醍醐渡辺クリニック ジネコ取材済
京都府京都市伏見区醍醐高畑町30-15
婦人科 / 不妊治療 / 産科
醍醐渡辺クリニック
京都府京都市伏見区醍醐高畑町30-15
「たまご(卵子)からゆりかご(産後)まで」をモットーに
妊娠を希望される方から赤ちゃんの誕生まで、
お一人おひとりの気持ちに寄り添い
女性の大切な時期をトータルにサポートします。
土曜も診療日曜祝日も診療女性医師が診察ジネコ推奨サプリ取り扱い働きながら通いやすいインターネット予約キッズルーム有駅近駐車場完備妊婦検診すべて見る
診療科
婦人科
不妊治療
産科
基本診療時間
診療時間 | 月 | 火 | 水 | 木 | 金 | 土 | 日 | 祝 |
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9:00~13:00 | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ● | ● |
17:00~19:30 | ○ | ○ | ○ |
●:日・祝日の診療時間は、午前 9:15〜11:30 不妊外来のみとなります。(完全予約)
休診日
日曜祝日午後・火曜午後・木曜午後・土曜午後
住所・連絡先
京都府京都市伏見区醍醐高畑町30-15
TEL: 075-571-0226
不妊治療
醍醐渡辺クリニックでは、不妊治療に精通した医師と生殖補助医療技術に熟練した胚培養士のスタッフを擁し、不妊カウンセリングを整えた高度な不妊クリニックを目指しています。
また、妊娠率の向上のために、日々様々な研究を重ね今後の治療に役立てる努力を怠りません。
そして、念願の赤ちゃんを授かり出産をむかえられる方には、より安全なシステムを確立し提供できるよう努力しています。
今、不妊で悩んでおられる方、様々なチャンスにトライしても赤ちゃんが授からず悩んでおられる方、お気軽に不妊カウンセリングからでもご来院ください。
産科
私ども醍醐渡辺クリニックでは、診療所としてできる限り「安全」を最優先しています。
当クリニックではこれまで(醍醐渡辺病院の時代を含め)、およそ20,000人の方が出産されましたが、開院以来の基本方針は変わりありません。分娩という自然現象が安全に終わるまで、お母さんとおなかの赤ちゃんにより添ってお世話させていただくことが、私たちの使命だと考えています。
渡辺浩彦 院長プロフィール
渡辺浩彦 院長略歴
思いきって早く行動をおこされるのも、念願の赤ちゃんを早く授かる1つのファクターであると考えます。
滋賀医科大学 卒業
京都大学 医学部附属病院 産婦人科 勤務
大津赤十字病院 勤務
倉敷中央病院 勤務
京都大学 医学部大学院 卒業
済生会茨木病院 副部長
醍醐渡辺病院 勤務
日本生殖医学会 評議員
日本生殖医学会認定医
石川 弘伸 副院長プロフィール
石川 弘伸 副院長略歴
私たちは、子供が授からず悩んでおられる方々にそれぞれのご夫婦に一番適した治療を考え、なるべく早く夢がかなうよう、できる限りの努力をしていきます。不妊で悩まれこれから治療をお考えの方、また何度かトライしてみたけれどまだ赤ちゃんが授からない方、ぜひ一度ご相談ください。
思いきって早く行動をおこされるのも、念願の赤ちゃんを早く授かる1つのファクターであると考えます
山口剛史 医師プロフィール
およそ3組に1組の夫婦は不妊で悩んでおられるといいます。
10年前ではどんな優秀な不妊治療施設でも「子供を授けてください」と訴えて訪れる夫婦の4割にしか応えられませんでした。
でも、今は違います。体外受精という新しい方法が誕生したからです。
私たち、醍醐渡辺クリニックでは、不妊治療に精通した医師と生殖補助医療技術に熟練した胚培養士のスタッフを擁し、不妊カウンセリングを整えた高度な不妊クリニックを目指しています。
また、妊娠率の向上のために、日々様々な研究を重ね今後の治療に役立てる努力を怠りません。
そして、念願の赤ちゃんを授かり出産をむかえられる方には、より安全なシステムを確立し提供できるよう努力しています。
今、不妊で悩んでおられる方、様々なチャンスにトライしても赤ちゃんが授からず悩んでおられる方、お気軽に不妊カウンセリングからでもご来院ください。
山口剛史 医師略歴
日本生殖医学会認定専門医・母体保護法指定医
産婦人科
奈良県立医科大学卒業
京都府立医科大学附属病院勤務
近江八幡市民病院勤務
公立南丹病院勤務
京都府立医科大学大学院卒業
府立与謝の海病院医長
山口医院(洛西ニュータウン)勤務
醍醐渡辺クリニック勤務
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記事一覧
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胚のグレードは悪くないのに着床しないのはなぜ?
皆さんの治療に関する相談を全国のドクターにお聞きして、誌面でアドバイスをお届けする人気企画「ジネコ セカンドオピニオン」。ジネコの応援ドクターが丁寧にお答えいたします
2020.1.10
コラム 不妊治療
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患者さまとの身近な距離で妊娠をサポートする培養士【Focus!チーム医療】
醍醐渡辺クリニックでは、卵子や精子の専門家である培養士が患者さまと接する機会を大事にしています。それは大切な精子や卵子を預ける患者さまの安心につながり、培養士の技術やモチベーション向上に活かされています。
2019.9.25
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良好な胚を何回移植しても陰性ばかり続きます
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2019.6.29
コラム 不妊治療
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移植後にエコーで見える 白い点のようなものは何?
皆さんの治療に関する相談を全国のドクターにお聞きして、 誌面でアドバイスをお届けする人気企画「ジネコ セカンドオピニオン」。 ジネコの応援ドクターが丁寧にお答えいたします
2019.3.16
コラム 不妊治療
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高血糖の治療と不妊治療。どちらを優先すればいいの?
皆さんの治療に関する相談を全国のドクターにお聞きして、 誌面でアドバイスをお届けする人気企画「ジネコ セカンドオピニオン」。 ジネコの応援ドクターが丁寧にお答えいたします。
2018.12.17
コラム 不妊治療
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排卵に問題がないのになぜ人工授精で注射を使うの?
排卵に問題がないのになぜ人工授精で注射を使うの?
2018.8.29
コラム 不妊治療
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PCOSですが主人の精子は良好。 体外受精でなく人工授精する意味は?【特集:排卵障害の不妊治療】
排卵障害で最も多いとされるPCOS。実際の治療の流れや、人工授精などを検討するタイミングについて、山口先生に聞きました。
2018.5.19
コラム 不妊治療
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エストラーナテープⓇ使用中に 予定外に早く生理がきました
相談者:りこさん(31歳)からの相談 ▶D15で生理がきてしまいました 7回の人工授精を経て、初めて凍結胚移植をする予定です。今回、エストラーナテープ®を生理が始まってから、2枚ずつ2日おきに貼り替えて、枚数を増やしていきました。D14に茶オリが出て、D15の朝に生理のような出血が見られて病院に行きました。すると子宮内膜が薄くなり生理になっていると言われました。エストラーナテープ®を貼っている時でも生理になってしまうものなのでしょうか。先生はたまにそんな人がいると言っていましたが、いつもの生理周期は31日で、遅くなることはあってもそんなに早くなることもなかったので不安です。また、いつ移植できるのか教えてください。 エストラーナテープⓇとはどのような薬で、どんな治療に用いられますか?エストラーナテープ®は、「エストラジオール」を主成分とし、妊娠するために欠かせないエストロゲンという女性ホルモンを補う貼り薬で、凍結胚移植の時に用います。卵胞発育を促さず子宮内膜だけを厚く育て、移植して着床しやすい状態にしていきます。用法は、生理2日目ぐらいから、おもに下腹部などに2枚ずつ貼っていき、医師の指示に従って2、2、2、4、6、8…というようにだんだん枚数を増やしていきます。貼っている期間は定期的に受診して、内膜の厚みや不正出血がないかなどを診てもらいましょう。 エストラーナテープ®は内服薬のように飲み忘れがなく便利ですが、肌がデリケートな方はかぶれたり、汗をかいたり、入浴の際にはがれたりするので、貼り替える時は貼る位置を変えたり、医療用テープで固定するなど、きちんと効果が出るように注意することも大切です。当院では、はがれやすいとお申し出があった患者さんに関しては、テープを数枚多めにお渡しすることもあります。 15日目で出血が見られたということですが、エストラーナテープと関係がありますか?恐らく関係があると思います。皮膚を通して吸収するエストラーナテープ®の成分が十分に皮膚から吸収されず、血中のエストロゲン濃度が上がらなかったので途中まで育った子宮内膜がはがれ、月経がきてしまったという可能性があります。こういったことは時々起こります。 また、ひょっとすると、りこさんはエストラーナテープ®だけでは十分にエストロゲン濃度が上がりにくい体質なのかもしれません。そこで、プレマリン®など他のエストロゲン剤との併用を考えていきます。まれにかゆみやかぶれなどのアレルギー症状が見られる場合、エストラーナテープ®を使わずに塗布薬や内服薬を使うという選択肢もありますが、とりあえずはテープを使いながら他の薬を合わせて飲んでいただくのがいいかと思います。 このあと、いつ移植ができるでしょうか。いったんエストラーナテープ®を中止して、生理で子宮内膜がしっかりはがれたかをエコーで確認してから、再び凍結胚移植に向けて準備を開始していただけたらと思います。次回はエストラーナテープ®だけでなく、プレマリン®を併用して血中のエストロゲン濃度をしっかり上げてみてはいかがでしょうか。 凍結胚移植スケジュールには、外因性にホルモン補充をして子宮内膜をつくって移植する方法と、自然排卵周期で凍結胚移植を行う方法があります。ホルモン補充による方法で子宮内膜をつくってもなかなか内膜が厚くならない方もいらっしゃいます。そのような方や、ホルモン補充周期で移植しても結果が出ない方は、排卵後に凍結胚移植をする自然排卵周期凍結胚移植の方法もありますので、ご相談いただけたらと思います。 Doctor’s advice ●テープの成分が十分に経皮吸収されず、エストロゲン濃度が上がらなかった可能性が。 ●他のエストロゲン剤とエストラーナテープ®を併用することでエストロゲン濃度を上げては。 渡辺 由美子 先生(醍醐渡辺クリニック) 兵庫医科大学卒業。同大学附属病院、国立泉北病院、京都大学医学部附属病院、国立京都病院勤務を経て 醍醐渡辺クリニックで産婦人科医として勤務。同じ女性の患者様がリラックスして治療に臨めるような雰囲気作りを日々心がけているという渡辺先生。休日は本を読んだり、映画を観たりとゆったり過ごされることが多いとのことです。 ≫ 醍醐渡辺クリニック出典:女性のための健康生活マガジン jineko vol.37 2018 Spring≫ 掲載記事一覧はこちら
2018.2.25
コラム 不妊治療
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排卵と基礎体温
あずだいさん(28歳)排卵検査薬で検査もしつつ基礎体温も測ってるのですが排卵予測日が26日で排卵検査薬で陽性が出たのは20日なので20日と21日にタイミングをとりました! そして基礎体温が中々あがらないのですが…これは無排卵の可能性があるのでしょうか?? 妊娠の可能性はありますか?? 山口剛史 先生 (醍醐渡辺クリニック) ≫ 醍醐渡辺クリニック 排卵検査薬はLH(黄体形成ホルモン)の上昇によって陽性反応を示します。陽性が出た当日と翌日にタイミングを取ることは問題ないと思いますが、排卵検査薬はそろそろ排卵するであろうという予測はできても、排卵検査薬の陽性=LHサージを示すものではありません。 また、LHサージの後、排卵するまでの時間には個人差がありますので、実際に排卵したかどうかを確認するには、超音波断層法検査で卵胞の縮小や消失を確認することが望ましいと思います。 排卵後の黄体化の時期や黄体ホルモンの分泌の程度も人それぞれですので、排卵後すぐに基礎体温が上昇しにくいケースもあります。基礎体温が二相性も、黄体化未破裂嚢胞のように排卵していないこともありますので、やはり超音波検査で排卵を確認したほうが良いでしょう。 基礎体温についてですが、排卵後の黄体からLHが分泌されると、脳・視床下部の体温中枢が刺激され高温相になります。排卵時すでにLHが分泌されていることもあり、体温上昇がその時期から認められることもあります。体温上昇時のLH値は3~5ng/ml以上といわれていますが、それ以上になってもLH値と体温が相関するわけではないといわれています。 あずだいさんは「基礎体温がなかなか上がらない」とのことですが、基礎体温にばらつきもありますので、実際に超音波検査で排卵を確認することと、黄体中期の血中のP(黄体ホルモン)の検査(教科書的には3ポイント採血するとあります)を1ポイントだけでも測定してみてはどうでしょうか? 市販の排卵検査薬には、陽性を出やすくしてあるキットもありますので、産婦人科を受診して月経開始からの卵胞をモニタリングして排卵を確認することをおすすめします。低温相と高温相に別れていれば排卵している可能性はありますが、基礎体温に変化がないのであれば無排卵の可能性もあるかもしれません。基礎体温に変化がない場合の妊娠の可能性についてお答えするのは難しいのですが、妊娠に至れば基礎体温は上昇するはずです。
2017.12.23
専門医Q&A 女性の健康
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漢方で血流を良くする
西洋医学をメインに漢方薬を試すのもひとつ。 石川 弘伸 先生(醍醐渡辺クリニック) この季節になると気になる体の「冷え」。妊娠にとって「冷え」は良くないのでしょうか。また、西洋医学では「冷え」をどのようにとらえ、対処しているのでしょうか。醍醐渡辺クリニックの石川弘伸先生にお話を伺いました。 西洋医学には「冷え」という概念も病名もない!? 西洋医学には「冷え」という概念はなく、「冷え症」という病名もありません。「冷え」を訴える方の血流を調べても必ずしも異常が出るわけではなく、サーモグラフィーなどで温度低下を示すような症状は非常にまれです。また、動脈が詰まるような血流障害であれば、ほかの専門治療が必要になります。 「お腹が冷えると良くないですか?」と患者様から質問されることがあります。手足は冷えていても、体の深部の体温は常に適温に保たれています。この深部体温が簡単に変動してしまうと、さまざまな器官に影響が及び、体は大変なことになってしまいます。 ホルモン、栄養、酸素を運ぶ血流の改善は治療として有効 ホルモン、栄養、酸素を全身に運んでいるのは血液です。もちろん妊娠にも血流が大切であることは間違いありません。子宮の血流が悪くなると、子宮内膜の厚さや受精卵の成長に影響することが考えられます。そのため、体外受精の際や流産経験がある方には、アスピリンを投薬することはあります。これは血液自体をサラサラにして、子宮や受精卵に届く血管を詰まりにくくして血流を良くする作用がありますが、「冷え」の改善につながるものではありません。 西洋医学による治療をメインに漢方薬などを試すのも一つ 「冷え」を自覚する人に不妊症が多いというデータはなく、複数のお子さんがいる場合でも冷えでお困りの人はいらっしゃいます。当院では10年以上前から毎月、体外受精の成績を集計していますが、夏と冬を比較すると最初の数年間は冬の成績のほうが良くなっていました。その後、培養環境を見直すことで夏と冬の治療成績は変わらなくなりましたが、このことからも「冷え」が血流や不妊症と直接関連することは考えにくいと思います。患者様には「冷えをあまり気にすることはありませんよ」とお伝えしています。 それでも「冷え」を強く自覚される方には、なんらかの治療が必要です。そこで当院では、当帰四逆加呉茱萸生姜湯、真武湯、加味逍遙散、当帰芍薬散といった漢方薬をおすすめすることはあります。積極的な提案ではありませんが、運動、漢方、鍼灸、レーザー治療などで血流の改善を試みるのも一つの考え方だと思います。ただ、効果は実証されていませんので、妊娠を希望される方は、あくまでも西洋医学の治療が第一選択になります。 Doctor’s Advice 西洋医学には不妊症に直接関連する「冷え」という概念はありません●不妊と血流において「冷え」の影響は直結しにくい ●ホルモン、栄養、酸素を子宮に運ぶ血流は大切 ●西洋医学をメインに漢方などを取り入れるのはOK西洋医学の治療を優先し、漢方などを取り入れるといいでしょう [無料]気軽にご相談ください お話を伺った先生のご紹介 石川 弘伸 先生(醍醐渡辺クリニック) 1991年滋賀医科大学卒業、同大学院修了。泉大津市立病院副医長、水口市民病院産婦人科医長、野洲病院産婦人科部長を経て、2003年より醍醐渡辺クリニック副院長。大学院では生殖医学で着床の分野の研究に携わり、生殖医療の道を志す。大学で2年先輩である同クリニック院長の渡辺浩彦先生との縁で同クリニックへ。A型・射手座。最近気になりだしたお腹まわりを本格的に引き締めるため、時々プールに通っている先生。「学生の頃は1km以上泳いでいましたが、近頃はとてもとても(笑)」。1時間かけて400〜500mを泳ぎ、徐々に距離を伸ばしているそうです。 ≫ 醍醐渡辺クリニック 出典:女性のための健康生活マガジン jineko vol.36 2017 Winter≫ 掲載記事一覧はこちら 西洋医学をメインに漢方薬を試すのもひとつ。 石川 弘伸 先生(醍醐渡辺クリニック) この季節になると気になる体の「冷え」。妊娠にとって「冷え」は良くないのでしょうか。また、西洋医学では「冷え」をどのようにとらえ、対処しているのでしょうか。醍醐渡辺クリニックの石川弘伸先生にお話を伺いました。 西洋医学には「冷え」という概念も病名もない!? 西洋医学には「冷え」という概念はなく、「冷え症」という病名もありません。「冷え」を訴える方の血流を調べても必ずしも異常が出るわけではなく、サーモグラフィーなどで温度低下を示すような症状は非常にまれです。また、動脈が詰まるような血流障害であれば、ほかの専門治療が必要になります。 「お腹が冷えると良くないですか?」と患者様から質問されることがあります。手足は冷えていても、体の深部の体温は常に適温に保たれています。この深部体温が簡単に変動してしまうと、さまざまな器官に影響が及び、体は大変なことになってしまいます。 ホルモン、栄養、酸素を運ぶ血流の改善は治療として有効 ホルモン、栄養、酸素を全身に運んでいるのは血液です。もちろん妊娠にも血流が大切であることは間違いありません。子宮の血流が悪くなると、子宮内膜の厚さや受精卵の成長に影響することが考えられます。そのため、体外受精の際や流産経験がある方には、アスピリンを投薬することはあります。これは血液自体をサラサラにして、子宮や受精卵に届く血管を詰まりにくくして血流を良くする作用がありますが、「冷え」の改善につながるものではありません。 西洋医学による治療をメインに漢方薬などを試すのも一つ 「冷え」を自覚する人に不妊症が多いというデータはなく、複数のお子さんがいる場合でも冷えでお困りの人はいらっしゃいます。当院では10年以上前から毎月、体外受精の成績を集計していますが、夏と冬を比較すると最初の数年間は冬の成績のほうが良くなっていました。その後、培養環境を見直すことで夏と冬の治療成績は変わらなくなりましたが、このことからも「冷え」が血流や不妊症と直接関連することは考えにくいと思います。患者様には「冷えをあまり気にすることはありませんよ」とお伝えしています。 それでも「冷え」を強く自覚される方には、なんらかの治療が必要です。そこで当院では、当帰四逆加呉茱萸生姜湯、真武湯、加味逍遙散、当帰芍薬散といった漢方薬をおすすめすることはあります。積極的な提案ではありませんが、運動、漢方、鍼灸、レーザー治療などで血流の改善を試みるのも一つの考え方だと思います。ただ、効果は実証されていませんので、妊娠を希望される方は、あくまでも西洋医学の治療が第一選択になります。 Doctor’s Advice 西洋医学には不妊症に直接関連する「冷え」という概念はありません●不妊と血流において「冷え」の影響は直結しにくい ●ホルモン、栄養、酸素を子宮に運ぶ血流は大切 ●西洋医学をメインに漢方などを取り入れるのはOK西洋医学の治療を優先し、漢方などを取り入れるといいでしょう [無料]気軽にご相談ください お話を伺った先生のご紹介 石川 弘伸 先生(醍醐渡辺クリニック) 1991年滋賀医科大学卒業、同大学院修了。泉大津市立病院副医長、水口市民病院産婦人科医長、野洲病院産婦人科部長を経て、2003年より醍醐渡辺クリニック副院長。大学院では生殖医学で着床の分野の研究に携わり、生殖医療の道を志す。大学で2年先輩である同クリニック院長の渡辺浩彦先生との縁で同クリニックへ。A型・射手座。最近気になりだしたお腹まわりを本格的に引き締めるため、時々プールに通っている先生。「学生の頃は1km以上泳いでいましたが、近頃はとてもとても(笑)」。1時間かけて400〜500mを泳ぎ、徐々に距離を伸ばしているそうです。 ≫ 醍醐渡辺クリニック 出典:女性のための健康生活マガジン jineko vol.36 2017 Winter≫ 掲載記事一覧はこちら
2017.11.16
コラム 不妊治療
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胚盤胞のグレードについて
にこさん(34歳)胚盤胞のグレードについて教えてください。 アルファベットがabcの順番に良いのはわかりますが、数字は3よりも4、4よりも5、5よりも6という風に良いと考えられるのでしょうか? 初めての採卵で取れた胚盤胞が6ばかりでアルファベットはあまり良くはなく、心配しています。 渡辺 由美子 先生 (醍醐渡辺クリニック) 兵庫医科大学卒業。同大学附属病院、国立泉北病院、京都大学医学部附属病院、国立京都病院勤務を経て 醍醐渡辺クリニックで産婦人科医として勤務。同じ女性の患者様がリラックスして治療に臨めるような雰囲気作りを日々心がけているという渡辺先生。休日は本を読んだり、映画を観たりとゆったり過ごされることが多いとのことです。 ≫ 醍醐渡辺クリニック胚盤胞になると胚盤胞腔ができはじめ、将来胎児になるところの内細胞塊(ICM)と胎盤などになる部分の栄養外胚葉(TE)が作られていきます。胚盤胞腔が徐々に拡張し透明帯がうすくなります、そして栄養外胚葉が透明帯から脱出し始め、やがて完全に脱出します。 その胚の状態をグレードとして、胚盤胞腔の広がりと孵化の程度を数字の1~6で、内細胞塊や栄養外胚葉の様子はアルファベットのA、B、Cで表します。 孵化の程度は 1:胚盤胞腔ができはじめた状態 2:胚盤胞腔が半分以上できた状態 3:胚盤胞腔が全体にある状態 4:胚盤胞腔が拡張し透明帯が薄くなっている状態 5:栄養外胚葉が透明帯から脱出しはじめている状態 6:胚芽透明帯から完全に脱出した状態 内細胞塊の評価は A:細胞数が多く密になっている B:細胞数が少なく、接着が粗い C:細胞数が少ない 栄養外肺葉の評価は A:細胞数が多く、互いに接着している B:細胞数が少なく、結合が粗い C:細胞数が少ない と表します。 これらを「胚盤胞腔の広がり、内細胞塊・栄養外胚葉」の並びでグレードとして表現します。例えば拡張良好胚盤胞は4AAと表記されますし、完全脱出で内細胞塊の細胞数がやや少なめで栄養外胚葉が少ない胚は6BCとなります。 数字はあくまでもそのときの胚の形を表しているので、どちらかというと重要なのはABCの方です。A>B>Cの順で良好の程度を表します。当院ではBBより良い胚を移植対象としていますが、なかなか胚自体が採れない場合などは、ご希望によってBCやCBも凍結保存します。 胚のグレードは誘発方法によっても変わり、同じ人でもコンディションによって変わると言われています。病院によって誘発方法も違うので、毎回悪いグレードが続くのであれば転院を検討するのもひとつの方法です。
2017.11.7
専門医Q&A 女性の健康
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重度のPCOSと診断。体外受精に進むべき? ほかには?
重度のPCOSと診断。体外受精に進むべき? ほかには? 山口 剛史 先生(醍醐渡辺クリニック) 相談者:なすがままさん(33歳) 今後の治療法について 薬を飲まないと生理がこない重度の生理不順でPCOSと診断され、クロミッド®、自己注射も効かず、1年前にドリリングしました。それでも自然排卵せず、注射で育て3回AIH。ほかの月は卵胞が育たずキャンセルに。今回も75単位で自己注射するも育たずキャンセルで、体外受精をすすめられました。年齢のことや卵子が育たないこと、生理期間も3〜4日と短くなっているのが気になります。PCOSは卵子の質が悪いと聞くので、このまま体外受精に進んでいいのか、ほかにやれることはないのか悩んでいます。 この方のPCOSについてどう思われますか。 PCOS(多嚢胞性卵巣症候群)は、生殖年齢の人のなかで最も多くみられる内分泌疾患です。結論からお話しすると、この方はPCOSのなかでも、なかなか薬が効きにくいクロミフェン抵抗性タイプかもしれません。ドリリングの効果は1〜2年といわれており、この間に効果が出なければ体外受精に進まれるのがいいと思います。 体外受精に進む前にできることはありますか。 4つのオプションが考えられます。一つ目はインスリン抵抗性の検査です。一般的にPCOSの人は多毛や肥満といった傾向がありますが、この方のBMIは20・06で、基準値の25未満ですので肥満に当てはまりません。PCOSでも痩せ型の人にみられるインスリン抵抗性(耐糖能異常)が隠れているかもしれません。インスリン抵抗性はHOMA指数でわかり、1.6未満が正常、2.5以上を抵抗ありとしています。数値が高い場合はクロミッド®にメトホルミンを併用するといいと思います。 二つ目は、高プロラクチン血症の検査です。該当する場合はドーパミンアゴニストを併用することでプロラクチンが低下し、排卵しやすい環境が整います。 三つ目は、現在の治療の見直しです。クロミッド®を投与する前にカウフマン療法やOC(経口避妊薬)を服用すると、クロミッド®による排卵率、妊娠率の改善が期待できるといわれています。それでも卵胞が育ちにくい場合はFSH低用量漸増療法やドリリングを行います。 四つ目は、アロマターゼ阻害剤(レトロゾール)を用いる方法です。しかし、第一選択のクロミッド®に代わる第二選択として用いるべきで、クロミフェン抵抗性の人には効果がないと結論づける学者もいます。その一方で、PCOSの人にはクロミッド®よりレトロゾールのほうが排卵率や生産率が優れているという意見もあります。 最後にアドバイスをお願いします。 体外受精に躊躇されるのでしたら、まずはインスリン抵抗性、高プロラクチン血症を調べてみるのがひとつ。さらにカウフマン療法かOCを内服したうえで、クロミッド®の一日量を増やしたり、FSH低用量漸増療法を行ってみてはどうでしょうか? ただ、この方は治療歴が5年と長く、精子も少なめとのことですので、精子数が2000万/ml未満、運動率が40%未満であれば体外受精をおすすめします。調節卵巣刺激法で卵胞が育ちやすくなる可能性もあります。PCOSの方は採卵個数が多い傾向はありますが、卵子の質が悪くなるということはありませんので安心してください。 山口先生より まとめ ●PCOSの詳しい検査や現在の治療を見直すこともひとつです。 ●調節卵巣刺激法で卵胞が育つ可能性があるので体外受精の検討も。 [無料]気軽にご相談ください お話を伺った先生のご紹介 山口 剛史 先生(醍醐渡辺クリニック) 奈良県立医科大学卒業。2007年京都府立医科大学大学院医学研究科統合医科学専攻、同博士課程修了。公立南丹病院、京都府立与謝の海病院産婦人科医長などを経て、2010年より醍醐渡辺クリニック勤務。O型・天秤座。もともと産婦人科医として活躍されていた先生。大学院で生殖医療の研究をしていたことから、30代後半で「年齢的にも最後のチャンス」と、渡辺先生のもとで生殖医療について必死に学ばれたそう。そして今年、日本生殖医学会生殖医療専門医に。今後ますますのご活躍に期待しています。 ≫ 醍醐渡辺クリニック 出典:女性のための健康生活マガジン jineko vol.35 2017 Autumn≫ 掲載記事一覧はこちら 重度のPCOSと診断。体外受精に進むべき? ほかには? 山口 剛史 先生(醍醐渡辺クリニック) 相談者:なすがままさん(33歳) 今後の治療法について 薬を飲まないと生理がこない重度の生理不順でPCOSと診断され、クロミッド®、自己注射も効かず、1年前にドリリングしました。それでも自然排卵せず、注射で育て3回AIH。ほかの月は卵胞が育たずキャンセルに。今回も75単位で自己注射するも育たずキャンセルで、体外受精をすすめられました。年齢のことや卵子が育たないこと、生理期間も3〜4日と短くなっているのが気になります。PCOSは卵子の質が悪いと聞くので、このまま体外受精に進んでいいのか、ほかにやれることはないのか悩んでいます。 この方のPCOSについてどう思われますか。 PCOS(多嚢胞性卵巣症候群)は、生殖年齢の人のなかで最も多くみられる内分泌疾患です。結論からお話しすると、この方はPCOSのなかでも、なかなか薬が効きにくいクロミフェン抵抗性タイプかもしれません。ドリリングの効果は1〜2年といわれており、この間に効果が出なければ体外受精に進まれるのがいいと思います。 体外受精に進む前にできることはありますか。 4つのオプションが考えられます。一つ目はインスリン抵抗性の検査です。一般的にPCOSの人は多毛や肥満といった傾向がありますが、この方のBMIは20・06で、基準値の25未満ですので肥満に当てはまりません。PCOSでも痩せ型の人にみられるインスリン抵抗性(耐糖能異常)が隠れているかもしれません。インスリン抵抗性はHOMA指数でわかり、1.6未満が正常、2.5以上を抵抗ありとしています。数値が高い場合はクロミッド®にメトホルミンを併用するといいと思います。 二つ目は、高プロラクチン血症の検査です。該当する場合はドーパミンアゴニストを併用することでプロラクチンが低下し、排卵しやすい環境が整います。 三つ目は、現在の治療の見直しです。クロミッド®を投与する前にカウフマン療法やOC(経口避妊薬)を服用すると、クロミッド®による排卵率、妊娠率の改善が期待できるといわれています。それでも卵胞が育ちにくい場合はFSH低用量漸増療法やドリリングを行います。 四つ目は、アロマターゼ阻害剤(レトロゾール)を用いる方法です。しかし、第一選択のクロミッド®に代わる第二選択として用いるべきで、クロミフェン抵抗性の人には効果がないと結論づける学者もいます。その一方で、PCOSの人にはクロミッド®よりレトロゾールのほうが排卵率や生産率が優れているという意見もあります。 最後にアドバイスをお願いします。 体外受精に躊躇されるのでしたら、まずはインスリン抵抗性、高プロラクチン血症を調べてみるのがひとつ。さらにカウフマン療法かOCを内服したうえで、クロミッド®の一日量を増やしたり、FSH低用量漸増療法を行ってみてはどうでしょうか? ただ、この方は治療歴が5年と長く、精子も少なめとのことですので、精子数が2000万/ml未満、運動率が40%未満であれば体外受精をおすすめします。調節卵巣刺激法で卵胞が育ちやすくなる可能性もあります。PCOSの方は採卵個数が多い傾向はありますが、卵子の質が悪くなるということはありませんので安心してください。 山口先生より まとめ ●PCOSの詳しい検査や現在の治療を見直すこともひとつです。 ●調節卵巣刺激法で卵胞が育つ可能性があるので体外受精の検討も。 [無料]気軽にご相談ください お話を伺った先生のご紹介 山口 剛史 先生(醍醐渡辺クリニック) 奈良県立医科大学卒業。2007年京都府立医科大学大学院医学研究科統合医科学専攻、同博士課程修了。公立南丹病院、京都府立与謝の海病院産婦人科医長などを経て、2010年より醍醐渡辺クリニック勤務。O型・天秤座。もともと産婦人科医として活躍されていた先生。大学院で生殖医療の研究をしていたことから、30代後半で「年齢的にも最後のチャンス」と、渡辺先生のもとで生殖医療について必死に学ばれたそう。そして今年、日本生殖医学会生殖医療専門医に。今後ますますのご活躍に期待しています。 ≫ 醍醐渡辺クリニック 出典:女性のための健康生活マガジン jineko vol.35 2017 Autumn≫ 掲載記事一覧はこちら
2017.8.17
コラム 不妊治療
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体外受精★
りいさん(26歳)今回初めて体外受精をしたんですが 移植後4日目に採血をしたところ 黄体ホルモンの値が6にまで下がっていました。 移植当日は12あったみたいです 半分まで下がったので 先生にも薬忘れてない?って言われたんですが 忘れたずにしてるし飲んでます。 なのになんで下がったんでしょうか? あと判定日まで注射と飲み薬を増やすしかないと言われて今飲んでいるんですが また黄体ホルモンの値が上がることはあるんですか? 山口剛史 先生 (醍醐渡辺クリニック) ≫ 醍醐渡辺クリニック 結論からお話しすると、体外受精の採卵後に黄体ホルモン値が下がることはよくあります。ご心配はいりません。黄体ホルモンは排卵後に形成される黄体の顆粒膜細胞から分泌されます。卵巣刺激法によっては、GnRHアゴニスト/アンタゴニストの脳下垂体抑制の影響が残っていたり、あるいは採卵にともない顆粒細胞膜の多くが取り除かれることによって、黄体ホルモンが下がることはあります。 通常、採卵前にhCG注射を行うことが多いのですが、hCG投与後の黄体ホルモン値は採卵した卵子の個数と強い相関関係があります。ですから採卵後、急激にホルモン値が低下してしまうのはやむを得ないと思います。そのかわりに自然周期でない卵巣刺激法の場合は、採卵後に十分な黄体ホルモン補充が必要になります。採卵時に内膜が薄かったり、採卵個数が少ない場合はエストロゲンを一緒に補充することもあります。 黄体ホルモン補充には飲み薬、筋肉注射、膣剤の3つの方法があります。飲み薬はデュファストン®、ルトラール®などを用います。これらは合成プロゲステロンですので、お薬を飲んでも実際の吸収量が血中の黄体ホルモン値として反映されません。 筋肉注射にはルテウム®、プロゲホルモン®といった天然型プロゲステロン、膣剤にはルティナス®などの天然型プロゲステロンがあります。筋肉注射と膣剤の天然型プロゲステロン製剤は血中の黄体ホルモン値として反映されます。それならば、黄体ホルモン値を上げるためには筋肉注射と膣剤が有効だと思われるかもしれません。しかし、天然型プロゲステロンを増やすことで血中の黄体ホルモン値は上昇しますが、子宮内の局所濃度を反映するわけではありません。お薬によって血中の黄体ホルモン値の反映が異なりますから、あまり気にされなくてもいいと思います。 ただ、飲み薬は体内で代謝されてしまうなど、全身血中に循環する確率が低い(10%程度)ことが指摘されていますので、投与量には十分留意が必要とあります。また、筋肉注射と膣剤を比較すると、黄体ホルモンの血中濃度は膣剤のほうが高くなるといわれています。これは膣内で薬剤が直拡散するためと考えられています。 ご心配ならかかりつけの先生に、筋肉注射や膣剤を試したいと申し出てはいかがでしょう。移植後の黄体ホルモン補充における飲み薬、筋肉注射、膣剤の比較では、臨床的妊娠率に有意な差を認めなかったという報告もありますから、先生に相談して納得のいく治療法を選択してください。
2017.4.15
専門医Q&A 女性の健康
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着床障害と不育症について
着床障害と不育症について 石川 弘伸 先生(醍醐渡辺クリニック) せっかく良好な受精卵ができても、着床障害や原因不明の流産を繰り返す不育症で出産まで至らない場合、どのように治療を進めるべきなのでしょうか。醍醐渡辺クリニックの石川先生にお話を伺いました。 不育症の定義とは?着床障害と不育症の違い 妊娠は成立するものの、流産や死産を繰り返してしまい、最終的に赤ちゃんが得られない状態を不育症といいます。受精卵が子宮内膜に着床し、妊娠はスタートするけれども、赤ちゃんが生まれてくることができない状態です。日本では連続3回以上の流産が繰り返される場合、習慣流産という用語も使われていますが、妊娠22週以降の死産や、生後1週間以内の新生児の死亡は含まれません。実際のところ、学会でも「何回の流産で不育症か?」というはっきりとした定義がないのですが、当院では2回流産を繰り返されると、検査をご提案することが多いですし、またご自身から検査を希望される方も増えています。 一方、受精卵が子宮内膜に着床することができず、妊娠そのものがスタートしないのが着床障害です。排卵誘発を行い、体外受精や顕微授精によって培養した良好な胚を移植したにもかかわらず、妊娠しない、化学流産などに終わってしまう状態が着床障害と考えられます。化学流産とは、妊娠反応が陽性となった後、超音波で診察しても子宮内に胎嚢が確認できない状態で、これは流産の回数には含めないことになっています。 では、不育症や着床障害の検査や治療に至るまでの流産の回数が、なぜ2回、3回と決められているのでしょうか。それらは単純に確率の問題であり、統計的な考え方によります。日本では自然流産の起こる頻度はだいたい全体の15%くらいとされています。妊娠しても1割以上の人が流産する確率があるということです。それが2回までなら偶発的に起こりうることと考えてもよいですが、3回以上となると、何かほかに原因があると考えたほうがよいという考え方です。 女性にとって流産はつらいものですが、その半数以上はリスク因子が不明のものです。あまりご自身を責めずに、思わぬ原因が隠れていることもありますので、まず検査を受けてみることをおすすめします。 原因を探るためのさまざまな検査 不育症や着床障害の原因を調べる検査の項目は多岐にわたり、施設によって多少異なるのが現状です。血液検査では、抗リン脂質抗体の測定、糖尿病や甲状腺など内分泌疾患の有無、あとは夫婦それぞれの染色体を調べる検査などがあります。そのほか、子宮の異常を調べるために子宮卵管造影検査や超音波検査を行うこともあります。 ご夫婦の染色体異常については、具体的な治療を受けるかどうかは十分なカウンセリングが必要です。染色体異常があっても普通に生活されている方なら大きな異常が見つかることはあまりありません。軽微な異常であれば最終的には赤ちゃんが生まれることも多いのです。統計的には5人中、4人までは正常、つまり流産は繰り返すけれども最終的には出産できるというデータとなっています。 話は少しそれますが、現在、注目されている検査の一つに着床前診断というものがあります。これはまだ日本では重い遺伝性疾患をもつ方にのみ認められている治療で、一般的には行われていません。ご夫婦に染色体異常があった場合、そのご夫婦の受精卵にも染色体異常が起こる確率が高くなりますので、それを調べて正常な受精卵だけを戻すことで流産を防ぐというものです。 流産を2度、3度と繰り返すと、女性は体だけでなく、精神的にも大きなストレスを抱えることになり、現在その解決策として議論が進んでいます。近い将来には日本でも有効な検査法となりうるでしょう。 詳しく調べても原因が特定できないケースも 検査で見つかった不育症のリスク因子に対して治療を行うことはできますが、根本的に“不育症を治療する”ということにはならないこともあります。 たとえば、子宮に着床を妨げる筋腫などの異常があれば、外科的な手術によってそれを取り除くことは可能です。免疫異常の抗リン脂質抗体症候群であれば、アスピリンの内服やヘパリン注射など、抗凝固療法がある程度は有効であることがわかっています。ですから、それらがリスク因子となっている場合には、有効な治療法となるでしょう。しかし、実際の症例では何が流産や不育症のリスク因子となっているのか、詳しく調べてもわからないケースが多く、原因を明らかにして治療することが困難なのが不育症においては実状なのです。 体外受精や顕微授精の技術が確立し、受精まではかなりサポートできるようになりましたが、移植に関してはほとんど進歩がないというのが今の生殖医療の現状です。着床そのものをサポートする有効な治療法は今のところ、まだ出現していないのです。当たり前のことではありますが、まず検査によってできるだけ着床不全や不育症の原因となりうるリスク因子を取り除いたうえで、適切な排卵誘発を行い、体外受精や顕微授精で得られた受精卵を、できるだけダメージを与えることなく移植する、そのことがよい結果につながると考えています。 石川先生より まとめ ・早めに検査を受けること ・検査で着床を妨げる可能性のある要因を少しでも明らかに ・適切な排卵誘発を行い、体外受精で良質な受精卵を移植 [無料]気軽にご相談ください お話を伺った先生のご紹介 石川 弘伸 先生(醍醐渡辺クリニック) 1991 年滋賀医科大学卒業。同大学院修了。泉大津市立病院副医長、水口市民病院産婦人科医長、野洲病院産婦人科部長を経て、2003年より醍醐渡辺クリニック副院長。電子カルテの導入が軌道に乗り、受付や先生自身の仕事がスムーズになったことを喜んでいる石川先生。「最近は手書きで文字を書く機会が減って、簡単な漢字がなかなか思い出せなかったりするのが困りものですね」と苦笑い。 ≫ 醍醐渡辺クリニック 出典:女性のための健康生活マガジン jineko vol.33 2017 Spring≫ 掲載記事一覧はこちら 着床障害と不育症について 石川 弘伸 先生(醍醐渡辺クリニック) せっかく良好な受精卵ができても、着床障害や原因不明の流産を繰り返す不育症で出産まで至らない場合、どのように治療を進めるべきなのでしょうか。醍醐渡辺クリニックの石川先生にお話を伺いました。 不育症の定義とは?着床障害と不育症の違い 妊娠は成立するものの、流産や死産を繰り返してしまい、最終的に赤ちゃんが得られない状態を不育症といいます。受精卵が子宮内膜に着床し、妊娠はスタートするけれども、赤ちゃんが生まれてくることができない状態です。日本では連続3回以上の流産が繰り返される場合、習慣流産という用語も使われていますが、妊娠22週以降の死産や、生後1週間以内の新生児の死亡は含まれません。実際のところ、学会でも「何回の流産で不育症か?」というはっきりとした定義がないのですが、当院では2回流産を繰り返されると、検査をご提案することが多いですし、またご自身から検査を希望される方も増えています。 一方、受精卵が子宮内膜に着床することができず、妊娠そのものがスタートしないのが着床障害です。排卵誘発を行い、体外受精や顕微授精によって培養した良好な胚を移植したにもかかわらず、妊娠しない、化学流産などに終わってしまう状態が着床障害と考えられます。化学流産とは、妊娠反応が陽性となった後、超音波で診察しても子宮内に胎嚢が確認できない状態で、これは流産の回数には含めないことになっています。 では、不育症や着床障害の検査や治療に至るまでの流産の回数が、なぜ2回、3回と決められているのでしょうか。それらは単純に確率の問題であり、統計的な考え方によります。日本では自然流産の起こる頻度はだいたい全体の15%くらいとされています。妊娠しても1割以上の人が流産する確率があるということです。それが2回までなら偶発的に起こりうることと考えてもよいですが、3回以上となると、何かほかに原因があると考えたほうがよいという考え方です。 女性にとって流産はつらいものですが、その半数以上はリスク因子が不明のものです。あまりご自身を責めずに、思わぬ原因が隠れていることもありますので、まず検査を受けてみることをおすすめします。 原因を探るためのさまざまな検査 不育症や着床障害の原因を調べる検査の項目は多岐にわたり、施設によって多少異なるのが現状です。血液検査では、抗リン脂質抗体の測定、糖尿病や甲状腺など内分泌疾患の有無、あとは夫婦それぞれの染色体を調べる検査などがあります。そのほか、子宮の異常を調べるために子宮卵管造影検査や超音波検査を行うこともあります。 ご夫婦の染色体異常については、具体的な治療を受けるかどうかは十分なカウンセリングが必要です。染色体異常があっても普通に生活されている方なら大きな異常が見つかることはあまりありません。軽微な異常であれば最終的には赤ちゃんが生まれることも多いのです。統計的には5人中、4人までは正常、つまり流産は繰り返すけれども最終的には出産できるというデータとなっています。 話は少しそれますが、現在、注目されている検査の一つに着床前診断というものがあります。これはまだ日本では重い遺伝性疾患をもつ方にのみ認められている治療で、一般的には行われていません。ご夫婦に染色体異常があった場合、そのご夫婦の受精卵にも染色体異常が起こる確率が高くなりますので、それを調べて正常な受精卵だけを戻すことで流産を防ぐというものです。 流産を2度、3度と繰り返すと、女性は体だけでなく、精神的にも大きなストレスを抱えることになり、現在その解決策として議論が進んでいます。近い将来には日本でも有効な検査法となりうるでしょう。 詳しく調べても原因が特定できないケースも 検査で見つかった不育症のリスク因子に対して治療を行うことはできますが、根本的に“不育症を治療する”ということにはならないこともあります。 たとえば、子宮に着床を妨げる筋腫などの異常があれば、外科的な手術によってそれを取り除くことは可能です。免疫異常の抗リン脂質抗体症候群であれば、アスピリンの内服やヘパリン注射など、抗凝固療法がある程度は有効であることがわかっています。ですから、それらがリスク因子となっている場合には、有効な治療法となるでしょう。しかし、実際の症例では何が流産や不育症のリスク因子となっているのか、詳しく調べてもわからないケースが多く、原因を明らかにして治療することが困難なのが不育症においては実状なのです。 体外受精や顕微授精の技術が確立し、受精まではかなりサポートできるようになりましたが、移植に関してはほとんど進歩がないというのが今の生殖医療の現状です。着床そのものをサポートする有効な治療法は今のところ、まだ出現していないのです。当たり前のことではありますが、まず検査によってできるだけ着床不全や不育症の原因となりうるリスク因子を取り除いたうえで、適切な排卵誘発を行い、体外受精や顕微授精で得られた受精卵を、できるだけダメージを与えることなく移植する、そのことがよい結果につながると考えています。 石川先生より まとめ ・早めに検査を受けること ・検査で着床を妨げる可能性のある要因を少しでも明らかに ・適切な排卵誘発を行い、体外受精で良質な受精卵を移植 [無料]気軽にご相談ください お話を伺った先生のご紹介 石川 弘伸 先生(醍醐渡辺クリニック) 1991 年滋賀医科大学卒業。同大学院修了。泉大津市立病院副医長、水口市民病院産婦人科医長、野洲病院産婦人科部長を経て、2003年より醍醐渡辺クリニック副院長。電子カルテの導入が軌道に乗り、受付や先生自身の仕事がスムーズになったことを喜んでいる石川先生。「最近は手書きで文字を書く機会が減って、簡単な漢字がなかなか思い出せなかったりするのが困りものですね」と苦笑い。 ≫ 醍醐渡辺クリニック 出典:女性のための健康生活マガジン jineko vol.33 2017 Spring≫ 掲載記事一覧はこちら
2017.4.9
コラム 不妊治療
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体外受精、顕微授精、ダメでした
あきちゃんさん(43歳)1度目、クロミッドと、注射で6個採卵、2個受精 そのうち1つが分割せず 1つを凍結 その間に子宮内膜ポリープ切除手術を受け、凍結胚を戻すも、hcg0.8とうまくいきませんでした 2回目採卵、やはりクロミッド、注射で4個採卵 全て顕微授精するも、受精卵は1個しかできず その1個も途中で成長が止まってしまいました 受精率か低く、途中で成長が止まってしまうのはやはり卵子の質でしょうか もうどうすればいいのか、わかりません 石川 弘伸 先生 (醍醐渡辺クリニック) 院長プロフィール 私たちは、子供が授からず悩んでおられる方々にそれぞれのご夫婦に一番適した治療を考え、なるべく早く夢がかなうよう、できる限りの努力をしていきます。不妊で悩まれこれから治療をお考えの方、また何度かトライしてみたけれどまだ赤ちゃんが授からない方、ぜひ一度ご相談ください。 思いきって早く行動をおこされるのも、念願の赤ちゃんを早く授かる1つのファクターであると考えます ≫ 醍醐渡辺クリニック くわしいデータがわからないのですが、現在43歳と年齢が高いことから、残念ながら厳しい状況といわざるをえません。しかし、クロミッド+注射で6個採卵、2個受精されています。年齢的に極端に悪くはありませんし、卵巣機能はまだ残っているはずです。 基本的に年齢が高い方は低刺激法を選択することが多いのですが、この方は強めの刺激法でも卵子がしっかり採れる可能性があります。1〜2カ月間しっかり卵巣を休めて、卵巣調節刺激法で卵子をたくさん育ててみることを検討されてはいかがでしょうか。また、低刺激法についてもクロミッドしか試されていないようですので、クロミッドと同様の作用を持つ、アロマターゼ阻害剤(フェマーラ、レトロゾール)に変えてみるのもいいかもしれません。 排卵誘発法はあまり変えないほうが良いという意見もありますが、一方でさまざまな排卵誘発法の中から試行錯誤をして正解を探し出すという考え方もあります。この方は卵巣の反応が良いので強い刺激でも卵子がたくさん採れると思います。当院であれば、ホルモンの状況を見ながら、まずは卵巣調節刺激法を試したいですね。
2016.12.9
専門医Q&A 女性の健康
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顕微授精しても 結果が出ません。 精子か卵子の質のせい?
顕微授精しても 結果が出ません。 精子か卵子の質のせい? 相談者:◎さん(42歳)受精卵の発達について顕微授精を4回くらいしていますが、なかなか妊娠できません。1回の顕微授精につき1個くらいは胚盤胞になりますが、移植しても妊娠に至りません。卵子残存値は2.25と年齢の割には高いほうらしく、毎回、卵子は15 〜16個採れて8割は受精しますが、胚盤胞に至らないものは3日目以降に発達が遅れてくるようです。夫は54歳で自然妊娠には精子の量が少なく、顕微授精には十分な量で、産婦人科からの資料には不妊要因は男性不妊と書かれていました。卵子か精子の質が悪いのでしょうか? だとしたら、どうしたら質は良くなるのでしょうか? また「よもぎゅっと」というホットナプキンをつけています。温めすぎだったのでしょうか? さらに、毎週高速バスで長野〜新潟間を3時間半かけて週末婚しています。バスの振動や体への負担が原因でしょうか? 相談者のご主人は54歳で、男性不妊の疑いがあるそうです。これが要因なのでしょうか。 山口先生:加齢に伴う卵子の質の低下はよく知られていますが、近年、精子の質も加齢に伴い低下するのではないかといわれています。男性、女性ともに低下していくのは仕方がありません。 卵子を活性化する精子の能力について、このような報告があります。独協医科大学の岡田弘教授の研究によると、精子の能力は30〜40歳を境に低下するというのです。マウステスト(検体精子をマウスに顕微授精して卵子の活性化を調べる)では、不妊症の男性(=精子が老化する男性)は、精子の受精能力が年齢とともに低下するのに対して、子どもがいる男性の精子は、年齢に関係なく高い受精能力を示すそうです。精子が老化しないタイプの男性もいるという見地もあります。 相談者のご主人の場合、精液の所見をWHOの2010年の基準値で比較すると、精液量は1.5ml、精子濃度は1500万 /ml、運動率40%、正常精子形態率4%でクリアしています。また、顕微授精で受精を確認できていますから、男性因子については加齢の影響を否定できないにせよ、克服できているように思います。しかし、本当に加齢が精子に影響し、胚盤胞に至らない一因として示すには、今後の検証を待たなくてはなりません。 それでは、卵子の質が影響しているのでしょうか。 山口先生:40代前半の女性であれば、胚盤胞の到達率が低下するのは仕方がないと思います。また移植しても妊娠に至らないとのことですが、当院のデータでは、見かけが良好な胚盤胞を移植した場合、妊娠成立するのは半数程度です。また、文献報告からは染色体が正常な胚盤胞は35歳未満で56%、35~37歳で46%、38~40歳で33%、41~42歳で19%、43歳になると13%といわれています。見かけが良好な胚盤胞でも着床前診断してみると、染色体が正常である割合は年齢とともに低下していきます。 卵子の質を上げる方法はあるのでしょうか。また、今後の治療についてアドバイスをお願いします。 山口先生:卵子の質を良くする方法は、サプリメントや食生活、生活習慣の改善を試みる程度としか申し上げられません。また、ご心配されているホットナプキンは継続いただいてかまいませんし、高速バスの移動も体への問題はありません。 これからの治療について、考慮できることは、卵子残存値(AMH)が2・25ng/mlと高いことです。先述のように、卵子の質について加齢の影響は否めませんが、卵巣を刺激するたびにある程度の卵子は採れると思います。現在のロング法とは違う卵巣刺激法に変えてみたり、移植方法を二段階移植にしてみる。また、凍結胚と新鮮胚を同時に移植する複数個移植を試みるのはどうでしょうか? まだ可能性はあると思います。 醍醐渡辺クリニック 山口 剛史先生奈良県立医科大学卒業。2007年京都府立医科大学大学院医学研究科統合医科学専攻、同博士課程修了。公立南丹病院、京都府立与謝の海病院産婦人科医長勤務などを経て、2010年より醍醐渡辺クリニック勤務。O型・天秤座。大学時代から続けているラグビーをこよなく愛する先生。相当厳しかったという練習も、今では懐かしい思い出に。数年ごとに行われる次回のOB戦では、先生はちょうど48歳。「体力的にはキツイですが、頑張りま!」。≫ 醍醐渡辺クリニック 出典:女性のための健康生活マガジン jineko vol.32 2016 Winter≫ 掲載記事一覧はこちら 【PR】体外受精をお考えなら。田村秀子産婦人科医院 専門家に相談してみる 【無料】100ページオールカラー 女性のための健康生活マガジン JINEKO 顕微授精しても 結果が出ません。 精子か卵子の質のせい? 相談者:◎さん(42歳)受精卵の発達について顕微授精を4回くらいしていますが、なかなか妊娠できません。1回の顕微授精につき1個くらいは胚盤胞になりますが、移植しても妊娠に至りません。卵子残存値は2.25と年齢の割には高いほうらしく、毎回、卵子は15 〜16個採れて8割は受精しますが、胚盤胞に至らないものは3日目以降に発達が遅れてくるようです。夫は54歳で自然妊娠には精子の量が少なく、顕微授精には十分な量で、産婦人科からの資料には不妊要因は男性不妊と書かれていました。卵子か精子の質が悪いのでしょうか? だとしたら、どうしたら質は良くなるのでしょうか? また「よもぎゅっと」というホットナプキンをつけています。温めすぎだったのでしょうか? さらに、毎週高速バスで長野〜新潟間を3時間半かけて週末婚しています。バスの振動や体への負担が原因でしょうか? 相談者のご主人は54歳で、男性不妊の疑いがあるそうです。これが要因なのでしょうか。 山口先生:加齢に伴う卵子の質の低下はよく知られていますが、近年、精子の質も加齢に伴い低下するのではないかといわれています。男性、女性ともに低下していくのは仕方がありません。 卵子を活性化する精子の能力について、このような報告があります。独協医科大学の岡田弘教授の研究によると、精子の能力は30〜40歳を境に低下するというのです。マウステスト(検体精子をマウスに顕微授精して卵子の活性化を調べる)では、不妊症の男性(=精子が老化する男性)は、精子の受精能力が年齢とともに低下するのに対して、子どもがいる男性の精子は、年齢に関係なく高い受精能力を示すそうです。精子が老化しないタイプの男性もいるという見地もあります。 相談者のご主人の場合、精液の所見をWHOの2010年の基準値で比較すると、精液量は1.5ml、精子濃度は1500万 /ml、運動率40%、正常精子形態率4%でクリアしています。また、顕微授精で受精を確認できていますから、男性因子については加齢の影響を否定できないにせよ、克服できているように思います。しかし、本当に加齢が精子に影響し、胚盤胞に至らない一因として示すには、今後の検証を待たなくてはなりません。 それでは、卵子の質が影響しているのでしょうか。 山口先生:40代前半の女性であれば、胚盤胞の到達率が低下するのは仕方がないと思います。また移植しても妊娠に至らないとのことですが、当院のデータでは、見かけが良好な胚盤胞を移植した場合、妊娠成立するのは半数程度です。また、文献報告からは染色体が正常な胚盤胞は35歳未満で56%、35~37歳で46%、38~40歳で33%、41~42歳で19%、43歳になると13%といわれています。見かけが良好な胚盤胞でも着床前診断してみると、染色体が正常である割合は年齢とともに低下していきます。 卵子の質を上げる方法はあるのでしょうか。また、今後の治療についてアドバイスをお願いします。 山口先生:卵子の質を良くする方法は、サプリメントや食生活、生活習慣の改善を試みる程度としか申し上げられません。また、ご心配されているホットナプキンは継続いただいてかまいませんし、高速バスの移動も体への問題はありません。 これからの治療について、考慮できることは、卵子残存値(AMH)が2・25ng/mlと高いことです。先述のように、卵子の質について加齢の影響は否めませんが、卵巣を刺激するたびにある程度の卵子は採れると思います。現在のロング法とは違う卵巣刺激法に変えてみたり、移植方法を二段階移植にしてみる。また、凍結胚と新鮮胚を同時に移植する複数個移植を試みるのはどうでしょうか? まだ可能性はあると思います。 醍醐渡辺クリニック 山口 剛史先生奈良県立医科大学卒業。2007年京都府立医科大学大学院医学研究科統合医科学専攻、同博士課程修了。公立南丹病院、京都府立与謝の海病院産婦人科医長勤務などを経て、2010年より醍醐渡辺クリニック勤務。O型・天秤座。大学時代から続けているラグビーをこよなく愛する先生。相当厳しかったという練習も、今では懐かしい思い出に。数年ごとに行われる次回のOB戦では、先生はちょうど48歳。「体力的にはキツイですが、頑張りま!」。≫ 醍醐渡辺クリニック 出典:女性のための健康生活マガジン jineko vol.32 2016 Winter≫ 掲載記事一覧はこちら 【PR】体外受精をお考えなら。田村秀子産婦人科医院 専門家に相談してみる 【無料】100ページオールカラー 女性のための健康生活マガジン JINEKO
2016.11.1
コラム 不妊治療
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妊娠したらいつごろ母子手帳をもらいに行ったらいいの?
妊娠したらいつごろ母子手帳をもらいに行ったらいいの? 母子健康手帳についてですが、おそらく多くの施設が同様だと思います。当院の場合は、胎児が順調に発育していれば、妊娠8週で正確な予定日を決め、妊娠証明を発行します。その後、各自治体の役所で、母子健康手帳と妊婦健康診査受診券が交付されます。ちなみに体外受精の場合は、胚日齢(はいにちれい)、タイミング・人工授精の場合は、排卵日を基準にします。8週を基準にする理由はいろいろあります。8週以降は、血液検査や風疹の抗体検査など行い、検査結果によっては早期治療を開始する必要があります。そのため、母子健康手帳の発行が8週より遅くなると、赤ちゃんを無事に迎えるための準備に問題が生じます。一方、8週より早いと、流産の可能性が高くなります。母子健康手帳を手にしてからの流産は非常に残念です。そのため、8週が妥当と考えています。不妊治療をされている方の場合は、妊娠10週で当院を卒業します。10週をクリアすると、およそ98%の方が流産をすることなく無事に赤ちゃんが育っていきます。当院では不妊治療から産科まであり、一貫したサポートが可能です。 醍醐渡辺クリニック 渡辺 浩彦先生滋賀医科大学卒業後、京都大学医学部附属病院産婦人科、大津赤十字病院、済生会茨木病院などを経て、1971年から不妊治療を行っている父親の病院を継承。不妊治療から分娩まで手掛け、365日24時間の診療体制を取る。≫ 醍醐渡辺クリニック 妊娠したらいつごろ母子手帳をもらいに行ったらいいの? 母子健康手帳についてですが、おそらく多くの施設が同様だと思います。当院の場合は、胎児が順調に発育していれば、妊娠8週で正確な予定日を決め、妊娠証明を発行します。その後、各自治体の役所で、母子健康手帳と妊婦健康診査受診券が交付されます。ちなみに体外受精の場合は、胚日齢(はいにちれい)、タイミング・人工授精の場合は、排卵日を基準にします。8週を基準にする理由はいろいろあります。8週以降は、血液検査や風疹の抗体検査など行い、検査結果によっては早期治療を開始する必要があります。そのため、母子健康手帳の発行が8週より遅くなると、赤ちゃんを無事に迎えるための準備に問題が生じます。一方、8週より早いと、流産の可能性が高くなります。母子健康手帳を手にしてからの流産は非常に残念です。そのため、8週が妥当と考えています。不妊治療をされている方の場合は、妊娠10週で当院を卒業します。10週をクリアすると、およそ98%の方が流産をすることなく無事に赤ちゃんが育っていきます。当院では不妊治療から産科まであり、一貫したサポートが可能です。 醍醐渡辺クリニック 渡辺 浩彦先生滋賀医科大学卒業後、京都大学医学部附属病院産婦人科、大津赤十字病院、済生会茨木病院などを経て、1971年から不妊治療を行っている父親の病院を継承。不妊治療から分娩まで手掛け、365日24時間の診療体制を取る。≫ 醍醐渡辺クリニック
2016.5.11
コラム 妊娠・出産
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採卵後の生理について
チビ太さん(40歳)こんにちは。 11月8日にはじめての採卵をしました。 アンタゴニスト法で16個の卵が取れました。 その後、生理が5日目で来て、たった2日で終わってしまいました。 量も、普段より少なかったです。 8月中旬に稽留流産の掻把手術を受けていて、それからずっと生理の量は減っているのですが、内膜が薄くなっているのか心配です… 大丈夫でしょうか? また、今後内膜が厚く復活してくれることはあるのでしょうか? とても心配です。 山口剛史 先生 (醍醐渡辺クリニック) ≫ 醍醐渡辺クリニックタイミング後に妊娠されたのに、8週で心拍が止まったとは残念です。その後に掻爬手術を受けたとのことですね。その後の転院、年齢のこともあり思い切って体外受精に踏み切られ、着床前診断待ちとのこと。かなり慎重に治療をされたのだとお察しいたします。 さて、流産手術を受けたから月経の量が減ったとのことですが、加齢にともなう月経不順も影響している可能性があります。必ずしも月経の量と内膜の厚さが相関するとは限りません。理論的には子宮内膜は卵胞ホルモンが作用することで内膜は厚みを増してきますので、移植前に高濃度のエストロゲンを投与してみることで内膜の厚みには期待できるかもしれません。移植前の周期をホルモン補充周期とするか、自然周期とするかで内膜の厚みに違いがでることもあります。 移植前に内膜の厚さについては、「薄くても7mm以上であり、9mm以上が適正である」と示唆する報告はあるのですが、子宮内膜への胚の着床過程については不明なことが多いです。子宮内膜が4mmでの妊娠例の報告もあります。実際、「内膜が薄ければ妊娠しないのかどうか?」についてですが、子宮外妊娠で経験するような卵管妊娠では、着床環境が悪いのに着床してしまいますし、帝王切開後の創部瘢痕(はんこん)部での妊娠では、傷が治癒した後の内膜の薄いところへ着床します。幸いアンタゴニスト法で16個の卵が取れているとのこと。決して内膜の厚さだけが着床の可否を左右しているわけではありませんので、前向きにとらえて治療を続けてみてください。
2015.11.15
専門医Q&A 女性の健康
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胚移植前の食事
さおりさん(38歳)今日、新鮮胚盤胞移植予定でしたが、狭くなっているとのことで私の痛みがあることで、急遽中止になってしまいました。午後2時頃の移植だったのですが、昼食はとるべきではなかったでしょうか? 施術中に先生が『いつ朝ごはんを食べました?』と聞かれました。特に絶食の指示はなかったため、昼も朝も食べてしまったのです。施術中に先生が鉗子のようなものでゴリゴリしていると、臀部に確かに便が当たっているような感覚がありました…。前回午前中の凍結胚盤胞移植の時も、子宮までの道が鋭角になっているとのことで難航しました。特に指示がなくても食べないほうがベターでしょうか。また特に指示がなくても尿は貯めたほうがいいのでしょうか? 移植時は痛みがあるのですが麻酔をお願いしてもいいものでしょうか。 渡辺浩彦 先生 (醍醐渡辺クリニック) 私たちは、子供が授からず悩んでおられる方々にそれぞれのご夫婦に一番適した治療を考え、なるべく早く夢がかなうよう、できる限りの努力をしていきます。不妊で悩まれこれから治療をお考えの方、また何度かトライしてみたけれどまだ赤ちゃんが授からない方、ぜひ一度ご相談ください。 思いきって早く行動をおこされるのも、念願の赤ちゃんを早く授かる1つのファクターであると考えます。 滋賀医科大学 卒業 京都大学 医学部附属病院 産婦人科 勤務 大津赤十字病院 勤務 倉敷中央病院 勤務 京都大学 医学部大学院 卒業 済生会茨木病院 副部長 醍醐渡辺病院 勤務 日本生殖医学会 評議員 日本生殖医学会認定医 ≫ 醍醐渡辺クリニック 子宮頸管が狭く、胚移植用のカテーテルが入りにくいというご相談かと思います。さおりさんの場合、施術中に先生から朝ごはんを食べたかどうか聞かれたということですが、おそらく、先生は麻酔で痛みや緊張を取ってから移植を続行しようとされたのではないでしょうか? 通常、麻酔の際は絶食していただく必要があるので、もし朝食を取っておられなければと考えられたのでしょう。胚移植そのものに食事の有無が影響することはありません。 子宮頸管はつるんとしたスムーズなトンネルではなくて、くぼみなどの凹凸があるので、そこにカテーテルがひっかかって入りにくい場合があります。ですから体外受精を行う際、まず事前の診察時にカテーテルが入るかどうか調べておいて胚移植当日に備えることが一般的です。ほとんどの施設で行われていることですが、もしかしたら事前の診察では問題なくすんなりとカテーテルが入ったのに、当日はうまくいかなかったというケースだったのかもしれません。体外受精の周期に入った時かそれ以前の診察 でどうしても入りにくい場合は、あらかじめ麻酔を使って頸管拡張の処置を行う場合があります。 また尿を貯めたほうがいいかどうかというご質問ですが、これは超音波で観察する際に経腹で行うか経腟で行うかによって異なります。経腹の場合は尿を貯めておくよう指示があると思いますが、経腟ではその必要がありません。こちらも処置そのものには影響はないので心配しなくて大丈夫ですよ。
2015.6.27
専門医Q&A 女性の健康
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何度も採卵しましたがフラグメンテーションが多く胚盤胞まで育ちません
相談者 パピ さん(33歳) 今まで完全自然周期で4回採卵しています。いつも2個から5個採卵するのですが、 受精はするものの、その後、分裂が止まったり、異常分割したり、分割してもフラグメンテーションが多く胚盤胞まで育ちません。見た目は問題なく、なぜかフラグメンテーションが増えすぎてしまうと言われました。初めての採卵で3日目の胚を戻して妊娠しましたが、 完全流産に終わりました。その後、左右に3cmほどのチョコレート嚢胞があるため、胚盤胞まで育 てたほうがよいと言われて採卵をしましたが、胚盤胞までいきませんでした。初期の胚で妊娠できましたが、採卵して培養できない限り、また初期の胚を戻すのでは流産になるので、やはり胚盤胞まで育てたほうがいいのでしょうか? 胚盤胞まで育つには何度も採卵を繰り返しやれば望みはありますでしょうか? 施設の方針により初期胚を戻すことはできません。 -- 採卵できて受精はするものの、なかなか胚盤胞まで育ちにくいというご相談です。 山口先生: 一部の細胞が不規則に分裂して生じる小さな断片をフラグメンテーションというのですが、なぜ発生するのか、はっきりとした原因はまだわかっていません。 数年前までは、このような断片化があることによって胚の発育が悪くなるといわれていたのですが、現在、フラグメンテーションがあっても時間がたてば再吸収されて、 胚のグレードが良くなるといわれています。 つまりフラグメンテーションが起こったから、もう受精卵が胚盤胞にならないかとい うと決してそうではなくて、卵胞刺激や受 精の方法を変えたりしながら何回も根気よく繰り返すうちに、良好胚が得られるケースもあるのです。 -- 現在は完全自然周期での採卵しかされていません。卵胞刺激で良好胚になりますか? 山口先生: 受精は成立しているのですから、 調節卵胞刺激など他の方法を試しながら採卵を繰り返すことで望みはあると思います。 受精方法も通常の体外受精と顕微授精の2つのグループに分けて行うことで、グレー ドの良い胚が得られる可能性があります。 それでもなお、フラグメンテーションの多い胚しかできず、胚盤胞まで育たないのであれば、初期胚移植を試みるべきでしょう。通院されている施設では行っていないということなので難しいのかもしれませんが、初期胚と胚盤胞を二段階で移植してみるのもいいと思います。パピさんは以前に「初期の胚で妊娠できました」とのことですから、一度、初期胚での移植を試みる価値があるのではないでしょうか。そのような 治療のためにも、自然周期やクロミフェンだけでなく、もう少し刺激の強い方法で卵胞刺激を行い、1回の採卵数を増やすことがポイントかと思います。 -- 体内の環境についてはどうでしょうか? 山口先生: 妊娠率を上げるには、チョコレート嚢胞に対するアプローチを考えるべきかもしれませんね。チョコレート嚢胞を除去し、卵巣内での卵胞発育環境が良くなれば、 良好な卵子が採取できる可能性が高まると思います。フラグメンテーションが減るかどうかは試してみないとわからないのですが、術後の妊娠には母体年齢も大きく作用 します。まだ年齢がお若い段階で手術に踏み切って採卵に臨むというのは大変良い選択かと思います。 初期流産というつらい経験も、ご自身が自然に妊娠できる要素をお持ちだということです。マイナスばかりに目を向ける必要はありません。まずは腹腔鏡下手術によって卵管周辺や卵巣周囲の癒着の有無なども確認し、術後に低刺激での卵巣刺激で採卵してみるというのはどうでしょう。採卵時に排卵していたら人工授精を併用するのもいいでしょう。手術療法を試みて、同時に腹腔内の状態を確認することは、妊孕能を改善するうえでも重要なことです。治療の選択肢が大きく広がると思います。 出典:女性のための健康生活マガジン jineko vol.25 2015 Spring≫ マガジンの記事がすべてご覧いただけます! 山口 剛史先生 奈良県立医科大学卒業。2007年京都府立医科大学大学院医学研究科統合医科学専攻、同博士課程修了。公立南丹病院、京都府立与謝の海病院産婦人科医長勤務などを経て、2010 年より醍醐渡辺クリニック勤務。O型・天秤座。大学時代はラグビー部に所属されていた先生は、現在も数年ごとにOB戦に出場。「試合後の回復力がどんどん落ちているのがツライ」と苦笑いされながら、日常でもランニングなどで体力維持に余念がありません。 相談者 パピ さん(33歳) 今まで完全自然周期で4回採卵しています。いつも2個から5個採卵するのですが、 受精はするものの、その後、分裂が止まったり、異常分割したり、分割してもフラグメンテーションが多く胚盤胞まで育ちません。見た目は問題なく、なぜかフラグメンテーションが増えすぎてしまうと言われました。初めての採卵で3日目の胚を戻して妊娠しましたが、 完全流産に終わりました。その後、左右に3cmほどのチョコレート嚢胞があるため、胚盤胞まで育 てたほうがよいと言われて採卵をしましたが、胚盤胞までいきませんでした。初期の胚で妊娠できましたが、採卵して培養できない限り、また初期の胚を戻すのでは流産になるので、やはり胚盤胞まで育てたほうがいいのでしょうか? 胚盤胞まで育つには何度も採卵を繰り返しやれば望みはありますでしょうか? 施設の方針により初期胚を戻すことはできません。 -- 採卵できて受精はするものの、なかなか胚盤胞まで育ちにくいというご相談です。 山口先生: 一部の細胞が不規則に分裂して生じる小さな断片をフラグメンテーションというのですが、なぜ発生するのか、はっきりとした原因はまだわかっていません。 数年前までは、このような断片化があることによって胚の発育が悪くなるといわれていたのですが、現在、フラグメンテーションがあっても時間がたてば再吸収されて、 胚のグレードが良くなるといわれています。 つまりフラグメンテーションが起こったから、もう受精卵が胚盤胞にならないかとい うと決してそうではなくて、卵胞刺激や受 精の方法を変えたりしながら何回も根気よく繰り返すうちに、良好胚が得られるケースもあるのです。 -- 現在は完全自然周期での採卵しかされていません。卵胞刺激で良好胚になりますか? 山口先生: 受精は成立しているのですから、 調節卵胞刺激など他の方法を試しながら採卵を繰り返すことで望みはあると思います。 受精方法も通常の体外受精と顕微授精の2つのグループに分けて行うことで、グレー ドの良い胚が得られる可能性があります。 それでもなお、フラグメンテーションの多い胚しかできず、胚盤胞まで育たないのであれば、初期胚移植を試みるべきでしょう。通院されている施設では行っていないということなので難しいのかもしれませんが、初期胚と胚盤胞を二段階で移植してみるのもいいと思います。パピさんは以前に「初期の胚で妊娠できました」とのことですから、一度、初期胚での移植を試みる価値があるのではないでしょうか。そのような 治療のためにも、自然周期やクロミフェンだけでなく、もう少し刺激の強い方法で卵胞刺激を行い、1回の採卵数を増やすことがポイントかと思います。 -- 体内の環境についてはどうでしょうか? 山口先生: 妊娠率を上げるには、チョコレート嚢胞に対するアプローチを考えるべきかもしれませんね。チョコレート嚢胞を除去し、卵巣内での卵胞発育環境が良くなれば、 良好な卵子が採取できる可能性が高まると思います。フラグメンテーションが減るかどうかは試してみないとわからないのですが、術後の妊娠には母体年齢も大きく作用 します。まだ年齢がお若い段階で手術に踏み切って採卵に臨むというのは大変良い選択かと思います。 初期流産というつらい経験も、ご自身が自然に妊娠できる要素をお持ちだということです。マイナスばかりに目を向ける必要はありません。まずは腹腔鏡下手術によって卵管周辺や卵巣周囲の癒着の有無なども確認し、術後に低刺激での卵巣刺激で採卵してみるというのはどうでしょう。採卵時に排卵していたら人工授精を併用するのもいいでしょう。手術療法を試みて、同時に腹腔内の状態を確認することは、妊孕能を改善するうえでも重要なことです。治療の選択肢が大きく広がると思います。 出典:女性のための健康生活マガジン jineko vol.25 2015 Spring≫ マガジンの記事がすべてご覧いただけます! 山口 剛史先生 奈良県立医科大学卒業。2007年京都府立医科大学大学院医学研究科統合医科学専攻、同博士課程修了。公立南丹病院、京都府立与謝の海病院産婦人科医長勤務などを経て、2010 年より醍醐渡辺クリニック勤務。O型・天秤座。大学時代はラグビー部に所属されていた先生は、現在も数年ごとにOB戦に出場。「試合後の回復力がどんどん落ちているのがツライ」と苦笑いされながら、日常でもランニングなどで体力維持に余念がありません。
2015.3.10
コラム 不妊治療