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コラム   >   不妊治療の広場   >   その他   >   なかなか移植まで至りません。もう治療を諦めるべき?

なかなか移植まで至りません。もう治療を諦めるべき?

なかなか移植まで至りません。もう治療を諦めるべき?

永井 泰 先生(永井マザーズホスピタル)

相談者:ちよさん(35歳)からの相談

治療のやめ時といわれてしまいました

今まで体外受精を5回しましたが、受精したのは1個だけで、それも胚盤胞までいかず移植できたことがありません。9カ月前に嚢腫が邪魔をして採卵できなくなり、嚢腫、筋腫、癒着剥離の手術を実施。癒着が広範囲で、先生からは「自然妊娠も可能性はあるが、体外受精がいいでしょう」といわれました。今年2月の採卵では受精せず。先日、採卵無麻酔の病院に転院して診てもらったところ、嚢腫と筋腫、癒着がまたできていて、AMHの値は0.18ng/ml、FSHは37mIU/mlでした。先生からは「嚢腫の隙間から見える卵子は採れないことはないが激痛で、そんな思いをして採ったところで良い卵子とは思えない。治療のやめ時でしょう。あと1~2年早かったら」といわれてしまいました。全身麻酔なら採卵できると思いますが、本当にもうやめ時なのでしょうか。

 

9カ月前に子宮内膜症や子宮筋腫などの手術を受けたのにもかかわらず、また再発をしたということです。

なかには手術をしても半年くらいで再発してしまう人もいます。特に多発筋腫の人はまたすぐにできてしまうことが多いようですね。筋層内筋腫でも子宮内膜を圧迫しているものや粘膜筋腫だと着床に影響することがあるので、そのような影響が考えられるのなら二度目の手術に臨むという選択もあるかと思います。

受精率が低く、胚盤胞までいかないというのは、やはり卵子の質が悪いからなのでしょうか。

確率は低いけれど一応受精はして、でも、その後がうまくいかないということは、やはり卵子の質が悪いことが考えられます。AMH(抗ミュラー管ホルモン)の値が低いのが気になりますね。これは卵巣の予備能、残っている卵子の数を表している数値といわれ、卵子の質とは関連していませんが、低いとそれだけ妊娠のチャンスも少なくなってきているということです。

さらに気になるのがFSHの数値。年齢の割に極端に高く、閉経に近い数値です。これは子宮の疾患があるから上がってしまったということではなく、もともと卵巣の働きが悪く、早発閉経になるような傾向があったのではないでしょうか。

確かに厳しい状態ですが、AMH値0.1以下の方でも妊娠している方はいらっしゃいます。FSHに関しても、カウフマン療法などでFSHを一度下げて安定させてから排卵誘発を行えば、妊娠するチャンスはあると思います。

治療する際のポイントなどはありますか。

これまでどのような方法をとってきたのかわかりませんが、もし同じような形で卵子をつくっていたのなら、排卵誘発の方法を変えると胚盤胞までいく可能性が出てくるかもしれません。

卵子をたくさん採ることを目指すのではなく、このような状況の方は低刺激でいいものが出てくるのを待つという方法もあるかと思います。ただ、採卵は急いだほうがいいでしょう。採れるうちに卵子を確保して受精卵を凍結し、再手術に臨むならその後に受けることを考えます。移植は急ぐことはありませんから。とにかく採卵を優先したほうがいいと思います。

「嚢腫が邪魔をして採卵しにくい」ということについてはどう思われますか。

これは無麻酔だから採りにくいということですよね。それなら、麻酔をして採卵をすれば問題ないでしょう。施設によって考え方が異なるかもしれませんが、ちよさんのような症例にも対応できる施設はあると思います。いろいろ問題があってハードルは高めではありますが、できることはまだあるはず。ここで諦めることなく、前向きに治療に臨んでいただきたいですね。

永井生より まとめ

●排卵誘発法を変えてみると、胚盤胞になる卵子が採れる可能性も。
●AMH低値、FSH高値の人は採卵を優先して、早めに卵子の確保を。

 


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お話を伺った先生のご紹介

永井 泰 先生(永井マザーズホスピタル)

東京医科大学医学部卒業。産婦人科・麻酔科認定医。1989年、埼玉県三郷市に開院。さらに環境を整え、より良い医療を提供するために、2015年に診療所から病院へ改組。産科、婦人科をはじめ、不妊治療、形成・美容外科、小児科と、女性が生涯関わる総合的な医療を、温かく、優しい環境の中で提供。クリスマスに開催予定の院内コンサートを企画中。俳優さんが朗読する童謡に合わせて行うピアノやバイオリンの生演奏は以前開催した時も大好評で、小さな子どもたちも夢中になって聴いていたとか。

≫ 永井マザーズホスピタル

 

出典:女性のための健康生活マガジン jineko vol.36 2017 Winter
≫ 掲載記事一覧はこちら

 


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