医療費控除や助成制度 押さえておきたい!もらえるお金
コラム くらし
不妊治療や、病気にかからないために受ける検診、そして病気になってしまった時の治療費……。
どれもお金がかかりますが、公的な助成制度もたくさんあります。上手に賢く活用しましょう。
不妊治療中にもらえる助成金を確認しよう
経済負担を軽減してくれる「特定不妊治療助成金」制度
不妊治療は身体的、精神的な負担が大きいうえ、保険外診療が多く、経済的な負担ものしかかってきます。「特定不妊治療助成金」は経済負担を軽減するため、夫婦の合算所得が730万円未満の場合、体外受精・顕微授精について1回15万円を年2回まで助成してくれる制度。通算5年まで助成を受けられます。
申請に必要な書類や申請方法、申請期限等は自治体によって異なるので、確認しましょう。申請期限は、東京都の場合、昨年4月1日から今年3月31日までに治療を終了した場合は今年の3月31日が申請期限。
ただし今年1月~3月までに治療を終了した場合は、23年度分として4月1日から6月30日の期間にも申請できます。治療を受けた人は忘れず申請を!
手術や入院した場合は「高額療養費」制度で負担減
不妊治療中に子宮筋腫やチョコレート嚢腫などの病気がみつかり、手術や入院が必要になることがあります。ひと月(1日~月末まで)の医療費が高額になり、限度額(一般所得者で8~9万円)を超えると、「高額療養費」制度が適用されて、超えた分を払い戻してもらえます。ただし「高額療養費」は健康保険が適用になる治療のみが対象なので、同じ月に受けた保険適用外の不妊治療や、入院時の食事代などは対象外です。
また、あらかじめ「限度額適用認定証」をもらっておけば、窓口に提示するだけで自己負担限度額のみの支払いで済みます。協会けんぽや国保などでは、認定証をホームページからダウンロードできるので、入院・手術が決まっている場合にはぜひ入手しておきましょう。1年間有効で、何度でも使えます。ちなみに、もし選べるなら入院・手術は同じ月内のほうが払い戻し金が多いのでお得です。
病気になったら、妊娠したらその時のために知っておこう
有給を使い切った時頼りになる「傷病手当金」
不妊治療やその他の事情で有給は使い切ってしまったのに、急な病気やケガで仕事を休むことになった……。そんな時は「傷病手当金」の申請を。連続3日以上休むと4日目から、無給の場合、標準報酬日額の3分の2が支給されます。ただし、本人が企業や団体に勤務し、健康保険や共済組合に加入している場合のみが対象。休業中も何らかの手当てや報酬を受けている場合は、傷病手当金との差額分が給付されます。問い合わせは、勤務先の健康保険や共済組合の窓口まで。
妊娠し、役所に申請すると14回分の「妊婦健診費助成」が
妊娠・出産は病気ではないため、順調な経過をたどった場合、健診や出産費用は原則保険の適用外。出産までの健診回数は約15~16回で、金額はかなり高額になります。経済的負担を減らすための制度が「妊婦健診費助成」です。
妊娠が確定し、役所に申請すると母子手帳などとともに妊婦健診受診票が交付され、これを健診に持っていくと助成が受けられます。ただし自治体によって助成の内容や金額に幅があるので、医療機関の窓口で確認しましょう。
「出産育児一時金」制度で出産時の負担を大幅減
いざ出産となった時、分娩・入院費用はかなり高額。自然分娩の場合、病気ではないため保険の適用外になるからです。でもご安心を。企業の健康保険でも国民健康保険でも、加入している健康保険から「出産育児一時金」として、最低限42万円が支給されます。しかも健康保険から産院への「直接支払制度」や「受理代理制度」が導入されている産院なら、立て替える必要もなく、差額分を支払うだけでOK。保証金なども不要となり、出産のために準備しなければならない費用が大幅に軽減しています。
高額医療と介護費用は合算して補助が受けられる!
高額療養費と同じように高額介護サービス費にも自己負担限度額が設定されていますが、この2つを合算して1年の自己負担額が67万円(一般所得者で70歳未満の人の場合)を超えていたら、申請することで超えた金額が戻ってくる「高額医療・高額介護合算制度」。同居のおじいちゃんが介護を受けている場合などは、累計額を計算してみましょう。合算の対象期間は、毎年8月1日から7月31日までの1年分なので、申請忘れのないように。
がん予防の検診は自治体の制度を利用
日本人の死亡理由のトップを占めるがんについては、各自治体で検診の補助をしているケースがあります。例えば横浜市では胃がん検診、肺がん検診、大腸がん検診は40 歳以上を対象に年1回、子宮がん検診は20歳以上、乳がん検診は40歳以上を対象にそれぞれ2年に1回、低費用で受けられる制度があります。自分の居住地の自治体に確認してみましょう。
また特に女性特有のがんについては国の補助制度があり、子宮頸がん検診は20歳、25歳、30歳、35歳、40歳、乳がん検診は40歳、45歳、50歳、55歳、60歳の時に無料で検診を受けることができます。自治体からクーポンが送られてくるので、必ず受けましょう。21年度から始まった制度で、23年度も実施される見込みです。
●市町村ごとのがん検診の情報が見られるリンク先一覧はこちら。
http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/link.html
確定申告で「医療費控除」の申請を
不妊治療や病気などで医療費が多くかかった場合は、「医療費控除」の申告をして、所得税を還付してもらうことができます。家族はまとめて申告できるので、まずは1月から12月の家族全員分の医療費の領収書を集めましょう。交通費はメモ書きでOK。合計金額から保険で支払われたお金や助成金を引いた額が10万円(所得が200万円未満の人は所得の5%)を超えていたら、医療費控除が受けられます。医療費が多額で、還付金が夫の所得税額を超える場合は、超えた分を妻のほうで申告すると、妻も還付を受けることができます。(妻も収入があり所得税を納めている場合。ただし、妻も10万円を差し引かなくてはならない。)
<2011年2月現在の情報です>