2017.10.22 ジネコ妊活セミナー in 静岡 第2部
コラム 不妊治療
2017年10月22日に行われたジネコ 妊活セミナーより
妊娠に近づくために
2017年10月22日(日)、静岡市内で「ジネコ妊活セミナー」を開催しました。第1部では、小島薬局漢方堂の小島晃先生「体にやさしい妊活漢方」、第2部では「妊娠へ近づくために」として、俵IVFクリニック院長俵史子先生にお話いただきました。その一部をお知らせします。
今の自分を知り、できることを考える
妊娠に近づくために、今の自分の状態を知り、できることは何かを考えていただければと思います。運動や食事がきちんとできていますか?例えば、食事回数が1日平均1.3回の人と3回の人を比較的すると、35才以上では食事回数が少ない人の妊娠率が下がります。
そして、適切な体重管理も大切です。BMIと妊娠率について、BMI35以上の肥満の人と、正常の人を比較的したところ、26%も妊娠率が違うという研究があります。同様に、痩せ過ぎも不妊症のリスクが高いことが分かっています。男性についても、肥満によってホルモンの異常が見られ、精子を作る機能が低下するという研究結果も出ています。
また、当院では喫煙者している人は禁煙してからでないと治療をしません。喫煙者は妊娠しているだけで血栓症の割合が増え、流産の確率も上がります。また遺伝子異常を起こしやすく、赤ちゃんにも影響します。男性が喫煙することでホルモンの状態が悪くなり、精子の数が減ったり運動率が低下したり、奇形精子が増えることも確認されています。妊娠に近づくためにはまず、夫婦ともに健康な暮らしを心掛け、妊娠しやすい体質を作る。まずはこれが何よりも大切です。
自分に合った方法とペースで計画的に
不妊治療には、選択肢がたくさんありますが、自分に合った治療を受けることが重要になります。大きく分けて、一般不妊治療と生殖補助医療(ART)があります。一般不妊治療は、従来から行われてきた方法で、タイミング療法や人工授精のことを指します。生殖補助医療は、体外受精や胚移植、顕微授精などを指します。もちろん、どちらにもメリットとデメリットがあります。一般不妊治療は、ARTに比べて費用が抑えられること、自然に近い形で妊娠可能であることなどが挙げられます。ただ、不妊の原因が特定できない場合は、ホルモン剤の投与を繰り返すことでかえって妊娠しにくくなることもあります。
一方、ARTは多くの不妊原因に対応が可能で、受精・胚の成長が確認できるというメリットがあります。1回の採卵で複数回の胚移植が可能な分、妊娠率も高いですが、保険適用がないので、治療費の負担が高くなります。また、専門知識と技術が必要とされるため、対応できるクリニックが限られます。
個人差がある問題ですから、これが必ずベストであるという方法はありません。また、体外受精の場合は、年齢も大きな条件になってきます。どの治療を何回受けるか、どのタイミングでステップアップするか、という目標値を決め、医療機関と相談しながら、自分に合った治療の計画を立てていただければと思います。
俵 史子 先生 (俵IVFクリニック 院長)
浜松医科大学卒。愛知県竹内病院トヨタ不妊センター所長を経て、静岡市で初の不妊治療専門病院「俵史子IVFクリニック」を開業。2012年に専門性を高めるべく、医療法人社団化し俵IVFクリニックに名称変更。開院10年を迎えた現在では、妊娠成立に向けてベストな治療を提供するのはもちろんのこと、妊娠後のリスクを軽減させるために妊娠初期の母体管理、メンタルサポート、胎児スクリーニングにも力を入れている。
≫ 俵IVFクリニック
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