※ジネコフリマガ夏号(5/25発刊)特集テーマは「二人目不妊」です。
1人目の子どもが生まれて2年、3年。そろそろ2人目を考えているけれど、なかなか妊娠できない。不妊治療をしているけれど、成果が出ない……。
そんな方は珍しくないようです。
上の子は問題なく妊娠できたのになぜ? 前は同じ治療で効果が上がったのに、今回はもっとステップアップが必要? と、1人お子さんがいる状態での不妊治療ならではの悩みも多い、二人目不妊について情報をまとめました。
主な原因や二人目不妊ならではの治療方法を知って、ストレス軽減を目指しましょう!
二人目不妊の原因とは?
最初のお子さんがスムーズに生まれたご家庭ほど、「夫婦生活があればそのうち自然に妊娠する」とのんびり考えがちです。
ただ、二人目不妊かな? と考え始めるべき時期はあるといわれます。
“二人目は「そのうちできる」と思っている方は要注意。卒乳1年後から半年頑張っても無理なら、はやめに産婦人科に相談しましょう。”
ということで、2人以上お子さんが欲しいというご夫婦には、妊活スタートから1年程度という、1人目不妊の定義とはまた違った期間の目安があるようです。母乳が出ているうちは妊娠しにくいという説もありますので、妊活を見すえての断乳・卒乳も考えたほうがいいかもしれませんね。また、産後月経が再開したら、基礎体温を記録し始めるのもおすすめです。
二人目不妊が起こってしまう原因は、皮肉なことに1人目の妊娠・出産や、初産の時に比べて年齢が上がっていることにもあります。
“二人目不妊の原因はさまざまですが、その1つに第一子を出産したことによって子宮内の機能が変化してしまうことが挙げられます。
特に、第一子の分娩で、感染症を引き起こしてポリープができてしまったり、卵管の通りが悪くなる方は結構いらっしゃいます。
また、精子の所見が極端に悪いなど、男性側の原因が見つかることもよくあります。”
“前回の出産から数年が経過しているということは、当然ながら、その分、夫婦の年齢も上がっています。女性のもつ卵子の数は生まれたときに決まっており、精子のように増殖しません。つまり、加齢とともに卵子の数は減少していくのです。
●卵子の残数を測定するAMH検査
AMH検査をご存じでしょうか。卵巣の中にどのくらいの卵子が残っているかを測定する検査です。この数値は37歳を境に急激に下がっていきます。数値が低いと妊娠のチャンスも低くなり、自然妊娠は相当厳しくなります。
なお、第一子出産の時にすでにAMHの値がギリギリだったものの、なんとか子どもを授かることができたというケースもありますが、そういった方が二人目不妊になることも多いのが現状です。”
妊娠の確率が下がってしまう要因は、知らないうちに増えているのですね。
二人目不妊の治療方法とは?
二人目不妊の治療方法は、一人目不妊のものと違いはあるのでしょうか。
“一度不妊治療を受けている方はステップアップを早めるケースもあるようですが、治療内容は変わりません。検査については、ホルモンや機能的な面で変化していることもあるので、最初の治療の時と同様にスクリーニング検査は受けられたほうがいいと思います。もちろん男性も、年齢とともに精子の数や運動率が低下してくるので、一度は精液検査を受けていただきたいですね。”
やはり夫婦の加齢はキーポイントになってくるようです。
"2人目不妊の治療で特に気をつけたいのは、通院にかなり制約ができるのを覚悟していただきたいということ。(中略)基本的なことも実行するのが難しくなると思います。ご主人をはじめ、家族や職場の方々の理解や協力が欠かせません。"
1人目と2人目の不妊治療は、 どんな違いがあるの?
上のお子さんが小さいと病院に行くタイミングが少なかったり、子連れで通院するのをためらったりしているうちに時間が過ぎていきがちですが、近年クリニックでも二人目不妊の患者さんに対応しているところも増えているとか。
“2人目不妊の場合、1人目のお子さんを連れて病院に行かなくてはならない方が多いようです。当クリニックでは、不妊治療のほかにお産も行いますので、2人目不妊の方や2人目を妊娠される方も来られるため、1人目のお子さんが遊べるキッズスペースや院内保育士さんを用意しています。”
年齢が少しでも若いほど生殖機能の問題が少ないのはよく知られたことですね。子連れでもストレスなく通院できれば、治療の成功率も上がるのではないでしょうか。
"もし、まだ1人もお子さんがいらっしゃらなければ、たとえ40歳でも迷わず不妊治療をされているのではないでしょうか。(中略)もう一度、本当に2人目のお子さんが欲しいかどうかを考えてみてください。本当に欲しいと思えば、迷いがなくなり、真剣に治療に向かえるので、結果も違ってくると思いますよ。"
もうすぐ40歳。 2人目をつくるのが不安……
二人目不妊に向き合う。克服するか、諦めるか。
最初のお子さんが可愛いほど、2人目の子どもがほしい気持ちは高まるものです。
「この子に兄弟をつくってあげたい」
という思いに突き動かされて不妊治療に取り組んでいるご夫婦も多いようです。
また、親族やママ友などの周りの人は、1人生まれたのだから2人目も容易に妊娠できると考えがちで、二人目不妊の治療中に「次の子はいつの予定? 」などという言葉をかけられ、プレッシャーを感じることもしばしば。
一方で、同じように費用も時間もかかる不妊治療ですが、1人目の不妊治療に取り組む人からは「すでに1人子どもがいるのに、不妊治療は贅沢」と見られる場合もあります。
そこで、二人目不妊の治療ならではの克服方法について知っておきたいことがあるのです。
“40 代の不妊治療で結果が出ない時、治療を続けるか、諦めるべきか…。決断に悩む方も多いと聞きます。そこで第3の選択肢ともいえるステップダウンについて、英ウィメンズクリニックの松本由紀子先生に伺います。”
“当院の40歳以上の体外受精の妊娠率は、卵子が4個以上採れれば34・3%。卵子が2?3個であれば15%となっています。一方で、40歳以上の流産率は41・6%と高く、実際に出産まで至る方は半数以下です。ちなみに、人工授精による全体の妊娠率は、人工授精1回あたり8%です。40歳以上については、人工授精をされる方がほとんどいないためデータがありません。
その理由として、40歳以上では体外受精の妊娠率のほうが高いことがあげられます。40歳を過ぎると1年ごとに妊娠率は顕著に低下します。そのため、少しでも妊娠率が高いうちに治療できるよう、40歳前後の方には、来院とともに体外受精をおすすめしています。”
“一般的に体外受精で結果が出ない方が、人工授精やタイミング法に変えることをステップダウンと呼んでいます。先述のように、40 歳前後でご結婚されて、人工授精を一度もされずに体外受精に進まれる方も多くいます。このような方が体外受精で結果が出なかった場合、ステップダウンすることで妊娠されることがあります。体外で授精卵を培養するのではなく、自分の卵管で受精卵が発育し自然妊娠のほうが合う場合もあります。”
“体外受精の費用は高額ですし、経済的、心理的な理由でなかなか結果が出ない体外受精を続けることに、抵抗を感じる方は少なくありません。一方で、治療は諦めたくないという方は結構いらっしゃいます。このような方にも、ステップダウンを選択肢としてお伝えしています。体外受精をやめる=不妊治療の終了ではなく、ステップダウンすることで不妊治療を継続していけることがメリットです。結果的に気持ちがラクになって妊娠される方もいます。”
どんな方法をとっても妊娠が成功すればそれが最良です。しかし、いきなり治療はもうおしまい、と決断するのはつらいはずです。その決断をするための準備としても、ステップダウンはひとつの方法なのだとか。
どんな結果であっても、納得のいく選択ができたと思えることで、家族が円満に暮らしていけるようにしたいですね。
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