HOME > 不妊治療 > その他 > 3回の化学流産。 このまま移植を続けて 結果が出るのか不安です
HOME > 不妊治療 > その他 > 3回の化学流産。 このまま移植を続けて 結果が出るのか不安です

3回の化学流産。 このまま移植を続けて 結果が出るのか不安です

コラム 不妊治療

3回の化学流産。 このまま移植を続けて 結果が出るのか不安です

2016冬 p60

2016.11.1

あとで読む



3回の化学流産。 このまま移植を続けて 結果が出るのか不安です



相談者:echoさん(40歳)
体外受精の継続について
3回目の胚盤胞移植をして反応はあるものの、hCG数値が低く継続できません。このまま移植を続けて良い結果が出るのか不安です。子宮頸がん検査でHPV感染による異形成があり、経過観察中なのですが影響はありますか? また化学流産でも不育症検査をしたほうがよいですか? ほかの検査や対策など何かアドバイスをお願いいたします。1回目は、移植1週間後hCGは0.6mIU/ml、数日後生理。2回目、移植1週間後hCG 60.2mIU/ml、10日後hCG 660.8mIU/ml胎嚢確認ができず、3日後hCG 1084mIU/mlで胎嚢確認ができませんでした。その後、卵管水腫持ちのため、腹腔鏡手術により両卵管をクリッピング。3回目の移植1週間後hCG 20mIU/mlで4日後、生理のような出血があり数値が下がりました。



 echoさんは、化学流産を3回繰り返されています。不育症検査をしたほうがよいのでしょうか。


奥先生:流産を2回以上繰り返す方を不育症と診断します。化学流産を1回の流産とみなすかどうかは、意見が分かれるところですが、流産を繰り返す方は何か原因が隠れている可能性があります。まずは、不育症検査を受けられることをおすすめします。
染色体異常が3回続いている可能性は否定できません。ちなみに40歳以上の方の受精卵の染色体異常の割合は90%。染色体異常の受精卵は着床しにくく、着床しても流産しやすい傾向があります。さらに、40歳以上の流産率は約40〜50%あります。


 不育症検査には、どのようなものがありますか。


奥先生:いくつか種類がありますが、代表的なのはNK細胞活性、抗リン質抗体、血小板凝集能、プロテインS活性、第12因子などです。さらに、ご夫婦ともに染色体検査を受けられてもいいかもしれません。40歳以上の方の流産原因の約80%は染色体異常で、トリソミー、モノソミーといった染色体の「数の異常」が原因のことが多いようです。しかし、不育症の方の約10%に、ご夫婦のどちらかに転座型という染色体の「構造の異常」が見つかることがあります。学会のガイドラインでは、国内での出生前診断は認められていませんが、転座型の染色体異常で2回以上流産を繰り返す場合は、出生前診断が認められています。受精卵を調べて正常な受精卵を胚移植することによって、流産のリスクを軽減することが可能です。


 子宮頸がん検査でHPV感染による異形成があるそうです。こちらの影響はないのでしょうか。


奥先生:子宮頸がんの異形成とは、子宮頸がんの前段階(前がん病変)のことです。今後、がん化する可能性はありますので、定期的な検査は必要ですが、不妊の直接的な原因ではありません。
いずれにしても早めに不育症検査を受けていただくのがよいでしょう。代表的な不育症検査で約70%の確率で異常が見つかる可能性があります。ただ不育症検査の難しいところは、残りの30%は原因が見つからないこと。すべての方の原因が見つかるわけではありません。さらに、原因が見つかり治療しても、100%妊娠できるとは言い切れない現状もあります。ですが原因が見つかり治療することで、次の流産のリスクを軽減できる可能性はあります。治療方法は原因によって異なりますが、いずれも胚移植の前後から行います。血液系の異常であれば、アスピリンやヘパリン療法、免疫系の異常であれば、ステロイド療法や漢方薬による治療を行います。
また移植については、40歳以上の方は受精卵の分割スピードが遅くなるため、新鮮胚移植よりも凍結胚移植をおすすめします。ホルモン補充周期に凍結胚移植を行えば、「着床の窓」が閉まるのを遅らせることができ、着床のタイミングを逃しにくくなります。





レディースクリニック北浜 奥 裕嗣 先生

1992年愛知医科大学大学院修了。蒲郡市民病院勤務の後、アメリカに留学。Diamond Institute for Infertility and Menopauseにて体外受精、顕微授精等、最先端の生殖医療技術を学ぶ。帰国後、IVF大阪クリニック勤務、IVFなんばクリニック副院長を経て、2010年レディースクリニック北浜を開院。医学博士、日本産科婦人科学会専門医、日本生殖医学会生殖医療専門医。

≫ レディースクリニック北浜




 







 専門家に相談してみる




出典:女性のための健康生活マガジン jineko vol.32 2016 Winter
≫ 掲載記事一覧はこちら




あとで読む

この記事に関連する記事

この記事に関連する投稿

女性のためのジネコ推薦商品

最新記事一覧

Page
top