不妊治療への融資制度と子育て支援計画を語る1 ┃ 不妊治療への融資制度と子育て支援計画を語る2
文京区長 成澤廣修 スペシャルインタビュー
今年1月、東京都文京区が不妊治療に対して、全国の自治体では初めてとなる融資制度を開始することを発表。
また4月には、文京区長が自治体の首長としては全国初の育児休暇を取得しました。そこで今回は、文京区長の成澤廣修さんにこれらの子育て支援計画について語っていただきました。
男性も積極的に育児休暇を
自治体の首長として全国初という、「育児休暇」取得。3月、このニュースに接したときは、喝さいを送りたい気分でした。公務に復帰されたばかりでお忙しい時期に、お会いできたことは、とても光栄です。まずは、育児休暇の感想を教えてください。
成澤廣修(なりさわ・ひろのぶ)
1966年生まれ。文京区長。当時、全国最年少の25歳で文京区議会議員に初当選。文教委員長、議会運営委員長等を経て、第37代文京区議会議長に区議会最年少35歳で就任。その後、2007年文京区長に就任する。今年から明治大学特別招聘教授。
成澤:育児休暇といっても、わずか2週間弱ですから、一般企業にお勤めの方々の数ヶ月単位のものと比べれば、真似ごとにすぎないのかなとも思います。それでも、長男が2ヶ月という時期に、朝から夜まで一緒にいることの重さ、意義を実感しました。
抱っこしてほしいのか、おしめを替えてほしいのかなど、いろいろな表情があるんだなーと思いました。仕事人間で、朝に子どもと少しだけ触れ合って出掛け、夜は子どもが寝てから帰るというような生活に比べれば、格段に違いますね。そういう意味で、わずか2週間弱ではありましたが、有意義だったと思います。
区長など特別職の育児休暇は制度化されていないため、実質は自主的な休みとして取得されたとお聞きしました。また、男性の育児休暇取得がなかなか進まない状況で、「トップが休むことで、職員に取得を促したい」「妻の負担を軽減するとともに、職員に対し、仕事上、キャリア面でのロスはないということを伝えたい」という意図があったということですね。
育児は母親にとって、エンドレスの作業です。大変な時期に夫が手伝ってくれて、少しでも休息できるのは、どれほどの救いかと思います。
成澤: 本来なら、通常の育休期間である産後8週以内に取得できればよかったとは思います。母体のケアが大切といわれる時期ですから。ただ、その期間中は議会があり、私が抜けるわけにはいきませんでした。それで、少し後にはなってしまいましたが、私がサポートすることで、母体への影響を少しでも軽減することはできるだろうと。
また、なにより、子どもに精一杯の愛情を注ぐことができたのは本当によかったと思っています。
文京区では「男性職員の育児休暇取得促進要綱」を策定しました。23区でも例を見ない、画期的な取り組みの理由を教えてください。
成澤:基本は、子どもに精一杯愛情を注ぐことの大切さにあります。うちの区は、男性職員の育休取得がゼロなのです。この6月30日に改正育休法が施行になり、1人の子どもに父親と母親が両方とも、育休が取れるようになります。以前は母親が取ると、父親は取れない制度でしたから。この制度の先取りになった点でも、意義があると思いますね。
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