腰痛が続いたら婦人科の病気かも!?妊娠への影響は?【これって婦人病のサイン!?】
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腰痛が続いたら婦人科の病気かも!?妊娠への影響は?【これって婦人病のサイン!?】
日常生活で感じるちょっとした症状から、婦人科系の病気の可能性を探る〈これって婦人病のサイン!?〉のコーナー。腰痛の原因はいろいろありますが、長引くようなら、子宮筋腫を疑ったほうがいいかもしれません。 今回は、子宮筋腫の原因や妊娠への影響について、都立レディースクリニックの品川寿弥先生にお聞きしました。
腰痛が続いたら婦人科の病気かも!?妊娠への影響は?【これって婦人病のサイン!?】
2017/4/3 品川寿弥(都立大レディースクリニック)
今回は、子宮筋腫の原因や妊娠への影響について、都立レディースクリニックの品川寿弥先生にお聞きしました。
女性の腰痛は婦人科疾患が原因かも!?
女性は男性に比べて筋肉がつきにくいこともあり、ずっと座りっぱなしだったり、ハイヒールなどかかとの高い靴を履いたりすることによって無理な姿勢が続き、腰痛になる場合があります。
ただ、女性の場合、そうした腰部の筋肉疲労による腰痛のほかに、「子宮筋腫」「子宮内膜症」といった婦人科系疾患が腰痛の原因となっているケースもあります。
特に、じっとしていても痛みがある、生理時に強い痛みがあるという人は要注意。子宮筋腫、子宮内膜症などを疑ったほうがいいでしょう。
4人に1人は子宮筋腫。命を脅かす病気ではないけれど…
子宮筋腫は良性の腫瘍で、それ自体が命を脅かすものではありません。1㎝程度の小さなものを含めれば、4人に1人は筋腫を子宮内にもっているのではないかと言われています。1㎝未満の大きさであれば、2年に一回の検診で対処していけば問題ないでしょう。
ただし、放置してしまうと稀に10㎏を超える大きさになってしまうこともあります。こういった大きな筋腫や急速に増大する子宮にはごくまれに子宮肉腫など(悪性)が含まれていることもあります。
●3つの子宮筋腫の特徴(できる部位や大きさ)
また、筋腫は下記3つにわけられ、できる部位や大きさによって症状が異なります。
粘膜下筋腫…子宮の内側にでき、不正出血や不妊症の原因になる
筋層内筋腫…子宮の筋肉の中にできる。小さいものでは症状は現れないが、大きくなると不正出血や流産・早産の原因となる
漿膜下筋腫…子宮の外側にでき、大きくなるまで症状が乏しい
腰痛以外の子宮筋腫の主な症状
子宮筋腫の症状は、腰痛以外に次のようなものがあります。
・過多月経
・月経痛(生理痛)
・過多月経にともなう貧血
その他、月経以外の不正出血、頻尿、また、前述したように筋腫ができた場所によってまちまちですが、子宮の内側の場合は月経量が多くなり、逆に外側の場合は相当大きくなっても症状は強く出ません。
子宮筋腫は不妊、流産の原因に
いずれにしても、筋腫は不妊や流産の原因になり得ます。筋腫ができてしまうと局所的に血液循環が悪くなり、受精卵が着床しづらくなってしまいます。だから、妊娠しづらくなりますし、いったん着床しても流産してしまうこともあるのです。
筋腫は外来の一般的な診察と超音波を使えば、簡単に診断できます。ただし、大きな筋腫や手術が考えられる場合は、MRI検査を追加検査することもあります。
治療法は症状と大きさ、年齢、今後の妊娠希望で異なる
治療法には、手術と薬物療法があります。
●手術の場合
手術は、子宮全体を摘出する方法(子宮全摘術)と、筋腫だけを取る手術(筋腫核出術)があります。根治を考えると全摘術が良いのですが、将来、子どもがほしい、子宮は残したいという人の場合には筋腫核出術を行います。
ただし、筋腫だけを摘出する筋腫核出術の場合、次のようなリスクが考えられます。
・手術の際、出血が多くなる
・術後の腸管と癒着、ならびに腸閉塞
・筋腫の再発
・分娩の際は帝王切開になる可能性
また、筋腫は複数個できることが多いので、手術しても数年後、取り残した小さな筋腫が大きくなっていることもあります。腹腔鏡(ふっくうきょう)を使ってこれらの手術に臨む病院も増えていますが、筋腫の大きさ、できた場所によってはそれが難しい場合もあります。
●薬物療法の場合
薬の療法では、薬によって一時的に女性ホルモンの分泌を抑え閉経状態にする偽閉経療法(GnRH-A)が行われます。
使われる薬には、毎日の点鼻薬(鼻からスプレー)と、四週間に1回の注射薬の二種類があります。
女性ホルモンの分泌を抑える偽閉経療法の場合、一時的に更年期の症状が出ます。また治療は半年しか実施できません。しかも、治療を中止すると徐々に筋腫が元の大きさに戻ってしまいます。
ですから、実際には、手術前に筋腫を小さくするために一時的に使用するか、血液量を減らす目的で使用される場合が多いです。
ライフプランに応じたテーラーメイド治療
子宮筋腫に限らず、医師は患者さんの
(1)発現した場所
(2)症状
(3)年齢
(4)今後の出産希望
に合わせて治療をいたします。まさに治療もテーラーメイドの時代。ですから、まずは子どもを産みたいのかどうか、産みたいなら、今後のライフプランとしてどの時期に産みたいのかなどをお話しいただくようにしています。
品川先生より まとめ
女性の腰痛は、子宮疾患など婦人科疾患との関連性がある場合が少なくありません。子宮疾患の放置は不妊にも繋がるリスクをはらみます。特に生理時に腰のあたりが重い、つらいという時は婦人科に相談してください。