レディースクリニック北浜 ジネコ取材済
大阪府大阪市中央区高麗橋1丁目7番3号
婦人科 / 不妊治療
レディースクリニック北浜
大阪府大阪市中央区高麗橋1丁目7番3号
不妊センター、体外受精、顕微授精、不育症、漢方療法、一般婦人科 受付 9:30~13:00、16:00~19:00 診察 終了まで 休診日 木曜午後、土曜午後、日祝日 ※初診の方は18:30までに受付にお越しください。 ※初診予約はお電話でお願いします 06-6202-8739
土曜も診療漢方・鍼灸働きながら通いやすいインターネット予約完全予約制駅近フリーマガジン配布英語対応手術対応一般婦人科すべて見る
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婦人科
不妊治療
基本診療時間
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木曜午後・土曜午後及び日曜・祝日
住所・連絡先
大阪府大阪市中央区高麗橋1丁目7番3号
TEL: 06-6202-8739
奥 裕嗣 院長プロフィール
奥 裕嗣 院長略歴
徹底したインフォームド・コンセントを理想に掲げ、
スタッフ一同、すべての患者様に赤ちゃんのご縁がありますよう
切に願いながら、日々生殖医療に全力で取り組んでおります。
当院では最先端の生殖医療技術をご利用いただくとともに、
永く愛されるオリジナルの漢方療法もお受けいただけます。
また患者様の心理的なご負担にたいして優しいサポートが
出来るように、心理カウンセリングを備えました。
多様化する患者様の生活条件に合わせて、便利で快適に、
高度で確かな不妊治療を安心して受けていただけるように、ここ
「ザ・北浜プラザ」の医療モールにて開院することとなりました。
どうぞお気軽に、ご安心なさって、まずは扉をたたいてみてください。
■略歴
1987年
愛知医科大学卒業
愛知医科大学産婦人科学教室入局
1988年
愛知医科大学大学院入学
女性ホルモンの動脈硬化抑制についての研究を行う。
(更年期障害の基礎的研究)
1992年
同大学院卒業
エラジン酸の抗酸化作用
(アンチエージング作用)の研究にて博士号修得
総合大雄会病院勤務
1995年
蒲郡市民病院勤務
1998年
アメリカ合衆国に留学
Diamond Institute for Infertility and
Menopauseにて、体外受精、顕微授精等
最先端の生殖医療技術を3年間研修
2001年
IVF大阪クリニック勤務
2004年
IVFなんばクリニック勤務
2005年より副院長として勤務
2010年
レディースクリニック北浜開設
このクリニックに関連する監修記事、取材内容、ユーザー様からの質問と回答など、ジネコが企画した様々なコンテンツの一覧です。
記事一覧
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【Lesson1:不妊の原因と検査】奥裕嗣先生の不妊治療はじめて講座
不妊症の原因はさまざまで、女性側や男性側、その両者に見つかることや基本の検査では見つからない因子が隠れていることも。不妊治療をはじめる前に知っておきたい不妊症の原因や検査について、レディースクリニック北浜の奥裕嗣先生に教えていただきました。
2020.3.9
コラム 不妊治療
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【特集1】あなたは、いくつ答えられる? 答えと解説[レディースクリニック北浜 奥 裕嗣 先生]
妊活の一歩はまず知ることから。妊娠・出産について、あなたはどのくらい知識がありますか? 〇×クイズで、妊娠の知識を高めましょう!
2019.12.9
コラム 妊活
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【特集】男性側に原因が見つかったら?
男性側に不妊原因が見つかったら、どのように治療を進めていく? 男性側の不妊原因を治療するか体外受精に進むべき? このようなケースでは、ご夫婦でどのようにかかわっていくのがよい? レディースクリニック北浜の奥裕嗣先生に教えていただきました。
2019.10.5
コラム 不妊治療
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【40代の不妊治療】2度の稽留流産を経験。不育症検査は必要ないですか?
2度の稽留流産を経験し、不育症検査を希望していますが、主治医からは様子をみましょうとのこと。40代の治療では不育症検査はあまり必要ないのでしょうか。レディースクリニック北浜の奥裕嗣先生にお話を伺いました。
2019.7.6
コラム 不妊治療
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子宮内膜が薄いために 移植を4回キャンセル。 4年間の治療で心が限界に
子宮内膜の状態は妊娠にどう影響しているのでしょうか。 また、子宮内膜の状態をよくする方法はあるのでしょうか。 高いAMHや心の状態など気になる点を含めて、 レディースクリニック北浜の奥裕嗣先生にお話を伺いました。
2019.3.25
コラム 不妊治療
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不妊外来3周期目。治療のペースに疑問を抱いてます
不妊治療について本やネットで調べると、病院で受けている治療方針に疑問が生じたり納得がいかないと感じる人は少なくないようです。今の治療を不安に思った時、あなたはどうしますか? レディースクリニック北浜の奥裕嗣先生に伺いました。
2018.12.17
コラム 不妊治療
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同じ結果を繰り返さないようチームでミーティングを重ねオーダーメードの培養法を追究。
チーム医療を支えるプロフェッショナルの一人として、特に体外受精の分野には欠かせない培養士。その活動について聞きました。
2018.8.30
コラム 不妊治療
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葉酸、L-カルニチン、アルギニン、亜鉛 ドクターおすすめの栄養素とは?
妊娠の近道は、食生活を見直し、不足している栄養素を効率的に補うことが大切。奥先生に、おすすめの栄養素を教えて頂きました。
2018.5.22
コラム 不妊治療
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2度の初期流産。 このまま胚移植を続けるか、 若いうちに採卵するべき?
ちゅらさん(40歳)からの相談 相談内容 2月に採卵した凍結胚が8個あります。3日目胚2個、5日目胚盤胞2個、6日目胚盤胞4個、すべて顕微授精です。4月の二段階胚移植では、胎嚢を確認できず初期流産。6月の胚盤胞移植(2個)では8週で心拍が停止し、掻爬手術をしました(不育症検査で第12因子、プロテインS低下のためヘパリンを使用しています)。まだ凍結胚が4個残っていますが、残りの凍結胚も染色体異常の可能性は高いでしょうか。担当医は「凍結胚を使いきりましょう」とおっしゃっていましたが、もうつらい思いをしたくありません。少しでも若いうちに採卵をしたほうがよいのか迷っています。 これまでの治療データ ●検査・治療歴不妊治療歴5年。体外受精、顕微授精、不育症検査にて血液凝固系異常あり ●不妊の原因となる病名卵管水腫、腹膜炎による卵管癒着全 ●精子データ 異常なし ●漢方・サプリメントの使用なし ちゅらさんは2回流産を繰り返しています。先生のご意見をお聞かせください。お気持ちとしてはつらいと思います。流産の原因は染色体異常がある場合が60~70%、そのほかの原因がある場合が30~40%とされています。とくに染色体異常の確率は母体の年齢とともに上がり、40歳以上では80%以上になります。ちゅらさんも染色体異常が2回続いている可能性は否定できないですね。また、染色体異常と不育症が重なっていることも考えられます。このような方に対して、当院では絨毛染色体検査をおすすめしています。この検査では流死産後に得られる検体から胎盤絨毛組織や胎盤組織を採取・培養し、染色体の数や構造の異常がないかを調べて、染色体異常か不育症かを判別することができます。流産を2回以上繰り返していても絨毛染色体検査で染色体異常が見つかれば、たまたま染色体異常の受精卵が着床しただけで、次に染色体異常でない受精卵に出会えれば妊娠が継続できる可能性はあります。一方で染色体が正常であれば、不育症が原因ということになり、それに適した治療が必要になります。 ちゅらさんの場合は染色体異常か不育症かどちらかわかりませんが、不育症検査で第12因子とプロテインSが低下していますので、今後、胚移植をされる場合は、血液の循環を良くするアスピリンとヘパリンで同時に治療する必要があります。現在はヘパリン単独で治療をされているようですが、アスピリンとヘパリンそれぞれ単独で使用するよりも、それらを同時に併用するほうがより有効とされています。 また、2回連続で流産をしていても卵子は個々に違います。同じ周期に採卵した受精卵が連続して染色体異常だったとしても、ほかの受精卵もすべて染色体異常かどうかはわかりませんし、染色体異常の確率が高くなるということもありません。 このまま胚移植を続けるか? または、先に採卵しておいたほうがよいのでしょうか?40歳以上の方については、意見が分かれるところだと思います。治療の基本原則は、患者様の体の負担が少ない方法を選択するということです。残りの受精卵が1〜2個しかないということであれば話は別ですが、この方は4つ残っています。胚移植は凍結融解胚移植でも、自然周期移植でも子宮内膜を着床しやすい環境に整えるだけですので、胚移植を続けるほうが体への負担は少ないでしょう。ただ、どのようなグレードの凍結胚が残っているのかがわかりません。基本的に胚移植を続ける場合は、受精卵のグレードが良いことが前提になります。たとえば、6日目の胚盤胞の妊娠率は25〜30%で、5日目の胚盤胞に比べると妊娠率は約半分になります。もしもグレードが良い5日目の胚盤胞などが残っていれば、胚移植を続けられるといいと思います。 一方で、6日目の胚盤胞で、しかもグレードが良くないということであれば、この方もおっしゃるように、年齢が少しでも若いうちにグレードの良い卵子を採卵するという選択もあると思います。しかし、排卵誘発剤による体への負担をはじめ、採卵時の出血や細菌感染のリスクもありますのでケースバイケースです。 40歳以上の方には、胚盤胞移植と分割胚移植どちらがいいのでしょうか?良い受精卵を選定するという意味では、体外環境で受精卵の成長スピードが早く、高い着床率が期待できる胚盤胞のほうがいいのですが、40歳以上の方の受精卵は体外環境でのストレスに弱く体外での長期培養に適していないという説があり、初期胚で早く体内に戻すほうがよいとされています。分割胚から胚盤胞の成長過程で理想的なのは、1番が卵管内の自然環境で、2番目が体外環境です。 ちゅらさんはおそらく二段階胚移植をされているのだと思います。二段階胚移植は、同じ周期に2〜3日目の初期胚と5〜6日目の胚盤胞を二段階のタイミングに分けて移植する方法ですが、2つメリットがあります。1つ目は、初期胚と胚盤胞の2つの培養環境が異なる胚移植を同時に試せることです。先ほどお話ししたように、分割胚から胚盤胞まで卵管の中で育つのが一番良いとされていますので、グレードの低い受精卵が体外よりもいい環境で胚盤胞まで育ち、卵管から子宮に戻って着床することがあるかもしれません。2つ目は胚盤胞の着床率を上げる可能性です。1回目に移植した初期胚が子宮内膜を刺激することによって、次の胚盤胞が着床しやすくなる効果もあるといわれています。この方法は着床障害がある40代の方にも適しており、ちゅらさんのような方に合っていると思います。 Doctor’s advice ●残りの受精卵も染色体異常とは限りません。 ●体の負担を考えると胚移植の継続がベター。 ●二段階胚移植は着床障害の40代にもおすすめ。 先生から 移植を続けるか、採卵するかは40代では意見が分かれるところ。 体への負担などを考慮して検討を 奥 裕嗣 先生(レディースクリニック北浜) 1992 年愛知医科大学大学院修了。蒲郡市民病院勤務の後、アメリカに留学。Diamond Institute for Infertility and Menopause にて体外受精、顕微授精等、最先端の生殖医療技術を学ぶ。帰国後、IVF 大阪クリニック勤務、IVFなんばクリニック副院長を経て、2010 年レディースクリニック北浜を開院。医学博士、日本産科婦人科学会専門医、日本生殖医学会生殖医療専門医。先生が通勤リュックに入れて、いつも持ち歩いているのは趣味のカメラ。かつては、この季節になると京都の醍醐寺や原谷苑のしだれ桜の撮影に行かれたそう。「祗園新橋の夜桜もおすすめ。近くにある割烹『さか本』からの眺めも最高ですよ」。≫ レディースクリニック北浜出典:女性のための健康生活マガジン jineko vol.37 2018 Spring≫ 掲載記事一覧はこちら
2018.2.26
コラム 不妊治療
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アスピリンの服用期間について
ELLEさん(43歳)43歳、体外受精で初めての妊娠11週です。血液検査で抗リン脂質交代症候群でループスアンチコアグラントが引っかかり、ヘパリン注射とアスピリン81gを処方されていましたが、11週の検診ですべてストップしていいと言われました。しかし何もしなくて本当に大丈夫なのか不安になり、ドクターに伝えたところ、「希望するならアスピリン飲んでもいいよ。34週までなら大丈夫だから」とおっしゃいます。私としては、「どっちでもいいよ」と言われるとどっちがいいのかわからないので不安です。飲むのと中止するのとどちらがよいのでしょうか。 奥 裕嗣 先生 (レディースクリニック北浜) 私共は患者様一人ひとりとの出逢いを大切に、 徹底したインフォームド・コンセントを理想に掲げ、 スタッフ一同、すべての患者様に赤ちゃんのご縁がありますよう 切に願いながら、日々生殖医療に全力で取り組んでおります。 当院では最先端の生殖医療技術をご利用いただくとともに、 永く愛されるオリジナルの漢方療法もお受けいただけます。 また患者様の心理的なご負担にたいして優しいサポートが 出来るように、心理カウンセリングを備えました。 多様化する患者様の生活条件に合わせて、便利で快適に、 高度で確かな不妊治療を安心して受けていただけるように、ここ 「ザ・北浜プラザ」の医療モールにて開院することとなりました。 どうぞお気軽に、ご安心なさって、まずは扉をたたいてみてください。 ■略歴 1987年 愛知医科大学卒業 愛知医科大学産婦人科学教室入局 1988年 愛知医科大学大学院入学 女性ホルモンの動脈硬化抑制についての研究を行う。 (更年期障害の基礎的研究) 1992年 同大学院卒業 エラジン酸の抗酸化作用 (アンチエージング作用)の研究にて博士号修得 総合大雄会病院勤務 1995年 蒲郡市民病院勤務 1998年 アメリカ合衆国に留学 Diamond Institute for Infertility and Menopauseにて、体外受精、顕微授精等 最先端の生殖医療技術を3年間研修 2001年 IVF大阪クリニック勤務 2004年 IVFなんばクリニック勤務 2005年より副院長として勤務 2010年 レディースクリニック北浜開設 ≫ レディースクリニック北浜 抗リン脂質抗体症候群は、おもに血栓症や不育症を引き起こす自己免疫疾患で、不育症検査の一つである着床不全検査でわかります。原因についてははっきりとわかっていませんが、遺伝や環境因子など複数の要因が重なり合っていると考えられています。 抗リン脂質抗体は、ループスアンチコアグラントや抗カルジオリピン抗体(IgG・IgM)など複数の抗体からなり、これらの物質が増えることで血液の循環が悪くなったり、血管が詰まって血栓ができやすくなります。そのため、妊娠後の流産・死産や妊娠高血圧症、胎盤早期剥離などのリスクが高くなるとされています。 抗リン脂質抗体症候群の治療には、血液の循環を良くし、血栓をつくりにくくする、低用量のアスピリンやヘパリンを用います。投与期間については、一般的にアスピリンは28週までとされています。また、ヘパリンは最低でも36週投与します。半減期(お薬が作用する時間の目安)が12時間とされているため、当院では分娩の前日まですすめています。また、アスピリンとヘパリンは、それぞれ単独で使うよりも両方併用するほうが、正常な赤ちゃんを出産できる確率が高いといわれています。併用する場合は28週まで投与します。 不育症検査(着床不全検査)では、抗リン脂質抗体症候群のほかに、プロテインS欠乏症が10〜20%の確率で見つかることがあります。そのような場合、妊娠中期以降の胎児死亡のリスクが高くなり、アスピリン+ヘパリンの併用を長期間おこなうことが有効とされています。ただ、ヘパリンの投与期間については、先生によって意見がわかれるところですので、最終的な判断は産科の先生におまかせしています。アスピリンは28週まで服用しても問題ないでしょう。
2018.2.8
専門医Q&A 女性の健康
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きちんと知りたい! 不育症のこと
きちんと知りたい! 不育症のこと 奥 裕嗣 先生(レディースクリニック北浜) 妊娠はしても何度もくり返す流産…。それは不育症である可能性も。不育症の原因や検査、治療法についてレディースクリニック北浜の 奥裕嗣先生に伺いました。 流死産の多くは染色体異常が原因 不育症とは、妊娠はしても流産、死産、早期新生児死亡などを2回以上くり返す場合をいいます。化学流産を回数に入れるかどうかは意見が分かれるところですが、個人的には入れたほうがいいと考えています。 妊娠経験がある方が流産する確率は38%といわれています。流産のおもな原因として染色体異常とそれ以外の原因がありますが、実は、その多くは受精卵の染色体異常(染色体の数の異常)です(図1)。染色体異常による流産の確率は、20代で約50%、30代で60〜70%、40代では80%以上(図2)。母体の年齢が高くなるほど増加する傾向にあります。つまり流産を2回以上くり返している40代の方は、染色体異常が原因である可能性が高くなります。 「染色体異常」「不育症」を判別できる絨毛染色体検査 そこで当院では、流産を1回でも経験された方に絨毛染色体検査をおすすめしています。これは、流産手術や死産の時に得られた検体から胎盤絨毛組織や胎児組織を採取・培養し、染色体の数や構造に異常が生じていないかを調べる検査です。 この検査によって「染色体異常」、または「それ以外の原因」のどちらかを判別することができます。たとえば、流産を2回以上くり返す方に染色体異常が見つかった場合、卵子の染色体異常がたまたま続いただけで、次に染色体異常でない卵子に出会えれば妊娠する可能性は十分あります。そのためそれ以外の原因である可能性は低くなります。一方で、1回の流産で染色体異常が見つからなかった場合は、母体側になんらかの原因が隠れていると考えられます。 不育症の原因は大きく5つ。原因によって治療が異なる 不育症の頻度は2〜5%で、その多くを流産が占めています。原因と検査はさまざまで、当院では大きく5つに分けています(表1)。(1)赤ちゃんを異物と勘違いする免疫の異常(2)赤ちゃんを養う血管・血液の異常(3)母体が赤ちゃんを攻撃する抗体の異常(4)染色体の構造に問題がある染色体の異常(5)そのほか甲状腺の異常などです。 そのなかでも頻度が高いのは、血管・血液の異常による抗リン脂質抗体症候群です。また、プロテインS欠乏症は報告によると10%程度の確率といわれていますが、当院では20%の確率で見つかっています。さらに、血液の循環に影響するアンチトロンビンⅢや、ロバートソン転座型とよばれる染色体異常(染色体の構造の異常)はご夫婦のどちらかに見つかることがあり、流産の原因の10%程度あります。 治療については不育症の原因によって異なります。たとえば、血管・血液の異常にはアスピリン療法やヘパリン療法を行います。とくにプロテインS欠乏症や抗リン脂質抗体症候群の場合はアスピリン療法、ヘパリン療法を単独で行うよりも、両方を同時に行ったほうが出産の確率は高くなるといわれています。また、免疫の異常にはプレドニン®というステロイドホルモンや、免疫を抑える働きがある柴苓湯(さいれいとう)という漢方薬を用いることもあります。免疫の異常には、NK(ナチュラルキラー)細胞活性を下げる効果がある加味逍遙散(かみしょうようさん)という漢方薬も有効です。 POINT ●流産の約60%は染色体異常の可能性が ●まずは絨毛染色体検査をおすすめします ●不育症の原因に応じた治療が必要です [無料]気軽にご相談ください お話を伺った先生のご紹介 奥 裕嗣 先生(レディースクリニック北浜) 1992 年愛知医科大学大学院修了。蒲郡市民病院勤務の後、アメリカに留学。Diamond Institute for Infertility and Menopause にて体外受精、顕微授精等、最先端の生殖医療技術を学ぶ。帰国後、IVF 大阪クリニック勤務、IVFなんばクリニック副院長を経て、2010 年レディースクリニック北浜を開院。医学博士、日本産科婦人科学会専門医、日本生殖医学会生殖医療専門医。タイで英才教育を受けていたポメラニアンのイージーちゃんが来日し、初対面した先生。今年、タイとフィリピンでチャンピオンになり、次は日本と欧米のチャンピンをめざすそう。先生とお家で暮らせる日はまだ先のようです。 ≫ レディースクリニック北浜 出典:女性のための健康生活マガジン jineko vol.36 2017 Winter≫ 掲載記事一覧はこちら きちんと知りたい! 不育症のこと 奥 裕嗣 先生(レディースクリニック北浜) 妊娠はしても何度もくり返す流産…。それは不育症である可能性も。不育症の原因や検査、治療法についてレディースクリニック北浜の 奥裕嗣先生に伺いました。 流死産の多くは染色体異常が原因 不育症とは、妊娠はしても流産、死産、早期新生児死亡などを2回以上くり返す場合をいいます。化学流産を回数に入れるかどうかは意見が分かれるところですが、個人的には入れたほうがいいと考えています。 妊娠経験がある方が流産する確率は38%といわれています。流産のおもな原因として染色体異常とそれ以外の原因がありますが、実は、その多くは受精卵の染色体異常(染色体の数の異常)です(図1)。染色体異常による流産の確率は、20代で約50%、30代で60〜70%、40代では80%以上(図2)。母体の年齢が高くなるほど増加する傾向にあります。つまり流産を2回以上くり返している40代の方は、染色体異常が原因である可能性が高くなります。 「染色体異常」「不育症」を判別できる絨毛染色体検査 そこで当院では、流産を1回でも経験された方に絨毛染色体検査をおすすめしています。これは、流産手術や死産の時に得られた検体から胎盤絨毛組織や胎児組織を採取・培養し、染色体の数や構造に異常が生じていないかを調べる検査です。 この検査によって「染色体異常」、または「それ以外の原因」のどちらかを判別することができます。たとえば、流産を2回以上くり返す方に染色体異常が見つかった場合、卵子の染色体異常がたまたま続いただけで、次に染色体異常でない卵子に出会えれば妊娠する可能性は十分あります。そのためそれ以外の原因である可能性は低くなります。一方で、1回の流産で染色体異常が見つからなかった場合は、母体側になんらかの原因が隠れていると考えられます。 不育症の原因は大きく5つ。原因によって治療が異なる 不育症の頻度は2〜5%で、その多くを流産が占めています。原因と検査はさまざまで、当院では大きく5つに分けています(表1)。(1)赤ちゃんを異物と勘違いする免疫の異常(2)赤ちゃんを養う血管・血液の異常(3)母体が赤ちゃんを攻撃する抗体の異常(4)染色体の構造に問題がある染色体の異常(5)そのほか甲状腺の異常などです。 そのなかでも頻度が高いのは、血管・血液の異常による抗リン脂質抗体症候群です。また、プロテインS欠乏症は報告によると10%程度の確率といわれていますが、当院では20%の確率で見つかっています。さらに、血液の循環に影響するアンチトロンビンⅢや、ロバートソン転座型とよばれる染色体異常(染色体の構造の異常)はご夫婦のどちらかに見つかることがあり、流産の原因の10%程度あります。 治療については不育症の原因によって異なります。たとえば、血管・血液の異常にはアスピリン療法やヘパリン療法を行います。とくにプロテインS欠乏症や抗リン脂質抗体症候群の場合はアスピリン療法、ヘパリン療法を単独で行うよりも、両方を同時に行ったほうが出産の確率は高くなるといわれています。また、免疫の異常にはプレドニン®というステロイドホルモンや、免疫を抑える働きがある柴苓湯(さいれいとう)という漢方薬を用いることもあります。免疫の異常には、NK(ナチュラルキラー)細胞活性を下げる効果がある加味逍遙散(かみしょうようさん)という漢方薬も有効です。 POINT ●流産の約60%は染色体異常の可能性が ●まずは絨毛染色体検査をおすすめします ●不育症の原因に応じた治療が必要です [無料]気軽にご相談ください お話を伺った先生のご紹介 奥 裕嗣 先生(レディースクリニック北浜) 1992 年愛知医科大学大学院修了。蒲郡市民病院勤務の後、アメリカに留学。Diamond Institute for Infertility and Menopause にて体外受精、顕微授精等、最先端の生殖医療技術を学ぶ。帰国後、IVF 大阪クリニック勤務、IVFなんばクリニック副院長を経て、2010 年レディースクリニック北浜を開院。医学博士、日本産科婦人科学会専門医、日本生殖医学会生殖医療専門医。タイで英才教育を受けていたポメラニアンのイージーちゃんが来日し、初対面した先生。今年、タイとフィリピンでチャンピオンになり、次は日本と欧米のチャンピンをめざすそう。先生とお家で暮らせる日はまだ先のようです。 ≫ レディースクリニック北浜 出典:女性のための健康生活マガジン jineko vol.36 2017 Winter≫ 掲載記事一覧はこちら
2017.11.16
コラム 不妊治療
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夫がEDぎみ。2人目を人工授精したいけど…
夫がEDぎみ。2人目を人工授精したいけど… 奥 裕嗣 先生(レディースクリニック北浜) こはるさん(主婦/36歳)からの相談 ●2人目不妊の治療について 主人は40歳、私はもうすぐ37歳です。結婚当初から主人がEDぎみでセックスは相当少なく、子どもは諦めていたところ4年前に自然に妊娠、出産しました。子どもが好きな主人は2人目が欲しいと言うので2年ぶりに子づくりしたのですが最後までいきませんでした。それ以来、完全に自信がなくなったようで子どもが欲しいとすら言わなくなりました。病院で夫婦での受診をすすめられたのですが、夫は行きたがらず、不妊治療など人工的なことをするくらいなら2人目は諦めると受診しませんでした。しかし、娘が赤ちゃんを欲しいと言い出し、夫が泌尿器科でバイアグ○をもらってきて1年半ぶりにしたのですが、勃起は継続しても射精はできませんでした。翌日に副作用があったようで、私も心配でもう薬は飲まないでほしいです。夫はHサイトなどで射精はできるようです。私はホルモンや排卵など問題ないようなので、タイミング法で人工授精まで挑戦してみたいです。人工授精もかなり痛いという話を聞くと、スポイトを使って自分でしてみようと思うのですが、時間の無駄でしょうか? ED=勃起不全には薬物療法で、血流改善が有効に EDとは勃起不全のことで、性交時に十分な勃起が得られない、あるいは十分な勃起ができないことで満足な性交が行えない症状のことです。そもそも勃起は、性的な興奮が神経を通じて男性器に伝わり、陰茎海綿体の動脈が拡張し血液が十分に送られることで起こります。一方、神経や血管がうまく機能せず、陰茎海綿体に血液が十分に送られなくなると勃起不全が起こりやすくなります。 EDは要因によって「器質性ED」と「機能性ED」の2つに分けられます。前者は加齢や高血圧、脂質異常症、糖尿病などの動脈硬化によって起こるED。後者は精神的なストレスによって神経の性的興奮が男性器にうまく伝わらないことで起こるEDです。治療法としては、バイアグラ®、レビトラ®、シアリス®といった薬物療法で血流の改善をうながします。さらに当院ではレスベラトロールというサプリメントを併用しています。レスベラトロールはぶどうの種や皮に含まれる抗酸化物質で、血管拡張作用があるといわれており、薬物療法と同じように血流改善が期待できます。 射精障害には有効な治療法がなく人工授精が第一選択に おそらくご主人はEDではなく、射精障害だと思われます。射精障害はマスターベーションでは射精ができるのに、性交時に腟内に射精ができない状態をいいます。原因は精神的なストレスや誤ったマスターベーションの習慣によって起こるといわれています。ご主人の場合はタイミング法によるプレッシャーなどが原因で精神的なストレスがかかり、余計に射精ができなくなっているのかもしれません。残念ながら射精障害にはEDのような治療法がないため、赤ちゃんを希望される方は人工授精が第一選択になります。また、射精障害の方は精子所見も悪い傾向がありますので、そういう方には早めの体外受精や顕微授精をおすすめしています。そのほか当院では、心理カウンセラーによるカウンセリングをご夫婦で受けていただくこともあります。 近年、EDや射精障害といった男性不妊が原因で、人工授精を希望される方は増えています。なかでも射精障害はメンタル面が原因であることが多く、一般的にこのような悩みを抱えた男性は、自分自身に問題があるにもかかわらず検査を受けようとされず、奥様に非協力的でネガティブな傾向があるように感じます。赤ちゃんを授かるのはお二人の協力がなければできません。むずかしいかもしれませんが一つの目標に向かって、ご主人と一緒に取り組んでいくことが大切だと思います。 妊娠は夫婦の協力が大切二人できちんと話し合いを 2人目を希望されるのであれば、早くに人工授精をされるのがいいと思います。1人目を自然妊娠されており、その後のホルモン値なども問題ないとのことですので、精子さえ腟内に入ることができれば妊娠の可能性はあるでしょう。ただ、1人目を妊娠された時よりは、妊娠率が下がってくる年齢にさしかかっていますから、人工授精されるにしてもスピード感が重要になってきます。ご質問のスポイトの使用については感染のリスクもあり、医師の立場からはおすすめできません。 また、ご主人のお気持ちにもよりますが、泌尿器科の先生にきちんと診てもらってはいかがでしょうか。当院では毎月1回(土曜日)に泌尿器の専門医による男性不妊外来を行っています。このようなケースでは、女性側と男性側の両面の治療が大切になりますから、まずは泌尿器科で勃起不全、射精障害といった器質的な異常がないかを必ず確認してもらうようにしています。たとえば、EDの場合は高血圧、脂質異常症、糖尿病など内科的な疾患が隠れている可能性があります。糖尿病のコントロールをするだけで治るケースもあります。お二人でよくお話をされて、納得できる選択をしてください。 院内の静かな場所に設けられた採精ルーム。毎月1回(土曜日)、泌尿器専門医による男性不妊外来も行っています。 TOPIC お薬の特性を理解し、自分に合った選択をED(勃起不全)の治療薬にはバイアグラ®、レビトラ®、シアリス®の3種類があります。それぞれに効き目、使用感、持続時間、副作用が異なります。特徴としては、バイアグラ®は服用後30分程度で作用し、血中濃度のピークは1時間後(持続時間は5〜6時間)。レビトラ®は服用後15分程度で作用し、血中濃度のピークは45分後(持続時間は5〜6時間)。シアリス®は1〜2時間でゆっくり作用し、24〜36時間持続します。即効性が高いものから、長く持続するマイルドなものまであり、自分に合ったお薬を選ぶことが大切です。ちなみに、これらのお薬は血流改善を目的としているため、EDとは原因が異なる射精障害には効き目はありません。 奥先生より まとめ ご主人は射精障害の可能性が。早めの人工授精をおすすめします [無料]気軽にご相談ください お話を伺った先生のご紹介 奥 裕嗣 先生(レディースクリニック北浜) 1992年愛知医科大学大学院修了。蒲郡市民病院勤務の後、アメリカに留学。Diamond Institute for Infertility and Menopauseにて体外受精、顕微授精等、最先端の生殖医療技術を学ぶ。帰国後、IVF大阪クリニック勤務、IVFなんばクリニック副院長を経て、2010年レディースクリニック北浜を開院。医学博士、日本産科婦人科学会専門医、日本生殖医学会生殖医療専門医。6月に最新のレーザーアシストハッチング(補助孵化術)械を導入。従来よりも受精卵の透明帯を薄くして、受精卵の細胞質のダメージが少なく卵子にやさしいのだとか。「今後の成績向上につながると嬉しいですね」と先生。 ≫ レディースクリニック北浜 出典:女性のための健康生活マガジン jineko vol.35 2017 Autumn≫ 掲載記事一覧はこちら 夫がEDぎみ。2人目を人工授精したいけど… 奥 裕嗣 先生(レディースクリニック北浜) こはるさん(主婦/36歳)からの相談 ●2人目不妊の治療について 主人は40歳、私はもうすぐ37歳です。結婚当初から主人がEDぎみでセックスは相当少なく、子どもは諦めていたところ4年前に自然に妊娠、出産しました。子どもが好きな主人は2人目が欲しいと言うので2年ぶりに子づくりしたのですが最後までいきませんでした。それ以来、完全に自信がなくなったようで子どもが欲しいとすら言わなくなりました。病院で夫婦での受診をすすめられたのですが、夫は行きたがらず、不妊治療など人工的なことをするくらいなら2人目は諦めると受診しませんでした。しかし、娘が赤ちゃんを欲しいと言い出し、夫が泌尿器科でバイアグ○をもらってきて1年半ぶりにしたのですが、勃起は継続しても射精はできませんでした。翌日に副作用があったようで、私も心配でもう薬は飲まないでほしいです。夫はHサイトなどで射精はできるようです。私はホルモンや排卵など問題ないようなので、タイミング法で人工授精まで挑戦してみたいです。人工授精もかなり痛いという話を聞くと、スポイトを使って自分でしてみようと思うのですが、時間の無駄でしょうか? ED=勃起不全には薬物療法で、血流改善が有効に EDとは勃起不全のことで、性交時に十分な勃起が得られない、あるいは十分な勃起ができないことで満足な性交が行えない症状のことです。そもそも勃起は、性的な興奮が神経を通じて男性器に伝わり、陰茎海綿体の動脈が拡張し血液が十分に送られることで起こります。一方、神経や血管がうまく機能せず、陰茎海綿体に血液が十分に送られなくなると勃起不全が起こりやすくなります。 EDは要因によって「器質性ED」と「機能性ED」の2つに分けられます。前者は加齢や高血圧、脂質異常症、糖尿病などの動脈硬化によって起こるED。後者は精神的なストレスによって神経の性的興奮が男性器にうまく伝わらないことで起こるEDです。治療法としては、バイアグラ®、レビトラ®、シアリス®といった薬物療法で血流の改善をうながします。さらに当院ではレスベラトロールというサプリメントを併用しています。レスベラトロールはぶどうの種や皮に含まれる抗酸化物質で、血管拡張作用があるといわれており、薬物療法と同じように血流改善が期待できます。 射精障害には有効な治療法がなく人工授精が第一選択に おそらくご主人はEDではなく、射精障害だと思われます。射精障害はマスターベーションでは射精ができるのに、性交時に腟内に射精ができない状態をいいます。原因は精神的なストレスや誤ったマスターベーションの習慣によって起こるといわれています。ご主人の場合はタイミング法によるプレッシャーなどが原因で精神的なストレスがかかり、余計に射精ができなくなっているのかもしれません。残念ながら射精障害にはEDのような治療法がないため、赤ちゃんを希望される方は人工授精が第一選択になります。また、射精障害の方は精子所見も悪い傾向がありますので、そういう方には早めの体外受精や顕微授精をおすすめしています。そのほか当院では、心理カウンセラーによるカウンセリングをご夫婦で受けていただくこともあります。 近年、EDや射精障害といった男性不妊が原因で、人工授精を希望される方は増えています。なかでも射精障害はメンタル面が原因であることが多く、一般的にこのような悩みを抱えた男性は、自分自身に問題があるにもかかわらず検査を受けようとされず、奥様に非協力的でネガティブな傾向があるように感じます。赤ちゃんを授かるのはお二人の協力がなければできません。むずかしいかもしれませんが一つの目標に向かって、ご主人と一緒に取り組んでいくことが大切だと思います。 妊娠は夫婦の協力が大切二人できちんと話し合いを 2人目を希望されるのであれば、早くに人工授精をされるのがいいと思います。1人目を自然妊娠されており、その後のホルモン値なども問題ないとのことですので、精子さえ腟内に入ることができれば妊娠の可能性はあるでしょう。ただ、1人目を妊娠された時よりは、妊娠率が下がってくる年齢にさしかかっていますから、人工授精されるにしてもスピード感が重要になってきます。ご質問のスポイトの使用については感染のリスクもあり、医師の立場からはおすすめできません。 また、ご主人のお気持ちにもよりますが、泌尿器科の先生にきちんと診てもらってはいかがでしょうか。当院では毎月1回(土曜日)に泌尿器の専門医による男性不妊外来を行っています。このようなケースでは、女性側と男性側の両面の治療が大切になりますから、まずは泌尿器科で勃起不全、射精障害といった器質的な異常がないかを必ず確認してもらうようにしています。たとえば、EDの場合は高血圧、脂質異常症、糖尿病など内科的な疾患が隠れている可能性があります。糖尿病のコントロールをするだけで治るケースもあります。お二人でよくお話をされて、納得できる選択をしてください。 院内の静かな場所に設けられた採精ルーム。毎月1回(土曜日)、泌尿器専門医による男性不妊外来も行っています。 TOPIC お薬の特性を理解し、自分に合った選択をED(勃起不全)の治療薬にはバイアグラ®、レビトラ®、シアリス®の3種類があります。それぞれに効き目、使用感、持続時間、副作用が異なります。特徴としては、バイアグラ®は服用後30分程度で作用し、血中濃度のピークは1時間後(持続時間は5〜6時間)。レビトラ®は服用後15分程度で作用し、血中濃度のピークは45分後(持続時間は5〜6時間)。シアリス®は1〜2時間でゆっくり作用し、24〜36時間持続します。即効性が高いものから、長く持続するマイルドなものまであり、自分に合ったお薬を選ぶことが大切です。ちなみに、これらのお薬は血流改善を目的としているため、EDとは原因が異なる射精障害には効き目はありません。 奥先生より まとめ ご主人は射精障害の可能性が。早めの人工授精をおすすめします [無料]気軽にご相談ください お話を伺った先生のご紹介 奥 裕嗣 先生(レディースクリニック北浜) 1992年愛知医科大学大学院修了。蒲郡市民病院勤務の後、アメリカに留学。Diamond Institute for Infertility and Menopauseにて体外受精、顕微授精等、最先端の生殖医療技術を学ぶ。帰国後、IVF大阪クリニック勤務、IVFなんばクリニック副院長を経て、2010年レディースクリニック北浜を開院。医学博士、日本産科婦人科学会専門医、日本生殖医学会生殖医療専門医。6月に最新のレーザーアシストハッチング(補助孵化術)械を導入。従来よりも受精卵の透明帯を薄くして、受精卵の細胞質のダメージが少なく卵子にやさしいのだとか。「今後の成績向上につながると嬉しいですね」と先生。 ≫ レディースクリニック北浜 出典:女性のための健康生活マガジン jineko vol.35 2017 Autumn≫ 掲載記事一覧はこちら
2017.8.16
コラム 不妊治療
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タイムラプスを活用した受精卵の成長について教えてください
タイムラプスを活用した受精卵の成長について教えてください 奥 裕嗣 先生(レディースクリニック北浜) 40代の妊娠と受精卵の成長はどのようにかかわっているのでしょうか。近年、タイムラプスを活用した受精卵の選別について臨床研究を進めている、レディースクリニック北浜の奥 裕嗣先生にくわしく教えていただきました。 40代の流産の原因は染色体異常がほとんど 流産の原因は母体の年齢によって異なりますが、染色体異常とその他の原因の大きく2つに分かれます。なかでも年齢とともに染色体異常の確率が高くなり、20代では50%、40歳以上では80%以上になります。とくに染色体異常のほとんどは「数の異常」によるものです。通常は2本ある染色体が、トリソミー(染色体が3本)やモノソミー(染色体が1本)になると、流産や死産の可能性が高くなります。一方、わずかな確率で起こる「構造異常」もあります。これは染色体に異常が起こり、構造が一部変化したもので「転座型」とも呼ばれます。しかし、40歳以上の原因のほとんどはトリソミーの染色体異常です。染色体異常以外の原因には、抗リン脂質抗体、血液凝固系の異常、抗核抗体などがあります。 見た目で受精卵を選ぶ評価方法に限界も 40歳以上の受精卵については、成長スピードが遅くなる傾向はありますが、全員ではありません。それよりも厄介なのは、形態的にみてまったく問題がなさそうにみえる受精卵です。例えば、グレードが良好で理想的な胚盤胞に成長したとしてもその約40%に染色体異常の可能性があります。形態的な評価のみで移植を行った場合のリスクは非常に高く、染色体異常の受精卵が着床してしまうと、妊娠しないこと以上に経過がよくありません。妊娠しなければすぐに治療ができますが、染色体異常の受精卵が着床した場合は、流産手術など肉体的、精神的な負担が大きいうえに、その後の治療を再開するまでに3〜5カ月を要することになります。仮に分割胚のグレード4〜5の受精卵であれば、染色体異常の可能性は十分に考えられますが、グレードが非常に良い場合であっても染色体異常の可能性があるため、PGS(着床前診断)が認可されていない日本では、そのあたりの判断がむずかしいところです。 ※AMH:抗ミュラー管ホルモン タイムラプスによる受精卵の選別が可能に!? そこで、当院ではタイムラプスによる受精卵の選別を試みています。タイムラプス(低速度撮影)で24時間、受精卵の成長をモニターしながら、良い受精卵を選んでいきます。 受精卵の分割過程を観察していると、通常は2分割から4分割と偶数に分割しますが、なかには1分割から3分割と奇数に分割する卵子があることがわかります。このような卵子は、胚盤胞になりにくく染色体異常のリスクが高い(妊娠率が低く、流産率が高い)とされており、受精卵の選択が可能な場合は、形態的な評価は高くても第一選択で移植しないようにしています。 また、これまで胚盤胞の成長は平均5日目、遅いもので6日目というのが一般的な考え方でした。しかし、タイムラプスで観察すると4日目で胚盤胞になるものがかなりあることもわかってきました。早く成長するということは良い卵子である可能性が高いということです。ちなみに、当院で4日目の胚盤胞を移植した時の着床率は約80%です。タイムラプスの導入により、4日目の胚盤胞を選べるようになったことも大きな成果です。 40代には分割胚の凍結胚移植を提案 40歳以上の受精卵染色体異常の確率は80%以上とお話しましたが、それ以外の正常なものをどうレスキューしていくか。当院では、40歳以上の方には凍結胚移植を積極的に提案しています。その理由は、40歳以上の妊娠率が新鮮胚移植で19%、凍結胚移植では37・5%と圧倒的に高く、OHSS(卵巣過剰刺激症候群)の予防にもつながること。さらに日本で開発されたガラス化法の凍結技術は、受精卵の変性が少なく、受精卵を効率良く利用できるからです。 また、40歳以上の受精卵の成長スピードは遅い傾向にありますから、受精卵を凍結している間に黄体ホルモン補充を行い、「着床の窓」といわれるインプランテーションウィンドウの開閉を遅らせて着床しやすいタイミングをつくることができます。 さらに、絶対的ではありませんが、40歳以上の受精卵は体外培養のストレスに弱く、胚盤胞よりも早く移植するのが望ましいとの報告があります。例えば、アメリカのビル・リー医師は、採取した卵子と精子を卵管内で受精させるGIFT法を奨励しています。そこで、当院でも40歳以上の凍結胚移植においては、胚盤胞ではなく、2日目の分割胚を初回は実施しています。 最後に、40歳以上の妊娠・出産率は、さらに年齢を重ねるにつれ、低くなる一方です。例えば、40歳でご結婚された方は、その時点ですでにご自分が不妊症である可能性があると思っていただくことが妊娠への近道です。すぐに病院にかかられることをおすすめします。 奥先生より まとめ 40歳以上に多い染色体異常の受精卵。タイムラプスで選別できる日が来るかもしれません。 [無料]気軽にご相談ください お話を伺った先生のご紹介 奥 裕嗣 先生(レディースクリニック北浜) 1992年愛知医科大学大学院修了。蒲郡市民病院勤務の後、アメリカに留学。Diamond Institute for Infertility and Menopauseにて体外受精、顕微受精等、最先端の生殖医療技術を学ぶ。帰国後、IVF大阪クリニック勤務、IVFなんばクリニック副院長を経て、2010年レディースクリニック北浜を開院。医学博士、日本産婦人科学会専門医、日本生殖医学会生殖医療専門医。もうすぐタイで英才教育を受けたワンちゃんが来日。家族になる日を楽しみにしている先生。「今いる子は日本チャンピオンなので、新しい子は世界チャンピオンに(笑)世界を飛び回ってほしいですね」 ≫ レディースクリニック北浜 出典:女性のための健康生活マガジン jineko vol.33 2017 Spring≫ 掲載記事一覧はこちら タイムラプスを活用した受精卵の成長について教えてください 奥 裕嗣 先生(レディースクリニック北浜) 40代の妊娠と受精卵の成長はどのようにかかわっているのでしょうか。近年、タイムラプスを活用した受精卵の選別について臨床研究を進めている、レディースクリニック北浜の奥 裕嗣先生にくわしく教えていただきました。 40代の流産の原因は染色体異常がほとんど 流産の原因は母体の年齢によって異なりますが、染色体異常とその他の原因の大きく2つに分かれます。なかでも年齢とともに染色体異常の確率が高くなり、20代では50%、40歳以上では80%以上になります。とくに染色体異常のほとんどは「数の異常」によるものです。通常は2本ある染色体が、トリソミー(染色体が3本)やモノソミー(染色体が1本)になると、流産や死産の可能性が高くなります。一方、わずかな確率で起こる「構造異常」もあります。これは染色体に異常が起こり、構造が一部変化したもので「転座型」とも呼ばれます。しかし、40歳以上の原因のほとんどはトリソミーの染色体異常です。染色体異常以外の原因には、抗リン脂質抗体、血液凝固系の異常、抗核抗体などがあります。 見た目で受精卵を選ぶ評価方法に限界も 40歳以上の受精卵については、成長スピードが遅くなる傾向はありますが、全員ではありません。それよりも厄介なのは、形態的にみてまったく問題がなさそうにみえる受精卵です。例えば、グレードが良好で理想的な胚盤胞に成長したとしてもその約40%に染色体異常の可能性があります。形態的な評価のみで移植を行った場合のリスクは非常に高く、染色体異常の受精卵が着床してしまうと、妊娠しないこと以上に経過がよくありません。妊娠しなければすぐに治療ができますが、染色体異常の受精卵が着床した場合は、流産手術など肉体的、精神的な負担が大きいうえに、その後の治療を再開するまでに3〜5カ月を要することになります。仮に分割胚のグレード4〜5の受精卵であれば、染色体異常の可能性は十分に考えられますが、グレードが非常に良い場合であっても染色体異常の可能性があるため、PGS(着床前診断)が認可されていない日本では、そのあたりの判断がむずかしいところです。 ※AMH:抗ミュラー管ホルモン タイムラプスによる受精卵の選別が可能に!? そこで、当院ではタイムラプスによる受精卵の選別を試みています。タイムラプス(低速度撮影)で24時間、受精卵の成長をモニターしながら、良い受精卵を選んでいきます。 受精卵の分割過程を観察していると、通常は2分割から4分割と偶数に分割しますが、なかには1分割から3分割と奇数に分割する卵子があることがわかります。このような卵子は、胚盤胞になりにくく染色体異常のリスクが高い(妊娠率が低く、流産率が高い)とされており、受精卵の選択が可能な場合は、形態的な評価は高くても第一選択で移植しないようにしています。 また、これまで胚盤胞の成長は平均5日目、遅いもので6日目というのが一般的な考え方でした。しかし、タイムラプスで観察すると4日目で胚盤胞になるものがかなりあることもわかってきました。早く成長するということは良い卵子である可能性が高いということです。ちなみに、当院で4日目の胚盤胞を移植した時の着床率は約80%です。タイムラプスの導入により、4日目の胚盤胞を選べるようになったことも大きな成果です。 40代には分割胚の凍結胚移植を提案 40歳以上の受精卵染色体異常の確率は80%以上とお話しましたが、それ以外の正常なものをどうレスキューしていくか。当院では、40歳以上の方には凍結胚移植を積極的に提案しています。その理由は、40歳以上の妊娠率が新鮮胚移植で19%、凍結胚移植では37・5%と圧倒的に高く、OHSS(卵巣過剰刺激症候群)の予防にもつながること。さらに日本で開発されたガラス化法の凍結技術は、受精卵の変性が少なく、受精卵を効率良く利用できるからです。 また、40歳以上の受精卵の成長スピードは遅い傾向にありますから、受精卵を凍結している間に黄体ホルモン補充を行い、「着床の窓」といわれるインプランテーションウィンドウの開閉を遅らせて着床しやすいタイミングをつくることができます。 さらに、絶対的ではありませんが、40歳以上の受精卵は体外培養のストレスに弱く、胚盤胞よりも早く移植するのが望ましいとの報告があります。例えば、アメリカのビル・リー医師は、採取した卵子と精子を卵管内で受精させるGIFT法を奨励しています。そこで、当院でも40歳以上の凍結胚移植においては、胚盤胞ではなく、2日目の分割胚を初回は実施しています。 最後に、40歳以上の妊娠・出産率は、さらに年齢を重ねるにつれ、低くなる一方です。例えば、40歳でご結婚された方は、その時点ですでにご自分が不妊症である可能性があると思っていただくことが妊娠への近道です。すぐに病院にかかられることをおすすめします。 奥先生より まとめ 40歳以上に多い染色体異常の受精卵。タイムラプスで選別できる日が来るかもしれません。 [無料]気軽にご相談ください お話を伺った先生のご紹介 奥 裕嗣 先生(レディースクリニック北浜) 1992年愛知医科大学大学院修了。蒲郡市民病院勤務の後、アメリカに留学。Diamond Institute for Infertility and Menopauseにて体外受精、顕微受精等、最先端の生殖医療技術を学ぶ。帰国後、IVF大阪クリニック勤務、IVFなんばクリニック副院長を経て、2010年レディースクリニック北浜を開院。医学博士、日本産婦人科学会専門医、日本生殖医学会生殖医療専門医。もうすぐタイで英才教育を受けたワンちゃんが来日。家族になる日を楽しみにしている先生。「今いる子は日本チャンピオンなので、新しい子は世界チャンピオンに(笑)世界を飛び回ってほしいですね」 ≫ レディースクリニック北浜 出典:女性のための健康生活マガジン jineko vol.33 2017 Spring≫ 掲載記事一覧はこちら
2017.5.27
コラム 不妊治療
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情熱のカルテ レディースクリニック北浜 奥 裕嗣 先生
治療の限界を感じ体外受精を学ぶため米国へ ――先生が産婦人科医になるまでのきっかけやこれまでの道のりを教えてください。 「和歌山県で安土桃山時代から代々医療にたずさわる家系の長男に生まれました。曽祖父の時代からは産婦人科を営み、父や母が医師として働く姿を身近に感じて育ちましたので、子どもながらに自分も医学部に入り、産婦人科医になるんだという想いは漠然とありましたね。成長過程では決められたレールを歩むことに抵抗した時期もありましたが、いま思えば医師をめざすのは自然のなりゆきでした。 産婦人科医になって1年後に大学院に入り、生殖医療とは直接関係のない生化学分野で、女性の更年期障害や加齢にかかわる過酸化脂質について研究。学位を取得後、総合大雄会病院、蒲郡市民病院の勤務医として、分娩や手術など一般産科の治療に携わるようになりました」 ――その後、アメリカに留学されたのですね。 「勤務先の病院では人工授精までおこなっていたのですが、これだけでは治療に限界があると感じるようになりました。だからこそ、なんとか最先端である体外受精に直接かかわり、勉強をしたいという思いが強くなった。それがきっかけでしたね。 ちょうどその頃、大学院で同じ研究所だった浅田義正先生(浅田レディースクリニック理事長)や、向田哲規先生(広島HARTクリニック院長)がアメリカで先端の生殖医療を学んで続々と帰国されました。そこでお二人に相談したところ、それぞれの先生のご尽力により、1998年に向田先生の留学先であった米国・ニュージャージー州にある不妊専門クリニック「Diamond Institute for Infertility and Menopause」で体外受精を学ぶ機会を得ました。 アメリカでは、おもに体外受精には欠かせないエンブリオロジスト(胚培養士)の仕事を学びました。そこでお世話になったアメリカのボスはDr.エミーニとバーケンフェルド。日本人と勤勉な気質が似ているユダヤ系の彼らのもとでの研修はとても有意義でした。なかでも強く印象に残っているのが『ブラッドミーティング』。たとえば日本では、刺激周期中は患者様に通常3〜4回通院していただくのが一般的ですが、研修先では患者様に毎日通院してもらい採血します。そして毎日の採血データをみながら自己注射の量を微調整するなど、その臨床のあり方に驚きました。さらに私のような研修医や看護師が立場に関係なくミーティングに参加することができて、いいアイデアは積極的に採用してもらえるオープンな環境もモチベーションのアップにつながりました。そんな臨床のあり方や、体外受精の基礎を学んだこの3年間がなければ、いまの私はなかったと思います」 一人ひとりに一貫した治療を届けるため開業医の道に ――帰国後はIVF大阪・IVFなんばクリニックで副院長として勤務された後、現在のクリニックを開業されました。開業医の道を選んだ理由もお聞かせください。 「IVF大阪・IVFなんばクリニックに勤務していた時は、理事長の森本義晴先生には、日本の最先端の生殖医療の現場で、たくさんの症例を経験させていただいてとても感謝しています。振り返ってみると、不妊治療医としての人生はいい出会いに恵まれた結果だと思います。 また、この頃にはアメリカで体外受精を学ぶことを反対していた産婦人科医の父が、漢方薬や人工授精では手立てが難しい患者様を私に紹介してくれるようになりました。そういう意味では父も私を認めてくれていたのかなと思い、うれしかったですね。 最後まで勤務医か開業医かという選択で迷いましたが、2010年に実家のある和歌山ではなく、体外受精を必要とされる患者様が通院しやすい大阪に開院しました。大病院では排卵誘発、採卵、胚移植など治療内容によって、一人の患者様を担当する医師がそれぞれ異なります。私には一人ひとりの患者様を最後まで一貫して診たいという想いがありました。やはり開業医の家系で育ったことが大きかったのかもしれません」 結果が出ない患者様にも最後まで力を尽くしたい ――開院されて7年目を迎えますが、日々どんな想いで治療に臨まれていますか。また今後についてお聞かせください。 「当院では、少人数の医師が一般不妊治療から体外受精まで一貫して行うことで、クオリティの高い医療を提供したいと考えています。そのためには最新情報にアンテナを張り、自己研鑽していくこと。さらに、アメリカで学んだ経験や検証法をベースに、排卵誘発から培養液の選択、培養室の温度管理に至るまで、結果が出ない方の治療検証を繰り返し、一人でも多くの患者様が赤ちゃんを授かれるよう力を尽くしていきたいです。生殖医療の技術は進んでいますので、ある程度早い年齢でお越しいただいた方は、かなり高い確率でいい結果が出ています。しかし、現代の医療でも残念ながら結果が出ない方もいらっしゃいます。私の想いは、当院を選んで治療を受けていただいたけれども結果が出なかった、そのような患者様にも、『ここで治療を受けて良かった』と納得して卒業していただくことです。アメリカでの経験を活かしてオープンな環境とチームワークを大切にしながら、つねに最良の治療を届けていきたいと思っています」 (左)体外受精の説明会も定期的に開催しているサロンのような待合室。 (中央)臨床心理士によるカウンセリングでご夫婦の心身をサポート。 (右)採卵後の卵子をスピーディーに検卵できるよう集約した採卵室、培養室、リカバリールーム。 お話を伺った先生のご紹介 奥 裕嗣 先生(レディースクリニック北浜) 1992年愛知医科大学大学院修了。蒲郡市民病院勤務の後、アメリカに留学。Diamond Institute for Infertility and Menopauseにて体外受精、顕微授精等、最先端の生殖医療技術を学ぶ。帰国後、IVF大阪クリニック勤務、IVFなんばクリニック副院長を経て、2010年レディースクリニック北浜を開院。医学博士、日本産婦人科学会専門医、日本生殖医学会生殖医療専門医。採卵室と壁一枚で仕切られた培養室には、採卵後の卵子をスピーディーに検卵できる特注のパスボックスを設置。採卵後の卵子の温度変化にも配慮したアイデアは、胚培養士の資格を持つ先生ならではの発想です。 出典:女性のための健康生活マガジン jineko vol.34 2017 Summer≫ 掲載記事一覧はこちら 治療の限界を感じ体外受精を学ぶため米国へ ――先生が産婦人科医になるまでのきっかけやこれまでの道のりを教えてください。 「和歌山県で安土桃山時代から代々医療にたずさわる家系の長男に生まれました。曽祖父の時代からは産婦人科を営み、父や母が医師として働く姿を身近に感じて育ちましたので、子どもながらに自分も医学部に入り、産婦人科医になるんだという想いは漠然とありましたね。成長過程では決められたレールを歩むことに抵抗した時期もありましたが、いま思えば医師をめざすのは自然のなりゆきでした。 産婦人科医になって1年後に大学院に入り、生殖医療とは直接関係のない生化学分野で、女性の更年期障害や加齢にかかわる過酸化脂質について研究。学位を取得後、総合大雄会病院、蒲郡市民病院の勤務医として、分娩や手術など一般産科の治療に携わるようになりました」 ――その後、アメリカに留学されたのですね。 「勤務先の病院では人工授精までおこなっていたのですが、これだけでは治療に限界があると感じるようになりました。だからこそ、なんとか最先端である体外受精に直接かかわり、勉強をしたいという思いが強くなった。それがきっかけでしたね。 ちょうどその頃、大学院で同じ研究所だった浅田義正先生(浅田レディースクリニック理事長)や、向田哲規先生(広島HARTクリニック院長)がアメリカで先端の生殖医療を学んで続々と帰国されました。そこでお二人に相談したところ、それぞれの先生のご尽力により、1998年に向田先生の留学先であった米国・ニュージャージー州にある不妊専門クリニック「Diamond Institute for Infertility and Menopause」で体外受精を学ぶ機会を得ました。 アメリカでは、おもに体外受精には欠かせないエンブリオロジスト(胚培養士)の仕事を学びました。そこでお世話になったアメリカのボスはDr.エミーニとバーケンフェルド。日本人と勤勉な気質が似ているユダヤ系の彼らのもとでの研修はとても有意義でした。なかでも強く印象に残っているのが『ブラッドミーティング』。たとえば日本では、刺激周期中は患者様に通常3〜4回通院していただくのが一般的ですが、研修先では患者様に毎日通院してもらい採血します。そして毎日の採血データをみながら自己注射の量を微調整するなど、その臨床のあり方に驚きました。さらに私のような研修医や看護師が立場に関係なくミーティングに参加することができて、いいアイデアは積極的に採用してもらえるオープンな環境もモチベーションのアップにつながりました。そんな臨床のあり方や、体外受精の基礎を学んだこの3年間がなければ、いまの私はなかったと思います」 一人ひとりに一貫した治療を届けるため開業医の道に ――帰国後はIVF大阪・IVFなんばクリニックで副院長として勤務された後、現在のクリニックを開業されました。開業医の道を選んだ理由もお聞かせください。 「IVF大阪・IVFなんばクリニックに勤務していた時は、理事長の森本義晴先生には、日本の最先端の生殖医療の現場で、たくさんの症例を経験させていただいてとても感謝しています。振り返ってみると、不妊治療医としての人生はいい出会いに恵まれた結果だと思います。 また、この頃にはアメリカで体外受精を学ぶことを反対していた産婦人科医の父が、漢方薬や人工授精では手立てが難しい患者様を私に紹介してくれるようになりました。そういう意味では父も私を認めてくれていたのかなと思い、うれしかったですね。 最後まで勤務医か開業医かという選択で迷いましたが、2010年に実家のある和歌山ではなく、体外受精を必要とされる患者様が通院しやすい大阪に開院しました。大病院では排卵誘発、採卵、胚移植など治療内容によって、一人の患者様を担当する医師がそれぞれ異なります。私には一人ひとりの患者様を最後まで一貫して診たいという想いがありました。やはり開業医の家系で育ったことが大きかったのかもしれません」 結果が出ない患者様にも最後まで力を尽くしたい ――開院されて7年目を迎えますが、日々どんな想いで治療に臨まれていますか。また今後についてお聞かせください。 「当院では、少人数の医師が一般不妊治療から体外受精まで一貫して行うことで、クオリティの高い医療を提供したいと考えています。そのためには最新情報にアンテナを張り、自己研鑽していくこと。さらに、アメリカで学んだ経験や検証法をベースに、排卵誘発から培養液の選択、培養室の温度管理に至るまで、結果が出ない方の治療検証を繰り返し、一人でも多くの患者様が赤ちゃんを授かれるよう力を尽くしていきたいです。生殖医療の技術は進んでいますので、ある程度早い年齢でお越しいただいた方は、かなり高い確率でいい結果が出ています。しかし、現代の医療でも残念ながら結果が出ない方もいらっしゃいます。私の想いは、当院を選んで治療を受けていただいたけれども結果が出なかった、そのような患者様にも、『ここで治療を受けて良かった』と納得して卒業していただくことです。アメリカでの経験を活かしてオープンな環境とチームワークを大切にしながら、つねに最良の治療を届けていきたいと思っています」 (左)体外受精の説明会も定期的に開催しているサロンのような待合室。 (中央)臨床心理士によるカウンセリングでご夫婦の心身をサポート。 (右)採卵後の卵子をスピーディーに検卵できるよう集約した採卵室、培養室、リカバリールーム。 お話を伺った先生のご紹介 奥 裕嗣 先生(レディースクリニック北浜) 1992年愛知医科大学大学院修了。蒲郡市民病院勤務の後、アメリカに留学。Diamond Institute for Infertility and Menopauseにて体外受精、顕微授精等、最先端の生殖医療技術を学ぶ。帰国後、IVF大阪クリニック勤務、IVFなんばクリニック副院長を経て、2010年レディースクリニック北浜を開院。医学博士、日本産婦人科学会専門医、日本生殖医学会生殖医療専門医。採卵室と壁一枚で仕切られた培養室には、採卵後の卵子をスピーディーに検卵できる特注のパスボックスを設置。採卵後の卵子の温度変化にも配慮したアイデアは、胚培養士の資格を持つ先生ならではの発想です。 出典:女性のための健康生活マガジン jineko vol.34 2017 Summer≫ 掲載記事一覧はこちら
2017.5.21
コラム 不妊治療
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3回の化学流産。 このまま移植を続けて 結果が出るのか不安です
3回の化学流産。 このまま移植を続けて 結果が出るのか不安です 相談者:echoさん(40歳)体外受精の継続について3回目の胚盤胞移植をして反応はあるものの、hCG数値が低く継続できません。このまま移植を続けて良い結果が出るのか不安です。子宮頸がん検査でHPV感染による異形成があり、経過観察中なのですが影響はありますか? また化学流産でも不育症検査をしたほうがよいですか? ほかの検査や対策など何かアドバイスをお願いいたします。1回目は、移植1週間後hCGは0.6mIU/ml、数日後生理。2回目、移植1週間後hCG 60.2mIU/ml、10日後hCG 660.8mIU/ml胎嚢確認ができず、3日後hCG 1084mIU/mlで胎嚢確認ができませんでした。その後、卵管水腫持ちのため、腹腔鏡手術により両卵管をクリッピング。3回目の移植1週間後hCG 20mIU/mlで4日後、生理のような出血があり数値が下がりました。 echoさんは、化学流産を3回繰り返されています。不育症検査をしたほうがよいのでしょうか。 奥先生:流産を2回以上繰り返す方を不育症と診断します。化学流産を1回の流産とみなすかどうかは、意見が分かれるところですが、流産を繰り返す方は何か原因が隠れている可能性があります。まずは、不育症検査を受けられることをおすすめします。 染色体異常が3回続いている可能性は否定できません。ちなみに40歳以上の方の受精卵の染色体異常の割合は90%。染色体異常の受精卵は着床しにくく、着床しても流産しやすい傾向があります。さらに、40歳以上の流産率は約40〜50%あります。 不育症検査には、どのようなものがありますか。 奥先生:いくつか種類がありますが、代表的なのはNK細胞活性、抗リン質抗体、血小板凝集能、プロテインS活性、第12因子などです。さらに、ご夫婦ともに染色体検査を受けられてもいいかもしれません。40歳以上の方の流産原因の約80%は染色体異常で、トリソミー、モノソミーといった染色体の「数の異常」が原因のことが多いようです。しかし、不育症の方の約10%に、ご夫婦のどちらかに転座型という染色体の「構造の異常」が見つかることがあります。学会のガイドラインでは、国内での出生前診断は認められていませんが、転座型の染色体異常で2回以上流産を繰り返す場合は、出生前診断が認められています。受精卵を調べて正常な受精卵を胚移植することによって、流産のリスクを軽減することが可能です。 子宮頸がん検査でHPV感染による異形成があるそうです。こちらの影響はないのでしょうか。 奥先生:子宮頸がんの異形成とは、子宮頸がんの前段階(前がん病変)のことです。今後、がん化する可能性はありますので、定期的な検査は必要ですが、不妊の直接的な原因ではありません。 いずれにしても早めに不育症検査を受けていただくのがよいでしょう。代表的な不育症検査で約70%の確率で異常が見つかる可能性があります。ただ不育症検査の難しいところは、残りの30%は原因が見つからないこと。すべての方の原因が見つかるわけではありません。さらに、原因が見つかり治療しても、100%妊娠できるとは言い切れない現状もあります。ですが原因が見つかり治療することで、次の流産のリスクを軽減できる可能性はあります。治療方法は原因によって異なりますが、いずれも胚移植の前後から行います。血液系の異常であれば、アスピリンやヘパリン療法、免疫系の異常であれば、ステロイド療法や漢方薬による治療を行います。 また移植については、40歳以上の方は受精卵の分割スピードが遅くなるため、新鮮胚移植よりも凍結胚移植をおすすめします。ホルモン補充周期に凍結胚移植を行えば、「着床の窓」が閉まるのを遅らせることができ、着床のタイミングを逃しにくくなります。 レディースクリニック北浜 奥 裕嗣 先生1992年愛知医科大学大学院修了。蒲郡市民病院勤務の後、アメリカに留学。Diamond Institute for Infertility and Menopauseにて体外受精、顕微授精等、最先端の生殖医療技術を学ぶ。帰国後、IVF大阪クリニック勤務、IVFなんばクリニック副院長を経て、2010年レディースクリニック北浜を開院。医学博士、日本産科婦人科学会専門医、日本生殖医学会生殖医療専門医。≫ レディースクリニック北浜 【PR】体外受精をお考えなら。田村秀子産婦人科医院 専門家に相談してみる 出典:女性のための健康生活マガジン jineko vol.32 2016 Winter≫ 掲載記事一覧はこちら 【無料】100ページオールカラー 女性のための健康生活マガジン JINEKO 3回の化学流産。 このまま移植を続けて 結果が出るのか不安です 相談者:echoさん(40歳)体外受精の継続について3回目の胚盤胞移植をして反応はあるものの、hCG数値が低く継続できません。このまま移植を続けて良い結果が出るのか不安です。子宮頸がん検査でHPV感染による異形成があり、経過観察中なのですが影響はありますか? また化学流産でも不育症検査をしたほうがよいですか? ほかの検査や対策など何かアドバイスをお願いいたします。1回目は、移植1週間後hCGは0.6mIU/ml、数日後生理。2回目、移植1週間後hCG 60.2mIU/ml、10日後hCG 660.8mIU/ml胎嚢確認ができず、3日後hCG 1084mIU/mlで胎嚢確認ができませんでした。その後、卵管水腫持ちのため、腹腔鏡手術により両卵管をクリッピング。3回目の移植1週間後hCG 20mIU/mlで4日後、生理のような出血があり数値が下がりました。 echoさんは、化学流産を3回繰り返されています。不育症検査をしたほうがよいのでしょうか。 奥先生:流産を2回以上繰り返す方を不育症と診断します。化学流産を1回の流産とみなすかどうかは、意見が分かれるところですが、流産を繰り返す方は何か原因が隠れている可能性があります。まずは、不育症検査を受けられることをおすすめします。 染色体異常が3回続いている可能性は否定できません。ちなみに40歳以上の方の受精卵の染色体異常の割合は90%。染色体異常の受精卵は着床しにくく、着床しても流産しやすい傾向があります。さらに、40歳以上の流産率は約40〜50%あります。 不育症検査には、どのようなものがありますか。 奥先生:いくつか種類がありますが、代表的なのはNK細胞活性、抗リン質抗体、血小板凝集能、プロテインS活性、第12因子などです。さらに、ご夫婦ともに染色体検査を受けられてもいいかもしれません。40歳以上の方の流産原因の約80%は染色体異常で、トリソミー、モノソミーといった染色体の「数の異常」が原因のことが多いようです。しかし、不育症の方の約10%に、ご夫婦のどちらかに転座型という染色体の「構造の異常」が見つかることがあります。学会のガイドラインでは、国内での出生前診断は認められていませんが、転座型の染色体異常で2回以上流産を繰り返す場合は、出生前診断が認められています。受精卵を調べて正常な受精卵を胚移植することによって、流産のリスクを軽減することが可能です。 子宮頸がん検査でHPV感染による異形成があるそうです。こちらの影響はないのでしょうか。 奥先生:子宮頸がんの異形成とは、子宮頸がんの前段階(前がん病変)のことです。今後、がん化する可能性はありますので、定期的な検査は必要ですが、不妊の直接的な原因ではありません。 いずれにしても早めに不育症検査を受けていただくのがよいでしょう。代表的な不育症検査で約70%の確率で異常が見つかる可能性があります。ただ不育症検査の難しいところは、残りの30%は原因が見つからないこと。すべての方の原因が見つかるわけではありません。さらに、原因が見つかり治療しても、100%妊娠できるとは言い切れない現状もあります。ですが原因が見つかり治療することで、次の流産のリスクを軽減できる可能性はあります。治療方法は原因によって異なりますが、いずれも胚移植の前後から行います。血液系の異常であれば、アスピリンやヘパリン療法、免疫系の異常であれば、ステロイド療法や漢方薬による治療を行います。 また移植については、40歳以上の方は受精卵の分割スピードが遅くなるため、新鮮胚移植よりも凍結胚移植をおすすめします。ホルモン補充周期に凍結胚移植を行えば、「着床の窓」が閉まるのを遅らせることができ、着床のタイミングを逃しにくくなります。 レディースクリニック北浜 奥 裕嗣 先生1992年愛知医科大学大学院修了。蒲郡市民病院勤務の後、アメリカに留学。Diamond Institute for Infertility and Menopauseにて体外受精、顕微授精等、最先端の生殖医療技術を学ぶ。帰国後、IVF大阪クリニック勤務、IVFなんばクリニック副院長を経て、2010年レディースクリニック北浜を開院。医学博士、日本産科婦人科学会専門医、日本生殖医学会生殖医療専門医。≫ レディースクリニック北浜 【PR】体外受精をお考えなら。田村秀子産婦人科医院 専門家に相談してみる 出典:女性のための健康生活マガジン jineko vol.32 2016 Winter≫ 掲載記事一覧はこちら 【無料】100ページオールカラー 女性のための健康生活マガジン JINEKO
2016.11.1
コラム 不妊治療
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排卵の後のタイミング指導に意味がある?
排卵の後のタイミング指導に意味がある? 相談者:ディジーディジーさん(36歳)人工授精後のタイミング指導先日、13日に3度目の人工授精をしました。今回はフェマーラⓇを使用しての誘発でしたが、18㎜まで育っていた大きな卵胞はすでになく、排卵しているかもとのことで、すぐさま人工授精になりました。その後のタイミング指導として、14日、16日、18日or15日、17日、19日に仲良くしてくださいねと言われました。前回、前々回も、人工授精の次の日から1日おきで3回タイミングをとるよう指導されました。排卵確認の血液検査をしたわけではないので、本当に排卵しているかは確かに不明ですが、排卵日を特定しながら人工授精をしてもらっているのに、1日おきでタイミングをとることに意味があるのでしょうか?本格的に治療を始めて、先生も優しく、相性も良いと思って通っているのですが。 人工授精後のタイミング指導について、先生からご覧になっていかがですか? 奥先生:まず人工授精の妊娠率についてですが、一般的に排卵前に行うほうが人工授精の妊娠率は少し高くなります。もちろん、排卵後の人工授精でも妊娠できますが、卵子が腹腔内で生きていられる時間は12〜24時間くらい。排卵後、24時間以上たてば、腹腔内の卵子が死んでしまっている可能性がありますから、その分、妊娠率は下がるというわけです。ですから、いつ排卵したかによるとは思いますが、排卵して24時間以降の人工授精やタイミング指導は、意味がないと思います。排卵後、24時間以上経過後にタイミングをとったからといって妊娠率が下がることはないけれど、逆に妊娠率を上げることにも貢献しないでしょう。 タイミング指導と併用して人工授精の妊娠率を上げるには、どのようにすればよいのでしょうか? 奥先生:現在、ホルモン値を測定せずに人工授精を行っておられるようですが、できれば卵胞チェックだけでなく、専門医のもと、血液検査できちんとホルモン値を測定しながら治療を行うことが望ましいでしょう。通常起こる自然の排卵の際には、LHというホルモンが脳から大量に分泌され、LHサージという状況が引き起こされます。一般的な人工授精では、前日にHCGの注射によって排卵を促しますが、たとえば前日にホルモン値を測定して、まだ排卵が近づいていない状態、つまりLHの値が上がっていない状態でHCGの注射を打ったとします。注射を打てば、40時間後くらいに排卵しますので、翌日に人工授精をして、その翌々日にタイミングをとっていただいたら、妊娠率がアップする可能性があります。正しい時期にタイミング療法、人工授精を実施することが大切です。 月経が25〜27日周期と短くなっていますが、月経周期や現在の年齢が人工授精の妊娠率に影響しますか? 奥先生:もともと30日くらいの月経周期の方が、ここ数年で25日くらいになってしまったというのなら、卵巣機能が落ちている可能性があります。ただ、もともと25日くらいなのであれば、大丈夫でしょう。当院では人工授精は5~6回くらいまでを目処に、体外受精へとステップアップしていただくことが多いのですが、もしきちんとAMHの値を測定して卵巣年齢が高いようでしたら、3~4回くらいでステップアップを考慮されたほうがよいでしょう。 レディースクリニック北浜 奥 裕嗣 先生1992年愛知医科大学大学院修了。蒲郡市民病院勤務の後、アメリカに留学。Diamond Institute for Infertility and Menopauseにて体外受精、顕微授精等、最先端の生殖医療技術を学ぶ。帰国後、IVF大阪クリニック勤務、IVFなんばクリニック副院長を経て、2010年レディースクリニック北浜を開院。医学博士、日本産科婦人科学会専門医、日本生殖医学会生殖医療専門医。≫ レディースクリニック北浜 出典:女性のための健康生活マガジン jineko vol.31 2016 Autumn≫ マガジンの記事がすべてご覧いただけます! 専門家に相談してみる 排卵の後のタイミング指導に意味がある? 相談者:ディジーディジーさん(36歳)人工授精後のタイミング指導先日、13日に3度目の人工授精をしました。今回はフェマーラⓇを使用しての誘発でしたが、18㎜まで育っていた大きな卵胞はすでになく、排卵しているかもとのことで、すぐさま人工授精になりました。その後のタイミング指導として、14日、16日、18日or15日、17日、19日に仲良くしてくださいねと言われました。前回、前々回も、人工授精の次の日から1日おきで3回タイミングをとるよう指導されました。排卵確認の血液検査をしたわけではないので、本当に排卵しているかは確かに不明ですが、排卵日を特定しながら人工授精をしてもらっているのに、1日おきでタイミングをとることに意味があるのでしょうか?本格的に治療を始めて、先生も優しく、相性も良いと思って通っているのですが。 人工授精後のタイミング指導について、先生からご覧になっていかがですか? 奥先生:まず人工授精の妊娠率についてですが、一般的に排卵前に行うほうが人工授精の妊娠率は少し高くなります。もちろん、排卵後の人工授精でも妊娠できますが、卵子が腹腔内で生きていられる時間は12〜24時間くらい。排卵後、24時間以上たてば、腹腔内の卵子が死んでしまっている可能性がありますから、その分、妊娠率は下がるというわけです。ですから、いつ排卵したかによるとは思いますが、排卵して24時間以降の人工授精やタイミング指導は、意味がないと思います。排卵後、24時間以上経過後にタイミングをとったからといって妊娠率が下がることはないけれど、逆に妊娠率を上げることにも貢献しないでしょう。 タイミング指導と併用して人工授精の妊娠率を上げるには、どのようにすればよいのでしょうか? 奥先生:現在、ホルモン値を測定せずに人工授精を行っておられるようですが、できれば卵胞チェックだけでなく、専門医のもと、血液検査できちんとホルモン値を測定しながら治療を行うことが望ましいでしょう。通常起こる自然の排卵の際には、LHというホルモンが脳から大量に分泌され、LHサージという状況が引き起こされます。一般的な人工授精では、前日にHCGの注射によって排卵を促しますが、たとえば前日にホルモン値を測定して、まだ排卵が近づいていない状態、つまりLHの値が上がっていない状態でHCGの注射を打ったとします。注射を打てば、40時間後くらいに排卵しますので、翌日に人工授精をして、その翌々日にタイミングをとっていただいたら、妊娠率がアップする可能性があります。正しい時期にタイミング療法、人工授精を実施することが大切です。 月経が25〜27日周期と短くなっていますが、月経周期や現在の年齢が人工授精の妊娠率に影響しますか? 奥先生:もともと30日くらいの月経周期の方が、ここ数年で25日くらいになってしまったというのなら、卵巣機能が落ちている可能性があります。ただ、もともと25日くらいなのであれば、大丈夫でしょう。当院では人工授精は5~6回くらいまでを目処に、体外受精へとステップアップしていただくことが多いのですが、もしきちんとAMHの値を測定して卵巣年齢が高いようでしたら、3~4回くらいでステップアップを考慮されたほうがよいでしょう。 レディースクリニック北浜 奥 裕嗣 先生1992年愛知医科大学大学院修了。蒲郡市民病院勤務の後、アメリカに留学。Diamond Institute for Infertility and Menopauseにて体外受精、顕微授精等、最先端の生殖医療技術を学ぶ。帰国後、IVF大阪クリニック勤務、IVFなんばクリニック副院長を経て、2010年レディースクリニック北浜を開院。医学博士、日本産科婦人科学会専門医、日本生殖医学会生殖医療専門医。≫ レディースクリニック北浜 出典:女性のための健康生活マガジン jineko vol.31 2016 Autumn≫ マガジンの記事がすべてご覧いただけます! 専門家に相談してみる 【人気コラム】ユーザーストーリー~あなたに伝えたいメッセージ~ 【人気コラム】田村秀子先生の心の玉手箱 【役立つ】不妊についてもっと知ろう!不妊とは? 【おすすめ】フリーマガジン「ジネコ」各号記事一覧
2016.8.9
コラム 不妊治療
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移植する卵について
みなさん(30歳)先日二度目の採卵を行い、5日目の4ABの胚盤胞、6日目の4BAの胚盤胞ができ、今凍結しています。 移植するにあたり質問です。 5日目胚と6日目胚では、5日目胚のほうが着床しやすいといわれていますが、一方でABよりはBA(将来胎盤に箇所が優秀)の胚盤胞の方が聞きます。 凍結してホルモン周期で戻す場合には、5日目も6日目も変わらないのでしょうか? 上記の場合、より着床しやすい卵はどちらなのでしょうか? 奥 裕嗣 先生 (レディースクリニック北浜) 私共は患者様一人ひとりとの出逢いを大切に、 徹底したインフォームド・コンセントを理想に掲げ、 スタッフ一同、すべての患者様に赤ちゃんのご縁がありますよう 切に願いながら、日々生殖医療に全力で取り組んでおります。 当院では最先端の生殖医療技術をご利用いただくとともに、 永く愛されるオリジナルの漢方療法もお受けいただけます。 また患者様の心理的なご負担にたいして優しいサポートが 出来るように、心理カウンセリングを備えました。 多様化する患者様の生活条件に合わせて、便利で快適に、 高度で確かな不妊治療を安心して受けていただけるように、ここ 「ザ・北浜プラザ」の医療モールにて開院することとなりました。 どうぞお気軽に、ご安心なさって、まずは扉をたたいてみてください。 ■略歴 1987年 愛知医科大学卒業 愛知医科大学産婦人科学教室入局 1988年 愛知医科大学大学院入学 女性ホルモンの動脈硬化抑制についての研究を行う。 (更年期障害の基礎的研究) 1992年 同大学院卒業 エラジン酸の抗酸化作用 (アンチエージング作用)の研究にて博士号修得 総合大雄会病院勤務 1995年 蒲郡市民病院勤務 1998年 アメリカ合衆国に留学 Diamond Institute for Infertility and Menopauseにて、体外受精、顕微授精等 最先端の生殖医療技術を3年間研修 2001年 IVF大阪クリニック勤務 2004年 IVFなんばクリニック勤務 2005年より副院長として勤務 2010年 レディースクリニック北浜開設 ≫ レディースクリニック北浜結論からいいますと、当院でしたら5日目の4ABの胚盤胞から移植を行うと思います。胚盤胞移植は、6日目の胚盤胞を凍結せずに戻したら妊娠率は10%以下くらいしかありませんが、凍結・融解してホルモン周期で戻せば、3割くらいの妊娠率となります。一方、5日目のホルモン周期による胚盤胞移植の妊娠率は当院では5割を越えています。やはり、より着床しやすく、妊娠率が高いのは5日目の胚盤胞なのです。 相談者のみなさんはよく勉強されておられますね。ガードナーによる胚盤胞のグレード分類では、数字の後ろに付く前のアルファベットが内細胞塊といって赤ちゃんになる部分、後のアルファベットが栄養外胚葉といって、後に胎盤になる部分のグレードを表しています。たしかにABよりBAのほうが着床率が高いという報告もありますが、ホルモン補充周期で戻す5日目と6日目の胚盤胞では、妊娠率におよそ5割と3割くらいもの差がありますので、やはりこの順番となります。 当院ではガードナーの分類にプラス、受精卵の成長を24時間体制で観察するタイムラプスの所見を応用しています。同レベルの胚でどちらを選ぶか迷うようなとき、タイムラプスのスコアの高い方から戻していけば、1回目の移植から高い確率で最も良好な胚を選ぶことができます。
2015.11.25
専門医Q&A 女性の健康
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生理がこないかもといわれました(涙)高FSH 低AMH
うさぎさん(42歳)2014年 9月(D2)FSH 14.6 LH 3.7 E2 39.6 9月(D12) LH 4 E2 72.2 P4 6.1 10月(D4) FSH11.4 LH 3.6 E2 61.9 10月(D11) LH 12.8 P4 0.56 E2 158.1 2015年 1月(D3)FSH 36.2 LH 7.2 E2 20以下 1月(D12)FSH 78.8 LH24.5 E2 20以下 2015年1月の治療は、生理5日目からフェマーラ1日1錠を5日間服用 しました。D8で病院にいって、内診で内膜3.3mm 卵胞は見えない。といわれました。D12で血液検査をしたところ FSH78.8という値がでました。今まで、卵胞が見えないといわれたことはなく、ショックでした。 11月から漢方を服用しています。合ってないのでしょうか? 先生からは、生理が来ないかもといわれました。心配で心配でぐっすり眠れません。このまま閉経してしまうんでしょうか。まだ治療は可能でしょうか。どんな治療をすればよいでしょうか。 途方にくれています。どうかアドバイス頂けますでしょうか。宜しくお願いいたします。 奥 裕嗣 先生 (レディースクリニック北浜) 私共は患者様一人ひとりとの出逢いを大切に、 徹底したインフォームド・コンセントを理想に掲げ、 スタッフ一同、すべての患者様に赤ちゃんのご縁がありますよう 切に願いながら、日々生殖医療に全力で取り組んでおります。 当院では最先端の生殖医療技術をご利用いただくとともに、 永く愛されるオリジナルの漢方療法もお受けいただけます。 また患者様の心理的なご負担にたいして優しいサポートが 出来るように、心理カウンセリングを備えました。 多様化する患者様の生活条件に合わせて、便利で快適に、 高度で確かな不妊治療を安心して受けていただけるように、ここ 「ザ・北浜プラザ」の医療モールにて開院することとなりました。 どうぞお気軽に、ご安心なさって、まずは扉をたたいてみてください。 ■略歴 1987年 愛知医科大学卒業 愛知医科大学産婦人科学教室入局 1988年 愛知医科大学大学院入学 女性ホルモンの動脈硬化抑制についての研究を行う。 (更年期障害の基礎的研究) 1992年 同大学院卒業 エラジン酸の抗酸化作用 (アンチエージング作用)の研究にて博士号修得 総合大雄会病院勤務 1995年 蒲郡市民病院勤務 1998年 アメリカ合衆国に留学 Diamond Institute for Infertility and Menopauseにて、体外受精、顕微授精等 最先端の生殖医療技術を3年間研修 2001年 IVF大阪クリニック勤務 2004年 IVFなんばクリニック勤務 2005年より副院長として勤務 2010年 レディースクリニック北浜開設 ≫ レディースクリニック北浜昨年から今年のホルモン値の推移を拝見すると、FSHの値の変動が大きいのが気になります。担当医のおっしゃるように、卵巣機能が低下し始めているのは残念ながら間違いないと思いますので、前周期にピルの服用やカウフマン療法でFSHの値を下げ、卵胞が育ちやすい環境に整えてから、いい周期を狙って採卵するのがいいかと思います。採卵前にはアンチエイジングや血流の改善に効果があるとされる、サプリメントや漢方薬を飲まれるのもいいでしょう。 また胚移植の方法ですが、治療歴を見ると胚盤胞移植で2回うまくいっていません。最近、年齢の高い方の受精卵は長期培養に向かないという報告がありますので、一度、初期胚の段階での胚移植を検討されてみてはどうでしょうか。40歳以上の方の受精卵は非常にデリケートで体外の培養環境に弱いという説があります。FT(卵管鏡下卵管形成術)の後、もし卵管の通過性が回復しているとしたら試してみる価値があると思います。 閉経を心配されておられますが、1年前のAMHの値が0.36くらいということなので、まだおそらくそのまま閉経ということはないでしょう。前周期のカウフマン療法などでよい周期をつくって採卵し、移植では分割胚の凍結胚移植を試してみることでまだ可能性は残されていると考えます。
2015.1.28
専門医Q&A 女性の健康
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陽性判定後のプレマリン
るびさん(40歳)D12 卵黄21㎜でAHI hcg5000注射 D14 腹痛位より多分この日に排卵 D15 排卵チェック この日からプレマリン・ルトラール 各2錠/日 × 12日間服用 D29 妊娠検査薬陽性 血液検査 hcg212.4 E266 PROG20.9 D29の今日陽性判定をいただきました。 その際、一応念のためということで、プレマリンのみを1週間分処方されました。 プレマリンは黄体補充では無いようなのですが、 このような指示というのはあるのでしょうか?それともルトラールと間違えてるのでしょうか? 奥 裕嗣 先生 (レディースクリニック北浜) 私共は患者様一人ひとりとの出逢いを大切に、 徹底したインフォームド・コンセントを理想に掲げ、 スタッフ一同、すべての患者様に赤ちゃんのご縁がありますよう 切に願いながら、日々生殖医療に全力で取り組んでおります。 当院では最先端の生殖医療技術をご利用いただくとともに、 永く愛されるオリジナルの漢方療法もお受けいただけます。 また患者様の心理的なご負担にたいして優しいサポートが 出来るように、心理カウンセリングを備えました。 多様化する患者様の生活条件に合わせて、便利で快適に、 高度で確かな不妊治療を安心して受けていただけるように、ここ 「ザ・北浜プラザ」の医療モールにて開院することとなりました。 どうぞお気軽に、ご安心なさって、まずは扉をたたいてみてください。 ■略歴 1987年 愛知医科大学卒業 愛知医科大学産婦人科学教室入局 1988年 愛知医科大学大学院入学 女性ホルモンの動脈硬化抑制についての研究を行う。 (更年期障害の基礎的研究) 1992年 同大学院卒業 エラジン酸の抗酸化作用 (アンチエージング作用)の研究にて博士号修得 総合大雄会病院勤務 1995年 蒲郡市民病院勤務 1998年 アメリカ合衆国に留学 Diamond Institute for Infertility and Menopauseにて、体外受精、顕微授精等 最先端の生殖医療技術を3年間研修 2001年 IVF大阪クリニック勤務 2004年 IVFなんばクリニック勤務 2005年より副院長として勤務 2010年 レディースクリニック北浜開設 ≫ レディースクリニック北浜まず当院では、排卵後7日目頃に黄体ホルモンを調べ、黄体機能不全があれば、着床障害の原因となりますので、次周期からルトラールを処方します。 例えば、自然周期での体外受精や、ホルモン補充周期の凍結融解胚移植などで、エストロゲンが下がる場合は、エストロゲンを補う必要がありますが、この方は、排卵後のエストロゲンの分泌に問題ありませんので、プレマリンを投与するのは、あまり一般的ではないと思います。 妊娠後は赤ちゃんになる胎盤の組織から、エストロゲンとプロゲステロンが自然に出てきます。妊娠経過が順調であれば、本来、薬はいらないと思います。 当院では、自然妊娠の方は、妊娠陽性反応が出たら、プレマリンもルトラールも処方せず、いい意味で自然の成り行きに任せます。
2014.7.19
専門医Q&A 女性の健康
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排卵がいつなのか分かりません。
ジュンさん(32歳)まだ不妊治療のクリニックに行っていませんが、私は異常でしょうか。 基礎体温を測り始めて間も無く、参考にならないかもしれませんが、載せておきます。 生理周期…35日 です。 1.30 36.64 生理開始 1.31 36.66 2.1 2.2 2.3 36.70 2.4 2.5 36.66 2.6 36.68 2.7 36.78 2.8 36.50 2.9 36.45 2.10 36.56 2.11 36.88 オリモノ 2.12 36.52 オリモノ 2.13 36.60 オリモノ 2.14 36.67 2.15 36.78 仲良し 2.16 仲良し 2.17 36.98 2.18 37.02 排卵検査薬 夜 濃い陽性 2.19 37.11 排卵検査薬 朝 薄い陽性 排卵予定より、伸びるオリモノが早目に出たので排卵が早まったのかなと思いましたが、すぐ高温期(?)に入りました。 計算上、排卵期だったので検査薬をしたら、くっきり陽性が出てしまいました。 基礎体温もバラバラですし、低温期と思われる期間も体温が高いです。 旦那とは、21日にしか仲良し出来ないので、念のためしておこうと思いますが、可能性は低いですよね…? 一度受診したほうが良いのでしょうか? ちなみに、このような記録を取り始めたのは今年に入ってからなので、データが少ないです。 長文になりましたが、よろしくお願い申し上げます。 奥 裕嗣 先生 (レディースクリニック北浜) 私共は患者様一人ひとりとの出逢いを大切に、 徹底したインフォームド・コンセントを理想に掲げ、 スタッフ一同、すべての患者様に赤ちゃんのご縁がありますよう 切に願いながら、日々生殖医療に全力で取り組んでおります。 当院では最先端の生殖医療技術をご利用いただくとともに、 永く愛されるオリジナルの漢方療法もお受けいただけます。 また患者様の心理的なご負担にたいして優しいサポートが 出来るように、心理カウンセリングを備えました。 多様化する患者様の生活条件に合わせて、便利で快適に、 高度で確かな不妊治療を安心して受けていただけるように、ここ 「ザ・北浜プラザ」の医療モールにて開院することとなりました。 どうぞお気軽に、ご安心なさって、まずは扉をたたいてみてください。 ■略歴 1987年 愛知医科大学卒業 愛知医科大学産婦人科学教室入局 1988年 愛知医科大学大学院入学 女性ホルモンの動脈硬化抑制についての研究を行う。 (更年期障害の基礎的研究) 1992年 同大学院卒業 エラジン酸の抗酸化作用 (アンチエージング作用)の研究にて博士号修得 総合大雄会病院勤務 1995年 蒲郡市民病院勤務 1998年 アメリカ合衆国に留学 Diamond Institute for Infertility and Menopauseにて、体外受精、顕微授精等 最先端の生殖医療技術を3年間研修 2001年 IVF大阪クリニック勤務 2004年 IVFなんばクリニック勤務 2005年より副院長として勤務 2010年 レディースクリニック北浜開設 ≫ レディースクリニック北浜排卵日の特定は排卵検査薬だけではむずかしく、病院で検査してみないとわかりません。排卵検査薬は、会社によって陽性判定となるLHサージの基準数値が異なります。当クリニックの基準は40ですが、20、15などさまざまあり、排卵日を正確に特定しにくいのが現状です。 また、PCOS(多嚢胞性卵巣症候群)などで、もともとLHサージが高い方は、常に陽性反応になる可能性があるので、本当の排卵日が特定できないということもあります。 一般的にオリモノ(頚管粘液)は排卵日が近づくと増えてきますが、もっとも多いのは排卵期の2〜3日前といわれています。オリモノが増えている場合、細菌感染やカンジタなどが原因のこともあるので、オリモノによる排卵日の特定も、あくまで補助的な手段にすぎません。 もし検査薬が正しいとすれば、濃い陽性が出ている18日の24時間前後に排卵していると思われます。19日は薄くなっているので、すでにLHサージが下がりはじめています。卵はおなかの中で12〜24時間しか生存しませんから、21日の性交渉では遅すぎの可能性大です。一方、精子はおなかの中で3〜4日生存しますから、排卵日の少し前に性行為を行うとよいでしょう。 ジュンさんの結婚歴がわかりませんが、2年以上経っているのであれば不妊症の可能性もあるので、病院にかかられることをおすすめします。超音波や採血の検査で、排卵日も正確に特定することができます。
2014.2.19
専門医Q&A 女性の健康