健康を保つために、本当に必要なタンパク質量を知ろう
タンパク質は肉や魚、卵、乳製品、大豆食品などに多く含まれる栄養素。小学校の家庭科で「タンパク質は糖質・脂質とならぶ、生命維持に欠かせない3大栄養素のひとつ。おもに筋肉や血液など、体を作る材料になる」と習った記憶があるという人も多いでしょう。
タンパク質は食物繊維やビタミン・ミネラルに比べると、比較的摂取しやすいと言われますが、忙しい毎日を送っているとついお手軽なご飯、パン、麺を主体にした食事に偏りやすいものですね。改めて振り返ってみると意外と「タンパク質不足だった…!」ということも多いので要注意です。
また、もうひとつ、タンパク質不足に陥りやすい原因のひとつが間違ったダイエット。「カロリーが高くて、太りそう…」と思い込み、優秀なタンパク質源である肉を避けている場合です。
特にタンパク質は筋肉をつくるのに必須。不足すると筋肉が減少し、代謝が悪くなり、実は逆に痩せにくい体になってしまうので、ダイエットには逆効果!また、骨や肌、髪の毛などをつくっているのもタンパク質なので、不足すると肌荒れや抜け毛の原因に。やがては骨の健康にも悪影響を及ぼします。
タンパク質にはその他にも体を正常に保つための機能がたくさんあり、不足するとさまざまなトラブルの原因になります。
◎女性ホルモンをつくる材料が不足して生理不順などの原因に。
◎神経伝達物質が不足して、脳の働きが鈍り、記憶力や思考力が減退。ストレスに弱くなる、気持ちが不安定に。
◎免疫力が低下し、病気になりやすい。
◎体力不足になり、疲れやすい。
それでは、1日にとるべきタンパク質とはどのくらいなのでしょうか?
一般に、成人女性の場合、1日の摂取基準は[体重(kg)×1g]で計算することが多いようです。体重50kgの女性ならタンパク質を50g程度摂取するというのが目安。軽い運動をしている人、意識して筋肉を増やしたい人は、1日に[体重(kg)×1.2g]を推奨されることもあります。
タンパク質は体内でアミノ酸に分解されて血液中に溶け込みますが、蓄えておくことができないため、「こまめに摂取」が基本。1日50gを、一回の食事でまとめてとるのではなく、20g程度ずつ、3食に分けてとることをオススメ。
ただ、過剰摂取が続くと、タンパク質の代謝を行う腎臓機能の負担にもなることもあるため、一般に1日の摂取量の上限は[体重(kg)×2g]と言われています。
適度なタンパク質量を摂取するためには、身近な食品にタンパク質がどのくらい含まれているかを大まかに覚えておくと便利!肉や魚なら手のひらにのるくらいの大きさ(約100g中)に20g程度。卵は1個でおよそ6g、牛乳はコップ一杯でおよそ6g、プレーンヨーグルト100g中3~4g、納豆1パックでおよそ8g、というのが目安になります。
朝食を例に挙げると、ご飯に納豆と卵をかけ、デザートにヨーグルトを食べるとほぼ適量のタンパク質がとれる、という計算になりますね。
もちろん、タンパク質を体内で効率よく消化吸収するためには、タンパク質の代謝に関与するビタミンB群をはじめとするさまざまなビタミン・ミネラルが必要。タンパク質豊富な食品と一緒に、野菜や海藻、きのこなど、いろいろな食品も一緒に食べるのもお忘れなく!
文/瀬戸 由美子
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