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子宮奇形と卵管の詰まり。何か治療をすれば自然妊娠できますか

コラム 不妊治療

子宮奇形と卵管の詰まり。何か治療をすれば自然妊娠できますか

子宮奇形であるうえ、卵管が詰まっていたら体外受精しか選択肢はないのでしょうか。有効な治療法について、仙台ARTクリニックの吉田仁秋先生にお話を伺いました。

2017.5.1

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子宮奇形と卵管の詰まり。何か治療をすれば自然妊娠できますか


吉田 仁秋 先生(仙台ARTクリニック)







相談者:ゆりさん(30歳)


下垂体性無月経について


来春結婚予定です。25歳の時に生理痛がひどく、産婦人科でMRI検査をしたら、子宮奇形と診断されました。今年、結婚に向けて改めて子宮卵管造影検査をしたところ、「重複子宮・腟中隔がある」とのこと。また、その時に「卵管が詰まっているか、ないので、自然妊娠は難しく、体外受精しかない」といわれました。卵管が存在しないなら確かに体外受精になると思いますが、詰まりなら治療が可能で、2回目の子宮卵管造影検査で通ることもあると、ネットの書き込みにありました。卵管がどうであれ、私の状態ではやはり体外受精しか選択肢はない? 詰まっている場合は手術や漢方など、どんな治療法があるのでしょうか。


これまでの治療データ


●検査・治療歴:
25歳の時のMRI検査で「子宮奇形」であることがわかる。今年、子宮卵管造影検査を受け、重複子宮・腟中隔であるほか、卵管が詰まっている、もしくはないと診断される。

●不妊の原因となる病名:
重複子宮、卵管がないか、詰まっている。

●現在の治療方針:
模索中、もしくは体外受精?

●精子データ:
まだ結婚前のため、検査はしていない。



 



卵胞は確認できたけれど、遺残卵胞かどうかわからないということはあるのでしょうか。


通常は生理の時に確認してから排卵誘発をスタートするのですが、チェックされなかったのでしょうか。

これは基本だと思いますが、まず生理3日目くらいに排卵誘発をスタートする時は、必ずエコーで見て、卵胞の大きさが10㎜未満であることを確認します。そこから誘発剤を飲んでいただいて、8日目や10日目に卵胞の経過をみる。だいたい10日以内に大きな卵胞だったら、中身がないことが多いんですね。8日目で15~18㎜程度の大きさだと空胞の可能性が高いので、その経過を見ていけば36㎜が適正かどうかわかると思います。

最後は17㎜を過ぎたところで、条件が良ければ排卵させる注射を打ち、排卵した翌日に卵胞が潰れているのを確認するのが理想的な手順だと思います。


前回のものが残っていた遺残卵胞である可能性もありますか。


もしそうだったとしても、これも生理の時にエコーで判断がつくと思います。排卵するところまでいってもわからないというのは、少し疑問に感じますね。

遺残卵胞は決して珍しいことではなく、HMGを毎日300単位程度打つなど卵巣刺激をかなり強くすると、小さい卵胞が排卵できなくて、これが膨れあがって次の周期まで残ってしまうことがあります。また、未排卵の卵胞が残ったままHCGを打つと、刺激を受けて膨れてしまうケースも。

前周期の卵胞が残っていて、なおかつご本人が早めに治療を進めたいという時にはピルを飲んでいただきますね。生理の3日目くらいから、卵胞が大きい場合は2週間程度ピルを服用して整え、次の生理から治療開始ということになります。


少量の出血があったというのは何かのサインなのでしょうか。


ご主人には泌尿器科で性交障害に関する相談をされるようおすすめします。アイダさんは、慣れるしかないのかもしれません。診察でも、超音波検査の器具が入ったりすることで、だんだんと腟の入り口の痛みが軽減して麻酔薬も要らなくなることが多いですから。また、ご夫婦でそういう話ができるようになると、セックスをする状況が今までと変わるかもしれません。自分たちで取り組む延長線上で、自然とセックスができるようになっていけばいいなと僕は思いますね。


ホーリーさんのような場合、クロミッド®以外にどんな排卵誘発法がありますか?


出血というのは卵胞の中なのか、それとも子宮口からでしょうか。しーまさんの場合はおそらく、卵胞内の出血なのでは。未排卵だと卵胞ホルモンが高くなり、卵胞内から出血することがあります。エコーで確認すると線状のものが見えるのですが、これが出血のあとなんですね。

先生から生理のお話があったり、現在、ルトラール®とプレマリン®を服用しても、なかなか体温が上がらないということ。総合的にみると、今回は排卵していない可能性が高いのではないでしょうか。

前述したように手順を踏んで卵胞の経過を見ていけば、このように困惑することはなかったのでは。抵抗がある方もいるようですが、患者さんも「スタート時は生理の時にきちんと診なくてはいけない」という認識をもつことが大切。疑問点があればエコーの時も画像を見ながら、積極的に質問していただきたいと思います。




吉田先生より まとめ


卵管の詰まりは解消できますが、重複子宮だと妊娠のチャンスが減るので妊活を急ぐことをおすすめします



 




【ジネコ注目のスタッフ】

トータルフィットネスインストラクター/壹岐 友紀さん




毎週月曜日、当院の多目的ホールで、60分間のフィットネスクラスを担当・指導させていただいています。フィットネスといっても、現在おもに行っているのは「からだスキャンセルフマッサージ」という、体と心の“ほぐし”がメインです。不妊治療をされている方は心のストレスが大きく、それが筋肉のコリとなって体がガチガチになっている方が多いようです。筋トレなどで無理して体を動かすより、まず心も体もリセットして、それから体力作りをすべきだと考えました。青竹踏みなど身近なツールや自分の手、マッサージ専用のボールを使って全身の血液・リンパの流れを良くして、細胞の活性化と老廃物排出を促進。終わった後はポカポカと体が温まり、心も開放されます。共通の悩みをもつお友だちができるのも、治療に良い影響をもたらしてくれるようですね。



 



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お話を伺った先生のご紹介





吉田 仁秋 先生(仙台ARTクリニック)


獨協医科大学卒業。東北大学医学部産婦人科学教室入局、不妊・体外受精チーム研究室へ。米国マイアミ大学留学後、竹田綜合病院産婦人科部長、東北公済病院 医長を経て、吉田レディースクリニックを開設。2016年1月に「仙台ARTクリニック」として移転・リニューアルオープン。昨年秋、今年初めに長女、次女と二人のお嬢様が結婚。うれしいような寂しいような複雑な気持ちという吉田先生。お二人とも産婦人科の医師になられたので、クリニックの将来がとても楽しみです。

≫ 仙台ARTクリニック


出典:女性のための健康生活マガジン jineko vol.33 2017 Spring
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