体外受精周期なのに生理の量が少ない
専門医Q&A 不妊治療
体外受精周期なのに生理の量が少ない
生理の量が少ないのは子宮内膜の低下などが起因。内膜の機能はその時々によるもので、焦らず残った凍結胚はいざという時に使いましょう。銀座レディースクリニックの石川聖子先生に伺いました。
相談者:チャッピーさん(39歳)
凍結胚移植を予定しています。
生理4日目までに病院に行き、飲み薬と貼り薬を使い移植する予定です。
また、子宮内膜が病院規定の8ミリにならず移植がキャンセルになることもあります。
生理の量が少なくなってきた理由を教えてください。
生理の量が少なくなってきた要因としては、第一に考えられるのは加齢によって子宮内膜の増殖能力が低下していること。これは女性にとってナチュラルな変化です。
チャッピーさんは過去に流産をされているので、もしかしたらそれが関係している可能性もあります。流産の手術では、胎児成分を残さないように子宮内容を完全に除去して掻き出すため、子宮内膜を100%温存できるとは限りません。そうなると内膜が薄くなり、月経量が少なくなることもあります。
ほかにも子宮の手術をされている場合ではアッシャーマン症候群も疑われます。アッシャーマン症候群とは、流産手術や中絶手術などによって、子宮内膜の一部が癒着してしまい、内膜の表面積が少なくなって経血が減少したり、無月経を引き起こしたりしている状態です。
子宮内膜の厚さの基準とは
胚移植を行う際の子宮内膜の厚さは8ミリ以上が理想的ですが、ベストなのは10から13ミリです。
内膜の増殖能が良好であるということは、内膜の機能の良さを反映しているので妊娠率も高まります。しかし、必ずしも内膜が厚いからといって確実に妊娠するわけではありません。
薄い子宮内膜はどうすれば改善できますか。
薄い子宮内膜の対応としては一般的に行われているホルモン補充の他に、内膜の血流改善が挙げられます。ビタミンEは脂質代謝の改善だけでなく、細胞膜を守る生体膜安定化作用や活性酸素を抑制する抗酸化作用があり、血流を増加させる働きがあります。またL-アルギニンは血管拡張物質である一酸化窒素の働きで、子宮内膜の血流と増殖に効果的であったとする報告がありますが、これらにはエビデンスはありません。ただ主治医からの処方ではなく、市販のサプリメントでも摂取できるので試してみてもよいかもしれません。
またバイアグラなど男性のED治療薬を腟内投与して、子宮内膜の血流改善に有効であったとの報告があり、一部の病院で用いられていますが、坐薬のように腟内に挿入するものなので薬局で購入することはできません。まずは主治医に相談してみてはいかがでしょうか。