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初めての人もこれを読めば安心! 徳岡先生の不妊治療AtoZ (2)

コラム 不妊治療

初めての人もこれを読めば安心! 徳岡先生の不妊治療AtoZ (2)

不妊の原因がわからないといわれた時、女性の年齢によって治療方法は変わってくるのでしょうか。妊娠に近づくための年代による治療法の違いと理由について、とくおかレディースクリニックの徳岡晋先生に詳しくお聞きしました。

2017.5.23

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Lesson2 実際の治療はどんなことから始めるの?


徳岡 晋 先生(とくおかレディースクリニック)





検査で特に問題がなければタイミング法からスタート


 


前回は治療の前に行う基本検査についてご説明しました。2回目の今回は、一般不妊治療といわれるタイミング法、人工授精についてお話しします。
 基本検査で特に大きな問題が見つからなければ、治療は排卵日に合わせて性交渉をもつタイミング法から始めていきます。排卵日の予測は主に経腟超音波検査による卵胞計測で行います。28日周期の人であれば、生理開始から9~11日目頃に来院してもらい、その時の卵胞の大きさで排卵日を予測します。この時点で予測できるほど大きくなっていないケースもあり、その場合はさらに2~3日後に再度来院していただき、計測します。排卵日が予測できても排卵時間まで予測するのは難しいので、チャンスを逃さないためにその日だけではなく、2日間続けてとか、1日おきで2日間など何回かタイミングをとるように指導しています。
 専門クリニックを訪れる前に、市販の排卵検査薬を使って排卵日を予測していたという方もいらっしゃるでしょう。検査薬は尿中のLHというホルモンを計測して排卵を知ろうとする薬です。卵胞が育ってくると脳がLHを放出し始め、放出量がピークに達しLHサージが起こると、その24~48時間後に排卵が起こるとされています。ですので、検査薬がプラスに出たのを見てタイミングをとると、排卵に合わせられるだろうという仕組みになっています。
 当院でも以前は尿中LHを計測していましたが、検査薬の反応は同じようにうっすら出ていても、卵胞の大きさは人によって違っていました。そうなると、どこで排卵するのかが予測しづらいので、今は基本的に卵胞計測のみで予測を行っています。ただし、LHを見たい場合、たとえば卵胞が排卵していないかしたかのギリギリの大きさになっている時などは、血液検査でLHを測ることにしています。その場合はLH単独ではなく、エストロゲンやプロゲステロンの値と合わせてみて、状態を把握します。
 これまでもご自分たちで、またはクリニックに通いながらタイミングをとって、何度もトライしてきたという方の場合、妊娠率を上げるための一歩進んだ治療として、ご相談のうえで、クロミッド®などの飲み薬や注射などの排卵誘発剤を使いながらタイミングをとっていただくこともあります。


2~3回で妊娠しない時は人工授精へステップアップ


 


排卵日がしっかり予測できているのに、タイミングをとっても妊娠が成立しない場合は、次のステップに進みます。一般的にはタイミング法を5~6回試してからというケースが多いようですが、当院のような専門クリニックに来られる方は、来院前からご自分たちなりにタイミングをとってこられた方が多くいらっしゃいます。それで妊娠にいたっていないわけですから、ここでは2~3回で結果が出なければ人工授精をおすすめしています。また、タイミング法ではヒューナーテストを行いますが、その結果が2回続けて悪い場合はタイミング法での妊娠が期待できないので人工授精に進みます。
 人工授精は、予測した排卵日に合わせて精子を細い管で子宮内に注入する方法です。精子はクリニック内で採精するか、ご主人が仕事の都合等で来られない場合は、当日の朝、採精したものを奥様にお持ちいただきます。精子を洗浄・濃縮し、細いカテーテルで子宮口から5~6㎝、子宮底に当たる手前くらいのところに注入します。採精のための禁欲期間は一般的に2~5日が望ましいといわれていますが、遠心分離して濃縮しますので、あまり気にする必要はないと思います。
 人工授精は痛みがあるのではないかと心配される方もいますが、管はとても細いので、痛みはありません。子宮の屈曲が強く、チューブが入りにくい人の場合は少し硬いチューブを使いますが、ほとんど痛みはありません。


一般不妊治療での妊娠率は若い方で15%程度


 


当院に来られる方の妊娠率は、タイミング法で2~7%、人工授精で5~15%くらいです。お若い方で、今まではタイミングが合っていなかっただけの方ですとか、精子がうまく子宮に届いていなかっただけという方は、タイミング法あるいは人工授精を1~2回トライすれば妊娠されます。人工授精での累積妊娠率は4回目以降はほとんど増えなくなっています。人工授精からさらに次のステップに進む目安は3~6回ですが、それは年齢やAMH(抗ミュラー管ホルモン)の値によって変わってきます。特にAMHの値から卵巣年齢が高いとわかれば、1~2回、あるいは人工授精を飛ばして体外受精に進んだほうがいいケースもあります。そのような方が人工授精を続けるのは、妊娠率を下げる大きな要因の一つになると考えています。
 一人ひとり状況は違いますので、治療の進め方も千差万別です。担当の医師とよく相談しながらステップアップを考えていかれるといいと思います。

 





不妊治療の基本検査のまとめ


タイミング法は超音波での卵胞計測で排卵日を予測。
タイミングは3回、人工授精は多くて6回までが目安。
年齢やAMHの値をみながら次のステップを考える。



 



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お話を伺った先生のご紹介





徳岡 晋 先生(とくおかレディースクリニック)


防衛医科大学校卒業。同校産婦人科学講座入局。自衛隊中央病院産婦人科勤務後、防衛医科大学校医学研究科に入学し、学位(医学博士)取得。2005年、とくおかレディースクリニックを開設。「2月の東京マラソンに合わせてランニングを再開しようと思っていたけど、未だ実行できていないんです」と苦笑いの先生。4月は気持ちも新たに切り替わる時。今度こそ再スタートを切ると気を引き締められているご様子です。


≫ とくおかレディースクリニック



出典:女性のための健康生活マガジン jineko vol.34 2017 Summer
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