クロミッド®を使うと高温期が短くなりますか?

コラム 不妊治療
クロミッド®を使うと高温期が短くなりますか?
「高温期8日目のプロゲステロン値は3.5ng/mlしかなく、プロゲステロン腟座薬を処方されました。この処方は適切でしょうか。また、クロミッド®の使用で高温期が短くなりますか。教えてください。」
クロミッド®を使うと高温期が短くなりますか?
宇津宮 隆史 先生(セント・ルカ産婦人科)
相談者:みどりさん(44歳)
クロミッド®の使用とプロゲステロン値について

クロミッド®を服用することで高温期が短くなり、胸のドキドキ感やほてり、プロゲステロンの低い数値を心配されています。

みどりさんは、高温期8日目のプロゲステロン値が3.5 ng/mlしかないですよね。排卵を促すクロミッド®を服用後に、HCGのオビドレル®皮下注射を使用していますが、プロゲステロン値が低いということは、卵胞の育ち方の過程に問題があり、高温期であっても排卵していない「末排卵性黄体化」も疑われます。それが、高温期の日数を短くしていると考えられますし、卵胞をうまく育てられていない環境下にプロゲステロン腟座薬を処方しても効果は期待できないので、クロミッド®ではなくHMGを使用するなど、根本的に排卵誘発の方法を変えていただきたいですね。
海外で不妊治療を始めたばかりで、現在までに人工授精を2回行っていますが、担当医の治療方針について先生はどのような印象をもたれますか?

ホルモン検査などひと通り受けたら人工授精ではなく体外受精を選択してほしいですね。しかし、年齢的に卵子の染色体異常率は8割と高いので、思う結果が出ない可能性があることをしっかりと理解していただくことも大切です。日本とは違い、海外なら着床前スクリーニング(PGS)も数多く行われていますので、体外受精をする前にPGSを選択肢に入れることを検討されてみては。治療内容はともかく、担当医にはいろいろと質問できる雰囲気のようなので、なおさら早め早めに改善策を相談することをおすすめします。
宇津宮先生より まとめ
●高温期が短いのはクロミッド®の使用ではなく、卵胞の発育が原因
●卵子の染色体異常を理解したうえで体外受精へのステップアップを
出典:女性のための健康生活マガジン jineko vol.33 2017 Spring
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