晩婚化は女性不妊だけでなく男性不妊の原因にもなる
少子高齢化、晩婚化など、さまざまな理由から不妊症が増加していますが、不妊原因は女性だけでなく男性にもあります。その男性不妊が多くなっているのが現状です。
2010年WHOの発表では、男性に不妊原因がある割合は全体の24%で、男女ともに原因がある24%を加えると、約半数が男性に不妊原因があるケースということになります。さらにWHOの国際調査によると、1998年から2011年の間で、男性の精子の数と運動率は全体で20%も下がっているといいます。これは潜在的な「男性不妊症」がいかに多いかを現していると言ってもいいでしょう。
晩婚化が進み、女性の妊娠年齢が上がると加齢の影響で卵子の質が悪くなり、それが不妊症の要因と言われていますが、実は男性も女性と同じように、加齢によって精子の質が悪くなるのです。
中医学では「女性は7の倍数、男性は8の倍数」で体が変化し、女性は21歳から28歳、男性は24歳から32歳がもっとも生殖機能が強いと言われています。
実際、日本生殖医学会によると、30歳代の精子と 50歳代の精子を比較したところ、精液量は3~22%、精子運動率は3~37%、精子正常形態率は4~18%低下すると報告されています。
また、男性が35歳を過ぎると、生殖補助医療による出産率が低下する、男性の加齢の影響で自然流産の確率が上昇するという報告もあります。さらに、自然流産に与える影響では、男性の 40歳以上が女性の30歳以上に相当するという報告もあります。
男性不妊の増加は加齢による精子の質の悪化だけでなく、生活環境によるものも少なくありません。
精巣は卵巣と同じように血管から栄養分が補給されています。しかし精巣動脈は直径1ミリほどのとても細いものなんです。ですからちょっとしたことで血流が悪くなりやすい、つまり精巣に影響が出やすいのです。
長時間座ったままのデスクワーク、PCなどから出ている電磁波、ストレス、喫煙による活性酸素などから、血流が偏ったり、悪くなっている男性が増えています。そのために精巣に血液が滞り、結果として精子の質が悪くなっている男性が多いと考えられます。これが原因で若い男性でも精子の数や運動率が下がっていることがあるのです。
次回も引き続き男性不妊が増えている理由についてお話しします。
株式会社誠心堂薬局代表取締役 西野 裕一先生
株式会社誠心堂薬局代表取締役。 薬剤師・鍼灸師。北里大学薬学部卒。東京医療福祉専門学校鍼灸科卒。中国漢方普及協会会長。日本中医学会評議員。漢方・鍼灸をはじめとする中医学の有用性を啓発・普及させる活動に尽力。著書多数。
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