無痛分娩の真実「選びたいけれど怖い! 」と思っていませんか?
インタビュー
妊娠・出産
無痛分娩の真実「選びたいけれど怖い! 」と思っていませんか?
2018.1.12
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麻酔技術に長けた医師さえいれば、安心なお産が可能
無痛分娩では、背骨から腰のあたりの脊髄の近く、“硬膜外腔”という部分にカテーテルを入れ、加減しながら麻酔薬を直接投与することにより、局所麻酔で出産における痛みをやわらげます。完全に痛みはなくなりますが、息んでもらう行為は通常通り必要です。
赤ちゃんが降りてくる圧迫感、赤ちゃんが産道を通り抜ける感覚などは残っていますし、もちろん意識ははっきりしています。
「あ、もうすぐ産まれる!」と携帯電話を通してご家族に実況中継される産婦さんもいらっしゃいます。
無痛分娩の場合、出産を終えたばかりの産婦さんでも少しも疲弊していなくて、生まれたばかりの赤ちゃんを笑顔で抱っこしてあげられます。
痛みを我慢したり、強すぎるほど力まないので産後の筋肉痛もほとんどありません。
体力回復も良好で退院も早く、すぐに育児に専念できますし、私としては無痛分娩にはメリットしかないと思っています。
“苦痛を伴わず、赤ちゃんを産める方法もある”ことが広まれば、少子化さえ改善できるのではないかと思うほどです。
二人目、三人目のお産だからこそする「無痛分娩」という選択
当院では、特にはお勧めしているわけではありませんが、6~7割の妊婦さんが無痛分娩を希望します。第二子はもちろん第三子を無痛で産む方もいらっしゃいます。
「二人目はラクよ」という周囲の言葉にはげまされて普通に産んだら、やはり痛かった。だから「第三子は絶対に痛くなく産みたい。負担なく産むぞ!」という気持ちのようです。
日本には、「お腹を痛めて産んだ子」という表現があり、それゆえ母親や姑の年代では“苦労して産むこと”を尊いことと考えがちです。
でも、その痛みにどんな意味があるのでしょうか?
私自身は男性ですが、私が産婦さんの男親だったら娘がむやみに痛みを感じることに耐えられないでしょう。
娘が苦しんでいたら、すぐに痛みを取り去って欲しいと感じると思います。
フランスでは約80%、アメリカでは約60%が無痛分娩による出産であるとするデータもあります。
女性の就業率も高く、体力を温存してできるだけ早く体を回復させ、職場に復帰したいという意図もあるでしょう。
無痛分娩は産院選びが重要なポイント
麻酔を使ったお産を“和痛”といった表現をする産院もあるのも事実です。
実は、無痛分娩をあつかっている産院でも、きちんと麻酔をあつかえる医師は必ずしも多くないと思います。
麻酔の量と入れる位置や角度には、本当に微妙な調整が必要です。
麻酔薬を大量に投与すれば無痛になりますが、産む感覚がほとんどなくなってしまう場合もありますし、
感覚も意識も薄くなりますし、投与量が少なければ痛みが少し緩和されるだけになります。
不幸にも、日本では無痛分娩にまつわる事故がありました。
それゆえに、選択に二の足を踏む方が増えたのも事実です。
でも、それは非常にまれな事故です。わずかな例です。
無痛分娩を扱った経験の多い産院を選べば心配は少ないでしょう。
むしろ、メリットの方が多いと思うので、ぜひ冷静に検討してください。
新中野女性クリニック
海老原 肇先生
産婦人科学会専門医/母体保護法指定医。1988年聖マリアンナ医科大学卒業。1988年聖マリアンナ医科大学大学院卒業、医学博士号取得。1989年聖マリアンナ医大横浜市西部病院周産期センター医長および産婦人科医長を兼務。2001年10月新中野女性クリニック開院。2004年10月医療法人化(医療法人社団千房会)。
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