妊婦さんであれば誰もが経験する可能性のある吸引分娩。経産婦やこれから出産を控えた女性なら知っている言葉かもしれませんが、具体的にどんな場合にどのように行うかご存知でしょうか?今回はそんな吸引分娩について、医師に詳しく解説いただきました!
どんな方法?
吸引分娩とは、お産時に子宮口が全開であるにも関わらず、赤ちゃんがなかなか出てきてくれない場合に行われる処置のこと。方法は、シリコンのカップを赤ちゃんの頭に付け、吸引圧をかけて体全体を引き出していきます。
リスクはないの?
自然分娩とは異なり、外部からの強い力で胎児を引き出すので、まれに、何らかの影響が出ることも考えられます。これから出産を控えている人にとっては、不安要素になってしまうかもしれませんが、イザという時のために正しい知識を身につけておきましょう
<母体への影響>
強引に引き出そうとすることで、会陰裂傷や腟壁裂傷、頚管裂傷、尿道膀胱裂傷などが考えられます。
<胎児への影響>
頭に無理な力が加わることで、頭の形の変形や頭部の血腫、帽状腱膜下出血、産瘤が大きくなる、頭蓋内出血などが考えられます。
赤ちゃんが出てこないのは、なぜ?
<原因は主に2つ>
1. 赤ちゃんの回旋がうまくいかない
2. 陣痛が弱くなってしまった
このように、なかなか分娩できない状態が続くと疲労が蓄積されてしまい、いきむことさえもままならない状態に。すると、さらに分娩に時間がかかるという悪循環に...。さらに、この状態では赤ちゃんへの負担も大。次第に胎児の心拍数が低下してしまう、といったことも。
吸引分娩に切り替えるタイミングとは
子宮口が全開で胎児も十分に下降しているにも関わらず、なかなか分娩できないとき。また、母体の衰弱と胎児の心拍数低下が見られ、医師が危険と判断した場合、お産を助ける処置として「吸引分娩」が行われます。
ただし、胎児が母体の骨盤に対して大きすぎて、物理的に胎児が母体の骨盤を通過するのが厳しい場合は、帝王切開になるケースもあります。
吸引分娩がうまくいかなかったら...
鉗子分娩(かんしぶんべん)といって、さらに強い吸引力が期待できる鉗子を使った分娩に移行する場合があります。それでも分娩できないと判断した場合、帝王切開になるといった流れになりますが、最近は、鉗子分娩を行わずに、帝王切開に切り替えることも多くなりました。
医師からのアドバイス
誰もが、その可能性をはらんでいる吸引分娩。分娩時は母子の命を最優先にするため、なかなか思い通りの出産にはならないこともります。そういった、イザというときに焦らないためにも、あらかじめ担当医師とよく相談をし、正しい選択が、できる状態にしておくとよいですね。
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