ウイメンズクリニックふじみ野 ジネコ取材済
埼玉県富士見市ふじみ野西1丁目17−3
婦人科 / 不妊治療
ウイメンズクリニックふじみ野
埼玉県富士見市ふじみ野西1丁目17−3
「ウィメンズクリニックふじみ野」は、埼玉県富士見市に開設いたしました、生殖医療を専門とするクリニックです。
最先端かつ安全性を重視した設備のもと、専門医と専門スタッフによる高い水準の医療をご提供します。当院は東武東上線「ふじみ野」駅西口から徒歩約4分という交通の利便性に加え、駐車場を備えており通院にも便利です。英語以外に中国語、ポルトガル語が可能です。
土曜も診療日曜祝日も診療女性医師が診察働きながら通いやすいインターネット予約完全予約制キッズルーム有駅近駐車場完備フリーマガジン配布すべて見る
診療科
婦人科
不妊治療
基本診療時間
診療時間 | 月 | 火 | 水 | 木 | 金 | 土 | 日 | 祝 |
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8:30~12:30 | ○ | ○ | ○ | ● | ○ | ● | ● | |
15:00~18:30 | ○ | ○ | ○ | ○ | ● |
診療受付は開始時刻の30分前より、終了時刻の30分前までとなります。
●:指定患者様のみ
男性不妊専門外来は第2,4金曜日です。18:00受付開始、18:45最終受付です。
休診日
木曜午後・日祝午後
住所・連絡先
埼玉県富士見市ふじみ野西1丁目17−3
TEL: 049-293-8210
FAX: 049-293-8211
一般不妊治療
タイミング療法
人工授精(AIH,IUI療法)
排卵誘発法
体外受精など高度生殖医療
当院は、体外受精、顕微授精、受精卵(胚)凍結保存などの高度生殖医療の設備、技術、人員を擁しております。最新式タイムラプスインキュベーター、レーザーアシステッドハッチング、ピエゾ式顕微授精装置を駆使しております。安全管理として、停電時のための無停電装置、患者様および検体の取り違え防止システムを導入しています。卵巣刺激法についても、完全自然周期法、クロミフェン、レトロゾールによる低卵巣刺激法、レトロゾールHMGによる中卵巣刺激法、ロング法、アンタゴニスト法、ショート法などを、患者様ごとに個別化(テーラーメイド)し、過去の治療歴も参考にさせていただき、提案させていただきます。ART治療を初めてご希望のご夫婦はあらかじめ簡潔に説明させていただき前もって資料をお渡しし、後日「ART説明」外来をご予約していただき、個別に説明、質疑応答をさせていただいております。
人工授精
人工授精は、自然な性交によらず、パートナーの精液を安全な専用液および精子洗浄液にて洗浄・濃縮(0.5ml)した後、子宮内に細く柔らかい管(カテーテル)により注入する医療技術です。
林 直樹 院長プロフィール
子供を授かりたいと願う、一人でも多くの患者さんのために
この度2017年5月、富士見市にて、ウィメンズクリニックふじみ野を新規開業いたしました。私はこれまで不妊治療、高度生殖医療、婦人科内視鏡手術を専門分野としており、一般不妊によっても、また体外受精を繰り返しても妊娠されない難治性不妊症の方に対して、排卵誘発法の工夫、最先端の高度生殖医療、内視鏡手術などを駆使した治療を行ってまいりました。
私が産婦人科ならびに生殖医療を志望した理由
忘れられない経験。
学生時代に夏休み病院実習で1週間泊まり込みをした茨城の病院での経験です。排卵障害、不妊症の患者さんで、HMGHCG療法による排卵誘発での合併症の卵巣過剰刺激症候群となっている方を診る機会がありました。重症化し、内科的治療は難航し、スタッフの先生方の判断で手術による卵巣楔状切除の開腹手術を行うことになり、手術助手として入りました。大量の腹水が溢れ出たのを思い出します。懸命なるケアにより徐々に回復方向にむかいました。後日、その方はその周期で妊娠と判明したとのこと、順調な妊娠経過をとり双子のお子さんを無事に出産したと知りました。内科的な側面と外科的な側面の両方をもち、しかもダイナミックに状況が変化し、ときには長期的視野に立ち、ときには即時にも判断をしていかなければならない診療科は産婦人科を置いては他にないと考えたからです。
今後も、学会、学術活動にも力を入れ、また最新知識と技術を取り入れ、生殖医療の中核クリニックとして、発展、貢献していきたいと思います。
私とウィメンズクリニックふじみ野のスタッフ一同は、一人でも多くの方々の、子供を授かりたい、という思いに真摯に向き合っていきたいと思います。
林 直樹 院長略歴
昭和58年6月~昭和59年7月 東京大学産科婦人科学教室 研修医
昭和59年7月~昭和60年7月 日立総合病院産婦人科 医員
昭和60年7月~昭和61年7月 自衛隊中央病院産婦人科 医員
昭和61年7月~昭和62年7月 東京大学産科婦人科学教室 文部教官助手
昭和62年7月~昭和63年7月 佐久市立国保浅間総合病院 医員
昭和63年7月~平成2年7月 東京大学産科婦人科学教室 文部教官助手
平成2年7月~平成3年7月 関東労災病院産婦人科 医員
平成3年7月~平成6年7月 東京大学産科婦人科学教室 文部教官助手
平成6年7月~平成8年4月 埼玉医科大学総合医療センター産婦人科 講師
平成8年4月~平成9年10月 ロンドン大学ハマースミス病院産婦人科 客員研究員
平成9年10月~平成17年4月 埼玉医科大学総合医療センター産婦人科 講師
平成17年4月~平成21年8月 同 准教授
平成21年10月~平成29年4月 医療法人青山会 ミューズレディスクリニック 院長
平成29年4月~ ウイメンズクリニックふじみ野 院長
流産と不育症検査
流産の原因の60~80% は児の染色体異常(染色体が分離するときに正しく行われなかったなど)が原因と報告されています。安静にしなかった、大切にしなかったということが原因ではありません。人類では妊娠のおよそ15%は流産に至るとされており、母体の年齢が高まるにつれ、流産率も高まります。40歳以上では妊娠が成立してもほぼ半数が流産に至ると報告されており、47歳以上ではほとんどすべてが流産となります。また検出困難な微小な染色体異常や遺伝子異常が原因の流産も相当数あるといわれており、あわせると流産の大半が児の異常によるものであると推測されます。逆に97~98%の染色体異常児は妊娠初期に流産すると報告されています。自然淘汰の機序が働いているといってもよいかもしれません。
このクリニックに関連する監修記事、取材内容、ユーザー様からの質問と回答など、ジネコが企画した様々なコンテンツの一覧です。
記事一覧
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夫が精索静脈瘤の手術。私の卵管通過障害も治すべき?
皆さんの治療に関する相談を全国のドクターにお聞きして、 誌面でアドバイスをお届けする人気企画「ジネコ セカンドオピニオン」。 ジネコの応援ドクターが丁寧にお答えいたします。
2018.12.21
コラム 不妊治療
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プロゲステロン腟剤のこと、詳しく教えて!
凍結胚移植に使用する黄体ホルモン剤の役割は? 国内で使用可能となったプロゲステロン腟剤について知っておくべき薬の特性は? ウィメンズクリニックふじみ野の林先生に伺いました。 プレママの体に優しい凍結胚移植が主流に 現在、日本のET(胚移植)では、新鮮胚移植より凍結胚移植のほうが断然多くなっています。いくつか理由がありますが、まずひとつは単純に成績の良さが挙げられます。胚(受精卵)は採卵周期で戻すか、またはいったん凍結保存してから別の周期に融解して戻すかのいずれかで移植しますが、凍結保存してから移植した場合のほうが、妊娠率が高いと考えられています。 もうひとつの理由としては、卵巣過剰刺激症候群(OHSS)を防げることにあります。採卵前に、すでに高刺激で目いっぱい卵巣を刺激して排卵誘発していますから、直後の新鮮胚移植で妊娠が成立した場合にはOHSSが起こりやすいのです。せっかく妊娠してもつらい症状をともなうので、妊婦さんにとってはどうしても“優しくない”。それもあり、卵巣が落ち着いてから戻す凍結胚移植が多く選択されることとなりました。 妊娠を望む女性の体がしっかり整うのを待ってから、胚を戻すことができるのが凍結胚移植。妊娠率の高さも、ここに理由があるのかもしれません。 プロゲステロンは着床・妊娠維持において重要なホルモン 子宮内膜は月経終了後にエストロゲンの働きによって増殖しながら厚みを増していきますが、排卵後は黄体から分泌されるプロゲステロンが子宮内膜をふかふかのベッドに変化させ、胚が子宮内膜に着床するための準備をします。妊娠7、8週頃にはプロゲステロンの分泌源は黄体から胎盤へと移行していくことがわかっています。ART(生殖補助医療)においては一般的にさまざまなホルモン剤を使用することによって黄体機能を抑制してしまうことから、体外からプロゲステロンを補充することによって着床・妊娠維持を促す必要があります。 国内で使用可能となった「プロゲステロン腟剤」という黄体ホルモン製剤 凍結胚を移植する方法は大きく分けて2つあります。患者さん自身の月経周期に合わせて胚を移植する自然周期移植と、エストロゲン製剤とプロゲステロン製剤を用いて着床期の体内におけるホルモン動態を人工的につくり出して移植を行うホルモン調節周期です。どちらも妊娠率において大きな差はないと考えられていますが、薬剤を使用するホルモン調節周期の移植は胚移植のスケジュールが立てやすいというメリットがありますし、また排卵障害がある方や採卵を行った翌周期での移植を希望する方ではホルモン調節周期のほうが良いのではないかと思います。一方でホルモン調節周期によって移植する場合は、もともと卵巣内の黄体から分泌されるプロゲステロンがつくれなくなりますので、妊娠10週くらいまでプロゲステロンを体外から投与する必要があります。 ホルモン調節周期において使用されるホルモン製剤は、国内においてはこれまで体内で分泌されるホルモンとは少し異なる作用を示す、いわゆる合成型の製剤等が標準的に使用されてきました。しかし、近年では安全性の面から、可能な限り体内ホルモンとまったく同じ作用を示す天然型の製剤を使用することが望ましいという考え方が主流になっているように思われます。 プロゲステロン製剤はいくつかの種類がありますが、日本においてはこれまで合成型の経口剤(飲み薬)や筋肉注射剤がメインでした。経口剤は腸管や肝臓を介して、筋注剤は血液を介して子宮内膜に薬剤が届けられるため、薬物移送はあまり効率がよいとは言えません。また筋注剤は筋肉に注射するため痛みがあり、薬剤投与のための通院が必要になります。しかし、数年前から国内にてARTにおける黄体補充の適応症を取得して承認された天然型のプロゲステロン腟剤が使用できるようになりました。腟剤は患者さん自身が直接腟の中に挿入します。できるだけ子宮に近い場所(腟の奥1/3くらい)まで入れたほうが効果的であるといわれています。承認された腟剤の中には専用の腟内挿入補助具(アプリケータ)が付属されているものもあり、慣れれば手を汚さずにどなたでも簡単に使うことができると思います。しかし、腟剤は使用中に薬剤の添加物がおりものに混じって腟外に漏れ出ることで下着を汚したりすることがあります。念のため、おりものシートやナプキンなどを備えておくことをすすめています。このような天然型のプロゲステロン腟剤は国内では登場して間もないのですが、海外では数十年前から使用されており、現在では黄体補充の80%くらいが腟剤を標準的に使用しています。 知っておきたいプロゲステロン腟剤の特性 ホルモン調節周期にプロゲステロン腟剤を使用するうえで、子宮内膜に十分なプロゲステロンが届けられているかどうかを知るために、胚移植日に血液検査を行って血中プロゲステロン濃度を調べることが多くの施設で行われてきました。施設によっては血液検査の結果を見て、値が低ければ経口剤や筋注剤を加えて治療法を変更することもあるようですが、当院では基本的にプロゲステロン腟剤以外の黄体ホルモン剤を同時に使用することはありません。当院で調査したデータでは、胚移植日の血中プロゲステロン値は妊娠率と何ら関係を示しておりませんでした。かなり低い値を示していても、妊娠が継続されている方が多くいらっしゃいました。当院と同様の調査結果も全国の施設から多数報告されているようです。腟剤を挿入した場合は経口剤や筋注剤のように全身の血液を通って子宮内膜組織に薬剤が届けられるわけではなく、腟から子宮内膜に直接薬剤が届けられますので、血中濃度を測定しても意味はないと考えられます。極端な場合、たとえば使用方法を間違えていて血中プロゲステロン値が0でない限りは、値が低い場合であっても高い場合であっても不安になる必要はありません。また腟剤投与中におりものシートに点状の軽度の出血を経験される方もおられますが、基本的に妊娠との関連性は低いことが明らかにされていますので、安心してご使用になられていいと思います。 体外受精において妊娠できるかどうかはさまざまなメカニズムが成立する必要がありますが、特に受精卵の質が重要になると考えられています。ホルモン調整周期の凍結胚移植ではプロゲステロン製剤の使用によって、着床しやすい子宮内膜をつくることが重要になりますが、国内で使用可能となったプロゲステロン腟剤は海外で既に有効性が証明されているものですので、仮に妊娠しなかった場合の原因について考える際は、プロゲステロン製剤の効果というよりも受精卵や他の因子に着目するほうが私は正しいと思います。 不妊治療の分野は日進月歩で、薬も新しいものが開発されています。プロゲステロン腟剤による黄体補充法も、「快適に治療をするためのひとつの選択肢」と、とらえてもらえればいいのではないかと思います。 長年地域の方々に親しまれてきたミューズレディスクリニックから移行し、2017年5月に新規開院。泌尿器科医も加入し、これまで以上の良質な治療を提供しています。 [無料]気軽にご相談ください お話を伺った先生のご紹介 林 直樹 先生(ウィメンズクリニックふじみ野) 1983年、東京大学医学部卒業。埼玉医科大学総合医療センター(川越市)などを経て、現職。「体外受精、顕微授精も高いクオリティで対応していますが、できる限り自然に近い不妊治療をご提供したいと考えています。患者さんはそれぞれお悩みも違いますから、どんなことでもまずご相談を。時にはご要望に沿えず、厳しいことを申し上げるかもしれませんが、常に患者さんにとってベストな治療法をご一緒に見出したいと思っています」。 出典:女性のための健康生活マガジン jineko vol.35 2017 Autumn≫ 掲載記事一覧はこちら 凍結胚移植に使用する黄体ホルモン剤の役割は? 国内で使用可能となったプロゲステロン腟剤について知っておくべき薬の特性は? ウィメンズクリニックふじみ野の林先生に伺いました。 プレママの体に優しい凍結胚移植が主流に 現在、日本のET(胚移植)では、新鮮胚移植より凍結胚移植のほうが断然多くなっています。いくつか理由がありますが、まずひとつは単純に成績の良さが挙げられます。胚(受精卵)は採卵周期で戻すか、またはいったん凍結保存してから別の周期に融解して戻すかのいずれかで移植しますが、凍結保存してから移植した場合のほうが、妊娠率が高いと考えられています。 もうひとつの理由としては、卵巣過剰刺激症候群(OHSS)を防げることにあります。採卵前に、すでに高刺激で目いっぱい卵巣を刺激して排卵誘発していますから、直後の新鮮胚移植で妊娠が成立した場合にはOHSSが起こりやすいのです。せっかく妊娠してもつらい症状をともなうので、妊婦さんにとってはどうしても“優しくない”。それもあり、卵巣が落ち着いてから戻す凍結胚移植が多く選択されることとなりました。 妊娠を望む女性の体がしっかり整うのを待ってから、胚を戻すことができるのが凍結胚移植。妊娠率の高さも、ここに理由があるのかもしれません。 プロゲステロンは着床・妊娠維持において重要なホルモン 子宮内膜は月経終了後にエストロゲンの働きによって増殖しながら厚みを増していきますが、排卵後は黄体から分泌されるプロゲステロンが子宮内膜をふかふかのベッドに変化させ、胚が子宮内膜に着床するための準備をします。妊娠7、8週頃にはプロゲステロンの分泌源は黄体から胎盤へと移行していくことがわかっています。ART(生殖補助医療)においては一般的にさまざまなホルモン剤を使用することによって黄体機能を抑制してしまうことから、体外からプロゲステロンを補充することによって着床・妊娠維持を促す必要があります。 国内で使用可能となった「プロゲステロン腟剤」という黄体ホルモン製剤 凍結胚を移植する方法は大きく分けて2つあります。患者さん自身の月経周期に合わせて胚を移植する自然周期移植と、エストロゲン製剤とプロゲステロン製剤を用いて着床期の体内におけるホルモン動態を人工的につくり出して移植を行うホルモン調節周期です。どちらも妊娠率において大きな差はないと考えられていますが、薬剤を使用するホルモン調節周期の移植は胚移植のスケジュールが立てやすいというメリットがありますし、また排卵障害がある方や採卵を行った翌周期での移植を希望する方ではホルモン調節周期のほうが良いのではないかと思います。一方でホルモン調節周期によって移植する場合は、もともと卵巣内の黄体から分泌されるプロゲステロンがつくれなくなりますので、妊娠10週くらいまでプロゲステロンを体外から投与する必要があります。 ホルモン調節周期において使用されるホルモン製剤は、国内においてはこれまで体内で分泌されるホルモンとは少し異なる作用を示す、いわゆる合成型の製剤等が標準的に使用されてきました。しかし、近年では安全性の面から、可能な限り体内ホルモンとまったく同じ作用を示す天然型の製剤を使用することが望ましいという考え方が主流になっているように思われます。 プロゲステロン製剤はいくつかの種類がありますが、日本においてはこれまで合成型の経口剤(飲み薬)や筋肉注射剤がメインでした。経口剤は腸管や肝臓を介して、筋注剤は血液を介して子宮内膜に薬剤が届けられるため、薬物移送はあまり効率がよいとは言えません。また筋注剤は筋肉に注射するため痛みがあり、薬剤投与のための通院が必要になります。しかし、数年前から国内にてARTにおける黄体補充の適応症を取得して承認された天然型のプロゲステロン腟剤が使用できるようになりました。腟剤は患者さん自身が直接腟の中に挿入します。できるだけ子宮に近い場所(腟の奥1/3くらい)まで入れたほうが効果的であるといわれています。承認された腟剤の中には専用の腟内挿入補助具(アプリケータ)が付属されているものもあり、慣れれば手を汚さずにどなたでも簡単に使うことができると思います。しかし、腟剤は使用中に薬剤の添加物がおりものに混じって腟外に漏れ出ることで下着を汚したりすることがあります。念のため、おりものシートやナプキンなどを備えておくことをすすめています。このような天然型のプロゲステロン腟剤は国内では登場して間もないのですが、海外では数十年前から使用されており、現在では黄体補充の80%くらいが腟剤を標準的に使用しています。 知っておきたいプロゲステロン腟剤の特性 ホルモン調節周期にプロゲステロン腟剤を使用するうえで、子宮内膜に十分なプロゲステロンが届けられているかどうかを知るために、胚移植日に血液検査を行って血中プロゲステロン濃度を調べることが多くの施設で行われてきました。施設によっては血液検査の結果を見て、値が低ければ経口剤や筋注剤を加えて治療法を変更することもあるようですが、当院では基本的にプロゲステロン腟剤以外の黄体ホルモン剤を同時に使用することはありません。当院で調査したデータでは、胚移植日の血中プロゲステロン値は妊娠率と何ら関係を示しておりませんでした。かなり低い値を示していても、妊娠が継続されている方が多くいらっしゃいました。当院と同様の調査結果も全国の施設から多数報告されているようです。腟剤を挿入した場合は経口剤や筋注剤のように全身の血液を通って子宮内膜組織に薬剤が届けられるわけではなく、腟から子宮内膜に直接薬剤が届けられますので、血中濃度を測定しても意味はないと考えられます。極端な場合、たとえば使用方法を間違えていて血中プロゲステロン値が0でない限りは、値が低い場合であっても高い場合であっても不安になる必要はありません。また腟剤投与中におりものシートに点状の軽度の出血を経験される方もおられますが、基本的に妊娠との関連性は低いことが明らかにされていますので、安心してご使用になられていいと思います。 体外受精において妊娠できるかどうかはさまざまなメカニズムが成立する必要がありますが、特に受精卵の質が重要になると考えられています。ホルモン調整周期の凍結胚移植ではプロゲステロン製剤の使用によって、着床しやすい子宮内膜をつくることが重要になりますが、国内で使用可能となったプロゲステロン腟剤は海外で既に有効性が証明されているものですので、仮に妊娠しなかった場合の原因について考える際は、プロゲステロン製剤の効果というよりも受精卵や他の因子に着目するほうが私は正しいと思います。 不妊治療の分野は日進月歩で、薬も新しいものが開発されています。プロゲステロン腟剤による黄体補充法も、「快適に治療をするためのひとつの選択肢」と、とらえてもらえればいいのではないかと思います。 長年地域の方々に親しまれてきたミューズレディスクリニックから移行し、2017年5月に新規開院。泌尿器科医も加入し、これまで以上の良質な治療を提供しています。 [無料]気軽にご相談ください お話を伺った先生のご紹介 林 直樹 先生(ウィメンズクリニックふじみ野) 1983年、東京大学医学部卒業。埼玉医科大学総合医療センター(川越市)などを経て、現職。「体外受精、顕微授精も高いクオリティで対応していますが、できる限り自然に近い不妊治療をご提供したいと考えています。患者さんはそれぞれお悩みも違いますから、どんなことでもまずご相談を。時にはご要望に沿えず、厳しいことを申し上げるかもしれませんが、常に患者さんにとってベストな治療法をご一緒に見出したいと思っています」。 出典:女性のための健康生活マガジン jineko vol.35 2017 Autumn≫ 掲載記事一覧はこちら
2017.8.21
コラム 不妊治療