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コラム   >   不妊治療の広場   >   その他   >   田村秀子先生の心の玉手箱 Vol.32

田村秀子先生の心の玉手箱 Vol.32

田村秀子先生の心の玉手箱 Vol.32

田村 秀子 先生(田村秀子婦人科医院)

毎月頑張っても結果が出ず経済的にも精神的にもつらく"やめ時"が頭をよぎる日々。そろそろ子どもがいない生活も視野に入れるべき? 田秀子先生にお話を伺いました。

投稿者:サカノリ0508さん(会社員 / 37歳)

皆さんが前向きに頑張られているなか、ネガティブな話題ですみません。6回目の採卵が終わりましたが、7個採れて受精したのがたった1個でした。これから胚盤胞まで育てます。私はAMHが0.26ng/ml、夫は乏精子症で数は500万/ml程度です。12月からほぼ毎月クロミッドⓇ+HMGで採卵を重ねていますが結果が出ません。金銭的にも精神的にも厳しいです。結果が出ないので、子どものいない生活も視野に入れないといけないと思っていますが、皆さんならどのくらいで諦めようとお考えになりますか?

 

投稿に寄せられたコメント

投稿者:まるこさん(主婦 / 38歳)

主治医とか第三者が無理と言っても、何かを諦める基準って人それぞれで主さんが本当にもう無理って思わない限り後悔すると思います。これ以上お金を使うなら子供は諦める。これ以上辛い思いするなら子供は諦める。と思った時が終わりだと思います。未だ三十代だし子供のいない生活を視野に入れ夫婦だけの楽しい生活も想像しつつサカノリ0508さん夫婦がもう終わりにしたいと思う日まで頑張った方が良いと思います。

投稿者:すずちゃんさん(看護師 / 41歳 )

諦めどき…難しいですよね…。金銭的、精神的にも治療年月が経つほど辛くなると思います。私はサカノリ0508さんとは状況は違いますが、43歳の誕生日までと主人と決めました。

 

治療の繰り返しで張りつめた心と体を休ませてあげましょう

採卵、移植、妊娠判定を繰り返し、2週間後には次の採卵…。あせって治療を続けても、いったんリセットするはずの心と体はすぐにはもどりません。心身ともに張りつめた状態をずっと維持し続けるのは、とても大変なことだと思います。そのうえ結果が出ない状態が毎月続くと、そのたびに“自分の中で消化しきれない何か”を溜め込んでいるようなもの。それが積み重なって、何も受け入れられなくなっているのが、今の状態だと思います。

たとえばサッカー選手やマラソン選手が次の試合に向けて体力や精神力、モチベーションを維持するためにインターバルが必要なように、治療にも時にはインターバルが必要です。この半年間、毎月張りつめた状態でお金も使ってきたのです。3カ月ほどゆっくりして、治療を離れてみてはいかがでしょう。「離れる=諦める」ではありません。卵巣とご自身を少し休ませてあげるのです。

なぜ治療を諦めようとしていらっしゃるのか。それは妊娠もしないし、お金も使い果たしたし、疲れているし、だから…ということでしょう? お金は休んでいる間に貯めることができます。そうすれば「ゆとりが出てきたから、もう1回頑張ろう」となるかもしれません。

一番大切なのは子どもが欲しいというパッションがあるかどうか

それよりも大切なのは、子どもが欲しいというパッションをもち続けられるかどうかです。パッションが消えた時、それが治療をやめる時だと思います。パッションが消えるというのは、心の準備ができていないのにいきなりやめるのではなく、「もういいかな」「もう納得できたかな」とフェードアウトしていくような感じです。いずれ閉経した時、「あの時、精神的にも経済的にも大変だったけど頑張ったよね(笑)」と、口には出さなくても夫婦で不妊治療のことを笑って振り返れる。そんなふうになって欲しいと思います。

そのためには、AMHが低いこと、ご主人の精子が少ないことを考えると、科学的な妊娠率が決して高くないという事実を甘受できるよう、心の準備をしておいたほうがいいのかもしれません。そのうえで、それでも先が見えずに「こんな思いはしたくない」「こんな治療はしたくない」という思いがパッションよりも強いのであれば、“やめ時”なのかもしれません。けれども、そこできっぱりやめられずに、しばらくは心が揺れ動くこともあるでしょう。そんな時は体外受精にこだわらず、排卵のタイミングだけ診てもらうなどして治療をつないでいけばいいと思います。そして「よし、頑張ろう!」と思えた時、またチャレンジすればいいのです。

子どもがいない生活を視野に入れることは夫婦として当然です

子どもがいてもいなくても大きな柱は夫婦です。そもそも子どもがいても、いずれは夫婦だけの生活になります。子どもがいない生活を視野に入れるのは当然のことで、子どもをもつ、もたないではなく、夫婦としてのライフスタイルなのです。そこにたまたま子どもが付随するだけのこと。子どもを育てるために結婚したわけでも、夫婦になったわけでもないのです。  ですから、これからも夫婦二人の生活を土台としてしっかり築きあげていきましょうね。土台があれば、子どもがいてもいなくてもその夫婦はずっとうまくいきます。そこに子どもがいるかいないかは、ゆくゆくは老人ホームに入るのか、同居するのか、そこに孫がいるのか、いないかだけの話なのです。  先ほどもお話しした“治療のやめ時”については、“やめ時”を考えるからつらくなるのだと思います。人の気持ちや価値観は日々変化して、いずれは消えていくのです。限りがあるから美しいとはよくいったもので、自然の流れはうまくできていると思います。

 

 


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先生のご紹介

田村 秀子 先生(田村秀子婦人科医院)

京都府立医科大学卒業。同大学院修了後、京都第一赤十字病院に勤務。1991年、自ら不妊治療をして双子を出産したのを機に、義父の経営する田村産婦人科医院に勤め、1995年に不妊部門の現クリニックを開設。7月に京都で開催された「性教育指導セミナー全国大会」。京都府産婦人科医会の会長を務める秀子先生も参加し、府民公開講座では「15歳以下の妊娠・出産をゼロにするために」というテーマでロールプレイにセーラー服姿で登場! 妊娠したやんちゃな不登校生役を演じられたそう。

≫ 田村秀子婦人科医院

出典:女性のための健康生活マガジン jineko vol.35 2017 Autumn
≫ 掲載記事一覧はこちら

 

 

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