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産後のトラブル、 直腸膣ろうって何?

コラム 妊娠・出産

産後のトラブル、 直腸膣ろうって何?

長岡京病院コラム

2016.2.19

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放置すると日常生活に支障も!?直腸膣瘻とは?



直腸膣瘻(ちょくちょうちつろう)は経腟分娩(自然分娩)後に会陰部が損傷し、それが原因で膣と直腸の間に瘻孔(トンネル)ができる病気です。これにより、膣と直腸がつながり、膣からガスや便、便汁などが漏れることがあります。特に、下痢などの便がゆるい時に漏れやすく、その頻度及び程度は損傷の状態により個人差があります。このほか、尿漏れや、排便時や性交時に痛みがある、漏れた便から細菌感染を引き起こし、それがパートナーに感染することもあるなど、放置すると日常生活に支障をきたします。ところが、この病気はまだ広く知られてなく、婦人科と肛門科のどちらを受診すればよいのか迷うなど、誰にも相談できずに悩んでいる患者さんも多いようです。
経腟分娩による会陰裂傷は、軽度であれば縫合により完治しますが、筋肉が切れたり、損傷が直腸にまで及んだ場合、直腸膣瘻を合併することがあります。このほか、がんやがんの手術、炎症性腸疾患が原因で直腸膣瘻になる場合もあります。
治療法は、分娩による会陰裂傷が原因の場合は手術を行い、がんや腸疾患などの病気が原因の場合は、その病気の治療を優先します。
手術方法はいくつかありますが、そのうち、瘻孔を切除し、閉鎖する方法は再発率が高く、人工肛門が必要となる場合もあります。また、手術後の分娩は帝王切開となる場合がほとんどですが、現在の日本ではこの方法で手術を行っている医療施設が多いのが現状です。一方、当院で行っている断裂した会陰体を縫合し、再建する手術法では、人工肛門をつけることなく、約98%の患者さんが治癒しています。実際の手術は、当日朝から絶食となり、腰椎麻酔で、ジャックナイフ体位(うつ伏せでお尻を突き出すような体位)で行います。直腸と膣の間にメスを入れ、丁寧に直腸壁と膣とを奥まで分け、左右に解離した会陰体を見つけて縫合します。非常に繊細な手術ですが、約2時間前後で完了します。膣瘻の状態には個人差がありますが、基本的に同じ手術を行います。この手術法であれば、手術の翌日から食事ができ、通常、術後約7日前後で退院可能です。人工肛門や長期絶食などの負担もなく、術後に再び経腟分娩(自然分娩)した患者さんもいます。そのため、今後、この手術が可能な医療施設が全国に増えていくことが望まれます。





長岡京病院 水黒 知行先生

医療法人総心会/理事長
京都府立医科大学医学部昭和49年卒業医学博士
総心会長岡京病院/院長滋賀医科大学外科学客員講師

≫ 長岡京病院
京都府長岡京市開田4丁目9-10
TEL:075-955-1151




 




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