ホルモン補充周期で移植するも3回陰性。転院後の治療方針について
専門医Q&A 不妊治療
ホルモン補充周期で移植するも3回陰性。転院後の治療方針について
良好な受精卵を3回移植するも陰性。転勤に伴い転院した場合の治療について、はるねクリニック銀座の清水真弓先生に伺いました。
相談者:ゆいさん(28歳)
ホルモン補充周期で移植するも3回陰性。転院後の治療方針について
男性不妊のため顕微授精にて8個の凍結胚盤胞を得ました。しかしホルモン補充周期で移植するも3回とも陰性。現在の病院では受精卵のグレードもよく、私の年齢が若いので、「4回移植して変わらなければ検査をし、治療方針を立て直そう」と言われています。
でも転勤が決まり、転院先を探さねばならなくなりました。治療方針はさまざまだと思うのですが、転院先でも前の病院の情報や治療履歴に基づいた治療を受けられるのか、それともまた1からのスタートになり、時間ばかりがかかるのではないかと不安です。
また、4回目の移植をする前に着床障害などの検査を受けた方がいいのかについても相談させてください。
転院先でスムーズに治療を受けるにはどうしたらいいでしょうか?
転居のため転院する旨を伝え、紹介状に治療経過やデータをつけてもらうようお願いするといいと思います。
それが難しいようなら、今のクリニックでの採血結果や胚培養結果などを持参すれば、行っている検査は省略可能ですし今後の治療の参考にもなります。
転院前のクリニックに凍結胚がまだ残っています……。
転院前と転院後、双方のクリニックがOKであれば、凍結胚の移送が可能です。凍結・融解方法は施設によって少し違いがある可能性があるので、移送方法や融解時の注意点などを培養士同士が事前にやり取りする必要があります。
もし、凍結胚の移送が不可の場合は以下の方法が考えられます。
1つめは、移植のために転院前のクリニックに通う方法です。エコーやホルモン採血など移植前の検査までは、転居先の近くのクリニックでやってもらうケースもあります。
2つめは、新クリニックで採卵し直す方法です。周期や刺激、培養方法が変わると、胚の質が変わって妊娠の近道となる場合もあります。
着床障害の検査はどのタイミングで行うのがいいでしょうか?
ゆいさんのように28歳で3回不成功となると、着床不全が考えられるので、私なら4回目の移植前に着床障害の検査を始めると思います。
もしくは、ホルモン補充周期がまれに合わない方がいるので、自然周期での移植をもう一度トライしてみる、その他、相談内容からは読み取れなかったので、すでにトライされているかもしれませんが、血流を良くする目的でのバイアスピリン内服や、免疫系の調整の意味でのステロイド内服、内膜調整法であるスクラッチング法やSEET法、G-CSF注入法、また着床の窓の関係から移植の時期をあえて1日遅らせてみる、などをされていなければ試す価値があると思います。
スクラッチングとは、子宮体がんの検査用ブラシで子宮内膜を刺激し、軽い炎症を起こすことで、着床しやすい状態にする方法です。SEET法は、受精卵を胚盤胞まで培養した時の液(SEET液)を胚移植前に子宮内に注入して着床率をあげる方法です。
すでに行なっているとは思いますが、移植時にアシステッドハッチングをされているかも確認を。
そのほか、検査としては子宮鏡や内膜組織診で、内膜の慢性炎症や日付診を確認する方法や、子宮内の細菌をチェックする子宮内フローラ検査、子宮内膜着床能検査(ERA検査)、免疫・血液凝固系などに異常値がないかチェックする「着床不全採血」などがありますが、対応可能な方法はクリニックによって異なります。
清水先生より まとめ
「体重を標準にし、これまでの移植方法の確認を。」