クロミッドⓇで経血が激減。 このまま治療を続けて大丈夫?
コラム 不妊治療
クロミッドⓇで経血が激減。 このまま治療を続けて大丈夫?
「このまま5日目から2錠服用することが不安で仕方がありません。この先生のもとでこのまま頑張ったほうがいいのか非常に悩んでいます。」
相談者:あんぬぷりさん(34歳)からの相談
▶クロミッド®の服用について
32歳から通院し、今年8月にチョコレート嚢胞の内視鏡手術をしました。温経湯+クロミッド®+HCG注射のタイミングで3周期目です。この治療を始めてから明らかに経血が激減しました。今回はナプキン1枚で足りるほどの茶褐色の経血が出て終わりました。内膜が薄くなる副作用なのかを先生に尋ねたところ「副作用の傾向はあります。でも頑張ってみて」と変わらず2錠処方されました。今まで内膜の厚さを測ったことがあるかを聞いたら「基礎体温を見れば大体わかるので必要ないです」と言われました。このまま5日目から2錠服用することが不安で仕方がありません。この先生のもとでこのまま頑張ったほうがいいのか非常に悩んでいます。
クロミッドⓇを2錠服用し、経血が激減しているそうです。どのようなことが考えられますか?
1日2錠で5日間服用されているのか、または1日1錠を5日目から2回だけ服用されているのかわからないのですが、通常クロミッド®の服用は1日1錠で5日間程度のことが多いですね。
クロミッド®はエストロゲンの作用を抑えて、FSH(卵胞刺激ホルモン)を増やす排卵誘発剤です。抗エストロゲン作用により、子宮内膜が厚くなりにくくなったり、頸管粘液が出にくくなる副作用をともないます。さらに繰り返して使うほど、量が多くなるほど副作用が出やすくなります。この方は3周期目ということですので、1周期に10錠ずつ服用されていれば、お薬の効き目は強くなりますので、副作用が出ていると思います。
このまま治療を続けていいでしょうか?ほかに方法があれば教えてください。
特にART(生殖補助医療)を行っていない施設では、クロミッド®を多めに処方し、最後にHCG注射をしてタイミング指導をされている先生が多いようです。このような治療後に当院に転院された患者様は、子宮内膜が薄くなっていることがありますが、クロミッド®の服用を中止すると2カ月ぐらいで元に戻ります。この方の先生のプランとしては、通常クロミッド®は6周期までとされていますので、6周期で妊娠しなかった場合は排卵誘発法を変えられるのかもしれませんね。
1日1錠(5日間)で排卵しないので、1日2錠(5日間)が必要ということでしたら、クロミッド®1錠で排卵するように、ほかのお薬を併用する方法もあります。たとえば、PCOS(多嚢胞性卵巣症候群)の方であれば、インスリン抵抗性を下げるメトホルミンや、卵胞を育ちやすくするプレドニン®というステロイド剤を併用します。肥満体質の方であれば、ダイエットでクロミッド®の作用を高めることもできます。また、クロミッド®で子宮内膜が薄くなっている場合、プレマリン®などのエストロゲン製剤を併用すると、抗エストロゲン作用を補って子宮内膜を厚くすることが可能です。
さらに、次のステップとしてリコンビナントFSHの注射による排卵誘発法や、使える施設は限られますが、抗エストロゲンの副作用が少ないレトロゾールを使う方法もあります。
今後の治療についてアドバイスをお願いします。
年齢的には若いのですが、チョコレート嚢胞の手術をされていますので卵巣機能の低下が心配です。AMHが低くなっているようであれば、チョコレート嚢胞が再発する前に早く妊娠される必要があるでしょう。治療期間も2年ですので、早めに人工授精、体外受精へのステップアップをおすすめします。
Doctor’s advice
●クロミッド®1錠で排卵できるように、ほかのお薬を併用する方法も。
●AMHが低下している場合は、早めに人工授精、体外受精の検討を。
出典:女性のための健康生活マガジン jineko vol.37 2018 Spring
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