へその緒が難病治療に役立つ!知っておきたい臍帯血(さいたいけつ)バンク
コラム 妊娠・出産
骨髄移植と同様の効果が期待できる臍帯血治療
臍帯血とはへその緒の中に含まれる血液のことで、約40~100mlの量があります。この血液中には赤血球、白血球、血小板など血液細胞のもとになる造血幹細胞が多く含まれ、臍帯血を利用すれば骨髄移植と同様の治療ができます。臍帯血移植で実績が高いのは、白血病・悪性リンパ腫・多発性骨髄腫・先天性免疫不全症などの血液疾患の治療です。近年この臍帯血を先端医療に利用する取り組みが始まっており、海外では脳障害や免疫系疾患の治療効果も確認されています。現在網膜剥離・パーキンソン病・アルツハイマー病治療などの可能性も見いだされ、研究が進められています。
臍帯血の利点は、体に負担を与えずに採取できることで、細胞が若いため増殖能力や適応力が高く、患者とドナーの抗原が完全に一致していなくても移植可能です。本人の臍帯血が個人保存されていれば、治療が必要になったときに抗原が100%一致するので拒絶反応の心配がいりません。また、兄弟に提供できる可能性もあります。
臍帯血が取れるチャンスは一度だけ!希望者は前もって相談を
臍帯血を採取するにはどうすればよいのでしょうか。臍帯血採取を行っている病院は限定されているので、希望者は指定病院を選ばなくてはなりません。保管場所は第三者への寄付を目的とした公的バンクと、自分や子供用の使用を目的とした民間バンクがあります。公的バンクに提供する場合は無料ですが、個人用バンクの場合は採取後処理センターに搬入され、保管後料金を支払います。料金はバンクにもよりまちまちですが、初期費用約30万円+保管費用1年間1万円くらいが相場です。年数に応じて加算されます。採取の方法は、出産後胎盤がまだ母体内にある時に、臍帯の血管から針で採取します。母体にも赤ちゃんにも痛みはなく、赤ちゃんの経過にも全く影響ありません。
夢のような治療が可能な臍帯血ですが、採取できるチャンスは分娩後のただ一度だけです。万が一の時に備えてとっておきたい!そんな希望がある妊婦さんは、早めに出産病院のリサーチし、担当医との相談をおすすめします。また、私的バンクに預けるのは無理という場合でも、公的バンクに預けて必要としている人に使ってもらったり、先端医療の研究に役立ててもらったりすることも検討してみてはいかがでしょうか。
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