いつまで骨盤位(逆子)だと帝王切開に?原因と手術内容について
インタビュー 妊娠・出産
いつまで骨盤位(逆子)だと帝王切開に?原因と手術内容について
出産間近になっても骨盤位(逆子)の場合、安全のため帝王切開になることもあります。 骨盤位とはどんな状態であり、原因として考えられることは何でしょう? また、いつまでに治らないと帝王切開になるのか?
いつまで骨盤位(逆子)だと帝王切開に?原因と手術内容について
2017/8/8 堀量博(かずひろ)先生(堀産婦人科)
骨盤位とはどんな状態であり、原因として考えられることは何でしょう? また、いつまでに治らないと帝王切開になるのか?
骨盤位についてのあれこれを堀産婦人科の堀量博(かずひろ)先生にお聞きしました。
骨盤位とは子宮内で赤ちゃんの頭が上を向いている状態
出産時、赤ちゃんは本来、頭から産道を通り抜けるので、頭は子宮口のほうを向いていなければなりません。ところが、子宮内で赤ちゃんの頭が子宮口—つまり下ではなく、上を向いている状態の場合があります。これが骨盤位(逆子)です。この状態のままだと分娩がしづらくなります。
妊娠初期・中期の子宮内は赤ちゃんが動きまわるゆとりがあるため、赤ちゃんはころころ回転し、頭の位置も上を向いたり下を向いたり頻繁に入れ替わります。したがってその時期は気にしなくても良いのですが、問題は後期、妊娠32週目になっても骨盤位のままの場合です。正しい位置に戻すのが難しくなります。
原因は母体にある場合と、胎児にある場合があると言われています。
●母体側の原因……骨盤が小さい、胎盤や子宮に異常がある
●胎児側の原因……低出生体重児、多胎妊娠、羊水過多、胎児奇形
ただ、明確な原因ははっきりしておらず、上記のような原因がなくても誰でも骨盤位になる可能性はあります。
38週目を過ぎても骨盤位の状態の場合、帝王切開に
37週から38週目を過ぎても骨盤位の状態であれば、帝王切開で出産というケースがほとんど。帝王切開と聞いて驚いたりショックを受ける妊婦の方もいますが、骨盤位のまま産むほうが断然リスクが高く、帝王切開のほうが母体にとっても胎児にとっても安全です。ほとんどの病院が母子の安全を優先して帝王切開を行っています。
「逆子体操」「外回転術」「お灸」で骨盤位を直す
なかには2人目以降の出産も考え、自然分娩を希望する妊婦さんもいます。その場合はお灸や外回転術で骨盤位を治す方法があります。
●逆子体操
いわゆる“逆子体操”は胸膝位といい、就寝前に胸を床(ベッド)につけてお尻をあげ、そのまま横に倒れ込むという方法で行います。骨盤内にはまり込んでいる赤ちゃんのお尻が体操によって浮上することを利用したもので、ほとんどの産科施設で指導しています。
●外回転術
医師が妊婦のお腹に手を添えて、外からぐるりと胎児を回転させる方法です。ただし、この方法は病院によって取り入れているところとそうでないところがあります。
●お灸
30年ほど前、骨盤位に対して三陰交にお灸をしたら、約9割の妊婦の骨盤位が正常位になったという論文が発表されて以来、にわかに注目されるようになりました。妊娠28週目以降に行うと効果的と言われています。三陰交とは、からだの冷えを解消するツボです。ただし、個人の判断で鍼灸師を訪ねるのは危険。まずは医師に相談してから臨みましょう。
いずれにしても骨盤位は自分では治せません。必ずかかりつけの医師に相談してください。
堀先生より まとめ
骨盤位がどうしても治らなかったのに、帝王切開の手術直前のエコーチェックでは治っていたというケースもあります。あまり深刻に悩まず、「自然分娩でも帝王切開でも無事に生まれてくれたらそれでいい」くらいの心持ちでいてください。出産は命がけのことですが、日本の医療においては無事に生まれるので安心して医師に従っていただければと思います。