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ジネコ妊活セミナー9月10日 「不妊治療を始めるにあたっての夫婦にかかわり方について」

レポート 不妊治療

ジネコ妊活セミナー9月10日 「不妊治療を始めるにあたっての夫婦にかかわり方について」

2017Webコラム

2017.11.6

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2017年9月10日に行われたジネコ 妊活セミナーより


不妊治療を始めるにあたっての夫婦にかかわり方について


2017年9月10日(日)、東京日本橋にて「ジネコ妊活セミナー」を開催しました。第1部では、医療法人愛慈会 松本レディースクリニック看護師長で、助産士、体外受精コーディネーター、不妊カウンセラーとして活躍中の松永久美江さんに「不妊治療全般」について、第2部では同クリニック院長松本和紀先生に「体外受精の現在・過去・未来」についてお話いただきました。今回は第1部の内容を第1弾としてお届けします。


 まず妊娠のメカニズムを把握しておく


図1をご覧ください。女性の生殖器の断面図です。男性の精子は女性の膣に射精されると子宮を通過し、卵管を目指します。そして卵管の中の卵管膨大部というところで卵子を待ちます。女性の卵巣は左右両方にあるので、毎月、どちらかが働きます。卵巣には卵胞といって卵子を蓄える袋がありますが、この袋は女性ホルモンの影響で成熟し、20ミリ以上になると排卵がおきます。

排卵した卵子は骨盤やお腹の中に出ていきます。精子は先ほどお話したように卵管の中の、卵管膨大部というところで卵子を待っていますので、卵子が卵管に入ってくれないと妊娠には結びつきません。そのため卵管の先の、手のような形をした卵管采が卵子を卵管に取り入れます。これを卵のピックアップといいます。それがうまくいったときに受精が成立します。その後、受精卵(胚)となって卵管を通る過程で成長を続け、最後、子宮にたどりついて着床、妊娠判定に結びつきます。

受精が毎月うまくいってくれればいいのですがなかなか簡単ではありません。なぜかというと、このイラストのように卵巣は平面ではないからです。立体なので卵管よりも遠いところで排卵してしまうこともあります。1回あたりの妊娠率は25歳位のカップルでも25%~30%です。卵管に入る確率は2カ月に1回と言われています。ですから、どんなに妊娠率が高くても、毎月は難しいわけです。


 


 妊娠に結びつけるために必要な検査


こうした妊娠の仕組みをうまく機能させることができるかどうかを知るために実施するのが不妊検査です。図2を見てください。基礎体温と検査のスケジュールをまとめたものです。

<基礎体温をつける>
妊娠を願う女性の多くは基礎体温をつけていると思われますが、まだの方はまず基礎体温をつけることから始めていただきたいと思います。女性の体の状態を知るうえでとても大切な検査の一つです。
婦人体温計を使い、毎朝、目覚めたとき、起き上がる前、布団の中で計るのがポイントです。同じ時間に口の中の舌の下に入れて計ってください。
基礎体温をつけてグラフにしていただくと、体温が低い時期と高い時期がわかります。よく「こんなきれいなグラフにならない」と言われるのですが、確かに実際はガタガタしていて、きれいなグラフになることはないかもしれません。 ただし、毎日の温度ではなく、大きな目でグラフを見ていただくと、体温が低いとき、高いときで温度差は0.3度以上あれば、2相性のグラフと考え、排卵していると思われます。

<ホルモン検査>
不妊治療を行う前に基礎体温とともにホルモン検査を実施しています。体温が低いときと高いときと2回、月経周期に合わせて行います。月経周期は生理の始まった日が1日目です。一度目は体温が低温気(低温相)、月経の2日目から5日目にホルモン検査を行います。ここでは卵巣の働きを確認します。二度目は高温期(高温相)に行い、妊娠に必要なホルモンが十分出ているかどうかをみます。

<超音波検査>
基礎体温を計っていただきながら、今度は排卵の時期、どの時期にうまくタイミングをとったらいいかを調べるため、超音波検査を行います。子宮はにわとりの卵大くらい、卵巣は親指の第一関節くらいしかないので、内科などで受けるお腹の上からの超音波では検査できませんので、経膣超音波という膣からの超音波を受けることになります。月経周期にもよりますが28日周期の方であれば、生理が始まった12日目前後に経膣超音波をお受けいただき、卵巣のなかの卵胞の大きさを見ていきます。十分な大きさになったときが、ご夫婦生活のタイミングといえます。

<子宮卵管造影検査>
子宮卵管造影は、子宮や卵管を造影剤という薬を使って調べる検査です。体内の様子を見るもので卵管閉塞、水腫などの有無を調べます。痛いというイメージを持たれていますが、個人差があるので、怖がらずに受けていただけたらと思います。

<男性の精液検査>
女性の不妊検査だけで済ますご夫婦がいますが、妊娠は精子と卵子が出会うことから始まります。男性側の検査は唯一精液検査のみとなります。ぜひ男性も精液検査を受けていただきたいです。

<AMH検査>
不妊治療方針の中にもうひとつ大切な検査があります。AMH(アンチミューラ管ホルモン)という検査で、卵巣の予備力の目安となるものです。女性は母親の胎内にいるときにすでに卵胞を持っています。妊娠7カ月のときに700万個くらいだと言われています。それが産まれるころには100万個。初潮を迎え、コンスタントに排卵できるようになる高校生の頃には多い人で30~50万個、少ない人では10~20万個と減っています。卵巣の卵胞というのは年齢とともに少しずつ減っていきます。1個の卵子が排卵するのに1日で20~30個、1カ月で1000個くらいの卵子が自然になくなっていると考えられています。
また、歳を重ねると卵子も年を重ねます。今のご自分の年齢が卵の年齢になります。卵巣の中の状況、卵子の質が妊娠率に大きく影響していきますので、ぜひAMH検査を早めに受けていただくことをおすすめします。もし、ご自分の年齢要素よりもAMHの値が低い場合、妊娠ができないのではなく、妊娠でき得る期間が短くなっていると考えられます。

<検査ではわからないこと>
検査でわかることもありますが、わからないこともまだまだあります。たとえば、卵管に卵子が入っているのか、卵管に入ったあと、精子と出会い、受精が行われているのかどうか、そして受精後に受精卵(胚)となって、きちんと成長できているのかはわからない部分です。ですから、不妊治療の検査ですべてクリアになるわけではないということを、まずご夫婦で十分理解していただいたうえで検査に臨んでいただきたいと思います。


 


 


 不妊治療を進めるにあたって夫婦のかかわり方


いろいろな検査のお話をしましたが、不妊治療はすぐに結果がでるわけではなく、出口が見えない、どこか暗いトンネルの中をあてもなく歩くのに似ています。しかも治療を受けるのは女性側、奥様が中心。治療を始めてもなかなか妊娠できないことへの不安、焦りに加え、ご自分の仕事との両立や義父母や自身の両親からのプレッシャー、周りからの心ない言葉などに傷つきいら立つことも多かったりします。奥様が孤独に悩んだり、自分を責めたり、不安を抱えたりしないようご主人のサポートがとても大切です。ぜひ奥様が病院へ行った日は「今日、病院だったよね、どうだった?」と声をかけてあげてください。また、治療のステップアップなどの時は、できれば奥様だけでなく、ご夫婦で説明を聞いていただき、不妊治療にご夫婦でかかわっていただくようにしてほしいと思います。
病院で奥様がこの日が排卵日だと言われ、ご自宅に戻り、ご主人に「今日排卵日なので」と伝えると、「えー、今日って言われても疲れちゃっているしさ、無理だよ」と言われてしまい、涙する方もいらっしゃいます。確かにお仕事もあるので、難しいこともあるかと思いますが、そこは夫婦二人で協力しあってほしいと思います。
今、不妊に悩んでいるカップルは6組に1組と言われています。しかも不妊症の割合は世界平均9%ですが、日本は16%と言われています。もし、不妊ではないかと悩んでいらっしゃるのなら不妊治療専門のクリニックを受診していただくことをおすすめします。 検査や治療のなかで、今まで知らなかったこと、知りたくなかったこと、言われたくなかったことなどいろいろあるかもしれません。それでもいつかそのお時間がお二人にとって、かけがえのない時間になるようにまずはお互いのお気持ちを伝え合いながら、そして、思いやりながら、今後のお時間を過ごしていただきたいと思います。
最後に2つお願いがあります。赤ちゃんを望んでいるなら、タバコをお吸いになっている方は今すぐやめてください。女性は卵管が悪くなったり閉経が早まることもあります。赤ちゃんが女の子だった場合、その子の卵胞の数にも影響します。また喫煙は精子に大きなダメージを与えます。
そして、女性には葉酸をぜひお取りいただきたいです。妊娠を望んでいるときから妊娠3カ月までです。アボカドだと1日6個くらい、アスパラだと13本くらいです。さすがに毎日食べるわけにはいかないので、厚生労働省からも葉酸のサプリメントは推奨されています。まずは、できることから妊活を始めてみましょう。





松永久美江 看護師長 (医療法人 愛慈会 松本レディースクリニック)

平成13年1月より松本レディースクリニックに勤務。現在、看護師長、体外受精コーディネーター、不妊カウンセラーとして日々患者様の心に寄り添うケアを心がけて診療に携わっている。看護師、助産師の資格あり。




 







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