排卵障害でも妊娠できる? 排卵障害の原因や症状、治る方法とは?
まとめ 不妊治療
排卵障害でも妊娠できる? 排卵障害の原因や症状、治る方法とは?
「えっ、私、排卵してない…? 」 自覚症状のない排卵障害の原因と治療、不妊治療への影響をわかりやすくまとめました。
※ジネコフリマガ夏号(5/25発刊)特集テーマは「排卵障害」です。
不妊状態にはさまざまな原因がありますが、その中でも大きなもののひとつが排卵障害です。女性の体の中では1カ月に1回卵子が成熟し、排卵が起きるようになっていますが、月経が正常な周期であったとしても、排卵がない場合も珍しくはないようです。
もしも排卵していないことがわかったら、その理由について調べることが治療の第一歩につながります。
今回は、排卵障害がなぜ起こるのか、そしてどういう治療を行うのかについて、改めて知っていきましょう!
排卵障害の原因や症状とは?
"妊娠のメカニズムを理解していれば、患者さん自身がどこに不妊の原因があるかを調べようという気持ちになります。ですから私は、初診に時間をかけて妊娠にかかわる体のしくみや、不妊治療の説明をするようにしています。"
"基礎体温では、排卵を境に低温相と高温相という二相性に分かれるのが正常な状態です。排卵が起きると黄体ホルモンが分泌され、基礎体温が上がりますので、高温相があれば、まずは排卵しているといえます。"
ただ、ホルモンの問題のほかにも、多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)などによって排卵障害が起こる場合もあるので、妊活をこれから始める人はまず一度婦人科で受診するのがおすすめです。
排卵障害は治る?
さて、無排卵月経にはどんな治療を受けられるのか、そして治るのかはとても気になるところです。
前段でご紹介したコラムでは、女性の状況にとって複数の治療方法をご紹介しています。
“婦人科で行う治療法としては、妊娠を考えるかどうかで大きく分かれます。 妊娠を考えるのであれば、排卵誘発剤を使って排卵を起こさせるという方法があります。 妊娠をすぐには考えない場合は、ホルモン療法というものがあります。薬によって排卵しているときと同じような状態を作り出すことで、そのリバウンド現象を利用して、その後の自然排卵周期の回復を期待することができます。
ホルモン剤などの投与に抵抗がある場合には、漢方薬による体質改善という方法もあります。 当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)や桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)など婦人科的な症状の改善を促す漢方薬は、当院でもよく処方します。 漢方薬によって月経の状態が整ったという症例も数多くあります。”
激しいダイエットなどが無排卵月経の原因である場合には、生活習慣の見直しや、バランスの取れた食事など、生活改善も大切と言えそうですね。
排卵障害でも妊娠できる?
排卵障害は妊活や不妊治療にどの程度の影響があるのでしょうか。
不妊治療は卵巣の状態や精子の質など、さまざまな要素を考えながら治療方針をドクターと考えていくのが一般的ですが、排卵障害の場合にはどんな治療の流れになるかを知っておきたいですね。
“基本的な検査が終わったら、その後すぐに不妊治療がスタートする」と思われている方が多いかもしれませんが、必ずしもそうとは限りません。選択肢は1つではなく、検査の後はその結果や患者さんのご希望によって、いくつかの方向に分かれます。
当院では、不妊治療に入る場合は、検査で特に問題がない方は「タイミング療法」からスタートします。ただし、ヒューナーテストの結果が悪い場合や、精液の所見があまりよくない場合は、「人工授精」からトライしていただくことになります。ここまではいわゆる一般不妊治療といわれるものですが、卵管閉塞など卵管の状態に問題があったり、精液所見が極端に悪い場合は、一般不妊治療は行わず、高度不妊治療といわれる「体外受精」や「顕微授精」をおすすめする場合もあります。また初診時に、大きな子宮筋腫やチョコレート嚢腫などが見つかった場合は、不妊治療より腹腔鏡手術などの外科的な治療を優先することも。”
“一般不妊治療をする際は、ホルモン療法が加わることもあります。これは排卵が正常な方には必要ありませんが、排卵までの日数が長いなど、排卵に障害がある方や黄体機能不全の方には、ホルモン剤を使いながら調整していくことになります。”
"タイミングは、ご自身でとる場合は基礎体温を目安にされると思いますが、必ずしも体温が下がったところが排卵時期とは限りません。ちょっと上がったところで排卵する方もいれば、なかには上がりきってから排卵する方もいます。多嚢胞性卵巣症候群の方の場合などは、LHチェッカーを使っても、もともとLHが高いので毎日「+」に出てしまうこともあります。
タイミングをなるべく正確に見極めたり、ホルモンの不足や乱れを補うためには、やはり一度受診されて、医師の元でタイミング指導を受けられることをおすすめします。
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ということで、ホルモン剤の使用と並行して行う不妊治療の可能性は十分なようです。信頼できるドクターと相談しながら効果的な治療に取り組みたいですね。