどうでしょうか。卵巣は卵子をつくるところ? それは違います。卵巣では卵子をつくっていません。卵巣は卵子を保存しているだけの場所なんですね。 男性は80歳でも90歳でもずっと精子をつくり続け、射精されている精子、動いている精子はつねにつくり立てということになります。そのような意味で、精子は年をとりません。 しかし、卵子は年をとります。たとえば30歳の人が排卵したとします。その時排卵された卵子は、30年時間が経過した細胞ということに。30年経ってやっと出番が回ってきた細胞なんですね。このように卵子はそのまま古くなるという特徴があります。 精子には人の設計図である染色体の半分を卵子に持ち込み、卵子のスイッチをオンにするという役割があり、これだけしか仕事をしません。あとは全部卵子がやります。卵子、精子になる時に2本あった染色体は1本になりますが、その時、勝手に組み替えを起こしてから1本になります。組み替えが起きた精子の染色体、組み替えの起きた卵子の染色体が受精卵の中で組み合わさって、人の設計図になるんですね。 染色体をもとに受精卵の中ではどんどん人の部品がつくられていきます。受精卵というのは工場の役割があって、最初のうちはよそから材料が来ません。卵の中だけで仕事をしている。ですから、倉庫の役割もあるといえるでしょう。 高齢になると妊娠率が下がり、流産率は上昇 女性が年をとると、工場、そして倉庫でもある卵子が古くなります。そうすると、工場の不良品が増える。学問的にいえば、染色体分離や遺伝子の発現等がうまくいかなくなってくるんですね。その結果、異常な細胞がどんどん増えていって、人の体の構成がうまくいかなくなります。途中でダメになるケースが増えてくる。つまり高齢になると、妊娠率がどんどん低くなり、流産率が跳ね上がってくるという現象が起きてきます。 妊娠率が下がることと流産率が上がるのは同じ現象です。妊娠反応より先にダメになったか、後にダメになったかだけのこと。実はこれはひどい話ではなく、お母さんの体を守る大事なしくみ。だんだん年をとってきて、妊娠・出産・子育てが体の負担になる頃には自然に妊娠しなくてもいいように、体を守っている大事なシステムなんです。 20代が高くて、30代からだんだん低くなり、38歳から43、44歳頃になるともうゼロになる、というのが妊娠率の一般的なパターンになります。逆に、流産率は年齢とともに上がっていきます。40歳を過ぎて妊娠すると半数は流産してしまうんですね。30歳くらいまでに赤ちゃんを産み終えていたら、流産率は20%以下。35歳で赤ちゃんが欲しくて妊娠したら、3回に1回は流産します。40歳だったら2回に1回、43、44歳だったら90%以上流産してしまうことに。体に良くないことをしたからというわけではなく、卵の本質からこのようなことが起きます。何かをすれば防げるというわけではありません。 卵は1日30 ~40個減っていく 卵子は砂時計だとイメージしてください。砂時計の砂が落ちていくように時間が経つごとに、卵子の数はどんどん少なくなっていきます。生まれる前、お母さんのお腹の中にいる時に、1回だけ卵子のもとになる細胞が増えます。その数は500万~700万個。生まれた時にはすでに200万個に減っています。初潮が来た時には30万個程度に減少。生まれた時の200万個を基準に考えるのなら、35歳を迎えた頃には1~2%、2~3万個の卵子しか残っていません。これが卵子減少のしかたです。 卵子は細胞分裂をして増えることができません。原始卵胞は生まれる前が一番多いんですね。男性は1日に1000万個とか1億個とか、精子を毎日つくり続けています。女性は、赤ちゃんをつくることができるチャンスが最初は200万個あったのに、そこから増えず、逆に生殖年齢の頃には10分の1くらいになってしまいます。 卵子は毎月1個ずつなくなっていくのではなく、おおざっぱに計算すると毎月約1000個、1日に30~40個ずつ必ずなくなっていくんですね。生理や排卵の有無に関わらず、減少していきます。 砂時計の上部にある砂、つまり卵巣の中に残っている卵子の目安を卵巣予備能という風に呼んでいます。卵子のスタートは生まれる前。自分の年齢+αの古い細胞で勝負しています。原始卵胞という形で卵巣の中に保存されて、それがちゃんと排卵するまで成熟するのに約半年、あるいはそれ以上かかるといわれています。卵子は生理が始まってから育ってくるのではありません。半年前から育ってきた卵子の最後の1ヵ月の仕上げをしているのが、月経周期ということになります。 卵は原始卵胞からつねに一定の割合で成熟。ですから、ある時を除くと、卵巣の中にはいろいろな成熟段階の卵胞が見えます。 体外受精で卵巣を刺激すると何個か卵子が採れますが、採れた数に比例して妊娠率も高くなります。しかし、卵巣予備能の低い人に同じように注射を打って刺激をしても、採れる卵子の数は少ない。途中で増えるわけではなく、マキシマムの数はもう半年前に決まっているということなんですね。 若い人はたくさん卵があって、そのうち使えるものもたくさんあります。年齢が高くなってくると、卵の数も少ないし、使える卵も少ない。20代だったら体外受精でたくさん卵が採れて、しかもいい卵に出会える確率が高いのですが、30代、40代だとぐっと低くなってきます。女性が一番妊娠しやすいのは22歳くらいといわれています。卵子が老化し、どんどん数が減ってくると、妊よう性(妊娠できる可能性)はみなさんが思っている以上に急激に低くなっていく。どんなに健康に過ごしても、22、23歳を1とするなら、35歳を迎えた頃には半分になっていると考えていただいていいでしょう。 生理があっても、いつの間にか妊娠力ゼロに 生理があるうちは妊娠できると思っている人も多いようですが、閉経する10年前からほとんど妊娠できない状態になります。毎月生理が来ていても知らないうちに妊娠する力はなくなっていきます。卵巣の中に残っている卵子が少なくなっても日常生活で気づくことはできません。なくなる直前でも自分ではわからないんですね。 前述したように、卵子は原始卵胞から成熟卵胞まで半年くらいかかって育っていきます。多くの卵胞が育っていくなか、人間の場合は最終的に1個の成熟卵胞が排卵するようになります。途中で捨てていくのは悪い卵というわけではありません。数を1個にするためだけで、良し悪しに関わらず、残りの卵を捨てていきます。この成熟卵胞が卵胞ホルモン、黄体ホルモン、女性ホルモンをつくり、月経周期をつくりますから、月経は正常に起こってきます。卵巣予備能が悪くなって原始卵胞が極端に少なくなったとしても、半年かかって成熟卵胞へ育つ卵胞があるうちは月経は正常。ですから、生理がおかしくなるなどの症状が出た時には、すでにほとんど妊娠できるような卵がない状態だということです。 赤ちゃんを希望されている方は、このような卵子老化や卵子減少の正しい知識や現実を知って、少しでも妊娠できる可能性が高いうちに妊活や不妊治療を始めていただきたいと思います。 浅田レディースクリニック 浅田 義正先生名古屋大学医学部卒業。1993年、米国初の体外受精専門施設に留学し、主に顕微授精を研究。帰国後、日本初の精巣精子を用いた顕微授精による妊娠例を報告。2004年、浅田レディースクリニック開院。2006年、生殖医療専門医認定。2010年、浅田レディース名古屋駅前クリニック開院。≫ 浅田レディースクリニック ジネコ妊活セミナー 2016年9月16日に行われたジネコ 妊活セミナーより 「卵の真実」 30歳の人は卵子も30年老化している 今は男女平等の時代ですが、赤ちゃんをつくるということに関しては、男女は平等ではありません。それぞれ役割分担が異なり、お互いの役割を尊重した上で同権でありたいという風に考えます。では、男と女はどこが違うか。一番大きな違いは卵巣と精巣という生殖器の働きや特徴だといえます。これをしっかり理解することで、様々なことがその本質からきちんと見えてくるでしょう。 精巣は精子をつくるところ。では、卵巣はどうでしょうか。卵巣は卵子をつくるところ? それは違います。卵巣では卵子をつくっていません。卵巣は卵子を保存しているだけの場所なんですね。 男性は80歳でも90歳でもずっと精子をつくり続け、射精されている精子、動いている精子はつねにつくり立てということになります。そのような意味で、精子は年をとりません。 しかし、卵子は年をとります。たとえば30歳の人が排卵したとします。その時排卵された卵子は、30年時間が経過した細胞ということに。30年経ってやっと出番が回ってきた細胞なんですね。このように卵子はそのまま古くなるという特徴があります。 精子には人の設計図である染色体の半分を卵子に持ち込み、卵子のスイッチをオンにするという役割があり、これだけしか仕事をしません。あとは全部卵子がやります。卵子、精子になる時に2本あった染色体は1本になりますが、その時、勝手に組み替えを起こしてから1本になります。組み替えが起きた精子の染色体、組み替えの起きた卵子の染色体が受精卵の中で組み合わさって、人の設計図になるんですね。 染色体をもとに受精卵の中ではどんどん人の部品がつくられていきます。受精卵というのは工場の役割があって、最初のうちはよそから材料が来ません。卵の中だけで仕事をしている。ですから、倉庫の役割もあるといえるでしょう。 高齢になると妊娠率が下がり、流産率は上昇 女性が年をとると、工場、そして倉庫でもある卵子が古くなります。そうすると、工場の不良品が増える。学問的にいえば、染色体分離や遺伝子の発現等がうまくいかなくなってくるんですね。その結果、異常な細胞がどんどん増えていって、人の体の構成がうまくいかなくなります。途中でダメになるケースが増えてくる。つまり高齢になると、妊娠率がどんどん低くなり、流産率が跳ね上がってくるという現象が起きてきます。 妊娠率が下がることと流産率が上がるのは同じ現象です。妊娠反応より先にダメになったか、後にダメになったかだけのこと。実はこれはひどい話ではなく、お母さんの体を守る大事なしくみ。だんだん年をとってきて、妊娠・出産・子育てが体の負担になる頃には自然に妊娠しなくてもいいように、体を守っている大事なシステムなんです。 20代が高くて、30代からだんだん低くなり、38歳から43、44歳頃になるともうゼロになる、というのが妊娠率の一般的なパターンになります。逆に、流産率は年齢とともに上がっていきます。40歳を過ぎて妊娠すると半数は流産してしまうんですね。30歳くらいまでに赤ちゃんを産み終えていたら、流産率は20%以下。35歳で赤ちゃんが欲しくて妊娠したら、3回に1回は流産します。40歳だったら2回に1回、43、44歳だったら90%以上流産してしまうことに。体に良くないことをしたからというわけではなく、卵の本質からこのようなことが起きます。何かをすれば防げるというわけではありません。 卵は1日30 ~40個減っていく 卵子は砂時計だとイメージしてください。砂時計の砂が落ちていくように時間が経つごとに、卵子の数はどんどん少なくなっていきます。生まれる前、お母さんのお腹の中にいる時に、1回だけ卵子のもとになる細胞が増えます。その数は500万~700万個。生まれた時にはすでに200万個に減っています。初潮が来た時には30万個程度に減少。生まれた時の200万個を基準に考えるのなら、35歳を迎えた頃には1~2%、2~3万個の卵子しか残っていません。これが卵子減少のしかたです。 卵子は細胞分裂をして増えることができません。原始卵胞は生まれる前が一番多いんですね。男性は1日に1000万個とか1億個とか、精子を毎日つくり続けています。女性は、赤ちゃんをつくることができるチャンスが最初は200万個あったのに、そこから増えず、逆に生殖年齢の頃には10分の1くらいになってしまいます。 卵子は毎月1個ずつなくなっていくのではなく、おおざっぱに計算すると毎月約1000個、1日に30~40個ずつ必ずなくなっていくんですね。生理や排卵の有無に関わらず、減少していきます。 砂時計の上部にある砂、つまり卵巣の中に残っている卵子の目安を卵巣予備能という風に呼んでいます。卵子のスタートは生まれる前。自分の年齢+αの古い細胞で勝負しています。原始卵胞という形で卵巣の中に保存されて、それがちゃんと排卵するまで成熟するのに約半年、あるいはそれ以上かかるといわれています。卵子は生理が始まってから育ってくるのではありません。半年前から育ってきた卵子の最後の1ヵ月の仕上げをしているのが、月経周期ということになります。 卵は原始卵胞からつねに一定の割合で成熟。ですから、ある時を除くと、卵巣の中にはいろいろな成熟段階の卵胞が見えます。 体外受精で卵巣を刺激すると何個か卵子が採れますが、採れた数に比例して妊娠率も高くなります。しかし、卵巣予備能の低い人に同じように注射を打って刺激をしても、採れる卵子の数は少ない。途中で増えるわけではなく、マキシマムの数はもう半年前に決まっているということなんですね。 若い人はたくさん卵があって、そのうち使えるものもたくさんあります。年齢が高くなってくると、卵の数も少ないし、使える卵も少ない。20代だったら体外受精でたくさん卵が採れて、しかもいい卵に出会える確率が高いのですが、30代、40代だとぐっと低くなってきます。女性が一番妊娠しやすいのは22歳くらいといわれています。卵子が老化し、どんどん数が減ってくると、妊よう性(妊娠できる可能性)はみなさんが思っている以上に急激に低くなっていく。どんなに健康に過ごしても、22、23歳を1とするなら、35歳を迎えた頃には半分になっていると考えていただいていいでしょう。 生理があっても、いつの間にか妊娠力ゼロに 生理があるうちは妊娠できると思っている人も多いようですが、閉経する10年前からほとんど妊娠できない状態になります。毎月生理が来ていても知らないうちに妊娠する力はなくなっていきます。卵巣の中に残っている卵子が少なくなっても日常生活で気づくことはできません。なくなる直前でも自分ではわからないんですね。 前述したように、卵子は原始卵胞から成熟卵胞まで半年くらいかかって育っていきます。多くの卵胞が育っていくなか、人間の場合は最終的に1個の成熟卵胞が排卵するようになります。途中で捨てていくのは悪い卵というわけではありません。数を1個にするためだけで、良し悪しに関わらず、残りの卵を捨てていきます。この成熟卵胞が卵胞ホルモン、黄体ホルモン、女性ホルモンをつくり、月経周期をつくりますから、月経は正常に起こってきます。卵巣予備能が悪くなって原始卵胞が極端に少なくなったとしても、半年かかって成熟卵胞へ育つ卵胞があるうちは月経は正常。ですから、生理がおかしくなるなどの症状が出た時には、すでにほとんど妊娠できるような卵がない状態だということです。 赤ちゃんを希望されている方は、このような卵子老化や卵子減少の正しい知識や現実を知って、少しでも妊娠できる可能性が高いうちに妊活や不妊治療を始めていただきたいと思います。 浅田レディースクリニック 浅田 義正先生名古屋大学医学部卒業。1993年、米国初の体外受精専門施設に留学し、主に顕微授精を研究。帰国後、日本初の精巣精子を用いた顕微授精による妊娠例を報告。2004年、浅田レディースクリニック開院。2006年、生殖医療専門医認定。2010年、浅田レディース名古屋駅前クリニック開院。≫ 浅田レディースクリニック ジネコ妊活セミナー 【人気コラム】ユーザーストーリー~あなたに伝えたいメッセージ~ 【人気コラム】田村秀子先生の心の玉手箱 【役立つ】不妊についてもっと知ろう!不妊とは? 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2016.12.12
コラム 不妊治療
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基礎体温は体からの重要なメッセージを発信している
基礎体温は体からの重要なメッセージを発信している 最近、病院ではエコーなどの発達から、不妊治療に基礎体温を重視しなくなっているようですが、私が妊活の相談を受けたとき、まずおすすめするのが基礎体温表をつけることです。東洋医学での不妊の診断は、「生理、おりものの状態」「基礎体温」「問診」の3つをみるのです。 そのなかの基礎体温を今回はクローズアップしてみましょう。 なぜ、基礎体温が重要かというと、基礎体温から2つのことを知ることができるからです。まずひとつは、高温期の長さから排卵の状態をみることができる。次に基礎体温の波形からその人の体質をみることができて、漢方薬を選ぶときの参考になるのです。 基礎体温をつければ、妊娠するために必要なホルモンの分泌や卵胞の成熟、排卵日などに気づくことができ、妊娠できる身体づくりの取り組みポイントもわかりやすくなります。どのような漢方薬を服用すればいいのか、日常生活で気をつけることなど、具体的な対策が考えられます。赤ちゃんが授かりにくい理由もわかるようになります。つまり、基礎体温をつけることで、体からの重要なメッセージが解読できるのです。 基礎体温をつけることがストレスになるという方もいますが、最低でも3周期はつけてもらうと診断の参考になることを理解してもらい、協力してもらうようにしています。 通常、生理周期は28日とされ、それよりも短いか長いかで排卵が遅いか早いかも決まります。排卵が早い方は、代謝が高く、熱がこもり、水分が不足している状態です。逆に遅い方は、代謝が悪い、血流が悪い状態です。 このように生理周期の長短によって、服用する漢方薬は違ってきます。より正しい漢方薬を選ぶために基礎体温は欠かせないのです。 また、基礎体温の波形は、年齢、不妊治療(卵巣の刺激)によって変わるので、元々の状態を加味しておくことも大切です。そのためには、目が覚めたらすぐにベッドの中で基礎体温を計ることです。 さらに高温期、低温期がガタガタな方は自律神経が弱っている、ストレスをためている、胸が張るといった症状があることが少なくありません。このような方にはカウンセリングや肝の気の巡りをよくする〝疎肝薬〟などを服用すると、症状が和らぎます。 ※基礎体温のタイプなどさらに詳しいことは当店のホームページをごらんくださいhttp://kanpodou.com/modules/cure/?content_id=20 小島薬局漢方堂 小島 晃先生1990年東京薬科大学。3年間大手製薬会社で東京の大学病院を担当し、西洋医学の医療現場を学ぶ。高度に細分化された西洋医学の治療に疑問を感じ始めているとき、人間全体を見る中医学を知る。 東京・高円寺(現在は中野に移転)にあるイスクラ中医薬研修塾で1年間学び、1994年より小島薬局本店で漢方相談に従事する。 <外部サイト>店舗で相談してみる→ 小島薬局漢方堂 http://kanpodou.com 基礎体温は体からの重要なメッセージを発信している 最近、病院ではエコーなどの発達から、不妊治療に基礎体温を重視しなくなっているようですが、私が妊活の相談を受けたとき、まずおすすめするのが基礎体温表をつけることです。東洋医学での不妊の診断は、「生理、おりものの状態」「基礎体温」「問診」の3つをみるのです。 そのなかの基礎体温を今回はクローズアップしてみましょう。 なぜ、基礎体温が重要かというと、基礎体温から2つのことを知ることができるからです。まずひとつは、高温期の長さから排卵の状態をみることができる。次に基礎体温の波形からその人の体質をみることができて、漢方薬を選ぶときの参考になるのです。 基礎体温をつければ、妊娠するために必要なホルモンの分泌や卵胞の成熟、排卵日などに気づくことができ、妊娠できる身体づくりの取り組みポイントもわかりやすくなります。どのような漢方薬を服用すればいいのか、日常生活で気をつけることなど、具体的な対策が考えられます。赤ちゃんが授かりにくい理由もわかるようになります。つまり、基礎体温をつけることで、体からの重要なメッセージが解読できるのです。 基礎体温をつけることがストレスになるという方もいますが、最低でも3周期はつけてもらうと診断の参考になることを理解してもらい、協力してもらうようにしています。 通常、生理周期は28日とされ、それよりも短いか長いかで排卵が遅いか早いかも決まります。排卵が早い方は、代謝が高く、熱がこもり、水分が不足している状態です。逆に遅い方は、代謝が悪い、血流が悪い状態です。 このように生理周期の長短によって、服用する漢方薬は違ってきます。より正しい漢方薬を選ぶために基礎体温は欠かせないのです。 また、基礎体温の波形は、年齢、不妊治療(卵巣の刺激)によって変わるので、元々の状態を加味しておくことも大切です。そのためには、目が覚めたらすぐにベッドの中で基礎体温を計ることです。 さらに高温期、低温期がガタガタな方は自律神経が弱っている、ストレスをためている、胸が張るといった症状があることが少なくありません。このような方にはカウンセリングや肝の気の巡りをよくする〝疎肝薬〟などを服用すると、症状が和らぎます。 ※基礎体温のタイプなどさらに詳しいことは当店のホームページをごらんくださいhttp://kanpodou.com/modules/cure/?content_id=20 小島薬局漢方堂 小島 晃先生1990年東京薬科大学。3年間大手製薬会社で東京の大学病院を担当し、西洋医学の医療現場を学ぶ。高度に細分化された西洋医学の治療に疑問を感じ始めているとき、人間全体を見る中医学を知る。 東京・高円寺(現在は中野に移転)にあるイスクラ中医薬研修塾で1年間学び、1994年より小島薬局本店で漢方相談に従事する。 <外部サイト>店舗で相談してみる→ 小島薬局漢方堂 http://kanpodou.com
2016.12.12
コラム 不妊治療
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妊娠へ近づくために
2016年10月23日に行われたジネコ 妊活セミナーより 妊娠へ近づくために 2016年10月23日(日)、静岡市内で「ジネコ妊活セミナー」を開催しました。第1部では、小島薬局漢方堂の小島晃先生「体にやさしい妊活漢方」について、第2部では「妊娠へ近づくために」として、俵IVFクリニック院長俵史子先生にお話いただきました。今回は第2部の内容の一部をお届けします。 ホルモン剤を使った治療と目的 不妊治療においては、さまざまな形でホルモン剤を使うことがあります。 まず、タイミング法や体外受精で排卵誘発剤を使う場合。排卵が遅い、排卵しない、黄体機能不全等の場合で改善の可能性があります。自然妊娠を期待するなら、基本的には育てる卵は1個でありたいので、1個排卵させるのを目標にします。 対して、体外受精や顕微授精のような生殖補助医療の場合には、複数の卵を育てる目的で薬を使います。自然の排卵を目指すときは、卵巣にある一次卵胞、二次卵胞の中の1個だけを育て、他は閉鎖卵胞となりますが、数をたくさん育てたいときは、閉鎖する卵胞を有効に使います。 ホルモン剤の種類は、飲み薬や注射などがあり、体外受精の場合は、卵を育てる目的以外に、排卵をコントロールする薬も併用します。ある程度いい時期まで卵を育てたいので、早く排卵してしまうのを調整するんですね。 薬を駆使して卵を育てる方法は、体外受精、顕微授精に限られます。例えばHMG法は、注射の排卵誘発剤を毎日1種類打ちます。調節卵巣刺激法は、排卵を予防したり、逆にさらに刺激するような薬なども併用します。他にアンタゴニスト法、ショート法、ロング法といったものがありますが、これらはいずれも数を育てる方法です。 一方、自然周期、低刺激周期という方法がありますが、完全自然周期はまったく薬を使わず、自然に排卵した卵を、時期を狙って取ります。低刺激周期は、飲み薬の排卵誘発剤に注射を加えたり加えなかったりします。 個人に合わせて適切な選択を 最近日本では自然周期が流行っています。日本産婦人科学会が、体外受精を行う全国の施設のデータを公表していて、これによると、卵を取る治療をスタートし、最終的に出産まで行けた人は2000年の前半ぐらいまでは約15%でしたが、ここ数年下がってきています。新しい技術や精密な治療も進んでいるはずなのに、実際の生産率が落ちているのは、自然周期による治療が増えたのが要因と言われています。1個2個の少ない数で勝負する場合、その卵がよければ少ない負担で結果が出ますが、実際は、ある程度数を取って、その中からいい卵を選んで移植する方が成績が出やすくなります。移植までできたら、妊娠率に差はありません。もちろん、自然周期が合っている人はそれを選ぶべきですが、みなさんがすべてその方法がいいかは分かりません。 目指すのは、必要最低限の刺激で最大の効果を得ること。回数を多くチャレンジするということは、それだけ年を取ることですから、それだけで妊娠の確率は下がりますし、薬を使い続けるデメリットもあります。 では、実際どれがいいか、私の考えとしては、正直答えはないと思うのです。自然な方法にも刺激が強い方法にも、メリットもデメリットもある。また、選択肢をどれだけたくさん持っているかが、医療側としても重要になってきます。ただ言えるのは、その方にあった方法を選択するのが大切だということです。もともとの月経周期や治療歴、今まで使った薬の反応性、年齢や卵の数、そういったことを総合的に評価し、どの方法が合うかをその都度選択し、不妊治療に当たっていただければと思います。 俵IVFクリニック 俵 史子先生浜松医科大学医学部卒業。総合病院勤務医時代より不妊治療に携わり、2004年愛知県の竹内病院トヨタ不妊センター所長に就任。2007年、出身地の静岡に俵IVFクリニックを開業。≫ 俵IVFクリニック ジネコ妊活セミナー 2016年10月23日に行われたジネコ 妊活セミナーより 妊娠へ近づくために 2016年10月23日(日)、静岡市内で「ジネコ妊活セミナー」を開催しました。第1部では、小島薬局漢方堂の小島晃先生「体にやさしい妊活漢方」について、第2部では「妊娠へ近づくために」として、俵IVFクリニック院長俵史子先生にお話いただきました。今回は第2部の内容の一部をお届けします。 ホルモン剤を使った治療と目的 不妊治療においては、さまざまな形でホルモン剤を使うことがあります。 まず、タイミング法や体外受精で排卵誘発剤を使う場合。排卵が遅い、排卵しない、黄体機能不全等の場合で改善の可能性があります。自然妊娠を期待するなら、基本的には育てる卵は1個でありたいので、1個排卵させるのを目標にします。 対して、体外受精や顕微授精のような生殖補助医療の場合には、複数の卵を育てる目的で薬を使います。自然の排卵を目指すときは、卵巣にある一次卵胞、二次卵胞の中の1個だけを育て、他は閉鎖卵胞となりますが、数をたくさん育てたいときは、閉鎖する卵胞を有効に使います。 ホルモン剤の種類は、飲み薬や注射などがあり、体外受精の場合は、卵を育てる目的以外に、排卵をコントロールする薬も併用します。ある程度いい時期まで卵を育てたいので、早く排卵してしまうのを調整するんですね。 薬を駆使して卵を育てる方法は、体外受精、顕微授精に限られます。例えばHMG法は、注射の排卵誘発剤を毎日1種類打ちます。調節卵巣刺激法は、排卵を予防したり、逆にさらに刺激するような薬なども併用します。他にアンタゴニスト法、ショート法、ロング法といったものがありますが、これらはいずれも数を育てる方法です。 一方、自然周期、低刺激周期という方法がありますが、完全自然周期はまったく薬を使わず、自然に排卵した卵を、時期を狙って取ります。低刺激周期は、飲み薬の排卵誘発剤に注射を加えたり加えなかったりします。 個人に合わせて適切な選択を 最近日本では自然周期が流行っています。日本産婦人科学会が、体外受精を行う全国の施設のデータを公表していて、これによると、卵を取る治療をスタートし、最終的に出産まで行けた人は2000年の前半ぐらいまでは約15%でしたが、ここ数年下がってきています。新しい技術や精密な治療も進んでいるはずなのに、実際の生産率が落ちているのは、自然周期による治療が増えたのが要因と言われています。1個2個の少ない数で勝負する場合、その卵がよければ少ない負担で結果が出ますが、実際は、ある程度数を取って、その中からいい卵を選んで移植する方が成績が出やすくなります。移植までできたら、妊娠率に差はありません。もちろん、自然周期が合っている人はそれを選ぶべきですが、みなさんがすべてその方法がいいかは分かりません。 目指すのは、必要最低限の刺激で最大の効果を得ること。回数を多くチャレンジするということは、それだけ年を取ることですから、それだけで妊娠の確率は下がりますし、薬を使い続けるデメリットもあります。 では、実際どれがいいか、私の考えとしては、正直答えはないと思うのです。自然な方法にも刺激が強い方法にも、メリットもデメリットもある。また、選択肢をどれだけたくさん持っているかが、医療側としても重要になってきます。ただ言えるのは、その方にあった方法を選択するのが大切だということです。もともとの月経周期や治療歴、今まで使った薬の反応性、年齢や卵の数、そういったことを総合的に評価し、どの方法が合うかをその都度選択し、不妊治療に当たっていただければと思います。 俵IVFクリニック 俵 史子先生浜松医科大学医学部卒業。総合病院勤務医時代より不妊治療に携わり、2004年愛知県の竹内病院トヨタ不妊センター所長に就任。2007年、出身地の静岡に俵IVFクリニックを開業。≫ 俵IVFクリニック ジネコ妊活セミナー 【人気コラム】ユーザーストーリー~あなたに伝えたいメッセージ~ 【人気コラム】田村秀子先生の心の玉手箱 【役立つ】不妊についてもっと知ろう!不妊とは? 【おすすめ】フリーマガジン「ジネコ」各号記事一覧
2016.12.12
コラム 不妊治療
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体外受精、顕微授精、ダメでした
あきちゃんさん(43歳)1度目、クロミッドと、注射で6個採卵、2個受精 そのうち1つが分割せず 1つを凍結 その間に子宮内膜ポリープ切除手術を受け、凍結胚を戻すも、hcg0.8とうまくいきませんでした 2回目採卵、やはりクロミッド、注射で4個採卵 全て顕微授精するも、受精卵は1個しかできず その1個も途中で成長が止まってしまいました 受精率か低く、途中で成長が止まってしまうのはやはり卵子の質でしょうか もうどうすればいいのか、わかりません 石川 弘伸 先生 (醍醐渡辺クリニック) 院長プロフィール 私たちは、子供が授からず悩んでおられる方々にそれぞれのご夫婦に一番適した治療を考え、なるべく早く夢がかなうよう、できる限りの努力をしていきます。不妊で悩まれこれから治療をお考えの方、また何度かトライしてみたけれどまだ赤ちゃんが授からない方、ぜひ一度ご相談ください。 思いきって早く行動をおこされるのも、念願の赤ちゃんを早く授かる1つのファクターであると考えます ≫ 醍醐渡辺クリニック くわしいデータがわからないのですが、現在43歳と年齢が高いことから、残念ながら厳しい状況といわざるをえません。しかし、クロミッド+注射で6個採卵、2個受精されています。年齢的に極端に悪くはありませんし、卵巣機能はまだ残っているはずです。 基本的に年齢が高い方は低刺激法を選択することが多いのですが、この方は強めの刺激法でも卵子がしっかり採れる可能性があります。1〜2カ月間しっかり卵巣を休めて、卵巣調節刺激法で卵子をたくさん育ててみることを検討されてはいかがでしょうか。また、低刺激法についてもクロミッドしか試されていないようですので、クロミッドと同様の作用を持つ、アロマターゼ阻害剤(フェマーラ、レトロゾール)に変えてみるのもいいかもしれません。 排卵誘発法はあまり変えないほうが良いという意見もありますが、一方でさまざまな排卵誘発法の中から試行錯誤をして正解を探し出すという考え方もあります。この方は卵巣の反応が良いので強い刺激でも卵子がたくさん採れると思います。当院であれば、ホルモンの状況を見ながら、まずは卵巣調節刺激法を試したいですね。
2016.12.9
専門医Q&A 女性の健康
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晩婚化は女性不妊だけでなく男性不妊の原因にもなる
晩婚化は女性不妊だけでなく男性不妊の原因にもなる 少子高齢化、晩婚化など、さまざまな理由から不妊症が増加していますが、不妊原因は女性だけでなく男性にもあります。その男性不妊が多くなっているのが現状です。 2010年WHOの発表では、男性に不妊原因がある割合は全体の24%で、男女ともに原因がある24%を加えると、約半数が男性に不妊原因があるケースということになります。さらにWHOの国際調査によると、1998年から2011年の間で、男性の精子の数と運動率は全体で20%も下がっているといいます。これは潜在的な「男性不妊症」がいかに多いかを現していると言ってもいいでしょう。 晩婚化が進み、女性の妊娠年齢が上がると加齢の影響で卵子の質が悪くなり、それが不妊症の要因と言われていますが、実は男性も女性と同じように、加齢によって精子の質が悪くなるのです。 中医学では「女性は7の倍数、男性は8の倍数」で体が変化し、女性は21歳から28歳、男性は24歳から32歳がもっとも生殖機能が強いと言われています。 実際、日本生殖医学会によると、30歳代の精子と 50歳代の精子を比較したところ、精液量は3~22%、精子運動率は3~37%、精子正常形態率は4~18%低下すると報告されています。 また、男性が35歳を過ぎると、生殖補助医療による出産率が低下する、男性の加齢の影響で自然流産の確率が上昇するという報告もあります。さらに、自然流産に与える影響では、男性の 40歳以上が女性の30歳以上に相当するという報告もあります。 男性不妊の増加は加齢による精子の質の悪化だけでなく、生活環境によるものも少なくありません。 精巣は卵巣と同じように血管から栄養分が補給されています。しかし精巣動脈は直径1ミリほどのとても細いものなんです。ですからちょっとしたことで血流が悪くなりやすい、つまり精巣に影響が出やすいのです。 長時間座ったままのデスクワーク、PCなどから出ている電磁波、ストレス、喫煙による活性酸素などから、血流が偏ったり、悪くなっている男性が増えています。そのために精巣に血液が滞り、結果として精子の質が悪くなっている男性が多いと考えられます。これが原因で若い男性でも精子の数や運動率が下がっていることがあるのです。 次回も引き続き男性不妊が増えている理由についてお話しします。 株式会社誠心堂薬局代表取締役 西野 裕一先生株式会社誠心堂薬局代表取締役。 薬剤師・鍼灸師。北里大学薬学部卒。東京医療福祉専門学校鍼灸科卒。中国漢方普及協会会長。日本中医学会評議員。漢方・鍼灸をはじめとする中医学の有用性を啓発・普及させる活動に尽力。著書多数。≫ 誠心堂薬局 関連コラム ≫ 三因制宜(さんいんせいぎ)という考え方で適切な治療を選ぶ ≫ 血液を体全体に分布させる「誠心堂式 三焦調整法」で子宮・卵巣の機能回復を ≫ さまざまなことから生じる不妊の原因 ≫ 西洋医学と中医学が結合した不妊治療法 ≫ 月経周期に合わせたそれぞれの漢方薬を服用する ≫ 周期調節法で問われるのは基礎体温のリズムと卵子の質 ≫ 数字が表す中医学の不妊治療の効果 <外部サイト>店舗で相談してみる→ 誠心堂薬局 http://www.seishin-do.co.jp/rd/ 晩婚化は女性不妊だけでなく男性不妊の原因にもなる 少子高齢化、晩婚化など、さまざまな理由から不妊症が増加していますが、不妊原因は女性だけでなく男性にもあります。その男性不妊が多くなっているのが現状です。 2010年WHOの発表では、男性に不妊原因がある割合は全体の24%で、男女ともに原因がある24%を加えると、約半数が男性に不妊原因があるケースということになります。さらにWHOの国際調査によると、1998年から2011年の間で、男性の精子の数と運動率は全体で20%も下がっているといいます。これは潜在的な「男性不妊症」がいかに多いかを現していると言ってもいいでしょう。 晩婚化が進み、女性の妊娠年齢が上がると加齢の影響で卵子の質が悪くなり、それが不妊症の要因と言われていますが、実は男性も女性と同じように、加齢によって精子の質が悪くなるのです。 中医学では「女性は7の倍数、男性は8の倍数」で体が変化し、女性は21歳から28歳、男性は24歳から32歳がもっとも生殖機能が強いと言われています。 実際、日本生殖医学会によると、30歳代の精子と 50歳代の精子を比較したところ、精液量は3~22%、精子運動率は3~37%、精子正常形態率は4~18%低下すると報告されています。 また、男性が35歳を過ぎると、生殖補助医療による出産率が低下する、男性の加齢の影響で自然流産の確率が上昇するという報告もあります。さらに、自然流産に与える影響では、男性の 40歳以上が女性の30歳以上に相当するという報告もあります。 男性不妊の増加は加齢による精子の質の悪化だけでなく、生活環境によるものも少なくありません。 精巣は卵巣と同じように血管から栄養分が補給されています。しかし精巣動脈は直径1ミリほどのとても細いものなんです。ですからちょっとしたことで血流が悪くなりやすい、つまり精巣に影響が出やすいのです。 長時間座ったままのデスクワーク、PCなどから出ている電磁波、ストレス、喫煙による活性酸素などから、血流が偏ったり、悪くなっている男性が増えています。そのために精巣に血液が滞り、結果として精子の質が悪くなっている男性が多いと考えられます。これが原因で若い男性でも精子の数や運動率が下がっていることがあるのです。 次回も引き続き男性不妊が増えている理由についてお話しします。 株式会社誠心堂薬局代表取締役 西野 裕一先生株式会社誠心堂薬局代表取締役。 薬剤師・鍼灸師。北里大学薬学部卒。東京医療福祉専門学校鍼灸科卒。中国漢方普及協会会長。日本中医学会評議員。漢方・鍼灸をはじめとする中医学の有用性を啓発・普及させる活動に尽力。著書多数。≫ 誠心堂薬局 関連コラム ≫ 三因制宜(さんいんせいぎ)という考え方で適切な治療を選ぶ ≫ 血液を体全体に分布させる「誠心堂式 三焦調整法」で子宮・卵巣の機能回復を ≫ さまざまなことから生じる不妊の原因 ≫ 西洋医学と中医学が結合した不妊治療法 ≫ 月経周期に合わせたそれぞれの漢方薬を服用する ≫ 周期調節法で問われるのは基礎体温のリズムと卵子の質 ≫ 数字が表す中医学の不妊治療の効果 <外部サイト>店舗で相談してみる→ 誠心堂薬局 http://www.seishin-do.co.jp/rd/
2016.12.8
コラム 不妊治療
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コミュニケーション力は乳幼児期の向き合い方で変わる
育児をテレビやスマホに任せてない? コミュニケーション力は乳幼児期の向き合い方で変わる 若い人のコミュニケーション能力が下がってきているといわれています。インターネットの発展や、友達と遊ばず一人でゲームする時間が長いことが原因だという声が多いですが、もっとさかのぼってみると、実はそれは幼少期の経験からつながっているという場合もあります。 生きていくうえでとても大切な、人と対話する力。 37年間保育士として育児に携わってきた中島澄江先生に、コミュニケーション力を高める子どもの育て方をお聞きしました。 中島澄枝先生 プロフィール37年間名古屋市の公立保育園保育士を務める。退職後の現在はNPO法人名古屋コダーイセンターの理事として、子育て支援者向けのセミナーの開催や保育室の運営などを行い、よりよい知育について日々研究・実践している。≫ 子育て広場&カフェ もんもの木 ●テレビやスマホがないと家事ができない!? 私は長い間、育児支援の活動をしていますが、多くのお母さんたちが家事をするために子どもにDVDやスマホなどのデジタルメディアを見せているということに驚いていました。夕方、ごはんの用意をしなければならない時間に子どもはぐずります。「テレビやDVDなしで、どうやってご飯を作るのですか」とお母さんたちは言うのです。 保育士として働いていた時も、近年、人の話が聞けない子、落ち着きがない子が増えてきているのも気がかりでした。幼少期は脳が急速に発達する大事な時期。その時期の子どもの相手をデジタルメディアに任せるのは、実はとても危険なことなのです。 ●言語の習得は生きたコミュニケーションの中で アメリカの若い研究者が面白い実験をしました。英語を母国語とする子どもの2つのクラスに、1つは中国人が週に1回1時間中国語の絵本を読んであげ、もう1つのクラスは同じ内容をDVDに撮って観させました。それを半年間続けたところ、実際に中国人が来て読み聞かせをしたクラスの子は中国語を聞き取れるようになったけれど、DVDで聞かせたほうはそれができなかったのです。 言語というのはコミュニケーションのためのツールであって、情報をもらうためのツールではありません。コミュニケーションするなかで言葉を聞こうとするから、DVDではなく、生身の人間が来て話すほうが聞き取れるようになったわけです。 同じ理由で、ガード下で電車がガーガーと走っている中でも私たちは会話できます。うるさい音の中から聞きたい音を聞き取るからです。しかしそれを録音したものでは話を聞き取ることができません。人間の脳は相手とのコミュニケーションをとろうとするため聞き取る力が伸びるのです。 デジタル映像から流れる一方向の言葉は刺激としては入ってきても、そこから聞き取る力はついていかないのです。 ●お母さんは家事ができて子どもも喜ぶ“おんぶ”スタイル 私はおんぶでの育児を推奨していますが、出発はデジタルメディアから子どもの脳を守りたい、ということでした。おんぶは両手があくため、料理などの家事ができるのはもちろんですが、それ以外にも赤ちゃんにとって、とても大きなメリットがあります。 まず、おんぶは母親の背中の上で自由な行動ができ、さらに自らの意思で母親の身体にしがみつくことができるので自発的な安心を獲得することができます。(抱っこだと強制的な密着になってしまいます。)おんぶしたらすぐに寝てしまう子もいるくらいです。 さらに、おんぶでは高い位置からお母さんの肩越しにいろいろな景色を見ることができます。子どもはお母さんが見ているものを一緒に見て、見たものを理解し、体感して、覚えていきます。これを「共同注視」といい、社会性も育っていきます。また、普段の視界とは違うものが見える楽しい時間で、知的好奇心も刺激されます。 デジタルメディアの世界ではなく、ぜひおんぶで現実の広い世界をたくさん見せてあげてくださいね。 ≫ 積極的におんぶをして赤ちゃんの可能性を広げましょう。 ≫ 歩育に最適♪肩のこらない抱っこひも「POLBAN」 ≫ 世界中で愛される日本製スリング「おしりSUPPORI」 ≫ ラッキーベイビーストア(楽天市場店) 自由ヶ丘店のご案内より多くのパパ・ママに正しい抱っこひもの使い方や、知育につながるおんぶひもをひろげたいという思いでOPENした自由ヶ丘店も、早6ヵ月が過ぎました。連日多くの方にご利用いただきありがとうございます。 ラッキー工業 (日本で一番長い歴史をもつ抱っこひも・おんんぶひもメーカー)ラッキー工業は創業以来82年の間、パパ・ママと赤ちゃんを見つめ続け、時代に必要とされる抱っこひもやおんぶひもを提供してきました。単に赤ちゃんを移動するためだけの道具ではなく、赤ちゃんの成長を育むアイテムとして、実に4000万人以上の方に使ってきていただいた実績があります。 子育て中のパパ・ママ、おじいちゃんおばあちゃん、そしてもちろん主役である赤ちゃん、みんなに幸せになってもらいたいという願いから、保育士をはじめ育児の専門家ととともに、すぐに役立つ子育てコラムを12回シリーズでお届けします。 次回は「あなたが今使っている『抱っこひも』。ちゃんと使えていますか?」です。お楽しみに! ≫ 会社ページ http://www.lucky-baby.co.jp/#≫ 楽天ページ http://www.rakuten.ne.jp/gold/luckybabygoods/自由ヶ丘店OPEN!自由ヶ丘駅から徒歩5分。20種類以上の抱っこひも・おんぶひもの試着、相談ができるメーカー直営専門店。保育士資格保有者やわらべうたの先生など、多岐にわたる専門スタッフがお待ちいたしています。≫ ショップ http://item.rakuten.co.jp/luckybabygoods/c/0000000275/ 育児をテレビやスマホに任せてない? コミュニケーション力は乳幼児期の向き合い方で変わる 若い人のコミュニケーション能力が下がってきているといわれています。インターネットの発展や、友達と遊ばず一人でゲームする時間が長いことが原因だという声が多いですが、もっとさかのぼってみると、実はそれは幼少期の経験からつながっているという場合もあります。 生きていくうえでとても大切な、人と対話する力。 37年間保育士として育児に携わってきた中島澄江先生に、コミュニケーション力を高める子どもの育て方をお聞きしました。 中島澄枝先生 プロフィール37年間名古屋市の公立保育園保育士を務める。退職後の現在はNPO法人名古屋コダーイセンターの理事として、子育て支援者向けのセミナーの開催や保育室の運営などを行い、よりよい知育について日々研究・実践している。≫ 子育て広場&カフェ もんもの木 ●テレビやスマホがないと家事ができない!? 私は長い間、育児支援の活動をしていますが、多くのお母さんたちが家事をするために子どもにDVDやスマホなどのデジタルメディアを見せているということに驚いていました。夕方、ごはんの用意をしなければならない時間に子どもはぐずります。「テレビやDVDなしで、どうやってご飯を作るのですか」とお母さんたちは言うのです。 保育士として働いていた時も、近年、人の話が聞けない子、落ち着きがない子が増えてきているのも気がかりでした。幼少期は脳が急速に発達する大事な時期。その時期の子どもの相手をデジタルメディアに任せるのは、実はとても危険なことなのです。 ●言語の習得は生きたコミュニケーションの中で アメリカの若い研究者が面白い実験をしました。英語を母国語とする子どもの2つのクラスに、1つは中国人が週に1回1時間中国語の絵本を読んであげ、もう1つのクラスは同じ内容をDVDに撮って観させました。それを半年間続けたところ、実際に中国人が来て読み聞かせをしたクラスの子は中国語を聞き取れるようになったけれど、DVDで聞かせたほうはそれができなかったのです。 言語というのはコミュニケーションのためのツールであって、情報をもらうためのツールではありません。コミュニケーションするなかで言葉を聞こうとするから、DVDではなく、生身の人間が来て話すほうが聞き取れるようになったわけです。 同じ理由で、ガード下で電車がガーガーと走っている中でも私たちは会話できます。うるさい音の中から聞きたい音を聞き取るからです。しかしそれを録音したものでは話を聞き取ることができません。人間の脳は相手とのコミュニケーションをとろうとするため聞き取る力が伸びるのです。 デジタル映像から流れる一方向の言葉は刺激としては入ってきても、そこから聞き取る力はついていかないのです。 ●お母さんは家事ができて子どもも喜ぶ“おんぶ”スタイル 私はおんぶでの育児を推奨していますが、出発はデジタルメディアから子どもの脳を守りたい、ということでした。おんぶは両手があくため、料理などの家事ができるのはもちろんですが、それ以外にも赤ちゃんにとって、とても大きなメリットがあります。 まず、おんぶは母親の背中の上で自由な行動ができ、さらに自らの意思で母親の身体にしがみつくことができるので自発的な安心を獲得することができます。(抱っこだと強制的な密着になってしまいます。)おんぶしたらすぐに寝てしまう子もいるくらいです。 さらに、おんぶでは高い位置からお母さんの肩越しにいろいろな景色を見ることができます。子どもはお母さんが見ているものを一緒に見て、見たものを理解し、体感して、覚えていきます。これを「共同注視」といい、社会性も育っていきます。また、普段の視界とは違うものが見える楽しい時間で、知的好奇心も刺激されます。 デジタルメディアの世界ではなく、ぜひおんぶで現実の広い世界をたくさん見せてあげてくださいね。 ≫ 積極的におんぶをして赤ちゃんの可能性を広げましょう。 ≫ 歩育に最適♪肩のこらない抱っこひも「POLBAN」 ≫ 世界中で愛される日本製スリング「おしりSUPPORI」 ≫ ラッキーベイビーストア(楽天市場店) 自由ヶ丘店のご案内より多くのパパ・ママに正しい抱っこひもの使い方や、知育につながるおんぶひもをひろげたいという思いでOPENした自由ヶ丘店も、早6ヵ月が過ぎました。連日多くの方にご利用いただきありがとうございます。 ラッキー工業 (日本で一番長い歴史をもつ抱っこひも・おんんぶひもメーカー)ラッキー工業は創業以来82年の間、パパ・ママと赤ちゃんを見つめ続け、時代に必要とされる抱っこひもやおんぶひもを提供してきました。単に赤ちゃんを移動するためだけの道具ではなく、赤ちゃんの成長を育むアイテムとして、実に4000万人以上の方に使ってきていただいた実績があります。 子育て中のパパ・ママ、おじいちゃんおばあちゃん、そしてもちろん主役である赤ちゃん、みんなに幸せになってもらいたいという願いから、保育士をはじめ育児の専門家ととともに、すぐに役立つ子育てコラムを12回シリーズでお届けします。 次回は「あなたが今使っている『抱っこひも』。ちゃんと使えていますか?」です。お楽しみに! ≫ 会社ページ http://www.lucky-baby.co.jp/#≫ 楽天ページ http://www.rakuten.ne.jp/gold/luckybabygoods/自由ヶ丘店OPEN!自由ヶ丘駅から徒歩5分。20種類以上の抱っこひも・おんぶひもの試着、相談ができるメーカー直営専門店。保育士資格保有者やわらべうたの先生など、多岐にわたる専門スタッフがお待ちいたしています。≫ ショップ http://item.rakuten.co.jp/luckybabygoods/c/0000000275/
2016.12.6
コラム 子育て・教育
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美味しい 妊活クッキング セミナーレポート
妊活に欠かせない成分として今注目されている“ビタミンD”。話題の高ビタミン卵「ビィータGOLD」を使った料理レシピと、妊娠と栄養について学べるセミナーをレポートしてきました。 第1部 妊娠力とビタミンDの関係について 草津レディースクリニック院長 森 敏恵 先生 ビタミンDは今注目されている栄養成分の一つで、血中のカルシウム濃度を上げるだけでなく、大腸がんや乳がん、インフルエンザなどの感染症、糖尿病の予防にも効果があるのではないかといわれています。 また海外では、妊娠力とビタミンDの関連についても興味深い研究が行われており、たとえばPCOS(多嚢胞性卵巣症候群)の女性やAMH(抗ミュラー管ホルモン)の値が低い女性はビタミンD濃度が低いというデータが報告されています。男性においても「ビタミンD濃度が低いと精子をつくり出す能力が弱まる」ということがマウスの研究でわかっています。ほかにも妊娠率や着床率、卵子の質にも関わりがあると考えられているので、ビタミンDを意識した食生活も妊活の大切な要素の一つだといえるでしょう。 第2部 卵で体内のビタミンDをUP! 藤女子大学人間生活学部食物栄養学科教授池田 隆幸 先生 若年女性のエネルギーや栄養等の摂取量は、日本人の食事摂取基準値より低いと報告されています。そこで私たちの研究メンバーは株式会社アキタ研究開発部と共同で研究を行い、ビタミン類を強化した卵「ビィータ」を用いて、食品の摂取で不足しがちな栄養素、特にビタミンDをしっかり補うことができるかどうか、検討してみました。 被験者は女子学生41名。通常卵を4週間→ウォッシュアウト→高ビタミン卵を4週間食べるA群と、高ビタミン卵を4週間→ウォッシュアウト→通常卵を4週間食べるB群に分けて行いましたが、いずれも高ビタミン卵を食べた時期は血中ビタミンD濃度が有意に高くなるという結果に。通常卵では足りないけれど、高ビタミン卵であれば摂りたい目安量をクリアし、しっかり体に吸収されることがわかりました。 第3部 ビタミンDたっぷりの卵レシピを実演! 講演終了後には会場内にあるオープンキッチンで、ビィータGOLDを使った卵レシピを実演。 料理を披露するのは、仏デザートコンクール優勝経験があり、パティシエとしても活躍しているステファン・ヴュー氏。 卵というデリケートな食材を巧みに扱う技はさすが! ジョークを交えた日本語で解説しながら、手際よく、3品が完成。味はもちろん、スイーツのように美しく繊細な見た目にも、皆さん、感動していました。 ビタミンDたっぷりレシピ ●スモークサーモンのエッグベネディクト(右上) バターを塗り、トーストしたマフィンの上にスモークサーモン、ポーチドエッグをのせ、オランデーズソースをかけてフレッシュデイルを乗せる。 ●ベジタブルキッシュ“冷凍卵黄”添え(左上) 生クリーム/全卵/卵黄/塩/ナツメグ/こしょう/チーズ/ベーコンを混ぜ合わせたものをタルトに流し入れ、オーブンで焼く。タルトの中心に冷凍卵黄、添え野菜、生のスライスマッシュルームをトッピング。 ●レンズ豆サラダ ポーチドエッグ(手前) ゆでたレンズ豆、焼いたベーコン、赤タマネギ、ミニトマト、刻みニンニク、塩・こしょうを混ぜ、白ワインビネガー/オリーブオイルで和える。その上にポーチドエッグをのせ、フレッシュリーフを添える。 今回のセミナーで使った「ビィータGOLD」ってどんな卵? POINT① ビタミンがたっぷり9種類 ビィータGOLD(1個可食部50g当たり)には乾燥しいたけ5枚に相当するビタミンDやプレママや妊婦に必要な葉酸のほか、ビタミンA、ビタミンB1、パントテン酸、ビオチン、ビタミンB12、ビタミンE、ビタミンKと、9種のビタミンがバランスよく含まれています。 POINT② DHA・EPAもしっかり強化! 体内でつくることができないオメガ3脂肪酸のDHA・EPAも強化。ビィータGOLD1個の成分量は、他の食物に換算すると、DHAはクロマグロ(赤身)の刺身11切れ、EPAはカタクチイワシ(煮干し)16尾相当に。手軽にサラサラ成分を摂取できます。 ビィータGOLDのことがよくわかるサイトはこちらhttp://www.akitatamago.co.jp/vitagold/ あなたはきちんと摂れている?ビタミンDチェッカーで調べてみよう! 出典:女性のための健康生活マガジン jineko vol.32 2016 Winter≫ 掲載記事一覧はこちら 妊活に欠かせない成分として今注目されている“ビタミンD”。話題の高ビタミン卵「ビィータGOLD」を使った料理レシピと、妊娠と栄養について学べるセミナーをレポートしてきました。 第1部 妊娠力とビタミンDの関係について 草津レディースクリニック院長 森 敏恵 先生 ビタミンDは今注目されている栄養成分の一つで、血中のカルシウム濃度を上げるだけでなく、大腸がんや乳がん、インフルエンザなどの感染症、糖尿病の予防にも効果があるのではないかといわれています。 また海外では、妊娠力とビタミンDの関連についても興味深い研究が行われており、たとえばPCOS(多嚢胞性卵巣症候群)の女性やAMH(抗ミュラー管ホルモン)の値が低い女性はビタミンD濃度が低いというデータが報告されています。男性においても「ビタミンD濃度が低いと精子をつくり出す能力が弱まる」ということがマウスの研究でわかっています。ほかにも妊娠率や着床率、卵子の質にも関わりがあると考えられているので、ビタミンDを意識した食生活も妊活の大切な要素の一つだといえるでしょう。 第2部 卵で体内のビタミンDをUP! 藤女子大学人間生活学部食物栄養学科教授池田 隆幸 先生 若年女性のエネルギーや栄養等の摂取量は、日本人の食事摂取基準値より低いと報告されています。そこで私たちの研究メンバーは株式会社アキタ研究開発部と共同で研究を行い、ビタミン類を強化した卵「ビィータ」を用いて、食品の摂取で不足しがちな栄養素、特にビタミンDをしっかり補うことができるかどうか、検討してみました。 被験者は女子学生41名。通常卵を4週間→ウォッシュアウト→高ビタミン卵を4週間食べるA群と、高ビタミン卵を4週間→ウォッシュアウト→通常卵を4週間食べるB群に分けて行いましたが、いずれも高ビタミン卵を食べた時期は血中ビタミンD濃度が有意に高くなるという結果に。通常卵では足りないけれど、高ビタミン卵であれば摂りたい目安量をクリアし、しっかり体に吸収されることがわかりました。 第3部 ビタミンDたっぷりの卵レシピを実演! 講演終了後には会場内にあるオープンキッチンで、ビィータGOLDを使った卵レシピを実演。 料理を披露するのは、仏デザートコンクール優勝経験があり、パティシエとしても活躍しているステファン・ヴュー氏。 卵というデリケートな食材を巧みに扱う技はさすが! ジョークを交えた日本語で解説しながら、手際よく、3品が完成。味はもちろん、スイーツのように美しく繊細な見た目にも、皆さん、感動していました。 ビタミンDたっぷりレシピ ●スモークサーモンのエッグベネディクト(右上) バターを塗り、トーストしたマフィンの上にスモークサーモン、ポーチドエッグをのせ、オランデーズソースをかけてフレッシュデイルを乗せる。 ●ベジタブルキッシュ“冷凍卵黄”添え(左上) 生クリーム/全卵/卵黄/塩/ナツメグ/こしょう/チーズ/ベーコンを混ぜ合わせたものをタルトに流し入れ、オーブンで焼く。タルトの中心に冷凍卵黄、添え野菜、生のスライスマッシュルームをトッピング。 ●レンズ豆サラダ ポーチドエッグ(手前) ゆでたレンズ豆、焼いたベーコン、赤タマネギ、ミニトマト、刻みニンニク、塩・こしょうを混ぜ、白ワインビネガー/オリーブオイルで和える。その上にポーチドエッグをのせ、フレッシュリーフを添える。 今回のセミナーで使った「ビィータGOLD」ってどんな卵? POINT① ビタミンがたっぷり9種類 ビィータGOLD(1個可食部50g当たり)には乾燥しいたけ5枚に相当するビタミンDやプレママや妊婦に必要な葉酸のほか、ビタミンA、ビタミンB1、パントテン酸、ビオチン、ビタミンB12、ビタミンE、ビタミンKと、9種のビタミンがバランスよく含まれています。 POINT② DHA・EPAもしっかり強化! 体内でつくることができないオメガ3脂肪酸のDHA・EPAも強化。ビィータGOLD1個の成分量は、他の食物に換算すると、DHAはクロマグロ(赤身)の刺身11切れ、EPAはカタクチイワシ(煮干し)16尾相当に。手軽にサラサラ成分を摂取できます。 ビィータGOLDのことがよくわかるサイトはこちらhttp://www.akitatamago.co.jp/vitagold/ あなたはきちんと摂れている?ビタミンDチェッカーで調べてみよう! 出典:女性のための健康生活マガジン jineko vol.32 2016 Winter≫ 掲載記事一覧はこちら
2016.11.29
コラム 不妊治療
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妊娠しやすい体を作るための生活習慣とは?
妊娠しやすい体を作るための生活習慣とは? 不妊のカップルが増えているといわれています。その原因と、妊娠しやすい体を作るための生活習慣について、はるねクリニック銀座の清水真弓先生にお聞きしました。 はるねクリニック銀座 院長 清水 真弓 先生信州大学医学部卒業。神戸大学医学部附属病院、東京女子医科大学病院、木場公園クリニック勤務を経て2016年10月より現職。医学博士。日本産科婦人科学会産婦人科専門医。日本生殖医療学会生殖医療専門医。日本抗加齢医学会専門医。 不妊のカップルが増えているといわれていますが、どんなことが原因だと思われますか? これはやはり妊活年齢の高齢化が原因だと思います。まず結婚年齢が上がっていますし、女性の社会進出があって、キャリアを形成する時期と出産適齢期が重なってしまいます。日本では、残念ながらキャリア形成と出産・育児を両立できる環境が不十分ですので、子作りが先送りになってしまうのだと思います。赤ちゃんを産んでも保育園に入れないとか、公共の場で赤ちゃんが泣くと冷ややかに見られベビーカーを邪魔そうにされる、仕事に復帰しても仕事と育児の両立に苦労する、責任ある仕事を任せられずそれならば育児を優先しようと仕事をセーブするなど、今の日本の社会は子どもや子どもを持つ母親にとって決して優しくはありません。そういう現状を女性たちは知っているので、出産の優先順位が下がってしまう方もいると思います。非正規雇用で働く方が増えて収入が安定しないので、養育費、教育費のことが不安になり、積極的に子どもを持つ気持ちになれないというカップルも多いと思います。また、不妊の原因は卵子の老化が大きいですが、卵管機能障害を起こすことのあるクラミジア感染症のピークが2002年にあり、その頃に性的に活発だった世代が今ちょうど30代〜40代になっているということもあるかもしれません。さらに、環境ホルモンなどの影響で世界的に精子が減っていますので、男性不妊が増えていることも挙げられると思います。外来では、子づくりを先延ばしにしていたけれど、年齢も高くなってきてそろそろと思ったらなかなか妊娠せず、不妊専門クリニックに来られる方が多い印象です。いずれにしても、妊娠には適齢期がありますので、そのための啓蒙や働く女性の社会保障がもっと充実してほしいと常日頃感じています。 妊娠しやすい体を作るために、生活習慣はどんなことに気を付ければよいでしょうか? まず睡眠時間ですね。お仕事をされていると毎日4~5時間という方もいらっしゃると思いますが、6時間は取ってもらったほうがいいと思います。あとはストレスをためないこと。だからといって、ストレスになるから仕事をやめるというのはお勧めしません。仕事をやめて不妊治療に専念することが、逆にもっと強いストレスになることもあるからです。お勤め先がブラック企業ということなら話は別ですが、そうでなければ、ストレスをストレスと感じすぎない鈍感力を身につけ、趣味や運動などで気分転換しながらうまく付き合っていけるといいですね。血流が子宮・卵巣に酸素や栄養を運びますので運動もお勧めします。ジョギングやスポーツジムは続かない方も多いと思いますので、もっと気軽にできるウォーキングやラジオ体操、ストレッチなどでも良いと思います。血流に関連して体を冷やさないことも大切です。これから冬になりますが、大動脈が近くを走る腰にカイロを貼ると効率よく全身を温めることができます。コーヒーが好きな方もいると思いますが、あまり飲みすぎると体が冷えるので、1日に2~3杯くらいまでにしましょう。喫煙は男女とも生殖機能に悪影響を与えることがわかっています。受動喫煙の影響も少なくないので、ぜひご夫婦で禁煙していただきたいと思います。 妊娠を希望する方にお勧めの栄養素はありますか? 葉酸は必ずとっていただきたい栄養素です。少なくとも妊娠の1ヶ月以上前から妊娠初期に1日0.4mgの葉酸サプリメントを摂取することにより、赤ちゃんの神経管閉鎖障害のリスクを下げることができます。 最後に妊活中の方にアドバイスをお願いします。 不妊症の定義は「妊娠を希望して夫婦生活を行っても1年間妊娠しないこと」ですが、赤ちゃんが欲しいと思ったら、1年を待たずに早めにクリニックに相談に来ていただきたいですね。「欲しいと思ったら受診する」くらいでもいいと思います。特に35歳を過ぎている方や生理不順がある方、子宮内膜症がある方、婦人科的に不調がある方はすぐにでも。受診には勇気がいるかもしれませんが、妊娠の専門家をうまく活用して、早期の妊娠を目指していただきたいですね。また、風疹の抗体が十分あるかの確認と葉酸サプリの摂取もお勧めします。まだ受診は早いとお考えの方で、ご自身でタイミングを合わせたい場合は、市販の排卵検査薬の利用と基礎体温の記録をお勧めします。男性側も、一般男性の100人に1人の割合で無精子症の方がいらっしゃいます。精子がいても濃度や運動率が低いなど男性側に原因があるケースも多いので、早めの精液検査をお勧めします。 コラム提供:エンゼルストーク 公式オンラインショップ <エンゼルショップ> アルギニンと葉酸のチカラで、全身に血の巡りを。妊活で疲れた身体に。未来のママとパパのために。 エンゼルショップ http://www.angelstork.com/〒213-0012株式会社A-LIFE ☎0120-501-908※お気軽にお問合せ下さい。(受付時間 平日9:00-18:00) 妊娠しやすい体を作るための生活習慣とは? 不妊のカップルが増えているといわれています。その原因と、妊娠しやすい体を作るための生活習慣について、はるねクリニック銀座の清水真弓先生にお聞きしました。 はるねクリニック銀座 院長 清水 真弓 先生信州大学医学部卒業。神戸大学医学部附属病院、東京女子医科大学病院、木場公園クリニック勤務を経て2016年10月より現職。医学博士。日本産科婦人科学会産婦人科専門医。日本生殖医療学会生殖医療専門医。日本抗加齢医学会専門医。 不妊のカップルが増えているといわれていますが、どんなことが原因だと思われますか? これはやはり妊活年齢の高齢化が原因だと思います。まず結婚年齢が上がっていますし、女性の社会進出があって、キャリアを形成する時期と出産適齢期が重なってしまいます。日本では、残念ながらキャリア形成と出産・育児を両立できる環境が不十分ですので、子作りが先送りになってしまうのだと思います。赤ちゃんを産んでも保育園に入れないとか、公共の場で赤ちゃんが泣くと冷ややかに見られベビーカーを邪魔そうにされる、仕事に復帰しても仕事と育児の両立に苦労する、責任ある仕事を任せられずそれならば育児を優先しようと仕事をセーブするなど、今の日本の社会は子どもや子どもを持つ母親にとって決して優しくはありません。そういう現状を女性たちは知っているので、出産の優先順位が下がってしまう方もいると思います。非正規雇用で働く方が増えて収入が安定しないので、養育費、教育費のことが不安になり、積極的に子どもを持つ気持ちになれないというカップルも多いと思います。また、不妊の原因は卵子の老化が大きいですが、卵管機能障害を起こすことのあるクラミジア感染症のピークが2002年にあり、その頃に性的に活発だった世代が今ちょうど30代〜40代になっているということもあるかもしれません。さらに、環境ホルモンなどの影響で世界的に精子が減っていますので、男性不妊が増えていることも挙げられると思います。外来では、子づくりを先延ばしにしていたけれど、年齢も高くなってきてそろそろと思ったらなかなか妊娠せず、不妊専門クリニックに来られる方が多い印象です。いずれにしても、妊娠には適齢期がありますので、そのための啓蒙や働く女性の社会保障がもっと充実してほしいと常日頃感じています。 妊娠しやすい体を作るために、生活習慣はどんなことに気を付ければよいでしょうか? まず睡眠時間ですね。お仕事をされていると毎日4~5時間という方もいらっしゃると思いますが、6時間は取ってもらったほうがいいと思います。あとはストレスをためないこと。だからといって、ストレスになるから仕事をやめるというのはお勧めしません。仕事をやめて不妊治療に専念することが、逆にもっと強いストレスになることもあるからです。お勤め先がブラック企業ということなら話は別ですが、そうでなければ、ストレスをストレスと感じすぎない鈍感力を身につけ、趣味や運動などで気分転換しながらうまく付き合っていけるといいですね。血流が子宮・卵巣に酸素や栄養を運びますので運動もお勧めします。ジョギングやスポーツジムは続かない方も多いと思いますので、もっと気軽にできるウォーキングやラジオ体操、ストレッチなどでも良いと思います。血流に関連して体を冷やさないことも大切です。これから冬になりますが、大動脈が近くを走る腰にカイロを貼ると効率よく全身を温めることができます。コーヒーが好きな方もいると思いますが、あまり飲みすぎると体が冷えるので、1日に2~3杯くらいまでにしましょう。喫煙は男女とも生殖機能に悪影響を与えることがわかっています。受動喫煙の影響も少なくないので、ぜひご夫婦で禁煙していただきたいと思います。 妊娠を希望する方にお勧めの栄養素はありますか? 葉酸は必ずとっていただきたい栄養素です。少なくとも妊娠の1ヶ月以上前から妊娠初期に1日0.4mgの葉酸サプリメントを摂取することにより、赤ちゃんの神経管閉鎖障害のリスクを下げることができます。 最後に妊活中の方にアドバイスをお願いします。 不妊症の定義は「妊娠を希望して夫婦生活を行っても1年間妊娠しないこと」ですが、赤ちゃんが欲しいと思ったら、1年を待たずに早めにクリニックに相談に来ていただきたいですね。「欲しいと思ったら受診する」くらいでもいいと思います。特に35歳を過ぎている方や生理不順がある方、子宮内膜症がある方、婦人科的に不調がある方はすぐにでも。受診には勇気がいるかもしれませんが、妊娠の専門家をうまく活用して、早期の妊娠を目指していただきたいですね。また、風疹の抗体が十分あるかの確認と葉酸サプリの摂取もお勧めします。まだ受診は早いとお考えの方で、ご自身でタイミングを合わせたい場合は、市販の排卵検査薬の利用と基礎体温の記録をお勧めします。男性側も、一般男性の100人に1人の割合で無精子症の方がいらっしゃいます。精子がいても濃度や運動率が低いなど男性側に原因があるケースも多いので、早めの精液検査をお勧めします。 コラム提供:エンゼルストーク 公式オンラインショップ <エンゼルショップ> アルギニンと葉酸のチカラで、全身に血の巡りを。妊活で疲れた身体に。未来のママとパパのために。 エンゼルショップ http://www.angelstork.com/〒213-0012株式会社A-LIFE ☎0120-501-908※お気軽にお問合せ下さい。(受付時間 平日9:00-18:00)
2016.11.24
コラム 不妊治療
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鍼灸治療と東洋医学的不妊カウンセリングが体外受精の効果につながる
鍼灸治療と東洋医学的不妊カウンセリングが体外受精の効果につながる 当治療室では体外受精に臨まれるカップルから相談を受けることが多く、鍼灸治療とカウンセリングの両方からアプローチを行い効果につなげています。当治療室、最大の特徴は「結果が出るために何をすればいいのか?」を、ただ鍼灸治療のみにこだわらず、養生、食事、そしていつ治療周期に入るのがよいのか、移植はどのような状況がよいのかということまで、患者さんと一緒に悩み考えていくことです。妊娠そして出産へとつなげるためには、東洋医学的な四診をしっかり行い、身体の状態を把握すること。採卵に際しては、よい卵や精子が採れることと最大の目標とし、子宮や生殖器を中心とした生命力が高まるようにアプローチします。子宮や卵巣は血流によって養われていきます。そのためには食べ物から生命力をしっかりと受け取る力があること。次に食物から受け取った生命力を、必要な場所にスムーズに運ぶことのできる血流があること。この2点が重要で当治療室の鍼灸治療の目標です。さらに体表観察から得られた情報で食事、養生指導も個別具体的に行っています。生命力がしっかりとあり、子宮卵巣の血流が充分に行き渡っていれば着床、妊娠にへとつながります。子宮内の血流アップにつながっていくような積極的なアプローチをしつつ、治療効果をアップさせるためにお灸の指導も個別具体的に時期に合わせておこないます。「養生のお灸指導」は当院の特色です。使用するのはセンネン灸タイプのお灸や、棒灸です。簡単な道具ですが、使う場所、使い方で治療効果が大きく変わります。とくに、お臍を温める棒灸は具体的な指導によって目を見張る効果をもたらします。しっかりと暖かさが染みるように温めていきます。面を温めるのではなく、一点を充分にしっかりと温めることがポイントです。また、身体の疲れや気持ちが落ち着かないなど、身体がストレス状態であると、血流が滞りがちになります。このような方にはストレスのない伸びやかな心身状態をつくる鍼灸治療に併せて、「東洋医学的不妊カウンセリング」を行います。東洋医学的不妊カウンセリングとは、①東洋医学的生命観、四診、弁証論治などの東洋医学的診立て、②生活記録、食事記録などの養生、生活指導、③西洋医学的不妊治療、夫婦の希望などや今までの不妊治療歴など、3つのポイントを踏まえながら行なうカウンセリングです。相談者の個々の状態に合わせて、さまざまな手法を行うのが当治療室の大きな特徴となっています。 ビッグママ治療室 米山 章子先生東海大学大磯病院東洋医学科にて研修研鑽を積み、平成9年「鍼灸リラクゼーショ ンビッグママ治療室」を開業 。平成20年たにぐち書店より「不妊!大作戦」を出版。平成23年不妊カウンセリング学会にて発表、奨励賞を受賞 。不妊治療などの講演にて不妊鍼灸治療の啓蒙活動を行っている。 <外部サイト>店舗で相談してみる→ ビッグママ治療室 http://bigmama-odawara.jp/ 鍼灸治療と東洋医学的不妊カウンセリングが体外受精の効果につながる 当治療室では体外受精に臨まれるカップルから相談を受けることが多く、鍼灸治療とカウンセリングの両方からアプローチを行い効果につなげています。当治療室、最大の特徴は「結果が出るために何をすればいいのか?」を、ただ鍼灸治療のみにこだわらず、養生、食事、そしていつ治療周期に入るのがよいのか、移植はどのような状況がよいのかということまで、患者さんと一緒に悩み考えていくことです。妊娠そして出産へとつなげるためには、東洋医学的な四診をしっかり行い、身体の状態を把握すること。採卵に際しては、よい卵や精子が採れることと最大の目標とし、子宮や生殖器を中心とした生命力が高まるようにアプローチします。子宮や卵巣は血流によって養われていきます。そのためには食べ物から生命力をしっかりと受け取る力があること。次に食物から受け取った生命力を、必要な場所にスムーズに運ぶことのできる血流があること。この2点が重要で当治療室の鍼灸治療の目標です。さらに体表観察から得られた情報で食事、養生指導も個別具体的に行っています。生命力がしっかりとあり、子宮卵巣の血流が充分に行き渡っていれば着床、妊娠にへとつながります。子宮内の血流アップにつながっていくような積極的なアプローチをしつつ、治療効果をアップさせるためにお灸の指導も個別具体的に時期に合わせておこないます。「養生のお灸指導」は当院の特色です。使用するのはセンネン灸タイプのお灸や、棒灸です。簡単な道具ですが、使う場所、使い方で治療効果が大きく変わります。とくに、お臍を温める棒灸は具体的な指導によって目を見張る効果をもたらします。しっかりと暖かさが染みるように温めていきます。面を温めるのではなく、一点を充分にしっかりと温めることがポイントです。また、身体の疲れや気持ちが落ち着かないなど、身体がストレス状態であると、血流が滞りがちになります。このような方にはストレスのない伸びやかな心身状態をつくる鍼灸治療に併せて、「東洋医学的不妊カウンセリング」を行います。東洋医学的不妊カウンセリングとは、①東洋医学的生命観、四診、弁証論治などの東洋医学的診立て、②生活記録、食事記録などの養生、生活指導、③西洋医学的不妊治療、夫婦の希望などや今までの不妊治療歴など、3つのポイントを踏まえながら行なうカウンセリングです。相談者の個々の状態に合わせて、さまざまな手法を行うのが当治療室の大きな特徴となっています。 ビッグママ治療室 米山 章子先生東海大学大磯病院東洋医学科にて研修研鑽を積み、平成9年「鍼灸リラクゼーショ ンビッグママ治療室」を開業 。平成20年たにぐち書店より「不妊!大作戦」を出版。平成23年不妊カウンセリング学会にて発表、奨励賞を受賞 。不妊治療などの講演にて不妊鍼灸治療の啓蒙活動を行っている。 <外部サイト>店舗で相談してみる→ ビッグママ治療室 http://bigmama-odawara.jp/
2016.11.17
コラム 不妊治療
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重度男性不妊の有効な治療法は?
重度男性不妊の有効な治療法は? 相談者:あさん(42歳)転院についての相談1年前のヒューナーテストではエクセレントといわれたのですが、転院したクリニックの検査結果では、精子の液量1.5ml、濃度36.0M/ml、運動率31%、正常精子0.4%で、重度の男性不妊といわれました。これまで2回の採卵で受精卵が16個できているのに、胚盤胞の基準が満たせず1個も凍結できていません。同じクリニックに通院している方は、私より受精卵の数が少なくても凍結できています。イムジーをすすめられていますが、イムジーを行っている病院は少なく、転院もすぐには難しそうな感じです。お聞きしたいのですが、重度の男性不妊でヒューナーテストがエクセレントということはありますか?1年で重度の男性不妊になることはあるのでしょうか。治療法がないといわれ、今、夫は還元型コエンザイムQ10と亜鉛、葉酸のサプリメントを飲んでいます。 ◎さんのデータ【身長/体重】163cm/49kg【月経について】28日前後 生理痛重い。(腰痛、腹痛、頭痛、吐き気、貧血)少し貧血気味の診断あり【不妊の原因となる病名】男性不妊【検査・治療歴】血液検査、卵管造影、顕微授精(採卵、受精のみ2回)【現在の治療方針】顕微受精【精子の検査データ】液量1.5ml 濃度36.0M/ml 運動率31% 正常精子0.4% LH5.7 FSH13.4 TES312.9【AMH(抗ミュラー管ホルモン:卵巣予備能)の値】AMH9.63 AMH7.29 AMH8.2【結婚歴】9年【治療年数】1年【漢方薬・サプリメントの使用有無】夫 還元型コエンザイムQ10、亜鉛、葉酸を飲んでいる。 三軒茶屋ウィメンズクリニック 保坂 猛 先生医学博士。聖マリアンナ医科大学卒業。同大学産婦人科、大田原赤十字病院、聖マリアンナ医科大学産婦人科医長・非常勤講師、ファティリティクリニック東京勤務を経て、2011年2月、三軒茶屋ウィメンズクリニックを開院。おひとり一人に合った最適な治療はもちろん、安心と優しさも提供。女性のライフパートナーとしての産婦人科医院を目指す。 保坂先生:精子の状態というのはその時の体調などによってバラつきがでやすいので、当院でも、ヒューナーテストで問題がないという方でも必ず精液検査をしていただいています。ヒューナーテストでみる精子が動いているかどうかの基準は、1つの視野で5個以上動いていればいいというもの。たくさん動いていなくてもクリアになるんですね。ご主人の精子の状態は急に悪化したのではなく、もともと良くなかったのかもしれません。イムジーをすすめられたということですが、イムジーは普通の顕微鏡より1000倍くらい拡大して、精子の形態的な異常を観察するものなんですね。より細かく精子の状態を評価できますが、妊娠率は通常の顕微授精と大きく変わらなかったという結果も報告されているようです。もちろんなかには有利に働くケースもあるかもしれませんが、そこに大きな期待をかけるより、精子が悪い分、いかにいい卵子を出していくかということで、排卵誘発法などを工夫していく施設が多いと思います。あさんはこれまで7~11個程度とご年齢の割に卵子の数が採れていて、受精率もそれほど悪くない。ただ、胚盤胞が基準に満たないということですね。おそらく、凍結胚盤胞でしか移植をしない施設だと思われます。確かに凍結胚盤胞は妊娠率が高いといわれていますが、移植をしない限り結果を出せません。胚盤胞が良くなかったら、3日目の胚で戻すことも視野に入れてみてはどうでしょうか。初期胚移植でも妊娠の可能性はゼロではないので、とにかく移植までは進めるように持っていっていただきたいですね。 コエンザイムQ10や亜鉛のサプリメントは、当院でも男性不妊の患者さんにおすすめしています。すぐに結果を出すことは難しいと思いますが、抗酸化作用や細胞活性にもつながるので、そのまま使用を続けられてもいいかと思います。 【人気コラム】ユーザーストーリー~あなたに伝えたいメッセージ~ 【人気コラム】田村秀子先生の心の玉手箱 【役立つ】不妊についてもっと知ろう!不妊とは? 【おすすめ】フリーマガジン「ジネコ」各号記事一覧 重度男性不妊の有効な治療法は? 相談者:あさん(42歳)転院についての相談1年前のヒューナーテストではエクセレントといわれたのですが、転院したクリニックの検査結果では、精子の液量1.5ml、濃度36.0M/ml、運動率31%、正常精子0.4%で、重度の男性不妊といわれました。これまで2回の採卵で受精卵が16個できているのに、胚盤胞の基準が満たせず1個も凍結できていません。同じクリニックに通院している方は、私より受精卵の数が少なくても凍結できています。イムジーをすすめられていますが、イムジーを行っている病院は少なく、転院もすぐには難しそうな感じです。お聞きしたいのですが、重度の男性不妊でヒューナーテストがエクセレントということはありますか?1年で重度の男性不妊になることはあるのでしょうか。治療法がないといわれ、今、夫は還元型コエンザイムQ10と亜鉛、葉酸のサプリメントを飲んでいます。 ◎さんのデータ【身長/体重】163cm/49kg【月経について】28日前後 生理痛重い。(腰痛、腹痛、頭痛、吐き気、貧血)少し貧血気味の診断あり【不妊の原因となる病名】男性不妊【検査・治療歴】血液検査、卵管造影、顕微授精(採卵、受精のみ2回)【現在の治療方針】顕微受精【精子の検査データ】液量1.5ml 濃度36.0M/ml 運動率31% 正常精子0.4% LH5.7 FSH13.4 TES312.9【AMH(抗ミュラー管ホルモン:卵巣予備能)の値】AMH9.63 AMH7.29 AMH8.2【結婚歴】9年【治療年数】1年【漢方薬・サプリメントの使用有無】夫 還元型コエンザイムQ10、亜鉛、葉酸を飲んでいる。 三軒茶屋ウィメンズクリニック 保坂 猛 先生医学博士。聖マリアンナ医科大学卒業。同大学産婦人科、大田原赤十字病院、聖マリアンナ医科大学産婦人科医長・非常勤講師、ファティリティクリニック東京勤務を経て、2011年2月、三軒茶屋ウィメンズクリニックを開院。おひとり一人に合った最適な治療はもちろん、安心と優しさも提供。女性のライフパートナーとしての産婦人科医院を目指す。 保坂先生:精子の状態というのはその時の体調などによってバラつきがでやすいので、当院でも、ヒューナーテストで問題がないという方でも必ず精液検査をしていただいています。ヒューナーテストでみる精子が動いているかどうかの基準は、1つの視野で5個以上動いていればいいというもの。たくさん動いていなくてもクリアになるんですね。ご主人の精子の状態は急に悪化したのではなく、もともと良くなかったのかもしれません。イムジーをすすめられたということですが、イムジーは普通の顕微鏡より1000倍くらい拡大して、精子の形態的な異常を観察するものなんですね。より細かく精子の状態を評価できますが、妊娠率は通常の顕微授精と大きく変わらなかったという結果も報告されているようです。もちろんなかには有利に働くケースもあるかもしれませんが、そこに大きな期待をかけるより、精子が悪い分、いかにいい卵子を出していくかということで、排卵誘発法などを工夫していく施設が多いと思います。あさんはこれまで7~11個程度とご年齢の割に卵子の数が採れていて、受精率もそれほど悪くない。ただ、胚盤胞が基準に満たないということですね。おそらく、凍結胚盤胞でしか移植をしない施設だと思われます。確かに凍結胚盤胞は妊娠率が高いといわれていますが、移植をしない限り結果を出せません。胚盤胞が良くなかったら、3日目の胚で戻すことも視野に入れてみてはどうでしょうか。初期胚移植でも妊娠の可能性はゼロではないので、とにかく移植までは進めるように持っていっていただきたいですね。 コエンザイムQ10や亜鉛のサプリメントは、当院でも男性不妊の患者さんにおすすめしています。すぐに結果を出すことは難しいと思いますが、抗酸化作用や細胞活性にもつながるので、そのまま使用を続けられてもいいかと思います。 【人気コラム】ユーザーストーリー~あなたに伝えたいメッセージ~ 【人気コラム】田村秀子先生の心の玉手箱 【役立つ】不妊についてもっと知ろう!不妊とは? 【おすすめ】フリーマガジン「ジネコ」各号記事一覧
2016.11.17
コラム 不妊治療
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移植しても授からないです
移植しても授からないです 相談者:ぇりんさん(35歳)私は結婚6年目、クリニック歴は3年です。クリニックはずっと同じ所に通ってます。フーナーテスト3回のち、人工受精(2回は普通に、セロフェン薬を飲んで2回、卵胞育てる注射で2回)を6回しましたが、陰性で体外受精に挑戦しています。低AMHですが、ロング法で11個採卵できて、体外2個と顕微5個で6個凍結しました。移植1回目は、新鮮4分割胚移植で陰性。2回目は凍結8分割胚移植で陰性。3回目は胚盤胞と桑実胚の2個戻しでしたが陰性。4回目は内膜吸引して薬で内膜を作って、そのあと内膜洗浄(シート法)してから胚盤胞と桑実胚の2個戻しで陰性でした。クリニックのやり方として、移植周期はホルモン補充してます。膣錠とエストラーナテープです。内膜の状態も毎回良いらしく、卵もいつもAランクだそうです。それでも授からなくて、結婚してからも1度も陽性になったことがありません。何が原因かわからず、苦しい毎日です。凍結胚ももう無いので、また体外からやるしかないのですが、、私はこれからどうしたらいいでしょうか??どんな検査を受けたらいいのかわからなくなりました。今まで受けた検査は、卵管造影、精子の詳しい検査2回、私のホルモン検査2回、抗精子抗体検査、AMH検査です。唯一、AMHが少し低いと言われただけです。その他は正常値と言われてます。クリニックでは、ドクターに質問など聞きにくい雰囲気で、質問してもあまり教えてもらえなくて、、何かアドバイスをもらえたら嬉しいです。 はるさんのデータ【身長/体重】150cm/50kg【月経について】大体28日周期 生理痛は昔からあります【検査・治療歴】今まで受けた検査は、卵管造影、精液検査、精子サバイバルテスト、私のホルモン検査いろいろ、抗精子抗体検査、AMH検査治療歴は、フーナーテスト3回、人工受精(2回は普通に、セロフェン薬を飲んで2回、卵胞育てる注射で2回)を6回、体外、顕微受精で移植4回【現在の治療方針】移植が陰性に終わり、また採卵からになると思います。【精子の検査データ】検査は2年前です/精子濃度50/運動率70%/精液量3.2ミリリットル/pH7.4/直線速度47.7/曲線速度 70.1/直進性0.77【AMH(抗ミュラー管ホルモン:卵巣予備能)の値】1.87【結婚歴】6年目【治療歴】3年【漢方薬・サプリメントの使用有無】クロレラ、漢方は補中益気湯、サプリは、ローヤルゼリー、コラーゲン飲料水 山下湘南夢クリニック 山下 直樹 先生山下湘南夢クリニックは平成21年4月に不妊治療専門施設として開院いたしました。山下湘南夢クリニックは心穏やかに最先端の不妊治療を最高水準の技術で受けることができる不妊治療施設です。≫ 山下湘南夢クリニック 山下先生:分割胚移植はおなかの中で卵を育てる方法、胚盤胞移植は外の培養液の中で育てる方法です。育てる場所が違うので、おなかの中の環境が保たれている人、妊娠歴のある人なら早めに戻してあげるとか、外のほうが育てる環境がいいなら胚盤胞を主体にするとか、何かポリシーがあって、本来治療はそれに従ってやっていくものだと思います。えりんさんの場合は移植の方法を毎回変えていますが、やり方にポリシーが感じられないのが残念です。どんな臓器も年齢とともに働きが落ちていくように、卵管や子宮の働きも落ちていきます。分割胚移植と胚盤胞移植の妊娠率を比較すると、37歳くらいを境に培養液中で育てたほうがいいという結果が出ています。もちろんすべてが年齢だけで割り切ることはできませんが、今は胚盤胞移植がブームになっていて、それしかしないクリニックがありますね。卵はもともと50%しか胚盤胞に到達しないので、そこで選抜試験を受けさせているわけです。その試験を通った卵だけを戻せば妊娠率が高くなります。胚盤胞移植だけをやっていたほうがそのクリニックの見かけの妊娠率は高くなるわけです。しかし、他のクリニックで分割胚移植を断られた人の中で、当院で分割胚移植をすると1回で妊娠したという人が何人かに1人の割り合いでいらっしゃいます。その人の卵には外の培養液の環境で育てるよりおなかの中の環境のほうが良かったということです。ラーメン屋さんでも店主のこだわりによっておいしかったりそうでなかったりがあるように、不妊治療のクリニックも治療方針や培養士の技術によってその結果は変わってくると思います。1か所にずっと通って結果が出ない場合は、諦めるのではなく施設を変えてみるのも良いことだと思います。 移植しても授からないです 相談者:ぇりんさん(35歳)私は結婚6年目、クリニック歴は3年です。クリニックはずっと同じ所に通ってます。フーナーテスト3回のち、人工受精(2回は普通に、セロフェン薬を飲んで2回、卵胞育てる注射で2回)を6回しましたが、陰性で体外受精に挑戦しています。低AMHですが、ロング法で11個採卵できて、体外2個と顕微5個で6個凍結しました。移植1回目は、新鮮4分割胚移植で陰性。2回目は凍結8分割胚移植で陰性。3回目は胚盤胞と桑実胚の2個戻しでしたが陰性。4回目は内膜吸引して薬で内膜を作って、そのあと内膜洗浄(シート法)してから胚盤胞と桑実胚の2個戻しで陰性でした。クリニックのやり方として、移植周期はホルモン補充してます。膣錠とエストラーナテープです。内膜の状態も毎回良いらしく、卵もいつもAランクだそうです。それでも授からなくて、結婚してからも1度も陽性になったことがありません。何が原因かわからず、苦しい毎日です。凍結胚ももう無いので、また体外からやるしかないのですが、、私はこれからどうしたらいいでしょうか??どんな検査を受けたらいいのかわからなくなりました。今まで受けた検査は、卵管造影、精子の詳しい検査2回、私のホルモン検査2回、抗精子抗体検査、AMH検査です。唯一、AMHが少し低いと言われただけです。その他は正常値と言われてます。クリニックでは、ドクターに質問など聞きにくい雰囲気で、質問してもあまり教えてもらえなくて、、何かアドバイスをもらえたら嬉しいです。 はるさんのデータ【身長/体重】150cm/50kg【月経について】大体28日周期 生理痛は昔からあります【検査・治療歴】今まで受けた検査は、卵管造影、精液検査、精子サバイバルテスト、私のホルモン検査いろいろ、抗精子抗体検査、AMH検査治療歴は、フーナーテスト3回、人工受精(2回は普通に、セロフェン薬を飲んで2回、卵胞育てる注射で2回)を6回、体外、顕微受精で移植4回【現在の治療方針】移植が陰性に終わり、また採卵からになると思います。【精子の検査データ】検査は2年前です/精子濃度50/運動率70%/精液量3.2ミリリットル/pH7.4/直線速度47.7/曲線速度 70.1/直進性0.77【AMH(抗ミュラー管ホルモン:卵巣予備能)の値】1.87【結婚歴】6年目【治療歴】3年【漢方薬・サプリメントの使用有無】クロレラ、漢方は補中益気湯、サプリは、ローヤルゼリー、コラーゲン飲料水 山下湘南夢クリニック 山下 直樹 先生山下湘南夢クリニックは平成21年4月に不妊治療専門施設として開院いたしました。山下湘南夢クリニックは心穏やかに最先端の不妊治療を最高水準の技術で受けることができる不妊治療施設です。≫ 山下湘南夢クリニック 山下先生:分割胚移植はおなかの中で卵を育てる方法、胚盤胞移植は外の培養液の中で育てる方法です。育てる場所が違うので、おなかの中の環境が保たれている人、妊娠歴のある人なら早めに戻してあげるとか、外のほうが育てる環境がいいなら胚盤胞を主体にするとか、何かポリシーがあって、本来治療はそれに従ってやっていくものだと思います。えりんさんの場合は移植の方法を毎回変えていますが、やり方にポリシーが感じられないのが残念です。どんな臓器も年齢とともに働きが落ちていくように、卵管や子宮の働きも落ちていきます。分割胚移植と胚盤胞移植の妊娠率を比較すると、37歳くらいを境に培養液中で育てたほうがいいという結果が出ています。もちろんすべてが年齢だけで割り切ることはできませんが、今は胚盤胞移植がブームになっていて、それしかしないクリニックがありますね。卵はもともと50%しか胚盤胞に到達しないので、そこで選抜試験を受けさせているわけです。その試験を通った卵だけを戻せば妊娠率が高くなります。胚盤胞移植だけをやっていたほうがそのクリニックの見かけの妊娠率は高くなるわけです。しかし、他のクリニックで分割胚移植を断られた人の中で、当院で分割胚移植をすると1回で妊娠したという人が何人かに1人の割り合いでいらっしゃいます。その人の卵には外の培養液の環境で育てるよりおなかの中の環境のほうが良かったということです。ラーメン屋さんでも店主のこだわりによっておいしかったりそうでなかったりがあるように、不妊治療のクリニックも治療方針や培養士の技術によってその結果は変わってくると思います。1か所にずっと通って結果が出ない場合は、諦めるのではなく施設を変えてみるのも良いことだと思います。 【人気コラム】ユーザーストーリー~あなたに伝えたいメッセージ~ 【人気コラム】田村秀子先生の心の玉手箱 【役立つ】不妊についてもっと知ろう!不妊とは? 【おすすめ】フリーマガジン「ジネコ」各号記事一覧
2016.11.16
コラム 不妊治療
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流産後の心身の養生は、次の妊娠につながっていく
流産後の心身の養生は、次の妊娠につながっていく 妊活中の方にとって「流産」は、考えたくないことのひとつだと思います。しかし、妊娠反応が出た女性にとって流産は誰にでも起こる可能性があることなのです。もちろん経験しない方がいいに越したことはありませんが、もしも、そうなった場合、心身のケアは次回の妊娠にも繋がるとても重要なことなのです。流産とは妊娠22週までの胎児の成長が止まることを言います。12週未満を早期流産、それ以降から22週未満を後期流産と言い、週数があまり経ってない場合は自然に出てくれることもありますが、後期になると日帰りから数泊の手術が必要な場合もあります。入院して我が子をお産して外に出してあげることもあります。東洋医学では流産のことを「小さなお産」と呼びます。産後と同じように、しばらくは体調も不安定で体力が落ちているため、養生が必要だからです。流産による肉体の疲弊もありますが、精神的ショックでとても疲れていますから、まずは無理をせずにゆっくり休んでください。そして、外出する体力や気力が付いたら、妊活の治療のことを考えてください。次の妊娠のためには、妊娠中に出るホルモンβhcgを下げる必要があります。流産後はβhcgなどの影響で、ホルモンバランスが崩れやすくなったり、出血などで体力も低下しています。まずは体力や子宮卵巣機能を回復させ、おなかの中にまだ残っている〝?血〟を鍼灸ですべて外に排出させる治療が必要となります。そして、あまり人には話せないさまざまな思いも担当鍼灸師に話してください。治療的なアドバイスを受けることも大切ですが、誰かに話をするだけで心や体はずいぶん楽になります。これも私たちにとっては大切な治療のひとつと考えています。流産体験はとても辛いことですが、自分をあまり責めないでください。あなたは何も悪くありません。きっと戻ってきてくれる赤ちゃんのためにも、まずはあなたが元気になってくださいね。パクスにはそんな経験を乗り越えてママになった方がたくさんいらっしゃいます。 パクス・テルレーナ治療室 副院長 湯浅 佳子先生東京衛生学園専門学校東洋医療総合学科卒業。在宅医療研修、アロママッサージサロンなどで臨床経験を積み、 パクス・テルレーナ治療室を開院。鍼灸専門、女性・小児専門の治療院として子どもから大人まで様々な症例の臨床に取り組む。 <外部サイト>店舗で相談してみる→ パクス・テルレーナ治療室 http://pax-terrena.com/ 流産後の心身の養生は、次の妊娠につながっていく 妊活中の方にとって「流産」は、考えたくないことのひとつだと思います。しかし、妊娠反応が出た女性にとって流産は誰にでも起こる可能性があることなのです。もちろん経験しない方がいいに越したことはありませんが、もしも、そうなった場合、心身のケアは次回の妊娠にも繋がるとても重要なことなのです。流産とは妊娠22週までの胎児の成長が止まることを言います。12週未満を早期流産、それ以降から22週未満を後期流産と言い、週数があまり経ってない場合は自然に出てくれることもありますが、後期になると日帰りから数泊の手術が必要な場合もあります。入院して我が子をお産して外に出してあげることもあります。東洋医学では流産のことを「小さなお産」と呼びます。産後と同じように、しばらくは体調も不安定で体力が落ちているため、養生が必要だからです。流産による肉体の疲弊もありますが、精神的ショックでとても疲れていますから、まずは無理をせずにゆっくり休んでください。そして、外出する体力や気力が付いたら、妊活の治療のことを考えてください。次の妊娠のためには、妊娠中に出るホルモンβhcgを下げる必要があります。流産後はβhcgなどの影響で、ホルモンバランスが崩れやすくなったり、出血などで体力も低下しています。まずは体力や子宮卵巣機能を回復させ、おなかの中にまだ残っている〝?血〟を鍼灸ですべて外に排出させる治療が必要となります。そして、あまり人には話せないさまざまな思いも担当鍼灸師に話してください。治療的なアドバイスを受けることも大切ですが、誰かに話をするだけで心や体はずいぶん楽になります。これも私たちにとっては大切な治療のひとつと考えています。流産体験はとても辛いことですが、自分をあまり責めないでください。あなたは何も悪くありません。きっと戻ってきてくれる赤ちゃんのためにも、まずはあなたが元気になってくださいね。パクスにはそんな経験を乗り越えてママになった方がたくさんいらっしゃいます。 パクス・テルレーナ治療室 副院長 湯浅 佳子先生東京衛生学園専門学校東洋医療総合学科卒業。在宅医療研修、アロママッサージサロンなどで臨床経験を積み、 パクス・テルレーナ治療室を開院。鍼灸専門、女性・小児専門の治療院として子どもから大人まで様々な症例の臨床に取り組む。 <外部サイト>店舗で相談してみる→ パクス・テルレーナ治療室 http://pax-terrena.com/
2016.11.16
コラム 不妊治療