多嚢胞性卵巣ぎみ。排卵したかどうかきちんと確認できません。妊娠の可能性は?
コラム 不妊治療
多嚢胞性卵巣ぎみ。排卵したかどうかきちんと確認できません。妊娠の可能性は?
軽度の排卵障害。排卵のタイミングでプロゲテポーを打ったが、果たして排卵していたのか。診断は正しかったのか・・・、そんな不安に、銀座こうのとりレディースクリニック嶋田院長先生に伺います。
あきさん(32歳)
クロミッド1日2錠。血液検査で多嚢胞気味だけど、軽度の排卵障害で生理周期は40~50日です。高温期の黄体ホルモンは22で良いそうです。なかなか卵胞が育たず、d13で12ミリ、d16で卵胞見えず、「排卵したかも?」とのことでプロゲテポー筋注。医師の「かも?」が気になります……。排卵後でなかった場合、プロゲテポーを打ってしまったので今期は無駄になってしまいますよね。この薬の知識がなかったことを後悔しています。もし排卵着前後だった場合は、今期の妊娠の可能性はあるのでしょうか? d17の今日も体温は高温期になっていません。
不妊治療をスタートしたばかり。
排卵したかどうかの確認はどのような流れで行うのですか?
生理が規則的に来ている方だと予測がつきやすいので、排卵の少し前に1~2回診察させていただければ排卵したかどうか確認することができます。
しかし、生理が不順な方、特にあきさんのように周期が長い方は排卵するまですごく時間がかかったり、逆に排卵が早くなるなど周期によってバラつきが出ることが多いので、2~3日ごとなど、まめに超音波でチェックしなければならないことも。
排卵のチェックは超音波がメインになります。
超音波で卵胞の大きさが成長するところを観察していき、ある程度の大きさになったらホルモンの数値や頸管粘液の分泌が正常かどうかをみながら排卵日の予測をし、タイミングの指導をします。
今回、排卵は正常にされていたのでしょうか。
このデータだけでは判断しかねますが、高温期の黄体ホルモンの値は良いということなので、生理周期の40~50日のどこかで排卵には至っていた可能性もあります。排卵はしていたのかもしれませんが、このような方の場合、そこにきっちりタイミングを合わせることは難しいかもしれません。
プロゲデポーの注射を打ったということですが。
黄体ホルモン補充のお注射は排卵を確認した後に打つケースが多いのですが、排卵前に排卵の促進を目的に使用する場合もあります。
主席卵胞として13日目くらいに見えていたものがなくなっていたので、先生としては「排卵がちょうど終わったくらいなのかな」ということで使われたのではないでしょうか。
排卵に問題がある方はその確認が難しいことがあります。
ちゃんと排卵していたのか、排卵せずにしぼんでしまったのか、医師でも判断がつきかねるケースも往々にしてあるので、今回、妊娠の可能性があるかどうか、先生がどのような目的で黄体補充をされたのか現段階でははっきりといえません。
今後もこのような状態が続いてしまった場合、どのような治療方針を立てていけばいいですか?
まだ治療を始めたばかりということでしたら、周期によって排卵の状態が変わることがあるので、あと2、3回はこのまま同じ方法で臨まれてもいいのではないでしょうか。
それでもなかなか排卵のタイミングがつかみづらく、「コストも時間もかかってしまって大変」と負担に感じられるようなら、体外受精という選択もあるかと思います。
32歳とまだ年齢がお若い分、卵子自体は健常なものを採りやすいです。
1回の採卵で複数の卵子が採れるので、受精卵のストックもできます。
今のやり方で半年、1年と続けるより、1回の採卵で良好な受精卵を複数個つくっておくことで、経済的にも時間的にもかえって効率が良く、早く妊娠にたどりつける可能性があります。
排卵という時点でつまづいている方にとっては、思い切ってステップアップを考えるのも選択肢の1つになると思いますね。
Doctor’s advice
●生理周期が長い人は排卵の時期にバラつきが出ることも。
●通常、黄体補充の注射は排卵を確認してから打ちます。
●思いきってステップアップすることも選択肢の1つに。
先生から
排卵に問題がある方は排卵のタイミングをつかむために来院回数が多くなってしまうことも。
なかなかうまくいかない場合は、体外受精で早く妊娠にたどりつけることもあります。