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凍結初期胚を移植するか、採卵しなおすか迷っています

コラム 不妊治療

凍結初期胚を移植するか、採卵しなおすか迷っています

「保管期間は1年なので、使うかどうかわからなくても延長して、先生と相談するべきでしょうか。通院に片道2時間かかります。仕事もしているので、通院は最低限にしたいと思います。」

2017.8.18

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凍結初期胚を移植するか、採卵しなおすか迷っています


波多野 久昭 先生(ノア・ウィメンズクリニック)







相談者:ましゃこさん(39歳)


凍結初期胚移植について


多嚢胞性卵巣、乏精子症で治療歴は3年。以前の病院は薬漬けで、20個以上採れても胚盤胞にならず、3回目で1個胚盤胞になりましたが妊娠しませんでした。転院後は自然に近い誘発法で薬をあまり使わず採卵しました。4個採れて1個を初期胚凍結、しかし残り3個は胚盤胞に到達しませんでした。2回目の採卵で2個採れ、1個は子宮外妊娠、2個目で妊娠し出産しました。2人目希望ですが、採卵から始めて胚盤胞を育てるか、この初期胚を移植するか悩んでいます。保管期間は1年なので、使うかどうかわからなくても延長して、先生と相談するべきでしょうか。通院に片道2時間かかります。仕事もしているので、通院は最低限にしたいと思います。



 



1つも胚盤胞にならなかった時の凍結初期胚をどうするか迷っているとのことです。


以前の病院では高刺激で採卵していたとのことですね。ましゃこさんは多嚢胞性卵巣なので、高刺激にするとOHSSになる危険性もありますが、少しでもたくさん採っておこうということでそうしていたのでしょう。しかし、3回の採卵で胚盤胞に至ったのは1個だったとのことなので、やはり低刺激のほうが向いているのだと思います。

転院して、低刺激で採卵し、1回目で初期胚を1個凍結したとのこと。ほかの3個が胚盤胞にならなかったので、その初期胚も移植しても育っていかないのではないかと心配されているのだと思います。しかし、それは移植してみないとわかりません。採卵したのが35歳頃だったのなら、お腹の中で育っていく可能性はあると思います。

あとはその初期胚のグレードがどれくらいかということにもよりますね。初期胚の場合は1~5のグレードがつけられています。病院によってはグレードが良くないと廃棄するところもあります。当院の場合は、若い方で次の採卵に期待できる場合は廃棄することがありますが、年齢が高い方の場合はグレードが悪くても保険的に凍結しておきます。ましゃこさんも先生にグレードを聞いてみるといいかと思います。1~3のグレードの良いものなら、移植してうまくいく可能性も高いと思います。

初期胚の凍結を更新するかどうかですが、せっかく数年前の若い時の卵子で受精した胚を凍結してあるのだから、とりあえず延長したほうがいいのではないでしょうか。


先にその初期胚を移植するか、採卵をもう一度するか、悩んでいらっしゃいます。


移植と採卵、どちらを優先するかですが、一つの考え方として、2人目を希望する強さで決められたらいかがでしょうか。どうしてももう1人欲しいということなら、先になればなるほど卵子は老化していくので、できるだけ早いうちにもう一度採卵をして受精卵を少しでも多く確保しておいたほうがいいと思います。その中から良い受精卵を選んで移植していくのがいいのではないでしょうか。1人子どもはもてたし、第2子はどうしてもということではないのなら、先に初期胚を移植してみて、うまくいかなかったらその時に先のことを考える、というやり方もあると思います。とりあえず延長したうえで、先生とよく相談されることをおすすめします。

あとは通院の距離が片道2時間かかるとのこと。お子様を連れて通うのは大変ですね。もう少し近くで同じように治療してもらえる病院を探してみるのもいいかもしれません。移植と採卵、どちらを先にされることになるかわかりませんが、移植だけならホルモン剤でコントロールする方法をとれば、3回くらいの通院で大丈夫なので、今の遠い病院もなんとか通っていただけるのではないかと思います。




波多野先生より まとめ


●凍結初期胚のグレードを確認して、判断の材料に入れてみては?
●2人目の希望の強さによって、移植と採卵の順番を決めるという方法も。



 



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お話を伺った先生のご紹介





波多野 久昭 先生(ノア・ウィメンズクリニック)


日本医科大学卒業。ハンブルク大学産婦人科学教室留学後、日本医科大学婦人科学教室講師、飯田市立病院産婦人科科長を経て、2005年ノア・ウィメンズクリニックを開院。開院して10年、2015年10月からは電子カルテを導入。今年の夏休みは、愛犬4匹を連れて山梨県のコテージでリフレッシュしてこられた先生。「その間にクリニックの受付周りをリニューアル工事しました」とのこと。少し印象が変わっているかもしれませんね!


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出典:女性のための健康生活マガジン jineko vol.35 2017 Autumn
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