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AMHが低く、FSHは高め。卵胞も1つしか育っていません

コラム 不妊治療

AMHが低く、FSHは高め。卵胞も1つしか育っていません

2017夏号_p62

2017.5.21

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AMHが低く、FSHは高め。卵胞も1つしか育っていません


岡 親弘 先生(東京HARTクリニック)







相談者:ゆうこさん(34歳)


低AMH、高FSH、片側卵管閉塞です


 
34歳でタイミング法で半年間治療し、今月から体外受精を始めることにしたのですが、その際にAMH値が1.0ng/mlしかないことを知りました。アンタゴニスト法で治療することをすすめられ、毎日注射と内服薬を飲んでいたのですが、卵胞が1つしか育っておらず、FSH値も29mIU/mlあり、採卵中止となりました。ネットで調べると普通の人は卵胞が20個とかできていて、採卵もそのくらいの数が採れるというのを見てショックを受けています。先生に聞いたら「毎回1つのこともあるけれどやるしかない」とのことでした。私は体外受精でも妊娠することは難しいのでしょうか。とても自分が情けなく、悲しくてたまらないです。



 



34歳でAMHが1.0 ng/mlしかないということですが、その数値でも妊娠の可能性はありますか?


AMH(抗ミュラー管ホルモン)は卵巣に残っている原始卵胞の数を知る目安になると考えられています。34歳で1.0 ng/mlは確かに低めの数値ですが、年齢的にはまだお若いので、出てくる卵子にはいいものがあると思います。44歳で1.0 ng/mlだったら採れる卵子が少なくなってくるのに加え、採卵できても染色体異常などが増えてくるので、妊娠・出産率は下がってしまうかもしれません。しかし、34歳なら質のいい卵子がちゃんと採れるはず。工夫して採っていけば、0.5 ng/mlでも何とかなるはずです。


では、AMH低値については心配ないということですね。


少し気になるのは卵胞が1個しか育っていなかったり、FSHが29 mIU/mlまで上がったということです。34歳でAMHが1.0 ng/mlあったら、そこまでの状況にはなりにくいと思うんですね。


もしかしたら背景に子宮内膜症などの病気があるのかもしれません。たとえばチョコレート嚢腫があると血流が悪くなるので、刺激をしてもなかなか反応しなかったり、卵胞が増えてもそれは炎症性のもので、中に良い卵子が入っていなかったり、空っぽだったりというケースが増えてきます。そのへんの検査はされているのでしょうか。


背景に何もなければゆうこさんに合った治療を行えば妊娠・出産の可能性はあるので、悲観することはないと思います。


では、どのような方法で進めていけばいいのでしょうか。


AMHが1.0 ng/mlだったら、7個くらい採卵していくのが目安になってくるでしょう。まず、月経が始まってから2~3日目にエコーで前胞状卵胞が何個見えるか確認します。5個以上見えたら、その時に注射を打って育てていく。


できるだけ卵子の数を確保したいということなら、Duo Stimulationという方法もあります(当院ホームページ参照)。採卵から5日後くらいにまた卵胞が育ちやすい時期が来るので、そこからまた刺激を始めれば1回目と同じようにいくつか卵子が採れるはずです。たとえば6個×2回で12個確保できれば、妊娠のチャンスはぐんと上がりますよね。


また、FSH値が高い周期は反応が悪い周期だと考えてください。29 mIU/mlもあるのにクロミッド®を飲んだら、さらにFSH値が40、50と上がってしまうので、刺激は行わず、タイミング法や人工授精で臨んだほうがいいでしょう。あせって無理をしてしまうと、逆に卵胞はうまく育ってくれません。


体外受精はまだ1回目とのこと。ゆうこさんのようなケースは1周期で結果を出すのは難しいかもしれませんが、半年程度のスパンでみて、いい周期を見つけて採卵すれば、妊娠のチャンスは十分あると思います。お一人ひとり条件は違うので、ネットの情報に振り回されず、前向きに今後の治療に臨んでいただきたいと思います。




岡先生より まとめ


●卵巣の機能が低い場合、背景に子宮内膜症が隠れていることも。
●前胞状卵胞が5個以上見えた時にうまく刺激していけば、チャンスは十分あります。



 



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お話を伺った先生のご紹介





岡 親弘 先生(東京HARTクリニック)


慶應義塾大学医学部卒業。その後、同大学産婦人科に入局。不妊症・不育症の研究治療を行い、「ローズレディースクリニック等々力」院長を経て、2000年に不妊症専門クリニック「東京HARTクリニック」を開院。2005年アメリカ生殖医学会にて、ヒト胚盤胞のガラス化保存法とASの有効性についてHARTグループとして発表し、日本人で初めて表彰される。いきつけの居酒屋では、若い世代の人とも積極的に交流を持つという岡先生。その時に黙ってスマホをいじっているカップルを見ると、「もっとお互い目を合わせて語り合えばいいのに」と不思議に思うとか。


≫ 東京HARTクリニック


出典:女性のための健康生活マガジン jineko vol.34 2017 Summer
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