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良好な胚盤胞を移植しても 着床しないのはなぜ?

専門医Q&A 不妊治療

良好な胚盤胞を移植しても 着床しないのはなぜ?

2017.12.28

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相談者:まぁこさん(33歳)


着床しません
不妊歴3年の男性不妊ということで、去年の10月から顕微授精にステップアップしました。一度目の採卵はアンタゴニスト法で6個採れ、3個の受精、うち1つを新鮮胚移植し陰性。12月に5日目胚盤胞3AAを移植し陰性。1月に5日目胚盤胞2ICMをアシステッドハッチングありで、5AAを移植して陰性。
2月にショート法で採卵し、14個採れて7個胚盤胞に。4月に5日目胚盤胞アシステッドハッチングありで5AA移植し陰性。5月に5日目胚盤胞アシステッドハッチングありで3AB、5AB移植し陰性。
6月に子宮鏡検査をするも異常なし。
8月に5日目胚盤胞アシステッドハッチングありで5AA、4AB移植し陰性。9月に5日目胚盤胞アシステッドハッチングありで5AB、6AA移植し陰性。6回目の移植では自然周期、7回目の移植ではスクラッチ法を試してみましたが、かすりもせずの結果です。
一度も陽性を見たことがなく、AMHが1.1しかないのでかなり焦ります。転院するにもどういう所に行けばいいのかわからず、時間だけが過ぎていきます。今すべての胚盤胞を使い果たしてしまったので、転院すべきか、もう少しここにいて試すべきなのか悩んでいます。私はどうしたら着床し、妊娠できるのでしょうか。



良好胚盤胞を移植しても着床しない原因は?


33歳でAMH(抗ミュラー管ホルモン)が1.1ng/mlというのは確かに低値といえますが、ショート法で一度に14個採卵できたのなら、卵巣予備能は十分と考えられます。
また、14個採卵して7個の凍結胚盤胞のすべてが良好胚盤胞(6AA~3AB)であるならば、33歳女性のICSIの成績としては良好であると思います。
これだけ条件を満たしており、33歳女性の良好胚盤胞移植後の継続妊娠率(報告により異なりますが、20~50%程度)を考えると、7回の反復不成功は非常にまれだといえるのではないでしょうか。
主治医の先生も原因として受精卵側の要因(一般的に良好胚盤胞でも約半数は染色体異常が含まれるためすべてが継続妊娠できるわけではないこと)への対策として2個胚移植を試みたり、子宮内膜側の要因への対策として子宮鏡検査を行ったりスクラッチ法(スクラッチ法は有効であったという報告もありますが、エビデンスレベルの低い治療法)を試みたりされているようです。今後の対応策として、主治医の先生はどのようなご意見をもっていらっしゃるのでしょうか。


着床するために他にできることはありますか?


確率的に考えますと、良好胚盤胞でも約半数は染色体異常が含まれるためすべてが継続妊娠できるわけではないことを考慮してもこれだけの良好胚を移植して7回とも着床しなかったということは、やはり子宮内膜側に原因があるように思われます。もう少し詳しく内膜の状態を評価して、他に行える対策がないか調べてみてもよいかもしれません。

比較的新しい子宮内膜の検査法としては、ERAという分子学的診断(子宮内膜の胚受容能の検査)が挙げられます。また、着床を妨げている原因が慢性子宮内膜炎であるとの考えから、その炎症を抑える抗生剤治療を行っている施設もあります。いずれも有効性を論じた報告はありますが、スクラッチ法やシート法と同様に確立された治療法とまではいえません。しかし、現状と異なるアプローチとして、試してみる価値はあるのではないでしょうか。そのような検査や治療を行っている施設を調べて、転院するのも1つの方法かと思います。

まだ方策はあり、卵子も採れているので妊娠の可能性はあると思いますが、AMHが低値だったということは少し気に掛けていただいたほうがいいでしょう。AMHが低い(残存卵子数が少ない)女性の卵子数が将来、どれだけ早く減っていくかは推測できません。特にふたり以上のお子さんを望まれている場合は、受精卵(余剰胚)を凍結保存しておくとよいでしょう。





石川先生より まとめ


●ERAなどさらに詳しく内膜を評価する方法もあります。
●ふたり以上の出産を望むなら受精卵(余剰胚)の凍結保存を。



 



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お話を伺った先生のご紹介

石川聖子 先生


1996年東京医科大学、2000年東京女子医科大学大学院医学研究科卒業。米国留学、東京女子医科大学生殖内分泌・不妊外来・ARTチーフ等を経て、銀座レディースクリニック院長に就任。医学博士・日本産科婦人科学会産婦人科専門医・日本生殖医学会生殖医療専門医。

≫ 銀座レディースクリニック




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