腸内環境を整えて体の中からすっきりきれいに ヨーグルト
腸内環境を整えて体の中からすっきりきれいに
ヨーグルト
ヨーグルトといえば整腸作用、というイメージをもっている人が多いのではないでしょうか。
最近、ヨーグルトに含まれる乳酸菌が、ほかにもさまざまな健康効果をもたらすことが解明されてきました。
ヨーグルトの奥深い世界を知れば知るほど好きになるはず!
ヨーグルトは偶然の産物だった!?
ヨーグルトは、牛乳などに乳酸菌を加えて発酵させたもの。その起源は古く、古代人が牧畜を始めた紀元前8000年頃までさかのぼり、メソポタミアで誕生したといわれています。搾った家畜の乳の中に、偶然に乳酸菌が入り自然発酵したことによって、ヨーグルトが生まれたのではないかとされています。
ヨーグルトの製法は、メソポタミアから各地に伝えられ、それぞれの気候風土の中で発展を遂げていきました。古い記録も残されており、紀元前3000年頃のシュメール人の石版には、搾乳やバターの製造など、さまざまな乳加工の様子が描かれています。また、紀元前500年頃には、中央アジアのアーリア人は馬乳を発酵させた酒(クミス)を飲んでいたといいます。先人の知恵や技術に驚かされますね。
ヨーグルトは不老長寿の薬!?
日本では一説によると、6世紀半ばに百済(朝鮮半島)から搾乳法が伝わり、
乳加工が始まったようです。酪(らく)、酥(そ)、醍醐(だいご)という乳製品がつくられ、酪がヨーグルトのようなものといわれています。当時は牛乳や乳製品は貴族しか口にできない高級品で、醍醐は万病の薬としても珍重されていました。しかし乳製品が日本に根づくのはまだまだ先のこと。明治時代に入って、ようやくヨーグルトがつくられるようになったのです。
ヨーグルトが世界中に知られるようになったのは、20世紀初頭にロシアのノーベル賞学者メチニコフが、Aヨーグルト不老長寿説Bを提唱したのがきっかけでした。東欧に長寿者が多いのは、ヨーグルトを常食しているからだと考え、A東欧のヨーグルトの乳酸菌が腸内に定着して腐敗菌を抑え、老化を防ぐBと発表、大きな話題となりました。その後この説は否定されましたが、今に続くヨーグルト研究の原点ともいわれています。長年の研究により、腸内に生息する別のタイプの乳酸菌が発見され、ヨーグルトの健康効果が明らかになってきたのです。
ヨーグルトの酸味のもと乳酸菌のすぐれたパワーとは?
食品をおいしくする乳酸菌のチカラ
乳酸菌とは、糖を分解して主に乳酸をつくる菌の総称。この乳酸が、ヨーグルトの酸味の元となっています。
乳酸菌は微生物のひとつで、人や動物の腸内、植物、食品などに住みついています。食品を乳酸菌で発酵させると、おいしさと保存性が高まるという特長があります。牛乳よりもヨーグルトの保存性がよいのは、乳酸菌によるもの。昔の人たちは、体験から乳酸菌の効能を知り、ヨーグルトやチーズ、漬物、キムチ、しょうゆなど、多様な発酵食品を生み出してきました。そのなかでもヨーグルトに含まれる乳酸菌の数は群を抜いていて、ヨーグルト100gあたりの乳酸菌の数は10億個以上!この乳酸菌が体によい影響をもたらしてくれるのです。
生きたまま腸に住みつく乳酸菌も
乳酸菌には3つのタイプがあります。
1.ヨーグルトやチーズなどをつくる酪農乳酸菌、
2.漬物などをつくる植物性乳酸菌、
3.もともと人間の腸内に住んでいる乳酸菌。
これまでの研究では、1.と2.の乳酸菌は、摂取しても腸内に定着しないといわれていました。しかし3.について
の研究が進み、生きたまま腸に届いて働くタイプの乳酸菌が発見されたのです。
それ以来、プロバイオティクス・ヨーグルトが続々と登場し、その健康効果にますます注目が集まるようになっているのです。
人間の腸内には約100種類、100兆個もの菌が住んでいるといわれます。ひと口に腸といっても、食物を消化し必要な栄養を吸収する小腸と、水分を吸収し便をつくる大腸があります。みなさんがよく知っているビフィズス菌は大腸に数多く住み、ほかにも小腸に多く住む乳酸菌もあります。さまざまな種類のプロバイオティクス菌が腸内環境を守ってくれるので、乳酸菌はよく選びたいものです。
プロバイオティクスとは?
生きて腸まで届き、健康増進をもたらす微生物、またはそれを含む食品のこと。まさにヨーグルトはプロバイオティクス。乳酸菌を食べ物から摂ることで、消化器系のバランスを改善し、体内環境を整えるとされてます。
菌ってどういうもの?
人間の腸内に存在する菌は、善玉菌、悪玉菌、日和見菌の3種類に大別できます。体によい働きをするのは善玉菌、悪い働きをするのは悪玉菌、よくも悪くも働いたり、機能が不明なものは日和見菌です。健康な人の腸内細菌は、善玉菌20%、悪玉菌10%、日和見菌70%くらいです。