中医学から診た、妊娠しにくい体質とは
ご存知でしたか?卵子は女性の体で常に作り続けているわけではないのです。胎児の時に、卵巣に一生分の卵子の前身である原始卵胞ができ、生まれた時には約200万個になっています。つまり卵子の数は生まれたときから決まっているのです。思春期・生殖年齢頃には約25万個まで減少し、月経ごとに約1000個の卵子が消滅するといわれ、年齢とともに減っていき、あとから増えることはないのです。
ですから妊娠の確率を最大限高める為には「卵巣に残された卵子をいかに若々しく健康な状態にするか」がポイント!
「え!卵子を若々しく健康な状態にするってどういうこと?」と思われる人もいるでしょう。
中医学では女性の卵巣機能は「腎」にコトントロールされていると考えます。前回、女性の体(生命エネルギーの源である「腎」の元気)は28歳をピークに7の倍数で変化する、とお話しましたが、加齢によりこの「腎」の働きが弱まっていくと、卵子を若々しく保ちにくくなり、どうしても妊娠しづらい傾向になるようです。しかし、年齢を重ねても、「腎」の元気を高めることによって、卵巣年齢(腎年齢)を実年齢よりも若く維持することができ、より質の良い卵子の排卵が期待できます。
ところで、「腎」とは何でしょうか。西洋医学で腎臓といえば、体液から不要な物質を膀胱へ運んで、尿として排泄する臓器ですが、中医学の「腎」はその機能だけでなく、生殖や成長、ホルモンの分泌や免疫全般などをつかさどるとされています。
だから、ちょっと大げさですが、妊娠に関しても「腎」の働きが左右すると言えるのです。「腎」の働きが弱まっている方は、「腎」を高める一般の漢方だけではなく、鹿茸、紫河車などの動物性生薬を一緒に服用することで、卵巣機能をより早く高めることができます。
また、卵子は初潮のころから原始卵胞が活発化し、発育卵胞⇒前胞状卵胞⇒胞状卵胞⇒成熟卵胞と約180日かかって成長し、排卵します。つまり、質の良い卵子を育てるには、最低6か月は必要なのです。
「急がば回れ」の卵巣環境づくりということ、覚えておきたいですね。
次回は中医学でいう〝冷え性〟についてお話しします。
株式会社誠心堂薬局代表取締役 西野 裕一先生
株式会社誠心堂薬局代表取締役。 薬剤師・鍼灸師。北里大学薬学部卒。東京医療福祉専門学校鍼灸科卒。中国漢方普及協会会長。日本中医学会評議員。漢方・鍼灸をはじめとする中医学の有用性を啓発・普及させる活動に尽力。著書多数。
≫ 誠心堂薬局
<外部サイト>
店舗で相談してみる
→ http://www.seishin-do.co.jp/rd/