左側の卵管がなく、右側も詰まっていたら自然妊娠は難しい?
2017/7/25 奥田 剛 先生(日暮里レディースクリニック)
相談者:しー姫さん(27歳)
体外受精について
結婚して6年。結婚後、6ヵ月ほどで妊娠したのですが、子宮外妊娠して左の卵管を取りました。先日、不妊外来に行って子宮卵管造影検査をしたところ、「右の卵管も使えない」といわれて、自然妊娠は不可能だということ。まだ若いので自然妊娠の可能性を信じたいのですが、先生は「体外受精しか方法はない」といいます。卵管の左側がなく、右側は詰まっている場合、やはり体外受精に進むしかないのでしょうか。卵管の問題以外では、生理が3日程度で終わってしまうことが多く、基礎体温はバラバラの状態です。
残っている片側の卵管も詰まっている場合、自然妊娠は難しいですか?
時間的に余裕があり、自然な形での妊娠にこだわりたいということでしたら、閉塞している部分を治療するという方法もあります。しー姫さんは卵管のどの部分が詰まっているのでしょうか。場所によってその治療法は異なってくると思います。
もし先端の部分で詰まっているのなら腹腔鏡、根元で詰まっているのならFT(卵管鏡下卵管形成術)という選択になるかと思います。
仮にFTをやって右側の卵管も開通した場合、片方だけの卵管で排卵する確率がきっちり50%になるかというとそうではなく、もちろん両側ある場合より確率は下がりますが、60%程度は維持できるのでは。そうなると、自然妊娠できる可能性は十分あると思います。
卵管だけでなく、生理や排卵の問題もあるようですが。
不妊の原因について、卵管だけに着目するのは危険だと思います。排卵に何か問題があるようですし、卵管が閉塞したのは子宮内膜症など免疫因子が隠れているせいかもしれません。少なくとも5年ほど不妊期間があるわけですから、その間に精子の状態も悪くなっている可能性もあります。
自然妊娠を望まれているのなら、子宮卵管造影検査だけではなく、基本的なホルモン検査やご主人の精液検査、AMH(抗ミュラー管ホルモン)の測定など、不妊に関するひと通りの検査を受けることが必要だと思います。まずはそこからだと思いますね。
担当医の先生がおっしゃるように、このまますぐに体外受精に進むという選択もありますか?
27歳と年齢的にはまだ若く、卵子の質は良いと思うので、体外受精だったら3割くらいの妊娠率が望めるのではないでしょうか。卵巣機能などに問題がなければ卵子の数もある程度確保できるので、採卵の回数も少なくて済むと思います。
体外受精、自然妊娠のどちらを選ぶかは、「なるべく早く子供が欲しい」「時間をかけても自然な形にこだわりたい」など、ご夫婦の考え方で変わってくるでしょう。
もし現在診ていただいている先生の方針に納得がいかなかったら、別の施設でセカンドオピニオンを聞いてみるのもいいのでは。もう少し現状についての情報を増やし、納得できる形で治療に臨んでいただきたいと思います。
奥田先生より まとめ
●FTなどで詰まりを解消すれば自然妊娠できる可能性も
●卵管だけでなく、まずはひと通りの不妊検査を受けること