HOME > 妊娠・出産 > その他 > 妊娠にまつわる“言い伝え”、信じる?信じない?
HOME > 妊娠・出産 > その他 > 妊娠にまつわる“言い伝え”、信じる?信じない?

妊娠にまつわる“言い伝え”、信じる?信じない?

インタビュー 妊娠・出産

妊娠にまつわる“言い伝え”、信じる?信じない?

世の中には妊娠や出産にまつわる噂やジンクスがたくさん存在します。「どうせ迷信に過ぎない」と思ってはいても、妊活・妊娠中はなにかと不安が多いため、こういった“言い伝え”とどのように付き合っていくべきか、宮川医院の宮川智幸先生に伺いました。

2018.2.14

あとで読む

質問1: 最近では“妊娠菌”というワードが妊活中の女性の間で話題です。 妊娠菌、またはそれに近いものは実際にありますか?




残念ながら、そのような菌は存在しません。「赤ちゃんを授かった喜びを、おすそ分けする」という気持ちが高じたものでしょう。現代はネット社会で、「どうしたら妊娠するのか」と検索すれば、何らかの情報を得ることが可能です。しかし、その情報は玉石混交で、怪しいものも少なくありません。


ネットの向こうの人は、ほとんどが会ったこともない赤の他人です。信頼に足るかを調べるすべもないのです。例えば、「子宝草を育てたら、赤ちゃんを授かった」という噂にしても、その方はおそらく、決まった時間に植物に水をやれる規則正しい生活の中で、植物を愛でる心身の余裕があったからこそ授かったという可能性はあります。


親しい友人が妊娠したときに、「妊娠菌を分けてー」とおなかを触らせてもらうのは、もしかしたら効果があるかもしれません。妊娠菌のなせる業ではありませんが、母性が目覚めて、「次は私も!」という意欲も湧きます。「大事にしてね」と友人を労わり、優しい気持ちも芽生えるでしょう。でも、それが逆に「なぜ彼女が妊娠して、私はしないの?」といった恨みや妬みにつながると逆効果。ポジティブに受け取るか、ネガティブに受け取るかで、同じ情報もまったく違う効果をもたらすのです。


 


質問2: 代々受け継がれた、古くからの「言い伝え」の信ぴょう性はありますか?


「秋茄子(あきなす)は嫁に食わすな」ということわざがあります。「おいしい秋茄子は、嫁に食べさせるのはもったいない」という嫁いびりの意味ととらえられがちですが、ナスは体を冷やす食材なので、「夏が過ぎたら、大事なお嫁さんにはひかえてもらおう」という、嫁へのいたわりが本来の意味という説もあるのが言い伝えの面白いところです。


「火事を見るとアザのある子が生まれる」などという言い伝えは、江戸時代に広まった噂がはじまりではないでしょうか。当時は、「火事と喧嘩は江戸の華」などと言われ、やじ馬が集まったそうです。妊婦に対して「危険なところに行ってはダメ、ストレスをかけてはダメ」という、いわばおどしであり、いましめだったのでしょう。


「トイレ掃除をすると美形の子が生まれる」というのも、衛生面に気を配って! というすすめでしょう。昔の便所の衛生状態は今とは違いますし、「妊婦はトイレを清潔に」と言われるより、「かわいい子が~」と言われた方がモチベーションも上がりますから。


「妊婦は葬式に出ない方がいい」というのも、考えてみれば葬式などは長時間正座しっぱなしになり、血栓症などの危険があるからともいえます。古くからの言い伝えには、このような裏のメッセージがあると思うのです。


 


質問3: 信じてもいい、あるいは信じた方がいい“言い伝え”はありますか?


「満月の夜には出産が多い」というのは、産科の医師としてなんとなく感じます。しかし、統計を見るとあまり差はないようです。帝王切開が少なくないことも関係します。太陽と月の光を頼りに暮らしていた昔の生活と違い、現代人が自然とはかけ離れた不規則な生活が当たり前となってしまっているからかもしれません。


昔から、日本には季節や節目ごとに行事が多くあります。たとえば正月七日には七草粥を食べる、冬至にはカボチャを食べて柚子湯に入るなどがそれです。正月のご馳走で疲れた胃を癒す、風邪を引きにくくするなどの意味合いもあるのですが、それを実践できるのは、心にゆとりがあるからこそです。「戌の日に腹帯をいただいたから大丈夫! 」と、行事をきちんと務めたことによって、安心感を得てきたのが日本の伝統・文化なのです。


ところが、「ちゃんとやったから大丈夫」という安心感の裏には、「できなかった・やらなかった」ことによる不安感が生まれる場合があり、これがストレスになることもあります。ここで気分を上手に切り替えられるかどうかがポイントです! 「私は〇〇を頑張っているから、大丈夫」と誇れるものがあれば、安心につながるのではないでしょうか。


どうか根拠のない噂や言い伝えではなく、医師の言葉を信じてください。信じられる医師の下で治療をしてください。それがママになる一番の早道だと思います。





宮川先生より まとめ


妊娠にまつわる噂のほとんどは“迷信”に過ぎません。願掛け的に楽しみながらトライするのは悪くはないけれど、できなかったからと自己嫌悪に陥るのは禁物です。妊娠の基本は健康の基本と同じで、良い食事、適度な運動、健やかな睡眠、そしてストレスの軽減です。あやしいジンクスに惑わされて、逆にストレスを増やさないように心がけましょう。



お話を伺った先生のご紹介

宮川医院 宮川 智幸 先生


宮川医院院長。医学博士、日本産科婦人科学会専門医、臨床遺伝専門医、母体保護法指定医。日本大学医学部、同大院医学研究科博士課程終了。虎の門病院、埼玉小児医療センター病理部医長、虎の門病院産婦人科医員・医長、虎の門病院医学教育部副部長兼任を経て、現職。藤沢市民病院、湘南藤沢徳洲会病院、湘南鎌倉病院、神奈川こども医療センターなど地域の基幹病院とも連携。「母と児の安全を最優先と考え、できるだけ自然なお産で不必要な医療介入は行わず、ご夫婦それぞれのニーズに合わせたお産を目指す」を基本理念に、母乳育児なども推奨。

≫ 宮川医院 

image


あとで読む

この記事に関連する記事

この記事に関連する投稿

女性のためのジネコ推薦商品

最新記事一覧

Page
top