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コラム   >   不妊治療の広場   >   その他   >   子宮腺筋症の 診断にもう妊娠できないのかなと 心のどこかで思っています

子宮腺筋症の 診断にもう妊娠できないのかなと 心のどこかで思っています

子宮腺筋症の診断にもう妊娠できないのかなと心のどこかで思っています

田中 紀子 先生(田村秀子婦人科医院)

 

子宮筋腫と比べて完治が難しいとされる子宮腺筋症との診断。今後どのような気持ちで不妊治療と向き合うべきか、田村秀子婦人科医院の田中紀子先生に伺いました。

相談者:かりんさん(40歳)

子宮腺筋症になったら妊娠できない(絶望的)

先月、初IVF-ETに撃沈しました。子宮内膜症の既往歴があり、最近、下腹部痛が強いため、CA125の検査を受けたところ、数値がかなり高く子宮内膜症が進行していると言われました。エコーで診ると子宮も肥大しているため、子宮腺筋症になっていると診断されました。不妊治療より先に根治手術をしたいと話すと、「子宮全摘出しかありません」と言われました。不妊治療を続けるのなら、ホルモン療法で半年間は月経を止める治療しかないとのこと。今期は体外受精の影響で排卵のリズムが狂ってしまっているので様子を見ることになりました。今まで3年間、タイミング療法や人工授精を繰り返すたびに打ってきた排卵誘発剤の副作用がこんな結果となってしまったのか? 100%医者任せで治療をしてきたことを後悔しています。今後どのようにすればよいでしょうか?

 

子宮腺筋症と診断 もう妊娠は絶望的?

タイミング療法や人工授精などの一般不妊治療の後、初めての体外受精にされたとのこと。おそらく40歳という年齢を境に、思い切って体外受精の治療へと進まれたのでしょう。

今回、子宮腺筋症と初めて診断され、これまでの治療のことも含め、いろいろな思いが一気にきてしまったのでしょうね。でも、子宮腺筋症は妊娠できない病気ではありませんよ。2011〜2012年に日本産科婦人科学会の行った調査で、子宮腺筋症を合併している不妊症の方の40%程度は、ホルモン治療や手術療法なしで妊娠に至ったと報告されています。

妊娠のメカニズムを思い出してみると、卵胞の発育、排卵、着床と、これらのプロセスにおいて、すべての条件を満たして初めて成立するのが妊娠です。子宮内膜症や子宮腺筋症は、これらのプロセスによくない影響を及ぼしている可能性はありますが、今回体外受精にすすまれたことによって、あらたな対処方法がみつかってくるかもしれません。ご存知の通り体外受精は、卵子を体の外に取り出し、精子とあわせて受精をさせ、そして受精卵を培養器で育て、子宮内に移植する(胚移植)、いくつかのステップから成り立っています。これらの過程で、卵子の質や受精の状況、受精卵の発育状態など、これまでのタイミングや人工授精の治療ではわからなかったことをみることができます。

今はまだ気持ちを切り替えることが難しい時期かもしれませんが、今回、せっかく思い切って体外受精へと進まれました。気持ちを少し前にもっていってみてくださいね。

子宮内膜症と子宮腺筋症の違いは? どんな治療法がありますか?

子宮内膜症とは、子宮内膜と似た組織が、子宮の内膜以外にできる婦人科の病気で、生殖年齢の女性のおよそ10%に発生し、月経痛や腰痛などの痛みおよび不妊が主な症状です。

女性ホルモン(エストロゲン)の影響を大きく受け、子宮の内膜以外の場所で、月経周期とともに増殖し、出血を伴って剥離を繰り返します。一番よく知られているのが卵巣の中にできるチョコレート嚢胞、また周囲の子宮や卵管、腸の表面、腹膜などにも発生し、おなかの中で癒着を起こします。

一方、子宮内膜症が子宮の筋層内にできたものを、特に子宮腺筋症と呼びます。

子宮腺筋症とは、子宮の筋層の中に子宮内膜と似た組織が発生し、子宮の筋層が全体的に厚くなり、月経痛や過多月経を起こします。半数に子宮筋腫、約1割に子宮内膜症を合併しています。

子宮腺筋症は、子宮筋腫のように“こぶ”ができるのではなく、子宮筋層全体が厚くなることが多く(腺筋症でもこぶ状にできる場合もありますが)、正常の子宮の筋層との境界がわかりにくいため、超音波検査だけではなかなか診断がつきにくいこともあり、その場合MRI検査を行えば位置や範囲がもう少しはっきりするとは思います。

子宮腺筋症の治療には、ホルモン剤による治療と、外科的な治療があります。ホルモン治療は、子宮内膜症の治療と同様、女性ホルモン(エストロゲン)を抑え、排卵や月経を止めてしまう治療なので、もともと不妊治療と相反するものなのです。手術については、子宮筋腫の核出術のように、こぶ状の病変の切除のように簡単にはいきません。検査でもわかるように、子宮腺筋症は子宮筋層にびまん性に広がっていることが多いため、手術ですべて取り除くということは難しいのです。子宮腺筋症の縮小手術を行う施設もありますが、まだまだごく一部です。  子宮内膜症や子宮腺筋症を持っている方の不妊治療は、妊孕能(妊娠する能力)を維持しつつすすめないといけないので、治療の選択にはとても苦心します。妊娠するための条件を考えるのなら、よほど子宮腺筋症の病変が大きくて大変な状態でない限りは、すぐの手術適応とはなりません。主治医が必要と思えば、敢えてホルモン治療を間にとりいれながら、不妊治療をすすめていくこともありますよ。

今までの不妊治療がすべてムダなわけではない

きっとこの3年間、信頼関係のある先生とともに、タイミング療法や人工授精など、一つ一つ治療をすすめてこられたのですよね。その結果、ようやく体外受精のステップに入ったところです。

子宮内膜症も子宮腺筋症も、女性ホルモンの影響を強く受けるため、根治させるものではなく、上手に付き合って治療を進めていくもの。特に不妊治療、すなわち妊娠を目指すための治療の過程では、排卵誘発剤などの投与でエストロゲンの作用を強め、さらに症状を進ませてしまうこともあるでしょう。

不妊治療は順番が決まっているものではありません。それぞれの方の状況に応じて、医師と二人三脚ですすめていくものだと思います。これまであなたを診てきた主治医も、まずは妊娠を先に見据えて治療をしてきて、今この時期に体外受精を選ばれたのではないでしょうか。  そういう意味でも、症状が強い場合にはホルモン治療を優先する、または先に採卵しておいて、ホルモン治療の後に治療を再開するなど、時間を有効に使いながらすすめていく治療を一つの選択肢にするのもいいのではないでしょうか。

体外受精に進んで、今回新たに得られた情報もあるはず。新たなフィールドであなたの挑戦が始まったばかり。ぜひ主治医と相談のうえで、これからもチャレンジしていただきたいです。

 

田中先生より まとめ

次のステップのためにできることを一つずつ進めて行きましょう

 

 

 


[無料]気軽にご相談ください

 

お話を伺った先生のご紹介

田中 紀子 先生(田村秀子婦人科医院)

京都府立医科大学医学部大学院修了。医学博士、産婦人科認定医。大学院と2年間のアメリカ留学で、子宮内膜症や生殖医療の研究に携わり、扇町ARTレディースクリニック勤務などを経て、2008年3月より「田村秀子婦人科医院」勤務。生殖医療の現場に長年携わった経験から、近年は女性の心と体の健康をサポートする女性医療への関心が高まり、学会、勉強会などに積極的に参加。小学生2人と年長児1人の3児の母として、公私ともに多忙を極める毎日。O型・やぎ座。

≫ 田村秀子婦人科医院

 

出典:女性のための健康生活マガジン jineko vol.34 2017 Summer
≫ 掲載記事一覧はこちら

 

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