カルシウム刺激をしても受精卵が思うように育たない…
専門医Q&A 不妊治療
カルシウム刺激をしても受精卵が思うように育たない…
顕微授精をした受精卵にカルシウム刺激をしても効果が出ない時、どうしたら良いのかをはなおかIVFクリニック院長先生に伺います。
相談者:miiii(26歳)
胚盤胞まで到達しない原因とは・・・
受精してから初期胚になるまでは、卵子のパワーによるところが大きいのですが、初期胚から胚盤胞まで到達するかは、精子のパワーによって結果が大きく分かれます。
そのため、精子になんらかの問題があり、胚盤胞まで行かない可能性が考えられます。
今回の相談内容だけだとわからないですが、初期胚になるまでのグレードも芳しくない場合は、卵子にも問題がある可能性も。
また、培養環境と受精卵の相性で、成長の仕方に差がでることもあります。
カルシウム刺激をメインの治療法とすることについて・・・
受精する際、卵子細胞内のカルシウムイオン濃度が上昇します。
カルシウム刺激とは、顕微授精を行った卵をカルシウムイオノファーという薬剤で処理することでカルシウムイオン濃度を上げ、受精がスムーズに成立するようにサポートする方法です。
この方法を採用しているクリニックもありますが、当院ではあまり重きをおいていません。
今まで、カルシウム刺激を治療の大きな柱と考えられていたようですが、それ以外の治療でも妊娠する可能性を高める方法はあるので、検討してみてください。
治療には、他にどんな方法があるのでしょうか・・・
本来、受精卵にとっては、子宮の環境が最良です。
体外で胚盤胞まで育てず、初期胚の段階で子宮に戻す方法も検討してみてください。
その方法で妊娠する可能性は十分にあると思います。
また、精子の状態にばらつきがあるとのことなので、比較的良好な時は、すべてを顕微授精にせず、顕微とふりかけ法を半々ずつやってみるという方法も考えられます。
精子が常に良好な状態であれば、妊娠にグッと近づきます。
良好な状態をキープするには、まず禁煙することが大切。
また、ブリーフの下着は避けてください。さらに、体内温度をあげることが良くないので、サウナや長風呂、ジムなども控えましょう。
さらに、精子の状態を良くするというコエンザイムQ10 や亜鉛などのサプリメントを活用することで、効果が期待できます。
また、初期胚のグレードが悪い場合は、卵子も見直す必要があります。
メラトニンやビタミンDのサプリメントを飲んだりすることで、質の向上につながります。
さらに、貧血は卵子の質を低下させる要因となるので、一度、貧血のチェックをしてみましょう。