妊娠を望む人も、今は予定がない人も、こないと気になる生理(月経)ですが、「日にちがズレちゃったかな」「今月まだきてない」と思いながら、妊娠検査薬を使っても陰性だと、どうしたらいいのかわからないまま、日々なんとなく過ごしている……ということはありませんか?
生理がこない時に女性の体では何が起こっているのか、どんな検査を受ければいいのかなどについてまとめました。
妊活ビギナーの皆さんもぜひ読んでみてください!
生理がこない。妊娠の可能性は?
予定していた日に生理がこない場合、妊娠希望の人はまず妊娠検査薬で調べてみるのではないでしょうか。ところが、検査薬の結果は陰性なのに生理がこないままで、不安を感じることも少なくないようです。
自宅で検査した妊娠検査薬は陰性でも妊娠している可能性はあるのでしょうか?
“妊娠検査薬というのは一般的には尿検査ですので、検出の精度に限界があると思います。といいますのは妊娠の非常に初期の段階でしたら、HCGの値が低く、場合によっては、尿中にHCGの反応(妊娠反応)が出ないことがありますし、尿は排尿などの条件によっては濃くなったり薄くなったりします。1回の検査で判断するのは難しいこともあります。尿検査の場合は期間を置いてもう一度調べる必要があるかもしれません。
ごく初期に、正確に妊娠しているかどうかを診断するには、病院で血中HCG濃度を測定する検査をする必要があるでしょう。当院でも体外受精で胚移植をして妊娠した場合、尿中には妊娠反応が出ず、血液を調べたら10~20IU/Lくらいの低濃度のHCGが検出されるということはよく見受けられます。また、子宮外妊娠のときは遅れて反応が出ることもよくあります。詳しい理由はわかりませんが、着床するまでに時間差があるのか、尿検査による妊娠反応陽性化の遅れとして表れることも時としてありますね。”
“卵管に、狭窄、あるいは通過障害がある場合、子宮外妊娠のリスクは高くなるといわれています。月経の予定から11日たって尿中に反応が出てこないというのは、ちょっと遅いかなと思うので、卵管因子のある方は妊娠した場合、まず子宮外妊娠を気にかけておくべきでしょう。
もう一つ気になるのは、高齢になるにつれてよくある症状なのですが、排卵した後、次の月経が起こる前に、卵巣に次の周期の卵胞が育ってきて、月経が起こらないまま次の卵胞発育のリズムに移行してしまっているというパターンです。”
ということですから、避妊していない限り、妊娠検査薬は陰性でも妊娠の可能性はあるようです。子宮外妊娠のケースもあるので、できるだけ早く産婦人科を受診したいですね。
"卵管にハンデがあるので、たとえば卵管狭窄の原因としてクラミジアの抗体を測定することもおすすめします。もし抗体が高値であれば、卵管の機能障害(ピックアップ障害)も考慮して、子宮外妊娠のリスクを下げるためにも、体外受精を考えていかれたほうがいいでしょうね。"
生理予定日を過ぎた妊娠反応の判定について教えてください
妊娠でない場合、生理が遅れる原因は?
妊娠の可能性がないとしたら、生理がこない、あるいは遅れる原因にはどんなものがあるのか知っておきたいですね。
“「月経不順」を引き起こす主な理由は4つ挙げられます。
①妊娠
②体重の急激な増加や低下
③ホルモンのアンバランス
④精神的疾患”
“月経には視床下部、下垂体、卵巣という3つの器官が正常に働いてホルモンが適切に分泌されること、正常な子宮と 腟があることが必要です。これらのどこかが障害を受けると、月経周期の乱れや無月経が生じることがあります。障害の部位によって視床下部性、下垂体性、卵巣性、子宮性、腟性に分類され、続発性無月経の大半が過度のダイエットや拒食症(神経性食思不振症)などによる視床下部もしくは下垂体性のものです。ほかに高プロラクチン血症や過度なストレスによって生じるもの、40歳未満で卵巣の機能が閉経状態になる早発卵巣機能不全によるものなどによっても起こります。”
女性の体の中では、絶妙なバランスで女性ホルモンの分泌が行われているのはよく知られていますが、さまざまな理由でそのホルモンバランスは崩れてしまうことがあるのですね。また、一見生理があるように見えても、排卵が起こっていない『無排卵月経』もあります。
“また、視床下部、下垂体の障害などによって排卵を伴わない月経様の出血(無排卵周期症あるいは無排卵月経)をみることがあります。ホルモンの分泌に異常が生じ、卵胞が十分に発育せず、排卵が起こりません。月経周期が不順、月経持続期間が短かったり長かったりするなどの症状があります。また基礎体温を測定すると低温期だけの1相性を示します。”
いずれにしても、不安に思うような症状があるなら、早めに婦人科を受診して、検査を受けたほうがいいということですね。
"18歳を過ぎても月経が来ない原発性無月経と、これまであった月経が3カ月以上来ない続発性無月経に分けられます。
原発性無月経は染色体異常や性分化異常によるもので、比較的まれです。一方、続発性無月経はダイエットなどによる体重の過度の低下などにより生じることもあります。
"
ドクターが解説!! 生殖医療用語 無月経、無排卵
生理がこないとき、どのタイミングで病院に行くべき?
予定通りに生理がこない時、どのくらいのズレがあったら病院で検査を受けるべきか迷う人がほとんどかもしれません。
上記のコラムでは
“女性の月経周期はだいたい25~38日周期でやってくるということです。日本人の平均月経周期は28日くらいと言われています。もし「月経不順かな」と感じたら、婦人科を受診する前に“基礎体温”を測って記録してみてください。
基礎体温を測るメリットは
①自分で月経周期をある程度把握できる
②排卵がいつごろ起こるのか分かる
③いつ妊娠しやすいか、妊娠しにくいか分かる
ということです。①で月経周期が28日くらいなら2、3日遅れていると「月経不順」の可能性が、また月経周期が35-40日なら1週間くらい遅れたらこれも「月経不順」の可能性があるので、婦人科を受診することをおすすめします。”
といった目安が紹介されているので、早めの受診を心がけたいですね。
生理不順の場合に受けたい検査は、婦人科、あるいは産婦人科で受けられます。
“女性ホルモンの分泌バランスが崩れ、子宮や卵巣への悪影響が生じるケースがあり、その結果、排卵障害を起こしたり、子宮筋腫や子宮内膜症を併発したりすることがある。
その指標となるのが、生理によるものではない出血や、排卵の有無だ。これらを検査で調べることで、月経不順の原因やその影響が判明することとなる。”
“月経不順におけるホルモンのアンバランスは、血液検査によって調べることができる。エストロゲンやプロゲステロンといった女性ホルモンの血中濃度を見ることで、卵巣や黄体の機能に異常がないかが判明する。
排卵の有無は、基礎体温測定によって判明する。毎朝継続する必要はあるものの、婦人体温計を用いて自宅で簡単に測定することができる。
卵巣や子宮の委縮などを調べるには、エコー検査が有用だ。被曝のリスクもなく、子宮や卵巣が正常な位置にあるか、適切な大きさなのかを診ることができる。
このように、基礎体温測定に始まり、エコー検査などの精密診断を組み合わせることで、月経不順の原因を究明することが可能なのである。”
治療が必要な病気が隠れていることもある無月経。不安な状態はできるだけ早く解決して、毎月すこやかに過ごしましょう!
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