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卵管癒着で腹腔鏡下手術。再度検査は必要ですか?

コラム 不妊治療

卵管癒着で腹腔鏡下手術。再度検査は必要ですか?

「外側の癒着を取れば卵管はきちんと通るようになっているのでしょうか。もう一度、卵管造影検査をしたほうがいいのだろうかと不安です。」

2017.5.21

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卵管癒着で腹腔鏡下手術。再度検査は必要ですか?


神谷 博文 先生(神谷レディースクリニック)







相談者:ラテさん(27歳)


卵管の癒着を手術で取りました。妊娠はできる?


 結婚して1年半。不妊治療は約半年前から始めたばかりです。多嚢胞性卵巣症候群と診断され、排卵誘発剤を使った治療で排卵を起こしています。卵管造影検査をクリニックにお願いしたところ、片方閉塞、片方癒着の疑いで腹腔鏡下手術をしました。片方は切除し、癒着しているほうは、卵管采を残して癒着を取ったといわれました。外側の癒着を取れば卵管はきちんと通るようになっているのでしょうか。もう一度、卵管造影検査をしたほうがいいのだろうかと不安です。また、卵管が通っていれば妊娠はできるでしょうか。AMH値は手術前11.2ng/ml、手術後7.0ng/mlです。



 



ラテさんは、約半年前から排卵誘発剤での治療をスタートしています。治療前には、一般的にどのような検査をするのでしょうか?


初診では、生理周期、妊娠歴、性生活について伺ったうえで、基礎体温をつけるようにアドバイスをします。また、「基礎体温」「子宮卵管造影」「精液の濃度や運動率」「卵子の発育や合併症」「感染症」「排卵にかかわるホルモン値」などを確認・検査するのが一般的。これらの検査の結果で、タイミング療法にするのか、人工授精や体外受精を選択するのか、治療方針が決まります。さらに、必要に応じてMRIや腹腔鏡下検査で子宮や卵巣の詳細な検査を行って診断・治療をする場合もあります。


ラテさんの場合、検査で多嚢胞性卵巣症候群が判明したため、排卵誘発をしてタイミング療法を行うことになったのでしょう。


卵管の閉塞と癒着がありましたが、原因は何が考えられますか? また治療方法についても教えてください。


原因で多いのはクラミジアなどの感染症です。また、チョコレート嚢胞を合併している子宮内膜症の場合もあります。腹腔鏡下で病変を観察し、卵管采の機能が残せるような癒着の場合は癒着剥離を行います。卵管采の機能を残せないほどの癒着や卵管全域が堅くなって閉塞している場合、卵管水腫で卵管采が形成不能な場合は、異所性妊娠を起こしやすいため切除を行います。


卵管の切除を行って、卵管のまわりの血管も切られると卵巣への血流が減少します。そのため、切除ではなく、卵管の根元をクリッピングする方法もあります。これは、卵管水腫の場合に卵管内にたまった液体が子宮内に逆流して着床障害を起こすのを防ぐことにもなります。


年齢が若い人の場合は、自然妊娠に近い形を望まれるため、卵管を保存する治療法を探ることが多いです。


ラテさんは片方を切除、片方は卵管采を残して癒着を取ったとのことですが、手術の結果や今後に不安を抱かれています。


手術後は、再癒着の可能性もありますから、再度、卵管造影検査をするクリニックのほうが多いです。ラテさんは、手術前も手術後もAMH値が高いですから、卵管が通っているか、排卵しているかを卵管造影検査で確認したほうがいいですね。


卵管が通っていれば妊娠する可能性はありますが、異所性妊娠をするケースもあるので、今後は気をつけて経過を診てもらったほうがいいでしょう。


このような症例で年齢が高ければ、不妊治療の最初から体外受精をすることをすすめます。ラテさんの場合は、まだ27歳で若いため卵管を残し、タイミングでの治療を指導されたと考えられます。しかし、1年程たっても妊娠しなければ、体外受精へのステップアップを検討するのがいいでしょう。




神谷先生より まとめ


●手術後の再癒着の可能性もあるので卵管造影検査をしましょう。
●1年たって妊娠しなければ体外受精への移行も検討しましょう。



 



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お話を伺った先生のご紹介





神谷 博文 先生(神谷レディースクリニック)


札幌医科大学卒業。同大学産婦人科学講座、第一病理学講座に入局後、斗南病院にて産婦人科科長を10年間務める。1998年、神谷レディースクリニックを開業。今年、院内にリラクゼーションルームを開設し、細胞の活性化やホルモンのバランス改善等を図る「低反応レベルレーザー治療」と、血流促進や疲労回復が期待できる「パワープレート」による統合医療を開始しました。


≫ 神谷レディースクリニック


出典:女性のための健康生活マガジン jineko vol.34 2017 Summer
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