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食事や生活養生で更年期を穏やかに過ごす

コラム 女性の健康

食事や生活養生で更年期を穏やかに過ごす

誠心堂コラム

2017.3.24

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食事や生活養生で更年期を穏やかに過ごす



前回、西洋医学では女性ホルモンであるエストロゲンの低下が卵巣機能の衰えであるということをベースに更年期を考え、中医学では腎の「陰陽」の失調により「腎精」が枯渇していくのが更年期と考えるという話をしました。さらに、「陰」は例えるとガソリンで「陽」はエネルギーのことで、「腎精」とは生命エネルギーのことだということもお伝えしました。

今回はまず「腎精」についてもう少し詳しくお話ししましょう。「腎精」は7の倍数で変化することはご存知だと思いますが、この変化には個人差があります。つまり同じ年齢でも若々しく見える人もいれば、老けて見える人もいるのは「腎精」が関与しているからなのです。

「精」とは生命活動を維持するための基本物質で、親から受け継ぐ「先天の精」と、飲食や生活養生から得る「後天の精」があります。先天の精は腎に蓄えられており、後天の精は「脾」「肺」から生まれます。つまり、生まれながらに「精」が不足している人でも、後の生活養生や飲食でリカバリーが可能なのです。また、加齢による「腎精」の枯渇の速度も食事や生活養生で緩やかにすることができるのです。

腎がしっかりして精が十分にある人は、若々しく身体も元気。老化による不快な症状も現れにくく、更年期や老後も穏やかに過ごすことができます。
一方、 腎が弱く精が不足していると、更年期障害を始めとする老化の症状、不妊、冷え、免疫力の低下などさまざまな不調が起こりやすくなります。

次に「陰陽の失調」ですが、これは陰陽のバランスがアンバランスになるパターンと、陰陽どちらもが低下するパターンがあると考えます。中医学でいう「陰」と「陽」とは例えると「ガソリン」と「エネルギー」だと説明しましたが、健康体の人の場合、この陰陽のバランスが取れている状態なのです。つまり、陰が不足している「陰虚」や、その逆で陽が不足している「陽虚」だと体調不良の原因になります。更年期になるとこの陰陽のバランスの調節ができなくなるため、さまざまな不調が起こるのです。この不調によって社会不適応傾向が強まるのが更年期障害です。

では、「陰虚」や「陽虚」になると、とのような症状が現れるのでしょうか。その具体的な治療法、さらに予防法はあるのでしょうか。中医学と更年期のお話は次回にも続けてお話していきます。





株式会社誠心堂薬局代表取締役 西野 裕一先生

株式会社誠心堂薬局代表取締役。 薬剤師・鍼灸師。北里大学薬学部卒。東京医療福祉専門学校鍼灸科卒。中国漢方普及協会会長。日本中医学会評議員。漢方・鍼灸をはじめとする中医学の有用性を啓発・普及させる活動に尽力。著書多数。

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