排卵後、子宮内膜が薄くなって いくことはありますか?
コラム 不妊治療
排卵後、子宮内膜が薄くなって いくことはありますか?
「判定日は1週間後なので、またホルモン補充の薬が出され、しかも1種類追加になりました。今、どのような状況なのか気になっています。」
相談者:かこさん(34歳)からの相談
▶排卵後の子宮内膜について
今回採卵で11個卵子が採れ、10個が受精。8分割まで9個が育ったところで、採卵から3日後に受精卵を移植しました。採卵前や排卵直前、子宮内膜は14㎜くらいまで厚くなっていました。しかし、移植から9日経って診察に行ったところ、内膜は10㎜程度に。ホルモン補充もしていますが、内膜が見えにくいというか、排卵前より黒く見えたように感じました。これは生理前の状態なのでしょうか。排卵後に子宮内膜が薄くなるなんてあるのですか? 誤差にしては大きい気がして……。判定日は1週間後なので、またホルモン補充の薬が出され、しかも1種類追加になりました。今、どのような状況なのか気になっています。
子宮内膜はどのような形で厚くなっていくのが理想的なのでしょうか。
ある文献によると、子宮内膜は排卵前には1日約0.5㎜のペースで厚くなり、排卵後は1日約0.1㎜ずつ厚くなるようです。また、着床期(排卵してから5~9日目)に8㎜から10㎜をピークに13㎜までの厚さであるのが妊娠しやすく、7㎜や14㎜はぎりぎりのライン、6㎜以下や15㎜以上は厳しい。つまり、子宮内膜は厚ければ厚いほどいいというわけではないんですね。
このようなことから考えると、かこさんの場合、排卵前に14㎜だったのは少し厚すぎるように思います。それなのに移植9日目に10㎜というのはちょっと落差が大きいような気がしますね。
画像で子宮内膜が黒っぽく見えたということですが、これはどのようなことが考えられますか?
超音波で見ると、排卵前は子宮内膜の真ん中に線が入り、木の葉のような状態になります。排卵後、黄体期になるとこの線が消えてなくなり、全体的に白く見えるんですね。黒く見えたということは、子宮内膜が黄体期に移行するのが遅いことが考えられます。ただ、かこさんが一瞬、そう見えただけで、きちんと画像を見てみなければ何ともいえません。担当の先生は何とおっしゃられていたのでしょうか。
このような場合、着床はうまくいかないことが多いのでしょうか。
どんな排卵誘発法だったのか記載がありませんが、今回は11個の卵子が採れて、新鮮胚で移植されています。11個採れたらホルモン値がかなり上がって、それが子宮内膜に影響してしまうことも。採卵が3個程度でホルモン値も低ければ新鮮胚で移植してもいいと思いますが、多く採れた場合は受精卵を凍結して、子宮の環境を整えてから移植したほうが妊娠率を上げることができるのではないでしょうか。
今、黄体ホルモン剤を処方されているようですね。これには子宮内膜を厚くする作用はありませんが、妊娠の継続には必要なので補充を続けられていいと思います。もう一つ追加されたお薬はエストロゲンでしょうか。エストロゲンには内膜を厚くする作用が期待できますが、移植9日目、採卵12日目で着床はすでに終わっている時期なので、あまり意味はないかもしれません。
今回着床したかどうか、この時点では何ともいえませんが、もし結果が出なくても方法次第で妊娠する可能性は十分あるので、前向きに治療を続けていただきたいと思います。
Doctor’s advice
●10㎜は薄くはありませんが、排卵前との厚みの落差が気になります。
●新鮮胚移植より、子宮の環境を整えてから戻す凍結胚移植の選択を。
出典:女性のための健康生活マガジン jineko vol.37 2018 Spring
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