永井マザーズホスピタル ジネコ取材済
埼玉県三郷市上彦名607-1
婦人科 / 不妊治療 / 産科
永井マザーズホスピタル
埼玉県三郷市上彦名607-1
産科、婦人科をはじめ、不妊治療、形成・美容外科、そして小児科と、女性とそのファミリーにかかわる総合的な医療を担っております。女性たちが生涯を通じて健康で、生き生きと美しくあるために、医療を通して永くお付き合いできればと願っております。どうぞお気軽に、今後とも皆さまの「かかりつけ医」として当院をご利用いただければ幸いに思います。
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診療科
婦人科
不妊治療
産科
基本診療時間
診療時間 | 月 | 火 | 水 | 木 | 金 | 土 | 日 | 祝 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
9:30~12:30 | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ||
15:00~17:30 | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ |
休診日
日曜・祝日
住所・連絡先
埼玉県三郷市上彦名607-1
TEL: 048-959-1311
婦人科
女性のからだはデリケートです。気になる症状や心配なこと、からだの不調を感じたら、早めの受診を心がけましょう。当院をご自分の『ホームドクター』として、どんなことでもお気軽にご相談ください。当院の姉妹クリニック、女性のための健診センター「永井ウィメンズクリニック」での受診がご便利です(一部の検査はそちらで受診していただきます)。
不妊治療
当院では、不妊治療に力を入れており、有効な実績を上げています。一般的な検査に加え、特殊検査による原因究明と先進の技術による積極的な治療でお応えしております。
形成・美容外科
すべての女性にはより美しく、日常をいきいき過ごしていただきたい!
当院では、女性のさまざまなからだの悩みやニーズにお応えできればと考え、形成・美容外科診療も行っています。女性のからだの変化を見守り続けている当院だからこそできるサポートです。
小児科
当院では、新生児~小児の健診を中心に、専門医がお子さまの発育のチェックやご相談に応じています。健診と予防接種はすべて予約制となっております。ご希望の方は診察券をお手元に用意の上、電話または受付でお申し込みください。
永井 泰 院長プロフィール
現在当院では、産科、婦人科をはじめ、不妊治療、形成・美容外科、そして小児科と、女性とそのファミリーに関わる総合的な医療を担っております。また、予防医学の見地から、グループクリニックとして、女性のための健診センター「永井ウィメンズクリニック」をJR三郷駅そばに設けております。
女性たちが生涯を通じて健康で、生き生きと美しくあるために、医療を通して永くお付き合いできればと願っております。どうぞお気軽に、今後とも皆さまの「かかりつけ医」として当院をご利用いただければ幸いに思います。
永井 泰 院長略歴
麻酔科認定医
東京医科大学医学部卒業
日本産婦人科学会会員
日本生殖医学会会員
日本麻酔科学会会員
日本受精着床学会会員
日本産婦人科乳癌学会会員
妊娠高血圧学会会員
日本周産期・新生児医学会会員
ウェルネスルーム
ウエルネスルームでは、妊婦さまはもちろん、一般のご婦人まで幅広い年齢層の女性にご利用いただける健康づくりマシン「パワープレート」を配備しています。
パワープレートとは、ストレッチ、トレーニング、リラクゼーションのすべてを1台で実現する、他にはない加速度トレーニングマシンです。マシンの床部が前後・左右・上下の3次元に振動し、効率よく筋肉にはたらきかけ、10~15分程度のトレーニングで、ジムでの1時間分の運動と同じ運動効果が期待できるなど、短時間で効果的なトレーニングが可能です。
妊婦さまがご使用になると、足のむくみや腰痛の改善、体重増加の抑制に効果を発揮します。胎児には悪い影響などは与えませんので安心してご利用ください。
このクリニックに関連する監修記事、取材内容、ユーザー様からの質問と回答など、ジネコが企画した様々なコンテンツの一覧です。
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多囊胞性卵巣ぎみです。適した刺激法、戻し方は?
皆さんの治療に関する相談を全国のドクターにお聞きして、誌面でアドバイスをお届けする人気企画「ジネコ セカンドオピニオン」。ジネコの応援ドクターが丁寧にお答えいたします
2019.9.11
コラム 不妊治療
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体外受精5回目。ほかの誘発法や治療法は?
皆さんの治療に関する相談を全国のドクターにお聞きして、誌面でアドバイスをお届けする人気企画「ジネコ セカンドオピニオン」。ジネコの応援ドクターが丁寧にお答えいたします
2019.6.28
コラム 不妊治療
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造影検査で左側に卵管閉塞が。 体外受精しか選択肢はない?
皆さんの治療に関する相談を全国のドクターにお聞きして、 誌面でアドバイスをお届けする人気企画「ジネコ セカンドオピニオン」。 ジネコの応援ドクターが丁寧にお答えいたします。
2019.3.8
コラム 不妊治療
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運動、食事、睡眠、ストレスすべてが「冷え性」の原因【不妊と冷えの関係】
血液循環が滞る「冷え性」は、不妊の原因にもなりかねません。「体を温める」だけでは改善しないことも。根本から治したいと思うなら、生活習慣そのものから見直す必要があります。改善のポイントを、永井マザーズホスピタルの永井先生に伺いました。
2018.12.21
コラム 不妊治療
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化学流産3回に子宮外妊娠1回。体外受精に進むべき?
化学流産3回に子宮外妊娠1回。体外受精に進むべき?
2018.9.3
コラム 不妊治療
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顕微授精で4回移植しても 結果が出ない原因は?
相談者:ロコさん(30歳)からの相談 ▶男性不妊で結果が出ずに悩んでいます 現在、男性不妊のため顕微授精をしていますが、なかなか結果が出ずに悩んでいます。1年前からショート法で採卵3回、移植は4回行いました。私のほうには原因がないと医師にいわれていますが、4回も移植しているのに妊娠できないので、私も着床不全の検査や子宮鏡検査、子宮内掻爬などを受けたほうがいいのかと考えています。医師からは「男性不妊だから受精卵も質が良くないし、染色体異常があったのだろう。あなたの検査は必要ない。とにかく男性不妊が原因!」といわれ、あまり取り合ってもらえませんでした。毎回同じ誘発法で、採れる卵子が採卵のたびに減ってきているので、本当にこのままで大丈夫か、医師を信頼しきれずにいます。 やはり、男性の精液所見が良くないから妊娠まで至らないのですか。ご主人の現在の精子数は1500~2900万/ml程度、運動率は20%前後とのこと。1年前と比べて状態は少し良くなっているそうですが、直進運動率が15%と低いようですね。顕微授精をすれば十分妊娠の希望がもてる数値だと思いますが、担当医の先生がおっしゃっているように、確かに精子が良くないと受精卵の質も悪くなるという報告もあります。 ロコさんは4回の移植のうち、2回は4AA、4BBという比較的グレードの良い胚盤胞を戻されています。当院でも女性側に異常がなく、男性の精子が少ないというご夫婦の場合、胚盤胞を移植しても着床しにくい、流産してしまうなど、なかなか妊娠に至らないケースが見られます。見た目ではわかりませんが、精子の質が何かしら受精卵に影響を与えていることがあるのかもしれません。女性側に問題はないのでしょうか。そうとはいいきれません。男性だけでなく、女性側だったら着床障害、何かが原因で着床を妨げている可能性も考えたほうがいいでしょう。 受精卵に問題がなくても、それを受け入れる子宮に異常があることも。たとえば子宮内膜にポリープがあるとか、子宮内膜炎を起こしていて炎症があるなど。これらを詳しく調べるには、やはり一度、子宮鏡検査を受けたほうがいいと思いますね。 また、高リン脂質抗体など自己免疫に関する検査、いわゆる不育症の検査で行うようなものも念のため受けられるといいでしょう。検査をして異常がなければ、疑いを1つでも消去できると思います。 不妊に関する治療はこのまま同じ形で続けていってもいいですか。3回の採卵ではすべてショート法を採用されているようですね。どんな誘発法でも回数を重ねていくと、採れる卵子の数は少なくなっていく傾向があります。 もし次回採卵をするとしたらアンタゴニスト法や、クロミッド®もしくはフェマーラ®などの飲み薬をメインにしたもう少しマイルドな方法で試されてみてはいかがでしょうか。 採卵数は減るかもしれませんが、少なくても質の良いもののほうがいいと思います。強い刺激でどんどん続けるのではなく、3、4カ月治療をお休みしてまず卵巣をゆっくり休ませる。その後、なるべく卵巣を刺激しない形で採っていけば、良い受精卵ができる可能性は十分あると思います。 まだ年齢的にお若いし、2回目の移植では化学流産、つまり妊娠反応があったということですから期待がもてるでしょう。 病院については、治療や検査に対する考え方が偏っていて、あまりにもご夫婦の考え方と食い違うようであれば、ご主人と相談して転院を検討されたり、ご主人も男性不妊の専門医に診てもらってもいいと思います。 Doctor’s advice ●子宮の状態や自己免疫を調べる検査を受けてみる意味はあると思います。 ●同じ誘発法を続けるのではなく、次はもっとマイルドな方法でトライを。 永井 泰 先生(永井マザーズホスピタル) 東京医科大学医学部卒業。産婦人科・麻酔科認定医。1989年、埼玉県三郷市に開院。さらに環境を整え、より良い医療を提供するために、2015年に診療所から病院へ改組。産科、婦人科をはじめ、不妊治療、形成・美容外科、小児科と、女性が生涯関わる総合的な医療を、温かく、優しい環境の中で提供。セミプロ級の腕前の卓球だけではなく、冬や初春はスキーもこなすという永井先生。時にはカナダなど海外の大自然の中で滑ることも。スポーツが若さと徹夜で当直もこなす体力の源に。≫ 永井マザーズホスピタル出典:女性のための健康生活マガジン jineko vol.37 2018 Spring≫ 掲載記事一覧はこちら
2018.2.25
コラム 不妊治療
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胎児発育に欠かせない栄養素「葉酸」「DHA」「EPA」
糖質より、たんぱく質や脂質を充実させた食事を 赤ちゃんを健康な状態で出産するためには、妊娠中はバランスのよい食生活を心がけたいものです。一般的に、ほとんどの日本人は糖質以外の栄養素が不足しているといわれているんですね。特に足りないといわれているのがたんぱく質。脂質についても、現代は欧米型の食生活になり、過剰に摂りすぎているように思われますが、実は不足している人が多いようです。 赤ちゃんの体のもとにもなるものですから、まずはたんぱく質の摂取をしっかりと。足りていないと、妊娠高血圧症候群や妊娠糖尿病など産科的な合併症も起こしやすくなります。主食よりも肉や魚、大豆製品など、おかずを充実させた食事を考えるようにしましょう。 「葉酸」は健全な胎児発育に欠かせない栄養素 ビタミンについては、妊婦さんでなくても最近は体調を気遣って、何種類かのビタミンをサプリメントで補っている人も多いようですが、ビタミンの中でも特に妊婦さん、妊活をしている人に必要量をきちんと摂っていただきたいのが葉酸です。 葉酸はビタミンB群の一種で、人間の細胞分裂に必要な栄養素。胎児の細胞分裂が盛んな妊娠初期に不足していると、神経管の異常や二分脊椎症、無脳症などの発症リスクが高くなるといわれています。 葉酸はその名前の通り、ほうれん草などの葉物野菜や納豆などに多く含まれています。毎日の食生活で摂るのがいちばんですが、食事だけでは十分に摂取できないという人はサプリメントも積極的に活用しましょう。妊娠初期の女性なら、1日400~600µg程度の量を摂るのが理想です。 赤ちゃんにも良い影響を与えるDHAとEPA また、日本人は脂質も不足していると前述しましたが、脂質のなかでも最近、積極的な摂取を推奨されているのがDHAやEPAなどの必須脂肪酸です。 DHAは脳や神経細胞、EPAは全身の細胞や血管に多く存在する脂肪酸の一種。DHAは中性脂肪を減少させて、心疾患などの病気リスクを軽減。EPAは細胞活性物質なので、善玉コレステロールを増やして悪玉コレステロールを減らす働きがあります。血栓や動脈硬化を予防するほか、赤ちゃんの健全な発育や発達、機能維持にも欠かせない栄養素なんですね。厚生労働省では、妊娠から授乳期の間にDHA・EPAの摂取を推奨しています。 とても大切な栄養素ですが、どちらも体内で合成することができないので、外から摂取することが必要です。DHAやEPAはサバやイワシ、ブリ、マグロなど青魚のほか、えごま油やアマニ油にも多く含まれています。どうしても食事だけでは摂れないという人は、葉酸同様、これもサプリメントで補ってもいいでしょう。 ただし、DHA・EPA自体はエネルギーやカロリーにはならないので、基本的な栄養は食事できちんと摂ることが大切です。妊娠を考えたら、まずは現在の食生活を見直し、その上でサプリメントを上手に活用していきましょう。 お話を伺った先生のご紹介 院長 永井 泰 (永井マザーズホスピタル) 東京医科大学医学部卒業。産婦人科・麻酔科認定医。 栄養学の知識にも詳しく、生活改善も積極的に指導 永井マザーズホスピタル 048-959-1311 埼玉県三郷市上彦名607-1 http://www.nagai-cl.com/ 糖質より、たんぱく質や脂質を充実させた食事を 赤ちゃんを健康な状態で出産するためには、妊娠中はバランスのよい食生活を心がけたいものです。一般的に、ほとんどの日本人は糖質以外の栄養素が不足しているといわれているんですね。特に足りないといわれているのがたんぱく質。脂質についても、現代は欧米型の食生活になり、過剰に摂りすぎているように思われますが、実は不足している人が多いようです。 赤ちゃんの体のもとにもなるものですから、まずはたんぱく質の摂取をしっかりと。足りていないと、妊娠高血圧症候群や妊娠糖尿病など産科的な合併症も起こしやすくなります。主食よりも肉や魚、大豆製品など、おかずを充実させた食事を考えるようにしましょう。 「葉酸」は健全な胎児発育に欠かせない栄養素 ビタミンについては、妊婦さんでなくても最近は体調を気遣って、何種類かのビタミンをサプリメントで補っている人も多いようですが、ビタミンの中でも特に妊婦さん、妊活をしている人に必要量をきちんと摂っていただきたいのが葉酸です。 葉酸はビタミンB群の一種で、人間の細胞分裂に必要な栄養素。胎児の細胞分裂が盛んな妊娠初期に不足していると、神経管の異常や二分脊椎症、無脳症などの発症リスクが高くなるといわれています。 葉酸はその名前の通り、ほうれん草などの葉物野菜や納豆などに多く含まれています。毎日の食生活で摂るのがいちばんですが、食事だけでは十分に摂取できないという人はサプリメントも積極的に活用しましょう。妊娠初期の女性なら、1日400~600µg程度の量を摂るのが理想です。 赤ちゃんにも良い影響を与えるDHAとEPA また、日本人は脂質も不足していると前述しましたが、脂質のなかでも最近、積極的な摂取を推奨されているのがDHAやEPAなどの必須脂肪酸です。 DHAは脳や神経細胞、EPAは全身の細胞や血管に多く存在する脂肪酸の一種。DHAは中性脂肪を減少させて、心疾患などの病気リスクを軽減。EPAは細胞活性物質なので、善玉コレステロールを増やして悪玉コレステロールを減らす働きがあります。血栓や動脈硬化を予防するほか、赤ちゃんの健全な発育や発達、機能維持にも欠かせない栄養素なんですね。厚生労働省では、妊娠から授乳期の間にDHA・EPAの摂取を推奨しています。 とても大切な栄養素ですが、どちらも体内で合成することができないので、外から摂取することが必要です。DHAやEPAはサバやイワシ、ブリ、マグロなど青魚のほか、えごま油やアマニ油にも多く含まれています。どうしても食事だけでは摂れないという人は、葉酸同様、これもサプリメントで補ってもいいでしょう。 ただし、DHA・EPA自体はエネルギーやカロリーにはならないので、基本的な栄養は食事できちんと摂ることが大切です。妊娠を考えたら、まずは現在の食生活を見直し、その上でサプリメントを上手に活用していきましょう。 お話を伺った先生のご紹介 院長 永井 泰 (永井マザーズホスピタル) 東京医科大学医学部卒業。産婦人科・麻酔科認定医。 栄養学の知識にも詳しく、生活改善も積極的に指導 永井マザーズホスピタル 048-959-1311 埼玉県三郷市上彦名607-1 http://www.nagai-cl.com/
2017.7.1
コラム 妊娠・出産
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未成熟卵が多く受精しないのは多嚢胞性卵巣症候群だから?
未成熟卵が多く受精しないのは多嚢胞性卵巣症候群だから? 永井 泰 先生(永井マザーズホスピタル) 相談者:夏恋さん(29歳) 受精ゼロでした 多嚢胞性卵巣症候群です(AMHの値は4ng/ml)。28歳の時に自然妊娠しましたが、初期流産という結果に。その後1年間タイミングをとり続けても妊娠しませんでした。卵管はきれいに通っており、主人の精子も元気いっぱい。思い切って体外受精に進み、ロング法で採卵したところ12個の卵子が採れましたが、そのうち6個は未成熟卵。残りは成熟卵でしたが、医師から「未成熟卵が多すぎて良くない!」といわれました。主人の精子はすごく良く、「振りかけで十分」とのことでしたが、結果は受精ゼロ。精子が良くても受精障害ということはあり得ますか? それとも卵子側に問題があるのか、もしくは多嚢胞性卵巣が関係しているのでしょうか。 受精しなかった原因はどんなことが考えられますか。 年齢がまだお若いし、精子の状態も良好なようですから、1回の体外受精で受精障害だと決めてしまうことはないと思いますね。 卵子はたくさん採れたけれど未成熟卵が多かったということは、全体的に卵子が小さかったのではないでしょうか。成熟卵に関しても、成熟する一歩手前の状態だったのでは。もしかしたら採卵するタイミングがずれていて、もう1日程度採卵を遅らせれば結果は変わっていたかもしれません。LHやFSHなど、この時のホルモンのデータがないのではっきりとはいえませんが、まだ未成熟の卵子も、成熟するまで引き延ばしていけば良かったのかなと思います。 卵巣刺激法はロング法を選択されていますが、この方法だとだいたい一定に「この日が採卵」というのが決まってしまうんですね。ほかの刺激法、たとえばアンタゴニスト法だとほぼ毎日ホルモンをチェックして進めていくので、タイミングがピタッと合う。また、アンタゴニスト法でなくても、クロミッド®だけで抑えていって、LHサージをつくってあげればうまく調節できると思います。 体外受精をするなら、卵巣刺激法を変えたほうがいいということですね。 当院だったら、アンタゴニスト法、もしくはクロミッド®にゴナドトロピンを少し加えた方法で刺激することを提案すると思います。これらの方法はロング法と比べると採れる卵子の数は少なくなりますが、この方は年齢が若く、卵子の質も悪くないはず。流産されましたが過去に受精の経験があるし、卵管因子もない。2、3個の採卵でも妊娠する可能性は十分あるのではないでしょうか。 生理3日目の卵胞の大きさと数を見て、かなり多い場合は低い刺激に。FSHの注射を50~75単位から始めて、数が揃うようになったら量をぐっと上げて、3~4個の卵子をつくるようにしていきます。そうすれば、いいものが採れると思いますね。 多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)は妊娠の大きな障害になるのでしょうか。 以前妊娠されて、卵子も採れています。AMH(抗ミュラー管ホルモン)の値も4ng/mlとそれほど高くないので、PCOSでもそれほど重症ではないのでは。排卵誘発をうまく工夫していけば、タイミング法でも妊娠は可能かもしれません。 また、高アンドロゲン血症などが背景にあるPCOSだったら、メトホルミンなどのお薬を3カ月ほど服用すると排卵誘発もいい状態で行えて、しっかり卵子がつくれるようになります。 悲観されることはありませんが、PCOSは年齢を重ねると急に卵子が採れなくなることがありますから、なるべく早めに治療を進めていったほうがいいでしょう。 永井先生より まとめ ●採卵のタイミングを1日程度遅らせても良かったのでは ●数は少なくても、もう少し低い刺激で確実に成熟卵を採っていく [無料]気軽にご相談ください お話を伺った先生のご紹介 永井 泰 先生(永井マザーズホスピタル) 東京医科大学医学部卒業。産婦人科・麻酔科認定医。1989年、埼玉県三郷市に開院。さらに環境を整え、より良い医療を提供するために、2015年に診療所から病院へ改組。産科、婦人科をはじめ、不妊治療、形成・美容外科、小児科と、女性が生涯関わる総合的な医療を、温かく、優しい環境の中で提供。2月に誕生日を迎えた永井先生。最近、ガールフレンドとの間にベビーが生まれたミック・ジャガーより1歳年下。そのバイタリティに負けず劣らず、先生もお元気で、取材の後は卓球の練習に向かわれました。 ≫ 永井マザーズホスピタル 出典:女性のための健康生活マガジン jineko vol.33 2017 Spring≫ 掲載記事一覧はこちら 未成熟卵が多く受精しないのは多嚢胞性卵巣症候群だから? 永井 泰 先生(永井マザーズホスピタル) 相談者:夏恋さん(29歳) 受精ゼロでした 多嚢胞性卵巣症候群です(AMHの値は4ng/ml)。28歳の時に自然妊娠しましたが、初期流産という結果に。その後1年間タイミングをとり続けても妊娠しませんでした。卵管はきれいに通っており、主人の精子も元気いっぱい。思い切って体外受精に進み、ロング法で採卵したところ12個の卵子が採れましたが、そのうち6個は未成熟卵。残りは成熟卵でしたが、医師から「未成熟卵が多すぎて良くない!」といわれました。主人の精子はすごく良く、「振りかけで十分」とのことでしたが、結果は受精ゼロ。精子が良くても受精障害ということはあり得ますか? それとも卵子側に問題があるのか、もしくは多嚢胞性卵巣が関係しているのでしょうか。 受精しなかった原因はどんなことが考えられますか。 年齢がまだお若いし、精子の状態も良好なようですから、1回の体外受精で受精障害だと決めてしまうことはないと思いますね。 卵子はたくさん採れたけれど未成熟卵が多かったということは、全体的に卵子が小さかったのではないでしょうか。成熟卵に関しても、成熟する一歩手前の状態だったのでは。もしかしたら採卵するタイミングがずれていて、もう1日程度採卵を遅らせれば結果は変わっていたかもしれません。LHやFSHなど、この時のホルモンのデータがないのではっきりとはいえませんが、まだ未成熟の卵子も、成熟するまで引き延ばしていけば良かったのかなと思います。 卵巣刺激法はロング法を選択されていますが、この方法だとだいたい一定に「この日が採卵」というのが決まってしまうんですね。ほかの刺激法、たとえばアンタゴニスト法だとほぼ毎日ホルモンをチェックして進めていくので、タイミングがピタッと合う。また、アンタゴニスト法でなくても、クロミッド®だけで抑えていって、LHサージをつくってあげればうまく調節できると思います。 体外受精をするなら、卵巣刺激法を変えたほうがいいということですね。 当院だったら、アンタゴニスト法、もしくはクロミッド®にゴナドトロピンを少し加えた方法で刺激することを提案すると思います。これらの方法はロング法と比べると採れる卵子の数は少なくなりますが、この方は年齢が若く、卵子の質も悪くないはず。流産されましたが過去に受精の経験があるし、卵管因子もない。2、3個の採卵でも妊娠する可能性は十分あるのではないでしょうか。 生理3日目の卵胞の大きさと数を見て、かなり多い場合は低い刺激に。FSHの注射を50~75単位から始めて、数が揃うようになったら量をぐっと上げて、3~4個の卵子をつくるようにしていきます。そうすれば、いいものが採れると思いますね。 多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)は妊娠の大きな障害になるのでしょうか。 以前妊娠されて、卵子も採れています。AMH(抗ミュラー管ホルモン)の値も4ng/mlとそれほど高くないので、PCOSでもそれほど重症ではないのでは。排卵誘発をうまく工夫していけば、タイミング法でも妊娠は可能かもしれません。 また、高アンドロゲン血症などが背景にあるPCOSだったら、メトホルミンなどのお薬を3カ月ほど服用すると排卵誘発もいい状態で行えて、しっかり卵子がつくれるようになります。 悲観されることはありませんが、PCOSは年齢を重ねると急に卵子が採れなくなることがありますから、なるべく早めに治療を進めていったほうがいいでしょう。 永井先生より まとめ ●採卵のタイミングを1日程度遅らせても良かったのでは ●数は少なくても、もう少し低い刺激で確実に成熟卵を採っていく [無料]気軽にご相談ください お話を伺った先生のご紹介 永井 泰 先生(永井マザーズホスピタル) 東京医科大学医学部卒業。産婦人科・麻酔科認定医。1989年、埼玉県三郷市に開院。さらに環境を整え、より良い医療を提供するために、2015年に診療所から病院へ改組。産科、婦人科をはじめ、不妊治療、形成・美容外科、小児科と、女性が生涯関わる総合的な医療を、温かく、優しい環境の中で提供。2月に誕生日を迎えた永井先生。最近、ガールフレンドとの間にベビーが生まれたミック・ジャガーより1歳年下。そのバイタリティに負けず劣らず、先生もお元気で、取材の後は卓球の練習に向かわれました。 ≫ 永井マザーズホスピタル 出典:女性のための健康生活マガジン jineko vol.33 2017 Spring≫ 掲載記事一覧はこちら
2017.5.19
コラム 不妊治療
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HMGで誘発をすると 卵子の質が落ちる? また、多胎になる確率は?
HMGで誘発をすると卵子の質が落ちる?また、多胎になる確率は? 相談者:スミレさん(30歳)初HMG注射使用時の避妊指示についてPCOSで不妊治療中です。クロミッドⓇで卵子が育たず、今周期からHMG注射(8月22 日からほぼ1 日おき計5本)を始め、8月26 日の内診ではあまり変化はありませんでしたが、8月31日の内診で、30㎜前後の卵胞がたくさんできていました。「一気に排卵するのは避けたいので、HMGを使うのはやめましょう」と医師にいわれ、その後体温が上がり、自然排卵したのだと思います。医師から避妊指示がなかったため8月26 日と28 日に仲良ししましたが、9月1日にOHSSの症状が出始めて4日後に病院へ行ったら「当然、今周期は避妊していますよね」といわれ、聞いてないこちらはびっくりしてしまいました。もし今周期妊娠していたとしたら卵子の質は大丈夫なのか、多胎の可能性はどれくらいあるのか教えていただけますか? 初めてHMG注射による治療をされたということですが。 永井先生:当院もそうですが、排卵誘発を行う場合、最初は刺激がマイルドな飲み薬のクロミッドⓇから始めることが多いと思います。それだけでスムーズに排卵される方もいますが、重症のPCOS(多嚢胞性卵巣症候群)だと、クロミッドⓇ単独で排卵を起こすのが難しい場合があるんですね。おそらくスミレさんもそのケースに該当し、さらに強く刺激をするHMGというお薬を使うことになったのだと思います。 刺激が強い分、この療法の効果は高く、卵管障害や精子不良など、ほかに問題がなければ90 %の女性が排卵します。そのうち1〜2年以内に50~70%が妊娠するといわれています。タイミングさえ合えば、かなりの率で妊娠するんですね。 ただし、副作用を起こす確率もクロミッドⓇと比べると高くなり、代表的なものはスミレさんも心配されている多胎の発生とOHSS(卵巣過剰刺激症候群)です。 多胎になる確率はどのくらいなのでしょうか。 永井先生:多胎率については、クロミッドⓇだと約8%ですが、HMGだと15%。自然妊娠だと双子になるのは1~2%ですから、排卵誘発剤を使うと多胎になる確率が上昇することは確かです。特にHMGの場合は5、6人に1人ということですから、かなり高まると考えていいでしょう。 HMGの使用で卵子の質が落ちるということはありますか? 永井先生:排卵誘発をして卵子の質が落ちることはないと思います。それで妊娠して、赤ちゃんに異常が出るということもありません。誘発しなかった場合と同じだと考えていただいていいと思います。 担当の先生から指示をされなかったということですが、本当は避妊したほうが望ましかったようですね。 永井先生:現在の産婦人科診療ガイドラインだと「16㎜以上の卵胞が4個以上になった場合はタイミングをやめて、その周期はキャンセルしなさい」となっているので、通常なら患者さんに避妊の指示をしなければいけないと思います。 どうしてもお子さんの希望が強い場合、リスクをきちんとお話しした上で治療を行う施設も少なからずあります。当院でも、患者さんの意思を優先する場合もあります。 スミレさんは今、不安と迷いの気持ちでいっぱいだと思いますが、日本の周産期医療は世界の中でも母子ともに死亡率が低く高いレベルにあります。経過をみながら、担当医の先生、ご家族とよく相談して、納得できる形で進めていただきたいですね。 永井マザーズホスピタル 永井 泰 先生東京医科大学医学部卒業。産婦人科・麻酔科認定医。1989 年、埼玉県三郷市に開院。さらに環境を整え、より良い医療を提供するために、2015 年に診療所から病院へ改組。産科、婦人科をはじめ、不妊治療、形成・美容外科、小児科と、女性が生涯関わる総合的な医療を、温かく、優しい環境の中で提供。特に「食」には力を入れており、4人の管理栄養士のもと、患者さんに合わせたきめ細かい栄養指導を行っている。≫ 永井マザーズホスピタル 出典:女性のための健康生活マガジン jineko vol.32 2016 Winter≫ 掲載記事一覧はこちら 専門家に相談してみる HMGで誘発をすると卵子の質が落ちる?また、多胎になる確率は? 相談者:スミレさん(30歳)初HMG注射使用時の避妊指示についてPCOSで不妊治療中です。クロミッドⓇで卵子が育たず、今周期からHMG注射(8月22 日からほぼ1 日おき計5本)を始め、8月26 日の内診ではあまり変化はありませんでしたが、8月31日の内診で、30㎜前後の卵胞がたくさんできていました。「一気に排卵するのは避けたいので、HMGを使うのはやめましょう」と医師にいわれ、その後体温が上がり、自然排卵したのだと思います。医師から避妊指示がなかったため8月26 日と28 日に仲良ししましたが、9月1日にOHSSの症状が出始めて4日後に病院へ行ったら「当然、今周期は避妊していますよね」といわれ、聞いてないこちらはびっくりしてしまいました。もし今周期妊娠していたとしたら卵子の質は大丈夫なのか、多胎の可能性はどれくらいあるのか教えていただけますか? 初めてHMG注射による治療をされたということですが。 永井先生:当院もそうですが、排卵誘発を行う場合、最初は刺激がマイルドな飲み薬のクロミッドⓇから始めることが多いと思います。それだけでスムーズに排卵される方もいますが、重症のPCOS(多嚢胞性卵巣症候群)だと、クロミッドⓇ単独で排卵を起こすのが難しい場合があるんですね。おそらくスミレさんもそのケースに該当し、さらに強く刺激をするHMGというお薬を使うことになったのだと思います。 刺激が強い分、この療法の効果は高く、卵管障害や精子不良など、ほかに問題がなければ90 %の女性が排卵します。そのうち1〜2年以内に50~70%が妊娠するといわれています。タイミングさえ合えば、かなりの率で妊娠するんですね。 ただし、副作用を起こす確率もクロミッドⓇと比べると高くなり、代表的なものはスミレさんも心配されている多胎の発生とOHSS(卵巣過剰刺激症候群)です。 多胎になる確率はどのくらいなのでしょうか。 永井先生:多胎率については、クロミッドⓇだと約8%ですが、HMGだと15%。自然妊娠だと双子になるのは1~2%ですから、排卵誘発剤を使うと多胎になる確率が上昇することは確かです。特にHMGの場合は5、6人に1人ということですから、かなり高まると考えていいでしょう。 HMGの使用で卵子の質が落ちるということはありますか? 永井先生:排卵誘発をして卵子の質が落ちることはないと思います。それで妊娠して、赤ちゃんに異常が出るということもありません。誘発しなかった場合と同じだと考えていただいていいと思います。 担当の先生から指示をされなかったということですが、本当は避妊したほうが望ましかったようですね。 永井先生:現在の産婦人科診療ガイドラインだと「16㎜以上の卵胞が4個以上になった場合はタイミングをやめて、その周期はキャンセルしなさい」となっているので、通常なら患者さんに避妊の指示をしなければいけないと思います。 どうしてもお子さんの希望が強い場合、リスクをきちんとお話しした上で治療を行う施設も少なからずあります。当院でも、患者さんの意思を優先する場合もあります。 スミレさんは今、不安と迷いの気持ちでいっぱいだと思いますが、日本の周産期医療は世界の中でも母子ともに死亡率が低く高いレベルにあります。経過をみながら、担当医の先生、ご家族とよく相談して、納得できる形で進めていただきたいですね。 永井マザーズホスピタル 永井 泰 先生東京医科大学医学部卒業。産婦人科・麻酔科認定医。1989 年、埼玉県三郷市に開院。さらに環境を整え、より良い医療を提供するために、2015 年に診療所から病院へ改組。産科、婦人科をはじめ、不妊治療、形成・美容外科、小児科と、女性が生涯関わる総合的な医療を、温かく、優しい環境の中で提供。特に「食」には力を入れており、4人の管理栄養士のもと、患者さんに合わせたきめ細かい栄養指導を行っている。≫ 永井マザーズホスピタル 出典:女性のための健康生活マガジン jineko vol.32 2016 Winter≫ 掲載記事一覧はこちら 専門家に相談してみる 【人気コラム】ユーザーストーリー~あなたに伝えたいメッセージ~ 【人気コラム】田村秀子先生の心の玉手箱 【役立つ】不妊についてもっと知ろう!不妊とは? 【おすすめ】フリーマガジン「ジネコ」各号記事一覧
2016.11.1
コラム 不妊治療
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なかなか移植まで至りません。もう治療を諦めるべき?
なかなか移植まで至りません。もう治療を諦めるべき? 永井 泰 先生(永井マザーズホスピタル) 相談者:ちよさん(35歳)からの相談 治療のやめ時といわれてしまいました 今まで体外受精を5回しましたが、受精したのは1個だけで、それも胚盤胞までいかず移植できたことがありません。9カ月前に嚢腫が邪魔をして採卵できなくなり、嚢腫、筋腫、癒着剥離の手術を実施。癒着が広範囲で、先生からは「自然妊娠も可能性はあるが、体外受精がいいでしょう」といわれました。今年2月の採卵では受精せず。先日、採卵無麻酔の病院に転院して診てもらったところ、嚢腫と筋腫、癒着がまたできていて、AMHの値は0.18ng/ml、FSHは37mIU/mlでした。先生からは「嚢腫の隙間から見える卵子は採れないことはないが激痛で、そんな思いをして採ったところで良い卵子とは思えない。治療のやめ時でしょう。あと1~2年早かったら」といわれてしまいました。全身麻酔なら採卵できると思いますが、本当にもうやめ時なのでしょうか。 9カ月前に子宮内膜症や子宮筋腫などの手術を受けたのにもかかわらず、また再発をしたということです。 なかには手術をしても半年くらいで再発してしまう人もいます。特に多発筋腫の人はまたすぐにできてしまうことが多いようですね。筋層内筋腫でも子宮内膜を圧迫しているものや粘膜筋腫だと着床に影響することがあるので、そのような影響が考えられるのなら二度目の手術に臨むという選択もあるかと思います。 受精率が低く、胚盤胞までいかないというのは、やはり卵子の質が悪いからなのでしょうか。 確率は低いけれど一応受精はして、でも、その後がうまくいかないということは、やはり卵子の質が悪いことが考えられます。AMH(抗ミュラー管ホルモン)の値が低いのが気になりますね。これは卵巣の予備能、残っている卵子の数を表している数値といわれ、卵子の質とは関連していませんが、低いとそれだけ妊娠のチャンスも少なくなってきているということです。 さらに気になるのがFSHの数値。年齢の割に極端に高く、閉経に近い数値です。これは子宮の疾患があるから上がってしまったということではなく、もともと卵巣の働きが悪く、早発閉経になるような傾向があったのではないでしょうか。 確かに厳しい状態ですが、AMH値0.1以下の方でも妊娠している方はいらっしゃいます。FSHに関しても、カウフマン療法などでFSHを一度下げて安定させてから排卵誘発を行えば、妊娠するチャンスはあると思います。 治療する際のポイントなどはありますか。 これまでどのような方法をとってきたのかわかりませんが、もし同じような形で卵子をつくっていたのなら、排卵誘発の方法を変えると胚盤胞までいく可能性が出てくるかもしれません。 卵子をたくさん採ることを目指すのではなく、このような状況の方は低刺激でいいものが出てくるのを待つという方法もあるかと思います。ただ、採卵は急いだほうがいいでしょう。採れるうちに卵子を確保して受精卵を凍結し、再手術に臨むならその後に受けることを考えます。移植は急ぐことはありませんから。とにかく採卵を優先したほうがいいと思います。 「嚢腫が邪魔をして採卵しにくい」ということについてはどう思われますか。 これは無麻酔だから採りにくいということですよね。それなら、麻酔をして採卵をすれば問題ないでしょう。施設によって考え方が異なるかもしれませんが、ちよさんのような症例にも対応できる施設はあると思います。いろいろ問題があってハードルは高めではありますが、できることはまだあるはず。ここで諦めることなく、前向きに治療に臨んでいただきたいですね。 永井生より まとめ ●排卵誘発法を変えてみると、胚盤胞になる卵子が採れる可能性も。 ●AMH低値、FSH高値の人は採卵を優先して、早めに卵子の確保を。 [無料]気軽にご相談ください お話を伺った先生のご紹介 永井 泰 先生(永井マザーズホスピタル) 東京医科大学医学部卒業。産婦人科・麻酔科認定医。1989年、埼玉県三郷市に開院。さらに環境を整え、より良い医療を提供するために、2015年に診療所から病院へ改組。産科、婦人科をはじめ、不妊治療、形成・美容外科、小児科と、女性が生涯関わる総合的な医療を、温かく、優しい環境の中で提供。クリスマスに開催予定の院内コンサートを企画中。俳優さんが朗読する童謡に合わせて行うピアノやバイオリンの生演奏は以前開催した時も大好評で、小さな子どもたちも夢中になって聴いていたとか。 ≫ 永井マザーズホスピタル 出典:女性のための健康生活マガジン jineko vol.36 2017 Winter≫ 掲載記事一覧はこちら なかなか移植まで至りません。もう治療を諦めるべき? 永井 泰 先生(永井マザーズホスピタル) 相談者:ちよさん(35歳)からの相談 治療のやめ時といわれてしまいました 今まで体外受精を5回しましたが、受精したのは1個だけで、それも胚盤胞までいかず移植できたことがありません。9カ月前に嚢腫が邪魔をして採卵できなくなり、嚢腫、筋腫、癒着剥離の手術を実施。癒着が広範囲で、先生からは「自然妊娠も可能性はあるが、体外受精がいいでしょう」といわれました。今年2月の採卵では受精せず。先日、採卵無麻酔の病院に転院して診てもらったところ、嚢腫と筋腫、癒着がまたできていて、AMHの値は0.18ng/ml、FSHは37mIU/mlでした。先生からは「嚢腫の隙間から見える卵子は採れないことはないが激痛で、そんな思いをして採ったところで良い卵子とは思えない。治療のやめ時でしょう。あと1~2年早かったら」といわれてしまいました。全身麻酔なら採卵できると思いますが、本当にもうやめ時なのでしょうか。 9カ月前に子宮内膜症や子宮筋腫などの手術を受けたのにもかかわらず、また再発をしたということです。 なかには手術をしても半年くらいで再発してしまう人もいます。特に多発筋腫の人はまたすぐにできてしまうことが多いようですね。筋層内筋腫でも子宮内膜を圧迫しているものや粘膜筋腫だと着床に影響することがあるので、そのような影響が考えられるのなら二度目の手術に臨むという選択もあるかと思います。 受精率が低く、胚盤胞までいかないというのは、やはり卵子の質が悪いからなのでしょうか。 確率は低いけれど一応受精はして、でも、その後がうまくいかないということは、やはり卵子の質が悪いことが考えられます。AMH(抗ミュラー管ホルモン)の値が低いのが気になりますね。これは卵巣の予備能、残っている卵子の数を表している数値といわれ、卵子の質とは関連していませんが、低いとそれだけ妊娠のチャンスも少なくなってきているということです。 さらに気になるのがFSHの数値。年齢の割に極端に高く、閉経に近い数値です。これは子宮の疾患があるから上がってしまったということではなく、もともと卵巣の働きが悪く、早発閉経になるような傾向があったのではないでしょうか。 確かに厳しい状態ですが、AMH値0.1以下の方でも妊娠している方はいらっしゃいます。FSHに関しても、カウフマン療法などでFSHを一度下げて安定させてから排卵誘発を行えば、妊娠するチャンスはあると思います。 治療する際のポイントなどはありますか。 これまでどのような方法をとってきたのかわかりませんが、もし同じような形で卵子をつくっていたのなら、排卵誘発の方法を変えると胚盤胞までいく可能性が出てくるかもしれません。 卵子をたくさん採ることを目指すのではなく、このような状況の方は低刺激でいいものが出てくるのを待つという方法もあるかと思います。ただ、採卵は急いだほうがいいでしょう。採れるうちに卵子を確保して受精卵を凍結し、再手術に臨むならその後に受けることを考えます。移植は急ぐことはありませんから。とにかく採卵を優先したほうがいいと思います。 「嚢腫が邪魔をして採卵しにくい」ということについてはどう思われますか。 これは無麻酔だから採りにくいということですよね。それなら、麻酔をして採卵をすれば問題ないでしょう。施設によって考え方が異なるかもしれませんが、ちよさんのような症例にも対応できる施設はあると思います。いろいろ問題があってハードルは高めではありますが、できることはまだあるはず。ここで諦めることなく、前向きに治療に臨んでいただきたいですね。 永井生より まとめ ●排卵誘発法を変えてみると、胚盤胞になる卵子が採れる可能性も。 ●AMH低値、FSH高値の人は採卵を優先して、早めに卵子の確保を。 [無料]気軽にご相談ください お話を伺った先生のご紹介 永井 泰 先生(永井マザーズホスピタル) 東京医科大学医学部卒業。産婦人科・麻酔科認定医。1989年、埼玉県三郷市に開院。さらに環境を整え、より良い医療を提供するために、2015年に診療所から病院へ改組。産科、婦人科をはじめ、不妊治療、形成・美容外科、小児科と、女性が生涯関わる総合的な医療を、温かく、優しい環境の中で提供。クリスマスに開催予定の院内コンサートを企画中。俳優さんが朗読する童謡に合わせて行うピアノやバイオリンの生演奏は以前開催した時も大好評で、小さな子どもたちも夢中になって聴いていたとか。 ≫ 永井マザーズホスピタル 出典:女性のための健康生活マガジン jineko vol.36 2017 Winter≫ 掲載記事一覧はこちら
2017.11.21
コラム 不妊治療