「油」の常識が変わった!体にいい油VS.悪い油(その2)
コラム くらし
「油」の常識が変わった!体にいい油VS.悪い油(その2)
前半では主に体に悪い油についてご紹介しました。(⇒「油」の常識が変わった!体にいい油VS.悪い油(その1)はこちら)
では、反対に体にいい油とはどのような油でしょう?
まず、油を語るとき、避けて通れないのが種類のこと。油脂はすべて「脂肪酸」からできていて、大きく2種類に分けられます。
●飽和脂肪酸(脂):バターや肉類の脂などに多く含まれ、常温で固形、温度が高くなると液状に。
●不飽和脂肪酸(油):植物油、魚の脂などに多く含まれ、常温で液状。
前回ご紹介したトランス脂肪酸(できるだけ避けたい悪い油)は、このどちらにも含まれません。これまで「飽和脂肪酸」は動物性だから肥満やコレステロール増加の問題が心配されていましたが、最近はコレステロールは悪者ではないとされ、摂ってもよい油と言われます。また、動物性のものだけでなく、話題のココナッツオイルなど熱帯性の植物油にも多く含まれています。
「不飽和脂肪酸」のほうは、脂肪酸の組成によって以下のように分類されます。
●一価不飽和脂肪酸(二重結合が1つ):「オメガ9」系脂肪酸
オレイン酸のことで、オリーブオイル、キャノーラ油、菜種油、ごま油(オメガ9とオメガ6が半々程度)など。
●多価不飽和脂肪酸(二重結合が2つ以上): 「オメガ6」系脂肪酸、「オメガ3」系脂肪酸
「オメガ6」=リノール酸(サラダ油、ごま油(オメガ9とオメガ6が半々程度)、紅花油、コーン油、大豆油など)
「オメガ3」=DHA、EPA、αリノレン酸など(青魚の油、エゴマ油、アマニ油、シソ油、インカインチオイルなど)
覚えておきたいのが、オメガ3系脂肪酸とオメガ6系脂肪酸。この2系統は、体内で合成することができないため「必須脂肪酸」と呼ばれ、積極的に食品から摂りたい油です。
さて。1日に必要な油の量は約大さじ4程度。これをどの種類の油で摂るのかがカギになります。
理想的なバランスは「飽和脂肪酸:不飽和(一価):不飽和(多価)=3:4:3」と言われています。バターや肉の脂も3割は必要。そして4割は、酸化しにくく日常的に摂りやすいオリーブオイルなどのオレイン酸ということ。
このところよく言われるのが残り3割の多価脂肪酸=必須脂肪酸、オメガ3とオメガ6の割合です。「オメガ3系:オメガ6系=1:4」が理想と言われますが、残念なことに日本人はオメガ6の摂取量が非常に多く1:40、人によってはなんと1:40にも及ぶことがあるそう。考えてみても、身のまわりにある油の多くがオメガ6ですね!
何が問題かと言えば、2つの必須脂肪酸は体内で全く正反対の働きをします。オメガ6にはアレルギー促進や炎症促進などの作用があり、多く取り過ぎるとアレルギー症状の悪化や不調の原因のひとつになると言われているのです。反対にオメガ3には、アレルギー抑制、炎症抑制、血栓抑制と逆の働きがあります。オメガ3が最近、体にいい油として話題に上るのはそのため。
揚げ物やスナック菓子、ファストフードなどを控え、良質なオメガ3の油を摂ることを心がけたいもの。脂質の摂取バランスを見直しただけで、アトピー性皮膚炎や花粉症が緩和した、という報告も少なくないようです。
オメガ3系の代表は、最近スーパーでも気軽に買えるようになったアマニ油やエゴマ油、シソ油、またインカインチオイルなどですが、摂取量は1日小さじ1程度で厚生労働省の推奨量量はクリア!
ただ、オメガ3は熱に弱く酸化しやすい油なので、加熱調理には向きません。サラダのドレッシングに使ったり、スムージーに混ぜる、加熱調理したものには食べる直前に直接かける...、などの工夫で、より積極的に摂りましょう。
文/蓮見 則子
≫「油」の常識が変わった!体にいい油VS.悪い油(その1)はこちら
■ PR ■